JPH11247024A - 製糸性の改善されたポリエステル繊維及びその製造方法 - Google Patents

製糸性の改善されたポリエステル繊維及びその製造方法

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JPH11247024A
JPH11247024A JP4521698A JP4521698A JPH11247024A JP H11247024 A JPH11247024 A JP H11247024A JP 4521698 A JP4521698 A JP 4521698A JP 4521698 A JP4521698 A JP 4521698A JP H11247024 A JPH11247024 A JP H11247024A
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polyester
mol
fiber
acid component
spinning
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Seiji Ito
誠司 伊藤
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 繊維伸度が高く、高速紡糸時の製糸性が改善
されたポリエステル繊維を提供すること。 【解決手段】 ポリエステルからなる繊維であって、該
ポリエステルに、更に、トリメリット酸成分並びにCa
及び/又はBaを下記式の範囲で含有する。 0.1≦X≦3.0 ・・・ (I) 0.45≦Y/X≦1.0 ・・・ (II) (式中、Xはポリエステルを構成する全酸成分を基準と
したときのトリメリット酸成分の割合(モル%)を、Y
はポリエステルを構成する全酸成分を基準としたとき
の、CaとBaとの合計量の割合(モル%)を各々示
す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はポリエステル繊維に
関し、更に詳しくは、繊維伸度が高く、高速紡糸時の製
糸性が改善されたポリエステル繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル繊維は、機械的特性をはじ
めとして様々の優れた特性を有しており、衣料用途をは
じめ産業用資材にも広く利用されている。
【0003】従来、ポリエステル繊維を得るためには、
重合体を溶融紡糸し、次いで延伸する、いわゆる2工程
法が一般的であった。溶融紡糸しただけの繊維はその内
部構造が発達しておらず、力学特性や寸法安定性に劣る
ため、別工程での引き伸ばしによる構造の形成と固定を
行うものである。その延伸倍率は溶融紡糸条件、特に引
取速度に依存しており、過大な延伸倍率は糸切れや風合
いの低下につながるので、延伸倍率には限度がある。
【0004】ところで、紡糸工程における生産性は単位
時間あたりの吐出量に大きく依存するので、所望のデニ
ールの繊維を得るに際し吐出量をあげ、それに比例して
引き取り速度をあげれば生産性は向上する。しかしなが
らレギュラーのポリエステル繊維においては、引き取り
速度をあげると糸の伸度が低下するため、紡糸工程での
糸の引き取り速度を上げた場合には、後に続く延伸又は
延伸仮撚の工程での延伸倍率をさげなければ工程調子が
悪化する。その結果、後に続く延伸又は延伸仮撚時の延
伸比が小さくなり、引き取り速度上昇による吐出量増加
効果が、延伸比の低下によって相殺されてしまう。
【0005】すなわち一定繊度の延伸糸又は延伸仮撚糸
を得ようとする場合に、延伸比が低下すれば、それに見
合うだけの紡糸口金からのポリマー吐出量を低下させな
ければならないことになり、引き取り速度上昇によって
もたらされる吐出量増加の効果を打ち消してしまう結果
となる。
【0006】このような問題点を解決するためには、紡
糸引き取り速度を高くしても、紡糸糸条の分子配向が大
きくならないようにすれば良いわけであり、その方法と
して、ポリマーに微量の分岐成分を導入することが提案
されている(特開昭53−292号公報、特開昭63−
75112号公報、特開昭63−75114号公報
等)。
【0007】これらの方法によれば、確かに分子配向は
抑制されるが、ある程度以上の分岐成分を導入すると製
糸性が極端に悪化し断糸が多発するため、生産性向上の
程度は小さい。また、マトリックスポリマーに対し、少
量のマトリックスポリマーに非相溶のポリマーをブレン
ド紡糸することも提案されている。例えば、スチレン系
重合体を添加する方法(特開昭56−91013号公
報)、ポリ4−メチル−1−ペンテンを添加する方法
(特開昭57−47912号公報)、液晶ポリマーを添
