JP2015034222A - ポリアミド樹脂組成物及び成形品 - Google Patents

ポリアミド樹脂組成物及び成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】機械的強度、耐衝撃性及び耐熱エージング性に優れ、かつ高温環境下での電気絶縁性に優れた、ポリアミド樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A)ポリアミド樹脂:100質量部と、
(B)ヒンダードフェノール化合物:3〜10質量部と、
(C)前記(A)とは異なるポリアミド樹脂と、前記(B)ヒンダードフェノール化合物とを含む熱安定剤マスターバッチ:1〜10質量部と、
(D)補強剤:0〜180質量部と、
を、含有するポリアミド樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド樹脂組成物及び成形品に関する。
ポリアミド樹脂は、優れた機械的特性(機械的強度、剛性や耐衝撃性など)、靭性、耐熱性、耐薬品性を有することから、衣料、産業資材、自動車、電気・電子、その他の工業といった様々な産業分野で利用されている。
特に、ポリアミド樹脂は、他の樹脂に較べて耐熱エージング性に優れているため、自動車エンジンルーム内などの、高温雰囲気下に晒される箇所の部品用材料に適している。
近年、自動車エンジンルーム内の部品の高密度化、及びエンジンの高出力化に伴い、自動車エンジンルーム内の環境温度は増々高くなる傾向があり、長期の耐熱エージング性がポリアミド樹脂を用いた部品に求められている。
また、自動車エンジンのハイブリッド化の普及に伴い、自動車エンジンルーム内への電装部品点数が多くなる傾向があり、ポリアミド樹脂を用いた部品に対して、特に高温雰囲気下における電気絶縁性といった特性に関する高い信頼性が求められている。
ポリアミド樹脂の耐熱エージング性を向上させる技術としては、ポリアミド樹脂の銅化合物(銅の酸化物又は塩)を配合する技術が従来から知られている。
また、同様に、耐熱エージング性を向上させる技術として、融点の異なる2種類のポリアミド樹脂に、銅化合物及び酸化鉄を配合する技術(例えば、特許文献1参照。)、ポリアミドに微粒元素鉄を配合する技術(例えば、特許文献2参照。)、及びポリアミドに微細分散化金属粉末を配合する技術(例えば、特許文献3参照。)が開示されている。
特表2008−527129号公報 特表2006−528260号公報 特表2008−527127号公報
しかしながら、上記従来提案されている技術においては、銅や鉄といった金属化合物をポリアミド樹脂に添加しているため、高温環境下に晒される自動車エンジンルーム用の部品、特に通電部を有する電装部品の素材として使用する場合、通電部接触部分に金属やハロゲン化合物が析出するおそれがあるという問題を有している。このようなことから、今後においては、より一層、優れた品質信頼性を有する、耐熱エージング性に優れたポリアミド樹脂組成物が求められている。
そこで本発明においては、上述した従来技術の問題点に鑑み、機械的強度、耐衝撃性及び耐熱エージング性に優れ、かつ高温環境下での電気絶縁性に優れるポリアミド樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、所定の熱安定剤を含む、マトリックス樹脂とは異なるポリアミド樹脂を用いた熱安定剤マスターバッチを含有するポリアミド樹脂組成物が、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕
(A)ポリアミド樹脂:100質量部と、
(B)ヒンダードフェノール化合物:3〜10質量部と、
(C)前記(A)とは異なるポリアミド樹脂と、前記(B)ヒンダードフェノール化合物とを含む熱安定剤マスターバッチ:1〜10質量部と、
(D)補強剤:0〜180質量部と、
を、含有するポリアミド樹脂組成物。
〔2〕
前記(A)ポリアミド樹脂が、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010、ポリアミド6T、ポリアミド6I、ポリアミド9T、及びポリアミド10T、並びにこれらの少なくとも1種を構成成分として含む共重合ポリアミドからなる群より選ばれる少なくともいずれかである、前記〔1〕に記載のポリアミド樹脂組成物。
〔3〕
前記(B)ヒンダードフェノール化合物が、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−ヒドロキシヒドロ−シンナムアミド)である、前記〔1〕又は〔2〕に記載のポリアミド樹脂組成物。
〔4〕
前記(C)の熱安定剤マスターバッチにおける、(B)ヒンダードフェノールの含有量が3〜10質量%である、前記〔1〕乃至〔3〕のいずれか一に記載のポリアミド樹脂組成物。
〔5〕
前記(D)補強剤を含み、
当該(D)補強剤が、円形又は非円形断面を有するガラス繊維、フレーク状ガラス、タルク(珪酸マグネシウム)、マイカ、カオリン、ワラストナイト、酸化チタン、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、フッ化カルシウムからなる群より選択される1種以上である、前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のポリアミド樹脂組成物。
〔6〕
前記〔1〕乃至〔5〕のいずれか一に記載のポリアミド樹脂組成物を含む成形品。
本発明によれば、機械的強度、耐衝撃性及び耐熱エージング性に優れ、かつ高温環境下での電気絶縁性に優れた、ポリアミド樹脂組成物を得ることができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
〔ポリアミド樹脂組成物〕
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、
(A)ポリアミド樹脂:100質量部と、
(B)ヒンダードフェノール化合物:3〜10質量部と、
(C)前記(A)とは異なるポリアミド樹脂と、前記(B)ヒンダードフェノール化合物と、を含む熱安定剤マスターバッチ:1〜10質量部と、
(D)補強剤:0〜180質量部と、
を、含有する。
以下、前記ポリアミド樹脂組成物の各構成要素について詳細に説明する。
((A)ポリアミド樹脂)
(A)ポリアミド樹脂(以下、(A)成分、(A)、ポリアミドと記載する場合がある。)は、主鎖に−CO−NH−(アミド)結合を有する高分子化合物である。(A)ポリアミド樹脂は、以下に限定されるものではないが、例えば、ラクタムの開環重合で得られるポリアミド、ω−アミノカルボン酸の自己縮合で得られるポリアミド、ジアミン及びジカルボン酸を縮合することで得られるポリアミド、並びにこれらの共重合物が挙げられる。
(A)ポリアミドは、上記の1種のみを単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。
以下、本実施形態における(A)ポリアミド樹脂の原料について説明する。
ポリアミドの構成成分である単量体としての前記ラクタムは、以下に限定されるものではないが、例えば、ピロリドン、カプロラクタム、ウンデカラクタム、ドデカラクタム等が挙げられる。
前記ω−アミノカルボン酸は、以下に限定されるものではないが、例えば、前記ラクタムの水による開環化合物であるω−アミノ脂肪酸が挙げられる。
