JPH1125532A - 光磁気記録媒体 - Google Patents
光磁気記録媒体Info
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- JPH1125532A JPH1125532A JP17258097A JP17258097A JPH1125532A JP H1125532 A JPH1125532 A JP H1125532A JP 17258097 A JP17258097 A JP 17258097A JP 17258097 A JP17258097 A JP 17258097A JP H1125532 A JPH1125532 A JP H1125532A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】R層とM層との交換結合力を所望の程度に弱
め、その結果、磁性層全体を薄膜化しかつオーバーライ
トを安定的かつ容易に行えるようにする。 【解決手段】R層3とM層4との間に位置し、R層3及
び/又はM層4にO,N,H,不活性ガス元素の少なく
とも1種を含有させて成るint層3aが設けられてい
る。
め、その結果、磁性層全体を薄膜化しかつオーバーライ
トを安定的かつ容易に行えるようにする。 【解決手段】R層3とM層4との間に位置し、R層3及
び/又はM層4にO,N,H,不活性ガス元素の少なく
とも1種を含有させて成るint層3aが設けられてい
る。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光強度変調方式等
の熱磁気記録により2値情報をオーバーライト可能で、
カー効果等の磁気光学効果により再生を行う光磁気記録
媒体に関する。
の熱磁気記録により2値情報をオーバーライト可能で、
カー効果等の磁気光学効果により再生を行う光磁気記録
媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の光変調ダイレクトオーバーライト
(以下、オーバーライトという)が可能な光磁気記録媒
体(以下、媒体と略す)M1 の磁性層構成を図2に示
す。同図は、媒体M1 の部分断面図であり、上向き磁化
か下向き磁化とすることにより2値情報(0,1)を記
録する記録層(Memory layerで、以下、M層と略す)1
2と、M層12よりも高いキュリー温度と室温超の所定
温度以上でM層12よりも大きな保磁力を有し、外部の
バイアス磁界(記録磁界)により昇温時に磁化方向が反
転可能な記録補助層(Writing layer で、以下、W層と
略す)13と、キュリー温度が最も低く高温で磁化が消
失してW層13と初期化層(I層)15間の交換結合力
を遮断する制御層(Switching layer で、以下、S層と
略す)14と、これらの磁性層の中で最もキュリー温度
が高く降温時にS層14を通じてW層13の磁化方向を
初期化する初期化層(Initializing layerで、以下、I
層と略す)15とを、基板11上に順次積層して、オー
バーライト可能としたものが提案されている。
(以下、オーバーライトという)が可能な光磁気記録媒
体(以下、媒体と略す)M1 の磁性層構成を図2に示
す。同図は、媒体M1 の部分断面図であり、上向き磁化
か下向き磁化とすることにより2値情報(0,1)を記
録する記録層(Memory layerで、以下、M層と略す)1
2と、M層12よりも高いキュリー温度と室温超の所定
温度以上でM層12よりも大きな保磁力を有し、外部の
バイアス磁界(記録磁界)により昇温時に磁化方向が反
転可能な記録補助層(Writing layer で、以下、W層と
略す)13と、キュリー温度が最も低く高温で磁化が消
失してW層13と初期化層(I層)15間の交換結合力
を遮断する制御層(Switching layer で、以下、S層と
略す)14と、これらの磁性層の中で最もキュリー温度
が高く降温時にS層14を通じてW層13の磁化方向を
初期化する初期化層(Initializing layerで、以下、I
層と略す)15とを、基板11上に順次積層して、オー
バーライト可能としたものが提案されている。
【0003】このような、M層,W層,S層,I層を有
するタイプの光強度変調方式によるオーバーライトの基
本的なメカニズムを図4により説明すると、各磁性層の
正味の磁化方向は遷移金属元素(Transition Metal ele
mentで、以下、TMという)副格子磁化と希土類元素
(Rare Earth elementで、以下、REという)副格子磁
化の合成ベクトルで表され、カー効果による情報の読出
(再生)にはTM副格子磁化が関与する(日本応用磁気
学会誌 Vol.14,p165-170,NO.2,1990 参照)。磁気的組
成は、M層がTMリッチ(TM副格子磁化が磁気的に優
勢)、W層がREリッチ(RE副格子磁化が磁気的に優
勢)、S層がTMリッチ、I層がREリッチで、W層と
I層が室温Troomよりも高温で補償温度を有する。
するタイプの光強度変調方式によるオーバーライトの基
本的なメカニズムを図4により説明すると、各磁性層の
正味の磁化方向は遷移金属元素(Transition Metal ele
mentで、以下、TMという)副格子磁化と希土類元素
(Rare Earth elementで、以下、REという)副格子磁
化の合成ベクトルで表され、カー効果による情報の読出
(再生)にはTM副格子磁化が関与する(日本応用磁気
学会誌 Vol.14,p165-170,NO.2,1990 参照)。磁気的組
成は、M層がTMリッチ(TM副格子磁化が磁気的に優
勢)、W層がREリッチ(RE副格子磁化が磁気的に優
勢)、S層がTMリッチ、I層がREリッチで、W層と
I層が室温Troomよりも高温で補償温度を有する。
【0004】M層のキュリー温度をTc1、W層のキュリ
ー温度をTc2及び補償温度をTcomp2 、S層のキュリー
温度をTc3、I層のキュリー温度をTc4及び補償温度を
Tcomp4 とすると、Troom<Tc3<Tcomp2 <Tc1<T
comp4 <Tc2<Tc4である。また、低温プロセスによる
ローパワー記録(以下、ロー記録という)時の最高温度
をTL 、高温プロセスによるハイパワー記録(以下、ハ
イ記録という)時の最高温度をTH とすると、TL ≒T
c1でTH ≒Tc2である。尚、ロー記録及びハイ記録は、
