JPH1125533A - 光磁気記録媒体 - Google Patents

光磁気記録媒体

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Publication number
JPH1125533A
JPH1125533A JP17501597A JP17501597A JPH1125533A JP H1125533 A JPH1125533 A JP H1125533A JP 17501597 A JP17501597 A JP 17501597A JP 17501597 A JP17501597 A JP 17501597A JP H1125533 A JPH1125533 A JP H1125533A
Authority
JP
Japan
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layer
magnetization
temperature
magnetic
recording
Prior art date
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Pending
Application number
JP17501597A
Other languages
English (en)
Inventor
Hirotaka Tanaka
浩貴 田中
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Kyocera Corp
Original Assignee
Kyocera Corp
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Publication date
Application filed by Kyocera Corp filed Critical Kyocera Corp
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Publication of JPH1125533A publication Critical patent/JPH1125533A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】磁性層全体を薄膜化することにより熱伝導性を
向上させ、C/N比等の情報の記録・消去の感度を向上
させる。 【解決手段】R層3が室温より高い温度に補償温度を持
ち、M層5は室温でR層3よりも高い保磁力及び前記補
償温度でR層3よりも低い保磁力を有し、R層3とM層
5との間に膜厚が1Å〜30Åのcut層a(4a)が
設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光強度変調方式等
の熱磁気記録により2値情報をオーバーライト可能で、
カー効果等の磁気光学効果により再生を行う光磁気記録
媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の光変調ダイレクトオーバーライト
(以下、オーバーライトという)が可能な光磁気記録媒
体(以下、媒体と略す)M1 の磁性層構成を図2に示
す。同図は、媒体M1 の部分断面図であり、上向き磁化
か下向き磁化とすることにより2値情報(0,1)を記
録する記録層(Memory layerで、以下、M層と略す)1
2と、M層12よりも高いキュリー温度と室温超の所定
温度以上でM層12よりも大きな保磁力を有し、外部の
バイアス磁界(記録磁界)により昇温時に磁化方向が反
転可能な記録補助層(Writing layer で、以下、W層と
略す)13と、キュリー温度が最も低く高温で磁化が消
失してW層13と初期化層15間の交換結合力を遮断す
る制御層(Switching layer で、以下、S層と略す)1
4と、これらの磁性層の中で最もキュリー温度が高く降
温時にS層14を通じてW層13の磁化方向を初期化す
る初期化層(Initializing layerで、以下、I層と略
す)15とを、基板11上に積層して、オーバーライト
可能としたものが提案されている。
【0003】このような、M層,W層,S層,I層を有
するタイプの光強度変調方式によるオーバーライトの基
本的なメカニズムを図6でもって説明すると、各磁性層
の正味の磁化方向は遷移金属元素(Transition Metal e
lementで、以下、TMという)副格子磁化と希土類元素
(Rare Earth elementで、以下、REという)副格子磁
