JPH11246888A - 高純度エイコサペンタエン酸またはそのエステルの製造方法 - Google Patents

高純度エイコサペンタエン酸またはそのエステルの製造方法

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JPH11246888A
JPH11246888A JP35441198A JP35441198A JPH11246888A JP H11246888 A JPH11246888 A JP H11246888A JP 35441198 A JP35441198 A JP 35441198A JP 35441198 A JP35441198 A JP 35441198A JP H11246888 A JPH11246888 A JP H11246888A
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ester
eicosapentaenoic acid
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distillation
column
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JP35441198A
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Inventor
Kazuhiko Hata
和彦 秦
Hideo Noda
秀夫 野田
Masahiro Makuta
昌弘 幕田
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Kansai Chemical Engineering Co Ltd
Nissui Corp
Original Assignee
Kansai Chemical Engineering Co Ltd
Nippon Suisan Kaisha Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 濃度85%以上のエイコサペンタエン酸また
はそのエステルを、簡便に、かつ、高効率、低コストで
取得すること。 【解決手段】 エイコサペンタエン酸またはその誘導体
を含む天然油脂から得られる脂肪酸またはそのエステル
の混合物を、低炭素数脂肪酸類初留分の精留塔を独立さ
せた3塔以上の蒸留塔において、前段蒸留塔から留出分
が供給される蒸留塔の塔底液を前段蒸留塔に還流し、1
0mmHg以下の減圧および210℃以下の塔底温度に
おいて連続蒸留し、得られたエイコサペンタエン酸また
はそのエステルを主成分として含有する主留分を尿素メ
タノール溶液と接触させて尿素付加体を生成させ、非極
性溶媒を用いて抽出処理し、次いで溶媒を留去して、濃
度85%以上のエイコサペンタエン酸またはそのエステ
ルを得ることを特徴とする高純度エイコサペンタエン酸
またはそのエステルの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高純度エイコサペン
タエン酸またはそのエステルの製造方法に関するもので
ある。さらに詳しくはこの発明は、血栓性疾患の治療お
よび予防のための処方剤として有用なエイコサペンタエ
ン酸(EPA)またはそのエステルの高濃度品の高効率
生産を可能とする新規な製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、エイコサペンタエン酸(EP
A)、及びそのエステル、アミド等は血栓生成の予防や
血栓性疾患の治療のための処方剤として有用なことがす
でに知られている。これらのエイコサペンタエン酸類
は、天然油脂、特にサバ、イワシ、タラ等の水産物油脂
中にそれ自体として、あるいはそのグリセライド等の誘
導体として含有されていることが知られており、これら
の魚油等からエイコサペンタエン酸類を取り出すための
方法についての検討が進められてきてもいる。
