JPH11247988A - 自動変速機のロックアップ制御装置 - Google Patents

自動変速機のロックアップ制御装置

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JPH11247988A
JPH11247988A JP10046772A JP4677298A JPH11247988A JP H11247988 A JPH11247988 A JP H11247988A JP 10046772 A JP10046772 A JP 10046772A JP 4677298 A JP4677298 A JP 4677298A JP H11247988 A JPH11247988 A JP H11247988A
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昭洋 植木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ロックアップ中の急減速を判断し該ロックア
ップを解除する際に発生する急減速判断の誤検知を防止
する自動変速機のロックアップ制御装置を提供する。 【解決手段】 車速センサを基にロックアップ中におい
て、エンストが発生する急減速を判断しロックアップを
解除する第一手段と、車速センサを基にロックアップ中
において、トルクコンバータの出力回転がエンストを発
生しない許容最低回転相当になった時にロックアップを
解除する第二手段とを備える自動変速機において、領域
X2 では、前記第一手段により、また、領域X1 では、
前記第二手段によりロックアップを解除する。これよ
り、ロックアップ中の急減速を判断し該ロックアップを
解除する際に発生する急減速判断の誤検知を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、運転状態に応じて
決められたロックアップ領域では入出力要素間をロック
アップしコンバータ領域では前記ロックアップを徐々に
解除するトルクコンバータからの回転を入力される自動
変速機であって、特に、ロックアップ中に起きるエンジ
ンストールを防止するためのロックアップ制御装置に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】無段変速機を含めた自動変速機は、その
前段にトルクコンバータを備え、このトルクコンバータ
の入出力要素間でトルク増大およびトルク変動吸収を行
う。このため、トルクコンバータは、従来から、トルク
増大機能およびトルク変動吸収機能が不要な走行状態の
もとで、入出力要素間をロックアップ可能なロックアッ
プクラッチを備えるのが一般的である。
【0003】また、トルクコンバータがロックアップ状
態である時は、動力源であるエンジンと駆動輪とが直結
状態にあるため、例えば、車両の急減速によってロック
アップの解除が間に合わない場合には、エンジンストー
ル(エンスト)が生じる。このため、従来から、ロック
アップ解除遅れによるエンストを防止するための機能を
有するロックアップ制御装置が提案済みである。
【0004】こうした従来のロックアップ制御装置に
は、例えば、特開平4−370465号公報に記載のも
のがある。これは、前記トルクコンバータの出力回転を
演算処理可能な車速センサからのパルスを基にして車両
の減速度Gを検出し、この減速度Gが所定の減速判定し
きい値以上の値を取った時を、車両の急減速状態と判断
してトルクコンバータのロックアップを解除するもので
ある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、急減速状態
でロックアップを解除する装置では、全ての減速度に対
してエンスト防止を保証させようとする場合、前記減速
判定しきい値をできる限り低く設定せざるを得ないのが
実情である。
【0006】しかしながら、こうした従来装置では、前
記減速判定しきい値を低く設定しすぎると、急減速判断
の誤検知によって、ロックアップを解除する必要のない
減速状態でも、該ロックアップを解除してしまうことが
ある。こうした誤検知が起きると、例えば、フューエル
カット制御を採用した車両などでは、エンジン回転数が
