JPH11228814A - ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物

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JPH11228814A
JPH11228814A JP2886398A JP2886398A JPH11228814A JP H11228814 A JPH11228814 A JP H11228814A JP 2886398 A JP2886398 A JP 2886398A JP 2886398 A JP2886398 A JP 2886398A JP H11228814 A JPH11228814 A JP H11228814A
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polyamide resin
glass fiber
grafted
weight
resin layer
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JP2886398A
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Michihiro Tsuji
道弘 辻
Kazuya Noda
和弥 野田
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的性質・熱的性質、特に振動疲労特性、
クリープ特性に優れ、自動車部品、及び、各種構造部材
料として有用なポリアミド樹脂組成物の提供。 【解決手段】 (A)ポリアミド樹脂、(B)ガラス繊
維からなり、A+B=100重量部、40≦A≦90重
量部、10≦B≦60重量部を溶融混練してなるガラス
繊維強化ポリアミド樹脂組成物であって、該組成物中の
ガラス繊維表面にグラフト化ポリアミド樹脂層が存在
し、該グラフト化ポリアミド樹脂層の量がガラス繊維1
00重量部当たり0.1〜2重量部であり、このグラフ
ト化ポリアミド樹脂層中のポリアミド樹脂の割合が該グ
ラフト化ポリアミド樹脂層の20〜100重量%であ
り、かつ、グラフト化ポリアミド樹脂層のガラス繊維表
面の被覆率が60〜100%であるガラス繊維強化ポリ
アミド樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス繊維強化ポ
リアミド樹脂組成物に関するものである。詳しくは、機
械的特性、特に、疲労特性やクリープ特性の著しく改良
されたガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物
は、優れた機械的強度、剛性、耐熱性、耐薬品性などの
特徴を有するエンジニアリング樹脂として有用であり、
自動車用途および工業用途等幅広い分野に使用されてい
る。また近年、燃費向上の為の軽量化、低コスト化、部
品のモジュール化、一体化の観点から、従来金属が使用
されている自動車構造部品をガラス繊維強化ポリアミド
樹脂に代替する動きが顕著である。
【0003】したがって、金属代替ということにより、
樹脂に要求される性能は一段と苛酷化、長期化が強いら
れ、これまで以上に樹脂材料の長期信頼性の向上が要求
される。特にガラス繊維強化ポリアミド樹脂は、その機
械的特性、耐熱性の観点から自動車エンジンルーム内部
品の材料として使用されているが、中でもエンジンマウ
ント、エアサスペンションタンク、インテークマニホー
ルド等の構造部品への適用を考える場合、重要な強度項
目の1つとして疲労特性があり、部品設計の観点から樹
脂材料の疲労特性の向上が必要となる。
【0004】しかしながら、ガラス繊維強化ポリアミド
樹脂材料の場合、金属と比較して疲労特性等の動的機械
特性に関する検討はあまり行われておらず、周期的に応
力が負荷するような厳しい条件下での長期信頼性に乏し
かった。しかも、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂材料の
疲労寿命の予測はもちろんのこと、疲労特性とポリマー
構造の関係に対する定量的な知見はほとんどないという
のが現状である。
【0005】従来、疲労特性を向上させる方法として
は、ガラス繊維濃度を高めて初期の機械的物性を向上さ
せることにより疲労寿命を伸ばす手法が一般的であった
が、部品重量の増加、外観不良等の問題が生じ、必ずし
も満足できる方法ではなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、ガラス繊維
