JP2000053660A - 抗腫瘍性物質be−70016及びその製造法 - Google Patents

抗腫瘍性物質be−70016及びその製造法

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JP2000053660A
JP2000053660A JP23641698A JP23641698A JP2000053660A JP 2000053660 A JP2000053660 A JP 2000053660A JP 23641698 A JP23641698 A JP 23641698A JP 23641698 A JP23641698 A JP 23641698A JP 2000053660 A JP2000053660 A JP 2000053660A
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antitumor
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actinoplanes
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Haruki Shimokawa
春樹 下川
Shigeru Nakajima
中島  茂
Mioko Hirayama
美央子 平山
Hisao Kondo
久雄 近藤
Katsuhisa Ojiri
勝久 小尻
Hiroyuki Suda
寛之 須田
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MSD KK
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Banyu Phamaceutical Co Ltd
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  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
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  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Nitrogen And Oxygen As The Only Ring Hetero Atoms (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】本発明は新規な構造式[I] 【化1】 で表される化合物に関する。 【効果】本発明の化合物は、マウス及びヒトの腫瘍細胞
に対して強い増殖抑制効果を示すことから、医薬の分野
で癌の治療剤として有用である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は医薬の分野で有用で
あり、より具体的には腫瘍細胞の増殖を阻害して抗腫瘍
作用を示す新規化合物、その製造法及びその用途並びに
該化合物を産生する微生物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】癌化学療法の分野においては、既に多く
の化合物が医薬品として実用化されている。しかしなが
らさまざまな種類の腫瘍に対してその効果は必ずしも充
分ではなく、また臨床上これらの薬剤に対する腫瘍細胞
の耐性現象が明らかにされるにつれ、その臨床的応用性
は複雑化している[第47回日本癌学会総会記事、12
頁〜15頁(1988年)等参照]。このような状況は
依然として続いており、癌治療の分野においては常に新
規抗腫瘍性物質の開発が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の希求に
応えることのできる新規な抗腫瘍性物質を提供すること
を目的とするものである。即ち、既存の抗腫瘍性物質が
充分に効果を発揮できない種々の腫瘍に対しても抗腫瘍
効果を発揮する化合物を提供することが本発明が解決し
ようとする課題である。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく、抗腫瘍活性を有する物質について微生
物二次代謝産物を広くスクリーニングした結果、後記構
造式[I]で表される化合物が優れた抗腫瘍作用を示す
ことを見いだして本発明を完成した。
【0005】即ち、本発明は新規な構造式[I]
【0006】
【化2】 で表される化合物、その製造法及び用途並びに該化合物
を産生する能力を有することを特徴とするアクチノプラ
ネス(Αctinoplanes)属に属する微生物に
関するものである。
【0007】なお、抗腫瘍効果及び生産菌アクチノプラ
ネス エスピー A70016(Αctinoplan
es sp. A70016)に因んで、構造式[I]
で表される化合物をBE−70016と称する。
【0008】以下に本発明にかかわる新規な抗腫瘍性物
質BE−70016の物理化学的な性状を示す。下記に
紫外部吸収スペクトルにおける略号の意味を示す。 sh:ショルダー 下記に核磁気共鳴スペクトルにおける略号の意味を示
す。 s :シングレット d :ダブレット t :トリプレット q :カルテット m :マルチプレット br:ブロード J :カップリング定数 Hz:ヘルツ
【0009】BE−70016の物理化学的性状 性状 ;淡褐色粉末 分子式 ;C283248 質量分析 ;[HRFAB−MS]m/z 実測値:553.2301(M+H)+ 計算値:553.2298(C283348) 比旋光度 ;[α] 20 D+10.3°(c0.25,M
eOH) 紫外部吸収スペクトル;δmax(MeOH)nm
(ε):205(70,400),242(sh,1
7,900),249(18,900),259(s
h,9,000),305(8,200) 赤外部吸収スペクトル;νmax(KBr)cm-1:29
75,2952,2877,2362,2335,17
95,1741,1666,1641,1533,14
94,1430,1400,1369,1309,12
59,1226,1155,1133,1072,10
39,891,867,827,798,757,72
7,615,522,493,464,422 核磁気共鳴スペクトル;1H−NMR(500MHz,
CDCl3):δ1.59(3H,d,J=6.1H
z),1.60(3H,d,J=6.1Hz),1.6
0−1.70(2H,m),1.76(1H,m),
1.93(1H,m),3.33(1H,m),3.3
8(1H,m),3.69(3H,s),4.39(1
H,d,J=7.6Hz),4.58(1H,d,J=
7.6Hz),4.58(1H,m),4.88(2
H,m),6.67(1H,br t,J=4.9H
z),6.90(2H,m),7.02(2H,m),
7.08(1H,br d,J=7.9Hz),7.4
1(2H,m),7.69(2H,m),11.4(1
H,s),11.4(1H,s)13 C−NMR(125MHz,CDCl3):δ21.