【0003】しかしながら、これらの魚油等からなる天
然油脂中には、炭素数20の不飽和脂肪酸であるエイコ
サペンタエン酸以外の、炭素数19以下および21以上
等の他の夾雑する脂肪酸が圧倒的に多く含まれており、
エイコサペンタエン酸類のみを選択的に高濃度(高純
度)品として効率的に取り出すことは困難を極めてい
る。たとえば、天然油脂からのエイコサペンタエン酸類
の製造方法として、天然油脂からの脂肪酸混合物をエス
テル化し、これを減圧下に精密分留し、次いで、得られ
た留分を尿素付加法によって精製する方法がこれまでに
提案されている(特開昭57−149400)。10m
mHg、さらに好ましくは0.1〜0.01mmHgの
減圧下にリング充填の1塔の精留塔において精密分留
し、さらに尿素付加法によって精製するこの方法によっ
て、80%濃度程度のエイコサペンタエン酸エステルが
得られている。しかしながら、この方法によっても、精
留によって得られるC20留分中エイコサペンタエン酸エ
ステルはわずか30%程度にしかすぎず、しかも尿素付
加体処理や、さらにその後の減圧蒸留によっても、高収
率でその濃度を85%以上にまで向上させることは極め
て困難である。また、蒸留後に大量、かつ、多数回の尿
素処理が実際上必要となることから、その生産効率の向
上はもとより、生産コスト低減には大きな制約があり、
プロセスの実用化には大きな問題があった。
【0004】この方法とほぼ同時に、2塔の蒸留塔を用
いて、減圧条件下に連続蒸留し、C 20留分として50%
前後のエイコサペンタエン酸類を取得し、次いで尿素付
加処理とカラムクロマト精製する方法がこの発明の出願
人によって提案されてもいる(特開昭58−803
7)。この方法によって蒸留精製や、全プロセスとして
の効率は大きく向上したものの、依然として85%以上
の高濃度のエイコサペンタエン酸またはそのエステルを
実用プロセスとして製造することには成功していない。
このため、生産工程の合理化、生産効率の向上には限界
があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】医用処方剤として有用
なエイコサペンタエン酸またはそのエステル等を臨床的
に、あるいはさらに広範囲な疾患領域への適用を目的と
する研究のために使用していくためには、たとえばその
濃度80%以上、さらには85%以上のものを大量に高
効率で生産することが強く望まれるが、以上の通りのこ
れまでの状況においては、このような要請に対応するこ
とはできなかった。この発明は、以上の通りの事情に鑑
みてなされたものであり、従来の製造・精製方法の欠点
を克服し、濃度85%以上のエイコサペンタエン酸また
はそのエステルを、簡便に、かつ、高効率、低コストで
取得することを可能とする新しい方法を提供することを
目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、エイコサペンタエン酸またはそ
の誘導体を含む天然油脂から得られる脂肪酸またはその
エステルの混合物を、低炭素数脂肪酸類初留分の精留塔
を独立させた3塔以上の蒸留塔において、前段蒸留塔か
ら留出分が供給される蒸留塔の塔底液を前段蒸留塔に還
流し、10mmHg以下の減圧および210℃以下の塔
底温度において連続蒸留し、得られたエイコサペンタエ
ン酸またはそのエステルを主成分として含有する主留分
を尿素メタノール溶液と接触させて尿素付加体を生成さ
せ、非極性溶媒を用いて抽出処理し、次いで溶媒を留去
して、濃度85%以上のエイコサペンタエン酸またはそ
のエステルを得ることを特徴とする高純度エイコサペン
タエン酸またはそのエステルの製造方法を要旨としてい
る。
【0007】また、この発明の方法は、前段蒸留塔の塔
頂留分の凝縮液を、該蒸留塔から留出分が供給される蒸
留塔に送ることや、前段蒸留塔から留出分が供給される
蒸留塔の塔底液を、前段蒸留塔塔頂近傍に還流すること
や、エイコサペンタエン酸またはそのエステルを主成分
として含有する主留分の精留塔と、後留(残留)分の精