化の合成ベクトルで表され、カー効果による情報の読出
(再生)にはTM副格子磁化が関与する(日本応用磁気
学会誌 Vol.14,p165-170,NO.2,1990 参照)。磁気的組
成は、M層がTMリッチ(TM副格子磁化が磁気的に優
勢)、W層がREリッチ(RE副格子磁化が磁気的に優
勢)、S層がTMリッチ、I層がREリッチで、W層と
I層が室温Troomよりも高温で補償温度を有する。
【0004】M層のキュリー温度をTc1、W層のキュリ
ー温度をTc2及び補償温度をTcomp2 、S層のキュリー
温度をTc3、I層のキュリー温度をTc4及び補償温度を
Tcomp4 とすると、Troom<Tc3<Tcomp2 <Tc1<T
comp4 <Tc2<Tc4である。また、低温プロセスによる
ローパワー記録(以下、ロー記録という)時の最高温度
をTL 、高温プロセスによるハイパワー記録(以下、ハ
イ記録という)時の最高温度をTH とすると、TL ≒T
c1でTH ≒Tc2である。尚、ロー記録及びハイ記録は、
高低の2値にパルス変調されたレーザビーム等を媒体に
照射することにより行われ、低レベルのレーザビームの
照射部(ビット)でロー記録、高レベルのレーザビーム
の照射部(ビット)でハイ記録となる。また、Troomは
約20℃〜約30℃の室温である。
【0005】各磁性層の保磁力と温度の関係は、室温で
はM層の保磁力が最も大きく、次いでW層,I層,S層
の順である。S層は最も保磁力及びキュリー温度が低
く、100〜130℃程度で磁化が消失する。W層とI
層は補償温度付近で保磁力が発散する。また、M層とW
層を比較すると、M層は相対的に低いキュリー温度Tc1
と高い保磁力を有し、W層はM層に比べて相対的に高い
キュリー温度Tc2と低い保磁力を有する。
【0006】同図において、オーバーライト前の状態は
Troomの状態であり、M層のTM副格子磁化が下向き
(最上段左から1番目の状態で、仮に2値情報の”1”
とする)か、若しくはM層のTM副格子磁化が上向き
(最下段左から1番目の状態で、仮に2値情報の”0”
とする)の2状態のいずれかである。低温プロセスで
は、高低の2レベルにパルス変調されたレーザビームの
低レベルビームが照射されることにより、前記2状態の
いずれかから出発して昇温され、Troomに戻ったときに
は”1”状態に統一される。このとき、”0”状態から
出発した場合は、W層がTcomp2 の前後でTM副格子磁
化とRE副格子磁化の大小関係が反転し、Tcomp2 より
も高温で正味の磁化方向が下向きに変化するため、その
交換結合力によりM層の磁化方向を反転させ、”1”状
態に変化する。
【0007】また、高温プロセスでは、レーザビームの
高レベルビームが照射されることにより、前記2状態の
いずれかから出発して昇温され、Troomに戻ったときに
は”0”状態に統一される。この場合、いずれの状態か
ら出発しても、M層とS層の磁化が消失しW層の磁化も
消失するかきわめて小さい状態(最下段右から1又は2
番目の状態)まで昇温される。このとき、バイアス磁界
によりW層の正味の磁化方向が反転し、Tc1付近で交換
結合力によりM層の磁化方向を揃わせ、”0”状態とす
る。降温するにつれ、W層はTcomp2 付近でTM副格子
磁化とRE副格子磁化の大小関係が反転し、TroomでS
層を通してI層の交換結合力により初期化される。そし
て、高温プロセス後の”0”状態では、M層とW層の各
々のTM副格子磁化とRE副格子磁化の方向が異なるた
め、その界面に界面磁壁が生じる。
【0008】このようなオーバーライト動作が可能な媒
体において、M層よりも基板側に読出し専用の再生層
(Readout layer で、以下、R層という)を設けた例
(1)〜(5)が、以下のように提案されている。
【0009】(1)R層,M層,交換結合力調整層(In
terface wall energy controlling layer で、以下、i
nt層という),W層の少なくとも4層を含み、R層が
GdFeCo,M層がTbFeCo,int層がGdF
eCo,W層がDyFeCoからなり、C/N比が53
dBを越えるようにしたもの(特開平7−29231号
公報参照)。
【0010】(2)M層より高いキュリー点を有するR
層,R層に交換結合し垂直磁化膜からなるM層,M層に
交換結合し垂直磁化膜からなるW層の少なくとも3層を
有し、R層をRE−TM合金ターゲットによるスパッタ
リングで成膜し、M層とW層はREターゲット及びTM
ターゲットの2元同時スパッタリングで成膜することに
より、M層からR層へのデータの転写性の向上、カー回