5(q),21.6(q),25.5(t),29.5
(t),38.5(t),51.6(d),52.5
(q),74.1(d),74.1(d),79.2
(d),79.5(d),110.2(s),110.
2(s),116.8(d),116.9(d),11
8.9(d),119.0(d),128.5(d),
128.5(d),134.1(d),134.1
(d),159.7(s),159.8(s),16
7.1(s),167.3(s),170.5(s),
170.6(s),171.8(s) 溶解性 ;クロロホルム、メタノール、アセトン、ジ
メチルスルホキシドに溶け易く、トルエン、水に溶けに
くい。 Rf値 ;0.75[メルク社製キーゼルゲル60F
254使用、展開溶媒:クロロホルム−メタノール(2
0:1)]
【0010】BE−70016の生物学的活性(抗腫瘍
作用) 抗腫瘍性物質BE−70016のマウス実験腫瘍細胞に
対する増殖阻害作用を決定するため、試験管内で試験を
行なった。マウス白血病細胞P388に対する抗腫瘍試
験は、BE−70016をジメチルスルホキシドに溶解
後、逐次ジメチルスルホキシドで希釈し、次に牛胎児血
清10%含有RPMI1640培地で10倍希釈して検
液とした。細胞増殖阻害の検定は、1×103個の腫瘍
細胞を含む細胞培養培地(牛胎児血清10%含有RPM
I1640培地、20μMの2−メルカプトエタノール
を含む)100μlに対し上記検液5μlを加えた。3
7℃で72時間、5%CO2下で培養後、MTT測定法
により対照群と比較した。その結果、BE−70016
はマウス腫瘍細胞に対して、強い増殖阻害活性を示し、
その50%増殖阻害濃度は第1表の通りであった。
【0011】更に、抗腫瘍活性物質BE−70016の
ヒト腫瘍細胞に対する抗腫瘍活性を試験管内で試験し
た。ヒト肺癌細胞PC−13に対する抗腫瘍試験は、B
E−70016をジメチルスルホキシドに溶解後、逐次
ジメチルスルホキシドで希釈し、次に牛胎児血清10%
含有RPMI1640培地で10倍希釈して検液とし
た。腫瘍細胞増殖阻害の検定は、1×103個の腫瘍細
胞を含む細胞培養用培地100μlを96穴マイクロプ
レートに分注し、37℃で24時間、5%CO2下で培
養した後、上記検液5μlを加えた。更に、72時間培
養後細胞を16.7%トリクロロ酢酸で固定し、0.4
%スルホローダミンBで染色後、10mMトリス液を用
いて細胞から色素を抽出した。450nmを対照波長と
して550nmに於ける吸光度を測定して対照群と比較
した。その結果、BE−70016はヒト腫瘍細胞にお
いても強い増殖阻害活性を示し、その50%増殖阻害濃
度は第1表の通りであった。
【0012】
【表1】 上述したようにBE−70016はマウス及びヒトの腫
瘍細胞に対し顕著な増殖阻害作用を示す。従って、本発
明はヒトをはじめとする哺乳動物の抗腫瘍剤として有用
である。
【0013】次に、BE−70016の製造法について
説明する。本発明の抗腫瘍性物質BE−70016の製
造に使用する微生物は、抗腫瘍性物質BE−70016
を生産するものならばいずれでも良いが、例えば以下の
菌学的性状を有する微生物、即ち、A70016を用い
ることができる。 1.形態 A70016は気菌糸を着生せず、分岐する基生菌糸に
生ずる胞子のう柄の先端に胞子のうを1個ずつ形成す
る。胞子のうの表面は平滑でその形状は亜球形〜不規則
型であり、大きさは4.0〜5.0×5.0〜7.0μ
m位である。胞子のうには多数の胞子が内蔵され、成熟
した胞子のうを水中に投じると胞子が放出され、その胞
子は遊走性を示す。オートミール寒天培地等で未発達な
