JPH11255798A - 抗腫瘍性物質be−66408類及びその製造法 - Google Patents

抗腫瘍性物質be−66408類及びその製造法

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JPH11255798A
JPH11255798A JP10073490A JP7349098A JPH11255798A JP H11255798 A JPH11255798 A JP H11255798A JP 10073490 A JP10073490 A JP 10073490A JP 7349098 A JP7349098 A JP 7349098A JP H11255798 A JPH11255798 A JP H11255798A
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JP
Japan
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actinoplanes
antitumor
general formula
cells
culture
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Application number
JP10073490A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigeru Naito
成 内藤
Yoshihiro Tejima
喜浩 手島
Shigeru Nakajima
中島  茂
Mioko Hirayama
美央子 平山
Tomoko Yoshinari
智子 吉成
Katsuhisa Ojiri
勝久 小尻
Hiroyuki Suda
寛之 須田
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MSD KK
Original Assignee
Banyu Phamaceutical Co Ltd
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  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明は新規な一般式[I] 【化1】 [式中、R1、R2はそれぞれ独立にアセトキシ基又は水
素原子を示す}で表される化合物類に関する。 【効果】本発明の化合物は、マウス及びヒトの腫瘍細胞
に対して強い増殖抑制効果を示すことから、医薬の分野
で癌の治療剤として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は医薬の分野で有用で
あり、より具体的には腫瘍細胞の増殖を阻害して抗腫瘍
作用を示す新規化合物、その製造法及びその用途並びに
該化合物を産生する微生物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】癌化学療法の分野においては、既に多く
の化合物が医薬品として実用化されている。しかしなが
らさまざまな種類の腫瘍に対してその効果は必ずしも充
分ではなく、また臨床上これらの薬剤に対する腫瘍細胞
の耐性現象が明らかにされるにつれ、その臨床的応用性
は複雑化している[第47回日本癌学会総会記事、12
頁〜15頁(1988年)等参照]。
【0003】このような状況下、癌治療の分野において
は常に新規抗腫瘍性物質の開発が求められている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の希求に
応えることのできる新規な抗腫瘍性物質を提供すること
を目的とするものである。即ち、既存の抗腫瘍性物質が
充分に効果を発揮できない種々の腫瘍に対しても抗腫瘍
効果を発揮する化合物を提供することが本発明が解決し
ようとする課題である。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく、抗腫瘍活性を有する物質について微生
物二次代謝産物を広くスクリーニングした結果、後記一
般式[I]で表される化合物が優れた抗腫瘍作用を示す
ことを見いだして本発明を完成した。
【0006】即ち、本発明は新規な一般式[I]
【0007】
【化2】 [式中、R1、R2はそれぞれ独立にアセトキシ基又は水
素原子を示す]で表される化合物、その製造法及びその
用途並びに該化合物を産生する能力を有することを特徴
とするアクチノプラネス(Actinoplanes)
属に属する微生物に関するものである。
【0008】なお、抗腫瘍効果及び生産菌株アクチノプ
ラネス エスピー A 66408株に因んで、一般式
[I]で表される化合物は、R1、R2が共にアセトキシ
基である化合物をBE−66408A、R1がアセトキ
シ基、R2が水素原子である化合物をBE−66408
B、R1、R2が共に水素原子である化合物をBE−66
408Cと称し、またこれらを総称してBE−6640
8類と称する。
【0009】以下に本発明にかかわる新規な抗腫瘍性物
質BE−66408類の物理化学的な性状を示す。
【0010】下記にNMR測定における略号の意味を示
す。 s :シングレット d :ダブレット t :トリプレット q :カルテット m :マルチプレット br:ブロード J :カップリング定数 Hz:ヘルツ
【0011】BE−66408Aの物理化学的性状 性状 ;淡黄色粉末 分子式 ;C72921226 質量分析 ;[HRFAB−MS]m/z(M+H)+
:実測値 1541.6328、 計算値 154
1.6324 比旋光度 ;[ α ]20 D −59.6°(c
0.5,CHCl3)紫外部吸収スペクトル; λmax(MeOH) nm(ε):215(91,00
0), 231(89,100), 248 sh(4
6,300), 306(8,800), 359
(10,300) λmax[0.1N HCl−MeOH (1:9)]
nm (ε):215(78,800), 232(8
0,600), 245 sh(58,600), 3
11(10,200), 336(8,900), 3
60(11,100) λmax[0.1N NaOH−MeOH(1:9)]
nm (ε):250(84,500), 306
(7,900), 398(13,100) 赤外部吸収スペクトル; νmax(KBr)cm-1
3518, 3385,2970, 1736, 16
49, 1525, 1450, 1377,124
0, 1163, 1086, 1022, 893,
771, 6081H−NMRスペクトル (500
MHz, CDCl3) δ 0.85(3H,
s), 0.85(3H, d, J=7.0Hz),
0.88(3H, d, J=7.0Hz), 1.