転角の増大、耐久性の向上及び初期化磁界の低減等を実
現したもの(特開平7−85519号公報参照)。
【0011】(3)R層,M層,中間層(int層),
記録層(W層)の少なくとも4層を有し、R層がGdF
eCoであって、Gdの比率が23.0〜25.5(原
子%)であり、これにより、十分に高いC/N比が得ら
れるもの(特開平7−73518号公報参照)。
【0012】(4)第1磁性層(R層),第2磁性層
(M層),第3磁性層(int層あるいはS層),第4
磁性層(W層)を有し、又は第1磁性層(R層),第2
磁性層(M層),第3磁性層(W層)を有するものにお
いて、各層間に働く交換結合力を規定したもの(特開昭
63−237238号公報、特開昭63−195845
号公報、特開昭63−48637号公報参照)。
【0013】(5)室温で面内磁化状態で温度上昇時に
垂直磁化状態となるR層と、室温で補償組成のM層との
間に、厚さ20nmのAlN干渉層を設け、M層を反射
層とした光学的干渉構造を形成することにより、カー回
転角の増大及び記録磁界の大幅な低減効果が得られるも
の(電気学会研究会資料 MAG-96-91 〜102 ,1996.7.1
3 )。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例(1),(3),(4)では、R層とM層が交換結
合しているため、オーバーライトする際にW層の磁化を
M層とR層の両方に転写する必要が生じ、そのためには
W層の保磁力をR層がない場合よりも相当に大きくしな
ければならない。W層の保磁力を大きくしようとすれ
ば、Msw(W層の磁化)とtw (W層の膜厚)の積Msw
・tw を大きくしなければならず、従ってW層の膜厚が
かなり厚くなっていた。更に、W層を初期化するための
I層も、同様に厚膜化する必要が生じ、その結果、磁性
層全体が厚くなっていた。すると、熱伝導性が低下して
情報の記録・消去の感度が低下していた。
【0015】従来例(2)では、M層のR層との界面に
おいて、2元同時スパッタリング開始時のスパッタムラ
によるREかTMのムラができやすく、そのためR層の
交換結合力に分布が生じ、特にディスク状の媒体の場合
その周方向で交換結合力の分布が発生し、BER(Bit
Error Rate)等の増大を招くというような問題点があっ
た。
【0016】また、従来例(5)では、R層とM層に設
けられるAlN干渉層の厚みが20nm(200Å)と
厚いため、情報の記録・消去の感度が低下するという問
題があった。
【0017】従って、本発明は上記事情に鑑みて完成さ
れたものであり、その目的は、R層を有するオーバーラ
イト可能な媒体において、R層とM層が実質的に交換結
合しないようにし、静磁結合でもって磁化を転写するよ
うに構成し、その結果磁性層全体を薄膜化でき、また情
報の記録・消去の感度、即ちC/N比等を向上させるこ
とにある。
【0018】
【課題を解決するための手投】本発明の光磁気記録媒体
は、基板上に、垂直磁気異方性の再生層と、垂直磁気異
方性の記録層と、該記録層より高いキュリー温度を有す
る垂直磁気異方性の記録補助層との少なくとも3つの磁
性層を順次積層して成る光磁気記録媒体であって、前記
再生層は室温より高い温度に補償温度を有し、前記記録
層は室温で再生層よりも高い保磁力及び前記補償温度で
再生層よりも低い保磁力を有し、前記再生層と記録層と
の間に、膜厚が1Å〜30Åの非磁性体層、又は、全動
作温度範囲で面内方向に磁化容易軸を有する磁性層が設
けられていることを特徴とし、前記非磁性体層又は全動
作温度範囲で面内方向に磁化容易軸を有する磁性層によ
り再生層と記録層との交換結合力を、実質的に再生層と
記録層とが交換結合しないように制御して、記録層の漏
洩磁場による静磁結合でもって再生層に磁化方向を転写
するようにして、結果的に磁性層全体を薄膜化できるよ
うにする。
【0019】また、好ましくは、前記非磁性体層がS
i,Al,Cu,Ti,Cr,Cの単体若しくはこれら
の酸化物あるいは窒化物、又は前記単体,酸化物,窒化
物のうち少なくとも1種を含むものである。
【0020】更に、全動作温度範囲で面内方向に磁化容
易軸を有する磁性層の場合、その膜厚は1Å〜30Åが
良く、またその材質はGd,Tb,Dyの少なくとも1
種と、Fe,Coの少なくとも1種とを含むRE−TM
非晶質合金が好適である。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の媒体Mの基本的な磁性層
構成の部分断面図を図1に示す。同図において、1はポ