気菌糸を着生する事が観察される。 2.各種寒天平板培地における培養性状 各種寒天平板培地における培養性状(28℃、14日間
培養)は第2表の通りであった。
【0014】
【表2】 3.生育温度 生育温度(イ−スト・麦芽寒天培地、14日間培養)は
第3表の通りであった。
【0015】
【表3】 4.生理学的諸性質 生理学的諸性質は第4表の通りであった。
【0016】
【表4】 5.炭素源の利用能 炭素源の利用能は第5表の通りであった。
【0017】
【表5】 6.菌体成分 細胞壁からは、meso−ジアミノピメリン酸、3−O
H−ジアミノピメリン酸およびグリシンが検出され、細
胞壁タイプはII型であると考えられる。また、分類上
特徴ある全菌体糖成分はアラビノースおよびキシロース
であり、糖パターンはD型であった。主要メナキノンは
MK9(H6)であった。
【0018】以上の菌学的諸性質によりA70016は
放線菌アクチノプラネス(Αctinoplanes)
属に属すると考えられる。したがってA70016をア
クチノプラネス エスピー A70016(Αctin
oplanes sp. A70016)と称すること
とした。尚、本菌株は通商産業省工業技術院生命工学工
業技術研究所に寄託されており、受託番号はFERM
P−16791である。
【0019】本発明のアクチノプラネス エスピー A
70016(Αctinoplanes sp. A7
0016)の変異株は、例えばX線もしくは紫外線など
の照射処理、例えばナイトロジェンマスタード、アザセ
リン、亜硝酸、2−アミノプリンもしくは1−メチル−
3−ニトロ−1−ニトロソグアニジン(MNNG)等の
変異誘起剤による処理、例えばファージ接触、形質転
換、形質導入又は接合などの通常用いられる菌種変換処
理方法によりアクチノプラネス エスピー A7001
6(Αctinoplanes sp. A7001
6)を変異させた微生物である。
【0020】本発明のBE−70016を製造するにあ
たり、BE−70016の生産菌株を栄養源含有培地に
接種して好気的に発育させることにより、BE−700
16を含む培養物が得られる。栄養源としては、放線菌
の栄養源として公知のものが使用できる。例えば、炭素
源としては、市販されているブドウ糖、麦芽糖、デンプ
ン、庶糖、糖蜜又はデキストリンなどが単独又は混合物
として用いられる。窒素源としては、市販されている脱
脂大豆粉末、コーンステイープリカー、グルテンミー
ル、肉エキス、酵母エキス、乾燥酵母、綿実粕、ペプト
ン、小麦胚芽、魚粉、ミートミール、脱脂米ヌカ、脱脂
肉骨粉、無機アンモニウム塩又は硝酸ナトリウムなどが
単独又は混合物として用いられる。無機塩としては、市
販されている炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、塩化カ
リウム、硫酸マグネシウム、臭化ナトリウム、ホウ酸ナ
トリウム又は各種リン酸塩などを使用することができ
る。その他必要に応じて、鉄、マンガン、亜鉛、コバル
ト、モリブデン酸などの重金属塩を微量添加することも
できる。また、発泡の激しい場合には消泡剤として、例
えば大豆油又は亜麻仁油などの植物油、オクタデカノー
ルなどの高級アルコール類、各種シリコン化合物などを
適宜添加してもよい。これらのもの以外でも、該生産菌
が利用し、BE−70016の生産に役立つもの例えば
3−(N−モルホリノ)プロパンスルホン酸(MOP
S)又はホウ酸ナトリウムなどであれば、いずれも使用
することができる。
【0021】培養方法としては、一般の微生物代謝産物
の生産方法と同様に行なえばよく、固体培養でも液体培