留塔とを各々独立して設けて連続蒸留することを好まし
い態様としてもいる。またはさらに、この発明の方法
は、各々の蒸留塔が独立した真空系および凝縮系を有す
ること等を好ましい態様の一つとしてもいる。
【0008】エイコサペンタエン酸等の長鎖高度不飽和
脂肪酸類は分子内に二重結合が多いため、蒸留時の加熱
によって劣化や重合等の熱変性をおこしやすく、蒸留濃
縮は著しく困難である。また一方、エイコサペンタエン
酸類を含有する天然油脂は、エイコサペンタエン酸類以
外に各種脂肪酸類を含み、これらは沸点が近いため、蒸
留塔の高さをかなり高くし、還流量を多くしなければ分
離することができない。しかしながら、このことは、塔
底圧力の上昇とそれにともなう温度上昇による熱変性と
いう問題を引き起こし、結局のところ、蒸留精製を著し
く困難なものとする。このようなことから、従来方法で
は、蒸留による濃縮は低レベルに抑え、後段の尿素付加
処理等によって高度精製することを余儀なくされてい
た。また、後段プロセスの負荷は極めて大きなものにな
らざるを得なかった。
【0009】しかしながら、この発明の方法によって、
このような問題の発生もなく、蒸留精製のみによって、
簡便な操作で、しかも高効率に80%以上、さらには8
5%以上の濃度の高純度エイコサペンタエン酸またはそ
のエステルの取得を可能とするため、その後の尿素付加
処理等によって、極めて高効率に、かつ高濃度品への精
製が可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】この発明の方法が対象とする脂肪
酸混合物は、エイコサペンタエン酸またはそのグリセリ
ド等の誘導体を多く含有する天然油脂から得られる任意
のものを用いることができ、たとえば、イワシ、サバ、
ニシン、サンマ等の魚、ナンキョクオキアミ、ツノナシ
オキアミ、コペポーダ等の動物性海洋プランクトン等の
適宜なものから得られる脂肪酸混合物を使用することが
できる。これらの脂肪酸混合物は、所望により、エステ
ル化して連続蒸留する。この発明の連続蒸留法において
は、充填式、スプリング式、棚段式等の各種の方式の蒸
留塔が採用でき、より好ましくは、網目板状体を用い、
蒸留塔全体で理論段数が5以上、個々の蒸留塔では3以
上とすることができる。
【0011】3塔以上の蒸留塔からなる上記の方法での
連続蒸留は、いずれも、10mmHg以下、より好まし
くは、0.1mmHg前後の減圧条件、および210℃
以下、より好ましくは、195℃以下の塔底温度におい
て実施する。この3塔以上の蒸留塔の構成は、いずれの
場合も、そのうちの1塔は初留分回収のための精留塔と
して独立させる。たとえば3塔によって構成する場合に
は、 (I) 第1蒸留塔 (II) 第2蒸留塔(初留分精留塔) (III) 第3蒸留塔(主留分および後留分精留塔) に区分し、また4塔によって構成する場合には、 (I) 第1蒸留塔 (II) 第2蒸留塔(初留分精留塔) (III) 第3蒸留塔(後留分精留塔) (IV) 第4蒸留塔(主留分精留塔) に区分する。さらに、3塔の場合には、 (I) 第1蒸留塔(初留分精留塔) (II) 第2蒸留塔(後留分精留塔) (III) 第3蒸留塔(主留分精留塔) に区分することもできる。もちろん、精留塔の構成をさ
らに細分化することもできる。
【0012】前2者のいずれの場合にも、本発明の方法
においては、初留分精留塔の塔底液は前段の、すなわち
上記の構成例では第1蒸留塔への還流液として戻すこと
を必須としている。また、第1蒸留塔の塔頂留分をいっ
たん凝縮させた後に、凝縮液の状態で初留分精留塔に送
ることも好ましい態様としている。後1者の初留分精留
塔の前に前段蒸留塔がない場合でも、第2、第3の蒸留
塔の間にこの関係がある。また、4塔を用いた後述の実
施例でも第1、第2の間と、第3、第4の間にこれらの
関係があり、4塔以上の蒸留塔を用いる場合でも、上記
の還流をすべての蒸留塔に適用することが好ましい。い
ずれの構成例の場合にも、この発明の方法においては、
前段蒸留塔から留出分が供給される蒸留塔の塔底液は前