なお、ラクタム、ω−アミノカルボン酸は、それぞれ1種のみを単独で用いてもよく、2種以上の単量体を併用してもよい。
次に、前記ジアミン及びジカルボン酸を縮合することで得られるポリアミドについて説明する。
まず、前記ジアミン(単量体)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキサメチレンジアミンやペンタメチレンジアミン等の直鎖状の脂肪族ジアミン;2−メチルペンタンジアミンや2−エチルヘキサメチレンジアミン等の分岐状の脂肪族ジアミン;p−フェニレンジアミンやm−フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、シクロペンタンジアミンやシクロオクタンジアミン等の脂環式ジアミンが挙げられる。
他方、前記ジカルボン酸(単量体)としては、以下に限定されるものではないが、例えば、アジピン酸、ピメリン酸やセバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸;フタル酸やイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸が挙げられる。
上述した単量体としてのジアミン及びジカルボン酸は、それぞれ1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)ポリアミド樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリアミド4(ポリα−ピロリドン)、ポリアミド6(ポリカプロアミド)、ポリアミド11(ポリウンデカンアミド)、ポリアミド12(ポリドデカンアミド)、ポリアミド46(ポリテトラメチレンアジパミド)、ポリアミド56(ポリペンタメチレンアジパミド)、ポリアミド66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ポリアミド610(ポリヘキサメチレンセバカミド)、ポリアミド612(ポリヘキサメチレンドデカミド)、ポリアミド1010(ポリデカメチレンセバカミド)、ポリアミド6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド9T(ポリノナンメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド10T(ポリデカメチレンテレフタルアミド)、及びポリアミド6I(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)、並びにこれらの少なくとも1種を構成成分として含む共重合ポリアミドが挙げられる。
上記で列挙したポリアミドの中でも、ポリマー鎖中の炭素数/窒素数の比(C/Nの比)が5を超えるポリアミドが、耐熱エージング性の観点から好ましい。
かかる条件を具備する好ましいポリアミドとしては、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010、ポリアミド6T、ポリアミド9T、ポリアミド10T、及びポリアミド6I並びにこれらの少なくとも1種を構成成分として含む共重合ポリアミドが挙げられる。
なお、前記C/Nの比は、5を超えて15以下であることがより好ましく、5を超えて12以下であることがさらに好ましい。
なお、C/Nの比は、ホモポリマーの場合は、使用するモノマーの種類によって算出することができる。また、共重合ポリアミドの場合は、C/Nの比は、使用するモノマーの共重合割合(モル比率)から算出される平均値とする。
前記共重合ポリアミドとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキサメチレンアジパミド及びヘキサメチレンテレフタルアミドの共重合物、ヘキサメチレンアジパミド及びヘキサメチレンイソフタルアミドの共重合物、並びにヘキサメチレンテレフタルアミド及び2−メチルペンタンジアミンテレフタルアミドの共重合物が挙げられる。
上記で列挙したポリアミドの中でも、本実施形態のポリアミド樹脂組成物に含まれる(A)ポリアミド樹脂は、融点が280℃以下のポリアミドより選択される1種以上であることが好ましく、200〜280℃であるポリアミドより選択される1種以上であることがより好ましい。
当該ポリアミドの融点は、耐熱性の観点から200℃以上であることが好ましく、耐熱エージング性の観点から280℃以下であることが好ましい。より好ましくは210〜270℃であり、さらに好ましくは240〜270℃である。
このような融点を有するポリアミドを用いることにより、本実施形態のポリアミド樹脂組成物の成形品の耐熱エージング性が一層向上する傾向がある。
なお、本実施形態のポリアミド樹脂組成物に含まれる(A)ポリアミド樹脂の融点は、JIS−K7121に準じて測定することができる。測定装置としては、例えば、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCなどが挙げられる。
また、上記のポリアミドには、一般に、末端基としてアミノ基及びカルボキシル基が存在する。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物に含まれる(A)ポリアミド樹脂における、これらの末端基の比は、アミノ基濃度/カルボキシル基濃度として、好ましくは9/1〜1/9であり、より好ましくは6/4〜1/9、さらに好ましくは5/5〜1/9である。
アミノ基濃度/カルボキシル基濃度が前記範囲内の場合、本実施形態のポリアミド樹脂組成物の機械的強度を一層向上させることができる。
また、末端のアミノ基の濃度は、好ましくは10〜100μmol/gであり、より好ましくは15〜80μmol/gであり、さらに好ましくは30〜80μmol/gである。末端アミノ基の濃度が前記範囲内の場合、本実施形態のポリアミド樹脂組成物の機械的強度を有意に向上させることができる。
末端アミノ基及び末端カルボキシル基の濃度は、1H−NMRにより測定される、各末端基に対応した特性シグナルの積分値によって求めることができる。
さらに、(A)ポリアミド樹脂の末端基は、別途調整することができる。
かかる末端基の調整方法としては、公知の方法を用いることができ、以下に限定されるものではないが、例えば、末端基調整剤を用いる方法が挙げられる。
具体的には、ポリアミド樹脂の重合時に、所望の末端基濃度が得られるように、モノアミン化合物、ジアミン化合物、モノカルボン酸化合物及びジカルボン酸化合物よりなる群から選択される1種以上を添加する方法が挙げられる。末端基調整剤の重合溶媒への添加時期については、末端基調整剤として本来の機能を果せばよく、特に限定されるものではないが、例えば、上記したポリアミド樹脂の重合単量体と同時に溶媒に添加する方法が挙げられる。
前記モノアミン化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン及びジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン及びジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン及びナフチルアミン等の芳香族モノアミン、並びにこれらの任意の混合物などが挙げられる。