リカーボネート等のプラスチック,ガラス等の材料から
成り、プリグルーブが形成されたディスク状の基板、2
はサイアロン(Si,Al,O,Nの非晶質膜),イッ
トリウムサイアロン(Y,Si,Al,O,Nの非晶質
膜),Si3 4 ,SiO2 等から成る保護層である。
【0022】また、3は垂直磁化が上向きか下向きかに
より2値情報(0,1)を記録再生するためのR層、4
aはCu等からなる非磁性体層、5はR層に記録情報
(磁化方向)を転写するM層、6は高温でバイアス磁界
によって磁化方向が反転可能とされたW層、7は低キュ
リー温度であり、高温でその上下の磁性層の交換結合を
遮断するS層、8はこれらの磁性層の中で最もキュリー
温度が高く、S層7とW層6の磁化方向を降温時に初期
化するI層である。
【0023】そして、9はサイアロン,イットリウムサ
イアロン,Si3 4 ,AlTi,SiO2 等から成る
保護層である。前記保護層2,9は磁性層の損傷、酸化
を防止するために設けられる。そして、上記各磁性層は
全動作温度範囲(室温〜約300℃)内で垂直磁気異方
性を示す。
【0024】上記各磁性層は、基本的にCr,Fe,C
o,Ni,Cu等のTMと、Nd,Sm,Gd,Tb,
Dy,Ho等のREとの非晶質合金から成る。例えば、
各磁性層はTbFe,TbFeCo,GdFeCo,G
dTbFeCo等から成る。
【0025】本発明において、R層3とM層5との間に
非磁性体層(以下、cut層aという)4aを設けたも
のを第1実施形態とし、全動作温度範囲で面内方向に磁
化容易軸を有する磁性層(以下、cut層bという)4
bを設けたものを第2実施形態とする。
【0026】まず、第1実施形態について説明する。c
ut層a(4a)の厚みは1Å〜30Åであり、1Å未
満では膜厚が不均一になり易く、またR層3とM層5間
に強い交換結合力が働くことになり、30Å超では静磁
結合が弱くなりM層5からR層3への磁化方向の転写が
困難になる。
【0027】また、cut層a(4a)は、Si,A
l,Cu,Ti,Cr,Cの単体若しくはこれらの酸化
物あるいは窒化物、又は前記単体,酸化物,窒化物のう
ち少なくとも1種を含むものから成るのが、膜厚及び膜
質の制御が容易であり好ましい。
【0028】第1実施形態において、R層3は補償温度
が約80℃〜120℃であるのが好ましく、この範囲か
らはずれると再生時の垂直磁化が弱くなり、C/N比等
が劣化する。また、そのキュリー温度は約300℃〜4
00℃が好適であり、300℃未満ではカー回転角不足
でC/N比が低下し、400℃超では垂直磁化が困難に
なる。
【0029】上記のような特性のR層3とするには、G
dFeCo,GdTbFeCo,GdDyFeCoとい
った組成の磁性層が良く、その組成比は25at%≦G
d≦35at%,1at%≦Tb≦3at%,1at%
≦Dy≦5at%,25at%≦Fe≦35at%,2
0at%≦Co≦30at%の範囲内とするのが、約8
0℃〜120℃の補償温度と約300℃〜400℃のキ
ュリー温度を実現でき好ましい。
【0030】また、R層3の厚みは100〜400Åが
良く、100Å未満ではC/N比が低下し、400Å超
ではオーバーライト動作が困難になる。
【0031】一方、M層5については、室温でR層3よ
りも高い保磁力及びR層3の補償温度でR層3よりも低
い保磁力を有するものであり、そのキュリー温度は約1
80℃〜240℃が好適であり、180℃未満ではC/
N比が低下し、240℃超ではW層6のキュリー温度と
同等以上となるため、W層6からM層5へ転写する際の
転写可能な温度幅が狭くなり、記録パワーの設定が困難
になる。
【0032】また、M層5の組成はTbFeCo,Tb
DyFeCo等が良く、その組成比は20at%≦Tb
≦30at%,0at%<Dy≦10at%,50at
%≦Fe≦75at%,0at%<Co≦15at%
が、キュリー温度が約180℃〜240℃となる。
【0033】M層5の厚みは100〜300Åが良く、
100Å未満ではM層5からR層3への静磁結合が弱ま
るため磁化の転写が困難になり、300Å超ではW層6
からM層5への交換結合力による磁化の転写が困難にな
る。
【0034】そして、W層6,S層7,I層8について
は基本的には従来のものと同様であるが、これらの膜厚
を薄膜化できる点に本発明の一つの特徴がある。また、
M層5とW層6との間に、これらの交換結合力を調整す
るためのint層を設けてもよい。
【0035】上記のcut層a(4a)を設けたものに
おける、オーバーライトによるM層5からR層3への磁
化方向の転写メカニズムを図3に示す。同図において、