強化ポリアミド樹脂の優れた特徴を損なわずに、疲労特
性に優れたガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物を提供
することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、疲労特性
の著しく改良された成形品を与えてくれるガラス繊維強
化ポリアミド樹脂組成物を得るべく検討した結果、ポリ
アミド樹脂とガラス繊維からなる組成物において、組成
物中のガラス繊維表面にグラフト化ポリアミド樹脂層が
存在し、そのグラフト化ポリアミド樹脂層の量が特定の
範囲にあって、そのグラフト化ポリアミド樹脂層中のポ
リアミド樹脂量比が特定量以上であり、かつ、グラフト
化ポリアミド樹脂層のガラス繊維表面被覆率が特定の範
囲にあるとき、機械的特性、特に、疲労特性やクリープ
特性の著しく改良されたガラス繊維強化ポリアミド樹脂
組成物を得ることを見いだし、この知見に基づき本発明
に到達したものである。
【0008】すなわち、本発明は、(A)ポリアミド樹
脂、(B)ガラス繊維からなり、(A)および(B)の
量をそれぞれA重量部、B重量部とした時、A+B=1
00重量部、40≦A≦90重量部、10≦B≦60重
量部を溶融混練してなるガラス繊維強化ポリアミド樹脂
組成物であって、該組成物中のガラス繊維表面にグラフ
ト化ポリアミド樹脂層が存在し、該グラフト化ポリアミ
ド樹脂層の量がガラス繊維100重量部当たり0.1〜
2重量部であり、該グラフト化ポリアミド樹脂層中のポ
リアミド樹脂の割合が該グラフト化ポリアミド樹脂層の
20〜100重量%であり、かつ、グラフト化ポリアミ
ド樹脂層のガラス繊維表面の被覆率が60〜100%で
あるガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物に関する。
【0009】以下、本発明を詳しく説明する。本発明に
用いる(A)ポリアミド樹脂は、二塩基酸とジアミンの
重縮合物、環状ラクタム開環重合物、アミノカルボン酸
の重縮合物、および、これらのコポリマー、ブレンド物
等が挙げられる。具体的には、ポリアミド66、ポリア
ミド46、ポリアミド612、ポリアミド610、ポリ
アミド6、ポリアミド11、ポリアミド12、などの脂
肪族ポリアミド樹脂、ポリメタキシレンアジパミド(以
下、ポリアミドMXD6という)、ポリヘキサメチレン
テレフタラミド(以下、ポリアミド6Tという)、ポリ
ヘキサメチレンイソフタラミド(以下、ポリアミド6I
という)などの脂肪族−芳香族ポリアミド樹脂、およ
び、これらの共重合体やブレンド物等を挙げることがで
きる。特に、本発明において好適なポリアミド樹脂とし
ては、耐熱性、機械的強度の点からポリアミド66、ポ
リアミド6、ポリアミド66/6、ポリアミド66/6
Iを挙げることができる。
【0010】ポリアミド樹脂の重合度については、特に
限定されないが、通常の射出成形加工性から、JIS
K6810に従って98%硫酸中濃度1%、25℃で測
定する相対粘度が2.0以上であることが好ましい。本
発明に用いるポリアミド樹脂の重合方法は、特に限定さ
れず、溶融重合、界面重合、溶液重合、塊状重合、固相
重合、および、これらを組み合わせた方法を利用するこ
とができる。通常、溶融重合が好ましく用いられる。
【0011】本発明に用いる(B)ガラス繊維は、通常
ポリアミド樹脂に用いられるものであって、特に制限は
ない。また、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物中の
数平均繊維長さ(以下、Lともいう)、数平均繊維径
(以下、Dともいう)、LとDの比(以下、L/Dとも
いう)については特に限定されないが、ガラス繊維強化
ポリアミド樹脂成形品中の数平均繊維長さ200μm以
上、L/D=20以上であることが好ましい。
【0012】ガラス繊維の配合量は、ガラス繊維強化ポ
リアミド樹脂組成物100重量部中、10〜60重量部
である。10重量部未満では機械的強度への改良効果が
なく、60重量部を越えると成形品の外観が損なわれ、
比重の増加につながる。本発明のガラス繊維強化ポリア
ミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂、ガラス繊維と必要
に応じて加える添加剤等を、適切にデザインされたスク
リューを有する押出し機を用いて溶融混練して得ること
が出来る。組成物のガラス繊維表面に存在するグラフト
化ポリアミド樹脂層の量と、この樹脂層中のポリアミド
