JPH11230203A - 無励磁作動形電磁ブレーキ - Google Patents

無励磁作動形電磁ブレーキ

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JPH11230203A
JPH11230203A JP4873698A JP4873698A JPH11230203A JP H11230203 A JPH11230203 A JP H11230203A JP 4873698 A JP4873698 A JP 4873698A JP 4873698 A JP4873698 A JP 4873698A JP H11230203 A JPH11230203 A JP H11230203A
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JP
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brake
armature
side plate
hub
brake disc
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JP4873698A
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Hisashi Takagi
久 高木
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Ogura Clutch Co Ltd
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Ogura Clutch Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 空転摩耗が防止された無励磁作動形電磁ブレ
ーキにおいて、ブレーキディスクとサイドプレートとの
間に形成される隙間の調整が簡単にできるようにする。 【解決手段】 ブレーキディスク10の側面に固定され
た保持部材14には、調整ボルト16aの先端に当接し
た状態で、固定ボルト20によりストッパ部材19が固
定されている。また、有頭ボルト17が、保持部材14
とストッパ部材19の挿通孔14e,19aを通りハブ
11に固定されている。有頭ボルト17の頭部と保持部
材14との間には、有頭ボルト17の胴部に嵌合された
戻しばね18が設けられている。この戻しばね18のば
ね力により、ストッパ部材19がハブ11の側面に当接
するまで、ブレーキディスク10がアーマチュア側に移
動する。また、無励磁状態においてハブ11の側面とス
トッパ部材19との間に形成される隙間の寸法は、調整
ボルト16aを前進または後退することにより調整され
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、無励磁作動形電
磁ブレーキの空転摩耗の防止に関するものである。
【0002】
【従来の技術】無励磁作動形電磁ブレーキは、フィール
ドコアに収容された電磁コイルの磁気吸引力と制動ばね
のばね力により軸線方向にのみ移動するアーマチュアが
配設され、電磁コイルへの通電を断った無励磁状態にお
いて、被制動機械の回転軸側に装着されたブレーキディ
スクを、制動ばねのばね力によりアーマチュアとサイド
プレートとの間に狭持して制動するとともに、電磁コイ
ルに通電した励磁状態において、制動ばねのばね力に抗
してアーマチュアをフィールドコアに磁気吸着して、ブ
レーキディスクの制動を解放する制動装置である。この
ような構造の無励磁作動形電磁ブレーキは、アーマチュ
アの移動量がそのアーマチュアとフィールドコアとの間
に設けられたエアギャップ(0.2〜0.5mm程度の隙
間)に相当するため、励磁状態において、ブレーキディ
スクがアーマチュアやサイドプレートに接触してブレー
キディスクの摩擦板の偏摩耗や発熱を起こすことがあ
る。特に、ブレーキディスクの回転が1000rpmと
か2000rpmと高速の場合、上記問題が顕著に現れ
早急な対策が求められている。
【0003】このようなブレーキディスクの空転摩耗を
防止した無励磁作動形電磁ブレーキとしては、実公昭4
