JP2016138256A - ポリアミド樹脂組成物を含む成形体 - Google Patents
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Abstract
Description
従って、従来よりも高温度条件下において優れた機械物性を有する成形体が求められている。具体的には、150℃〜230℃の高温条件下で長時間使用した際にも、実用上十分な機械的特性を保持し得る成形体の要求が高まっている。
また、同様に、耐熱エージング性を向上させる技術として、融点の異なる2種類のポリアミド樹脂に銅化合物及び酸化鉄を配合する技術(例えば、特許文献3参照。)、ポリアミド樹脂に微粒元素鉄を配合する技術(例えば、特許文献4参照。)、及びポリアミド樹脂に微細分散化金属粉末を配合する技術(例えば、特許文献5参照。)が報告されている。
なお、前記「熱滞留安定性」とは、ポリアミド樹脂組成物を融点以上の温度に保持し、溶融状態とした際に、ポリアミド樹脂の分解及び変質の程度が低く、その結果、融点以上の温度に保持することによるポリアミド樹脂組成物の機械物性の低下や色調の変化が抑制される特性をいう。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
ポリアミド樹脂組成物を含む成形体であって、
(前記成形体の表面から深さ3μmまでの領域のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属平均元素濃度)/(前記成形体の表面から深さ3μmまでの領域を除いた領域のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属平均元素濃度)>2である、成形体。
[2]
前記成形体の表面から深さ1μmまでの領域にアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の低級カルボン酸塩を含有する、上記[1]に記載の成形体。
[3]
前記成形体の表面から深さ10nmまでの領域にアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩を含有する、上記[1]又は[2]に記載の成形体。
[4]
アルミン酸金属塩を含有し、
固体27Al−NMR測定により、0〜30ppm、30〜60ppm、70〜100ppmの範囲に、それぞれ1本以上のピークを有する、上記[1]乃至[3]のいずれか記載の成形体。
[5]
Mwが5万以上であり、Mw/Mnが3以上である、上記[1]乃至[4]のいずれか記載の成形体。
[6]
前記ポリアミド樹脂組成物に含まれるポリアミド樹脂部分のヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)への溶解分が、前記ポリアミド樹脂組成物中に含まれるポリアミド樹脂部分の50質量%以下である、上記[1]乃至[5]のいずれか記載の成形体。
[7]
ポリアミド樹脂組成物を含む成形体であって、次式を満たす成形体。
α/β>2
α:230℃における300時間以上の熱エージング処理の後の前記成形体の表面から深さ3μmまでの領域のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属平均元素濃度
β:230℃における300時間以上の熱エージング処理の後の前記成形体の表面から深さ3μmまでの領域を除いた領域のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属平均元素濃度
[8]
230℃における300時間以上の熱エージング処理の後に、
前記成形体の表面から深さ1μmまでの領域にアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の低級カルボン酸塩を含有する、上記[7]に記載の成形体。
[9]
230℃における300時間以上の熱エージング処理の後に、
前記成形体の表面から深さ10nmまでの領域にアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩を含有する、上記[7]又は[8]に記載の成形体。
[10]
アルミン酸金属塩を含有し、
230℃における300時間以上の熱エージング処理の後に、
固体27Al−NMR測定により、0〜30ppm、30〜60ppm、及び70〜100ppmの範囲に、それぞれ1本以上のピークを有する、上記[7]乃至[9]のいずれか記載の成形体。
[11]
230℃における300時間以上の熱エージング処理の後に、
Mwが5万以上であり、Mw/Mnが3以上である、上記[7]乃至[10]のいずれか記載の成形体。
[12]
230℃における300時間以上の熱エージング処理の後に、
前記ポリアミド樹脂組成物に含まれるポリアミド樹脂部分のヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)への溶解分が、前記ポリアミド樹脂組成物中に含まれるポリアミド樹脂部分の50質量%以下である、上記[7]乃至[11]のいずれか記載の成形体。
[13]
自動車部品である、上記[1]乃至[12]のいずれか記載の成形体。
[14]
自動車アンダーフード部品である、上記[1]乃至[13]のいずれか記載の成形体。
[15]
中空部品である、上記[1]乃至[14]のいずれか記載の成形体。
本実施形態の成形体は、ポリアミド樹脂組成物を含む成形体であって、
(前記成形体の表面から深さ3μmまでの領域のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属平均元素濃度)/(前記成形体の表面から深さ3μmまでの領域を除いた領域のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属平均元素濃度)>2である。
先ず、成形体のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属平均元素濃度の測定方法について説明する。なお、成形体の表面から深さ3μmまでの領域のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属平均元素濃度と、成形体の表面から深さ3μmまでの領域を除いた領域のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属平均元素濃度の測定方法は、同じ方法を用いるものとする。
具体的には、本実施形態のポリアミド樹脂組成物を含む成形体を、表面に垂直方向に切断し、ダイアモンドナイフで平滑に切り出し、測定用の試料を得る。当該試料をSEM観察用試料台にカーボンテープで固定し、導通処理を実施し、SEM−EDX測定に供する。
EDX測定においては、測定視野領域における、試料の表面から深さ3μmまでの領域のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属元素検出強度と、試料の表面から深さ3μmまでの領域を除いた領域のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属元素検出強度を、それぞれの領域の相対平均元素濃度とする。
アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属元素検出強度は、測定領域中の一定の面積中の、一定の測定時間でのアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属元素検出量とする。
上記方法による測定値を用い、「(成形体表面から表面深さ3μmまでの領域のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属平均元素濃度)/(成形体表面から表面深さ3μmまでの領域を除いた領域のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属平均元素濃度)」を算出する。
以下に、測定装置及び測定条件の一例を示すが、測定装置は以下の装置に限られることはなく、また、測定条件は、当業者の一般的な知識を用いて適切に測定できる条件を適宜設定できる。
1.SEM観察
装置:日立製作所社製 商品名S−2700
2.EDX測定
装置:堀場製作所社製 商品名EMAX5770
加速電圧:20kV
試料電流:8×10-10アンペア
