JPH11256103A - 金属コーティング用組成物および透明性に優れた皮膜を有するコーティング金属板 - Google Patents

金属コーティング用組成物および透明性に優れた皮膜を有するコーティング金属板

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JPH11256103A
JPH11256103A JP34204398A JP34204398A JPH11256103A JP H11256103 A JPH11256103 A JP H11256103A JP 34204398 A JP34204398 A JP 34204398A JP 34204398 A JP34204398 A JP 34204398A JP H11256103 A JPH11256103 A JP H11256103A
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JP
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group
metal
coating composition
film
compound
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JP34204398A
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Tetsuya Yamamoto
哲也 山本
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Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 透明性に優れ、高い硬度と耐擦傷性を有し、
しかも加工性が良好な皮膜を形成し得る金属コーティン
グ用組成物を提供する。 【解決手段】 下記一般式で示される有機金属化合物
(I) および/またはその加水分解縮合物、 R1 mM(OR2n …(I) (式中Mは金属元素、R1 は同一または異なっていても
よく、水素原子、低級アルキル基、アリール基、ビニル
基または炭素鎖に直結したメルカプト基、または(メ
タ)アクリロイル基を表し、R2 は同一または異なって
いてもよく、水素原子、低級アルキル基またはアシル基
を表し、mは0または正の整数、nは1以上の整数で、
かつm+nは金属元素Mの原子価と一致する) 分子内に1級および/または2級アミノ基を有する陽イ
オン性樹脂(II)、アミノ基と反応し得る官能基とSi
(OR3 )基とを分子内に有する化合物(III) 、および
溶媒を含有する透明性に優れた皮膜を形成することので
きる金属コーティング用組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明性に優れ、か
つ高硬度で耐擦傷性に優れた皮膜を形成し得る金属コー
ティング用組成物および該組成物をコーティングするこ
とによって得られるコーティング金属板に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】金属材料は、耐久性、強度、剛性等に優
れているため、家具、建材(内装材、外装材)、自動
車、各種容器等の様々な分野に用いられているが、使用
に際しては、耐食性の向上や金属表面の保護、あるいは
外観向上を目的として、クロメート処理等の下地処理に
加え、メッキ等の金属コーティング、塗装、ラミネート
等の表面処理が行われている。
【0003】塗装等によってポリマー皮膜と金属材料を
予め組み合わせた金属板は、年々生産量が増大している
が、このようなポリマー保護皮膜には、金属板の用途に
応じて様々な特性が要求される。例えば、硬度、耐擦傷
性、加工性等の機械的特性、密着性、耐薬品性、耐水
性、耐熱性等の化学的特性、耐汚染性や鮮映性等の外観
に関する特性等である。これらの特性はいずれも重要で
あるが、保護皮膜に傷が付くと金属素地が露出して、皮
膜の積層による保護作用が全く働かなくなるため、高い
硬度と耐擦傷性を有し、しかも加工性が良好な保護皮膜
が求められている。
【0004】さらに、金属板用のトップコートとして使
用されるポリマー保護皮膜は、金属板の光沢や色調を生
かす必要性、あるいは、金属板上に意匠性を付与するた
めの塗装層やフィルム層等の他の層が設けられたときに
その意匠性を維持する必要性があり、高い硬度と耐擦傷
性の他に、透明性も要求されることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明では、金
属板上に直接、または他の層を介して保護皮膜を形成す
るに当たり、透明性に優れ、高い硬度と耐擦傷性を有