9−37742号公報(先行技術1)や実公昭34−1
4428号公報(先行技術2)、実公昭48−2547
号公報(先行技術3)に説明されているものが代表的で
ある。
【0004】これら先行技術において、先行技術1の無
励磁作動形電磁ブレーキは、被制動機械の回転軸にスプ
ライン嵌合されるブレーキディスクを磁性材料で形成す
るとともに、回転軸の端面と対向するブレーキディスク
の内フランジ部分に調整ボルトを螺合している。また、
無励磁状態において、調整ボルトの先端が回転軸の端面
とエアギャップより小さい隙間をおいて対向するように
調整した後、調整ボルトに螺合された固定ナットをブレ
ーキディスクの内フランジ部分の側面に締め付けること
により、調整ボルトをブレーキディスクに保持してい
る。また更には、励磁状態にしたとき、漏洩磁束による
磁気吸引力によりブレーキディスクがアーマチュアに追
随移動するとともに、その追随移動は調整ボルトが回転
軸に当接することにより制限される構造である。したが
って、先行技術1の無励磁作動形電磁ブレーキは、励磁
状態にするとブレーキディスクがアーマチュア側に僅か
に移動するので、ブレーキディスクの空転中に起こる摩
擦板の偏摩耗や発熱が防止される。
【0005】先行技術2の無励磁作動形電磁ブレーキ
は、被制動機械の回転軸側にスプライン嵌合されたブレ
ーキディスクのボス部分のうち、アーマチュア側のボス
部端面は、回転軸の軸端側に設けた止め板と対向してお
り、また、サイドプート(外枠)側のボス部端面は、回
転軸側に設けられたばね受け板と対向している。また更
に、ボス部端面とばね受け板との間には、ボス部分が止
め板に当接するまでブレーキディスクをアーマチュア側
に押圧する弾性部材(環状板ばね)が配設されている。
したがって、先行技術2の無励磁作動形電磁ブレーキ
は、励磁状態にすると、弾性部材のばね力でブレーキデ
ィスクがアーマチュア側に僅かに移動するので、ブレー
キディスクの空転中に起こる摩擦板の偏摩耗や発熱が防
止される。
【0006】先行技術3の無励磁作動形電磁ブレーキ
は、被制動機械の回転軸に装着されたハブに、ブレーキ
ディスクの側面と対向する外フランジ部を設け、その外
フランジ部の貫通孔から挿入された調整用無頭ねじをブ
レーキディスクに螺着するとともに、外フランジ部から
突出した調整用無頭ねじの雄ねじ部分に調整ナットを螺
合している。また、調整用無頭ねじの周囲に嵌合された
弾性部材(圧縮コイルばね)を、ブレーキディスクとハ
ブの外フランジ部との間に介在している。また更には、
無励磁状態においてハブの外フランジ部と調整ナットと
の間にエアギャップより小さい隙間が形成されるよう
に、調整ナットの位置調整をするとともに、位置調整さ
れた調整ナットを保持する止め金具がハブに設けられて
いる。したがって、先行技術3の無励磁作動形電磁ブレ
ーキは、励磁状態にすると、弾性部材のばね力でブレー
キディスクがアーマチュア側に僅かに移動するので、ブ
レーキディスクの空転中に起こる摩擦板の偏摩耗や発熱
が防止される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】先行技術1の無励磁作
動形電磁ブレーキは、ブレーキディスクを磁性材料で形
成しなければならないという製造上の制約を伴うととも
に、回転軸にスプライン嵌合されたブレーキディスク
を、回転軸の軸心に対して倒れることなく、漏洩磁束の
磁気吸引力でアーマチュア側へ移動することができない
場合が起こる。即ち、スプライン嵌合部分の摺動抵抗が
大きいと、ブレーキディスクの移動ができない場合があ
る。
【0008】また、先行技術2の無励磁作動形電磁ブレ
ーキは、制動ばねのばね力を受けるサイドプレートを被
制動機械の外枠とした製品設計になっており、フィール
ドコアを外枠に固定することにより、無励磁状態におけ
るフィールドコアとアーマチュアとの間のエアギャッ
プ、励磁状態におけるブレーキディスクとサイドプレー
トとの間の隙間が設けられる構造である。しかしなが
ら、被制動機械に無励磁作動形電磁ブレーキを装着した
後で隙間を調整することができない構造である。即ち、
被制動機械に無励磁作動形電磁ブレーキを装着すること
により、ブレーキディスクとサイドプレート(外枠)と
