JPH11255739A - スルホニウム化合物の製造方法 - Google Patents

スルホニウム化合物の製造方法

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JPH11255739A
JPH11255739A JP10080188A JP8018898A JPH11255739A JP H11255739 A JPH11255739 A JP H11255739A JP 10080188 A JP10080188 A JP 10080188A JP 8018898 A JP8018898 A JP 8018898A JP H11255739 A JPH11255739 A JP H11255739A
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健太郎 松崎
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良明 河岡
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均 勝屋
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Abstract

(57)【要約】 【構成】4−ヒドロキシフェニルジアルキルスルホニウ
ム ハライドとMY(M=アルカリ金属、Y=SbF6
PF6,AsF6,BF4のいずれか)とを水と酢酸エチル
の存在下、pH2〜5の酸性緩衡液、特に酢酸−酢酸塩
中で塩交換反応させて4−ヒドロキシフェニルジアルキ
ルスルホニウム ポリフルオライド化合物を製造する。 【効果】この製造方法によれば、エポキシ樹脂やスチレ
ンなどのカチオン重合性ビニル化合物の重合開始剤とし
て効果を有するスルホニウム化合物が高純度、高収率で
得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、スルホニウム化合物の
製造方法に関する。更に詳しくは、光および/または熱
硬化性組成物の重合触媒として有用であり、特にエポキ
シ樹脂やスチレンなどのカチオン重合性ビニル化合物の
重合開始剤として効果を有するスルホニウム化合物の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、スルホニウム化合物の製造方法と
しては、数多くの方法が提案されている。このうち、カ
チオン重合触媒として有用な特定のスルホニウム ポリ
フルオロ亜金属錯塩類を得るためには、対応するスルホ
ニウム ハライドにNaSbF6,KSbF6,NaPF6
NaAsF6等を作用させ、塩交換反応をさせることが公
知である。例えば、特開平8−188569号によれ
ば、有機溶媒と水を用いた強酸性中で反応が行われてい
るものの、この方法では、イオン交換反応が完全に進行
しないために、より純度の高い重合触媒を得ることがで
きない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、スルホニウ
ム塩の効率的な合成の方法を検討した結果、原料である
スルホニウム ハライドとNaSbF6,KSbF6などの
ポリフルオロ亜金属錯塩類との塩交換反応を、酢酸エチ
ル−水の2相系で弱酸性で行うことにより、生成物の純
度、収率が向上することを見出し、本発明に至ったもの
である。
【0004】
【発明の構成】本発明は、下記化4で表される重合触媒
として有用なスルホニウム化合物を製造するにあたり、
化3で表されるスルホニウム化合物を水と酢酸エチルの
存在下、pH2〜5において反応させるものである。こ
こで、pH2〜5に保つ方法は任意である。例えば、酸
性緩衝液の添加や、pHメーターを監視しながら酸/塩
基を添加していく方法などが例示される。これにより、
化3から化4への塩交換が安定することを見出したもの
である。
【0005】ここにおいて、pH2〜5に保つ方法は任
意であるが、このpH範囲は酢酸−酢酸塩緩衝液または
塩酸−酢酸塩緩衝液により簡易に作り出すことができる
ので、当該緩衝液の添加が推奨される。かつ、緩衝液は
化学反応の前後において、pHが変化することが少ない
ので、反応の当初に添加するだけですむという利点があ
るために好ましい。