樹脂量、及び、グラフト化ポリアミド樹脂層のガラス繊
維表面被覆率は、押出条件(温度、スクリューデザイン
等)、ポリアミド樹脂(分子量、末端基濃度)、ガラス
繊維の表面処理等で変え得るが、本発明における範囲の
グラフト化ポリアミド樹脂層の量、該グラフト化ポリア
ミド樹脂層中のポリアミド樹脂の割合、及び、グラフト
化樹脂層のガラス繊維表面被覆率が得られるものであれ
ば、これらの製造方法は限定されない。
【0013】本発明に言う、ポリアミド樹脂組成物中の
ガラス繊維表面に存在するグラフト化ポリアミド樹脂層
とは、ポリアミド樹脂組成物をポリアミド樹脂の溶媒に
浸しポリアミド樹脂を溶出させガラス繊維を析出させた
時、溶媒中に溶出せずガラス繊維表面に残るポリアミド
樹脂を主成分とする有機物層のことをいい、赤外吸収ス
ペクトル、熱分解ガスクロマトグラフ分析からポリアミ
ド樹脂の存在が確認できるものをいう。
【0014】具体例として、ガラス繊維強化ポリアミド
66樹脂組成物を例に挙げて説明すると、まず、ガラス
繊維強化ポリアミド66樹脂組成物中のガラス繊維とグ
ラフト化していないポリアミド66樹脂を分離するため
にフェノールと混合する。ポリアミド66−フェノール
溶液部分を除去し、残ったガラス繊維部分を、ポリアミ
ド66が溶出しなくなるまで数回フェノールで洗浄した
後、フェノールを除去するためにエタノールで数回洗浄
後、エタノールを乾燥して除去する。
【0015】この様にして得られたものが、有機物層が
グラフト化されたガラス繊維である。この様にして樹脂
組成物中から取り出した、有機物層がグラフト化された
ガラス繊維を、以下、グラフト化ガラス繊維という。こ
のグラフト化した有機物層は、赤外吸収スペクトル、熱
分解ガスクロマトグラフ/マススペクトル(以下、Py
GC/MSという)分析の結果から、主成分がポリアミ
ド66樹脂であることが確認できる。
【0016】この有機物層を、グラフト化ポリアミド樹
脂層という。本発明に言う、ポリアミド樹脂組成物中の
ガラス繊維表面に存在するグラフト化ポリアミド樹脂層
の量(以下、グラフト化量ともいう)は、上記の様にし
て得られたグラフト化ガラス繊維をJIS R3420
(強熱減量、Ig.Loss)に従って測定し、その重
量減少量(W0 重量部)から求めることができる。
【0017】このガラス繊維表面に存在するグラフト化
ポリアミド樹脂層の量は、ガラス繊維100重量部あた
り0.1〜2重量部、好ましくは0.2〜2重量部、さ
らに好ましくは0.2〜0.7重量部である。0.1重
量部未満ではガラス繊維表面を充分に被覆することがで
きず、得られた組成物の機械的強度、耐疲労性が充分に
発現しないため好ましくない。また、2重量部を越える
と、溶融流動性が低下し射出成形時の圧力が高くなり好
ましくない。
【0018】また、グラフト化ポリアミド樹脂層中のポ
リアミド樹脂量(W1 重量部)は、上記の様にして得ら
れたグラフト化ガラス繊維を、PyGC/MS解析する
ことにより求めることができる。従って、グラフト化ポ
リアミド樹脂層中のポリアミド樹脂の割合(重量%)は
1 /W0 ×100により求められる。
【0019】上記のグラフト化ポリアミド樹脂層中のポ
リアミド樹脂の割合は、好ましくは20重量%以上、さ
らに好ましくは30重量%以上である。20重量%未満
ではガラス繊維表面に存在するポリアミド樹脂量が充分
でなく、得られた組成物の機械的強度、耐疲労性が充分
に発現しないため好ましくない。本発明に言う、グラフ
ト化ポリアミド樹脂層のガラス繊維表面被覆率、すなわ
ち、この組成物中のガラス繊維表面に存在するグラフト
化ポリアミド樹脂層のガラス繊維表面被覆率は、XPS
(X線光電子分光:別名ESCA)による表面元素の存
在比測定から求められる。
【0020】このグラフト化ポリアミド樹脂層のガラス
繊維表面被覆率(以下単に、被覆率という)は60〜1
00%、好ましくは70〜100%である。この被覆率
が60%未満では、機械的物性が充分に発現せず、疲労
特性も低下するため好ましくない。また、本発明の疲労
特性に優れたガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物に
は、本発明の目的を損なわない範囲において、これらの
組成物に1種または2種以上の添加物、例えば、他の樹
脂ポリマー、無機充填材、安定剤および禁止剤(酸化劣
化、熱劣化、紫外線劣化に対する)、滑剤および離形
剤、着色剤(染料および顔料を含む)、核形成剤可塑
剤、発泡剤、難燃剤、帯電防止剤などを目的に応じて適
宜加えることが出来る。