の間には、エアギャップ(0.2〜0.5mm程度の隙
間)の寸法より小さい寸法の隙間が形成されなければな
らないが、被制動機械や無励磁作動形電磁ブレーキの各
部品の加工上の公差範囲により、0.1〜0.25mm程
度の非常に狭い隙間が必ず設けられるとは限らない。ま
た、作動を繰り返すことによりブレーキディスクの摩擦
板は摩耗して、エアギャップとブレーキディスクとサイ
ドプレートとの間の隙間は大きくなる。したがって、先
行技術2の無励磁作動形電磁ブレーキは、被制動機械に
装着した後の隙間の初期調整や保守調整が簡単にできる
構造に設計を変更する必要がある。
【0009】また更に、先行技術3の無励磁作動形電磁
ブレーキは、被制動機械に無励磁作動形電磁ブレーキを
装着するときに、外枠の開口端面とサイドプレートとの
間に複数枚の調整用ライナーが介装され、その調整用ラ
イナーにより無励磁状態におけるエアギャップが調整で
きる構造になっている。また、エアギャップ調整後にお
いて調整ナットを回動することにより、この調整ナット
とハブの外フランジ部との間の隙間(励磁状態における
ブレーキディスクとサイドプレートとの間の隙間)を調
整できる構造になっている。即ち、被制動機械に装着し
た後の隙間の初期調整や保守調整が可能な構造である。
しかしながら、この無励磁作動形電磁ブレーキは、被制
動機械の外枠内に、フィールドコア・制動ばね・アーマ
チュア・ブレーキディスク・サイドプレートを順次に組
込む構造であり、制動ばねのばね力が作用するサイドプ
レートを外枠に取り付けたり取りはずすことにより、調
整ランナーの介装作業を行わなければならない。したが
って、エアギャップの調整作業が困難であって多大な労
力を必要とするとともに、生産性が非常に悪い。
【0010】また、この無励磁作動形電磁ブレーキは、
ブレーキディスクに固定された調整用無頭ねじの雄ねじ
部分に螺合された調整ナットが、励磁状態にしたとき戻
しばねのばね力によりハブの外フランジ部に当打される
構造であり、ブレーキディスクの重量が重く戻しばねの
ばね力が強く設定されている場合、調整用無頭ねじと調
整ナットのねじ山が破損してしまうことも考えられ、設
計を変更する必要がある。
【0011】この発明は、ブレーキディスクの空転摩耗
が防止された無励磁作動形電磁ブレーキにおいて、エア
ギャップやブレーキディスクとサイドプレートとの間の
隙間の初期調整や保守調整及び被制動機械への装着が簡
単にできるとともに、長年に亘って使用しても調整機構
が破損することがない品質に優れた無励磁作動形電磁ブ
レーキを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るために、第1発明の無励磁作動形電磁ブレーキは、ハ
ウジング(実施の形態において符号2a、以下同様に符
号を示す。)から回転軸(2b)が突出している被制動
機械(2)に装着される無励磁作動形電磁ブレーキ
(1)において、前記回転軸(2b)の周囲に配設され
前記ハウジング(2a)に固定されるとともに軸線方向
に開口する環状溝(3a)に電磁コイル(4)が収容さ
れたフィールドコア(3)と、このフィールドコア
(3)に固定され軸線方向に延びた複数の案内部材
(5)と、これら案内部材(5)の先端に固定されて前
記フィールドコア(3)に支持されるとともに、軸線方
向の位置の調整が可能なサイドプレート(6)と、前記
フィールドコア(3)と前記サイドプレート(6)との
間に介装されるとともに前記案内部材(5)と係合され
軸線方向にのみ移動自在なアーマチュア(9)と、この
アーマチュア(9)と前記サイドプレート(6)との間
に介装されたブレーキディスク(10)と、このブレー
キディスク(10)を介して前記アーマチュア(9)を
前記サイドプレート(6)側へ押圧する制動ばね(2
1)と、前記ブレーキディスク(10)の中心において
回転方向に噛合って嵌合されるとともに前記回転軸(2
b)の軸端に装着されるハブ(11)と、このハブ(1
1)の側面と軸線方向に間隔をおいて対向する内フラン
ジ部(14b)が設けられ前記ブレーキディスク(1
0)に固定された保持部材(14)と、この保持部材
(14)の内フランジ部(14b)と前記ハブ(11)