上記を満たすことにより、高温条件下で長時間使用した場合でも、高温下において実用上十分な機械的特性を有する、という効果が得られる。
成形体の表面から深さ1μmまでの領域に存在するアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の低級カルボン酸塩の測定方法について説明する。測定方法としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ATR法(全反射測定法)とイオンクロマトマス法を用いることができる。
ATR法は、測定用試料への光の侵入深さを入射角、プリズムの屈折率を変えることで調整することができる。ATR法を用いて、成形体表面から表面深さ1μmまでの領域にアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の低級カルボン酸塩が存在するか否かを確認する。
または、成形体の表面から深さ1μmまでの領域をイオンクロマトマス法によって測定し、低級カルボン酸塩が存在するか否かを確認する。
なお、成形体中のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の低級カルボン酸塩は、具体的には、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
本実施形態の成形体の表面から10nmまでの領域に存在するアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩の測定方法を説明する。
測定は、例えば、X線光電子分光(XPS)を用いて、成形体の表面から深さ10nmまでの領域にアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩が存在するか否かを確認する。
なお、成形体中のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩は、具体的には、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
固体27Al−NMR測定は、以下の装置には限定されないが、例えば、核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製 商品名「ECA500」)を用いて行うことができる。
また、測定条件は、以下の条件には限定されないが、例えば、スピン数:8k/s、PD:5s、外部標準:硫酸カリウムアルミニウム:4.152ppm、BF:20.0Hz、温度:室温、を採用することができる。
なお、成形体の固体27Al−NMR評価は、具体的には、後述する実施例に記載する方法により実施することができる。
本実施形態の成形体のMw、Mnは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定することができ、これらの測定値を用いてMw/Mnを算出することができる。
なお、GPC法においては、測定用サンプルとしては本実施形態の成形体を用い、測定用の溶媒としては、例えば、ヘキサフルオロイソプロパノールを用いることができ、PMMA換算の値を求める。
なお、成形体の数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)は、成形体に含有されているポリアミド樹脂の測定値として得られる。
ポリアミド樹脂組成物に含まれるポリアミド樹脂部分のヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)への溶解分の測定方法を説明する。
まず、本実施形態のポリアミド樹脂組成物を含む成形体を焼却し、残渣の質量から、無機物の含有量を求める。焼却の方法としては、以下の方法に限定されないが、例えば、るつぼ中で650℃にて3時間加熱焼却する。
次に、ポリアミド樹脂組成物を含む成形体をヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解する。溶解分の測定方法としては、以下の方法に限定されないが、例えば、ポリアミド樹脂組成物を含む成形体1gをHFIP50mL中に浸漬し、室温にて24時間放置する。その後、HFIPに不溶の部分を取り出し、乾燥する。例えば、室温で24時間放置した後に、窒素中にて60℃に加熱して3時間乾燥する。その後、質量を測定する。
上述の無機物の含有量の測定結果と、HFIP溶解前後の質量から、無機物を除いたポリアミド樹脂部分のHFIPへの溶解分を求めることができる。
α/β>2
α:230℃における300時間以上の熱エージング処理の後の前記成形体の表面から深さ3μmまでの領域のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属平均元素濃度
β:230℃における300時間以上の熱エージング処理の後の前記成形体の表面から深さ3μmまでの領域を除いた領域のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属平均元素濃度
すなわち、本実施形態の成形体は、前記熱エージング処理が未だ施されていない成形体であって、上記熱エージング処理を施すことによって上記式を満たすようになる成形体を含む。
すなわち、本実施形態の成形体は、前記熱エージング処理が未だ施されていない成形体であって、前記熱エージング処理を施すことによって、前記成形体の表面から深さ1μmまでの領域に、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の低級カルボン酸塩を含有する、という条件を満たす成形体を含む。
すなわち、本実施形態の成形体は、前記熱エージング処理が未だ施されていない成形体であって、前記熱エージング処理を施すことによって、前記成形体の表面から深さ10nmまでの領域に、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩を含有する、という条件を満たす成形体を含む。
すなわち、本実施形態の成形体は、前記熱エージング処理が未だ施されていない成形体であって、前記熱エージング処理を施すことによって、当該成形体中にアルミン酸金属塩を含み、固体27Al−NMR測定により、0〜30ppm、30〜60ppm、及び70〜100ppmの範囲に、それぞれ1本以上のピークを有する、という条件を満たす成形体を含む。
すなわち、本実施形態の成形体は、前記熱エージング処理が未だ施されていない成形体であって、前記熱エージング処理を施すことによって、Mwが5万以上であり、Mw/Mnが3以上である、という条件を満たす成形体を含む。
なお、Mw、Mnは、GPC法により測定することができ、具体的には、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
すなわち、本実施形態の成形体は、前記熱エージング処理が未だ施されていない成形体であって、前記熱エージング処理を施すことによって、前記ポリアミド樹脂組成物中に含まれるポリアミド樹脂部分のヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)への溶解分が、前記ポリアミド樹脂組成物に含まれるポリアミド樹脂部分の50質量%以下である、という条件を満たすものを含む。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物を含む成形体の製造方法に関しては、特に限定されないが、以下の方法を好ましく用いることができる。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂(以下、「(A)成分」と記載する場合もある。)を含有する。
「ポリアミド樹脂」とは、主鎖中にアミド結合(−NHCO−)を有する重合体である。
(A)ポリアミド樹脂は、以下に限定されるものではないが、例えば、ジアミン及びジカルボン酸の縮合重合で得られるポリアミド樹脂、ラクタムの開環重合で得られるポリアミド樹脂、アミノカルボン酸の自己縮合で得られるポリアミド樹脂、及びこれらのポリアミド樹脂を構成する2種類以上の単量体の共重合で得られる共重合物が挙げられる。
(A)ポリアミド樹脂としては、前記ポリアミド樹脂の1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
以下、ポリアミド樹脂の原料について説明する。