高低の2値にパルス変調されたレーザビーム等を媒体に
照射することにより行われ、低レベルのレーザビームの
照射部(ビット)でロー記録、高レベルのレーザビーム
の照射部(ビット)でハイ記録となる。また、Troomは
約20℃〜約30℃の室温である。
ー温度をTc2及び補償温度をTcomp2 、S層のキュリー
温度をTc3、I層のキュリー温度をTc4及び補償温度を
Tcomp4 とすると、Troom<Tc3<Tcomp2 <Tc1<T
comp4 <Tc2<Tc4である。また、低温プロセスによる
ローパワー記録(以下、ロー記録という)時の最高温度
をTL 、高温プロセスによるハイパワー記録(以下、ハ
イ記録という)時の最高温度をTH とすると、TL ≒T
c1でTH ≒Tc2である。尚、ロー記録及びハイ記録は、
高低の2値にパルス変調されたレーザビーム等を媒体に
照射することにより行われ、低レベルのレーザビームの
照射部(ビット)でロー記録、高レベルのレーザビーム
の照射部(ビット)でハイ記録となる。また、Troomは
約20℃〜約30℃の室温である。
【0005】各磁性層の保磁力と温度の関係は、室温で
はM層の保磁力が最も大きく、次いでW層,I層,S層
の順である。S層は最も保磁力及びキュリー温度が低
く、100〜130℃程度で磁化が消失する。W層とI
層は補償温度付近で保磁力が発散する。また、M層とW
層を比較すると、M層は相対的に低いキュリー温度Tc1
と高い保磁力を有し、W層はM層に比べて相対的に高い
キュリー温度Tc2と低い保磁力を有する。
はM層の保磁力が最も大きく、次いでW層,I層,S層
の順である。S層は最も保磁力及びキュリー温度が低
く、100〜130℃程度で磁化が消失する。W層とI
層は補償温度付近で保磁力が発散する。また、M層とW
層を比較すると、M層は相対的に低いキュリー温度Tc1
と高い保磁力を有し、W層はM層に比べて相対的に高い
キュリー温度Tc2と低い保磁力を有する。
【0006】同図において、オーバーライト前の状態は
室温Troomの状態であり、M層のTM副格子磁化が下向
き(最上段左から1番目の状態で、仮に2値情報の”
1”とする)か、若しくはM層のTM副格子磁化が上向
き(最下段左から1番目の状態で、仮に2値情報の”
0”とする)の2状態のいずれかである。低温プロセス
では、高低の2レベルにパルス変調されたレーザビーム
の低レベルビームが照射されることにより、前記2状態
のいずれかから出発して昇温され、室温Troomに戻った
ときには”1”状態に統一される。このとき、”0”状
態から出発した場合は、W層がTcomp2 の前後でTM副
格子磁化とRE副格子磁化の大小関係が反転し、Tcomp
2 よりも高温で正味の磁化方向が下向きに変化するた
め、その交換結合力によりM層の磁化方向を反転さ
せ、”1”状態に変化する。
室温Troomの状態であり、M層のTM副格子磁化が下向
き(最上段左から1番目の状態で、仮に2値情報の”
1”とする)か、若しくはM層のTM副格子磁化が上向
き(最下段左から1番目の状態で、仮に2値情報の”
0”とする)の2状態のいずれかである。低温プロセス
では、高低の2レベルにパルス変調されたレーザビーム
の低レベルビームが照射されることにより、前記2状態
のいずれかから出発して昇温され、室温Troomに戻った
ときには”1”状態に統一される。このとき、”0”状
態から出発した場合は、W層がTcomp2 の前後でTM副
格子磁化とRE副格子磁化の大小関係が反転し、Tcomp
2 よりも高温で正味の磁化方向が下向きに変化するた
め、その交換結合力によりM層の磁化方向を反転さ
せ、”1”状態に変化する。
【0007】また、高温プロセスでは、レーザビームの
高レベルビームが照射されることにより、前記2状態の
いずれかから出発して昇温され、Troomに戻ったときに
は”0”状態に統一される。この場合、いずれの状態か
ら出発しても、M層とS層の磁化が消失しW層の磁化も
消失するかきわめて小さい状態(最下段右から1又は2
番目の状態)まで昇温される。このとき、バイアス磁界
によりW層の正味の磁化方向が反転し、Tc1付近で交換
結合力によりM層の磁化方向を揃わせ、”0”状態とす
る。降温するにつれ、W層はTcomp2 付近でTM副格子
磁化とRE副格子磁化の大小関係が反転し、室温Troom
でS層を通してI層の交換結合力により初期化される。
そして、高温プロセス後の”0”状態では、M層とW層
の各々のTM副格子磁化とRE副格子磁化の方向が異な
るため、その界面に界面磁壁が生じる。
高レベルビームが照射されることにより、前記2状態の
いずれかから出発して昇温され、Troomに戻ったときに
は”0”状態に統一される。この場合、いずれの状態か
ら出発しても、M層とS層の磁化が消失しW層の磁化も
消失するかきわめて小さい状態(最下段右から1又は2
番目の状態)まで昇温される。このとき、バイアス磁界
によりW層の正味の磁化方向が反転し、Tc1付近で交換
結合力によりM層の磁化方向を揃わせ、”0”状態とす
る。降温するにつれ、W層はTcomp2 付近でTM副格子
磁化とRE副格子磁化の大小関係が反転し、室温Troom
でS層を通してI層の交換結合力により初期化される。
そして、高温プロセス後の”0”状態では、M層とW層
の各々のTM副格子磁化とRE副格子磁化の方向が異な
るため、その界面に界面磁壁が生じる。
【0008】このようなオーバーライト動作が可能な媒
体において、M層よりも基板側に読出し専用の再生層
(Readout layer で、以下、R層という)を設けた例
(1)〜(5)が、以下のように提案されている。
体において、M層よりも基板側に読出し専用の再生層
(Readout layer で、以下、R層という)を設けた例
(1)〜(5)が、以下のように提案されている。
【0009】(1)R層,M層,交換結合力調整層(In
terface wall energy controlling layer で、以下、i
nt層という),W層の少なくとも4層を含み、R層が
GdFeCo,M層がTbFeCo,int層がGdF
eCo,W層がDyFeCoからなり、C/N比が53
dBを越えるようにしたもの(特開平7−29231号
公報参照)。
terface wall energy controlling layer で、以下、i
nt層という),W層の少なくとも4層を含み、R層が