の側面との間に配設されたストッパ部材(19)と、こ
のストッパ部材(19)に先端が当接するとともに前記
保持部材(14)に保持された調整部材(16)と、前
記保持部材(14)と前記ストッパ部材(19)を一体
に固定する固定部材(20)と、前記保持部材(14)
の挿通孔(14e)を通り前記ハブ(11)の側面に固
定された支持部材(17)と、この支持部材(17)の
ばね座と前記保持部材(14)との間に配設され前記支
持部材(17)の周囲に嵌合された戻しばね(18)と
が設けられ、無励磁状態において、前記フィールドコア
(3)と前記アーマチュア(9)との間にはエアギャッ
プ(G)が形成され、前記ハブ(11)の側面と前記ス
トッパ部材(19)との間には前記エアギャップ(G)
より小さい隙間(S)が形成されることを特徴とする。
【0013】また、第2発明の無励磁作動形電磁ブレー
キ(1)は、電磁コイル(4)が収容されたフィールド
コア(3)と、このフィールドコア(3)に一体に連結
され軸線方向の位置の調整が可能なサイドプレート
(6)と、前記フィールドコア(3)と前記サイドプレ
ート(6)との間に介装され前記フィールドコア(3)
とエアギャップ(G)をおいて対向するとともに軸線方
向にのみ移動自在なアーマチュア(9)と、このアーマ
チュア(9)と前記サイドプレート(6)との間に介装
されたブレーキディスク(10)と、このブレーキディ
スク(10)の中心において回転方向に噛合って嵌合さ
れたハブ(11)と、前記アーマチュア(9)を前記サ
イドプレート(6)側へ押圧する制動ばね(21)と、
前記ブレーキディスク(10)の前記アーマチュア
(9)側への移動を前記エアギャップ(G)の寸法より
小さい移動量に制限するとともに前記ブレーキディスク
(10)を前記アーマチュア(9)側に押圧する戻しば
ね(18)と前記ブレーキディスク(10)側に位置の
調整を自在に支持され前記ハブ(11)の側面に接離す
るストッパ部材(19)が設けられ後付装着される隙間
調整装置(13)と、前記ブレーキディスク(10)と
前記サイドプレート(6)との間に介装される調整用介
装部材(22)とを備え、前記サイドプレート(6)の
位置調整により前記エアギャップ(G)を調整した後、
前記ブレーキディスク(10)と前記サイドプレート
(6)との間に前記調整用介装部材(22)を介装する
ようにしたことを特徴とする。
【0014】
【発明の実施の形態】図1は、被制動機械に装着された
無励磁作動形電磁ブレーキの断面図であり、図2は、ハ
ブとブレーキディスクに装着された隙間調整装置の断面
図である。図3は、図1の電磁コイルに通電した状態で
示した断面図である。図4は、図1の隙間調整装置を装
着する前の断面図である。以下、これら図面により、こ
の発明の実施の形態を説明する。
【0015】無励磁作動形電磁ブレーキ1は、被制動機
械としてのモータ2の回転軸2bの周囲に嵌合され、同
モータ2のハウジング2aに図示せむボルトで固定され
たフィールドコア3が設けられている。フィールドコア
3は、軸線方向に開口した環状溝3aが形成され、環状
に巻回された電磁コイル4が収容され樹脂で保持されて
いる。また、環状溝3aと同方向に開口したねじ孔3b
とばね孔3cが、異なる円周方向を3等分する位置に穿
設されている。また更に、フィールドコア3の各ねじ孔
3bには、円筒状の係合部5aが設けられた案内部材と
しての無頭ねじ5が個々に螺合され固定されている。各
無頭ねじ5の軸線方向に延びたねじ部5bは、円板状の
サイドプレート6に穿設された挿通孔6aに挿入されて
いる。また、各無頭ねじ5のねじ部5bには、位置決め
用ナット7と固定用ナット8が螺合されており、これら
ナット7,8により、無頭ねじ5とサイドプレート6が
固定されている。換言すれば、サイドプレート6は、一
対のナット7,8により軸線方向の位置調整が自在に無
頭ねじ5に固定されてフィールドコア3に支持されてい
る。
【0016】フィールドコア3とサイドプレート6との
間には、円板状のアーマチュア9が介装されている。ア
ーマチュア9は、円周方向を3等分する位置に外周面に
開口する係合溝(U字状の切欠き溝)9aが形成されて
おり、この係合溝9aと無頭ねじ5の係合部5aとを回