94(1H, m), 2.04(3H, s),
2.07(3H, s), 2.16−2.28(2
H, m),2.96(3H, s), 3.00(1
H, s), 3.38(3H,s), 3.59(1
H, d, J=16.5Hz), 3.97(1H,
brd, J=15.0Hz), 4.01(1H,
d, J=18.0Hz), 4.25(1H, br
d, J=11.0Hz), 4.41(1H,dd,
J=6.0, 18.0Hz), 4.56(1H,
brd, J=15.0Hz), 5.08(1H,
brs), 5.32(1H, brd, J=6.
1Hz), 5.48(1H, d, J=11.0H
z),5.59(1H, s), 5.64(1H,
brs), 5.68(1H,brs), 5.72
(1H, d, J=16.5Hz), 7.47−
7.53(2H, m), 7.64(1H, s),
7.69−7.76(2H, m), 8.80(1
H, brd, J=6.0Hz), 9.41(1
H, d, J=6.1Hz), 11.6(1H,
s)13 C−NMRスペクトル (125MHz, CDCl
3) δ 16.2(q), 16.5(q), 1
8.3(q), 20.8(q), 20.8(q),
28.0(t), 32.8(q), 34.8
(q), 35.3(d), 41.8(t), 4
6.9(t), 49.0(t), 50.3(d),
56.8(d), 57.8(d), 62.5
(t), 66.0(d), 66.1(d), 7
7.0(s), 120.4(d), 126.4
(d), 127.2(d), 128.5(d),
129.1(d),132.0(s), 134.3
(s), 141.4(s), 153.7(s),
167.6(s), 167.9(s), 167.9
(s), 168.9(s), 169.4(s),
169.5(s), 169.8(s), 170.8
(s) 溶解性 ;クロロホルム、アセトン、ジメチルスルホキ
シドに溶け易く、メタノール、水に溶けにくい。 酸性、中性、塩基性物質の区別;中性物質 Rf値 ;0.52 [メルク社製キーゼルゲル60F
254使用、展開溶媒:トルエン−酢酸エチル−メタノー
ル(5:5:1)] 呈色反応;硫酸反応 陽性、よう素反応 陽性
【0012】BE−66408Bの物理化学的性状 性状 ;淡黄色粉末 分子式 ;C70901224 質量分析 ;[HRFAB−MS]m/z(M+
H)+ :実測値 1483.6255、計算値 14
83.6269 比旋光度 ;[ α ]20 D −55.6°
(c 0.5,CHCl3)紫外部吸収スペクトル; λmax(MeOH) nm (ε):214(84,9
00), 230 (84,300), 248 sh
(42,900), 308(10,000),358
(11,400) λmax[0.1N HCl−MeOH (1:9)]
nm (ε):213(79,400), 231(8
0,300), 245 sh(56,500), 3
09(11,900), 335(10,500),
360 (12,600) λmax[0.1N NaOH−MeOH (1:9)]
nm (ε):250(83,200), 305
(8,900), 399(13,500) 赤外部吸収スペクトル; νmax(KBr)cm-1
3523, 3374,2968, 1738, 16
49, 1524, 1448, 1373,123
9, 1164, 1095, 1022, 893,
775, 6081H − NMRスペクトル (5
00MHz, CDCl3) δ 0.82−
0.90(18H, m), 1.70(1H,
m), 1.81(1H, m), 1.94(4H,
m), 2.04(3H, s), 2.07(3
H, s), 2.09(3H, s),2.16−
2.32(2H, m), 2.96(6H, s),
3.01(1H, s), 3.06(1H,
s), 3.34(3H, s), 3.38(3H,
s), 3.56(1H, d, J=16.8H
z), 3.59(1H, d, J=16.5H
z), 3.81(1H, br d,J=12.5H
z), 3.95−4.07(4H, m), 4.1
8(1H, m), 4.25(1H, brd, J
=11.3Hz), 4.39(2H,m), 4.5
8(1H, brd, J=14.3Hz), 5.0
7(1H, brs), 5.32(2H, brd,
J=5.8Hz), 5.45−5.60(5H,
m), 5.66−5.74(5H, m), 7.4
9(4H, m), 7.63(1H, s), 7.