GdFeCo,M層がTbFeCo,int層がGdF
eCo,W層がDyFeCoからなり、C/N比が53
dBを越えるようにしたもの(特開平7−29231号
公報参照)。
【0010】(2)M層より高いキュリー点を有するR
層,R層に交換結合し垂直磁化膜からなるM層,M層に
交換結合し垂直磁化膜からなるW層の少なくとも3層を
有し、R層をRE−TM合金ターゲットによるスパッタ
リングで成膜し、M層とW層はREターゲット及びTM
ターゲットの2元同時スパッタリングで成膜することに
より、M層からR層へのデータの転写性の向上、カー回
転角の増大、耐久性の向上及び初期化磁界の低減等を実
現したもの(特開平7−85519号公報参照)。
層,R層に交換結合し垂直磁化膜からなるM層,M層に
交換結合し垂直磁化膜からなるW層の少なくとも3層を
有し、R層をRE−TM合金ターゲットによるスパッタ
リングで成膜し、M層とW層はREターゲット及びTM
ターゲットの2元同時スパッタリングで成膜することに
より、M層からR層へのデータの転写性の向上、カー回
転角の増大、耐久性の向上及び初期化磁界の低減等を実
現したもの(特開平7−85519号公報参照)。
【0011】(3)R層,M層,中間層(int層),
記録層(W層)の少なくとも4層を有し、R層がGdF
eCoであって、Gdの比率が23.0〜25.5(原
子%)であり、これにより、十分に高いC/N比が得ら
れるもの(特開平7−73518号公報参照)。
記録層(W層)の少なくとも4層を有し、R層がGdF
eCoであって、Gdの比率が23.0〜25.5(原
子%)であり、これにより、十分に高いC/N比が得ら
れるもの(特開平7−73518号公報参照)。
【0012】(4)第1磁性層(R層),第2磁性層
(M層),第3磁性層(int層あるいはS層),第4
磁性層(W層)を有し、又は第1磁性層(R層),第2
磁性層(M層),第3磁性層(W層)を有するものにお
いて、各層間に働く交換結合力を規定したもの(特開昭
63−237238号公報、特開昭63−195845
号公報、特開昭63−48637号公報参照)。
(M層),第3磁性層(int層あるいはS層),第4
磁性層(W層)を有し、又は第1磁性層(R層),第2
磁性層(M層),第3磁性層(W層)を有するものにお
いて、各層間に働く交換結合力を規定したもの(特開昭
63−237238号公報、特開昭63−195845
号公報、特開昭63−48637号公報参照)。
【0013】(5)室温で面内磁化状態で温度上昇時に
垂直磁化状態となるR層と、室温で補償組成のM層との
間に、厚さ20nmのAlN干渉層を設け、M層を反射
層とした光学的干渉構造を形成することにより、カー回
転角の増大及び記録磁界の大幅な低減効果が得られるも
の(電気学会研究会資料 MAG-96-91 〜102 ,1996.7.1
3 )。
垂直磁化状態となるR層と、室温で補償組成のM層との
間に、厚さ20nmのAlN干渉層を設け、M層を反射
層とした光学的干渉構造を形成することにより、カー回
転角の増大及び記録磁界の大幅な低減効果が得られるも
の(電気学会研究会資料 MAG-96-91 〜102 ,1996.7.1
3 )。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例(1),(3),(4)では、R層とM層が交換結
合しているため、オーバーライトする際にW層の磁化を
M層とR層の両方に転写する必要が生じ、そのためには
W層の保磁力をR層がない場合よりも相当に大きくしな
ければならない。W層の保磁力を大きくしようとすれ
ば、Msw(W層の磁化)とtw (W層の膜厚)の積Msw
・tw を大きくしなければならず、従ってW層の膜厚が
かなり厚くなっていた。更に、W層を初期化するための
I層も、同様に厚膜化する必要が生じ、その結果、磁性
層全体が厚くなっていた。すると、熱伝導性、放熱性が
低下して情報の記録・消去の感度が低下していた。
来例(1),(3),(4)では、R層とM層が交換結
合しているため、オーバーライトする際にW層の磁化を
M層とR層の両方に転写する必要が生じ、そのためには
W層の保磁力をR層がない場合よりも相当に大きくしな
ければならない。W層の保磁力を大きくしようとすれ
ば、Msw(W層の磁化)とtw (W層の膜厚)の積Msw
・tw を大きくしなければならず、従ってW層の膜厚が
かなり厚くなっていた。更に、W層を初期化するための
I層も、同様に厚膜化する必要が生じ、その結果、磁性
層全体が厚くなっていた。すると、熱伝導性、放熱性が
低下して情報の記録・消去の感度が低下していた。
【0015】従来例(2)では、M層のR層との界面に
おいて、2元同時スパッタリング開始時のスパッタムラ
によるREかTMのムラができやすく、そのためR層の
交換結合力に分布が生じ、特にディスク状の媒体の場合
その周方向で交換結合力のムラが発生し、BER(Bit
Error Rate)等の増大を招くというような問題点があっ
た。
おいて、2元同時スパッタリング開始時のスパッタムラ
によるREかTMのムラができやすく、そのためR層の
交換結合力に分布が生じ、特にディスク状の媒体の場合
その周方向で交換結合力のムラが発生し、BER(Bit
Error Rate)等の増大を招くというような問題点があっ
た。
【0016】また、従来例(5)では、R層とM層に設
けられるAlN干渉層の厚みが20nm(200Å)と
厚いため、放熱性に劣り情報の記録・消去の感度が低下
するという問題があった。
けられるAlN干渉層の厚みが20nm(200Å)と
厚いため、放熱性に劣り情報の記録・消去の感度が低下
するという問題があった。
【0017】従って、本発明は上記事情に鑑みて完成さ
れたものであり、その目的は、R層を有するオーバーラ
イト可能な媒体において、磁性層全体を薄膜化でき、そ
の結果、情報の記録・消去の感度、即ちC/N比等を向
上させることにある。
れたものであり、その目的は、R層を有するオーバーラ
イト可能な媒体において、磁性層全体を薄膜化でき、そ
の結果、情報の記録・消去の感度、即ちC/N比等を向
上させることにある。
【0018】
【課題を解決するための手投】本発明の光磁気記録媒体
は、基板上に、垂直磁気異方性の再生層と、垂直磁気異
方性の記録層と、該記録層より高いキュリー温度を有す
る垂直磁気異方性の記録補助層との少なくとも3つの磁