転方向で噛合わせることにより、アーマチュア9は、軸
線方向にのみ移動自在にフィールドコア3に支持されて
いる。また、このアーマチュア9とサイドプレート6の
間には、両側面に摩擦板10aが固着されたブレーキデ
ィスク10が介装されている。ブレーキディスク10
は、中心にハブ11のスプライン溝が回転方向に噛合っ
て嵌合されている。ハブ11は、モータ2の回転軸2b
の軸端にキー嵌合されスナップリング12より抜け止め
されている。
【0017】次に、隙間調整装置13について説明す
る。隙間調整装置13には、皿状に塑性加工されて中心
部分がプレスで打ち抜かれた鋼板からなる保持部材14
が設けられている。保持部材14は、環状な外フランジ
部14aと環状な内フランジ部14b、これらフランジ
部14a,14bを連結する円筒部14cとが形成さ
れ、サイドプレート6の中心孔6b内に挿入された外フ
ランジ部14aが、複数のねじ15でブレーキディスク
10の側面に固定されている。また、保持部材14の内
フランジ部14bには、円周方向を3等分する位置に形
成されたねじ孔14dと、このねじ孔14dとは異なる
円周方向を3等分する位置に形成された第1の挿通孔1
4eと、これらねじ孔14dや挿通孔14eとは異なる
円周方向を3等分する位置に形成された第2の挿通孔1
4f(図2・図4参照)が設けられている。
【0018】内フランジ部14bの各ねじ孔14dに
は、調整部材16が配設されている。調整部材16は、
調整ボルト16aとこの調整ボルト16aに螺合された
固定用ナット16bからなり、調整ボルト16aを固定
した状態で固定用ナット16bを内フランジ部14bの
側面に締め付けることにより、調整ボルト16aは保持
部材14に保持されている。また、内フランジ部14b
の各挿通孔14eには、支持部材としての有頭ボルト1
7が挿入されている。有頭ボルト17は、ハブ11の側
面に螺合されて固定されているとともに、ばね座となる
頭部と内フランジ部14bとの間に配設された圧縮コイ
ルばねからなる戻しばね18が胴部の周囲に嵌合されて
いる。
【0019】保持部材14とハブ11とにより、回転軸
2bの軸端回りには環状の空間が形成されており、その
空間内に、環状なストッパ部材19が配設されている。
ストッパ部材19は、円周方向を3等分する位置に有頭
ボルト17の胴部が挿入された挿通孔19aが穿設さ
れ、また、この挿通孔19aとは異なる円周方向を3等
分する位置に、固定部材としての固定ボルト20が螺合
されるねじ孔19b(図2・図4参照)が穿設されてい
る。このようなストッパ部材19は、一方の側面に調整
ボルト16aの先端が当接した状態で、保持部材14の
内フランジ部14bの第2の挿通孔14fから挿入され
た固定ボルト20をねじ孔19bに螺合して締め込むこ
とにより、保持部材14に固定されている。また、スト
ッパ部材19の他方の側面は、ハブ11の側面と所定の
隙間Sをおいて対向している。
【0020】このような隙間調整装置13が設けられた
無励磁作動形電磁ブレーキ1は、フィールドコア3のば
ね孔3cに挿入された圧縮コイルばねからなる制動ばね
21のばね力により、ブレーキディスク10を介してア
ーマチュア9はサイドプレート6側に押圧され(図1参
照)、アーマチュア9とフィールドコア3との間には、
エアギャップGが形成される。なお、誇張して図示され
ているが、このエアギャップGは、0.2〜0.5mm程
度の隙間であり、電磁コイル4の磁気回路上に設けられ
るため、その寸法は非常に狭く設定される。また同様
に、上記隙間Sは、0.1〜0.25mm程度の隙間であ
り、エアギャップGより小さい寸法の隙間に設定されて
いる。
【0021】このような構造からなる無励磁作動形電磁
ブレーキ1は、電磁コイル4への通電が断たれている無
励磁状態(図1の状態)において、制動ばね21のばね
力で押圧されるアーマチュア9と制動ばね21のばね力
による押圧力を受け止めるサイドプレート6との間に、
ブレーキディスク10の摩擦板10aが挟持されるの
で、そのブレーキディスク10とスプライン嵌合された
ハブ11と、このハブ11がキー嵌合された回転軸2b
を、静止した状態に保持する。また、ブレーキディスク
10に支持された隙間調整部材13も、戻しばね18の