し、しかも加工性が良好な皮膜を形成し得る金属コーテ
ィング用組成物を提供すると共に、このような組成物に
よって処理されたコーティング金属板を提供することを
課題として掲げた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の金属コーティン
グ用組成物は、下記一般式で示される有機金属化合物
(I) および/またはその加水分解縮合物、 R1 mM(OR2n …(I) (式中Mは金属元素、R1 は同一または異なっていても
よく、水素原子、低級アルキル基、アリール基、ビニル
基または炭素鎖に直結したメルカプト基、または(メ
タ)アクリロイル基を表し、R2 は同一または異なって
いてもよく、水素原子、低級アルキル基またはアシル基
を表し、mは0または正の整数、nは1以上の整数で、
かつm+nは金属元素Mの原子価と一致する) 分子内に1級および/または2級アミノ基を有する陽イ
オン性樹脂(II)、アミノ基と反応し得る官能基とSi
(OR3 )基(R3 は水素原子、低級アルキル基または
アシル基を表す)とを分子内に有する化合物(III) 、お
よび溶媒を含有し、透明性に優れた皮膜を形成すること
のできる金属コーティング用組成物である。
【0007】金属コーティング用組成物中において、各
必須成分の好ましい量は、上記有機金属化合物(I) およ
び/またはその加水分解縮合物と、上記陽イオン性樹脂
(II)および上記化合物(III) の合計を100重量%とす
るときに、有機金属化合物(I) および/またはその加水
分解縮合物は、R1 mMOn/2(M、R1 、mおよびnの意
味は前記と同じ)換算で25〜70重量%、分子内に1
級および/または2級アミノ基を有する陽イオン性樹脂
(II)は10〜40重量%、アミノ基と反応し得る官能基
とSi(OR3 )基(R3 は前記と同じ意味)とを分子
内に有する化合物(III) は、Si(OR3 )基をSiO
2 に換算して5〜30重量%である。
【0008】陽イオン性樹脂(II)がポリエチレンイミン
類である態様、また化合物(III) がアミノ基と反応し得
る官能基として少なくとも1個のエポキシ基を有するも
のである態様は、いずれも本発明組成物の好ましい実施
態様である。
【0009】本発明には、金属コーティング用組成物か
らなる硬化物層が、金属板上に直接、または他の層を介
して形成されているコーティング金属板も含まれる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の金属コーティング用組成
物は、高い硬度と優れた耐擦傷性を有すると共に、可撓
性を有する基材密着性に優れた皮膜を形成することがで
きるので、皮膜形成後に金属の加工を行っても、クラッ
クが発生したり、剥離したりすることがない。さらにこ
の皮膜は、透明性はもとより、耐熱性、耐湿性、耐溶剤
性等にも優れている。従って、長期間にわたって外観良
好に金属表面を保護し、耐食性・耐久性を向上させるこ
とができる。以下詳細に説明する。
【0011】本発明の金属コーティング用組成物の必須
成分の一つは、下記一般式で示される有機金属化合物
(I) および/またはその加水分解縮合物である。 R1 mM(OR2n …(I) (式中Mは金属元素、R1 は同一または異なっていても
よく、水素原子、低級アルキル基、アリール基、ビニル
基または炭素鎖に直結したメルカプト基、または(メ
タ)アクリロイル基を表し、R2 は同一または異なって
いてもよく、水素原子、低級アルキル基またはアシル基
を表し、mは0または正の整数、nは1以上の整数で、
かつm+nは金属元素Mの原子価と一致する)
【0012】金属元素Mは、Si、Ti、Zr、Alが
好ましい。具体的には、上記式中MがSiであるテトラ
メトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプ
ロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメ
トキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ
イソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エ
チルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、
エチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリブトキシ
シラン、n−プロピルトリメトキシシラン、n−プロピ
ルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジ
メチルジエトキシシラン、ジメチルジイソプロポキシシ