前記ジアミンとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、脂肪族ジアミン、脂環族ジアミン、芳香族ジアミン等が挙げられる。
前記ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、脂肪族ジカルボン酸、脂環族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
脂環族ジカルボン酸の脂環構造の炭素数は、特に限定されないが、得られるポリアミド樹脂の吸水性と結晶化度のバランスの観点から、好ましくは3〜10であり、より好ましくは5〜10である。
置換基としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基等が挙げられる。
置換基としては、以下に限定されるものではないが、例えば、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、炭素数7〜20のアリールアルキル基、クロロ基及びブロモ基等のハロゲン基、炭素数3〜10のアルキルシリル基、スルホン酸基、及びナトリウム塩などのその塩である基などが挙げられる。
前記芳香族ジカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、2−クロロテレフタル酸、2−メチルテレフタル酸、5−メチルイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等が挙げられる。
上述したジアミン及びジカルボン酸は、それぞれ1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ラクタムとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ブチロラクタム、ピバロラクタム、ε−カプロラクタム、カプリロラクタム、エナントラクタム、ウンデカノラクタム、及びラウロラクタム(ドデカノラクタム)等が挙げられる。
これらの中でも、靭性の観点から、ε−カプロラクタム、ラウロラクタム等が好ましく、ε−カプロラクタムがより好ましい。
前記アミノカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、上述したラクタムが開環した化合物(ω−アミノカルボン酸、α,ω−アミノカルボン酸等)等が挙げられる。
前記アミノカルボン酸としては、結晶化度を高める観点から、ω位がアミノ基で置換された、炭素数4〜14の直鎖又は分岐状の飽和脂肪族カルボン酸であることが好ましい。アミノカルボン酸としては、以下に限定されるものではないが、例えば、6−アミノカプロン酸、11−アミノウンデカン酸、12−アミノドデカン酸等が挙げられる。前記アミノカルボン酸としては、パラアミノメチル安息香酸等も挙げられる。
なお、前記「Me」は、メチル基を示す。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、上記範囲で(A)ポリアミド樹脂を含有することにより、強度、耐熱性、耐薬品性、比重などに優れる傾向がある。
上記硫酸相対粘度は、(A)ポリアミド樹脂の重合時の圧力を調整することにより制御することができる。
なお、前記硫酸相対粘度は、JIS K 6920に準じた方法により測定することができる。具体的には、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
これらは1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらは1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらは1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらは、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらは1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらは1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらは1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらは1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物を含む成形体においては、前記ポリアミド樹脂組成物中に、(B)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属化合物(以下、「(B)成分」と記載する場合がある。)を含有する。
(B)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アルミン酸のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属塩、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩、アルカリ金属の炭酸水素塩、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属のカルボン酸塩などが挙げられる。
アルミン酸のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属塩は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
耐熱エージング性を向上させる観点から、アルミン酸のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属塩としては、アルミン酸アルカリ金属塩が好ましく、アルミン酸ナトリウムがより好ましい。
アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルカリ金属の炭酸水素塩は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の水酸化物は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属のカルボン酸塩は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
粒子径が1μm以上のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属化合物の粒子の含有量が、(B)成分中、20質量%以下であることにより、本実施形態の成形体においてより優れた耐熱エージング性が得られる傾向にある。
ここで、(B)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属化合物の粒子径とは、好ましくは、本実施形態の成形体に存在するアルミン酸金属塩の粒子径である。
ポリアミド樹脂組成物中での(B)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属化合物の粒子径は、例えば、ポリアミド樹脂組成物をギ酸に溶解させ、レーザー回折式粒度分布装置を用いることにより測定することができる。
例えば、押出機を用いて(B)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属化合物を(A)ポリアミド樹脂に溶融混練する方法が挙げられる。
一方、(A)ポリアミド樹脂の縮合重合工程で(B)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属化合物を含有させると、(B)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属化合物が大径化するおそれがある。すなわち(A)ポリアミド樹脂の重合工程が完了し、(A)ポリアミド樹脂を取り出し、ポリアミド樹脂組成物の製造工程である溶融混練の段階で(A)成分と(B)成分とを混合することが好ましい。
本実施形態の成形体に含まれるポリアミド樹脂組成物は、(C)成分として、下記(C1)〜(C3)からなる群より選ばれる少なくとも1つ以上の化合物を含有することが好ましい。
(C1)周期律表の第3族、第4族、第11族、第13族、第14族からなる群より選ばれる一種以上の金属元素の塩