段の蒸留塔への還流液として戻すことを必須としてい
る。ただし、蒸留塔の数が多くなった場合には、上記の
還流を省略した蒸留塔を存在させることができる。さら
に、各々の蒸留塔は、その真空度や塔底温度を厳密に制
御することが必要であることから、各塔毎に独立した真
空系を設けることが好ましい。連続蒸留により得られる
20の主留分、すなわち、エイコサペンタエン酸または
そのエステルを含有する主留分は、次いで尿素処理し、
尿素付加体を生成させる。この時、尿素をメタノール、
エタノール等の高溶解性の溶媒に溶解して尿素溶液とし
て使用する。通常、尿素濃度5〜20%程度とする。主
留分とこの尿素溶液との混合は、主留分1重量部に対し
て、0.5〜10部の割合で行い、室温以下、より好ま
しくは15℃以下にまで強制冷却する。このような処理
によって、主留分中の低不飽和度、たとえば1〜4個の
不飽和結合を有するC20脂肪酸類を尿素との複合体とし
て析出させて分離することができる。次いで、上記の方
法においては、反応混合物に、非極性溶剤、たとえばヘ
キサン、イソオクタン等を加え、尿素付加体および残存
する尿素をメタノール層等に、脂肪酸類はヘキサン層等
に移行させて抽出分離する。次いで、必要に応じて色
素、酸化物等の不純物を除去するため、吸着カラムを介
して吸着処理する。この時の吸着カラムとしては、シリ
カゲル、活性白土、アルミナ、活性炭素等を用いること
ができるが、特にシリカゲルを好ましいものとして例示
することができる。その後、上記の溶媒を留去する。
【0013】以下、添付した図面に沿ってこの発明の方
法についてさらに詳しく説明する。図1は、4塔の蒸留
塔を用いる例を示したものである。たとえばこの図1に
示したように、脂肪酸混合物(A)を対象として、4塔
の蒸留塔(1)(2)(3)(4)を用いて連続蒸留す
る。各々の蒸留塔(1)(2)(3)(4)には、独立
して、真空系(5)(6)(7)(8)及び凝縮系
(9)(10)(11)(12)、さらに、リボイラー
(13)(14)(15)(16)を配設してもいる。
この蒸留塔(1)(2)(3)(4)は、各々、10m
mHg以下の減圧、および210℃以下の塔底温度に厳
密に制御する。真空度と温度とは密接な関係にあり、こ
の制御のために真空系(5)(6)(7)(8)を各々
独立にすることが好ましいが、このことは必ずしも必須
ではない。真空ポンプの能力や制御システム等に応じて
この真空系を適宜に構成してもよい。
【0014】以上の構成においては、まず原料(A)を
第1蒸留塔(1)に、たとえばその塔頂近傍に導入し、
塔頂留分は凝縮系(9)において凝縮し、第2蒸留塔
(2)としての初留分精留塔に、たとえばその塔底部に
液状で導入する。この液状での導入は、この発明の方法
において重要なファクターのひとつである。
【0015】第2蒸留塔(2)においては、その塔頂留
分としてより低炭素数(<C19)の脂肪酸類からなる初
留分(B)を回収する。また、その塔底液の一部は、第
1蒸留塔(1)の塔頂近傍に還流する。これもこの発明
の方法にとって極めて重要なファクターである。第1蒸
留塔(1)の塔底凝縮液もリボイラー(13)で加熱し
て塔底部に戻すとともに、第3蒸留塔(3)の塔頂近傍
に、液状で導入する。この第3蒸留塔(3)の塔頂留分
は凝縮系(11)を介して凝縮液として第4蒸留塔
(4)の塔底部に供給する。また、塔底凝縮液は、リボ
イラー(15)によって加熱して塔底部に戻すととも
に、エイコサペンタエン酸またはそのエステルより長鎖
のC21以上の脂肪酸から主としてなる後留(残留)分
(C)を回収する。
【0016】第3蒸留塔(3)の塔頂からの凝縮液を導
入した第4蒸留塔(4)においては、塔頂からの留分を
凝縮系(12)において凝縮し、一部を塔頂近傍に還流
するとともに、エイコサペンタエン酸またはそのエステ
ルを主なものとする主留分(D)を回収する。一方、塔
底凝縮液はリボイラー(16)で加熱して塔底に戻すと
ともに、一部を、第3蒸留塔(3)の塔頂近傍に還流す
