JP5491092B2 - ポリアミド樹脂組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリアミド樹脂組成物に関する。
ポリアミド樹脂は、優れた機械的特性(機械的強度、剛性や耐衝撃性など)、靭性、耐熱性、耐薬品性、耐薬品性を有することから、衣料、産業資材、自動車、電気・電子その他の工業といった様々な産業分野で利用されている。中でもポリアミド樹脂は、他の樹脂に比して耐熱エージング性に優れている。そのため、自動車エンジンルーム内などの非常に大きな熱を帯びる箇所の部品用素材として用いられている。
自動車エンジンルームについていえば、最近では、自動車エンジンルームの部品の高密度化、及びエンジン出力の増加に伴い、エンジンルーム内の環境温度がますます高くなっている。そのため、これまでに存在するレベルを有意に超えるような高い(長期の)耐熱エージング性がポリアミド樹脂に求められている。
ポリアミド樹脂の耐熱エージング性を向上させる技術として、銅化合物(銅の酸化物又は塩)を添加する技術が従来より知られている。
同様に、耐熱エージング性を向上させる技術として、融点の異なる2種類のポリアミドに銅化合物及び酸化鉄を配合する技術(特許文献1)、ポリアミドに微粒元素鉄を配合する技術(特許文献2)、ポリアミドに微細分散化金属粉末を配合する技術(特許文献3)が開示されている。
一方、ポリアミド樹脂に銅化合物及び亜鉛化合物を配合する技術として、高分子感温体に関する技術(特許文献4)、難燃性ポリアミド樹脂に関する技術(特許文献5)が開示されている。
特表2008−527129号公報 特表2006−528260号公報 特表2008−527127号公報 特開平8−313366号公報 特開平6−192568号公報
しかしながら、得られるポリアミド樹脂組成物を自動車エンジンルーム用の部品などの素材として使用するに当たり、従来よりもさらに優れた機械的強度、耐衝撃性及び(長期の)耐熱エージング性を有するポリアミド樹脂組成物が求められている。
そこで、本発明の課題は、機械的強度、耐衝撃性及び耐熱エージング性に優れた、熱安定性の良好なポリアミド樹脂組成物を提供することである。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討した。その結果、所定の熱安定剤、及び特定の含有量の亜鉛化合物を含むポリアミド樹脂組成物を用いることによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明に係るポリアミド樹脂組成物は、(A)ポリアミド樹脂と、(B)銅塩と、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン化物との混合物と、(C)亜鉛化合物とを含み、但し、ポリフェニレンエーテルは含まないポリアミド樹脂組成物であって、前記(C)の成分に由来の亜鉛元素含有量が、該組成物100質量%に対して50〜5,000質量ppmである。
また、本発明の一態様においては、前記(C)の成分は、酸化亜鉛、硫化亜鉛、ホウ酸亜鉛及び水酸化亜鉛からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
また、本発明の他の態様においては、前記(C)の成分の平均粒子径が0.01〜1.5μmであることが好ましい。
また、本発明のさらに他の態様においては、前記(A)の成分は、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド46、ポリアミド6T、ポリアミド6I及びポリアミド9T、並びにこれらを構成成分として含む共重合ポリアミドからなる群より選択される1種以上であることが好ましい。
また、本発明のさらに他の態様においては、前記(B)の成分に由来の銅元素含有量が、ポリアミド樹脂組成物100質量%に対して10〜500質量ppmであることが好ましい。
また、本発明のさらに他の態様においては、前記(B)の成分に由来の銅元素に対する前記(C)の成分に由来の亜鉛元素の質量比が、1〜40であることが好ましい。
本発明によれば、機械的強度、耐衝撃性及び耐熱エージング性に優れた、熱安定性の良好なポリアミド樹脂組成物を得ることができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施の形態」という)について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施の形態は、(A)ポリアミド樹脂と、(B)フェノール系熱安定剤、リン系熱安定剤、アミン系熱安定剤、周期律表の第Ib族、第IIIa族、第IIIb族、第IVa族及び第IVb族の元素の金属塩、並びにアルカリ金属及びアルカリ土類金属のハロゲン化物よりなる群から選択される1種以上の熱安定剤と、(C)亜鉛化合物とを含むポリアミド樹脂組成物であって、前記(C)の成分に由来の亜鉛元素含有量が、該組成物100質量%に対して50〜5,000質量ppmであるポリアミド樹脂組成物に係る。
以下、前記ポリアミド樹脂組成物の各構成要素について詳細に説明する。
[(A)ポリアミド樹脂]
ポリアミドとは、主鎖に−CO−NH−(アミド)結合を有する高分子化合物を意味する。以下に制限されないが、例えば、ラクタムの開環重合で得られるポリアミド、ω−アミノカルボン酸の自己縮合で得られるポリアミド、ジアミン及びジカルボン酸を縮合することで得られるポリアミド、並びにこれらの共重合物が挙げられる。ポリアミドは、1種単独で用いてもよく、2種以上の混合物として用いてもよい。以下、本実施の形態における(A)ポリアミド樹脂の原料について説明する。
ポリアミドの構成成分である単量体としてのラクタムは、以下に制限されないが、例えば、ピロリドン、カプロラクタム、ウンデカラクタム及びドデカラクタムが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。一方、ω−アミノカルボン酸として、以下に制限されないが、例えば、上記ラクタムの水による開環化合物であるω−アミノ脂肪酸が挙げられる。なお、ラクタム又はω−アミノカルボン酸として、それぞれ2種以上の単量体を併用して縮合させてもよい。