20はM層5の漏洩磁界、21はレーザビームであり、
他は図1と同じものである。また、同図(a)はオーバ
ーライト前の室温での磁化状態、(b)はレーザビーム
21が照射され温度がR層3の補償温度付近になった部
分(ピット)の磁化状態、(c)はレーザビーム21が
照射されたピットでオーバーライト後に、M層5,R層
3の磁化方向がW層6(図示せず)により反転したもの
である。
【0036】このように、室温の(a)では、M層5の
保磁力がR層3よりも大きいため、M層5の漏洩磁界2
0による静磁結合でもって、前記漏洩磁界20の方向に
R層3の正味の磁化方向が揃っている。そして、(b)
のように温度が上昇すると、M層5の磁化は徐々に消失
していき、同時に漏洩磁界20もほとんどなくなり、R
層3との静磁結合が相当に弱くなる。このとき、R層3
はその補償温度の前後にあり、図5の転写温度を越えて
いるため、この温度付近ではR層3の保磁力の方がM層
5よりも大きくなり、M層5の磁化方向のみがW層6に
揃わされる。尚、図5のTcomp5 はR層3の補償温度
で、Hc は保磁力(kOe)である。
【0037】更に、温度が下降し室温付近に戻った
(c)では、M層5の保磁力がR層3よりも大きくなる
ため、漏洩磁界20による静磁結合でもって、R層3の
正味の磁化方向が揃うことになる。
【0038】上記の動作を各ピットに対して行うことに
より、W層6の磁化方向を結果的にR層3に転写でき、
またW層6はM層5とだけ交換結合すればよいことにな
る。従って、W層6の保磁力を小さく設定でき、薄膜化
することが可能となる。
【0039】次いで、第2実施形態について説明する。
cut層b(4b)の膜厚は1Å〜30Åが良く、1Å
未満では膜厚が不均一になり易く、またR層3とM層5
間に強い交換結合力が働くことになり、30Å超では静
磁結合が弱くなりM層5からR層3への磁化方向の転写
が困難になる。
【0040】また、その材質はGd,Tb,Dyの少な
くとも1種と、Fe,Coの少なくとも1種とを含むR
E−TM非晶質合金が、膜厚、組成比等を制御すること
により磁気的特性をコントロールし易いといった点で好
ましい。
【0041】そして、R層3の補償温度,キュリー温
度,組成,組成比,膜厚、M層5のキュリー温度,組
成,組成比,膜厚といったパラメータにおいて、好適な
範囲は第1実施形態と同様である。
【0042】また、W層6,S層7,I層8については
基本的には従来のものと同様であるが、これらの膜厚を
薄膜化できる点に本発明の一つの特徴があり、また、M
層5とW層6との間にこれらの交換結合力を調整するた
めのint層を設けてもよい。
【0043】上記のcut層b(4b)を設けたものに
おける、オーバーライトによるM層5からR層3への磁
化方向の転写メカニズムを図4に示す。同図において、
22はcut層b(4b)の磁化容易軸方向であり、他
は図1,図3と同じものである。また、同図(a)はオ
ーバーライト前の室温での磁化状態、(b)はレーザビ
ーム21が照射され温度がR層3の補償温度付近になっ
た部分(ピット)の磁化状態、(c)はレーザビーム2
1が照射されたピットでオーバーライト後に、M層5,
R層3の磁化方向がW層6(図示せず)により反転した
ものである。
【0044】このように、室温の(a)ではM層5の保
磁力がR層3よりも大きいため、M層5の漏洩磁界20
による静磁結合でもって、漏洩磁界20の方向にR層3
の正味の磁化方向が揃っている。このとき、cut層b
(4b)の磁化容易軸方向22は常時面内方向を向いて
いる。そして、(b)のように温度が上昇すると、M層
5の磁化は徐々に消失していき、同時に漏洩磁界20も
ほとんどなくなり、R層3との静磁結合がかなり弱くな
る。このとき、R層3はその補償温度の前後にあり、図
5の転写温度を越えているため、この温度付近ではR層
3の保磁力の方がM層5よりも大きくなり、M層5の磁
化方向のみがW層6に揃わされる。
【0045】更に、温度が下降し室温付近に戻った
(c)では、M層5の保磁力がR層3よりも大きくなる
ため、漏洩磁界20による静磁結合でもって、R層3の
正味の磁化方向が揃うことになる。
【0046】上記の動作を各ピットに対して行うことに
より、W層6の磁化方向を結果的にR層3に転写でき、
またW層6はM層5とだけ交換結合すればよいことにな
る。従って、W層6の保磁力を小さく設定でき、薄膜化
することが可能となる。
【0047】上記2つの実施形態において、勿論W層6
はオーバーライト後の降温過程で、S層7を通じてI層
8の交換結合力により初期化される。また、本発明で