64(1H, s), 7.70(2H, m),
7.74(2H, m), 8.73(1H,brd,
J=5.2Hz), 8.78(1H, brd,
J=5.2Hz), 9.41(2H, brd, J
=5.8Hz), 11.6(1H,s), 11.7
(1H, s)13 C − NMRスペクトル (125MHz, CD
Cl3) δ 16.2(q), 16.2
(q), 16.3(q), 16.5(q), 1
8.3(q), 18.5(q), 18.9(t),
20.8(q), 20.8(q), 20.9
(q),25.0(t), 27.9(t), 32.
9(q), 32.9(q), 34.7(q), 3
4.8(q), 35.2(d), 35.3(d),
41.8(t), 41.8(t), 43.7
(t), 46.9(t), 48.8(t), 4
8.9(t), 50.3(d), 50.4(d),
56.7(d), 57.6(d), 57.7
(d), 57.8(d), 62.4(t), 6
2.5(t), 66.1(d), 66.3(d),
67.2(d), 77.0(s), 77.0
(s), 120.3(d), 120.3(d),
126.3(d),126.3(d), 127.1
(d), 127.2(d), 128.5(d),
128.5(d), 129.1(d), 129.1
(d), 132.0(s), 132.0(s),
134.3(s), 134.3(s), 141.4
(s), 141.4(s), 153.6(s),
153.6(s), 167.6(s), 167.6
(s), 167.7(s),167.8(s), 1
67.9(s), 167.9(s), 168.7
(s), 168.9(s), 169.4(s),
169.5(s), 169.7(s), 169.7
(s), 169.8(s), 170.8(s),
170.9(s) 溶解性 ;クロロホルム、アセトン、ジメチルスルホキ
シドに溶け易く、メタノール、水に溶けにくい。 酸性、中性、塩基性物質の区別;中性物質 Rf値 ;0.48 [メルク社製キーゼルゲル60F
254使用、展開溶媒:トルエン−酢酸エチル−メタノー
ル(5:5:1)] 呈色反応;硫酸反応 陽性、よう素反応 陽性
【0013】BE−66408Cの物理化学的性状 性状 ;淡黄色粉末 分子式 ;C68881222 質量分析 ;[HRFAB−MS]m/z(M+
H)+ :実測値 1425.6221、計算値 14
25.6214 比旋光度 ;[ α ]20 D −47.2°
(c 0.5,CHCl3)紫外部吸収スペクトル; λmax(MeOH) nm (ε):216(82,5
00), 231 (81,700), 248 sh
(40,500), 300(7,600),360
(9,400) λmax[0.1N HCl − MeOH (1:
9)] nm (ε):214(75,700), 2
31(76,800), 245 sh (53,30
0), 310(10,300), 334(9,10
0), 360(11,300) λmax[0.1N NaOH − MeOH (1:
9)]nm (ε):250(79,700), 30
5(7,000), 398(12,100) 赤外部吸収スペクトル; νmax(KBr)cm-1
3521, 3379,2962, 1736, 16
49, 1524, 1450, 1377,124
4, 1167, 1099, 1020, 891,
773, 6081H − NMRスペクトル(50
0MHz, CDCl3) δ 0.83(3H,
s), 0.86(3H, d, J=6.7Hz),
0.87(3H, d, J=6.7Hz), 1.