養でもよい。液体培養の場合は、静置培養、攪拌培養、
振とう培養又は通気培養などのいずれを実施してもよい
が、特に振盪培養又は深部通気攪拌培養が望ましい。培
養温度は14〜33℃が適当であるが、好ましくは27
〜30℃である。好ましい培地のpHは4〜8の範囲
で、培養時間は192〜384時間、好ましくは216
〜360時間である。培養物から目的とするBE−70
016を採取するには、微生物の生産する代謝物から採
取するのに通常使用される分離手段を適宜利用すること
ができる。
【0022】BE−70016は菌体中に存在するの
で、菌体より通常の分離手段、例えば溶媒抽出法、イオ
ン交換樹脂法又は吸着若しくは分配クロマトグラフィー
法及びゲル濾過法などを単独又は組み合わせて行なうこ
とにより精製できる。
【0023】好ましい分離精製の例として次の方法が挙
げられる。まず培養液を濾過し、菌体を得る。得られた
菌体をメタノール又はアセトンなどの有機溶媒を用いて
抽出する。得られた粗抽出物について、水−酢酸エチル
で分配を行ない、酢酸エチル層を留去後、得られる残留
物について逆相カラムクロマトグラフィーを行なう。B
E−70016を含む画分を減圧下で濃縮し、再度逆相
カラムクロマトグラフィーを行うことにより、BE−7
0016を得ることができる。
【0024】本発明の化合物BE−70016は腫瘍細
胞の増殖を阻害し、抗腫瘍効果を発揮するが、本発明化
合物を抗腫瘍剤として使用する際の投与形態としては各
種の形態を選択でき、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、
顆粒剤若しくは液剤などの経口剤、又は例えば溶液若し
くは懸濁液などの殺菌した液状の非経口剤が挙げられ
る。
【0025】固体の製剤は、そのまま錠剤、カプセル
剤、顆粒剤又は粉末の形態として製造することもできる
が、適当な添加物を使用して製造することもできる。そ
のような添加物としては、例えば乳糖若しくはブドウ糖
などの糖類、例えばトウモロコシ、小麦若しくは米など
のデンプン類、例えばステアリン酸などの脂肪酸、例え
ばアルミン酸マグネシウム若しくは無水リン酸カルシウ
ムなどの無機塩、例えばポリビニルピロリドン若しくは
ポリアルキレングリコールなどの合成高分子、例えばス
テアリン酸カルシウム若しくはステアリン酸マグネシウ
ムなどの脂肪酸塩、例えばステアリルアルコール若しく
はベンジルアルコールなどのアルコール類、例えばメチ
ルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセ
ルロース若しくはヒドロキシプロピルメチルセルロース
などの合成セルロース誘導体、その他、水、ゼラチン、
タルク、植物油、アラビアゴムなど通常用いられる添加
物が挙げられる。
【0026】これらの錠剤、カプセル剤、顆粒剤及び粉
末などの固形製剤は一般的には0.1〜100重量%、
好ましくは5〜100重量%の有効成分を含む。液状製
剤は、水、アルコール類又は例えば大豆油、ピーナッツ
油若しくはゴマ油などの植物由来の油など液状製剤にお
いて通常用いられる適当な添加剤を使用し、懸濁液、シ
ロップ剤又は注射剤などの形態として製造される。 特
に、非経口的に筋肉内注射、静脈注射又は皮下注射で投
与する場合の適当な溶剤としては、例えば注射用蒸留
水、塩酸リドカイン水溶液(筋肉注射用)、生理食塩
水、ブドウ糖水溶液、エタノール、静脈内注射用液体
(例えばクエン酸及びクエン酸ナトリウムなどの水溶
液)若しくは電解質溶液(点滴静注及び静脈内注射用)
など、又はこれらの混合溶液が挙げられる。 これらの
注射剤はあらかじめ溶解したもののほか、粉末のままあ