性層を順次積層して成る光磁気記録媒体であって、前記
再生層と前記記録層との間に位置し、前記再生層及び/
又は前記記録層にO,N,H,不活性ガス元素の少なく
とも1種を含有して成る交換結合力調整層が形成されて
いることを特徴とし、前記交換結合力調整層により再生
層と記録層との交換結合力を所望の程度に弱め、その結
果、記録補助層による磁化方向の転写を記録層にのみ行
うように、記録補助層の交換結合力を低下させることが
でき、結果的に磁性層全体を薄膜化しかつオーバーライ
トを安定的に行えるようにする。
は、基板上に、垂直磁気異方性の再生層と、垂直磁気異
方性の記録層と、該記録層より高いキュリー温度を有す
る垂直磁気異方性の記録補助層との少なくとも3つの磁
性層を順次積層して成る光磁気記録媒体であって、前記
再生層と前記記録層との間に位置し、前記再生層及び/
又は前記記録層にO,N,H,不活性ガス元素の少なく
とも1種を含有して成る交換結合力調整層が形成されて
いることを特徴とし、前記交換結合力調整層により再生
層と記録層との交換結合力を所望の程度に弱め、その結
果、記録補助層による磁化方向の転写を記録層にのみ行
うように、記録補助層の交換結合力を低下させることが
でき、結果的に磁性層全体を薄膜化しかつオーバーライ
トを安定的に行えるようにする。
【0019】また、好ましくは、前記交換結合力調整層
の厚みtm は1Å≦tm ≦30Åであり、また交換結合
力調整層におけるO,N,H,不活性ガス元素の混入の
割合(組成比)は10at%(原子%)以下である。
の厚みtm は1Å≦tm ≦30Åであり、また交換結合
力調整層におけるO,N,H,不活性ガス元素の混入の
割合(組成比)は10at%(原子%)以下である。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の媒体Mの基本的な磁性層
構成の部分断面図を図1に示す。同図において、1はポ
リカーボネート等のプラスチック,ガラス等の材料から
成り、プリグルーブが形成されたディスク状の基板、2
はサイアロン(Si,Al,O,Nの非晶質膜),イッ
トリウムサイアロン(Y,Si,Al,O,Nの非晶質
膜),Si3 N4 ,SiO2 等から成る保護層である。
構成の部分断面図を図1に示す。同図において、1はポ
リカーボネート等のプラスチック,ガラス等の材料から
成り、プリグルーブが形成されたディスク状の基板、2
はサイアロン(Si,Al,O,Nの非晶質膜),イッ
トリウムサイアロン(Y,Si,Al,O,Nの非晶質
膜),Si3 N4 ,SiO2 等から成る保護層である。
【0021】また、3は垂直磁化が上向きか下向きかに
より2値情報(0,1)を記録再生するためのR層、3
aはO,N,H,不活性ガス元素(Ar,Kr,Xe
等)の少なくとも1種を混入させた交換結合力調整層
(以下、int層という)、4は昇温時にR層に記録情
報(磁化方向)を転写するM層、5はM層4とW層6間
の交換結合力を調整するint層、6は高温でバイアス
磁界によって磁化方向が反転可能とされたW層、7は低
キュリー温度であり、高温でその上下の磁性層の交換結
合を遮断するS層、8はこれらの磁性層の中で最もキュ
リー温度が高く、S層7とW層6の磁化方向を降温時に
初期化するI層である。尚、本発明でいう高温とは、室
温(約20〜30℃)超で約300℃以下の範囲をい
う。
より2値情報(0,1)を記録再生するためのR層、3
aはO,N,H,不活性ガス元素(Ar,Kr,Xe
等)の少なくとも1種を混入させた交換結合力調整層
(以下、int層という)、4は昇温時にR層に記録情
報(磁化方向)を転写するM層、5はM層4とW層6間
の交換結合力を調整するint層、6は高温でバイアス
磁界によって磁化方向が反転可能とされたW層、7は低
キュリー温度であり、高温でその上下の磁性層の交換結
合を遮断するS層、8はこれらの磁性層の中で最もキュ
リー温度が高く、S層7とW層6の磁化方向を降温時に
初期化するI層である。尚、本発明でいう高温とは、室
温(約20〜30℃)超で約300℃以下の範囲をい
う。
【0022】そして、9はサイアロン,イットリウムサ
イアロン,Si3 N4 ,AlTi,SiO2 等から成る
保護層である。前記保護層2,9は磁性層の損傷、酸化
を防止するために設けられる。そして、上記各磁性層は
全動作温度範囲(室温〜約300℃)内で垂直磁気異方
性を示す。
イアロン,Si3 N4 ,AlTi,SiO2 等から成る
保護層である。前記保護層2,9は磁性層の損傷、酸化
を防止するために設けられる。そして、上記各磁性層は
全動作温度範囲(室温〜約300℃)内で垂直磁気異方
性を示す。
【0023】上記各磁性層は、基本的にCr,Fe,C
o,Ni,Cu等のTMと、Nd,Sm,Gd,Tb,
Dy,Ho等のREとの非晶質合金から成る。例えば、
各磁性層はTbFe,TbFeCo,GdFeCo,G
dTbFeCo等から成る。
o,Ni,Cu等のTMと、Nd,Sm,Gd,Tb,
Dy,Ho等のREとの非晶質合金から成る。例えば、
各磁性層はTbFe,TbFeCo,GdFeCo,G
dTbFeCo等から成る。
【0024】本発明のint層3aは、R層3とM層4
との間に位置し、両層の少なくともいずれかに形成すれ
ばよいが、以下R層3に設けた場合について説明する。
このint層3aの厚みtm は1Å≦tm ≦30Åが好
ましく、1Å未満ではR層3とM層4間の交換結合力を
弱めることがほとんどできず、30Å超ではR層3とM
層4間の交換結合力及び静磁結合が弱くなりすぎてM層
4からR層3への磁化方向の転写が困難になる。
との間に位置し、両層の少なくともいずれかに形成すれ
ばよいが、以下R層3に設けた場合について説明する。
このint層3aの厚みtm は1Å≦tm ≦30Åが好
ましく、1Å未満ではR層3とM層4間の交換結合力を
弱めることがほとんどできず、30Å超ではR層3とM
層4間の交換結合力及び静磁結合が弱くなりすぎてM層
4からR層3への磁化方向の転写が困難になる。
【0025】また、int層3aにおけるO,N,H,
不活性ガス元素の混入の割合(組成比)は10at%以
下が好適であり、10at%を超えると交換結合力及び
静磁結合が弱くなりすぎてM層4からR層3への磁化方
向の転写が困難になる。
不活性ガス元素の混入の割合(組成比)は10at%以