フューエルカット領域であるにもかかわらず、ロックア
ップが解除されるために、エンジン回転数が低下してフ
ューエルカット領域を外れ、フューエルリカバーによる
燃費の悪化が避けられない。
【0007】そこで、本発明は、少なくとも前記トルク
コンバータよりも後段における回転を演算処理可能な回
転センサからの信号を基にロックアップ中において前記
ロックアップを継続するとエンジンストールが発生する
急減速を判断し該ロックアップを即時に解除する第一の
ロックアップ解除手段と、この回転センサからの信号を
基にロックアップ中において前記トルクコンバータ出力
回転が前記ロックアップを継続するとエンジンストール
を発生する低回転となる時に前記ロックアップを即時に
解除する第二のロックアップ解除手段とを設け、ロック
アップ中において前記トルクコンバータよりも後段にお
ける回転の低下により生じるエンジンストールを防止す
ることにより、低く設定されていた減速判定しきい値を
高く設定できるようにし、減速度の比較的小さな減速領
域で起きる急減速判断の誤検知によるロックアップの解
除を防止しつつ、エンジンストールを防止するために必
要なロックアップ領域では、確実にロックアップを解除
できるロックアップ制御装置を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】この課題を解決するた
め、本発明である、請求項1に記載の自動変速機のロッ
クアップ制御装置は、運転状態に応じて決められたロッ
クアップ領域では入出力要素間をロックアップしコンバ
ータ領域では前記ロックアップを徐々に解除するトルク
コンバータからの回転が入力される自動変速機におい
て、前記トルクコンバータよりも後段における回転を演
算処理可能な回転センサからの信号を基にロックアップ
中において、該ロックアップを継続するとエンジンスト
ールが発生する急減速を判断し該ロックアップを即時に
解除する第一のロックアップ解除手段と、前記回転セン
サからの信号を基にロックアップ中において、前記トル
クコンバータの出力回転が前記ロックアップを継続する
とエンジンストールを発生する低回転となる時に前記ロ
ックアップを即時に解除する第二のロックアップ解除手
段とを備えることを特徴とするものである。
【0009】また、本発明である、請求項2に記載の自
動変速機のロックアップ制御装置は、請求項1におい
て、ロックアップ中のブレーキ操作を検知するブレーキ
操作検知手段を付加して備え、前記第一ロックアップ解
除手段または前記第二ロックアップ解除手段のうち、少
なくとも一方は、ブレーキ操作を検知して前記ロックア
ップを解除するための演算を行うものであることを特徴
とするものである。
【0010】また、本発明である、請求項3に記載の自
動変速機のロックアップ制御装置は、請求項1または2
において、前記第二ロックアップ解除手段は、変速機出
力軸センサから検出した回転周期に対応する前記トルク
コンバータの出力回転周期を演算し、ロックアップ中に
演算される前記トルクコンバータの出力回転周期が、所
定回数以上連続して所定のしきい値を上回った時に前記
ロックアップを解除することを特徴とするものである。
【0011】
【発明の効果】この目的を達成するため、本発明であ
る、請求項1に記載の自動変速機のロックアップ制御装
置は、第一のロックアップ解除手段がトルクコンバータ
よりも後段における回転を演算処理可能な回転センサか
らの信号を基にロックアップ中において該ロックアップ
を継続するとエンジンストールを発生する急減速を判断
し該ロックアップを即時に解除するに対し、第二のロッ
クアップ解除手段が前記回転センサからの信号を基にロ
ックアップ中において、前記トルクコンバータの出力回
転が、前記ロックアップを継続するとエンジンストール
を発生する低回転になる時に前記ロックアップを即時に
解除する。
【0012】この場合、ロックアップ中において、トル
クコンバータの出力回転が、前記ロックアップを継続す
るとエンジンストールを発生する低回転になる時には、
前記ロックアップを即時に解除することができる。従っ
て、低く設定されていた減速判断しきい値を高く設定す
ることができて、車両の減速度が比較的小さな減速領域