【0021】熱安定剤として、銅化合物、例えば、ヨウ
化銅、臭化第一銅、臭化第二銅、塩化第一銅、酢酸銅、
プロピオン酸銅、安息香酸銅、アジピン酸銅、テレフタ
ル酸銅、イソフタル酸銅等が挙げられる。キレート剤に
配位した銅錯塩等でもよい。これらの銅化合物は、単独
で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。な
かでもヨウ化銅が疲労特性向上に効果的であり、特に好
ましい。また、ハロゲン化アルカリは耐熱性改良剤とし
ても作用するため、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩
化カリウム、塩化ナトリウムを用いることも好ましい。
これらのハロゲン化アルカリは単独で用いてもよく、ま
た併用してもよい。
【0022】本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂組
成物は、射出成形、押し出し成形、圧縮成形、ブロー成
形などの公知の成形方法によって各種成形品に成形され
る。該樹脂組成物から得られる成形品は、金型形状を変
えることにより、いかなる形状の成形品も作成可能であ
るが、特に優れた疲労特性が要求される自動車部品まわ
りの、エンジンマウント、エアサスペンションタンク、
インテークマニホールド等への適用が期待される。ま
た、本発明の樹脂組成物から得られた成形品を、振動溶
着、超音波溶着等の溶着法で溶着して一体化した部品、
例えば、インテークマニホールド、サージタンク、オイ
ルタンク、各種シリンダー等の自動車アンダー部品への
適用も期待される。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、実施例、比較例により本発
明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるもの
でない。なお、測定方法、試験片の作成方法等は次の通
りである。 (1)グラフト化ポリアミド樹脂層の量(グラフト化
量;W0 重量部) ポリアミド樹脂組成物約5gを90%フェノール100
mlと混合する(40℃、2時間攪拌)。静置するとガ
ラス繊維部分は沈殿するので上澄みのポリアミド−フェ
ノール溶液を除去する。残ったガラス繊維部分に90%
フェノール100mlを加えてガラス繊維部分を洗浄す
る(40℃、2時間攪拌)。静置するとガラス繊維部分
は沈殿するので上澄みの溶液を除去する。この操作を3
回繰り返した後、99.5%エタノール100mlを加
えてフェノールを取り除く(40℃、2時間攪拌)。静
置するとガラス繊維部分は沈殿するので上澄みの溶液を
除去する。この操作を3回繰り返した後、エタノールを
除去するために窒素フロー乾燥機で80℃、2昼夜乾燥
する。
【0024】この様にして得られたグラフト化ガラス繊
維を、JIS R3420に準じて測定し、グラフト化
ポリアミド樹脂層の量を求めた。グラフト化ガラス繊維
を1g以上採りその質量を測定する。次に110±5℃
で1時間以上乾燥した後、デシケーターに入れて室温ま
で放冷してその質量を測定する(m1 )。これを625
±20℃に保った電気炉で恒量になるまで(15分間)
加熱した後取り出し、デシケーターに入れて室温まで放
冷してその質量を測定する(m2 )。次式に従って強熱
減量(重量部)を算出し、グラフト化量(W0 重量部)
を求める。
【0025】W0 ={(m1 −m2 )/m1 }×100 (2)グラフト化ポリアミド樹脂層の中のポリアミド樹
脂量(W1 重量部) グラフト化ポリアミド樹脂層中のポリアミド樹脂量(W
1重量部)は、上記の様にして得られたグラフト化ガラ
ス繊維を以下の条件により、PyGC/MS解析するこ
とで求めることができる。
【0026】〔装置〕 熱分解装置(Py):PY−2010D(FRONTI
ER LAB社製) GC装置:HP6890(HEWLETT PACKA
RD社製) カラム:HP 19091S−433(HEWLETT
PACKARD社製) MS装置:5973Mass Selective D
etector(HEWLETT PACKARD社
製) 〔温度条件〕 熱分解装置:650℃、MS装置:230℃ カラム……インジェクション:320℃、初期:50℃
(保持時間なし)、昇温:20℃/min、終了:32
0℃(保持10min) 〔ガス条件〕 Heガス、定流量 以下、ポリアミド66樹脂の場合につき説明するが、他
のポリアミド樹脂についても同様にして求めることがで
きる。
【0027】ポリアミド66樹脂−ギ酸の標準液(3.