下が好適であり、10at%を超えると交換結合力及び
静磁結合が弱くなりすぎてM層4からR層3への磁化方
向の転写が困難になる。
【0026】本発明のint層3a中でのO,N,H,
不活性ガス元素の結合状態については、厳密には不明で
あるが、スパッタリング法等による成膜時に雰囲気ガス
中に混在することにより、成膜後のRE−TM非晶質合
金膜中にガス分子あるいは原子の状態で捕捉され、アモ
ルファス状態となっているものと推定される。但し、O
(酸素)については、RE−TM非晶質合金膜中に捕捉
後に直ちに酸化膜を形成するものと思われる。
不活性ガス元素の結合状態については、厳密には不明で
あるが、スパッタリング法等による成膜時に雰囲気ガス
中に混在することにより、成膜後のRE−TM非晶質合
金膜中にガス分子あるいは原子の状態で捕捉され、アモ
ルファス状態となっているものと推定される。但し、O
(酸素)については、RE−TM非晶質合金膜中に捕捉
後に直ちに酸化膜を形成するものと思われる。
【0027】本発明において、従来M層4からR層3へ
の磁化方向の転写を、W層6からM層4に転写する際に
ほぼ同時に行っていたが、W層6からM層4への転写と
別個に行うようにしてもよい。例えば、R層3が室温よ
りも高い温度域(80℃〜120℃)に補償温度を持
ち、M層4が室温でR層3よりも高い保磁力及び前記補
償温度でR層3よりも低い保磁力を有するように構成す
れば、室温と前記補償温度の間に転写温度が存在するこ
とになる。このとき、W層6からM層4への転写は、前
記転写温度よりも高い温度で行われる。
の磁化方向の転写を、W層6からM層4に転写する際に
ほぼ同時に行っていたが、W層6からM層4への転写と
別個に行うようにしてもよい。例えば、R層3が室温よ
りも高い温度域(80℃〜120℃)に補償温度を持
ち、M層4が室温でR層3よりも高い保磁力及び前記補
償温度でR層3よりも低い保磁力を有するように構成す
れば、室温と前記補償温度の間に転写温度が存在するこ
とになる。このとき、W層6からM層4への転写は、前
記転写温度よりも高い温度で行われる。
【0028】上記のような特性のR層3とするには、G
dFeCo,GdTbFeCo,GdDyFeCo等の
組成の磁性層が良く、その組成比は25at%≦Gd≦
35at%,1at%≦Tb≦3at%,1at%≦D
y≦5at%,25at%≦Fe≦35at%,20a
t%≦Co≦30at%の範囲内とするのが、約80℃
〜120℃の補償温度と約300℃〜400℃の高いキ
ュリー温度が実現でき好ましい。
dFeCo,GdTbFeCo,GdDyFeCo等の
組成の磁性層が良く、その組成比は25at%≦Gd≦
35at%,1at%≦Tb≦3at%,1at%≦D
y≦5at%,25at%≦Fe≦35at%,20a
t%≦Co≦30at%の範囲内とするのが、約80℃
〜120℃の補償温度と約300℃〜400℃の高いキ
ュリー温度が実現でき好ましい。
【0029】また、R層3の厚みは100〜400Åが
良く、100Å未満ではC/N比が低下し、400Å超
ではR層3の保磁力が強すぎてオーバーライトが困難に
なる。
良く、100Å未満ではC/N比が低下し、400Å超
ではR層3の保磁力が強すぎてオーバーライトが困難に
なる。
【0030】一方、M層4については、室温でR層3よ
りも高い保磁力及びR層3の補償温度でR層3よりも低
い保磁力を有するものであり、そのキュリー温度は約1
80℃〜240℃が好適であり、180℃未満ではC/
N比が低下し、240℃超ではW層6のキュリー温度と
同程度以上となるため、W層6からM層4へ磁化方向を
転写可能な温度幅が狭くなるため転写が困難になるか、
又は転写が不可能になる。
りも高い保磁力及びR層3の補償温度でR層3よりも低
い保磁力を有するものであり、そのキュリー温度は約1
80℃〜240℃が好適であり、180℃未満ではC/
N比が低下し、240℃超ではW層6のキュリー温度と
同程度以上となるため、W層6からM層4へ磁化方向を
転写可能な温度幅が狭くなるため転写が困難になるか、
又は転写が不可能になる。
【0031】また、M層4の組成はTbFeCo,Tb
DyFeCo等が良く、その組成比は20at%≦Tb
≦30at%,0at%<Dy≦10at%,50at
%≦Fe≦75at%,0at%<Co≦15at%
が、キュリー温度が約180℃〜240℃となる。
DyFeCo等が良く、その組成比は20at%≦Tb
≦30at%,0at%<Dy≦10at%,50at
%≦Fe≦75at%,0at%<Co≦15at%
が、キュリー温度が約180℃〜240℃となる。
【0032】M層4の厚みは100〜300Åが良く、
100Å未満ではM層4からR層3への静磁結合が弱く
なりすぎ、300Å超ではW層6からM層4への交換結
合力による磁化方向の転写が困難になる。
100Å未満ではM層4からR層3への静磁結合が弱く
なりすぎ、300Å超ではW層6からM層4への交換結
合力による磁化方向の転写が困難になる。
【0033】そして、int層5,W層6,S層7,I
層8については基本的には従来のものと同様であるが、
これらの膜厚を薄膜化できる点に本発明の一つの特徴が
ある。
層8については基本的には従来のものと同様であるが、
これらの膜厚を薄膜化できる点に本発明の一つの特徴が
ある。
【0034】本発明のint層3aを設けたものにおけ
る、オーバーライトによるW層6,M層4及びR層3間
での磁化方向の転写メカニズムを図3に示す。同図にお
いて、S層7,I層8については図4と同様であるので
省略した。また、同図において、A1〜A12は2値情報
の”1”から出発した場合、B1〜B9及びB1〜B′
12は”0”から出発した場合の各温度における磁化状態
をそれぞれ示す。尚、同図において、Tcomp5 はR層3
の補償温度である。
る、オーバーライトによるW層6,M層4及びR層3間
での磁化方向の転写メカニズムを図3に示す。同図にお
いて、S層7,I層8については図4と同様であるので
省略した。また、同図において、A1〜A12は2値情報
の”1”から出発した場合、B1〜B9及びB1〜B′
12は”0”から出発した場合の各温度における磁化状態
をそれぞれ示す。尚、同図において、Tcomp5 はR層3
の補償温度である。
【0035】まず、A1〜A12について説明する。室温
のA1において、W層6,M層4及びR層3は交換結合