70(1H, m), 1.84(1H, m),
1.91−2.00(3H, m), 2.10(3
H, s),2.96(3H, s), 3.05(1
H, s), 3.35(3H,s), 3.57(1
H, d, J=16.8Hz), 3.82(1H,
brd, J=12.5Hz), 3.99(1H,
brd, J=11.6Hz), 4.06(1H,
d, J=17.7Hz), 4.20(1H,m),
4.36(1H, dd, J=5.5, 17.7
Hz), 5.32(1H, brd, J=6.1H
z), 5.53(1H, brs),5.56(1
H, d, J=11.6Hz), 5.57(1H,
s),5.69(1H, brs), 5.72(1
H, d, J=16.8Hz), 7.49(2H,
m), 7.63(1H, s), 7.68−7.
76(2H, m), 8.72(1H, brd,
J=5.5Hz), 9.43(1H, d, J=
6.1Hz), 11.7(1H, s)13 C − NMRスペクトル (125MHz,CDC
3) δ 16.2(q), 16.4(q), 1
8.5(q),19.0(q), 20.8(q),
25.0(t), 32.9(q), 34.7
(q), 35.2(d), 41.9(t), 4
3.7(t), 48.8(t), 50.4(d),
57.6(d), 57.8(d), 62.4
(t), 67.3 (d), 77.0(s), 1
20.3(d), 126.3(d), 127.1
(d), 128.5(d), 129.1(d),
132.0(s),134.3(s), 141.4
(s), 153.7(s), 167.6(s),
167.7(s), 167.9(s), 168.8
(s),169.7(s), 169.7(s),
170.9(s) 溶解性 ;クロロホルム、アセトン、ジメチルスルホキ
シドに溶け易く、メタノール、水に溶けにくい。 酸性、中性、塩基性物質の区別;中性物質 Rf値 ;0.46 [メルク社製キーゼルゲル60F
254使用、展開溶媒:トルエン−酢酸エチル−メタノー
ル(5:5:1)] 呈色反応;硫酸反応 陽性、よう素反応 陽性
【0014】BE−66408類の生物学的活性(抗腫
瘍作用) 抗腫瘍性物質BE−66408類のマウス実験腫瘍細胞
に対する増殖阻害作用を決定するため、試験管内で試験
を行なった。マウス白血病細胞P388に対する抗腫瘍
試験は、BE−66408類をジメチルスルホキシドに
溶解後、逐次ジメチルスルホキシドで希釈し、更に牛胎
児血清10%含有RPMI1640培地(20μMの2
−メルカプトエタノールを含む)で10倍希釈して検液
とした。細胞増殖阻害の検定は、1x103個の腫瘍細
胞を含む細胞培養培地(牛胎児血清10%含有PRMI
1640培地、20μMの2−メルカプトエタノールを
含む)100μlに対し上記検液5μlを加えた。37
℃で72時間、5%CO2下で培養後、MTT測定法に
より対照群と比較した。
【0015】マウス大腸癌細胞colon 26に対す
る抗腫瘍試験は、BE−66408類をジメチルスルホ
キシドに溶解後、逐次ジメチルスルホキシドで希釈し、
更に牛胎児血清10%含有RPMI1640培地で10
倍希釈したものを検液とした。細胞増殖阻害の検定は、
1x103個の腫瘍細胞を含む細胞培養培地(牛胎児血
清10%含有PRMI1640培地)100μlに対し
上記検液5μlを加えた。37℃で72時間、5% C
2下で培養後、50%トリクロロ酢酸で固定し、0.