る。なお、原料(A)は、第1蒸留塔(1)への導入前
に、減圧に保ったフラッシュタンク(17)において処
理し、空気や水分等の不純物を除去するようにしてもよ
い。また、リボイラー(13)(14)(15)(1
6)には、加熱時間を短くすることができる流下薄膜蒸
発型のものを採用することが有利である。これにより、
より効果的に熱変性を防ぐことができる。図2は、尿素
付加体生成の処理工程を例示したものである。上記の連
続蒸留により得られるエイコサペンタエン酸またはその
エステルの濃度が80%以上の主留分(D)を処理す
る。図2に例示したように、この主留分(D)は、尿素
溶液との接触塔(21)に送り、たとえば尿素メタノー
ル溶液をタンク(22)より導いて接触させる。この
時、尿素メタノール溶液は、35〜45℃程度の温度で
導入し、接触塔(21)において室温以下になるように
強制冷却する。次いで処理液は、タンク(23)を介し
て非極性溶媒、たとえばn−ヘキサンを用いての製品抽
出塔(24)に送る。尿素メタノール溶液および尿素付
加体を分離した製品溶剤層(E)は、次の処理工程に送
る。尿素メタノール溶液および尿素付加体は、タンク
(25)に送り、尿素付加体を熱分解したのち、残渣抽
出塔(25′)において再度抽出処理をし、残渣溶剤層
(G)を分離する。非極性溶媒は、冷却管(26)、あ
るいは加熱管(27)において冷却あるいは加熱して、
抽出塔(24)(25′)に送る。溶剤層(E)(G)
は、デカンター(28)(29)より取り出す。次いで
製品溶剤層(E)を、図3に示したように、タンク(3
1)を介してメタノール精留塔(32)に送る。メタノ
ール凝縮器(33)およびメタノール蒸発器(34)を
配置したこの精留塔(32)での操作によって、脱メタ
ノール処理した製品抽出溶剤層が得られ、これを濾過す
ることにより残存する尿素を除去する。次いで、これを
タンク(35)を介して吸着カラム(36)(37)に
導き、色素や酸化物等の不純物を除去し、続いて、蒸発
器(38)において溶媒、たとえばn−ヘキサン凝縮器
(39)を配置する。このようにして製品(F)が得ら
れる。製品(F)の最終濃度は85%以上にまで上昇す
る。次にこの図1から図3に例示した装置を用いてのこ
の発明の製造方法の具体的な製造例を示す。
【0017】<製造例1>魚油から得られた脂肪酸(C
19以下60%、C2023%、C21以上17%)混合物の
エチルエステルを、1mmHgの真空に保ったフラッシ
ュタンク(17)にて処理し、次いで、塔径300m
m、高さ約7mで、0.1mmHgの真空に保った第1
蒸留塔(1)に15〜20l/hrの割合で供給した。
この第1蒸留塔(1)においては、塔底温度194〜1
95℃、塔頂温度124〜125℃となるようにした。
また、その内部には、4mm網目の網目状板を装置し、
その理論段数は4段とした。この第1蒸留塔(1)に
は、その塔底にC 20以上の脂肪酸エステル混合物が集ま
ることから、この第1蒸留塔の塔底部の真空度および温
度の制御が難しくなる。このため、第1蒸留塔内への充
填物の量は第2蒸留塔(2)よりも少なくした。
【0018】第1蒸留塔(1)の塔頂凝縮液は第2蒸留
塔(2)の塔底部に導入した。この第2塔の塔底温度は
184〜185℃、塔頂温度は110〜111℃となる
ようにし、0.1mmHgの減圧において操作した。理
論段数は6段とした。また、塔頂留分は、還流比1:2
で還流し、一部は、初留分(B)として回収した。この
初留分の組成は、表1にも示したように、C19以下の脂
肪酸類99%、C 20エイコサペンタエン酸エステル他1
%、C21以上の脂肪酸類0%であった。第2蒸留塔
(2)については、その塔底液が液面として一定になる
ように制御し、第1蒸留塔(1)の塔頂近傍に戻した。
つまり、この塔底凝縮液は還流液として第1蒸留塔
(1)に戻した。第1蒸留塔(1)の塔底液は、第3蒸
留塔(3)の塔頂近傍に供給した。この第3蒸留塔
(3)の圧力は0.1mmHgの減圧条件とし、また塔
底温度は194〜195℃、塔頂温度は124〜125