続いて、ジアミン及びジカルボン酸を縮合することで得られるポリアミドについて説明する。まず、上記のジアミン(単量体)としては、以下に制限されないが、例えば、ヘキサメチレンジアミン及びペンタメチレンジアミン等の直鎖状の脂肪族ジアミン;2−メチルペンタンジアミン及び2−エチルヘキサメチレンジアミン等の分岐型の脂肪族ジアミン;p−フェニレンジアミン及びm−フェニレンジアミン等の芳香族ジアミン;シクロヘキサンジアミン、シクロペンタンジアミン及びシクロオクタンジアミン等の脂環式ジアミンが挙げられる。他方、上記のジカルボン酸(単量体)としては、以下に制限されないが、例えば、アジピン酸、ピメリン酸及びセバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸;フタル酸及びイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸が挙げられる。上記した単量体としてのジアミン及びジカルボン酸は、それぞれ1種単独又は2種以上の併用により縮合させてもよい。
ポリアミドとしては、以下に制限されないが、例えば、ポリアミド4(ポリα−ピロリドン)、ポリアミド6(ポリカプロアミド)、ポリアミド11(ポリウンデカンアミド)、ポリアミド12(ポリドデカンアミド)、ポリアミド46(ポリテトラメチレンアジパミド)、ポリアミド66(ポリヘキサメチレンアジパミド)、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド6T(ポリヘキサメチレンテレフタルアミド)、ポリアミド9T(ポリノナンメチレンテレフタルアミド)及びポリアミド6I(ポリヘキサメチレンイソフタルアミド)、並びにこれらを構成成分として含む共重合ポリアミドが挙げられる。上記ポリアミドは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記で列挙したポリアミドの中でも、融点が200℃以上であるポリアミドが、耐熱性向上の観点より好ましい。かかる特性を具備する好ましいポリアミドとして、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド612、ポリアミド46、ポリアミド6T、ポリアミド6I及びポリアミド9T、並びにこれらを構成成分として含む共重合ポリアミドからなる群より選択された1種以上が挙げられる。なお、本明細書における融点は、JIS K7121に準拠した示差走査熱量測定法(DSC法)によって求められたものを指す。
また、ポリマー鎖中の炭素数/窒素数の比(C/Nの比)として、耐熱エージング性の観点から、5を超えるものが好ましい。より好ましくは5を超えて15以下であり、さらに好ましくは5を超えて12以下である。
共重合物であるポリアミドとしては、以下に制限されないが、例えば、ヘキサメチレンアジパミド及びヘキサメチレンテレフタルアミドの共重合物、ヘキサメチレンアジパミド及びヘキサメチレンイソフタルアミドの共重合物、並びにヘキサメチレンテレフタルアミド及び2−メチルペンタンジアミンテレフタルアミドからなる群より選択された1種以上の共重合物が挙げられる。
また、上記のポリアミドの末端基としては、一般にアミノ基又はカルボキシル基が存在する。本実施の形態における上記末端基の比は、アミノ基濃度/カルボキシル基濃度として、好ましくは9/1〜1/9であり、より好ましくは6/4〜1/9、さらに好ましくは5/5〜1/9である。上記した範囲内の場合、ポリアミド樹脂組成物の機械的強度を一層向上させることができる。
また、かかる末端アミノ基の濃度は、好ましくは10〜100μmol/gであり、より好ましくは15〜80μmol/gであり、さらに好ましくは30〜80μmol/gである。末端アミノ基の濃度が上記した範囲内の場合、機械的強度を一層向上させることができる。
ここで、本明細書における末端アミノ基及び末端カルボキシル基の濃度は、H−NMRにより測定される、各末端基に対応した特性シグナルの積分値によって求めることとする。
さらに、ポリアミド樹脂の末端基を別途調整してもよい。かかる調整方法としては、公知の方法を用いることができる。以下に制限されないが、例えば末端調整剤を用いる方法が挙げられる。具体例として、ポリアミド樹脂の重合時に所定の末端濃度となるように、モノアミン化合物、ジアミン化合物、モノカルボン酸化合物及びジカルボン酸化合物よりなる群から選択される1種以上を添加することができる。これらの成分の溶媒への添加時期については、末端調整剤として本来の機能を果たす限り特に制限されず、例えば、上記したポリアミド樹脂の原料を溶媒に添加する際があり得る。
上記モノアミン化合物としては、以下に制限されないが、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン及びジブチルアミン等の脂肪族モノアミン;シクロヘキシルアミン及びジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン及びナフチルアミン等の芳香族モノアミン、並びにこれらの任意の混合物などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、反応性、沸点、封止末端の安定性及び価格などの観点から、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、シクロヘキシルアミン及びアニリンからなる群より選択された1種以上が好ましい。