ラン、ジメチルジブトキシシラン、ジエチルジメトキシ
シラン、ジエチルジエトキシシラン、ジエチルジイソプ
ロポキシシラン、ジエチルジブトキシシラン、ビニルト
リメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニル
トリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−
メルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリ
ロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキ
シプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルト
リメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシ
ラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエト
キシシラン等のアルコキシシラン類;テトラヒドロキシ
シラン;テトラアセトキシシラン、メチルトリアセトキ
シシラン等のアシロキシシラン類;トリメチルシラノー
ル等のシラノール類;MがTiであるチタニウムテトラ
エトキシド、チタニウムテトライソプロポキシド、チタ
ニウムテトラブトキシド等のチタニウムアルコキシド
類;MがZrであるジルコニウムテトラエトキシド、ジ
ルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテト
ラブトキシド等のジルコニウムアルコキシド;MがAl
であるアルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリ
イソプロポキシド、アルミニウムトリブトキシド等のア
ルミニウムアルコキシド;が挙げられ、これらの1種ま
たは2種以上を用いることができる。
【0013】金属コーティング用組成物を基材にコーテ
ィングした後の乾燥する際に、有機金属化合物(I) の蒸
発を防ぐためには、有機金属化合物(I) を予め加水分解
縮合して高分子量化しておくことが好ましい。後述する
化合物(III) と共加水分解縮合を行ってもよい。この
(共)加水分解縮合反応は公知の触媒を用いることがで
き、また後述の溶媒中で反応させるのが有利である。
【0014】本発明の金属コーティング用組成物の第2
の必須成分は、陽イオン性樹脂(II)である。陽イオン性
樹脂とは、分子中に陽イオン性窒素を有する水溶性また
は水分散性の樹脂であって、例えば、次の(1)〜
(8)に示した樹脂を挙げることができる。
【0015】(1)ポリエチレンイミン、ポリプロピレ
ンイミン等のポリアルキレンポリアミンおよびその誘導
体 (2)ポリカルボン酸とポリアミンとの縮合によって生
成するポリアミドポリアミンおよびその誘導体 (3)エポキシ樹脂等のポリグリシジル化合物とアミン
および/またはポリアミンとの反応によって得られる陽
イオン性エポキシ系樹脂 (4)ウレタンプレポリマー等のポリイソシアネート化
合物とアミンおよび/またはポリアミンとの反応によっ
て得られる陽イオン性尿素系樹脂 (5)ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート
等のアミノエステル基を含有するビニル化合物、ビニル
ピリジン、ビニルイミダゾールあるいはそれらの塩類等
の陽イオン性窒素含有ビニル化合物より選択された1種
以上から導かれた重合体、あるいはこれらの陽イオン性
窒素含有ビニル化合物と共重合可能な他の単量体との多
成分共重合体(例えば、ジメチルアミノエチル(メタ)
アクリレートのホモポリマーやこれと他のアクリルモノ
マーとの共重合体等) (6)ジアリルアミンおよびその塩類より選択された1
種以上の単量体から導かれた重合体、あるいはこれらの
単量体と共重合可能な他の単量体との多成分共重合体
(ポリアリルアミン類) (7)クロロメチル基および/またはヒドロキシメチル
基含有重合体とアミンおよび/またはポリアミンとの反
応によって得られるアミノメチル基含有樹脂 (8)ポリハロアルカンおよび/または(ポリ)エピハ
ロヒドリンと、(ポリ)アミンとの重縮合物
【0016】これらの中でも、耐擦傷性に優れ、加工性
に優れた皮膜を形成することができる点で、(1)のポ
リエチレンイミン類や、(6)のポリアリルアミン類を
用いることが推奨される。入手可能なポリエチレンイミ
ン類としては、例えば日本触媒社製の「エポミンシリー
ズ」(エポミンSP−003、エポミンSP−006、
エポミンSP−012、エポミンSP−018、エポミ
ンSP−103、エポミンSP−110、エポミンSP