で起きる急減速判断の誤検知によるロックアップの解除
を防止しつつ、エンジンストールを防止するために必要
なロックアップ解除領域では、確実にロックアップを解
除できる。
【0013】また、本発明である、請求項2に記載の自
動変速機のロックアップ制御装置は、請求項1におい
て、前記第一ロックアップ解除手段、または、前記第二
ロックアップ解除手段のうち、少なくとも一方は、ロッ
クアップ中のブレーキ操作を検知して演算を行うように
したから、非制動中にもかかわらず、無用に演算が行わ
れることがなくなり、前記ロックアップ解除を判断する
際に伴う演算負荷を軽減することができる。
【0014】また、本発明である、請求項3に記載の自
動変速機のロックアップ制御装置は、請求項1または2
において、前記第二ロックアップ解除手段を、変速機出
力軸センサから検出した回転周期に対応する前記トルク
コンバータの出力回転周期を演算し、ロックアップ中に
演算される前記トルクコンバータの出力回転周期が、所
定回数以上連続して所定のしきい値を上回った時に前記
ロックアップを解除するものとしたから、路面の微小変
化による外乱などで生じる誤検知を取り除くことがで
き、ロックアップの解除をさらに正確に実行できる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明である自動変速機の
ロックアップ制御装置を、添付した図面に基づいて詳細
に説明する。
【0016】図1は、本発明による自動変速機のロック
アップ制御装置を備えたパワートレーンを例示したもの
である。この図において、符号1は、内部作動流体を介
して入出力要素間での動力伝達を行うトルクコンバータ
であり、トルク増大機能やトルク変動吸収機能を有す
る。トルクコンバータ1の入力要素は原動機としてのエ
ンジン3に結合し、トルクコンバータ1の出力要素は自
動変速機4に結合する。自動変速機4はトルクコンバー
タ1を経てエンジン3の動力を入力され、選択変速段に
応じたギア比で入力回転を変速し、これを出力軸5を介
して駆動輪6に伝達することで車両を走行させる。
【0017】エンジン3は、アクセルペダル7の踏み込
みにより開度を増大されるスロットルバルブ8を備え、
その開度およびエンジン回転数に応じた量の空気をエア
クリーナ9を経て吸い込む。またエンジン3は気筒毎に
設けたインジェクタの群10および点火装置11を備
え、これらをエンジンコントローラ100により制御す
る。エンジンコントローラ100には、エンジン吸気量
Qを検出する吸気量センサ12からの信号およびアクセ
ルペダル7の釈放時にONされるコーストスイッチ13
からの信号Iを入力する。
【0018】エンジンコントローラ100はこれら入力
情報を基に、エンジン3の運転に応じて、インジェクタ
群10から所定気筒に所定量の燃料を噴射したり、例え
ば、惰性走行(コースト走行)中、この燃料供給を中止
するフューエルカットを行う。またエンジンコントロー
ラ100は上記入力情報を基に、エンジンの運転に応じ
て、点火装置11を介して所定気筒の点火栓を所定タイ
ミングで点火させる。これにより、エンジン3は所定の
通りに運転され、コースト走行中は所定の通りにフュー
エルカットされる。さらにエンジンコントローラ100
は、エンジン回転が所定値以下に低下すると、インジェ
クタ群10から所定気筒に所定量の燃料を再噴射するフ
ューエルリカバーを行うことにより、エンジン回転の低
下によって起きるエンジンストールを防止する。
【0019】エンジン3からの回転動力は、トルクコン
バータ1を介して自動変速機4に入力され、この自動変
速機4は、コントロールバルブ14内におけるシフトソ
レノイド15,16のON,OFFの組み合わせにより
選択変速段を決定する。
【0020】トルクコンバータ1は、コントロールバル
ブ14内におけるロックアップソレノイド17でデュー
ティ制御される後述のロックアップクラッチ2を備え、
トルク増大機能やトルク変動吸収機能が不要なロックア
ップ領域では、入出力要素間が直結されたロックアップ
状態になり、それ以外の領域では、このロックアップ締
結を解除したコンバータ状態になるものとする。
【0021】シフトソレノイド15,16のON,OF