0mg/L)を用いて、上記測定条件下でのポリアミド
66樹脂の仕込み量とシクロペンタノンの検出量の検量
線を作成する。そして、ガラス繊維強化ポリアミド66
樹脂組成物中から上記の様にして得られたグラフト化ガ
ラス繊維を約10mg秤量する(m3 mg)。このグラ
フト化ガラス繊維をPyGC/MS測定して、グラフト
化ガラス繊維のポリアミド66樹脂量(m4 μg)が求
められる。
【0028】この結果から、グラフト化ポリアミド樹脂
層の中のポリアミド樹脂量W1 (重量部)は、次の式で
求められる。 W1 ={m4 /(m3 ×1000)}×100 また、グラフト化ポリアミド樹脂層中のポリアミド樹脂
の割合(重量%)は、W1 /W0 ×100で求められ
る。
【0029】(3)被覆率 上記(1)と同様の処理をして得られたグラフト化ガラ
ス繊維を、以下の条件により測定した。 XPS装置:VG社製 ESCALAB 200−X 励起源:MgKα 14kV×20mA 取込領域:1100〜0eV(Wide Scan) 取込領域:C1S、N1S、Si2P、O1S、Al2P、Ca2P
(Narrow Scan) Pass Energy:100eV(Wide Sc
an) Pass Energy:20eV(Narrow S
can) 表面元素組成比の定量は、得られたNarrow Sc
anスペクトルの面積強度と装置ライブラリー中の相対
感度係数(C1S:1.00、N1S:1.77、Si2P
0.87、O1S:2.85、Al2P:0.57、C
2P:5.10)から、元素の存在比(atomic
%)として求められる。
【0030】上記(1)と同様の方法で得られたグラフ
ト化ガラス繊維を用いて、XPS装置で測定される表面
元素存在比から、次のようにして被覆率を求めた。XP
S装置の試料台に、このグラフト化ガラス繊維を両面テ
ープで固定して、上記条件で測定し、表面の各種元素の
存在比を求めた。グラフト化ポリアミド樹脂層のないガ
ラス繊維(無垢のガラス繊維)では、アルミニウム(A
l)の存在比が最大:Almax =6.9(atomic
%)となる。
【0031】また、グラフト化ポリアミド樹脂層で被覆
されたガラス繊維(実施例および比較例のガラス繊維)
では、表面アルミニウムの存在比:Al(atomic
%)が減少する。この結果から、次式で被覆率(%)を
算出した。 被覆率=(1−Al/Almax )×100 =(1−Al/6.9)×100 (4)疲労試験片の作成 射出成形機(日精樹脂製:PS40E)を用い、シリン
ダー温度290℃、金型温度80℃で、ASTM−D1
822引張衝撃ダンベル(TypeS)を成形した。得
られた試験片の吸水率は0.2重量%以下とした。
【0032】(5)疲労特性 23℃における振動疲労試験は、振動疲労試験機(オリ
エンテック製:VFA−1KVA)を用いて、引張荷重
制御、チャック間距離:20mm、周囲温度:23℃、
周波数:10Hz、応力モード:引張−引張、最小応
力:5.4MPaの条件下で測定を行った。
【0033】120℃における振動疲労試験は、振動疲
労試験機(島津製作所製:サーボパルサーEHF−EG
5kN−20L)を用いて、引張荷重制御、チャック間
距離:20mm、周囲温度:120℃、周波数:100
Hz、応力モード:引張−引張、最小応力:5.4MP
aの条件下で測定を行った。 (6)静的引張強度試験片の作成 射出成形機(日精樹脂製:PS40E)を用い、シリン
ダー温度290℃、金型温度80℃で、ASTM D6
38 TYPE I試験片を成形した。
【0034】(7)静的引張強度 ASTM D638に準じて、試験片を引張試験機(東
洋精機製:UTM25)で、23℃、クロスヘッドスピ
ード5mm/minの条件で測定を行った。
【0035】
【実施例1】400Lのオートクレーブ中に、40%A
H塩(アジピン酸/ヘキサメチレンジアミンの等モル
塩)水溶液を仕込み、1.8MPa加圧下で加熱溶融重
合を行い、冷却固化、造粒してポリアミド66樹脂ペレ
ットを得た。得られたペレット100重量部に対して、
ガラス繊維(繊維径10μm×長さ3mmのチョップド
ストランドをアミノシランカップリング剤と無水マレイ
ン酸系集束剤の混合物で表面処理したガラス繊維)50
重量部とを、290℃の温度で2軸押出し機(東芝機械
製;TEM35)を用いて溶融混練して、ガラス繊維濃
度33重量%の強化ポリアミド樹脂組成物ペレットを得
た。得られたペレットを上記に示す射出成形方法で試験
片を作成し、この試験片を上記測定方法に従って、解析