中でも、反応性、沸点、封止末端の安定性や価格などの観点から、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン及びアニリンが好ましい。
これらは1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ジアミン化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキサメチレンジアミンやペンタメチレンジアミン等の直鎖状の脂肪族ジアミン;2−メチルペンタンジアミンや2−エチルヘキサメチレンジアミン等の分岐状の脂肪族ジアミン;p−フェニレンジアミンやm−フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、シクロペンタンジアミンやシクロオクタンジアミン等の脂環式ジアミンが挙げられる。
中でも、反応性、沸点、封止末端の安定性や価格などの観点から、ヘキサメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、シクロヘキサンジアミンが好ましい。
これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記モノカルボン酸化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸及びイソブチル酸などの脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸などの脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸及びフェニル酢酸などの芳香族モノカルボン酸が挙げられる。
これらのカルボン酸化合物は1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ジカルボン酸化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸及びスベリン酸などの脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、ジフェニルメタン−4,4'−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4'−ジカルボン酸及び4,4'−ビフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から誘導される単位(ユニット)が挙げられる。
これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物において、(A)ポリアミド樹脂の含有量は、ポリアミド樹脂組成物100質量%に対して、成形流動性の観点から、33〜98質量%であることが好ましく、40〜98質量%であることがより好ましく、50〜98質量%であることがさらに好ましい。
((B)ヒンダードフェノール化合物)
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、熱安定剤として、(B)ヒンダードフェノール化合物(以下、(B)成分、(B)、ヒンダードフェノール化合物と記載する場合がある。)を含有する。
ヒンダードフェノール化合物とは、少なくとも1つのフェノール基を含有する有機化合物であって、その芳香族部位が、置換基としてフェノールのヒドロキシル基を有する炭素に直接隣接する少なくとも1つの位置で、好ましくは両方の位置で置換されている、有機化合物を意味する。
前記フェノールのヒドロキシル基を有する炭素に直接隣接する少なくとも1つの位置が、炭素原子1〜10個のアルキル基により置換されていることが好ましく、3級ブチル基により置換されていることがより好ましい。
(B)ヒンダードフェノール化合物は、熱分解安定性の観点から、分子量が260以上であることが好ましく、500以上であることがより好ましく、600以上であることがさらに好ましい。
特に、(B)ヒンダードフェノール化合物は、本実施形態のポリアミド樹脂組成物の成形加工温度において、低揮発性であることが好ましく、前記熱分解安定性の指標である10%TGA(加熱重量減分析)重量減少温度は、290℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましく、320℃以上であることがさらに好ましく、340℃以上であることがさらにより好ましく、350℃以上であることがよりさらに好ましい。
(B)ヒンダードフェノール化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、N,N'−へキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N'−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピニロキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサピロ[5,5]ウンデカン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、及び1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸が挙げられる。
これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、耐熱エージング性向上の観点から、例えば、CIBA Specialty Chemicals,Tarrytown,N.Y.からIrganox(登録商標)1010として市販されているテトラキス(メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート))メタン、CIBA Specialty ChemicalsからIrganox(登録商標)1098として市販されているN,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−ヒドロキシヒドロ−シンナムアミド)、CIBA Specialty Chemicalsから、Irganox(登録商標)1330として市販されている1,3,5−トリメチル−2,4,6トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼンが好ましく、その中でもマトリックスの(A)ポリアミド樹脂との相溶性の観点からIrganox1098がより好ましい。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物においては、当該ポリアミド樹脂組成物中の(B)ヒンダードフェノール化合物の含有量は、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対して、3〜10質量部であり、好ましくは3〜7質量部であり、より好ましくは3〜5質量部である。上記の範囲内の場合、耐熱エージング性を一層向上させ、さらに発生ガス量を低減させることができる。
((C)熱安定剤マスターバッチ)
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、(C)前記(A)とは異なるポリアミド樹脂と、前記(B)ヒンダードフェノール化合物とを含む、熱安定剤マスターバッチを含有する。