Fおよび、ロックアップソレノイド17の駆動デューテ
ィDは、変速機コントローラ200により制御され、こ
の変速機コントローラ200には、コーストスイッチ1
3からの信号I、エンジン3のスロットル開度を検出す
るスロットル開度センサ18からの信号TH、トルクコ
ンバータ1の入力回転N1 を検出するインペラ回転セン
サ19からのパルス信号RI 、トルクコンバータ1の出
力回転NT を検出するタービン回転センサ20からのパ
ルス信号RT 、出力軸5の回転Nを検出する出力軸回転
センサ(以下、車速センサ)21からのパルス信号R、
ブレーキペダル22を踏み込む制動時にONされるブレ
ーキスイッチ23からの信号Bをそれぞれ入力する。
【0022】変速機コントローラ200は基本的に、こ
れら入力情報に基づき、周知の演算により以下の変速制
御を行う。つまり変速制御に際し変速機コントローラ2
00は、スロットル開度THと、出力軸回転No から求
めた車速Vとから、現在の運転状態に最適な変速段を、
例えば、テーブルデータからルックアップ方式により求
め、この最適変速段が選択されるよう、シフトソレノイ
ド15,16をON,OFFさせて所定の変速を行う。
【0023】さらに変速機コントローラ200は、これ
ら入力情報からトルクコンバータ1のトルク増大機能や
トルク変動吸収機能が不要なロックアップ領域か否かを
チェックし、コントロールバルブ14のロックアップソ
レノイド17をデューティ制御することにより、ロック
アップ領域時には、トルクコンバータ1を、入出力要素
間が直結されたロックアップ状態にし、それ以外のコン
バータ領域時には、入出力要素間が解放されたコンバー
タ状態にする。
【0024】ロックアップ領域を外れてトルクコンバー
タ領域となった場合には、ロックアップ状態から徐々に
コンバータ状態へと移行するよう、ロックアップソレノ
イド17への駆動デューティDを徐々に変化させる。
【0025】図2は、本発明によるロックアップ制御装
置の一実施形態を示す模式図である。トルクコンバータ
1に内蔵したロックアップクラッチ2は、ロックアップ
容量を制御することにより、トルクコンバータ入出力要
素間を直結または解放するものであるが、本実施形態で
は、ロックアップ容量の一例として、ロックアップクラ
ッチ2の両側に加わるトルクコンバータアプライ圧PA
と、トルクコンバータリレーズ圧PR との差圧(PA −
PR )で説明する。
【0026】ロックアップクラッチ2は、ロックアップ
容量が小さいとき、即ちアプライ圧PA がリレーズ圧P
R よりも低く、PA −PR 差圧が小さくなるとき、トル
クコンバータ1の入出力要素間を解放(コンバータ状
態)し、また、ロックアップ容量が大きいとき、即ちア
プライ圧PA がリレーズ圧PR よりも高く、PA −PR
差圧が大きくなるとき、トルクコンバータ1の入出力要
素間を直結(ロックアップ)する。
【0027】PA −PR 差圧は、コントロールバルブ1
4内のロックアップ制御弁V17の切り換えにより制御さ
れ、このロックアップ制御弁V17には、一方から、アプ
ライ圧PA とばねS17とが同方向に作用し、他方から、
リレーズ圧PR とばね力とが同方向に作用すると共に、
ロックアップソレノイド17からの信号圧Ps が作用す
る。ロックアップソレノイド17からの信号圧Ps は、
ポンプ圧Pp を元圧として変速機コントローラ200の
駆動デューティDに応じて造り出されるものである。
【0028】ところで、従来から、エンストが発生する
急減速時に起きるロックアップ解除遅れを防止するため
に、トルクコンバータ1の出力回転を演算処理可能な車
速センサ21からのパルス信号Rを基にして車両の減速
度Gを検出し、この減速度Gが所定の減速判定しきい値
以上の値を取った時を、車両の急減速状態と判断してト
ルクコンバータ1のロックアップを解除する装置があ
る。
【0029】しかしながら、急減速状態を判断して前記
ロックアップを解除するに際し、以下の問題が生じるこ
とが明らかになった。
【0030】即ち、急減速状態でロックアップを解除す
る装置では、全ての減速度に対してエンスト防止を保証
させようとする場合、急減速を判断するための急減速判