4%スルホローダミンBで染色後、10mMトリス液を
用いて細胞から色素を抽出した。450nmを対照波長
として550nmに於ける吸光度を測定して対照群と比
較した。その結果、BE−66408類は両癌細胞に対
し、強い増殖阻害活性を示し、50%増殖阻害濃度は第
1表の通りであった。
【0016】更に、BE−66408類のヒト癌細胞に
対する抗腫瘍活性を試験管内で試験した。細胞は、ヒト
大腸癌細胞DLD−1、ヒト肺癌細胞PC−13及びヒ
ト胃癌細胞MKN−45を使用し、細胞培養用培地は、
全ての癌細胞共に牛胎児血清10%含有RPMI164
0培地を用いた。 BE−66408類をまずジメチル
スルホキシドに溶解後、逐次ジメチルスルホキシドで希
釈し、次に牛胎児血清10%含有RPMI1640培地
で10倍希釈して検液とした。癌細胞増殖阻害の検定
は、1x103個の癌細胞を含む細胞培養用の培地10
0μlを96穴マイクロプレートに分注し、37℃で2
4時間、5% CO2下で培養した後、上記検液5μl
を加えた。更に72時間培養後、細胞を50%トリクロ
ロ酢酸で固定し、以下colon 26細胞と同様の方
法を用い対照群と比較検討した。その結果、 BE−6
6408類はヒト腫瘍細胞においても強い増殖阻害活性
を示し、その50%増殖阻害濃度は第1表の通りであっ
た。
【0017】
【表1】 上述したようにBE−66408類はマウス及びヒトの
腫瘍細胞に対し顕著な増殖阻害作用を示す。したがっ
て、本発明はヒトをはじめとする哺乳動物の抗腫瘍剤と
して有用である。
【0018】次に、BE−66408類の製造法につい
て説明する。
【0019】本発明の抗腫瘍性物質BE−66408類
の製造に使用する微生物は、抗腫瘍性物質BE−664
08類を生産するものならばいずれでも良いが、例えば
以下の菌学的性状を有する微生物、即ち、A 6640
8株を用いることができる。 1.形態 A 66408株は気菌糸を着生せず、分岐する基生菌
糸に生ずる胞子のう柄の先端に胞子のうを1個ずつ形成
する。胞子のうの表面は平滑でその形状は亜球形〜不規
則型であり、大きさは4.0〜5.0×5.0〜7.0
μm位である。胞子のうには多数の胞子が内蔵され、成
熟した胞子のうを水中に投じると胞子が放出され、その
胞子は遊走性を示す。
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】
【表4】
【0023】
【表5】 6.菌体成分 細胞壁からは、mesoージアミノピメリン酸およびグ
リシンが検出され、細胞壁タイプはII型であると考え
られる。また、分類上特徴ある全菌体糖成分はアラビノ
ースおよびキシロースであり、糖パターンはD型であっ
た。
【0024】以上の菌学的諸性質によりA 66408
株は放線菌アクチノプラネス属に属すると考えられる。
したがってA 66408株をアクチノプラネス エス
ピーA 66408(Αctinoplanes s
p. A 66408)と称することとした。尚、本菌
株は通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所に寄
託されており、受託番号はFERM P−16539で
ある。
【0025】本発明のアクチノプラネス エスピ− A
66408(Actinoplanes sp. A
66408)株の変異株は、例えばX線若しくは紫外
線などの照射処理、例えばナイトロジェンマスタード、
アザセリン、亜硝酸、2−アミノプリンもしくはN−メ
チル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NT
G)等の変異誘起剤による処理、ファージ接触、形質転
換、形質導入又は接合などの通常用いられる菌種変換処
理方法によりアクチノプラネス エスピ− A6640
8株を変異させた微生物である。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明のBE−66408類を製
造するにあたり、BE−66408類の生産菌株を栄養
源含有培地に接種して好気的に発育させることにより、
BE−66408類を含む培養物が得られる。栄養源と