(C2)ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、及び有機リン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一の有機熱安定剤
(C3)(A)成分の融点よりも低い融点を有する結晶性の熱可塑性樹脂及び/又は(A)成分のビカット軟化点よりも低いビカット軟化点を有する非晶性の熱可塑性樹脂
本実施形態の成形体に含まれるポリアミド樹脂組成物は、耐熱エージング性を向上させる観点から、(C1)周期律表の第3族、第4族、第11族、第13族、第14族からなる群より選ばれる一種以上の金属元素の塩(以下、(C1)成分、(C1)と記載する場合がある。)を含有することが好ましい。
当該銅塩としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ハロゲン化銅(ヨウ化銅、臭化第一銅、臭化第二銅、塩化第一銅など)、酢酸銅、プロピオン酸銅、安息香酸銅、アジピン酸銅、テレフタル酸銅、イソフタル酸銅、サリチル酸銅、ニコチン酸銅及びステアリン酸銅、並びにエチレンジアミン及びエチレンジアミン四酢酸などのキレート剤に銅の配位した銅錯塩が挙げられる。
これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記(C1)成分として銅塩を用いた場合、耐熱エージング性に優れ、かつ押出時のスクリューやシリンダー部の金属腐食(以下、単に「金属腐食」ともいう。)を効果的に抑制できるポリアミド樹脂組成物が得られる傾向にある。
前記(C1)成分として特に銅塩を用いる場合、本実施形態のポリアミド樹脂組成物中における銅塩の金属元素としての含有量は、熱可塑性樹脂である前記(A)成分と前記(C3)成分の合計100質量部に対して、0.001〜0.05質量部であることが好ましく、より好ましくは0.003〜0.05質量部であり、さらに好ましくは0.005〜0.03質量部である。銅塩の含有量が上記範囲内の場合、耐熱エージング性を一層向上させるとともに、銅の析出や金属腐食を効果的に抑制することができる傾向にある。
より優れた耐熱エージング性と生産性の観点から、前記(C1)1質量部に対する前記(B)の含有量は5質量部以上500質量部以下であることがより好ましく、15質量部以上500質量部以下であることがさらに好ましく、25質量部以上500質量部以下であることがさらにより好ましく、35質量部以上500質量部以下であることがよりさらに好ましく、45質量部以上500質量部以下であることが特に好ましい。
本実施形態の成形体に含まれるポリアミド樹脂組成物は、耐熱エージング性の向上の観点から、(C1−2)アルカリ金属のハロゲン化物及び/又はアルカリ土類金属のハロゲン化物(以下、(C1−2)成分、(C1−2)と記載する場合がある。)を含有することが好ましい。
アルカリ金属のハロゲン化物及び/又はアルカリ土類金属のハロゲン化物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム及び塩化ナトリウム、並びにこれらの混合物が挙げられる。
中でも、耐熱エージング性の向上及び金属腐食の抑制という観点から、好ましくはヨウ化カリウム及び/又は臭化カリウムであり、より好ましくはヨウ化カリウムである。
(C1−2)成分の含有量が上記範囲内の場合、耐熱エージング性が一層向上するとともに、銅の析出や金属腐食を効果的に抑制することができる傾向にある。
中でも、耐熱エージング性を一層向上させる観点から、前記(C1)成分として銅塩と、前記(C1−2)成分としてアルカリ金属のハロゲン化物及び/又はアルカリ土類金属のハロゲン化物と、を組み合わせて用いることが好ましい。
本実施形態の成形体に含まれるポリアミド樹脂組成物は、耐熱エージング性の向上の観点から、(C2)ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、及び有機リン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の有機熱安定剤(以下、(C2)成分、(C2)と記載する場合がある。)を含有することが好ましい。
(C2)成分としてのヒンダードフェノール化合物は、以下に限定されるものではないが、例えば、N,N’−ヘキサメチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパンアミド]、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3, 5−ジ−t−ブチル−4− ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2−チオビス(4−メチル−6−1−ブチルフェノール)、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロキシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4、6−トリス(3,5−ジ−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルスルホン酸)エチルカルシウム、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、オクチル化ジフェニルアミン、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、イソオクチル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール、3,9− ビス[1,1−ジメチル−2−[β−(3−t −ブチル−4− ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ] エチル]2,4, 8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス[3,3’−ビス−(4’−ヒドロキシ−3’−T−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、1,3,5−トリス(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−sec−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)トリオン、d−α−トコフェロールなどが挙げられる。
これらは一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
(C2)成分としてのヒンダードアミン化合物は、以下に限定されるものではないが、例えば、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3,−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6,−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、メチル(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−t−ブチル−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなどが挙げられる。
これらは一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
(C2)成分としての有機リン化合物は、以下に限定されるものではないが、例えば、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンホスフォナイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジフェニルイソデシルフォスファイト、フェニルジイソデシルフォスファイト、4,4−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(オクタデシルホスファイト)、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(ノニル・フェニル)ホスファイト、ジイソデシルペンタエリスリトールジフォスファイト、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド、10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10− ホスファフェナントレンなどが挙げられる。