加する方法(特開昭57−11211号)が提案されて
いる。
【0008】これらの方法は配向は抑制されるものの、
添加するポリマーに対して悪影響を及ぼすことが懸念さ
れ、例えばポリスチレンのように低軟化点温度を有する
ポリマーを添加した場合には、表層に存在する低軟化点
ポリマーのために、高温の熱処理を必要とする仮撚加工
等の処理を行うと融着をおこす場合がある。また非相溶
であるため、白濁したり、染色品の発色性が不十分とな
ることが多い。これらの問題点を解決するため、ポリエ
ステルを複合繊維として、芯部に伸長粘度がポリエステ
ルより高いポリマーを0.01〜15%ブレンドしたポ
リマーを使用することが提案されている(特開平8−2
46247号公報)。
【0009】しかしながら複合繊維を安定して紡糸する
ことは、通常の繊維を紡糸するよりも困難であり、また
複合繊維の紡糸設備は通常の繊維の紡糸設備よりも高価
となるため、本方法を採用することは、かえってコスト
アップとなる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第一の目的
は、前記従来技術を解消し、繊維伸度が高く、高速紡糸
時の製糸性が改善されたポリエステル繊維を提供するこ
とにある。更に、本発明の他の目的は、上記のポリエス
テル繊維の製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、2価以上の陽イオ
ンで置換されたトリメリット酸構造を少量共重合させた
ポリエステルを製糸することにより、上記問題点を解決
し、生産性に優れたポリエステル繊維を得ることができ
ることを見出し本発明に到達した。
【0012】即ち、本発明の第一の目的は、ポリエステ
ルを構成する全酸成分の80モル%以上がテレフタル酸
であり、ポリエステルを構成する全グルコール成分の8
0モル%以上がエチレングリコールである、ポリエステ
ルからなる繊維において、該ポリエステルが、更に、ト
リメリット酸成分並びにCa及び/又はBaを下記式
(I)及び式(II)を満足するような範囲で含有するこ
とを特徴とする、製糸性の改善されたポリエステル繊維
により達成することができる。
【0013】
【数2】 0.1≦X≦3.0 ・・・ (I) 0.45≦Y/X≦1.0 ・・・ (II) (式中、Xはポリエステルを構成する全酸成分を基準と
したときのトリメリット酸成分の割合(モル%)を、Y
はポリエステルを構成する全酸成分を基準としたとき
の、CaとBaとの合計量の割合(モル%)を各々示
す。)
【0014】更に、本発明の他の目的は、請求項1記載
のポリエステル繊維を製造するに際し、ポリエステルの
エステル交換反応終了後で、且つ重縮合反応完結以前の
段階にトリメリット酸のCa塩及び/又はBa塩を添加
して、得られたポリエステルを製糸することを特徴とす
る、製糸性の改善されたポリエステル繊維の製造方法に
より達成される。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明におけるポリエステル繊維
は、ポリエステルを構成する全酸成分を基準として80
モル%以上がテレフタル酸であり、ポリエステルを構成
する全グルコール成分を基準として80モル%以上がエ
チレングルコールである、ポリエステルから形成されて
いる必要がある。
【0016】該テレフタル酸成分が80モル%未満であ
るか、又は、該エチレングルコールが80モル%未満で
あると、ポリエチレンテレフタレートの特性である強
度、熱安定性等が損なわれる可能性がある。
【0017】また、該ポリエステルが、更に、トリメリ
ット酸成分並びにCa及び/又はBaを下記式(I)及
び式(II)を満足するような範囲で含有することが必要
である。
【0018】
【数3】 0.1≦X≦3.0 ・・・ (I) 0.45≦Y/X≦1.0 ・・・ (II) (式中、Xはポリエステルを構成する全酸成分を基準と
したときのトリメリット酸成分の割合(モル%)を、Y
はポリエステルを構成する全酸成分を基準としたとき
の、CaとBaとの合計量の割合(モル%)を各々示
す。)
【0019】上記の式(I)において、Xが0.1未満
の場合には、本発明が目的とする、配向抑制効果は得ら
れない。また、Xが3.0を越えると、配向抑制の効果
は増大するが、製糸性が悪化する。このXの好ましい範
囲としては、0.2〜1.5モル%、より好ましい範囲
は0.4〜1.0モル%である。
【0020】上記の式(II)において、Y/Xが0.4
5未満の場合には、製糸性が悪化する、繊維強度が低下
する等の悪影響がある。一方、Y/Xが1.0を越える
場合には、ポリマー中に発生する異物量が増加し、製糸
性が悪化する。このY/Xの好ましい範囲としては0.