上記のジアミン化合物は、上記のモノアミン化合物に関する例示が適宜引用される。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記のモノカルボン酸化合物としては、以下に制限されないが、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸及びイソブチル酸などの脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸などの脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸及びフェニル酢酸などの芳香族モノカルボン酸が挙げられる。本実施の形態では、これらのカルボン酸化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記のジカルボン酸化合物としては、以下に制限されないが、例えば、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、3,3−ジエチルコハク酸、アゼライン酸、セバシン酸及びスベリン酸などの脂肪族ジカルボン酸;1,3−シクロペンタンジカルボン酸及び1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,4−フェニレンジオキシジ酢酸、1,3−フェニレンジオキシジ酢酸、ジフェン酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルホン−4,4’−ジカルボン酸及び4,4’−ビフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸から誘導される単位(ユニット)が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[(B)熱安定剤]
本実施の形態に係るポリアミド樹脂組成物は、(B)フェノール系熱安定剤、リン系熱安定剤、アミン系熱安定剤、周期律表の第Ib族、第IIIa族、第IIIb族、第IVa族及び第IVb族の元素の金属塩、並びにアルカリ金属及びアルカリ土類金属のハロゲン化物よりなる群から選択される1種以上の熱安定剤を含有する。
<フェノール系熱安定剤>
フェノール系熱安定剤としては、以下に制限されないが、例えば、ヒンダートフェノール化合物が挙げられる。前記ヒンダードフェノール化合物は、ポリアミド等の樹脂や繊維に優れた耐熱性及び耐光性を付与する性質を有する。
ヒンダードフェノール化合物としては、以下に制限されないが、例えば、N,N’−へキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピニロキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサピロ[5,5]ウンデカン、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、及び1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、耐熱エージング性向上の観点から、好ましくはN,N’−へキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド)]である。
フェノール系熱安定剤を用いる場合、ポリアミド樹脂組成物中のフェノール系熱安定剤の含有量は、ポリアミド樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.01〜1質量部であり、より好ましくは0.1〜1質量部である。上記の範囲内の場合、耐熱エージング性を一層向上させ、さらにガス発生量を低減させることができる。
<リン系熱安定剤>
リン系熱安定剤としては、以下に制限されないが、例えば、ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物、トリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリデシルホスファイト、オクチルジフェニルホスファイト、トリスイソデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジフェニル(トリデシル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)ホスファイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−テトラ−トリデシル)ジホスファイト、テトラ(C12〜C15混合アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、4,4’−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェニル)・ジ(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(ビフェニル)ホスファイト、テトラ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタンジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジホスファイト、テトラ(C1〜C15混合アルキル)−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、トリス(モノ、ジ混合ノニルフェニル)ホスファイト、4,4’−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェニル)・ジ(ノニルフェニル)ホスファイト、9,10−ジ−ヒドロ−9−オキサ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ホスファイト、水素化−4,4’−イソプロピリデンジフェニルポリホスファイト、ビス(オクチルフェニル)・ビス(4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル))・1,6−ヘキサノールジホスファイト、ヘキサトリデシル−1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ジホスファイト、トリス(4、4’−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェニル))ホスファイト、トリス(1,3−ステアロイルオキシイソプロピル)ホスファイト、2、2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、2,2−メチレンビス(3−メチル−4,6−ジ−t−ブチルフェニル)2−エチルヘキシルホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスファイト、及びテトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスファイトが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記で列挙したものの中でも、耐熱エージング性の一層の向上及びガス発生量の低減という観点から、ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物及び/又はトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトが好ましい。