ばね力に抗して移動するので、ストッパ部材19とハブ
11との間に隙間Sが形成される。
【0022】一方、電磁コイル4に通電された励磁状態
(図3の状態)では、電磁コイル4の磁束による磁気吸
引力により、制動ばね21のばね力に抗してアーマチュ
ア9はフィールドコア3に磁気吸着される。即ち、エア
ギャップGがゼロになる。また、制動ばね21のばね力
から解放されたブレーキディスク10は、戻しばね18
のばね力により、ストッパ部材19がハブ11の側面に
当接されるまでブレーキディスク10がサイドプート6
から離間される。このとき、隙間SがエアギャップGよ
り小さい寸法の隙間に調整されているので、ブレーキデ
ィスク10は、戻しばね18のばね力により、フィール
ドコア3に磁気吸着されたアーマチュア9とも離間され
た状態に軸線方向の移動が静止される。したがって、無
励磁作動形電磁ブレーキ1による回転軸2bの制動が解
放されたモータ2を駆動すると、回転軸2bと一体に回
転するブレーキディスク10は、アーマチュア9やサイ
ドプレート6に接触することなく空転する。
【0023】次に、図4に示された隙間調整装置13を
装着する前の無励磁作動形電磁ブレーキ1の断面図によ
り、組立手順やエアギャップGと隙間Sの調整方法につ
いて説明する。無励磁作動形電磁ブレーキ1の組立手順
は、電磁コイル4が収容されたフィールドコア3の各ね
じ孔3bに無頭ねじ5を螺合して固定した後、フィール
ドコア3の各ばね孔3cに制動ばね21を挿入する。次
に、無頭ねじ5の係合部5aに係合溝9aを係合させな
がら、アーマチュア9をフィールドコア3に積み重ね
る。また、各無頭ねじ5のねじ部5bに固定用ナット8
を螺合してから、アーマチュア9にブレーキディスク1
0を積み重ねるとともに、各挿通孔6aに無頭ねじ5の
ねじ部5bを挿入しながら、ブレーキディスク10にサ
イドプレート6を積み重ねる。そして、制動ばね21の
ばね力で脱落しないように、各無頭ねじ5のねじ部5b
に調整用ナット7を螺合して、サイドプレート6の抜け
止めをすることにより、仮の組立が完了する。
【0024】このように組み立てられた無励磁作動形電
磁ブレーキ1は、固定用ナット8を係合部5a側に回動
させてから、また、フィールドコア3とアーマチュア9
との間に隙間ゲージを挿入してから、無頭ねじ5のねじ
部5bに螺合された各調整ナット7をフィールドコア3
側へ回動する。即ち、制動ばね21のばね力に抗して螺
合前進させられる調整ナット7の位置調整により、サイ
ドプート6とブレーキディスク10・アーマチュア9を
フィールドコア3側へ移動させることにより、フィール
ドコア3とアーマチュア9との間に設けられるエアギャ
ップGの寸法を調整する。調整後は、各無頭ねじ5のね
じ部5bに螺合されている固定用ナット8を、調整用ナ
ット7を回り止めした状態でサイドプレート6の側面に
締め付けることにより、サイドプレート6や調整ナット
7を無頭ねじ5に固定する。
【0025】次に、このような手順で組立とエアギャッ
プGの調整が完了した無励磁作動形電磁ブレーキ1は、
電磁コイル4に通電してその磁束による磁気吸引力によ
り、制動ばね21のばね力に抗してアーマチュア9をフ
ィールドコア3に磁気吸着する。そして、ブレーキディ
スク10とサイドプレート6との間に、エアギャップG
の寸法より小さい寸法の厚み(実施の形態においては、
エアギャップの二分の一)とした環状なシート部材から
なる隙間介装部材22を介装するとともに、ブレーキデ
ィスク10の心合わせをしてから電磁コイル4への通電
を断つことにより、組立が完了する。
【0026】一方、隙間調整装置13は、調整部材16
の調整ボルト16a先端を当接させた状態で、調整部材
16が保持された保持部材14に、固定ボルト20によ
りストッパ部材19を固定しておく。また、固定する際
には、保持部材16の挿通孔14eとストッパ部材19
の挿通孔19aとの位置合わせをする。
【0027】このように組み立てられた無励磁作動形電
磁ブレーキ1は、ハブ11を回転軸2bにキー嵌合して
スナップリング12で抜け止めをした後、ハブ11とブ
レーキディスク10とをスプライン嵌合しながら、フィ
ールドコア3がハウジング2aに突き当てられてボルト