上述したヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、及び有機リン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の有機熱安定剤は、一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
前記(C2)の含有量は1質量部以上10質量部以下であることがより好ましく、1.5質量部以上10質量部以下であることがより好ましく、2.5質量部以上10質量部以下であることがさらに好ましく、4質量部以上10質量部以下であることがさらにより好ましく、6質量部以上10質量部以下であることがよりさらに好ましい。
本実施形態の成形体に含まれるポリアミド樹脂組成物は、耐熱エージング性の向上の観点から、(C3)前記(A)ポリアミド樹脂の融点よりも低い融点を有する結晶性の熱可塑性樹脂及び/又は前記(A)ポリアミド樹脂のビカット軟化点よりも低いビカット軟化点を有する非晶性の熱可塑性樹脂(以下、「(C3)成分」と記載する場合がある。)を含有することが好ましい。
前記(C3)成分としては、後述する(A)成分の融点よりも低い融点を有する結晶性の熱可塑性樹脂、(A)成分のビカット軟化点よりも低いビカット軟化点を有する非晶性の熱可塑性樹脂並びに熱可塑性エラストマーが挙げられる。
当該(C3)成分としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリフェニレンエーテル、熱可塑性ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリ乳酸系樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等が挙げられる。
(C3)成分としては、上述した熱可塑性樹脂のうち1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
測定装置としては、例えば、PERKIN−ELMER社製、Diamond DSC等を用いることができる。
上記熱可塑性樹脂のビカット軟化点は、JIS−K7206に準じて測定することができる。
例えば、ポリアミド樹脂組成物中における(A)成分の含有量が80kg、(C3)成分の含有量が20kgである場合、熱可塑性樹脂成分((A)成分と(C3)成分の合計)100kgに対して(C3)成分の含有量は20kgである。これは、本明細書中においては、熱可塑性樹脂成分((A)成分と(C3)成分の合計)100質量部に対して、(C3)成分が20質量部含まれていると表す。
本実施形態の成形体に含まれるポリアミド樹脂組成物は、耐熱エージング性の向上の観点から、(D)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属化合物を除く無機フィラー(以下、(D)無機フィラー、(D)成分と記載する場合がある。)を含有することが好ましい。
これらの中でも、本実施形態のポリアミド樹脂組成物の強度及び剛性を増大させる観点から、円形及び非円形断面を有するガラス繊維、フレーク状ガラス、タルク(珪酸マグネシウム)、マイカ、カオリン、ワラストナイト、酸化チタン、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、フッ化カルシウムが好ましく、より好ましくは、ガラス繊維、ワラストナイト、タルク、マイカ、カオリンであり、さらに好ましくは、ガラス繊維である。
上述した(D)成分は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
すなわち、ポリアミド樹脂組成物を電気炉に入れて、含まれる有機物を焼却処理し、残渣分から、例えば100本以上の(D)無機フィラーを任意に選択し、SEMで観察して、これらの繊維径を測定し、平均値を算出することにより数平均繊維径を求めることができる。
また、倍率1000倍のSEM写真を用いて繊維長を計測し、所定の計算式(n本の繊維長を測定した場合、重量平均繊維長=Σ(I=1→n)(n番目の繊維の繊維長)2/Σ(I=1→n)(n番目の繊維の繊維長))により重量平均繊維長を求めることができる。
前記シランカップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン類;エポキシシラン類;ビニルシラン類が挙げられる。
シランカップリング剤は、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。前記シランカップリング剤の中でも、樹脂との親和性の観点から、アミノシラン類がより好ましい。
これらの集束剤は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一方、前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とは、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体とは異なる不飽和ビニル単量体をいう。
前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3−ジクロロブタジエン、1,3−ペンタジエン、シクロオクタジエン、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレートが挙げられる。中でもスチレンやブタジエンが好ましい。
これらの組み合わせの中でも、無水マレイン酸とブタジエンとの共重合体、無水マレイン酸とエチレンとの共重合体、及び無水マレイン酸とスチレンとの共重合体、並びにこれらの混合物よりなる群から選択される1種以上であることがより好ましい。
前記ポリカルボジイミド化合物は、縮合度が1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。縮合度が1〜20の範囲内にある場合、良好な水溶液または水分散液が得られる傾向にある。さらに、縮合度が1〜10の範囲内にある場合、一層良好な水溶液または水分散液が得られる傾向にある。
また、前記ポリカルボジイミド化合物は、部分的にポリオールセグメントを持つポリカルボジイミド化合物であることが好ましい。部分的にポリオールセグメントを持つことにより、ポリカルボジイミド化合物は水溶化し易くなり、ガラス繊維や炭素繊維の集束剤として一層好適に使用することができる。
ジイソシアネート化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルジイソシアネート及び1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネート等が挙げられる。
そして、これらのジイソシアネート化合物をカルボジイミド化することによって、末端に2つのイソシアネート基を有するカルボジイミド化合物を得ることができる。これらのうち、反応性向上の観点から、ジシクロヘキシルメタンカルボジイミドを好適に使用することができる。
モノイソシアネート化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート等が挙げられる。
上記したポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル等が挙げられる。
なお、上記したモノマーのうち、エステル系モノマーを1種以上有することが好ましい。
前記繊維ストランドをロービングとしてそのまま使用してもよく、さらに切断工程を得て、チョップドガラスストランドとして使用してもよい。
また、前記ストランドの乾燥は、切断工程後に行ってもよく、またはストランドを乾燥した後に切断工程を実施してもよい。
本実施形態の成形体に含まれるポリアミド樹脂組成物は、上述した(A)成分〜(D)成分の他、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、さらにその他の成分を含有してもよい。当該その他の成分としては、以下に限定されるものではないが、例えば、紫外線吸収剤、光劣化防止剤、可塑剤、滑剤、離型剤、核剤、難燃剤、着色剤、染色剤や顔料、及び他の熱可塑性樹脂が挙げられる。