なお、本明細書において、本実施形態のポリアミド樹脂組成物中の(A)ポリアミド樹脂を「マトリックス樹脂」と称する場合がある。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物においては、(C)熱安定剤マスターバッチを含有することにより、耐熱エージング性を大きく向上させることができる。
また、熱安定剤である(B)ヒンダードフェノール化合物を高濃度に含む(C)熱安定剤マスターバッチを含有させたポリアミド樹脂組成物を成形することにより、成形品の表面に高濃度に熱安定剤を局在化させた、エージング耐久層を容易に形成させることができる。これにより、(C)熱安定剤マスターバッチを使用しない場合に比べて、成形品内部への熱酸化劣化を効果的に抑制することができる。
前記(C)熱安定剤マスターバッチに含まれる、マトリックス樹脂とは異なるポリアミド樹脂の選択方法としては、特に限定されるものではないが、マトリックス樹脂よりも低融点かつ、溶融流動性に優れるポリアミド樹脂が好ましく、低結晶性のポリアミド樹脂がより好ましい。
このようなポリアミド樹脂としては、以下に限定されるものではないが、例えば、マトリックスの(A)ポリアミド樹脂としてポリアミド66を用いた場合、(C)熱安定剤マスターバッチのポリアミド樹脂としてはポリアミド66以外のポリアミド樹脂を用いればよく、低融点、低結晶性の観点からポリアミド6やポリアミド612等が好ましい。
(C)熱安定剤マスターバッチ中の(B)ヒンダードフェノール化合物の含有量は、好ましくは3〜10質量%であり、より好ましくは5〜10質量%であり、さらに好ましくは5〜7質量%である。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物中の(C)熱安定剤マスターバッチの含有量は、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対して、好ましくは1〜10質量部であり、より好ましくは1〜5質量部であり、さらに好ましくは1〜3質量部である。
上記の範囲内の場合、熱安定剤を高濃度に配合した(C)熱安定剤マスターバッチがマトリックス樹脂中に局在化もしくは偏在化することで、外部熱環境からの耐久層を形成し、ポリアミド樹脂組成物内部に進行する熱劣化反応を遮蔽する効果が顕著に得られる。
((D)補強剤)
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、(D)補強剤を含有することが好ましい。
(D)補強剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ケイ酸カルシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、フレーク状ガラス、タルク、カオリン、マイカ、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸一水素カルシウム、ワラストナイト、シリカ、ゼオライト、アルミナ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、黄銅、銅、銀、アルミニウム、ニッケル、鉄、フッ化カルシウム、雲母、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母及びアパタイトが挙げられる。
これらの中でも、強度及び剛性を増大させる観点から、円形及び非円形断面を有するガラス繊維、フレーク状ガラス、タルク(珪酸マグネシウム)、マイカ、カオリン、ワラストナイト、酸化チタン、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、フッ化カルシウムが好ましく、より好ましくは、ガラス繊維、ワラストナイト、タルク、マイカ、カオリンである。
上述した補強剤は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記ガラス繊維や炭素繊維のうち、優れた機械的特性を本実施形態のポリアミド樹脂組成物に付与できるという観点から、前記ポリアミド樹脂組成物中において、数平均繊維径が3〜30μmであって、重量平均繊維長が100〜750μmであり、重量平均繊維長と数平均繊維径とのアスペクト比(重量平均繊維長を数平均繊維径で除した値)が10〜100であるものがより好ましい。
また、前記ワラストナイトのうち、優れた機械的特性をポリアミド樹脂組成物に付与できるという観点から、前記ポリアミド樹脂組成物中において、数平均繊維径が3〜30μmであって、重量平均繊維長が10〜500μmであり、前記アスペクト比が3〜100であるものがより好ましい。
また、前記タルク、マイカ、カオリンは、優れた機械的特性をポリアミド樹脂組成物に付与できるという観点から、前記ポリアミド樹脂組成物中において、数平均繊維径が0.1〜3μmであるものが好ましい。
ここで、前記数平均繊維径及び重量平均繊維長は、ポリアミド樹脂組成物を電気炉に入れて、含まれる有機物を焼却処理し、残渣分から、例えば100本以上の(D)補強剤を任意に選択して測定する。
数平均繊維径は、SEMで観察し、これらの(D)補強剤の繊維径を測定し、かつ平均値を算出することにより得られる。
重量平均繊維長は、倍率1000倍でのSEM写真を用いて繊維長を計測し、(重量平均繊維長=繊維長の2乗和/繊維長の合計)により算出できる。
補強剤(D)は、シランカップリング剤などにより表面処理してもよい。
前記シランカップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシランやN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシランやγ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン類;エポキシシラン類;ビニルシラン類が挙げられる。
これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記シランカップリング剤の中でも、ポリアミドとの反応性の観点からアミノシラン類がより好ましい。
また、上記(D)補強剤のうち、ガラス繊維や炭素繊維は、さらに集束剤を添加してもよい。
集束剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と当該カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体、エポキシ化合物、ポリカルボジイミド化合物、ポリウレタン樹脂、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩などが挙げられる。これらは、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
特に、ポリアミド樹脂組成物の機械的強度の観点から、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と当該カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体、エポキシ化合物、ポリカルボジイミド化合物及びポリウレタン樹脂、並びにこれらの組み合わせが好ましく、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と当該カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体、ポリカルボジイミド化合物及びポリウレタン樹脂、並びにこれらの組み合わせがより好ましい。
カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と当該カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体のうち、前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸及び無水シトラコン酸が挙げられ、特に、無水マレイン酸が好ましい。
一方、前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とは、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体とは異なる不飽和ビニル単量体をいう。前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3−ジクロロブタジエン、1,3−ペンタジエン、シクロオクタジエン、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレートが挙げられる。特にスチレン及びブタジエンが好ましい。
これらのカルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と、前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体との組み合わせの中でも、無水マレイン酸とブタジエンとの共重合体、無水マレイン酸とエチレンとの共重合体、及び無水マレイン酸とスチレンとの共重合体、並びにこれらの混合物よりなる群から選択される1種以上がより好ましい。
また、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と当該カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体は、重量平均分子量が2,000以上であることが好ましい。また、ポリアミド樹脂組成物の流動性向上の観点から、より好ましくは2,000〜1,000,000であり、さらに好ましくは2,000〜1,000,000である。
なお、本明細書中に記載する重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーション・クロマトグラフィー)により測定することができる。
前記集束剤としてのエポキシ化合物は、以下に限定されるものではないが、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブテンオキサイド、ペンテンオキサイド、ヘキセンオキサイド、ヘプテンオキサイド、オクテンオキサイド、ノネンオキサイド、デセンオキサイド、ウンデセンオキサイド、ドデセンオキサイド、ペンタデセンオキサイド、エイコセンオキサイドなどの脂肪族エポキシ化合物;グリシド−ル、エポキシペンタノ−ル、1−クロロ−3,4−エポキシブタン、1−クロロ−2−メチル−3,4−エポキシブタン、1,4−ジクロロ−2,3−エポキシブタン、シクロペンテンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、シクロヘプテンオキサイド、シクロオクテンオキサイド、メチルシクロヘキセンオキサイド、ビニルシクロヘキセンオキサイド、エポキシ化シクロヘキセンメチルアルコールなどの脂環族エポキシ化合物;ピネンオキサイドなどのテルペン系エポキシ化合物;スチレンオキサイド、p−クロロスチレンオキサイド、m−クロロスチレンオキサイドなどの芳香族エポキシ化合物;エポキシ化大豆油;及びエポキシ化亜麻仁油が挙げられる。
前記集束剤としてのポリカルボジイミド化合物は、一以上のカルボジイミド基(−N=C=N−)を含有するカルボジイミド化合物を縮合することにより得られる化合物である。
ポリカルボジイミド化合物の縮合度は1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。縮合度が1〜20の範囲内にある場合、良好な水溶液または水分散液が得られる。さらに、縮合度が1〜10の範囲内にある場合、一層良好な水溶液または水分散液が得られる。
また、前記集束剤としてのポリカルボジイミド化合物は、部分的にポリオールセグメントを有するポリカルボジイミド化合物であることが好ましい。ポリオールセグメントを有することにより、ポリカルボジイミド化合物が水溶化し易くなり、ガラス繊維や炭素繊維の集束剤として一層好適に使用可能となる。
前記カルボジイミド化合物は、ジイソシアネート化合物を3−メチル−1−フェニル−3−ホスホレン−1−オキシド等の公知のカルボジイミド化触媒の存在下で脱炭酸反応させることによって得られる。
前記ジイソシアネート化合物としては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネート、並びにそれらの混合物を用いることが可能である。当該ジイソシアネート化合物は、以下に限定されるものではないが、例えば、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4'−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート及び1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネートなどが挙げられる。そして、これらのジイソシアネート系化合物をカルボジイミド化することによって、末端に2つのイソシアネート基を有するポリカルボジイミド化合物が得られる。これらのうち、反応性向上の観点からジシクロヘキシルメタンカルボジイミドが好適に使用可能である。
末端に2つのイソシアネート基を有するポリカルボジイミド化合物に対し、さらにモノイソシアネート化合物を等モル量カルボジイミド化させる方法、またはポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルと等モル量反応させてウレタン結合を生成する方法などによって、末端にイソシアネート基を1つ有するポリカルボジイミド化合物が得られる。
前記モノイソシアネート化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネートやシクロヘキシルイソシアネート等が挙げられる。
前記ポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルやポリエチレングリコールモノエチルエーテルが挙げられる。
前記集束剤としてのポリウレタン樹脂は、集束剤として一般的に用いられるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、m−キシリレンジイソシアナート(XDI)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)(HMDI)やイソホロンジイソシアナート(IPDI)等のイソシアネートと、ポリエステル系やポリエーテル系のジオールとから合成されるものが好適に使用できる。