で固定される。また、隙間調整装置13の保持部材14
が、ねじ15でブレーキディスク10に固定されるとと
もに、戻しばね18が嵌合された有頭ボルト17が、挿
通孔14eから挿通孔19aに挿入されハブ11の側面
に螺合される。また更には、固定ボルト20と固定用ナ
ット16bとを緩めた状態で、調整ボルト16aを螺合
前進させることにより、ストッパ部材19がハブ11の
側面に押し当てられる。押し当てた後には、固定用ナッ
ト16bが保持部材14側へ締め込まれるとともに、固
定ボルト20も締め込まれる。
【0028】このように隙間調整装置13を無励磁作動
形電磁ブレーキ1に後付装着した後、電磁コイル4へ通
電して制動ばね21のばね力によるブレーキディスク1
0の制動を解放することにより、隙間介装部材22は取
り除かれ、ブレーキディスク10とサイドプレート6と
の間に、エアギャップGより小さい隙間が形成される。
即ち、図3に図示されている無励磁状態で、無励磁作動
形電磁ブレーキ1はモータ2に装着される。
【0029】以上、実施の形態について詳細に説明した
が、この発明の無励磁作動形電磁ブレーキにおいては、
例えば、サイドプレート6の軸線方向の位置調整を、実
公昭53−706号公報に説明されているようなその他
の調整方法に設計を変更することができる。また、制動
ばねも、フィールドコアの内周面側や外周面側に配設し
てもよい。また更に、隙間介装部材は、環状なシート部
材として例示したが、円周方向に分割されて配設される
複数の隙間介装部材を、無頭ねじに螺合された固定用ナ
ット(符号8)に嵌合されてブレーキディスクとサイド
プレートとの間に挟まれたシート部材とすることもでき
る。また、ハブとブレーキディスクとをスプライン嵌合
したが、これらは回転方向に噛合って嵌合されればよ
く、キー嵌合でもよい。また更に、この発明の無励磁作
動形電磁ブレーキは、回転軸が垂直な被制動機械(例え
ば、縦型モータ)に装着してもよい。
【0030】
【発明の効果】第1発明の無励磁作動形電磁ブレーキ
は、ハブの側面と対向する内フランジ部が設けられブレ
ーキディスクに固定された保持部材と、この保持部材の
内フランジ部とハブの側面との間に配設されたストッパ
部材と、このストッパ部材に先端が当接するとともに保
持部材に保持された調整部材と、保持部材とストッパ部
材を一体に固定する固定部材と、保持部材の挿通孔を通
りハブの側面に固定された支持部材と、この支持部材の
ばね座と保持部材との間に配設され支持部材の周囲に嵌
合された戻しばねとを備えた隙間調整装置を設けたの
で、励磁状態にしたときに戻しばねのばね力によりハブ
の側面に当接されるストッパ部材は、調整部材で後退が
規制されて固定部材で保持部材に固定されているので、
ストッパ部材とハブとの衝撃力が大きくても隙間調整装
置の作動に支障を来すような部品の破損が起こることは
なく、品質に優れた無励磁作動形電磁ブレーキを提供す
ることができる。
【0031】第2発明の無励磁作動形電磁ブレーキは、
第1発明と同様に、品質に優れた無励磁作動形電磁ブレ
ーキを提供することができる。また、ブレーキディスク
のアーマチュア側への移動をエアギャップの寸法より小
さい移動量に制限するとともにブレーキディスクをアー
マチュア側に押圧する戻しばねとブレーキディスク側に
位置の調整を自在に支持されハブの側面に接離するスト
ッパ部材が設けられ後付装着される隙間調整装置と、ブ
レーキディスクとサイドプレートとの間に介装される調
整用介装部材とを備え、サイドプレートの位置調整によ
りエアギャップを調整した後、ブレーキディスクとサイ
ドプレートとの間に調整用介装部材を介装するようにし
たので、被制動機械に無励磁作動形電磁ブレーキを装着
した後、隙間調整部材を後付装着することにより、ブレ
ーキディスクとサイドプレートとの間にエアギャップよ
り小さい隙間が簡単に設けられる。したがって、被制動
機械への装着が簡単な無励磁作動形電磁ブレーキを提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態である無励磁作動形電磁
ブレーキの断面図である。
【図2】図1の隙間調整装置の断面図である。
【図3】図1の無励磁作動形電磁ブレーキを励磁状態で
示した断面図である。