【0006】
【化3】
【0007】
【化4】
【0008】(ただし、式中R1は、水素,ハロゲン,
炭素数1〜4のアルキル基のいずれかを、R2は、炭素
数1〜4のアルキル基またはベンジル基を、R3は、炭
素数1〜4のアルキル基,ベンジル基,ハロゲノベンジ
ル基,メチルベンジル基,ジメチルベンジル基,トリメ
チルベンジル基,メトキシベンジル基,ジクロルベンジ
ル基,トリクロルベンジル基,ニトロベンジル基,ジニ
トロベンジル基,トリニトロベンジル基,α−ナフチル
メチル基,β−ナフチルメチル基のいずれかを、Xは、
ハロゲン原子、Mはアルカリ金属、YはSbF6,P
6,AsF6,BF4のいずれかを示す。)
【0009】本発明によって製造されるスルホニウム化
合物は、4−ヒドロキシフェニルベンジルメチルスルホ
ニウム ヘキサフルオロアンチモネート、4−ヒドロキ
シフェニルベンジルメチルスルホニウム ヘキサフルオ
ロホスフェート、4−ヒドロキシフェニルベンジルメチ
ルスルホニウム ヘキサフルオロアルセネート、4−ヒ
ドロキシフェニルベンジルメチルスルホニウム テトラ
フルオロボレート、4−ヒドロキシフェニル(o−メチ
ルベンジル)メチルスルホニウム ヘキサフルオロアン
チモネート、4−ヒドロキシフェニル(o−メチルベン
ジル)メチルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェー
ト、4−ヒドロキシフェニル(o−メチルベンジル)メ
チルスルホニウム ヘキサフルオロアルセネート、4−
ヒドロキシフェニル(o−メチルベンジル)メチルスル
ホニウム テトラフルオロボレート、4−ヒドロキシフ
ェニル(p−ニトロベンジル)メチルスルホニウム ヘ
キサフルオロアンチモネート、4−ヒドロキシフェニル
(p−ニトロベンジル)メチルスルホニウム ヘキサフ
ルオロアンチモネート、4−ヒドロキシフェニル(p−
ニトロベンジル)メチルスルホニウム ヘキサフルオロ
ホスフェート、4−ヒドロキシフェニル(α−ナフチル
メチル)メチルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモ
ネート、4−ヒドロキシフェニル(α−ナフチルメチ
ル)メチルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート
等が挙げられる。
【0010】
【作用】本発明の主旨である化3から化4へのスルホニ
ウム化合物のイオン交換反応は、水と酢酸エチルの存在
下で、pH2〜5に保つことが必須である。ここで、p
Hを2〜5に保つ方法は任意である。例えば、酢酸など
の弱酸を直接、反応系に添加する方法も例示できる。こ
の他に、化学的に多用されている緩衝液の添加による方
法も推奨できる。この代表的なものとして、酢酸−酢酸
ナトリウム,塩酸−酢酸塩緩衝液といった緩衝剤の系が
挙げられる。
【0011】このとき、反応に供するMYで表される塩
の添加量は、化3で表されるスルホニウム化合物1モル
に対して、0.8〜1.2モルが好ましい。反応媒体とし
て使用する水の量は、攪拌可能以上であればよく、酢酸
エチルは原料の化3で表されるスルホニウム化合物を溶
解せしめる量であればよい。水と酢酸エチルの比は任意
であるものの、水1容量に対して酢酸エチルが0.1〜
2容量が好ましい。
【0012】このイオン交換反応に要する時間は1時間
以内である。ただし、スルホニウム塩の特性によっては
3時間程度を要するものもある。これによって、化4で
表されるスルホニウム化合物が高収率で得られる。ま
た、反応温度は40℃以下、好ましくは20℃以下であ
る。40℃を越えると化4で表されるスルホニウム化合
物の熱劣化を生じるために好ましくない。
【0013】
【実施例】以下に本発明の実施例を示すが、本発明の範
囲はこれに限定されるものではない。 実施例 1 四ツ口コルベンに攪拌機、温度計をそれぞれ設置する。
なお、以下の実施例においても同様の装置を使用した。
4−ヒドロキシフェニルベンジルメチルスルホニウムク
ロライド106.5g(0.40mol),酢酸エチル 400m
L,水 1300mLを仕込み、この系に酢酸と水酸化ナトリウ
ムを加えながらpH測定を行い、所定の酢酸−酢酸ナト
リウム系を構成するようなpHとした。次に、NaSbF