−200、エポミンSP−300、エポミンSP−10
00、エポミンSP−1020等)が例示でき、ポリア
リルアミン類としては、日東紡績社製の「PAA−
L」、「PAA−H」等が例示できる。
【0017】本発明のコーティング組成物の第3の必須
成分は、アミノ基と反応し得る官能基と、Si(OR
3 )基(R3 は水素原子、低級アルキル基またはアシル
基を表す)とを分子内に有する化合物(III) である。こ
の化合物(III) は、前記有機金属化合物(I) と共加水分
解縮合反応を行うと共に、陽イオン性樹脂(II)中のアミ
ノ基とも反応するので、架橋成分として皮膜の3次元硬
化度を調製する働きを有し、皮膜に可撓性を与え、耐擦
傷性を向上させる。
【0018】有機金属化合物(I) のみに化合物(III) を
加えて形成した皮膜は、もろくて硬い皮膜になって、耐
擦傷性が劣ることとなる。また陽イオン性樹脂(II)のみ
に、化合物(III) を加えて形成した皮膜は、低硬度にな
るため好ましくない。有機金属化合物(I) と陽イオン性
樹脂(II)のみで皮膜化したときも硬いがもろく、耐擦傷
性が劣る。有機金属化合物(I) と陽イオン性樹脂(II)お
よび化合物(III) の3成分を組み合わせることによっ
て、得られる皮膜が適度に3次元硬化して、高硬度で耐
擦傷性に優れた透明なものとなるのである。
【0019】化合物(III) の分子中の「アミノ基と反応
し得る官能基」とは、エポキシ基、カルボキシル基、イ
ソシアネート基、オキサゾリニル基、ヒドロキシル基等
である。この官能基は、化合物(III) 中複数である方が
好ましく、その場合の官能基は同一であっても異なって
いてもよい。上記官能基中最も反応性の良いのはエポキ
シ基である。
【0020】化合物(III) の具体例としては、β−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキ
シシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エ
チルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシク
ロヘキシル)エチルトリイソプロポキシシラン、β−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメ
トキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピ
ルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリ
イソプロポキシシシラン、γ−グリシドキシプロピルメ
チルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチ
ルジエトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリ
ング剤;γ−イソシアノプロピルトリメトキシシラン、
γ−イソシアノプロピルトリエトキシシラン、γ−イソ
シアノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−イソシア
ノプロピルメチルジエトキシシラン等のイソシアネート
基含有シランカップリング剤等が挙げられ、これらの1
種または2種以上を用いることができる。
【0021】本発明の上記3つの必須成分の好ましい配
合量は特に限定されないが、金属コーティング用組成物
中における有機金属化合物(I) および/またはその加水
分解縮合物と、陽イオン性樹脂(II)、化合物(III) の合
計を100重量%として、有機金属化合物(I) および/
またはその加水分解縮合物を、R1 mMOn/2(M、R1
mおよびnの意味は前記と同じ)換算で25〜70重量
%、陽イオン性樹脂(II)を10〜40重量%、化合物
(III) を、Si(OR3 )基をSiO2 に換算して5〜
30重量%である。有機金属化合物(I) が少ないと、皮
膜の硬度が不足し、多過ぎると耐擦傷性に劣ることがあ
る。陽イオン性樹脂(II)が少ないと、成膜性や皮膜の加
工性が悪く、多過ぎると耐熱性や硬度が低下する。化合
物(III)が少ないと透明性に欠け、硬度、耐擦傷性の両
方に優れた皮膜が形成できず、多過ぎると皮膜がもろく
なってしまうことがある。
【0022】本発明の金属コーティング用組成物は、溶
媒を含み、溶液状となっている。溶媒が存在することに
より加水分解縮合反応が進行し易く、また金属基材上に
コーティングする際にも取り扱い易いためである。溶媒
としては特に限定されないが、化合物(I) 〜(III) の各
成分を溶解する、もしくは分散させ得る溶媒が好まし
い。例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノー
ル、ブタノール、エチレングリコール等のアルコール
類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン等のケトン類、トルエン、ベンゼン、キシレン等
の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等
の炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル
類、その他、テトラヒドロフラン、プロピルエーテル、
水等があげられ、これらの1種または2種以上を混合し
て用いることができる。溶媒の量は、コーティングする
際に取り扱い易く、また皮膜化する際に、硬化と乾燥が
進行し易いように、適宜設定すればよい。
【0023】本発明の金属コーティング用組成物は、以
上説明したように、有機金属化合物(I) 、陽イオン性樹
脂(II)、化合物(III) および溶媒を必須的に含む組成物
である。有機金属化合物(I) 、陽イオン性樹脂(II)、化
合物(III) のうち、有機金属化合物(I) と化合物(III)
は、いずれも加水分解性基を有しているので、それぞれ
単独で、もしくはこれらの2種以上を用いて、コーティ
ング前に(共)加水分解縮合反応を進行させておくこと
が推奨される。これらの化合物を加水分解縮合によって
高分子量化しておけば、成膜性が良好になり、得られる
皮膜の均一性、平滑性がより一層向上する。
【0024】(共)加水分解縮合反応は、空気中の水分
でも進行するが、前記溶媒中で行うことが、これをその
まま金属コーティング用組成物としてコーティング工程
に利用できるため好ましい。また反応触媒として公知の
酸や塩基を添加して行ってもよい。
【0025】金属コーティング用組成物の調製方法は特
に限定されないが、陽イオン性樹脂(II)のアミノ基と化
合物(III) 中の官能基を反応させてから、有機金属化合
物(I) またはその加水分解縮合物を添加すると、組成物
の安定性が良好となる。組成物には、本発明の効果を損
なわない範囲で、硬化触媒、濡れ性改良剤、可塑剤、消
泡剤、増粘剤等の無機・有機系各種添加剤を必要に応じ
て添加してもよい。
【0026】本発明の金属コーティング用組成物は、高
硬度で耐擦傷性に優れた透明な皮膜を形成することがで
きるので、基本的には、金属板の最表層に、トップコー
ト、いわゆるハードコート層として適用することが好ま
しい。また、金属基材に対する密着性にも優れているの
で、本発明の組成物を金属板上に直接コーティングし、
硬化・乾燥させるだけで、高硬度で耐擦傷性に優れた硬
化物層を有する金属板を得ることができる。なお、本発
明の組成物は、金属板だけでなく、金属箔、パイプ、線
材等、種々の形状の金属製品に適用可能である。さら
に、本発明の組成物は、対金属密着性に優れているの
で、各種塗料の密着用プライマーとして用いることもで
きる。
【0027】本発明には、上記組成物で処理されたコー
ティング金属板も含まれる。コーティング金属板とは、
すなわち、本発明の上記組成物を、金属板上に直接、ま
たは金属板上に形成された他の層の上にコーティングし
て、乾燥・硬化させることにより、金属板上に本発明組
成物による皮膜(硬化物層)が形成されたものである。
金属板の種類としては、鉄板、各種鋼板、亜鉛合金板、
アルミニウム板、チタン板、銅板、これらの合金板、あ
るいはこれらにメッキ等の金属コーティングを施したも
のが利用できる。特に本発明の組成物は、通常の有機系
塗料とは密着性の悪いステンレス鋼のような金属にも、
良好に密着する透明皮膜を形成するので、ステンレス鋼
表面に本発明の組成物からなる硬化物層を形成しておけ
ば、ステンレス鋼に傷をつけることなく、金属光沢を保
持し続けることができる。なお金属板には、公知の防食
用下地処理(クロメート処理、リン酸塩処理の化成処理
等)を施しておいてもよい。さらに、必要に応じて、金
属板と本発明の組成物からなる硬化物層との間に、意匠
性を付与するための塗装層やフィルム層等の他の層を介
在させてもよく、さらに、本発明の組成物からなる硬化
物層上に別の層を設けることもできる。
【0028】金属板上に、金属コーティング用組成物を
コーティングする方法は特に限定されず、例えばロール
コーティング法、ディップコーティング法、バーコーテ
ィング法、ダイコーティング法、スプレーコーティング
法、カーテンフローコーティング法等やこれらを組み合
わせた方法を採用できる。
【0029】組成物をコーティングした後は、乾燥させ
て塗膜を硬化させる。このときの乾燥・硬化温度は、1
00〜200℃程度とすると、緻密な硬化皮膜を形成す
ることができるため好ましい。
【0030】皮膜(硬化物層)の厚みは、乾燥後で0.