5〜0.9、より好ましい範囲は0.5〜0.7であ
る。
【0021】本発明の製造方法においては、トリメリッ
ト酸成分のCa塩及び/又はBa塩をポリエステルのエ
ステル交換反応終了後、重縮合反応完結以前の任意の段
階で添加する必要がある。この段階に添加することで、
効率よくポリエステルを製造することができる。
【0022】尚、トリメリット酸とCa及び/又はBa
化合物を別々に添加しても構わないが、予めトリメリッ
ト酸のCa塩及び/又はBa塩を形成させた場合には、
トリメリット酸が塩の形で反応するため製糸性が更に向
上する。
【0023】該塩の製造方法としては、無水トリメリッ
ト酸をエチレングリコール中に溶解させ、該溶液に所定
量の水酸化カルシウム、酢酸カルシウム等を添加し加熱
・攪拌すればよい。
【0024】本発明のポリエステル繊維を製造するに
は、ポリエステル繊維の紡糸速度が3000m/分〜1
0000m/分の範囲に設定することが好ましい。紡糸
速度がこの範囲にあるときには、生産性向上効果が一段
と奏される。
【0025】また、繊維伸度が100〜200%の範囲
にあることが好ましく、前記範囲内にあるときには、紡
糸速度と同様に、生産性向上効果が一段と奏される。
【0026】紡糸速度4500m/分以上で且つ伸度1
00%以上となる場合には生産性向上効果は特に大き
い。
【0027】しかしながら、紡糸速度を10000m/
分以上に設定すると、逆に製糸性が不調となり、生産性
が悪化する。
【0028】本発明のポリエステル繊維を構成するポリ
エステルは、ポリエステルを構成する全酸成分を基準と
して80モル%以上がテレフタル酸成分、ポリエステル
を構成する全グルコール成分を基準として80モル%以
上をエチレングルコール成分から形成されていれば、そ
の用途に応じて、酸成分として、フタル酸成分、イソフ
タル酸成分、5−ナトリウムスルホイソフタル酸成分、
2,6−ナフタレンジカルボン酸成分、1,5ナフタレ
ンジカルボン酸成分、ジフェニルジカルボン酸成分、セ
バシン酸成分、アジピン酸成分、1,4−シクロヘキサ
ンジカルボン酸成分、ダイマ−酸成分等の脂肪族、脂環
式、あるいは芳香族ジカルボン酸成分、ジオール成分と
して、テトラメチレングリコール成分、トリメチレング
リコール成分、ヘキサメチレングリコール成分、シクロ
ヘキサン−1、4−ジメタノール成分、ネオペンチルグ
リコール成分、ビスフェノールA成分、ビスフェノール
Aのエチレンオキサイド付加体、ビスフェノールSのエ
チレンオキサイド付加体、ダイマージオール成分のよう
な脂肪族、脂環式、あるいは芳香族ジオール成分を併用
して、共重合ポリエステルとしてもよい。上記成分を同
時に使用し、共重合ポリエステルとすることも特に問題
はなく、用途によっては好ましい。更に、用途に応じて
艶消し剤、制電剤、熱安定剤、光安定剤等をポリエステ
ルの物性を損なわない範囲で添加しても良い。
【0029】
【作用】本発明がその効果を奏する理由は、おそらく以
下の通りであると推察される。即ち、 トリメリット酸のCa及び/又はBa塩が分子鎖中に
取り込まれ、 2価のイオンにより分子鎖同士がイオン的に結合さ
れ、 分子鎖の運動が抑制されるので、 配向が抑制される。という理由により発現するものと
考えられる。 また単純に分岐剤を使用した場合とは異なり分子鎖同士
の結合がイオン的な結合状態にあり、高温での結合力は
弱いので、製糸性の悪化は見受けられない。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば製糸性が改善されたポリ
エステル繊維を得ることができ、該繊維は、生糸のまま
で、あるいは撚糸、仮撚加工糸として、タイツ、水着、
靴下などのストレッチ素材やインナーウエアー、スポー
ツウエアー、ブラシ、キャンバスなどの用途、及び裏
地、スラックス、ブルゾンなどの衣料用途、リボン、テ
ープ、ベルトなどの資材用途に好適に用いることができ
る。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明はこれにより何等限定されるものでは
ない。尚、実施例中の部は重量部を意味する。また、実
施例中の各値は以下の方法により測定した。
【0032】固有粘度(IV):オルトクロロフェノー
ル中35℃で測定した。 応力−伸長曲線:島津製作所製引っ張り試験機「オ−ト
グラフAG−100E」を使用、試料長25cm、引っ張
り速度20cm/分の条件で応力−伸長曲線を求めた。次
に伸びを初期試料長で割り伸度とした。 ポリマー中の金属種の含有量:JOBIN YVON社
製 ICP(高周波誘導プラズマ)「JY170」を使
用し分析を行なった。
【0033】尚、実施例中の金属種含有量(mol%)
はポリエステルを構成する全酸成分を基準とする割合で
ある。
【0034】[参考例] トリメリット酸カルシウム塩及びバリウム塩の製造: エチレングルコール180部に無水トリメリット酸1
9.2部を予め溶解した溶液に、水酸化カルシウム4.