るいは適当な添加剤を加えたものを用時溶解する形態も
とり得る。これらの注射液は通常、0.1〜10重量
%、好ましくは1〜5重量%の有効成分を含む。 ま
た、経口投与の懸濁剤又はシロップ剤などの液剤は、
0.5〜10重量%の有効成分を含む。
【0027】本発明の化合物の実際に好ましい投与量
は、使用される化合物の種類、配合された組成物の種
類、適用頻度及び治療すべき特定部位、宿主及び腫瘍に
よって変化することに注意すべきである。例えば、1日
あたりの成人の投与量は、経口投与の場合、10〜50
0mgであり、非経口投与、好ましくは静脈注射の場
合、1日あたり、10〜100mgである。なお、投与
回数は投与方法及び症状によって異なるが、1回ないし
5回である。
【0028】
【発明の実施の形態】以下に、実施例を挙げて本発明を
具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定
されるものではない。
【0029】実施例BE−70016の製造法 斜面寒天培地に接種した放線菌A70016をグルコー
ス 0.1%、グリセロール 2.0%、デキストリン
1.0%、綿実粕 0.5%、酵母エキス0.2%、
脱脂大豆粉末 1.0%、L−トリプトファン 0.2
%及びフッ化カリウム 0.02%からなる培地(pH
7.0)110mlを含む500ml容の三角フラスコ
2本に接種し、28℃で144時間、回転振盪機(毎分
180回転)上で培養した。この培養液200mlを上
記培地10Lを含む20L容のタンク1本に接種し、2
8℃で189時間、通気(0.5vvm)攪拌(毎分3
00回転)培養した。
【0030】上記の培養により得られた培養液(9L)
から濾過により菌体を得た。この菌体にメタノール(5
L)を加え攪拌後濾過し、メタノール抽出液を得た。こ
のメタノール抽出液を減圧下濃縮後、水(500ml)
を加え、酢酸エチル(500ml)で抽出し、酢酸エチ
ル画分を減圧下濃縮乾固した。その乾固物をメタノール
(3ml)に溶解した後、コスモシル 75C18カラム
クロマトグラフィー(ナカライテスク社製、φ3×50
cm)に付し、メタノール−水(9:1)で溶出後、目
的の化合物を含む画分を減圧下濃縮乾固した。次にその
乾固物をメタノール(3.2ml)に溶解した後、高速
液体クロマトグラフィー用カラム(TSK−gel O
DS−80Tsカラム、東ソー社製、φ2.15×30
cm)を使用して高速液体クロマトグラフィーを行なっ
た。移動相に、メタノール−水(85:15)を用い
て、流速10ml/minで溶出することにより、目的
の化合物を含む画分を減圧下濃縮乾固した。更にその乾
固物をメタノール(3ml)に溶解した後、高速液体ク
ロマトグラフィー用カラム(TSK−gel ODS−
80Tsカラム、東ソー社製、φ2.15×30cm)
を使用して再度クロマトグラフィーを行なった。移動相
に、メタノール−水(82.5:17.5)を用いて、
流速10ml/minで溶出することにより、目的の化
合物を含む画分を減圧下濃縮乾固し、BE−70016
の粉末21.58mgを得た。
【0031】以下に本発明の化合物の製剤例を示すが、
本発明の化合物の製剤は本製剤例に限定されるものでは
ない。 製剤例1 本物質(BE−70016)10部、重質酸化マグネシ
ウム15部及び乳糖75部を均一に混合して、500μ
m以下の粉末状又は細粒状の散剤とする。この散剤をカ
プセル容器に入れカプセル剤とした。 製剤例2 本物質(BE−70016)45部、澱粉15部、乳糖
16部、結晶性セルロース21部、ポリビニルアルコー
ル3部及び蒸留水30部を均一に混合した後、破砕造粒