しては、放線菌の栄養源として公知のものが使用でき
る。例えば、炭素源としては、市販されているブドウ
糖、麦芽糖、デンプン、庶糖、糖蜜又はデキストリンな
どが単独又は混合物として用いられる。窒素源として
は、市販されている大豆粉、コーンステイープリカー、
グルテンミール、肉エキス、酵母エキス、乾燥酵母、綿
実粉、ペプトン、小麦胚芽、魚粉、ミートミール、脱脂
米ヌカ、脱脂肉骨粉、無機アンモニウム塩又は硝酸ナト
リウムなどが単独又は混合物として用いられる。無機塩
としては、市販されている炭酸カルシウム、塩化ナトリ
ウム、塩化カリウム、硫酸マグネシウム、臭化ナトリウ
ム、ホウ酸ナトリウム又は各種リン酸塩などを使用する
ことができる。その他必要に応じて、鉄、マンガン、亜
鉛、コバルト、モリブデン酸などの重金属塩を微量添加
することもできる。また、発泡の激しい場合には消泡剤
として、例えば大豆油又は亜麻仁油などの植物油、オク
タデカノールなどの高級アルコール類、各種シリコン化
合物などを適宜添加してもよい。これらのもの以外で
も、該生産菌が利用し、BE−66408類の生産に役
立つもの例えば3−(N−モルホリノ)プロパンスルホ
ン酸(MOPS)又はホウ酸ナトリウムなどであれば、
いずれも使用することができる。
【0027】培養方法としては、一般の微生物代謝産物
の生産方法と同様に行なえばよく、固体培養でも液体培
養でもよい。液体培養の場合は、静置培養、攪拌培養、
振とう培養又は通気培養などのいずれを実施してもよい
が、特に振盪培養又は深部通気攪拌培養が望ましい。培
養温度は14〜41℃が適当であるが、好ましくは23
〜33℃である。好ましい培地のpHは4〜8の範囲
で、培養時間は264時間〜384時間、好ましくは2
88時間〜360時間である。培養物から目的とするB
E−66408類を採取するには、微生物の生産する代
謝物から採取するのに通常使用される分離手段を適宜利
用することができる。
【0028】BE−66408類は菌体中に存在するの
で、菌体より通常の分離手段、例えば溶媒抽出法、イオ
ン交換樹脂法又は吸着若しくは分配クロマトグラフィー
法及びゲル濾過法などを単独又は組み合わせて行なうこ
とにより精製できる。
【0029】好ましい分離精製の例として次の方法が挙
げられる。まず培養液を濾過し、菌体を得る。得られた
菌体をメタノール又はアセトンなどの有機溶媒を用いて
抽出する。得られた粗抽出物について、水−酢酸エチル
で分配を行ない、酢酸エチル層を留去後、得られる残留
物について逆相カラムクロマトグラフィーを行なう。B
E−66408類を含む画分を減圧下で濃縮し、再度逆
相カラムクロマトグラフィ−をおこなうことにより、B
E−66408A,BおよびCをそれぞれ得ることがで
きる。
【0030】本発明の化合物BE−66408類は腫瘍
細胞の増殖を阻害し、抗腫瘍効果を発揮するが、本発明
化合物を抗腫瘍剤として使用する際の投与形態としては
各種の形態を選択でき、例えば錠剤、カプセル剤、散
剤、顆粒剤若しくは液剤などの経口剤、又は例えば溶液
若しくは懸濁液などの殺菌した液状の非経口剤が挙げら
れる。
【0031】固体の製剤は、そのまま錠剤、カプセル
剤、顆粒剤又は粉末の形態として製造することもできる
が、適当な添加物を使用して製造することもできる。そ
のような添加物としては、例えば乳糖若しくはブドウ糖
などの糖類、例えばトウモロコシ、小麦若しくは米など
のデンプン類、例えばステアリン酸などの脂肪酸、例え
ばメタケイ酸アルミン酸マグネシウム若しくは無水リン
酸カルシウムなどの無機塩、例えばポリビニルピロリド
ン若しくはポリアルキレングリコールなどの合成高分
子、例えばステアリン酸カルシウム若しくはステアリン
酸マグネシウムなどの脂肪酸塩、例えばステアリルアル
コール若しくはベンジルアルコールなどのアルコール
類、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロ
ース、エチルセルロース若しくはヒドロキシプロピルメ
チルセルロースなどの合成セルロース誘導体、その他、
水、ゼラチン、タルク、植物油、アラビアゴムなど通常
用いられる添加物が挙げられる。
【0032】これらの錠剤、カプセル剤、顆粒剤及び粉