℃となるようにした。理論段数は4段とした。
【0019】第3蒸留塔(3)の塔底液として、後留
(残留)分(C)を回収した。この後留の組成は、表1
に示した通り、C19以下の脂肪酸類0.1%、C20エイ
コサペンタエン酸エステル他20%、C21以上の脂肪酸
類79.9%であった。この第3蒸留塔(3)の塔頂留
分は、凝縮液として第4蒸留塔(4)の塔底部に供給し
た。理論段数6段のこの第4蒸留塔(4)は、0.1m
mHgの減圧で、塔底温度194〜195℃、塔頂温度
110〜111℃となるように操作した。塔底液は、還
流液として第3蒸留塔(3)の塔頂部に戻した。この時
の、第4蒸留塔の塔底液面は一定となるようにした。塔
頂凝縮液は、還流比1:2で還流させ、同時に主留分
(D)を回収した。この主留分の組成は、表1に示した
ように、C19以下の脂肪酸類0.1%、C 21以上の脂肪
酸類0%、C20エイコサペンタエン酸エステル他99.
9%であった。C20留分のうちのエイコサペンタエン酸
エチルエステルの濃度は88%であった。
【0020】<比較例>比較のために、図4に示した2
塔の構成からなる蒸留塔(41)(42)(論理段数1
0段)による連続減圧蒸留を試みた。この時も、各々の
蒸留塔(41)(42)には、独立の真空系(43)
(44)および凝縮系(45)(46)を設け、リボイ
ラー(47)(48)も配置した。 第1蒸留塔(4
1)塔頂より初留分(B′)を、第2蒸留塔(42)塔
頂より主留分(D′)、またその塔底より後留(残留)
分(C′)を回収するようにした。各々の蒸留塔(4
1)(42)は0.1mmHgの減圧条件とした。第1
蒸留塔(41)の塔底温度を195℃以下となるように
試みたが、温度制御は困難で、210℃以上になる場合
があった。初留分、主留分および後留分の組成は表2に
示した通りであり、C20留分の分離精製効率はこの発明
の方法に比べてはるかに劣り、また、蒸留操作の制御は
著しく困難となった。また、C20留分として回収された
主留分のうちのエイコサペンタエン酸エチルエステル濃
度は76%にとどまった。第1蒸留塔(41)の塔底温
度を195℃以下に制御しても、この表2から明らかな
ように、どうしても、より低炭素数の、特にC18脂肪酸
類の混入がさけられず、製品としては全く不充分なもの
となった。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】実施例2 実施例1から得られたC20エチルエステル濃度99.9
%、エイコサペンタエン酸エチルエステル濃度88%の
主留分(D)を、接触塔(21)において、15%尿素
メタノール溶液と接触させた。この溶液の温度は42℃
とし、また接触塔(21)においては、10℃まで強制
冷却した。10℃に冷却したn−ヘキサンを用い抽出塔
(24)において抽出処理した。得られた製品溶剤層
(E)は、メタノール精留塔(32)においてメタノー
ル除去し、さらに尿素を濾別した。製品溶剤層(E)に
は、 脂肪酸エステル 12〜13% メタノール 5% ヘキサン 82〜83% 微量の尿素 が含まれていたが、このうちのメタノールと尿素が完全
に除去されていた。処理液は、次いで、シリカゲルの吸
着カラム(36)(37)に導き、色素や酸化物等の不
純物を除去し、さらに蒸発器(38)においてヘキサン
を留去して、エイコサペンタエン酸エチルエステル製品
(F)を得た。このものの濃度は93%であった。
【0024】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この発明の方
法によって、85%以上、さらには90%以上の濃度
(純度)を有するエイコサペンタエン酸またはそのエス
テルの取得が可能となる。しかも高効率での製造が実現
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の方法の蒸留工程の一実施例を示した
装置構成模式図である。
【図2】この発明の方法の尿素付加体生成の処理工程の