ここで、上記したその他の成分は、それぞれ性質が大きく異なるため、各成分についての、本発明の効果を損なわない好適な含有量は様々である。そして、当業者であれば、上記した他の成分ごとの好適な含有量は容易に設定可能である。
本実施形態の成形体に含まれるポリアミド樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂と(B)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属化合物を必須成分とし、必要に応じて、(C)下記(C1)〜(C3)からなる群より選ばれる少なくとも1つ以上の化合物;
(C1)周期律表の第3族、第4族、第11族、第13族、第14族からなる群より選ばれる一種以上の金属元素の塩
(C2)ヒンダードフェノール化合物、ヒンダードアミン化合物、及び有機リン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一の有機熱安定剤
(C3)(A)成分の融点よりも低い融点を有する結晶性の熱可塑性樹脂及び/又は(A)成分のビカット軟化点よりも低いビカット軟化点を有する非晶性の熱可塑性樹脂
と、さらに必要に応じて前記(C1−2)アルカリ金属のハロゲン化物及び/又はアルカリ土類金属のハロゲン化物、前記(D)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属化合物を除く無機フィラー、その他の成分を混合することにより製造できる。
また、あらかじめ(B)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属化合物の水溶液と(A)ポリアミド樹脂ペレットをよく撹拌して混合し、その後に水分を乾燥させる手法で調整したポリアミド樹脂ペレットと、(C)成分を、押出機の供給口から供給して溶融混練する方法を用いることができる。
(B)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属化合物の分散性の観点から、(B)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属化合物の添加は、単軸又は多軸の押出機によって、(A)ポリアミド樹脂を溶融させた状態で、(B)アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属化合物を混練する方法が好ましい。
本実施形態の成形体は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド樹脂組成物を射出成形することにより得られる。得られた成形体を熱処理することにより、アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を成形体の表面から3μmまでの領域に偏在させることができる。このときの熱処理条件としては、例えば、230℃で300時間以上であることが好ましい。高温物性の観点から、230℃で500時間以上であることがより好ましい。また、高温物性の観点から、230℃で3000時間以下であることが好ましい。熱処理条件は、上記温度により連続して処理してもよいし、上記温度に一定時間保持した後、冷却し、また昇温して上記温度に保持する処理を繰り返すことによって、上記温度における保持時間の合計が上記処理時間に達してもよい。
本実施形態の成形体は、高温条件下で長時間使用した場合でも、高温下において実用上十分な機械的特性を有する。
なお、実施例及び比較例に係る試料を評価するための測定方法は以下のとおりである。
(98%硫酸相対粘度(ηr))
後述する実施例及び比較例(以下、単に「各例」ともいう)における、(A)ポリアミド樹脂の98%硫酸相対粘度(ηr)は、JISK6920に従って測定した。
後述する実施例及び比較例における、結晶性樹脂の融点を、JIS−K7121に準じて、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いて以下のとおりに測定した。
当該測定は、窒素雰囲気下で行った。
試料約10mgを昇温速度20℃/minで50℃から300℃まで昇温した。このときに現れる吸熱ピーク温度を融点とした。
ISO 306 B50に準拠し、4mm厚の試験片を用いて測定を行い、ビカット軟化温度(℃)を求めた。
後述する実施例及び比較例における、(A)ポリアミド樹脂の末端基濃度(アミノ末端基濃度、カルボキシル末端基濃度)を、重硫酸溶媒を用いて、60℃での1H−NMR測定により求めた。
測定装置としては、日本電子(株)製のECA500を用い、(A)ポリアミド樹脂のアミノ末端基、カルボキシル末端基の対応ピークの積分値から末端基濃度を算出し、(アミノ末端基濃度/カルボキシル末端基濃度)を得た。
実施例及び比較例で製造したポリアミド樹脂組成物のペレットを、射出成形機(PS−40E:日精樹脂株式会社製)を用いて、ISO 3167に準拠しつつ、多目的試験片(A型)の成形片を成形した。
その際、射出及び保圧の時間25秒、冷却時間15秒に設定した。
また、金型温度とシリンダー温度は、後述する(A)ポリアミド樹脂の製造例に記載した温度に設定した。
得られた多目的試験片(A型)を、表1〜5に記載の条件にて処理した。その試験片用いて、ISO 527に準拠しつつ引張速度5mm/分で引張試験を行い、引張強度(MPa)を測定した。
上記の(引張強度)における多目的試験片(A型)を、表1〜5に記載の条件にて処理した。その試験片用いて、180℃もしくは200℃にて、ISO 527に準拠しつつ引張速度5mm/分で引張試験を行い、180℃、200℃引張強度(MPa)を測定した。
上記の多目的試験片(A型)を、表1〜5に記載の条件にて処理した。その試験片を用いて、23℃において、JIS K7171に準拠し、各例に対応する成形片の、曲げ強度測定を行った。
上記の多目的試験片(A型)を、表1〜5に記載の条件にて処理した。その試験片用いて、180℃もしくは200℃において、JIS K7171に準拠し、各例に対応する成形片の、曲げ強度測定を行った。
成形体のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属平均元素濃度の測定方法としては、SEM(走査型電子顕微鏡)−EDX(エネルギー分散X線スペクトル)を用いた。
ポリアミド樹脂組成物を含む成形体を、表面に垂直に切断し、ダイアモンドナイフで平滑に切り出した。
当該試料をSEM観察用試料台にカーボンテープで固定し、導通処理を実施し、SEM−EDX測定に供した。
EDX観察において、測定視野領域における試料表面から深さ3μmまでの領域のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属元素検出強度と、試料表面から深さ3μmまでの領域を除いた領域のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属元素検出強度を、それぞれの領域の相対平均元素濃度とした。
アルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属元素検出強度は、測定領域中の一定の面積中の、一定の測定時間でのアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属元素検出量とした。
上記で測定した相対平均元素濃度の比を、「成形体の表面から深さ3μmまでの領域のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属平均元素濃度/成形体の表面から深さ3μmまでの領域を除いた領域のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属平均元素濃度」とし、下記表1〜5において、「表面3μmのアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属濃度評価」として、その比が2より大きい場合は○、2以下の場合は×と記した。
成形体の表面から深さ1μmまでの領域に存在するアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の低級カルボン酸塩の測定方法を説明する。
測定はATR法(全反射測定法)とイオンクロマトマス法を用いた。