6 103.5g(0.40mol)を投入し、10℃で30
分間反応した。反応後、分液により酢酸エチル層を取り
出し濃縮し、白色結晶を得た。得られた結晶はNMR分
析、IR分析及び元素分析の結果、4−ヒドロキシフェ
ニルベンジルメチルスルホニウム ヘキサフルオロアン
チモネートであることを確認した。
【0014】なお、pH1〜3に保つときは、塩酸に酢
酸ナトリウムを加えて調製した。無添加とは溶媒のみを
添加した系をさす。また、純度を測るためにDSC(示
差走査熱量計)の外挿温度とHPLCの測定を行った。
結果をまとめて表1に示す。
【0015】
【表1】
【0016】実施例 2 4−ヒドロキシフェニル(O−メチルベンジル)メチル
スルホニウム クロライド224.7g(0.80mo
l),酢酸エチル 400mL,水 1300mLを仕込み、実施例1
に準じてpH調整した。次にNaSbF6 207.0g
(0.80mol)を投入し、実施例1と同様に処理して白
色結晶を得た。得られた結晶はNMR分析、IR分析及
び元素分析の結果、4−ヒドロキシフェニル(O−メチ
ルベンジル)メチルスルホニウム ヘキサフルオロアン
チモネートであることを確認した。実施例1と同様に行
った結果をまとめて表2に示す。
【0017】
【表2】
【0018】実施例 3 4−ヒドロキシフェニル(α−ナフチルメチル)メチル
スルホニウム クロライド117.8g(0.37mo
l),酢酸エチル 400mL,水 1300mLを仕込み、実施例1
に準じてpH調整した。次にNaSbF6 95.7g(0.
37mol)を投入し、実施例1と同様に処理して白色結
晶を得た。得られた結晶はNMR分析、IR分析及び元
素分析の結果、生成物が、4−ヒドロキシフェニル(α
−ナフチルメチル)メチルスルホニウム ヘキサフルオ
ロアンチモネートであることを確認した。実施例1と同
様に行った結果をまとめて表3に示す。
【0019】
【表3】
【0020】
【発明の効果】本発明の製造方法により、スルホニウム
化合物の塩交換反応が安定し、容易に取り出すことがで
きる。また、収率が向上し、純度も高いものが得られる
ので、陰イオン交換反応が定量的に進行していることが
理解される。よって、本発明の方法は、特定のスルホニ
ウム化合物の効率的な合成反応に寄与することができ
る。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】化1で表されるスルホニウム化合物とMY
    で表される塩を水と酢酸エチルの存在下、pH2〜5で
    反応させることを特徴とする化2で表されるスルホニウ
    ム化合物の製造方法。 【化1】 【化2】 (ただし、式中R1は、水素,ハロゲン,炭素数1〜4
    のアルキル基のいずれかを、R2は、炭素数1〜4のア
    ルキル基またはベンジル基を、R3は、炭素数1〜4の
    アルキル基,ベンジル基,ハロゲノベンジル基,メチル
    ベンジル基,ジメチルベンジル基,トリメチルベンジル
    基,メトキシベンジル基,ジクロルベンジル基,トリク
    ロルベンジル基,ニトロベンジル基,ジニトロベンジル
    基,トリニトロベンジル基,α−ナフチルメチル基,β
    −ナフチルメチル基のいずれかを、Xは、ハロゲン原
    子、Mはアルカリ金属、YはSbF6,PF6,AsF6
    BF4のいずれかを示す。)
  2. 【請求項2】請求項1記載の化1で表されるスルホニウ
    ム化合物と請求項1記載のMYで表される塩を水と酢酸
    エチルの存在下、pH2〜5に制御して反応させること
    を特徴とする請求項1記載の化2で表されるスルホニウ
    ム化合物の製造方法。
  3. 【請求項3】pH2〜5に制御する方法が酸性緩衝液の
    添加である請求項2記載のスルホニウム化合物の製造方
    法。
  4. 【請求項4】請求項3に記載の酸性緩衡液が酢酸−酢酸
    塩である請求項3記載のスルホニウム化合物の製造方
    法。
  5. 【請求項5】請求項1〜4に記載の反応の温度が40℃
    以下であることを特徴とする請求項1記載の化2で表さ
    れるスルホニウム化合物の製造方法。
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