前記集束剤としてのアクリル酸のホモポリマー(ポリアクリル酸)は、重量平均分子量が1,000〜90,000であることが好ましく、より好ましくは1,000〜25,000である。
前記集束剤としてのアクリル酸のポリマーは、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマーであってもよい。
前記アクリル酸と共重合体を形成するモノマーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、水酸基及び/又はカルボキシル基を有するモノマーのうち、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸及びメサコン酸よりなる群から選択される1種以上が挙げられる(但し、アクリル酸のみの場合を除く)。上記モノマーのうちエステル系モノマーを1種以上有することが好ましい。
アクリル酸のポリマー(ホモポリマー及びコポリマーを共に含む)は、塩の形態であってもよい。アクリル酸のポリマーの塩としては、以下に制限されないが、第一級、第二級または第三級のアミンが挙げられる。以下に限定されるものではないが、例えば、トリエチルアミン、トリエタノールアミンやグリシンが挙げられる。中和度は、他の併用薬剤(シランカップリング剤など)との混合溶液の安定性向上や、アミン臭低減の観点から、20〜90%とすることが好ましく、40〜60%とすることがより好ましい。
塩を形態であるアクリル酸のポリマーの重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、3,000〜50,000の範囲であることが好ましい。ガラス繊維や炭素繊維の集束性向上の観点から、3,000以上が好ましく、樹脂組成物とした際の機械的特性向上の観点から、50,000以下が好ましい。
集束剤を含むガラス繊維や炭素繊維は、上記の集束剤を、公知のガラス繊維や炭素繊維の製造工程において、ローラー型アプリケーターなどの公知の方法を用いてガラス繊維や炭素繊維に付与し、その後、乾燥処理を施し、連続的に反応させることにより得られる。
ガラス繊維、炭素繊維は、繊維ストランドをロービングとしてそのまま使用してもよく、さらに切断工程を得て、チョップドストランドとして使用してもよい。
集束剤は、ガラス繊維又は炭素繊維100質量%に対し、固形分率として0.2〜3質量%相当を付与(添加)することが好ましく、より好ましくは0.3〜2質量%付与(添加)する。ガラス繊維や炭素繊維の集束を維持する観点から、集束剤の添加量が、ガラス繊維または炭素繊維100質量%に対し、固形分率として0.2質量%以上であることが好ましい。一方、ポリアミド樹脂組成物の熱安定性向上の観点から、3質量%以下であることが好ましい。また、ストランドの乾燥処理は、切断工程後に行ってもよく、またはストランドの乾燥処理後に切断工程を実施してもよい。
本実施形態のポリアミド樹脂組成物における(D)補強剤の含有量は、機械的強度、剛性、耐衝撃性の観点から、(A)ポリアミド樹脂100質量部に対して、0〜180質量部であり、好ましくは10〜150質量部であり、より好ましくは10〜100質量部である。
(その他の成分)
本実施形態のポリアミド樹脂組成物は、上述した(A)〜(D)成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じてさらに他の成分を含有することができる。
その他の成分としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ヒンダードフェノール化合物以外のリン系熱安定剤やアミン系熱安定剤、紫外線吸収剤、光劣化防止剤、可塑剤、滑剤、離型剤、核剤、難燃剤、着色剤、染色剤や顔料、他の熱可塑性樹脂が挙げられる。
ここで、当該その他の成分は、それぞれ性質が大きく異なるため、各成分について所望の特性に応じて含有率を選択することができる。
前記リン系熱安定剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物、トリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、トリスイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジフェニル(トリデシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、4,4'−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−テトラ−トリデシル)ジホスファイト、テトラ(C12〜C15混合アルキル)−4,4'−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、4,4'−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェニル)−ジ(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ビフェニル)ホスファイト、テトラ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタンジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジホスファイト、テトラ(C1〜C15混合アルキル)−4,4'−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、4,4'−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェニル)−ジ(ノニルフェニル)ホスファイト、9,10−ジ−ヒドロ−9−オキサ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ホスファイト、水素化−4,4'−イソプロピリデンジフェニルポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)−ビス(4,4'−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル))−1,6−ヘキサノールジホスファイト、ヘキサトリデシル−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ジホスファイト、トリス(4、4'−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェニル))ホスファイト、トリス(1,3−ステアロイルオキシイソプロピル)ホスファイト、2、2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、2,2−メチレンビス(3−メチル−4,6−ジ−t−ブチルフェニル)2−エチルヘキシルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスファイト、及びテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4'−ビフェニレンジホスファイトが挙げられる。