0部を添加し20分間激しく攪拌を行った。この溶液を
以下、A液とする。
【0035】エチレングルコール180部に無水トリ
メット酸19.2部を予め溶解した溶液に、水酸化カル
シウム2.0部を添加し20分間激しく攪拌を行った。
この溶液を以下、B液とする。
【0036】エチレングルコール180部に無水トリ
メリット酸19.2部を予め溶解した溶液に、水酸化カ
ルシウム部を添加し20分間激しく攪拌を行った。この
溶液を以下、C液とする。
【0037】エチレングルコール180部に無水トリ
メリット酸19.2部を予め溶解した溶液に、水酸化バ
リウム9.4部を添加し20分間激しく攪拌を行った。
この溶液を以下、D液とする。
【0038】[実施例1]テレフタル酸ジメチル194
部、エチレングルコール124部及び酢酸カルシウム1
水塩0.123部を精留塔付き反応槽にいれ、常法に従
ってエステル交換反応を行い、理論量のメタノールを留
出させた。次いで反応生成物を精留塔付き重縮合用フラ
スコへ入れ、安定剤としてトリメチルホスフェート0.
112部、重縮合触媒として三酸化アンチモン0.07
9部を加え、更に参考例の操作にて得られたA液を1
0.2部添加し、温度285℃、常圧で30分、更に3
0mmHgの減圧下で15分反応を進行させた後、系内
を徐々に減圧にし、撹袢下110分間反応させた。最終
内温は285℃、最終内圧は0.37mmHgであり、
得られたコポリエステルの固有粘度は0.63であっ
た。
【0039】得られたコポリエステルを、内温を295
℃に設定した2軸ルーダーに通過させて溶融混練した
後、295℃に保持した紡糸パック中に導き、孔数24
の紡糸口金から吐出して、紡糸速度4500m/分で直
接巻き取った。この際、コポリエステルの吐出量は巻き
取り糸の繊度が150de/24filとなるよう調整
した。
【0040】得られたコポリエステル繊維の固有粘度は
0.61、繊維中に含有されるCaの量は0.34mo
l%、トリメリット酸成分の量は0.5mol%であっ
た。
【0041】尚、製糸操作は3日間連続して行なった。
繊維の伸度と1日あたりの断糸回数とを表1に示す。
【0042】[実施例2]実施例1において、A液を2
0.4部添加すること以外は同様の操作を行った。得ら
れたコポリエステルの固有粘度は0.63、ポリエステ
ル繊維の固有粘度は0.62、繊維中に含まれるCaの
量は0.61mol%、トリメリット酸成分の量は1.
0mol%であった。繊維の伸度と1日あたりの断糸回
数を表1に示す。
【0043】[実施例3]実施例1において、参考例の
操作により得られたA液を40.8部添加すること以外
は同様の操作を行った。得られたコポリエステルの固有
粘度は0.62、ポリエステル繊維の固有粘度は0.6
0、繊維中に含まれるCaの量は1.15mol%、ト
リメリット酸成分の量は2mol%であった。繊維の伸
度と一日あたりの断糸回数を表1に示す。
【0044】[実施例4]実施例1において、A液から
代えて、参考例の操作により得られたD液を10.4部
添加すること以外は同様の操作を行った。得られたポリ
エステルチップの固有粘度は0.63、ポリエステル繊
維の固有粘度は0.62、繊維中に含まれるCaの量は
0.07mol%、Baの量は0.28mol%、トリ
メリット酸成分の量は0.5mol%であった。繊維の
伸度と1日あたりの断糸回数を表1に示す。
【0045】[比較例1]テレフタル酸ジメチル194
部、エチレングルコール124部及び酢酸カルシウム1
水塩0.123部を精留塔付き反応層にいれ、常法に従
ってエステル交換反応を行い、理論量のメタノールの留
出せしめた。次いで反応生成物を精留塔付き重縮合用フ
ラスコへ入れ、安定剤としてトリメチルホスフェート
0.112部、重縮合触媒として三酸化アンチモン0.