前記ペンタエリスリトール型ホスファイト化合物としては、以下に制限されないが、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・フェニル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・メチル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・2−エチルヘキシル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・イソデシル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・ラウリル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・イソトリデシル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・ステアリル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・シクロヘキシル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・ベンジル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・エチルセロソルブ・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・ブチルカルビトール・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・オクチルフェニル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・ノニルフェニル・ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・2,6−ジ−t−ブチルフェニル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・2,4−ジ−t−ブチルフェニル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・2,4−ジ−t−オクチルフェニル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル・2−シクロヘキシルフェニル・ペンタエリスリトールジホスファイト、2,6−ジ−t−アミル−4−メチルフェニル・フェニル・ペンタエリストリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−アミル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、及びビス(2,6−ジ−t−オクチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記で列挙したペンタエリスリトール型ホスファイト化合物の中でも、ガス発生量を低減させる観点から、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−アミル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、及びビス(2、6−ジ−t−オクチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトよりなる群から選択される1種以上が好ましく、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトがより好ましい。
リン系熱安定剤を用いる場合、ポリアミド樹脂組成物中のリン系熱安定剤の含有量は、ポリアミド樹脂組成物100質量部に対して、0.01〜1質量部であり、より好ましくは0.1〜1質量部である。上記の範囲内の場合、耐熱エージング性を一層向上させ、さらにガス発生量を低減させることができる。
<アミン系熱安定剤>
アミン系熱安定剤としては、以下に制限されないが、例えば、4−アセトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルアセトキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ステアリルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シクロヘキシルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ベンジルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−フェノキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(エチルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(シクロヘキシルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(フェニルカルバモイルオキシ)−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−カーボネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