しており、温度が上昇するにつれTcomp5 (A2〜A
3)でR層3のTM副格子磁化とRE副格子磁化の大小
関係が逆転し、Tcomp2 (A3〜A4)でW層6のTM
副格子磁化とRE副格子磁化の大小関係が逆転する。T
c1を超えたA5ではM層4の磁化が消失する。低温プロ
セスでは、同じプロセスを逆に辿りA1の状態に戻る。
のA1において、W層6,M層4及びR層3は交換結合
しており、温度が上昇するにつれTcomp5 (A2〜A
3)でR層3のTM副格子磁化とRE副格子磁化の大小
関係が逆転し、Tcomp2 (A3〜A4)でW層6のTM
副格子磁化とRE副格子磁化の大小関係が逆転する。T
c1を超えたA5ではM層4の磁化が消失する。低温プロ
セスでは、同じプロセスを逆に辿りA1の状態に戻る。
【0036】一方、高温プロセスでは、A6,A7付近
でバイアス磁界によりW層6の正味の磁化方向が逆転
し、A8〜A9でM層4に磁化が現れる際にW層6の交
換結合力により、W層6の磁化方向が転写される。A9
〜A10ではW層6のTM副格子磁化とRE副格子磁化の
大小関係が逆転し、A10〜A11でR層3のTM副格子磁
化とRE副格子磁化の大小関係が逆転する。A11〜A12
でM層4の保磁力がR層3よりも大きくなるため、M層
4の磁化方向がR層3に転写される。
でバイアス磁界によりW層6の正味の磁化方向が逆転
し、A8〜A9でM層4に磁化が現れる際にW層6の交
換結合力により、W層6の磁化方向が転写される。A9
〜A10ではW層6のTM副格子磁化とRE副格子磁化の
大小関係が逆転し、A10〜A11でR層3のTM副格子磁
化とRE副格子磁化の大小関係が逆転する。A11〜A12
でM層4の保磁力がR層3よりも大きくなるため、M層
4の磁化方向がR層3に転写される。
【0037】次に、B1〜B9及びB1〜B′12につい
てみると、室温のB1において、M層4とR層3は交換
結合しており、M層4とW層6は交換結合していないた
め界面磁壁が生じている。B4まではTM,REの副格
子磁化の方向は基本的にこの状態のままで推移し、B5
でM層4の磁化が消失する。低温プロセスでは、M層4
に磁化が現れるB6においてW層6の磁化方向が転写さ
れ、B8まで基本的にそのままで推移し、B8〜B9で
M層4の保磁力がR層3よりも大きくなるため、M層4
の磁化方向がR層3に転写される。
てみると、室温のB1において、M層4とR層3は交換
結合しており、M層4とW層6は交換結合していないた
め界面磁壁が生じている。B4まではTM,REの副格
子磁化の方向は基本的にこの状態のままで推移し、B5
でM層4の磁化が消失する。低温プロセスでは、M層4
に磁化が現れるB6においてW層6の磁化方向が転写さ
れ、B8まで基本的にそのままで推移し、B8〜B9で
M層4の保磁力がR層3よりも大きくなるため、M層4
の磁化方向がR層3に転写される。
【0038】そして、高温プロセスでは、B′6,B′
7付近でバイアス磁界によりW層6の正味の磁化方向が
逆転し、B′8〜B′9でM層4に磁化が現れる際にW
層6の交換結合力により、W層6の磁化方向が転写され
る。B′9〜B′10ではW層6のTM副格子磁化とRE
副格子磁化の大小関係が逆転し、B′10〜B′11でR層
3のTM副格子磁化とRE副格子磁化の大小関係が逆転
する。B′11〜B′12でM層4の保磁力がR層3よりも
大きくなるため、M層4の磁化方向がR層3に転写され
る。
7付近でバイアス磁界によりW層6の正味の磁化方向が
逆転し、B′8〜B′9でM層4に磁化が現れる際にW
層6の交換結合力により、W層6の磁化方向が転写され
る。B′9〜B′10ではW層6のTM副格子磁化とRE
副格子磁化の大小関係が逆転し、B′10〜B′11でR層
3のTM副格子磁化とRE副格子磁化の大小関係が逆転
する。B′11〜B′12でM層4の保磁力がR層3よりも
大きくなるため、M層4の磁化方向がR層3に転写され
る。
【0039】上記のように、W層6からM層4への磁化
方向の転写とM層4からR層3への磁化方向の転写は別
個に行われており、従ってW層6はM層4とだけ交換結
合すればよいことになる。その結果、W層6の保磁力を
従来よりも小さく設定でき、W層6ばかりでなくI層8
も薄膜化することができ、磁性層全体が薄くなる。
方向の転写とM層4からR層3への磁化方向の転写は別
個に行われており、従ってW層6はM層4とだけ交換結
合すればよいことになる。その結果、W層6の保磁力を
従来よりも小さく設定でき、W層6ばかりでなくI層8
も薄膜化することができ、磁性層全体が薄くなる。
【0040】また、M層4とR層3の交換結合力が強す
ぎると、上記のように構成してもW層6からM層4に磁
化方向を転写する際にR層3まで部分的に磁化方向が転
写されるか、逆にM層4に磁化方向を完全に転写できな
い等の現象が生じ、オーバーライトが困難になったり、
オーバーライト後の信号のレベル(振幅)が一定しない
などの好ましくない事態が発生していた。よって、M層
4とR層3の交換結合力は2〜8kOeとするのが良
く、2kOe未満ではM層4からR層3への転写が困難
となり、8kOe超では上述した如く交換結合力が強す
ぎる。
ぎると、上記のように構成してもW層6からM層4に磁
化方向を転写する際にR層3まで部分的に磁化方向が転
写されるか、逆にM層4に磁化方向を完全に転写できな
い等の現象が生じ、オーバーライトが困難になったり、
オーバーライト後の信号のレベル(振幅)が一定しない
などの好ましくない事態が発生していた。よって、M層
4とR層3の交換結合力は2〜8kOeとするのが良
く、2kOe未満ではM層4からR層3への転写が困難
となり、8kOe超では上述した如く交換結合力が強す
ぎる。
【0041】本発明のint層3aは、スパッタリング
法等によるR層3の成膜時及び/又はM層4の成膜時
に、雰囲気中にO,N,H,不活性ガス元素の少なくと
も1種を混入させて成膜することにより形成される。R
層3に形成する場合は、その成膜の最終段階で混入さ
せ、M層4に形成する場合は、その成膜の初期段階で混
入させればよい。このとき、雰囲気中に混入させる割合
を調整することにより、成膜後の含有率を制御できる。
成膜法については、本発明の層構成が得られればスパッ
タリング法以外にCVD法等を用いても構わない。
法等によるR層3の成膜時及び/又はM層4の成膜時
に、雰囲気中にO,N,H,不活性ガス元素の少なくと