アミン系熱安定剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルアセトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(エチルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(シクロヘキシルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−カーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−オキサレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−マロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−テレフタレート、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−エタン、α,α'−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−キシレン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルトリレン−2,4−ジカルバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,4−トリカルボキシレート、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}ブチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、及び1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β',β'−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物が挙げられる。
〔ポリアミド樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態のポリアミド樹脂組成物の製造方法は、以下に限定されるものではないが、例えば、単軸又は多軸の押出機によって(A)ポリアミド樹脂を溶融させた状態で、前記(B)ヒンダードフェノール化合物、(C)熱安定剤マスターバッチ、及び必要に応じて(D)補強剤を混練する方法を用いることができる。
(D)補強剤を用いる場合、上流側供給口と下流側供給口とを備えた二軸押出機を使用し、上流側供給口から(A)ポリアミド樹脂、(B)ヒンダードフェノール化合物、(C)熱安定剤マスターバッチを供給して溶融させた後、下流側供給口から(D)補強剤を供給して溶融混練する方法を用いることが好ましい。
〔成形品〕
上述のようにして製造されたポリアミド樹脂組成物は、例えば、射出成形法により成形することにより所望の成形品が得られる。当該成形品は、各種部品として利用できる。
本実施形態の成形品は、上述したポリアミド樹脂組成物を用いて得られるため、機械的強度、耐衝撃性及び耐熱エージング性に優れ、かつ高温環境下での電気絶縁性に優れた各種部品に好適に使用できる。
これらの各種部品は、例えば、自動車エンジンルーム内の電装部品や機構部品として好適に使用できる。
以下、本実施形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
〔評価方法〕
以下、実施例及び比較例で行った評価の方法について説明する。
(引張強度)
実施例及び比較例で得られたポリアミド樹脂組成物のペレットを、射出成形機(PS−40E:日精樹脂株式会社製)を用いて、ISO 3167に準拠し、多目的試験片A型の成形片を成形した。
その際、射出及び保圧の時間25秒、冷却時間15秒、金型温度80℃(上記のポリアミド樹脂のうち、PA9Tは120℃)、溶融樹脂温度290℃(上記のポリアミド樹脂のうち、PA9Tは320℃)に設定した。
得られた多目的試験片(A型)を用いて、ISO 527に準拠しつつ引張速度5mm/分で引張試験を行い、引張強度を測定した。
(耐熱エージング性(熱老化後の引張強度))
上記(引張強度)で成形した多目的試験片(A型)を、熱風循環式オーブン内で、150℃で所定時間(500時間、1,000時間)熱老化させた。
23℃で24時間以上冷却した後、ISO 527に準拠しつつ引張速度5mm/分で引張試験を行い、上記の各引張強度を測定し、前記(引張強度)で測定した熱老化前の引張強度に対する強度保持率を算出した。
(曲げ強度)
上記(引張強度)で成形した多目的試験片(A型)を切削して、長さ80mm×巾10mm×厚さ4mmの試験片を製造した。当該試験片を用いて、ISO 178に準拠し、曲げ強度を測定した。
(シャルピー衝撃強度)
上記(引張強度)で成形した多目的試験片(A型)を切削して、長さ80mm×巾10mm×厚さ4mmの試験片を製造した。当該試験片を用いて、ISO 179に準拠し、ノッチ付きシャルピー衝撃強度を測定した。
(電気絶縁性)
上記(引張強度)で成形した多目的試験片(A型)を切削して、長さ10mm×巾10mm×厚さ10mmの試験片を製造した。当該試験片を用いて、ASTM D−257に準拠し、120℃雰囲気温度条件下での金属電極近傍への金属析出有無を光学顕微鏡にて観察した。
〔原料の調製〕
(1.ポリアミド樹脂)
<1−1> ポリアミド66(以下、「PA66」と略記する)として、商品名:レオナ(登録商標)1300(旭化成ケミカルズ社製、融点:260℃)を用いた。
<1−2> ポリアミド6(以下、「PA6」と略記する)として、商品名:UBEナイロン1013B(宇部興産社製、融点:220℃)を用いた。
<1−3> ポリアミド66/6I(以下、「PA66/6I」と略記する)として、商品名:レオナ(登録商標)8200(旭化成ケミカルズ社製、融点:245℃)を用いた。
<1−4> ポリアミド9T(以下、「PA9T」と略記する)を、特開平7−228689号公報の実施例1に記載された方法に従って製造した。その際、テレフタル酸単位をジカルボン酸単位とした。一方、1,9−ノナンジアミン単位及び2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位[1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位=80:20(モル比)]をジアミン単位とした。
上記の原料を、20リットル容のオートクレーブに入れ、窒素で置換した。
100℃で30分間撹拌し、2時間かけて内部温度を210℃まで昇温した。その際、オートクレーブは22kg/cm2まで昇圧した。そのまま1時間反応を続けた後230℃に昇温し、その後2時間、230℃で恒温し、水蒸気を徐々に抜いて圧力を22kg/cm2に保ちながら反応させた。
次に、30分かけて圧力を10kg/cm2まで下げ、さらに1時間反応させて、プレポリマーを得た。これを、100℃、減圧下で12時間乾燥し、2mm以下の大きさまで粉砕した。これを230℃、0.1mmHg下にて、10時間固相重合し、PA9Tを得た。ここで、JIS K6933に準じて測定した25℃における硫酸溶液粘度ηrは2.61であった。融点は304℃であった。
<1−5> ポリアミド612(以下、「PA612」と略記する)として、商品名:レオナ(登録商標)4100(旭化成ケミカルズ社製、融点220℃)を用いた。