1〜10μmの範囲が適している。好ましくは0.3〜
5μm、さらに好ましくは0.5〜3μmである。皮膜
が0.1μmより薄いと、耐擦傷性が不充分となって本
発明の目的を達成できない。逆に10μmより厚いと皮
膜にクラックが生じることがあり、表面保護効果が不充
分となる。
【0031】
【実施例】以下実施例によって本発明をさらに詳述する
が、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・
後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て
本発明の技術範囲に包含される。なお実施例で用いた特
性の評価方法は、下記の通りである。
【0032】[鉛筆硬度]鋼板上に形成された皮膜に対
し、JIS K5400に従って、行った。
【0033】[耐擦傷性]#000のスチールウール
で、鋼板上に形成された皮膜を5回力強くこすり、皮膜
の傷付き状態を目視で観察し、皮膜に変化がなかったも
のを○、傷がついたものを×とした。
【0034】[碁盤目試験]鋼板上に形成された皮膜に
対し、JIS K5400の碁盤目テープ法に従って、
試験と評価(10点法)を行った。
【0035】[碁盤目エリクセン]鋼板上に形成された
皮膜に対し、JIS K5400に従い碁盤目を形成
し、エリクセンで5mm押し出してからテープを貼っ
た。後は、上記碁盤目試験と同様にして、試験と評価を
行った。
【0036】[耐薬品性]鋼板上に形成された皮膜に対
し、キシレンで100回のラビングテストを行い、皮膜
に全く変化がないものを○、皮膜が白化したり、溶解し
たものを×とした。
【0037】[透明性]鋼板上に形成された皮膜の透明
性を目視で観察し、透明なものを○、不透明な部分が少
しでもあるものを×とした。
【0038】実施例1 30gのポリエチレンイミン(「エポミンSP−01
8」日本触媒社製)に、メタノール100gとγ−グリ
シドキシプロピルトリメトキシシラン10gを加え、窒
素雰囲気下で攪拌しながら65℃で3時間反応させた。
この反応液を室温まで冷却した後、メタノール50gと
水3gを加え、室温で1時間撹拌しながら熟成した。さ
らに、メタノール30gとテトラメトキシシランオリゴ
マー(「Mシリケート51」多摩化学社製)60gを加
え、1時間撹拌しながら熟成し、金属コーティング用組
成物1を得た。
【0039】この金属コーティング用組成物1を、乾燥
後の厚みが2.0μmになるように、ステンレス鋼板
(SUS304)にコーティングし、200℃で1分間
乾燥した。得られた皮膜は透明であった。このコーティ
ング鋼板の特性評価試験結果を表1に示した。
【0040】実施例2〜6および比較例1〜3 表1に示したように、コーティング用組成物の組成と金
属板の種類を代えた以外は実施例1と同様にして、コー
ティング鋼板を得た。評価結果を表1に併記した。
【0041】なお表1において、金属コーティング用組
成物の表現には、下記の略号を用いた。 M−51 :「M−シリケート51」(多摩化学製;テトラメトキシ シランのオリゴマー) ES :テトラエトキシシラン MS :テトラメトキシシラン MTEOS :メチルトリエトキシシラン(比較例用) TBO :チタニウムテトラブトキシド ZBO :ジルコニウムテトラブトキシド AiP :アルミニウムトリイソプロポキシド SP018 :エポミンSP−018(日本触媒社製のポリエチレンイ ミン) SP006 :エポミンSP−006( 〃 ) PAA−L :PAA−L(日東紡績社製ポリアリルアミン) GPTMS :γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン ECTMS :β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメ トキシシラン IPTMS :γ−イソシアノプロピルトリメトキシシラン MOH :メタノール EOH :エタノール POH :2−プロパノール
【0042】
【表1】
【0043】
【発明の効果】本発明の金属コーティング用組成物は、
有機金属化合物と、陽イオン性樹脂およびアミノ基と反
応性し得る官能基と加水分解性基を有する化合物を組み
合わせることによって、金属表面上に、高い硬度、優れ
た耐擦傷性および透明性を有すると共に、可撓性の基材
密着性に優れた皮膜を形成することができる。このた