定しきい値をできる限り低く設定せざるを得ないため、
急減速判断の誤検知によってロックアップを解除してし
まうことがある。この誤解除が起きると、例えば、フュ
ーエルカット制御を採用した車両などでは、エンジン回
転数がフューエルカット領域であるにもかかわらず、ロ
ックアップが解除されるため、エンジン回転数が低下し
てフューエルカット領域を外れ、フューエルリカバーに
よる燃費の悪化が避けられない。
【0031】そこで、本発明は、ロックアップを継続す
るとエンジンストールが発生する急減速を判断し該ロッ
クアップを即時に解除する第一のロックアップ解除手段
と、トルクコンバータ1の出力回転NT が、ロックアッ
プを継続するとエンジンストールを発生する低回転にな
る時に前記ロックアップを即時に解除する第二のロック
アップ解除手段とを備える。
【0032】以下、本発明による自動変速機のロックア
ップ制御装置を詳細に説明する。
【0033】図2から、変速機コントローラ200は、
コースト走行中であることを示すコースト状態信号(本
実施形態では、コーストスイッチ13からの信号Iによ
るON信号)、トルクコンバータ1の出力回転NT を演
算処理可能な車速センサ21からの信号R(タービン回
転センサ20からの信号RT )、ブレーキスイッチ23
からの信号Bから、後述の急減速判断制御および最低回
転判断制御を行うことにより、ロックアップを即時に解
除する時期を判断する。
【0034】まず、急減速判断制御による第一のロック
アップ解除手段を説明する。
【0035】図3(a),(b)は、トルクコンバータ
1の出力回転NT を演算処理可能な車速センサ21で検
出されるパルス波形を示す図である。変速機コントロー
ラ200は、例えば、同図(a)または(b)に示すよ
うに、前回車速センサ21から検出したパルス周期T1
から、急減速状態を判定するための急減速判定しきい値
To を設定し、この急減速判定しきい値To と、新たに
検出したパルス周期T2 と前回検出したパルス周期T1
の差分(T2 −T1 )とを比較し、この差分(T2 −T
1 )が急減速判定しきい値To よりも大きな値を取る場
合、急減速であると判定する。
【0036】なお、急減速の判定は、トルクコンバータ
1の出力回転NT が車速センサ21のパルス周期Tによ
って演算処理できることから、後述の式(1)を用い
て、同じく、トルクコンバータ出力回転NT を演算処理
可能なタービン回転センサ20で検出されるパルス周期
Tt から判定してもよい。また、急減速判定しきい値T
o は、例えば、図4に示すMAP値を利用し、車速セン
サ21でパルス周期Tを検出する毎に、横軸に配した車
速パルスの周期時間(1/車速)に対応する縦軸に配し
た値を取ることで設定される。
【0037】図5は、第一のロックアップ解除手段の作
用を説明するフローチャートである。これは、車速セン
サ21で検出されるパルスの割り込みにより実行され
る。まず、ステップ50にて、図3,4で説明した急減
速判定を行う。但し、このフローチャートではステップ
50にて、さらに、ブレーキスイッチ23のブレーキ信
号Bを検知しているが、このブレーキ信号Bは必ずしも
検知する必要があるものではない。
【0038】ステップ50にて、急減速状態であると判
定されるとステップ51に移行し、このステップ51に
て、パワートレーンのガタや路面状況などを要因とする
急減速判断の誤検知を回避するための急減速判定カウン
タをカウントアップする。但し、急減速判定カウンタの
ステップは一定値を取るものとする。
【0039】ステップ52では、カウントアップされた
急減速判定カウンタの累積値を所定の急減速判定値で比
較する。なお、この急減速判定値は一定値を取るものと
する。急減速判定カウンタの累積値が急減速判定値より
も大きな値を取る場合、エンストが発生する急減速状態
であると判定されてステップ53に移行し、このステッ
プ53にて、ロックアップソレノイド17にロックアッ
プを即時に解除するように駆動デューティDを出力す
る。その後、ステップ54に移行し、このステップ54
では、今回検出したパルス周期T2 から、図3,4で説
明した急減速判定しきい値To を再設定する。但し、急