【図4】隙間調整装置を装着する前の状態で示した無励
磁作動形電磁ブレーキの断面図である。
【符号の説明】
3 …フィールドコア 4 …電磁コイル 5 …案内部材 6 …サイドプレート 9 …アーマチュア 10 …ブレーキディスク 11 …ハブ 13 …隙間調整部材 14 …保持部材 16 …調整部材 17 …支持部材 18 …戻しばね 19 …ストッパ部材 20 …固定部材 21 …制動ばね 22 …隙間介装部材

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハウジングから回転軸が突出している被
    制動機械に装着される無励磁作動形電磁ブレーキにおい
    て、前記回転軸の周囲に配設され前記ハウジングに固定
    されるとともに軸線方向に開口する環状溝に電磁コイル
    が収容されたフィールドコアと、このフィールドコアに
    固定され軸線方向に延びた複数の案内部材と、これら案
    内部材の先端に固定されて前記フィールドコアに支持さ
    れるとともに、軸線方向の位置の調整が可能なサイドプ
    レートと、前記フィールドコアと前記サイドプレートと
    の間に介装されるとともに前記案内部材と係合され軸線
    方向にのみ移動自在なアーマチュアと、このアーマチュ
    アと前記サイドプレートとの間に介装されたブレーキデ
    ィスクと、このブレーキディスクを介して前記アーマチ
    ュアを前記サイドプレート側へ押圧する制動ばねと、前
    記ブレーキディスクの中心において回転方向に噛合って
    嵌合されるとともに前記回転軸の軸端に装着されるハブ
    と、このハブの側面と軸線方向に間隔をおいて対向する
    内フランジ部が設けられ前記ブレーキディスクに固定さ
    れた保持部材と、この保持部材の内フランジ部と前記ハ
    ブの側面との間に配設されたストッパ部材と、このスト
    ッパ部材に先端が当接するとともに前記保持部材に保持
    された調整部材と、前記保持部材と前記ストッパ部材を
    一体に固定する固定部材と、前記保持部材の挿通孔を通
    り前記ハブの側面に固定された支持部材と、この支持部
    材のばね座と前記保持部材との間に配設され前記支持部
    材の周囲に嵌合された戻しばねとが設けられ、無励磁状
    態において、前記フィールドコアと前記アーマチュアと
    の間にはエアギャップが形成され、前記ハブの側面と前
    記ストッパ部材との間には前記エアギャップより小さい
    隙間が形成されることを特徴とする無励磁作動形電磁ブ
    レーキ。
  2. 【請求項2】 電磁コイルが収容されたフィールドコア
    と、このフィールドコアに一体に連結され軸線方向の位
    置の調整が可能なサイドプレートと、前記フィールドコ
    アと前記サイドプレートとの間に介装され前記フィール
    ドコアとエアギャップをおいて対向するとともに軸線方
    向にのみ移動自在なアーマチュアと、このアーマチュア
    と前記サイドプレートとの間に介装されたブレーキディ
    スクと、このブレーキディスクの中心において回転方向
    に噛合って嵌合されたハブと、前記アーマチュアを前記
    サイドプレート側へ押圧する制動ばねと、前記ブレーキ
    ディスクの前記アーマチュア側への移動を前記エアギャ
    ップの寸法より小さい移動量に制限するとともに前記ブ
    レーキディスクを前記アーマチュア側に押圧する戻しば
    ねと前記ブレーキディスク側に位置の調整を自在に支持
    され前記ハブの側面に接離するストッパ部材が設けられ
    後付装着される隙間調整装置と、前記ブレーキディスク
    と前記サイドプレートとの間に介装される調整用介装部
    材とを備え、前記サイドプレートの位置調整により前記
    エアギャップを調整した後、前記ブレーキディスクと前
    記サイドプレートとの間に前記調整用介装部材を介装す
    るようにしたことを特徴とする無励磁作動形電磁ブレー
    キ。
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