め、皮膜形成後に金属の加工を行っても、クラックが発
生したり、剥離したりすることがない。さらにこの皮膜
は、耐熱性、耐湿性、耐溶剤性等にも優れている。従っ
て、この組成物からなる硬化物層を表面に形成したコー
ティング金属板は、長期間にわたって、美麗で傷のない
表面を維持することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // B05D 7/14 B05D 7/14 Z

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式で示される有機金属化合物
    (I) および/またはその加水分解縮合物、 R1 mM(OR2n …(I) (式中Mは金属元素、R1 は同一または異なっていても
    よく、水素原子、低級アルキル基、アリール基、ビニル
    基または炭素鎖に直結したメルカプト基、または(メ
    タ)アクリロイル基を表し、R2 は同一または異なって
    いてもよく、水素原子、低級アルキル基またはアシル基
    を表し、mは0または正の整数、nは1以上の整数で、
    かつm+nは金属元素Mの原子価と一致する) 分子内に1級および/または2級アミノ基を有する陽イ
    オン性樹脂(II)、 アミノ基と反応し得る官能基とSi(OR3 )基(R3
    は水素原子、低級アルキル基またはアシル基を表す)と
    を分子内に有する化合物(III) 、 および溶媒を含有することを特徴とする透明性に優れた
    皮膜を形成することのできる金属コーティング用組成
    物。
  2. 【請求項2】 金属コーティング用組成物中における有
    機金属化合物(I) および/またはその加水分解縮合物
    と、陽イオン性樹脂(II)および化合物(III) との合計を
    100重量%とするときに、 有機金属化合物(I) および/またはその加水分解縮合物
    を、R1 mMOn/2(M、R1 、mおよびnの意味は前記と
    同じ)換算で25〜70重量%、分子内に1級および/
    または2級アミノ基を有する陽イオン性樹脂(II)を10
    〜40重量%、 アミノ基と反応し得る官能基とSi(OR3 )基(R3
    は前記と同じ意味)とを分子内に有する化合物(III)
    を、Si(OR3 )基をSiO2 に換算して5〜30重
    量%を、それぞれ含むものである請求項1に記載の金属
    コーティング用組成物。
  3. 【請求項3】 上記陽イオン性樹脂(II)が、ポリエチレ
    ンイミン類である請求項1または2に記載の金属コーテ
    ィング用組成物。
  4. 【請求項4】 化合物(III) が、アミノ基と反応し得る
    官能基として少なくとも1個のエポキシ基を有するもの
    である請求項1〜3のいずれかに記載の金属コーティン
    グ用組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の金属コ
    ーティング用組成物が、金属板上に直接、または他の層
    を介してコーティングされたものであることを特徴とす
    る透明性に優れた皮膜を有するコーティング金属板。
JP34204398A 1997-12-01 1998-12-01 金属コーティング用組成物および透明性に優れた皮膜を有するコーティング金属板 Withdrawn JPH11256103A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006118669A1 (en) * 2005-04-28 2006-11-09 Ppg Industries Ohio, Inc. Hard coats with a cationic acrylic polymer
JP5274560B2 (ja) * 2008-07-11 2013-08-28 日本パーカライジング株式会社 鉄鋼材料の塗装下地用化成処理液および処理方法
JP2018506617A (ja) * 2014-12-31 2018-03-08 コーロン インダストリーズ インク ハードコーティング用樹脂組成物、及びその硬化物をコーティング層として含むハードコーティングフィルム

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