一実施例を示した装置構成模式図である。
【図3】この発明の方法の尿素付加体精製工程の一実施
例を示した装置構成模式図である。
【図4】従来の2塔方式の例を示した模式図である。
【符号の説明】
1、2、3、4 蒸留塔 5、6、7、8 真空系 9、10、11、12 凝縮系 13、14、15、16 リボイラー 21 接触塔 22 タンク 23 タンク 24 製品抽出塔 25 タンク 25′残渣抽出塔 26 冷却塔 27 加熱管 28、29 デカンター 31 タンク 32 メタノール精留塔 33 メタノール凝縮器 34 メタノール蒸発器 35 タンク 36、37 吸着カラム 38 蒸発器 39 ヘキサン凝縮器 A 原料 B 初留分 C 後留(残留)分 D 主留分 E 製品溶剤層 F 製品 G 残渣溶剤層
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年12月14日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】請求項5
【補正方法】変更
【補正内容】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C07C 67/60 C07C 67/60 69/587 69/587 C11B 3/02 C11B 3/02 7/00 7/00 C11C 1/08 C11C 1/08 1/10 1/10

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エイコサペンタエン酸またはその誘導体
    を含む天然油脂から得られる脂肪酸またはそのエステル
    の混合物を、低炭素数脂肪酸類初留分の精留塔を独立さ
    せた3塔以上の蒸留塔において、前段蒸留塔から留出分
    が供給される蒸留塔の塔底液を前段蒸留塔に還流し、1
    0mmHg以下の減圧および210℃以下の塔底温度に
    おいて連続蒸留し、得られたエイコサペンタエン酸また
    はそのエステルを主成分として含有する主留分を尿素メ
    タノール溶液と接触させて尿素付加体を生成させ、非極
    性溶媒を用いて抽出処理し、次いで溶媒を留去して、濃
    度85%以上のエイコサペンタエン酸またはそのエステ
    ルを得ることを特徴とする高純度エイコサペンタエン酸
    またはそのエステルの製造方法。
  2. 【請求項2】 前段蒸留塔の塔頂留分の凝縮液を、該蒸
    留塔から留出分が供給される蒸留塔に送る請求項1の高
    純度エイコサペンタエン酸またはそのエステルの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前段蒸留塔から留出分が供給される蒸留
    塔の塔底液を、前段蒸留塔塔頂近傍に還流する請求項1
    または2の高純度エイコサペンタエン酸またはそのエス
    テルの製造方法。
  4. 【請求項4】 エイコサペンタエン酸またはそのエステ
    ルを主成分として含有する主留分精留塔と、高炭素脂肪
    酸類後留分とを各々独立させて連続蒸留する請求項1、
    2または3の高純度エイコサペンタエン酸またはそのエ
    ステルの製造方法。
  5. 【請求項5】 各の蒸留塔が独立した真空系および凝縮
    系を有する請求項1、2、3または4の高純度エイコサ
    ペンタエン酸またはそのエステルの製造方法。
  6. 【請求項6】 室温以下の温度において尿素メタノール
    溶液と主留分とを接触させる請求項1、2、3、4また
    は5の高純度エイコサペンタエン酸またはそのエステル
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 非極性溶媒がヘキサンである請求項1、
    2、3、4、5または6の高純度エイコサペンタエン酸
    またはそのエステルの製造方法。
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