減速判定カウンタの累積値が急減速判定値よりも小さな
値を取る場合は、パワートレーンのガタや路面状況など
を要因とする急減速判断の誤検知であるとして、ステッ
プ53の処理を行わずに、ステップ54に移行する。
【0040】ところで、ステップ50にて、急減速状態
でないと判定されたときは、急減速判定カウンタの累積
値をチェックするためにステップ55に移行する。この
ステップ55で、カウンタの累積値が「0」であるとき
は、そのままステップ54に移行するが、そうでないと
きは、ステップ55からステップ56に移行し、このス
テップ56にて、前記カウンタの累積値をカウントダウ
ンする。但し、このカウントダウンの減算ステップは一
定値を取るものとする。
【0041】ステップ57では、前記カウンタの累積値
が「0」以上であるかを判断し、前記カウンタの累積値
が「0」以上である場合は、そのままステップ54に移
行し、前記カウンタの累積値が「0」以下になる場合
は、ステップ58にて、前記カウンタの累積値を「0」
にクリアする。
【0042】上述したことから明らかなように、本実施
形態における第一のロックアップ解除手段は、変速機コ
ントローラ200がトルクコンバータ出力回転Nt を演
算処理可能な車速センサ21からのパルス周期Tを基に
ロックアップ中の急減速を判断し、ロックアップを継続
するとエンストが発生する急減速状態の際は、前記ロッ
クアップを即時に解除するようにロックアップソレノイ
ド17をデューティ制御するものである。
【0043】次に、最低回転判断制御による第二のロッ
クアップ解除手段を説明する。
【0044】図6は、トルクコンバータ1の出力回転N
t を演算処理可能な車速センサ21で検出されるパルス
波形を示す図である。変速機コントローラ200は、こ
の図に示すように、車速センサ21から検出した出力軸
回転(1パルス周期T)に対応するトルクコンバータ出
力回転Nt (本実施形態では、1パルス周期Tt )を演
算し、このトルクコンバータ出力回転Nt (1パルス周
期Tt )が所定回数以上連続して所定のしきい値を上回
った時を、ロックアップを継続するとエンジンストール
を発生する低回転であると判断し、ロックアップを即時
に解除する。但し、前記しきい値は一定値を取るものと
する。
【0045】またトルクコンバータ1の出力回転Nt の
1パルス周期Tt は、車速センサ21で検出される1パ
ルス周期Tと、自動変速機4のギア比iとから、 Tt =T/i ・・・(1) と求められる。この場合、車速センサ21のパルス周期
Tを用いるから、トルクコンバータ1の出力要素側にタ
ービン回転センサ20を設ける必要がないという利点が
得られる。但し、トルクコンバータ出力回転Nt の1パ
ルス周期Tt は、タービン回転センサ20で直接検出し
てもよい。
【0046】図7は、第二のロックアップ解除手段の作
用を説明するフローチャートである。これは、車速セン
サ21から検出される1パルス毎に実行される。車速セ
ンサ21から1パルスが検出されると、まず、ステップ
60にて、トルクコンバータ1がロックアップ状態であ
るかを判定し、ロックアップ状態にある場合は、ステッ
プ61にて、前述の式(1)から、車速センサ21の1
パルス周期Tを演算処理し、トルクコンバータ出力回転
Nt の1パルス周期Tt を求める。なお、トルクコンバ
ータ出力回転Nt の1パルス周期Tt をタービン回転セ
ンサ20から直接検出する場合は、ステップ61の演算
処理は不要である。
【0047】ステップ62では、式(1)から求めたト
ルクコンバータ出力回転Ntの1パルス周期Tt が、所
定のしきい値Ttoを上回るかを判定し、上回る場合は、
ステップ63に移行し、カウンタNを1だけインクリメ
ントする。但し、ステップ62で、式(1)から求めた
1パルス周期Tt が、しきい値Ttoを下回る場合は、ス
テップ61にリターンして、車速センサ21の新たなパ
ルス信号Ro から得られた1パルス周期Tを演算処理す
る。
【0048】ステップ64では、カウンタNが連続して
nまでカウントされたとき、即ちロックアップ中に演算
される1パルス周期Tがn回以上連続してしきい値Tto
を上回るときは、エンジンストールを発生する低回転で