は、基本的にM層5,W層6,S層7,I層8の4層を
備えたものについて説明したが、S層7,I層8は必ず
しも必要ではなく、S層7がある方がW層6のバイアス
磁界による磁化方向の反転がスムーズにでき、I層8が
ある方が別個の初期化用磁石が不要なため情報再生装置
が小型化され好ましい。
【0048】かくして、本発明の光磁気記録媒体は、c
ut層a(4a)又はcut層b(4b)によりR層3
とM層5との交換結合力を制御して、実質的にR層3と
M層5が交換結合しないようにし、M層5の漏洩磁場に
よる静磁結合でもってR層3に磁化方向を転写するよう
にして、結果的に磁性層全体を薄膜化でき、これによ
り、C/N比等の情報の記録・消去の感度を向上し得る
という作用効果を有する。
【0049】本発明において、各磁性層を基板の両面に
積層するか、片面に各磁性層を積層した2枚の基板を貼
り付けることにより、2倍の記録密度としてもよい。ま
た、レーザビームをパルス変調する光強度変調方式によ
るオーバーライトに限らず、熱磁気記録によるものであ
れば他の手段によってもオーバーライトできる。
【0050】尚、本発明は上記の実施形態に限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々
の変更は何等差し支えない。
【0051】
【実施例】本発明の実施例を以下に説明する。
【0052】(実施例1)まず、図1に示すような、ポ
リカーボネートから成るディスク状の基板1上に、アモ
ルファスSiN(800Å)から成る保護層2をスパッ
タリング法により成膜した。
【0053】次いで、REリッチ,膜厚約200Å,保
磁力1kOe,キュリー温度約350℃,補償温度約1
00℃のGd33Fe37Co30からなるR層3、Cu等か
らなるcut層a(4a)、TMリッチ,膜厚約200
Å,保磁力13kOe,キュリー温度約190℃のTb
23Fe70Co7 からなるM層5、REリッチ,膜厚約1
00Å,保磁力0.5kOe,キュリー温度約240℃
のGd30Fe65Co15からなるint層(図示せず)、
REリッチ,膜厚約200Å,保磁力7kOe,キュリ
ー温度約240℃,補償温度約150℃のDy27Fe40
Co33からなるW層6、TMリッチ,膜厚約100Å,
保磁力4kOe,キュリー温度約130℃のTb22Fe
78からなるS層7、REリッチ,膜厚約200Å,キュ
リー温度約310℃,補償温度約220℃のTb22Fe
10Co68からなるI層8を、スパッタリング法により順
次積層した。
【0054】更に、アモルファスSiN(800Å)か
ら成る保護層9をスパッタリング法により成膜し、保護
層9の上に紫外線防止用の樹脂層をコートして光磁気デ
ィスクを作製した。
【0055】そして、上記cut層a(4a)の組成及
び膜厚を種々の値にしたときの記録パワー、消去パワ
ー、C/N比を表1に示す。表1において、比較例1は
cut層a(4a)がなく、W層6の膜厚を600Å
に、I層8の膜厚を800Åにした以外は実施例1と同
様に構成したもので、比較例2はcut層a(4a)が
ない以外は実施例1と同様に構成したものである。ま
た、比較例3〜7はcut層a(4a)の厚みを40Å
としたものである。尚、表1中でαはアモルファスを意
味する。
【0056】
【表1】
【0057】表1に示すように、実施例1〜20のもの
はいずれも記録パワー10〜12mW、消去パワー3〜
5mWで記録・消去が可能で、C/N比も48〜52d
Bと高い値を示した。一方、比較例1は記録パワー18
mW、消去パワー10mWと大きなパワーが必要で、C
/N比も35dBと低下した。比較例2はオーバーライ
トが不可能であった。更に、比較例3〜7では、記録パ
ワー及び消去パワーに大きな変化はなかったが、C/N
比が低下した。
【0058】因みに、オーバーライトの条件は以下のよ
うなものであった。最初に回転数3000rpm、初期
化磁界5KOeで12mWのレーザビームを照射して初
期化し、その後、バイアス磁界300Oeの下でパルス
変調されたレーザビームを照射して、5.8MHzの信
号をオーバーライトし、1.5mWの再生用レーザで再
生したときのものである。
【0059】(実施例2)cut層a(4a)の代わり
にcut層b(4b)を設けた以外は実施例1と同様に
して構成した。
【0060】そして、上記cut層b(4b)の組成及
び膜厚を種々の値にしたときの記録パワー、消去パワ
ー、C/N比を表2に示す。表2において、比較例1は
cut層b(4b)がなく、W層6の膜厚を600Å