ATR法は、試料への光の侵入深さを入射角、プリズムの屈折率を変えることで調整した。
ATR法を用いて、成形体の表面から深さ1μmまでの領域にアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の低級カルボン酸塩が存在するか否かを確認した。
具体的には、ピークが存在するか否かを確認した。
さらに、成形体の表面から1μmまでの領域をイオンクロマトマス法によって測定し、低級カルボン酸塩を確認した。
具体的には、ピークが存在するか否かを確認した。
以上の評価により、下記表1〜5において、「表面1μmのアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の低級カルボン酸塩評価」として、表面から1μmまでの領域にアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の低級カルボン酸塩が存在する場合は〇、存在しない場合は×と記した。
成形体の表面から深さ10nmまでの領域に存在するアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩の測定方法を説明する。
測定はX線光電子分光(XPS)を用いて、成形体の表面から深さ10nmまでの領域にアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩が存在するか否かを確認した。
具体的には、ピークが存在するか否かを確認した。
以上の評価により、下記表1〜5において、「表面10nmのアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩の評価」として、成形体の表面から深さ10nmまでの領域にアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩が存在する場合は〇、存在しない場合は×と記した。
固体27Al−NMR測定により、ポリアミド樹脂組成物を含む成形体が、0〜30ppmと30〜60ppmと70〜100ppmの範囲に、それぞれ1本以上のピークを有するか否かを確認した。
以上の評価により、下記表1〜5において、「固体NMRピーク評価」として、固体27Al−NMR測定により、ポリアミド樹脂組成物を含む成形体が、0〜30ppmと30〜60ppmと70〜100ppmの範囲にそれぞれ1本以上のピークを有する場合は〇、有しない場合は×と記した。
成形体のMw、Mnは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により測定した。これらの値を用いてMw/Mnを算出した。
なお、GPC法においては、測定用サンプルとしては各例の成形体を用い、測定用の溶媒としては、ヘキサフルオロイソプロパノールを用いた。また、測定値は、PMMA換算の値とした。
なお、成形体の数平均分子量(Mn)と重量平均分子量(Mw)は、成形体に含有されているポリアミド樹脂の測定値として得られる。
まず、ポリアミド樹脂組成物を含む成形体を焼却し、残渣の質量から、無機物の含有量を求めた。
具体的には、るつぼ中で650℃にて3時間加熱焼却した。
次に、ポリアミド樹脂組成物を含む成形体をヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)に溶解した。具体的には、ポリアミド樹脂組成物を含む成形体1gをHFIP50ml中に浸漬し、室温にて24時間放置した。
その後、HFIPに不溶の部分を取り出し、乾燥した。具体的には、室温で24時間放置した後に、窒素中にて60℃に加熱して3時間乾燥した。その後、質量を測定した。
前述の無機物の含有量の測定結果とHFIP溶解前後の質量から、無機物を除いたポリアミド樹脂部分のHFIPへの溶解分を求め、「HFIP溶解量」として下記表1〜表5に記した。
実施例及び比較例に用いた原料は以下の通りである。
((A)ポリアミド樹脂)
<ポリアミド樹脂A−1(PA66)>
50質量%のヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との等モル塩の水溶液を30kg調製し、十分撹拌した。
当該ポリアミド66の原料の水溶液(以下、単に、原料の水溶液と記載する場合がある。)を、撹拌装置を有し、かつ、下部に抜出しノズルを有する70Lのオートクレーブ中に仕込んだ。
その後、50℃の温度下で十分攪拌した。
次いで、窒素で雰囲気置換した後、撹拌しながら温度を50℃から約270℃まで昇温した。この際、オートクレーブ内の圧力を、約1.77MPaに保持するよう、水を系外に除去しながら加熱を約1時間続けた。
その後、約1時間をかけ、圧力を大気圧まで降圧し、さらに約270℃、大気圧で約1時間保持した後、撹拌を停止した。
下部ノズルからストランド状にポリマーを排出し、水冷・カッティングを行い、ペレットを得た。
<ポリアミド樹脂A−1>の98%硫酸相対粘度は2.8であった。
また、アミノ末端基濃度は46μmol/gであり、カルボキシル末端基濃度は72μmol/gであった。
すなわち、アミノ末端基濃度/カルボキシル末端基濃度は0.64であった。
また、融点は264℃であり、ビカット軟化点は238℃であった。
なお、<ポリアミド樹脂A−1>を用いたポリアミド樹脂組成物の成形においては、金型温度を80℃、シリンダー温度を290℃に設定した。
前記原料の水溶液にアジピン酸を900g追加で添加した。
その他の条件は、前記<ポリアミド樹脂A−1>と同様の製造方法により<ポリアミド樹脂A−2>を製造した。
<ポリアミド樹脂A−2>の98%硫酸相対粘度は2.2であった。
また、アミノ末端基濃度は33μmol/gであり、カルボキシル末端基濃度は107μmol/gであった。すなわち、アミノ末端基濃度/カルボキシル末端基濃度は0.3であった。
また、融点は264℃であり、ビカット軟化点は238℃であった。
なお、<ポリアミド樹脂A−2>を用いたポリアミド樹脂組成物の成形においては、金型温度を80℃、シリンダー温度を290℃に設定した。
前記原料の水溶液にヘキサメチレンジアミンを900g追加で添加した。
その他の条件は、前記<ポリアミド樹脂A−1>と同様の製造方法により<ポリアミド樹脂A−3>を製造した。
<ポリアミド樹脂A−3>の98%硫酸相対粘度は2.4であった。また、アミノ末端基濃度は78μmol/gであり、カルボキシル末端基濃度は52μmol/gであった。すなわち、アミノ末端基濃度/カルボキシル末端基濃度は1.5であった。
また、融点は264℃であり、ビカット軟化点は238℃であった。
なお、<ポリアミド樹脂A−3>を用いたポリアミド樹脂組成物の成形においては、金型温度を80℃、シリンダー温度を290℃に設定した。
特表2013−501094号公報の製造例に従い、<ポリアミド樹脂A−4(PA66/6T)>を製造した。
<ポリアミド樹脂A−4>の98%硫酸相対粘度は2.9であった。
また、アミノ末端基濃度は42μmol/gであり、カルボキシル末端基濃度は65μmol/gであった。すなわち、アミノ末端基濃度/カルボキシル末端基濃度は0.6であった。
なお、<ポリアミド樹脂A−4>を用いたポリアミド樹脂組成物の成形においては、金型温度を80℃、シリンダー温度を290℃に設定した。
特開2013−40346号公報の製造例に従い、<ポリアミド樹脂A−5(PA9T)>を製造した。
<ポリアミド樹脂A−5>の98%硫酸相対粘度は2.9であり、融点は304℃であった。
また、アミノ末端基濃度は42μmol/gであり、カルボキシル末端基濃度は52μmol/gであった。すなわち、アミノ末端基濃度/カルボキシル末端基濃度は0.8であった。
なお、<ポリアミド樹脂A−5>を用いたポリアミド樹脂組成物の成形においては、金型温度を120℃、シリンダー温度を330℃に設定した。
ポリアミド46(以下、「PA46」と略記する)として、商品名:Stanyl(登録商標)KS200(DSM社製、融点290℃)を用いた。
なお、<ポリアミド樹脂A−6>を用いたポリアミド樹脂組成物の成形においては、金型温度を120℃、シリンダー温度を300℃に設定した。
宇部興産(株)社製のSF1013Aを使用した。融点は224℃であった。
特開2011−148997号公報の製造例に従い、<ポリアミド樹脂A−8(PA610)>を製造した。融点は215℃であった。
<B−1 アルミン酸ナトリウム>
和光純薬工業(株)社製のアルミン酸ナトリウムを使用した。