なお、本実施例において、ポリアミド樹脂の融点は、JIS−K7121に準じて測定した。測定装置は、PERKIN−ELMER社製Diamond−DSCを用いた。
(2.ヒンダードフェノール化合物)
<2−1> N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−ヒドロキシヒドロ−シンナムアミド)(以下、「ヒンダードフェノール−1」と略記する)として、商品名:Irganox(登録商標)1098(CIBA Specialty Chemicals社製)を使用した。
<2−2> テトラキス(メチレン(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナメート))メタン(以下、「ヒンダードフェノール−2」と略記する)として、商品名:Irganox(登録商標)1010(CIBA Specialty Chemicals社製)を使用した。
(3.熱安定剤マスターバッチ)
<3−1> 前記<1−1>の上述のPA66をベース樹脂として、<2−1>に記載のヒンダードフェノール−1を10質量%配合した熱安定剤マスターバッチ(以下、「MB−1」と略記する)を用いた。
MB−1は、二軸押出機[ZSK−26MC:コペリオン社製(ドイツ)]を用いて、シリンダー設定温度を290℃、スクリュー回転数250rpm、及び吐出量25kg/時間に設定し、上流側供給口より上記PA66、ヒンダードフェノール−1をそれぞれ供給し、溶融混練し、ペレットを製造した。当該得られたペレットに乾燥処理を施し、水分を800ppm以下に調整した。
<3−2> 前記<1−2>.の上述のPA6をベース樹脂とした。その他の条件は、前記<3−1>と同様にして熱安定剤マスターバッチ(以下、「MB−2」と略記する)を用いた。
<3−3> 前記<2−2>の上述のヒンダートフェノール−2を用いた。その他の条件は、前記<3−2>と同様にして製造した熱安定剤マスターバッチ(以下、「MB−3」と略記する)を用いた。
(4.補強剤)
<4−1> 円形断面を有するガラス繊維(以下、「GF」と略記する)として、商品名:ECS 03T−275H(日本電気硝子社製)を用いた。
<4−2> タルクとして、商品名:PKP−80(富士タルク工業社製)を用いた。
(5.その他の成分)
<5−1> 滑剤として、モンタン酸カルシウム(以下、「滑剤」と略記する)、商品名:CaV102(クラリアント社製)を用いた。
〔実施例1〜8〕、〔比較例1〜5〕
押出機の上流側から1番目のバレルに上流側供給口を有し、かつ9番目のバレルに下流側供給口を有する、L/D(押出機のシリンダーの長さ/押出機のシリンダー径)=48(バレル数:12)の二軸押出機[ZSK−26MC:コペリオン社製(ドイツ)]を用いた。
前記二軸押出機において、上流側供給口からダイまでを290℃、スクリュー回転数250rpm、及び吐出量25kg/時間に設定した。
かかる条件下で、ポリアミド樹脂組成物の構成原料について、下記表1に記載された割合となるように、上流側供給口より上記のポリアミド樹脂(PA)、ヒンダードフェノール化合物、熱安定剤マスターバッチをそれぞれ供給し、下流側供給口より補強剤(GF、タルク)を供給した。
そして、これらを溶融混練し、ポリアミド樹脂組成物のペレットを製造した。
得られたポリアミド樹脂組成物のペレットの水分が800ppm以下になるように乾燥した。
乾燥したポリアミド樹脂組成物のペレットを用いて、上述した方法により、引張強度、熱老化後(500時間後及び1,000時間後)の引張強度保持率(耐熱エージング性)、曲げ強度、シャルピー衝撃試験、及び電気絶縁性を評価した。
これらの評価結果を下記表1に示す。
Figure 2015034222
表1に示すように、実施例1〜8によれば、機械的強度、耐衝撃性及び耐熱エージング性に優れ、かつ高温環境下での電気絶縁性に優れたポリアミド樹脂組成物が得られた。
比較例1は、ヒンダードフェノール化合物(B)が少ないため、十分な耐熱エージングが発現しなかった。
比較例2は、熱安定剤マスターバッチ(C)を用いなかったため、耐熱エージング効果が低くなった。
比較例3は、熱安定剤マスターバッチ(C)のポリアミド樹脂としてマトリックス樹脂と同じ樹脂を用いたため、比較例2の熱安定剤マスターバッチが存在しない場合と同様に耐熱エージング効果が低くなった。
比較例4は、ヒンダードフェノール化合物(B)が多すぎ、比較例5は、熱安定剤マスターバッチ(C)が多すぎるため、120℃環境下で金属電極部に金属が析出して電気絶縁性が発現しないだけでなく、脆くなったり柔らかくなったりして機械強度が低くなり、また耐熱エージング後の強度も悪化する傾向があった。
以上のことから、本実施形態を採ることにより、ポリアミド樹脂組成物の機械的強度、耐衝撃性、耐熱エージング性、並びに高温環境下での電気絶縁性を向上させることができ、自動車部品や各種電子部品などに好適に適用可能な熱安定性のポリアミド樹脂組成物が得られた。
本発明の樹脂組成物は、自動車エンジンルーム内の電装部品など、高温に晒される過酷な環境下に設置されて、かつ品質安全性が要求される電装系成形品として、産業上の利用可能性を有する。

Claims (6)

  1. (A)ポリアミド樹脂:100質量部と、
    (B)ヒンダードフェノール化合物:3〜10質量部と、
    (C)前記(A)とは異なるポリアミド樹脂と、前記(B)ヒンダードフェノール化合物とを含む熱安定剤マスターバッチ:1〜10質量部と、
    (D)補強剤:0〜180質量部と、
    を、含有するポリアミド樹脂組成物。
  2. 前記(A)ポリアミド樹脂が、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド1010、ポリアミド6T、ポリアミド6I、ポリアミド9T、及びポリアミド10T、並びにこれらの少なくとも1種を構成成分として含む共重合ポリアミドからなる群より選ばれる少なくともいずれかである、請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. 前記(B)ヒンダードフェノール化合物が、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−ヒドロキシヒドロ−シンナムアミド)である、請求項1又は2に記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. 前記(C)の熱安定剤マスターバッチにおける、(B)ヒンダードフェノールの含有量が3〜10質量%である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  5. 前記(D)補強剤を含み、
    当該(D)補強剤が、円形又は非円形断面を有するガラス繊維、フレーク状ガラス、タルク(珪酸マグネシウム)、マイカ、カオリン、ワラストナイト、酸化チタン、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、フッ化カルシウムからなる群より選択される1種以上である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載のポリアミド樹脂組成物を含む成形品。
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