および諸特性の測定した。23℃における疲労特性を表
1に示す。
【0036】
【実施例2】400Lのオートクレーブ中に表1の成分
組成になる様に、40%AH塩(アジピン酸/ヘキサメ
チレンジアミンの等モル塩)水溶液、ヨウ化カリウム、
ヨウ化銅を仕込み、1.8MPa加圧下で加熱溶融重合
を行い、冷却固化、造粒してポリアミド66樹脂ペレッ
トを得た。このポリアミド66樹脂ペレットを用いた以
外は、実施例1と同様にして強化ポリアミド樹脂組成物
ペレットを得た。このペレットを上記に示す射出成形方
法で試験片を作成し、この試験片を上記測定方法に従っ
て、解析および諸特性の測定した。23℃における疲労
特性を表1に示す。
【0037】
【実施例3】ガラス繊維として、繊維径10μm×長さ
3mmのチョップドストランドをアミノシランカップリ
ング剤とウレタン系集束剤の混合物で表面処理したガラ
ス繊維50重量部を用いた以外は、実施例2と同様にし
てガラス繊維濃度33重量%の強化ポリアミド樹脂組成
物ペレットを得た。このペレットを上記に示す射出成形
方法で試験片を作成し、この試験片を上記測定方法に従
って、解析および諸特性の測定した。23℃における疲
労特性を表1に示す。
【0038】
【実施例4】ガラス繊維を100重量部とした以外は、
実施例2と同様にしてガラス繊維濃度50重量%の強化
ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。このペレットを
上記に示す射出成形方法で試験片を作成し、この試験片
を上記測定方法に従って、解析および諸特性の測定し
た。23℃における疲労特性を表1に示す。
【0039】
【実施例5】ガラス繊維として、繊維径13μm×長さ
3mmのチョップドストランドをアミノシランカップリ
ング剤とアクリル系集束剤の混合物で表面処理したガラ
ス繊維50重量部を用いた以外は、実施例2と同様にし
てガラス繊維濃度33重量%の強化ポリアミド樹脂組成
物ペレットを得た。このペレットを上記に示す射出成形
方法で試験片を作成し、この試験片を上記測定方法に従
って、解析および諸特性の測定した。23℃における疲
労特性を表1に示す。
【0040】
【実施例6】ガラス繊維として、繊維径10μm×長さ
3mmのチョップドストランドをアミノシランカップリ
ング剤と無水マレイン酸−アクリル系集束剤の混合物で
表面処理したガラス繊維50重量部を用いた以外は、実
施例1と同様にして強化ポリアミド樹脂組成物ペレット
を得た。このペレットを上記に示す射出成形方法で試験
片を作成し、この試験片を上記測定方法に従って、解析
および諸特性の測定した。23℃における疲労特性を表
1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
【比較例1】ガラス繊維として、繊維径10μm×長さ
3mmのチョップドストランドをアミノシランカップリ
ング剤で表面処理したガラス繊維50重量部を用いた以
外は、実施例1と同様にして強化ポリアミド樹脂組成物
ペレットを得た。このペレットを上記に示す射出成形方
法で試験片を作成し、この試験片を上記測定方法に従っ
て、解析および諸特性の測定した。23℃における疲労
特性を表2に示す。
【0043】
【比較例2】ガラス繊維として、繊維径10μm×長さ
3mmのチョップドストランドをアミノシランカップリ
ング剤で表面処理したガラス繊維50重量部を用いた以
外は、実施例2と同様にして強化ポリアミド樹脂組成物
ペレットを得た。このペレットを上記に示す射出成形方
法で試験片を作成し、この試験片を上記測定方法に従っ
て、解析および諸特性の測定した。23℃における疲労
特性を表2に示す。
【0044】
【比較例3】ガラス繊維として、繊維径10μm×長さ
3mmのガラス繊維(表面処理なし)50重量部を用い
た以外は、実施例1と同様にして強化ポリアミド樹脂組
成物ペレットを得た。このペレットを上記に示す射出成
形方法で試験片を作成し、この試験片を上記測定方法に
従って、解析および諸特性の測定した。23℃における
疲労特性を表2に示す。
【0045】
【比較例4】ガラス繊維として、繊維径10μm×長さ
3mmのチョップドストランドをアミノシランカップリ
ング剤とウレタン系集束剤で表面処理したガラス繊維1
00重量部を用いた以外は、実施例2と同様にして強化
ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。このペレットを
上記に示す射出成形方法で試験片を作成し、この試験片