−オキサレート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−マロネート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−アジペート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−テレフタレート、1,2−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−エタン、α,α’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルオキシ)−p−キシレン、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルトリレン−2,4−ジカルバメート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ヘキサメチレン−1,6−ジカルバメート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,5−トリカルボキシレート、トリス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−ベンゼン−1,3,4−トリカルボキシレート、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}ブチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、及び1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
アミン系熱安定剤を用いる場合、ポリアミド樹脂組成物中のアミン系熱安定剤の含有量は、ポリアミド樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.01〜1質量部であり、より好ましくは0.1〜1質量部である。上記の範囲内の場合、耐熱エージング性を一層向上させることができ、さらにガス発生量を低減させることができる。
<周期律表の第Ib族、第IIIa族、第IIIb族、第IVa族及び第IVb族の元素の金属塩>
周期律表の第Ib族、第IIIa族、第IIIb族、第IVa族及び第IVb族の元素の金属塩としては、これらの族に属する金属の塩であれば何ら制限されることはない。耐熱エージング性を一層向上させる観点から、好ましくは銅塩である。かかる銅塩としては、以下に制限されないが、例えば、ハロゲン化銅(ヨウ化銅、臭化第一銅、臭化第二銅、塩化第一銅など)、酢酸銅、プロピオン酸銅、安息香酸銅、アジピン酸銅、テレフタル酸銅、イソフタル酸銅、サリチル酸銅、ニコチン酸銅及びステアリン酸銅、並びにエチレンジアミン及びエチレンジアミン四酢酸などのキレート剤に銅の配位した銅錯塩が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記で列挙した銅塩の中でも、好ましくはヨウ化銅、臭化第一銅、臭化第二銅、塩化第一銅及び酢酸銅よりなる群から選択される1種以上であり、より好ましくはヨウ化銅及び/又は酢酸銅である。上記の(より)好ましい銅塩を用いた場合、耐熱エージング性に優れ、且つ押出時のスクリューやシリンダー部の金属腐食(以下、単に「金属腐食」ともいう)を効果的に抑制できるポリアミド樹脂組成物が得られる。
銅塩を用いる場合、ポリアミド樹脂組成物中の銅塩の含有量は、ポリアミド樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.001〜0.2質量部であり、より好ましくは0.01〜0.1質量部である。上記範囲内の場合、耐熱エージング性を一層向上させるとともに、銅の析出や金属腐食を効果的に抑制することができる。
また、前記(B)の成分に由来の銅元素の含有量は、耐熱エージング性を向上させる観点から、ポリアミド樹脂組成物100質量%に対し、好ましくは10〜500質量ppmであり、より好ましくは30〜500質量ppmであり、さらに好ましくは50〜300質量ppmである。
<アルカリ金属及びアルカリ土類金属のハロゲン化物>
アルカリ金属及びアルカリ土類金属のハロゲン化物としては、以下に制限されないが、例えば、ヨウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、ヨウ化ナトリウム及び塩化ナトリウム、並びにこれらの混合物が挙げられる。中でも、耐熱エージング性の向上及び金属腐食の抑制という観点から、好ましくはヨウ化カリウム及び/又は臭化カリウムであり、より好ましくはヨウ化カリウムである。
アルカリ金属及びアルカリ土類金属のハロゲン化物を用いる場合、ポリアミド樹脂組成物中のアルカリ金属及びアルカリ土類金属のハロゲン化物の含有量は、ポリアミド樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.05〜5質量部であり、より好ましくは0.1〜2質量部であり、さらに好ましくは0.1〜0.5質量部である。上記の範囲内の場合、耐熱エージング性が一層向上するとともに、銅の析出や金属腐食を効果的に抑制することができる。
上記で説明してきた(B)熱安定剤の成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、耐熱エージング性を一層向上させる観点から、銅塩と、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のハロゲン化物との混合物が好適である。
銅塩とアルカリ金属及びアルカリ土類金属のハロゲン化物との割合は、ハロゲンと銅とのモル比(ハロゲン/銅)が2/1〜40/1となるように、ポリアミド樹脂組成物に含有させることが好ましく、より好ましくは5/1〜30/1である。上記した範囲内の場合、耐熱エージング性を一層向上させることができる。
上記のハロゲン/銅が2/1以上である場合、銅の析出及び金属腐食を効果的に抑制することができるため、好適である。一方、上記のハロゲン/銅が40/1以下である場合、靭性などの機械的な物性を殆ど損なうことなく、成形機のスクリュー等の腐食を防止できるため、好適である。