079部を加え、さらに無水トリメリット酸0.96部
を添加し、温度285℃、常圧で30分、更に30mm
Hgの減圧下で15分反応を進行させた後、系内を徐々
に減圧にし、撹袢下110分間反応させた。最終内温は
285℃、最終内圧は0.37mmHgであり、得られ
たコポリエステルの固有粘度は0.63であった。
【0046】得られたコポリエステルを用い、実施例1
と同様の操作によって溶融紡糸を行った。繊維中に含ま
れるCaの量は0.07mol%、トリメリット酸成分
の量は0.5mol%であった。繊維伸度と一日あたり
の断糸回数を表1に示す。
【0047】[比較例2]比較例1において、無水トリ
メリット酸の添加量を1.92部とすること以外は同様
の操作を行った。このコポリエステルは重合反応時にゲ
ル化を生じた。このコポリエステルのCa量は0.07
mol%、トリメリット酸成分量は1.0mol%であ
った。
【0048】[比較例3]実施例1において、A液から
代えて、参考例の操作により得られたB液を40.8部
添加すること以外は同様の操作を行った。このコポリエ
ステルは重合反応時にゲル化を生じた。このコポリエス
テルのCa量は0.60mol%、トリメリット酸成分
量は2.0mol%であった。
【0049】[比較例4]実施例1において、A液から
代えて、参考例の操作により得られたC液を10.2部
添加すること以外は同様の操作を行った。得られたポリ
エステルチップの固有粘度は0.61、ポリエステル繊
維の固有粘度は0.60、繊維中に含まれるCaの量は
0.82mol%、トリメリット酸成分の量は0.5m
ol%であった。繊維の伸度と1日あたりの断糸回数を
表1に示す。このポリマー中には白色異物が多数見られ
た。
【0050】[比較例5]実施例1において、A液を添
加しないこと以外は同様の操作を行った。得られたポリ
エステルチップの固有粘度は0.64、ポリエステル繊
維の固有粘度は0.62、繊維中に含まれるCaの量は
0.07mol%、トリメリット酸成分の量は0.0m
ol%であった。繊維の伸度と一日あたりの断糸回数を
表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】上述の実施例1〜4と比較例1〜4との対
比からも明らかな通り、トリメリット酸成分、Ca及び
/又はBaを特定量含有することにより、繊維の内部構
造において結晶配向が抑制されるため製糸性が良好であ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエステルを構成する全酸成分の80
    モル%以上がテレフタル酸であり、ポリエステルを構成
    する全グルコール成分の80モル%以上がエチレングリ
    コールである、ポリエステルからなる繊維において、 該ポリエステルが、更に、トリメリット酸成分並びにC
    a及び/又はBaを下記式(I)及び式(II)を満足す
    るような範囲で含有することを特徴とする、製糸性の改
    善されたポリエステル繊維。 【数1】 0.1≦X≦3.0 ・・・ (I) 0.45≦Y/X≦1.0 ・・・ (II) (式中、Xはポリエステルを構成する全酸成分を基準と
    したときのトリメリット酸成分の割合(モル%)を、Y
    はポリエステルを構成する全酸成分を基準としたとき
    の、CaとBaとの合計量の割合(モル%)を各々示
    す。)
  2. 【請求項2】 請求項1記載のポリエステル繊維を製造
    するに際し、 ポリエステルのエステル交換反応終了後で、且つ重縮合
    反応完結以前の段階にトリメリット酸のCa塩及び/又
    はBa塩を添加して、得られたポリエステルを製糸する
    ことを特徴とする、製糸性の改善されたポリエステル繊
    維の製造方法。
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