あると判断して、ステップ65に移行し、このステップ
65にて、ロックアップソレノイド17をロックアップ
が即時に解除されるようにデューティ制御する。但し、
カウンタNが連続してnまでカウントされない場合は、
パワートレーンのガタや路面状況などを要因とする誤検
知であるとして、ステップ61にリターンして、車速セ
ンサ21の新たなパルス信号Ro から得られた1パルス
周期Tを演算処理する。
【0049】上述したことから明らかなように、本実施
形態における第二のロックアップ解除手段は、変速機コ
ントローラ200が車速センサ21から検出した1パル
ス周期Tに対応するトルクコンバータ出力回転Nt の1
パルス周期Tt がn回以上連続してしきい値Ttoを上回
る時、即ち、トルクコンバータ出力回転Nt が、ロック
アップを継続するとエンジンストールを発生する低回転
になる時に、前記ロックアップを即時に解除するように
ロックアップソレノイド17をデューティ制御するもの
である。
【0050】上記第一ロックアップ解除手段および第二
ロックアップ解除手段によるロックアップ制御は、同一
パルスをトリガーに同時進行的に実行される。このた
め、第一ロックアップ解除手段がロックアップを継続す
るとエンジンストールが発生する急減速を判断して該ロ
ックアップを即時に解除するに対し、第二ロックアップ
解除手段がロックアップ中にトルクコンバータ1の出力
回転Nt がエンジンストールを発生する低回転になる時
に前記ロックアップを即時に解除する。
【0051】この場合、ロックアップ中のトルクコンバ
ータ出力回転Nt が、ロックアップを継続するとエンジ
ンストールを発生する低回転になる時には、前記ロック
アップを即時に解除することができる。従って、低く設
定されていた減速判定しきい値To を高く設定できて、
車両の減速度Gが比較的小さな減速領域で起きる急減速
判断の誤検知によるロックアップの解除を防止しつつ、
エンジンストールを防止するために必要なロックアップ
解除領域では、確実にロックアップを即時に解除でき
る。
【0052】図8は、本発明によるロックアップ制御装
置を搭載した車両に対して、前記第二のロックアップ解
除手段がロックアップを解除するまでに必要とする時間
を、減速度Gごとに計測したものである。
【0053】この図において、破線Aは、車速センサ2
1からn個のパルスが検出されるまでの時間を示し、一
点鎖線Bは、前記最低回転判断制御によるロックアップ
解除に関して、車速センサ21の1パルス周期Tからト
ルクコンバータ出力回転Ntがロックアップを継続する
とエンジンストールを発生する低回転相当になったと判
断してロックアップを即時に解除するまでの時間を示
す。また、実線Cは、ブレーキを踏んでからエンストを
生じるエンジン回転まで低下する時間を示す。
【0054】この図から明らかなように、横軸にとった
減速度Gx は、所定の減速度を示す二点鎖線Xで領域X
1 ,X2 に分割される。
【0055】一方の領域X1 では、一点鎖線Bおよび実
線Cから明らかなように、ブレーキを踏んでからエンス
トを生じるエンジン回転まで低下する時間に対して、車
速センサ21の1パルス周期Tからトルクコンバータ出
力回転Nt がロックアップを継続するとエンジンストー
ルを発生する低回転になったと判断してロックアップを
解除するまでの時間の方が短いため、最低回転判断制御
によるロックアップの解除が行われる。
【0056】他方の領域X2 では、一点鎖線Bおよび実
線Cから明らかなように、車速センサ21の1パルス周
期Tからトルクコンバータ出力回転Nt がロックアップ
を継続するとエンジンストールを発生する低回転になっ
たと判断してロックアップを解除するまでの時間に対し
て、ブレーキを踏んでからエンストを生じるエンジン回
転まで低下する時間の方が短いため、急減速判断制御に
よるロックアップの解除が行われる。
【0057】ところで、本発明による自動変速機のロッ
クアップ制御装置は、上記構成に加えて、前記第一ロッ
クアップ解除手段、または、前記第二ロックアップ解除
手段のうち、少なくとも一方を、ロックアップ中のブレ
ーキ操作を検知して演算を行うようにすることが好まし
い。この場合、非制動中にもかかわらず、無用に演算が