を上記測定方法に従って、解析および諸特性の測定し
た。23℃における疲労特性を表2に示す。
【0046】
【比較例5】ガラス繊維として、繊維径13μm×長さ
3mmのチョップドストランドをアミノシランカップリ
ング剤で表面処理したガラス繊維50重量部を用いた以
外は、実施例2と同様にして強化ポリアミド樹脂組成物
ペレットを得た。このペレットを上記に示す射出成形方
法で試験片を作成し、この試験片を上記測定方法に従っ
て、解析および諸特性の測定した。23℃における疲労
特性を表2に示す。
【0047】
【比較例6】ガラス繊維として、繊維径10μm×長さ
3mmのチョップドストランドをアミノシランカップリ
ング剤とウレタン−アクリル系集束剤の混合物で表面処
理したガラス繊維50重量部を用いた以外は、実施例1
と同様にして強化ポリアミド樹脂組成物ペレットを得
た。このペレットを上記に示す射出成形方法で試験片を
作成し、この試験片を上記測定方法に従って、解析およ
び諸特性の測定した。23℃における疲労特性を表2に
示す。
【0048】
【表2】
【0049】
【実施例7】実施例2の強化ポリアミド樹脂組成物ペレ
ットを上記に示す射出成形方法で試験片を作成し、この
試験片を上記測定方法に従って測定した、120℃にお
ける疲労特性を表3に示す。
【0050】
【実施例8】実施例3の強化ポリアミド樹脂組成物ペレ
ットを上記に示す射出成形方法で試験片を作成し、この
試験片を上記測定方法に従って測定した、120℃にお
ける疲労特性を表3に示す。
【0051】
【比較例7】比較例2の強化ポリアミド樹脂組成物ペレ
ットを上記に示す射出成形方法で試験片を作成し、この
試験片を上記測定方法に従って測定した、120℃にお
ける疲労特性を表3に示す。
【0052】
【比較例8】比較例3の強化ポリアミド樹脂組成物ペレ
ットを上記に示す射出成形方法で試験片を作成し、この
試験片を上記測定方法に従って測定した、120℃にお
ける疲労特性を表3に示す。
【0053】
【表3】
【0054】
【発明の効果】本発明のガラス繊維強化ポリアミド樹脂
組成物は、機械的特性、特に疲労特性やクリープ特性の
著しく優れたものであり、この樹脂組成物からなる自動
車部品、及び、各種構造部材は非常に耐久性、信頼性の
高い部品である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリアミド樹脂、(B)ガラス繊
    維からなり、(A)および(B)の量をそれぞれA重量
    部、B重量部とした時、A+B=100重量部、40≦
    A≦90重量部、10≦B≦60重量部を溶融混練して
    なるガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物であって、該
    組成物中のガラス繊維表面にグラフト化ポリアミド樹脂
    層が存在し、該グラフト化ポリアミド樹脂層の量がガラ
    ス繊維100重量部当たり0.1〜2重量部であり、該
    グラフト化ポリアミド樹脂層中のポリアミド樹脂の割合
    が該グラフト化ポリアミド樹脂層の20〜100重量%
    であり、かつ、グラフト化ポリアミド樹脂層のガラス繊
    維表面の被覆率が60〜100%であるガラス繊維強化
    ポリアミド樹脂組成物。
JP2886398A 1998-02-10 1998-02-10 ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物 Pending JPH11228814A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007269914A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Asahi Kasei Chemicals Corp ガラス長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット及びその成形品

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007269914A (ja) * 2006-03-30 2007-10-18 Asahi Kasei Chemicals Corp ガラス長繊維強化ポリアミド樹脂ペレット及びその成形品

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