も1種を混入させて成膜することにより形成される。R
層3に形成する場合は、その成膜の最終段階で混入さ
せ、M層4に形成する場合は、その成膜の初期段階で混
入させればよい。このとき、雰囲気中に混入させる割合
を調整することにより、成膜後の含有率を制御できる。
成膜法については、本発明の層構成が得られればスパッ
タリング法以外にCVD法等を用いても構わない。
【0042】本発明において、勿論W層6はオーバーラ
イト後の降温過程で、S層7を通じてI層8の交換結合
力により初期化される。また、本発明では、基本的にM
層4,W層6,S層7,I層8の4層を備えたものにつ
いて説明したが、S層7,I層8は必ずしも必要ではな
く、S層7がある方がW層6のバイアス磁界による磁化
方向の反転がスムーズにでき、I層8がある方が別個の
初期化用磁石が不要なため情報再生装置が小型化され好
ましい。
イト後の降温過程で、S層7を通じてI層8の交換結合
力により初期化される。また、本発明では、基本的にM
層4,W層6,S層7,I層8の4層を備えたものにつ
いて説明したが、S層7,I層8は必ずしも必要ではな
く、S層7がある方がW層6のバイアス磁界による磁化
方向の反転がスムーズにでき、I層8がある方が別個の
初期化用磁石が不要なため情報再生装置が小型化され好
ましい。
【0043】かくして、本発明の光磁気記録媒体は、i
nt層3aによりR層3とM層4との交換結合力を所望
の程度に弱め、その結果、W層6による磁化方向の転写
をM層4に対してのみ行うように、W層6の交換結合力
を低下させることができ、結果的に磁性層全体を薄膜化
しかつオーバーライトを安定的かつ容易に行えるという
作用効果を有する。
nt層3aによりR層3とM層4との交換結合力を所望
の程度に弱め、その結果、W層6による磁化方向の転写
をM層4に対してのみ行うように、W層6の交換結合力
を低下させることができ、結果的に磁性層全体を薄膜化
しかつオーバーライトを安定的かつ容易に行えるという
作用効果を有する。
【0044】本発明において、各磁性層を基板の両面に
積層するか、片面に各磁性層を積層した2枚の基板を貼
り付けることにより、2倍の記録密度としてもよい。ま
た、レーザビームをパルス変調する光強度変調方式によ
るオーバーライトに限らず、熱磁気記録によるものであ
れば他の手段によってもオーバーライトできる。
積層するか、片面に各磁性層を積層した2枚の基板を貼
り付けることにより、2倍の記録密度としてもよい。ま
た、レーザビームをパルス変調する光強度変調方式によ
るオーバーライトに限らず、熱磁気記録によるものであ
れば他の手段によってもオーバーライトできる。
【0045】尚、本発明は上記の実施形態に限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々
の変更は何等差し支えない。
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々
の変更は何等差し支えない。
【0046】
【実施例】本発明の実施例を以下に説明する。
【0047】(実施例1)まず、図1に示すような、ポ
リカーボネートから成るディスク状の基板1上に、アモ
ルファスSiN(800Å)から成る保護層2を成膜し
た。
リカーボネートから成るディスク状の基板1上に、アモ
ルファスSiN(800Å)から成る保護層2を成膜し
た。
【0048】次いで、REリッチ,膜厚約200Å,保
磁力1kOe,キュリー温度約350℃,補償温度約1
00℃のGd33Fe37Co30からなるR層3、R層3の
M層4との積層界面に形成されO,N,H等を混入させ
たint層3a、TMリッチ,膜厚約200Å,保磁力
13kOe,キュリー温度約190℃のTb23Fe70C
o7 からなるM層4、REリッチ,膜厚約100Å,保
磁力0.5kOe,キュリー温度約240℃のGd30F
e65Co15からなるint層5、REリッチ,膜厚約2
00Å,保磁力7kOe,キュリー温度約240℃,補
償温度約150℃のDy27Fe40Co33からなるW層
6、TMリッチ,膜厚約100Å,保磁力4kOe,キ
ュリー温度約130℃のTb22Fe78からなるS層7、
REリッチ,膜厚約200Å,キュリー温度約310
℃,補償温度約220℃のTb22Fe10Co68からなる
I層8を積層した。
磁力1kOe,キュリー温度約350℃,補償温度約1
00℃のGd33Fe37Co30からなるR層3、R層3の
M層4との積層界面に形成されO,N,H等を混入させ
たint層3a、TMリッチ,膜厚約200Å,保磁力
13kOe,キュリー温度約190℃のTb23Fe70C
o7 からなるM層4、REリッチ,膜厚約100Å,保
磁力0.5kOe,キュリー温度約240℃のGd30F
e65Co15からなるint層5、REリッチ,膜厚約2
00Å,保磁力7kOe,キュリー温度約240℃,補
償温度約150℃のDy27Fe40Co33からなるW層
6、TMリッチ,膜厚約100Å,保磁力4kOe,キ
ュリー温度約130℃のTb22Fe78からなるS層7、
REリッチ,膜厚約200Å,キュリー温度約310
℃,補償温度約220℃のTb22Fe10Co68からなる
I層8を積層した。
【0049】上記int層3aは、R層3をスパッタリ
ング法で成膜する際に、成膜の最終段階でO(酸素)等
を雰囲気中に含有させ、所定の含有率となるようにし
た。
ング法で成膜する際に、成膜の最終段階でO(酸素)等
を雰囲気中に含有させ、所定の含有率となるようにし
た。
【0050】更に、アモルファスSiN(800Å)か
ら成る保護層9を順次スパッタリング法により成膜し、
保護層9の上に紫外線防止用の樹脂層をコートして光磁
気ディスクを作製した。
ら成る保護層9を順次スパッタリング法により成膜し、
保護層9の上に紫外線防止用の樹脂層をコートして光磁
気ディスクを作製した。
【0051】そして、上記int層3aの膜厚(Å)、
int層3aにおけるO(酸素)等の含有率(組成比
(at%))、交換結合力を種々の値に変えた場合のオ
ーバーライト特性を表1に示す。表1において、比較例
はint層3aがない以外は実施例1と同様に構成した
ものである。また、オーバーライト特性の評価は以下の
ようにして行った。最初に回転数3000rpm、初期
化磁界5kOeで12mWのレーザビームを照射して初