末などの固形製剤は一般的には0.1〜100重量%、
好ましくは5〜100重量%の有効成分を含む。
【0033】液状製剤は、水、アルコール類又は例えば
大豆油、ピーナッツ油若しくはゴマ油などの植物由来の
油など液状製剤において通常用いられる適当な添加剤を
使用し、懸濁液、シロップ剤又は注射剤などの形態とし
て製造される。
【0034】特に、非経口的に筋肉内注射、静脈注射又
は皮下注射で投与する場合の適当な溶剤としては、例え
ば注射用蒸留水、塩酸リドカイン水溶液(筋肉注射
用)、生理食塩水、ブドウ糖水溶液、エタノール、静脈
内注射用液体(例えばクエン酸及びクエン酸ナトリウム
などの水溶液)若しくは電解質溶液(点滴静注及び静脈
内注射用)など、又はこれらの混合溶液が挙げられる。
【0035】これらの注射剤はあらかじめ溶解したもの
のほか、粉末のままあるいは適当な添加剤を加えたもの
を用時溶解する形態もとり得る。これらの注射液は通
常、0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%の有
効成分を含む。
【0036】また、経口投与の懸濁剤又はシロップ剤な
どの液剤は、0.5〜10重量%の有効成分を含む。
【0037】本発明の化合物の実際に好ましい投与量
は、使用される化合物の種類、配合された組成物の種
類、適用頻度及び治療すべき特定部位、宿主及び腫瘍に
よって変化することに注意すべきである。例えば、1日
あたりの成人の投与量は、経口投与の場合、10〜50
0mgであり、非経口投与、好ましくは静脈注射の場
合、1日あたり、10〜100mgである。なお、投与
回数は投与方法及び症状によって異なるが、1回ないし
5回である。
【0038】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を具体的に説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。 実施例BE−66408類の製造法 斜面軟寒天培地に接種した放線菌A 66408株をグ
ルコース0.1%、デキストリン(MS−3600)2
%、魚粉0.5%、コーングルテンミール1%、酵母エ
キス0.1%、MOPS 0.5%、硫酸マグネシウム
0.05%、塩化ナトリウム0.1%、塩化カルシウム
0.05%、硫酸第一鉄0.0002%、塩化第二銅
0.00004%、塩化マンガン0.00004%、塩
化コバルト0.00004%、硫酸亜鉛0.00008
%、ホウ酸ナトリウム0.00008%、及びモリブデ
ン酸ナトリウム0.00024%からなる培地(pH
7.0)110mlを含む500ml容の三角フラスコ
3本に接種し、28℃で48時間、回転振盪機(毎分1
80回転)上で培養した。この培養液を2mlずつ上記
の培地を110ml含む500ml容の三角フラスコ2
00本に接種し、28℃で12日間回転振盪機(毎分1
80回転)上で培養した。
【0039】上記の培養により得られた培養液(約20
L)から濾過により菌体を得た。この菌体にメタノール
(4L)を加え、攪拌後濾過した。この操作をもう一度
繰り返した後、残渣の菌体にアセトン(4L)を加え攪
拌後濾過を行なった。これらのメタノール、アセトン抽
出液をあわせて減圧下で濃縮後、水(2L)を加え、2
Lの酢酸エチルで3回抽出した。酢酸エチル画分を減圧
下に濃縮乾固し、メタノール(2L)に溶解した後、等
量のn−ヘキサンで2回洗浄した。このメタノール層を
減圧下に濃縮することにより、BE−66408A,
B,Cを含む粗精製物を8.0g得た。これをシリカゲ
ルのカラム(メルク社製キーゼルゲル60、3.3φx
60cm)に供し、トルエン−酢酸エチル−メタノール
(100:100:1及び50:50:1)で洗浄後、
トルエン−酢酸エチル−メタノール(30:30:1)
で溶出した。溶出液を濃縮乾固後、ODSカラム(資生
堂社製カプセルパック C18 UG−120、2.0φ
x25cm)を使用して高速液体クロマトグラフィーを
行なった。移動相に、水−メタノール−テトラヒドロフ
ラン(25:75:1)を用いて、流速 14ml/m
inで溶出することによりBE−66408A(63.