行われることがなくなり、前記ロックアップ解除を判断
する際に伴う演算負荷を軽減することができる。
【0058】また、本実施形態では、前記第二ロックア
ップ解除手段を、車速センサ21から検出したパルス周
期Tに対応するトルクコンバータ出力回転Nt の1パル
ス周期Tt を演算し、ロックアップ中に演算されるトル
クコンバータ出力回転Nt の1パルス周期Tt が、n回
以上連続して所定のしきい値を上回った時に前記ロック
アップを解除するものとしたから、路面の微小変化によ
る外乱などで生じる誤検知を取り除くことができ、ロッ
クアップの解除をさらに正確に実行できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による自動変速機のロックアップ制御装
置を搭載したパワートレーンを例した図である。
【図2】本発明による自動変速機のロックアップ制御装
置を示す模式図である。
【図3】車速センサで検出されるパルス波形を示す図で
ある。
【図4】急減速判定しきい値を設定するためのマップ図
である。
【図5】第一ロックアップ解除手段の作用を説明するフ
ローチャートである。
【図6】車速センサで検出されるパルス波形を示す図で
ある。
【図7】第二ロックアップ解除手段の作用を説明するフ
ローチャートである。
【図8】第一および第二ロックアップ解除手段の作用を
説明する図である。
【符号の説明】
1 トルクコンバータ 2 ロックアップクラッチ 3 エンジン 4 自動変速機 5 出力軸 6 駆動輪 7 アクセルペダル 8 スロットルバルブ 9 エアクリーナ 10 インジェクタ群 11 点火装置 12 吸気量センサ 13 コーストスイッチ 14 コントロールバルブ 15,16 シフトソレノイド 17 ロックアップソレノイド 18 スロットル開度センサ 19 インペラ回転センサ 20 タービン回転センサ 21 出力軸回転センサ(車速センサ) 22 ブレーキペダル 23 ブレーキスイッチ 100 エンジンコントローラ 200 変速機コントローラ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 運転状態に応じて決められたロックアッ
    プ領域では入出力要素間をロックアップしコンバータ領
    域では前記ロックアップを徐々に解除するトルクコンバ
    ータからの回転が入力される自動変速機において、 前記トルクコンバータよりも後段における回転を演算処
    理可能な回転センサからの信号を基にロックアップ中に
    おいて、該ロックアップを継続するとエンジンストール
    が発生する急減速を判断し該ロックアップを即時に解除
    する第一のロックアップ解除手段と、 前記回転センサからの信号を基にロックアップ中におい
    て、前記トルクコンバータの出力回転が前記ロックアッ
    プを継続するとエンジンストールを発生する低回転とな
    る時に前記ロックアップを即時に解除する第二のロック
    アップ解除手段とを備えることを特徴とする自動変速機
    のロックアップ制御装置。
  2. 【請求項2】 請求項1において、ロックアップ中のブ
    レーキ操作を検知するブレーキ操作検知手段を付加して
    備え、 前記第一ロックアップ解除手段または前記第二ロックア
    ップ解除手段のうち、少なくとも一方は、ブレーキ操作
    を検知して前記ロックアップを解除するための演算を行
    うものであることを特徴とする自動変速機のロックアッ
    プ制御装置。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、前記第二ロ
    ックアップ解除手段は、変速機出力軸センサから検出し
    た回転周期に対応する前記トルクコンバータの出力回転
    周期を演算し、ロックアップ中に演算される前記トルク
    コンバータの出力回転周期が、所定回数以上連続して所
    定のしきい値を上回った時に前記ロックアップを解除す
    ることを特徴とする自動変速機のロックアップ制御装
    置。
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