に、I層8の膜厚を800Åにした以外は実施例2と同
様に構成したもので、比較例2はcut層b(4b)が
ない以外は実施例2と同様に構成したものである。ま
た、比較例3はcut層b(4b)の厚みを40Åとし
たもので、比較例4はcut層b(4b)が垂直磁気異
方性のものである。
【0061】
【表2】
【0062】表2に示すように、実施例1〜24のもの
はいずれも記録パワー10mW、消去パワー3mWで記
録・消去が可能で、C/N比も48〜50dBと高い値
を示した。一方、比較例1は記録パワー18mW、消去
パワー10mWと大きなパワーが必要で、C/N比も3
5dBと低下した。比較例2と4はオーバーライトが不
可能であった。更に、比較例3では、記録パワー及び消
去パワーに変化はなかったが、C/N比が低下した。
尚、本実施例2でのオーバーライトの条件は実施例1と
同様とした。
【0063】
【発明の効果】本発明の光磁気記録媒体は、R層とM層
との間に膜厚が1Å〜30Åのcut層aを設ける、又
は全動作温度範囲で面内方向に磁化容易軸を有するcu
t層bを設けることにより、R層とM層間の交換結合力
を制御して、実質的にR層とM層が交換結合しないよう
にし、M層の漏洩磁場による静磁結合でもってR層に磁
化方向を転写するようにしたものである。これにより、
W層はM層にのみ交換結合して磁化方向を転写すればよ
いので、W層のみならずI層も薄膜化でき、結果的に磁
性層全体がきわめて薄くなる。また、薄膜化により熱伝
導性、放熱性が向上し、そのためC/N比等の情報の記
録・消去の感度も向上するという優れた効果を有する。
【0064】また、本発明の光磁気記録媒体はオーバー
ライト可能な媒体であればよく、光磁気ディスク、光磁
気カード、光磁気テープ等に応用可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光磁気記録媒体Mの磁性層構成の部分
断面図である。
【図2】従来の光磁気記録媒体M1 の磁性層構成の部分
断面図である。
【図3】本発明のR層,cut層a,M層の温度による
磁化状態を説明する部分断面図で、(a)はオーバーラ
イト前の室温における部分断面図、(b)はレーザビー
ム照射による昇温時の部分断面図、(c)はオーバーラ
イト後の室温における部分断面図である。
【図4】本発明のR層,cut層b,M層の温度による
磁化状態を説明する部分断面図で、(a)はオーバーラ
イト前の室温における部分断面図、(b)はレーザビー
ム照射による昇温時の部分断面図、(c)はオーバーラ
イト後の室温における部分断面図である。
【図5】本発明のR層,M層の温度による保磁力の変化
を示すグラフである。
【図6】光磁気記録媒体のオーバーライト動作のメカニ
ズムを説明する磁化の状態図である。
【符号の説明】
1:基板 2:保護層 3:R層 4a:cut層a 4b:cut層b 5:M層 6:W層 7:S層 8:I層 9:保護層

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基板上に、垂直磁気異方性の再生層と、垂
    直磁気異方性の記録層と、該記録層より高いキュリー温
    度を有する垂直磁気異方性の記録補助層との少なくとも
    3つの磁性層を順次積層して成る光磁気記録媒体であっ
    て、前記再生層は室温より高い温度に補償温度を有し、
    前記記録層は室温で再生層よりも高い保磁力及び前記補
    償温度で再生層よりも低い保磁力を有し、前記再生層と
    記録層との間に、膜厚が1Å〜30Åの非磁性体層、又
    は、全動作温度範囲で面内方向に磁化容易軸を有する磁
    性層が設けられていることを特徴とする光磁気記録媒
    体。
JP17501597A 1997-06-30 1997-06-30 光磁気記録媒体 Pending JPH1125533A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100782796B1 (ko) * 2006-10-31 2007-12-05 삼성전기주식회사 발진 주파수의 조정이 가능한 rc 발진회로와 그 발진방법

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KR100782796B1 (ko) * 2006-10-31 2007-12-05 삼성전기주식회사 발진 주파수의 조정이 가능한 rc 발진회로와 그 발진방법

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