8mg)、BE−66408B(12.6mg)および
BE−66408C(14.3mg)を得た。以下に本
発明の化合物の製剤例を示すが、本発明の化合物の製剤
は本製剤例に限定されるものではない。 製剤例1 本物質(BE−66408A)10部、重質酸化マグネ
シウム15部及び乳糖75部を均一に混合して、350
μm以下の粉末状又は細粒状の散剤とする。この散剤を
カプセル容器に入れカプセル剤とした。
【0040】製剤例2 本物質(BE−66408A)45部、澱粉15部、乳
糖16部、結晶性セルロース21部、ポリビニルアルコ
ール3部及び蒸留水30部を均一に混合した後、破砕造
粒して乾燥し、次いで篩別して直径1410〜177μ
mの大きさの顆粒剤とした。
【0041】製剤例3 製剤例2と同様の方法で顆粒剤を作製した後、この顆粒
剤96部に対してステアリン酸カルシウム3部を加えて
圧縮成形し直径10mmの錠剤を作製した。
【0042】製剤例4 製剤例2の方法で得られた顆粒剤90部に対して結晶性
セルロース10部及びステアリン酸カルシウム3部を加
えて圧縮成形し、直径8mmの錠剤とした後、これにシ
ロップゼラチン、沈降性炭酸カルシウム混合懸濁液を加
えて糖衣錠を作製した。
【0043】製剤例5 本物質(BE−66408A)0.6部、非イオン系界
面活性剤2.4部、生理的食塩水97部を加温混合して
からアンプルに入れ、滅菌を行って注射剤を作製した。
【0044】
【発明の効果】本発明に記載するBE−66408類
は、マウス及びヒトの腫瘍細胞に対して強い増殖抑制効
果を示すことから、医薬の分野で癌の治療剤として有用
である。
【0045】
フロントページの続き (72)発明者 平山 美央子 茨城県つくば市大久保3番地 萬有製薬株 式会社つくば研究所内 (72)発明者 吉成 智子 茨城県つくば市大久保3番地 萬有製薬株 式会社つくば研究所内 (72)発明者 小尻 勝久 茨城県つくば市大久保3番地 萬有製薬株 式会社つくば研究所内 (72)発明者 須田 寛之 茨城県つくば市大久保3番地 萬有製薬株 式会社つくば研究所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式[I] 【化1】 [式中、R1、R2はそれぞれ独立にアセトキシ基又は水
    素原子を示す]で表される化合物。
  2. 【請求項2】アクチノプラネス(Actinoplan
    es)属に属し、一般式[I]で表される化合物を産生
    する能力を有する微生物又はその変異株を培養し、その
    培養物から一般式[I]で表される化合物を採取するこ
    とを特徴とする、一般式[I]で表される化合物の製造
    法。
  3. 【請求項3】一般式[I]で表される化合物を産生する
    能力を有する微生物が、アクチノプラネス エスピー
    A 66408(Actinoplanessp. A
    66408)又はその変異株である請求項2記載の製
    造法。
  4. 【請求項4】一般式[I]で表される化合物を有効成分
    とする抗腫瘍剤。
  5. 【請求項5】一般式[I]で表される化合物を産生する
    能力を有することを特徴とするアクチノプラネス(Ac
    tinoplanes)属に属する微生物。
  6. 【請求項6】アクチノプラネス(Actinoplan
    es)属に属する微生物が、アクチノプラネス エスピ
    ー A 66408(Actinoplanes s
    p. A 66408)又はその変異株である請求項5
    記載の微生物。
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