<B−2 炭酸水素ナトリウム>
東京化成工業株式会社製の炭酸水素ナトリウムを使用した。
<B−3 炭酸ナトリウム>
東京化成工業株式会社製の炭酸ナトリウムを使用した。
<B−4 炭酸カリウム>
東京化成工業株式会社製の炭酸カリウムを使用した。
<B−5 水酸化ナトリウム>
東京化成工業株式会社製の水酸化ナトリウムを使用した。
<B−6クエン酸3ナトリウム>
東京化成工業株式会社製のクエン酸3ナトリウムを使用した。
<B−7エチレンジアミン4酢酸4ナトリウム>
東京化成工業株式会社製のエチレンジアミン4酢酸4ナトリウムを使用した。
<C−1 ヨウ化銅とヨウ化カリウムの混合物>
ヨウ化銅は和光純薬工業社製の試薬を使用した。ヨウ化カリウムは和光純薬工業社製の試薬を使用した。ヨウ化銅1質量部と、ヨウ化カリウム10質量部を混合して使用した。
<C−2 ヒンダードフェノール化合物>
チバ・ジャパン株式会社製のIRGANOX1098を使用した。
<C−3 ヒンダードアミン化合物>
クラリアント社製のNYLOSTAB S−EEDを使用した。
<C−4 有機リン化合物>
チバ・ジャパン株式会社製のIRGAFOS168を使用した。
<ガラス繊維D−I>
固形分換算で、ポリウレタン樹脂を2質量%(商品名:ボンディック(登録商標)1050、(大日本インキ株式会社製))、エチレン−無水マレイン酸共重合体(和光純薬工業株式会社製)を8質量%、γ−アミノプロピルトリエトキシシランを0.6質量%(商品名:KBE−903、(信越化学工業株式会社製))、潤滑剤0.1質量%(商品名:カルナウバワックス(株式会社加藤洋行製))となるように水で希釈し、全質量を100質量%に調整し、ガラス繊維集束剤を得た。
上記のガラス繊維集束剤を、溶融防糸された数平均繊維径10μmのガラス繊維に対して付着させた。
すなわち、回転ドラムに巻き取られる途中のガラス繊維に対し、所定位置に設置されたアプリケーターを用いて、上記ガラス繊維集束剤を塗布した。次いで、これを乾燥し、上記ガラス繊維集束剤で表面処理されたガラス繊維束のロービング(ガラスロービング)を得た。その際、ガラス繊維は1,000本の束となるようにした。
ガラス繊維集束剤の付着量は、0.6質量%であった。これを3mmの長さに切断して、ガラスチョップドストランドを得た。このチョップドストランドを、<ガラス繊維D−I>として使用した。
押出機として、二軸押出機(ZSK−26MC:コペリオン社製(ドイツ))を用いた。
この二軸押出機は、上流側から1番目のバレルに上流側供給口を有し、かつ、9番目のバレルに下流側供給口を有するものである。また、L/D(押出機のシリンダーの長さ/押出機のシリンダー径)=48(バレル数:12)である。
この二軸押出機において、上流側供給口からダイまでの温度を、上述の((A)ポリアミド樹脂)の項目に記載したシリンダー温度にそれぞれ設定した。
また、スクリュー回転数を300rpmに、吐出量を25kg/時間に、それぞれ設定した。
かかる条件下で、下記表1の上部に記載された割合となるように、上流側供給口より(A)成分と、(B)成分と、(C)成分と、を供給し、下流側供給口より(D)成分を供給し、溶融混練することでポリアミド樹脂組成物のペレットを製造した。
得られたポリアミド樹脂組成物を成形し、その成形体を用いて評価を実施した。
これらの評価結果等を下記表1に示す。
表1〜表5に記載の組成に従い、その他の条件は実施例1と同様の方法で、ポリアミド樹脂組成物を製造し、得られたポリアミド樹脂組成物を成形し、その成形体を用いて、各種測定を実施した。
これらの測定結果等を下記表1〜5に示す。
なお、表中の単位の「質量%」はポリアミド組成物を100質量%としたときの「質量%」である。
一方、比較例1〜4は、実施例と比較して高温下における機械的特性に劣る結果となった。
Claims (15)
- ポリアミド樹脂組成物を含む成形体であって、
(前記成形体の表面から深さ3μmまでの領域のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属平均元素濃度)/(前記成形体の表面から深さ3μmまでの領域を除いた領域のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属平均元素濃度)>2である、成形体。 - 前記成形体の表面から深さ1μmまでの領域にアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の低級カルボン酸塩を含有する、請求項1に記載の成形体。
- 前記成形体の表面から深さ10nmまでの領域にアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩を含有する、請求項1又は2に記載の成形体。
- アルミン酸金属塩を含有し、
固体27Al−NMR測定により、0〜30ppm、30〜60ppm、70〜100ppmの範囲に、それぞれ1本以上のピークを有する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の成形体。 - Mwが5万以上であり、Mw/Mnが3以上である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の成形体。
- 前記ポリアミド樹脂組成物に含まれるポリアミド樹脂部分のヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)への溶解分が、前記ポリアミド樹脂組成物中に含まれるポリアミド樹脂部分の50質量%以下である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の成形体。
- ポリアミド樹脂組成物を含む成形体であって、次式を満たす成形体。
α/β>2
α:230℃における300時間以上の熱エージング処理の後の前記成形体の表面から深さ3μmまでの領域のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属平均元素濃度
β:230℃における300時間以上の熱エージング処理の後の前記成形体の表面から深さ3μmまでの領域を除いた領域のアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属平均元素濃度 - 230℃における300時間以上の熱エージング処理の後に、
前記成形体の表面から深さ1μmまでの領域にアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の低級カルボン酸塩を含有する、請求項7に記載の成形体。 - 230℃における300時間以上の熱エージング処理の後に、
前記成形体の表面から深さ10nmまでの領域にアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属の炭酸塩を含有する、請求項7又は8に記載の成形体。 - アルミン酸金属塩を含有し、
230℃における300時間以上の熱エージング処理の後に、
固体27Al−NMR測定により、0〜30ppm、30〜60ppm、及び70〜100ppmの範囲に、それぞれ1本以上のピークを有する、請求項7乃至9のいずれか一項に記載の成形体。 - 230℃における300時間以上の熱エージング処理の後に、
Mwが5万以上であり、Mw/Mnが3以上である、請求項7乃至10のいずれか一項に記載の成形体。 - 230℃における300時間以上の熱エージング処理の後に、
前記ポリアミド樹脂組成物に含まれるポリアミド樹脂部分のヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)への溶解分が、前記ポリアミド樹脂組成物中に含まれるポリアミド樹脂部分の50質量%以下である、請求項7乃至11のいずれか一項に記載の成形体。 - 自動車部品である、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の成形体。
- 自動車アンダーフード部品である、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の成形体。
- 中空部品である、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の成形体。
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