<(C)亜鉛化合物>
本実施の形態の亜鉛化合物とは、亜鉛元素を含む化合物であり、無機塩であっても有機塩であってもよい。亜鉛化合物の例としては、以下に制限されないが、例えば、酸化亜鉛、硫化亜鉛、ホウ酸亜鉛、水酸化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛及びモンタン酸亜鉛が挙げられる。上記の化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、耐熱性を向上させるとともに、銅の析出及び金属腐食を効果的に抑制する観点から、酸化亜鉛、硫化亜鉛、ホウ酸亜鉛及び水酸化亜鉛からなる群より選択される1種以上であることが好ましい。より好ましくは酸化亜鉛及び/又は硫化亜鉛である。
前記(C)の成分に由来の亜鉛化合物の含有量は、耐熱エージング性向上の観点から、ポリアミド樹脂組成物100質量%に対して、50〜5,000質量ppmであり、好ましくは100〜2,000質量ppmである。
亜鉛化合物(上記(C)の成分)の比表面積(BET法による比表面積)としては、以下に制限されないが、ポリアミド樹脂組成物の耐熱エージング性を向上させる観点から、5m/g以上であることが好ましい。より好ましくは15〜100m/gである。
亜鉛化合物の平均粒子径としては、以下に制限されないが、ポリアミド樹脂組成物の機械的強度、耐熱エージング性及び耐衝撃性を向上させる観点から、0.01〜1.5μmであることが好ましい。より好ましくは0.01〜0.5μmであり、耐衝撃性を一層向上させる観点から、さらに好ましくは0.01〜0.1μmである。ここで、本明細書における平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)により撮影された粒子の中から任意に選択した、粒子100個の直径の測定(画像解析)により算出した平均値である。
本実施の形態において、前記(B)の成分に由来の銅元素に対する前記(C)の成分に由来の亜鉛元素の含有比(質量比)(Zn/Cu)としては、以下に制限されないが、ポリアミド樹脂組成物の機械的強度及び耐熱エージング性を向上させる観点から、好ましくは1〜40であり、より好ましくは5〜40であり、さらに好ましくは5〜30である。
[ポリアミド樹脂組成物に含まれ得る他の成分]
本実施の形態においては、無機充填材をポリアミド樹脂組成物に含有させてもよい。かかる無機充填材としては、以下に制限されないが、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ケイ酸カルシウム繊維、チタン酸カリウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、ガラスフレーク、タルク、カオリン、マイカ、ハイドロタルサイト、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、酸化亜鉛、リン酸一水素カルシウム、ウォラストナイト、シリカ、ゼオライト、アルミナ、ベーマイト、水酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミノケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウム、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、ファーネスブラック、カーボンナノチューブ、グラファイト、黄銅、銅、銀、アルミニウム、ニッケル、鉄、フッ化カルシウム、雲母、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母及びアパタイトが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、強度及び剛性を増大させる観点から、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスフレーク、タルク、カオリン、マイカ、炭酸カルシウム、リン酸一水素カルシウム、ウォラストナイト、シリカ、カーボンナノチューブ、グラファイト、フッ化カルシウム、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母及びアパタイトよりなる群から選択される1種以上が好ましい。より好ましくは、ガラス繊維、炭素繊維、ウォラストナイト、タルク、マイカ、カオリン及び窒化珪素よりなる群から選択される1種以上である。
上記のガラス繊維や炭素繊維のうち、優れた機械的特性をポリアミド樹脂組成物に付与できる観点から、当該樹脂組成物において、数平均繊維径が3〜30μmであり、重量平均繊維長が100〜750μmであり、及び重量平均繊維長と数平均繊維径とのアスペクト比(重量平均繊維長を数平均繊維径で除した値)が10〜100であるものがさらに好ましい。
また、上記のウォラストナイトのうち、優れた機械的特性をポリアミド樹脂組成物に付与できるという観点から、当該樹脂組成物において、数平均繊維径が3〜30μmであり、重量平均繊維長が10〜500μmであり、及びアスペクト比が3〜100であるものがさらに好ましい。
また、上記のタルク、マイカ、カオリン及び窒化珪素のうち、優れた機械的特性をポリアミド樹脂組成物に付与できる観点から、数平均繊維径が0.1〜3μmであるものがさらに好ましい。
ここで、本明細書における数平均繊維径及び重量平均繊維長は、以下の方法により測定することとする。ポリアミド樹脂組成物を電気炉に入れて、含まれる有機物を焼却処理し、残渣分から、例えば100本以上の無機充填材を任意に選択し、SEMで観察して、これらの無機充填材の繊維径を測定することにより数平均繊維径を測定する。併せて、倍率1000倍でのSEM写真を用いて繊維長を計測することにより重量平均繊維長を求める。