期化し、その後、バイアス磁界300Oeの下で10m
Wと3mWにパルス変調されたレーザビームを照射し
て、6.96MHz,デューティー20%の信号を2回
オーバーライトし、1.5mWの再生用レーザで再生し
たときに再生信号の”1”又は”0”の振幅変化率が1
0%以上のものを不合格(×)、10%未満ものを合格
(○)とした。
int層3aにおけるO(酸素)等の含有率(組成比
(at%))、交換結合力を種々の値に変えた場合のオ
ーバーライト特性を表1に示す。表1において、比較例
はint層3aがない以外は実施例1と同様に構成した
ものである。また、オーバーライト特性の評価は以下の
ようにして行った。最初に回転数3000rpm、初期
化磁界5kOeで12mWのレーザビームを照射して初
期化し、その後、バイアス磁界300Oeの下で10m
Wと3mWにパルス変調されたレーザビームを照射し
て、6.96MHz,デューティー20%の信号を2回
オーバーライトし、1.5mWの再生用レーザで再生し
たときに再生信号の”1”又は”0”の振幅変化率が1
0%以上のものを不合格(×)、10%未満ものを合格
(○)とした。
【0052】
【表1】
【0053】表1に示すように、実施例1〜12のもの
はいずれもオーバーライト特性が良好で、一方、混入成
分がないか、膜厚が1〜30Åの範囲外か、若しくは組
成比が10at%以下の範囲外のいずれかに該当する比
較例1〜7はオーバーライト特性が劣化した。
はいずれもオーバーライト特性が良好で、一方、混入成
分がないか、膜厚が1〜30Åの範囲外か、若しくは組
成比が10at%以下の範囲外のいずれかに該当する比
較例1〜7はオーバーライト特性が劣化した。
【0054】尚、表1において、R層3の保磁力Hc5の
シフト量はR層3の交換結合力に比例するものであり、
外部磁場とカー回転角の特性曲線、所謂カーループの外
部磁場方向へのシフト量である。
シフト量はR層3の交換結合力に比例するものであり、
外部磁場とカー回転角の特性曲線、所謂カーループの外
部磁場方向へのシフト量である。
【0055】
【発明の効果】本発明の光磁気記録媒体は、R層とM層
との間に位置し、R層及び/又はM層にO,N,H,不
活性ガス元素の少なくとも1種を含有させて成るint
層が形成されていることにより、R層とM層との交換結
合力を所望の程度に弱め、その結果、W層による磁化方
向の転写をM層にのみ行うように、W層の交換結合力を
低下させることができる。従って、W層の膜厚を従来よ
り薄膜化でき、更にはI層も薄くできるので磁性層全体
を薄膜化しかつオーバーライトを安定的かつ容易に行え
るという優れた効果を有する。また、磁性層全体が薄膜
化するので、熱伝導性、放熱性が向上し、C/N比等の
記録・再生の感度が向上するという効果も有する。
との間に位置し、R層及び/又はM層にO,N,H,不
活性ガス元素の少なくとも1種を含有させて成るint
層が形成されていることにより、R層とM層との交換結
合力を所望の程度に弱め、その結果、W層による磁化方
向の転写をM層にのみ行うように、W層の交換結合力を
低下させることができる。従って、W層の膜厚を従来よ
り薄膜化でき、更にはI層も薄くできるので磁性層全体
を薄膜化しかつオーバーライトを安定的かつ容易に行え
るという優れた効果を有する。また、磁性層全体が薄膜
化するので、熱伝導性、放熱性が向上し、C/N比等の
記録・再生の感度が向上するという効果も有する。
【0056】また、本発明の光磁気記録媒体はオーバー
ライト可能な媒体であればよく、光磁気ディスク、光磁
気カード、光磁気テープ等に応用可能なものである。
ライト可能な媒体であればよく、光磁気ディスク、光磁
気カード、光磁気テープ等に応用可能なものである。
【図1】本発明の光磁気記録媒体Mの磁性層構成の部分
断面図である。
断面図である。
【図2】従来の光磁気記録媒体M1 の磁性層構成の部分
断面図である。
断面図である。
【図3】本発明の光磁気記録媒体のオーバーライト動作
のメカニズムを説明する磁化の状態図である。
のメカニズムを説明する磁化の状態図である。
【図4】従来の光磁気記録媒体のオーバーライト動作の
メカニズムを説明する磁化の状態図である。
メカニズムを説明する磁化の状態図である。
1:基板 2:保護層 3:R層 3a:int層 4:M層 5:int層 6:W層 7:S層 8:I層 9:保護層
Claims (1)
- 【請求項1】基板上に、垂直磁気異方性の再生層と、垂
直磁気異方性の記録層と、該記録層より高いキュリー温
度を有する垂直磁気異方性の記録補助層との少なくとも
3つの磁性層を順次積層して成る光磁気記録媒体であっ
て、前記再生層と前記記録層との間に位置し、前記再生
層及び/又は前記記録層にO,N,H,不活性ガス元素
の少なくとも1種を含有して成る交換結合力調整層が形
成されていることを特徴とする光磁気記録媒体。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17258097A JPH1125532A (ja) | 1997-06-27 | 1997-06-27 | 光磁気記録媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17258097A JPH1125532A (ja) | 1997-06-27 | 1997-06-27 | 光磁気記録媒体 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH1125532A true JPH1125532A (ja) | 1999-01-29 |
Family
ID=15944487
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP17258097A Pending JPH1125532A (ja) | 1997-06-27 | 1997-06-27 | 光磁気記録媒体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH1125532A (ja) |
-
1997
- 1997-06-27 JP JP17258097A patent/JPH1125532A/ja active Pending
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