して乾燥し、次いで篩別して直径355〜1400μm
の大きさの顆粒剤とした。 製剤例3 製剤例2と同様の方法で顆粒剤を作製した後、この顆粒
剤96部に対してステアリン酸カルシウム3部を加えて
圧縮成形し直径10mmの錠剤を作製した。 製剤例4 製剤例2と同様の方法で得られた顆粒剤90部に対して
結晶性セルロース10部及びステアリン酸カルシウム3
部を加えて圧縮成形し、直径8mmの錠剤とした後、こ
れにシロップゼラチン、沈降性炭酸カルシウム混合懸濁
液を加えて糖衣錠を作製した。 製剤例5 本物質(BE−70016)0.6部、非イオン系界面
活性剤2.4部及び生理的食塩水97部を加温混合して
からアンプルに入れ、滅菌を行って注射剤を作製した。
【0032】
【発明の効果】本発明に記載するBE−70016は、
マウス及びヒトの腫瘍細胞に対して強い増殖抑制効果を
示すことから、医薬の分野で癌の治療剤として有用であ
る。
【0033】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12R 1:045) (C12P 17/16 C12R 1:045) (72)発明者 近藤 久雄 茨城県つくば市大久保3番地 萬有製薬株 式会社つくば研究所内 (72)発明者 小尻 勝久 東京都中央区日本橋本町2丁目2番3号 萬有製薬株式会社内 (72)発明者 須田 寛之 茨城県つくば市大久保3番地 萬有製薬株 式会社つくば研究所内 Fターム(参考) 4B064 AE54 BA06 BE07 BE09 BE12 BE19 BG03 BG09 BH01 BH02 BH04 BH05 BH06 BH07 BH08 CA03 DA05 4B065 AA07X AC14 BA22 CA18 CA44 4C056 AA01 AB01 AC02 AD01 AE02 AF08 BA08 BB14 4C086 AA01 AA02 AA03 AA04 BC69 GA09 NA04 NA14 ZB26

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】構造式[I] 【化1】 で表される化合物。
  2. 【請求項2】アクチノプラネス(Αctinoplan
    es)属に属し、請求項1記載の構造式[I]で表され
    る化合物を産生する能力を有する微生物を培養し、その
    培養物から構造式[I]で表される化合物を採取するこ
    とを特徴とする該構造式[I]で表される化合物の製造
    法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の構造式[I]で表される化
    合物を産生する能力を有する微生物が、アクチノプラネ
    ス エスピー A70016(Αctinoplane
    s sp. 70016)又はその変異株である請求項
    2記載の製造法。
  4. 【請求項4】請求項1記載の構造式[I]で表される化
    合物を有効成分とする抗腫瘍剤。
  5. 【請求項5】請求項1記載の構造式[I]で表される化
    合物を産生する能力を有することを特徴とするアクチノ
    プラネス(Αctinoplanes)属に属する微生
    物。
  6. 【請求項6】アクチノプラネス(Αctinoplan
    es)属に属する微生物が、アクチノプラネス エスピ
    ー A70016(Αctinoplanes sp.
    A70016)又はその変異株である請求項5記載の
    微生物。
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