上記の無機充填材を、シランカップリング剤などにより表面処理してもよい。前記シランカップリング剤としては、以下に制限されないが、例えば、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン及びN−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノシラン類;γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン及びγ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプトシラン類;エポキシシラン類;ビニルシラン類が挙げられる。中でも、上記の列挙成分から選択される1種以上であることが好ましく、アミノシラン類がより好ましい。
また、上記のガラス繊維及び炭素繊維については、さらに集束剤として、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体、エポキシ化合物、ポリカルボジイミド化合物、ポリウレタン樹脂、アクリル酸のホモポリマー、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマー、並びにこれらの第1級、第2級及び第3級アミンとの塩、並びにカルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを含む共重合体などを含んでもよい。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
中でも、ポリアミド樹脂組成物の機械的強度を向上させる観点から、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体、エポキシ化合物、ポリカルボジイミド化合物及びポリウレタン樹脂よりなる群から選択される1種以上が好ましい。また、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体、ポリカルボジイミド化合物、及びポリウレタン樹脂よりなる群から選択される1種以上がより好ましい。
上記したカルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体のうち、前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体としては、以下に制限されないが、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸及び無水シトラコン酸が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも無水マレイン酸が好ましい。
一方、前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とは、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体とは異なる不飽和ビニル単量体をいう。前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体としては、以下に制限されないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、2,3−ジクロロブタジエン、1,3−ペンタジエン、シクロオクタジエン、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレート及びエチルメタクリレートが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でもスチレン及び/又はブタジエンが好ましい。
これらの組み合わせの中でも、無水マレイン酸とブタジエンとの共重合体、無水マレイン酸とエチレンとの共重合体、及び無水マレイン酸とスチレンとの共重合体よりなる群から選択される1種以上がより好ましい。
また、カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体と前記カルボン酸無水物含有不飽和ビニル単量体を除く不飽和ビニル単量体とを構成単位として含む共重合体は、ポリアミド樹脂組成物の流動性を向上させる観点から、重量平均分子量が2,000以上であることが好ましい。より好ましくは2,000〜1,000,000であり、さらに好ましくは2,000〜1,000,000である。なお、本明細書における重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した値である。
エポキシ化合物としては、以下に制限されないが、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブテンオキサイド、ペンテンオキサイド、ヘキセンオキサイド、ヘプテンオキサイド、オクテンオキサイド、ノネンオキサイド、デセンオキサイド、ウンデセンオキサイド、ドデセンオキサイド、ペンタデセンオキサイド及びエイコセンオキサイド等の脂肪族エポキシ化合物;グリシド−ル、エポキシペンタノ−ル、1−クロロ−3,4−エポキシブタン、1−クロロ−2−メチル−3,4−エポキシブタン、1,4−ジクロロ−2,3−エポキシブタン、シクロペンテンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、シクロヘプテンオキサイド、シクロオクテンオキサイド、メチルシクロヘキセンオキサイド、ビニルシクロヘキセンオキサイド及びエポキシ化シクロヘキセンメチルアルコール等の脂環族エポキシ化合物;ピネンオキサイド等のテルペン系エポキシ化合物;スチレンオキサイド、p−クロロスチレンオキサイド及びm−クロロスチレンオキサイド等の芳香族エポキシ化合物;エポキシ化大豆油;エポキシ化亜麻仁油が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリカルボジイミド化合物は、一以上のカルボジイミド基(−N=C=N−)を含有する化合物を縮合することにより得られる。
ポリカルボジイミドの縮合度は1〜20であることが好ましく、1〜10であることがより好ましい。縮合度が1〜20の範囲内にある場合、良好な水溶液又は水分散液が得られる。さらに、縮合度が1〜10の範囲内にある場合、一層良好な水溶液又は水分散液が得られる。
また、部分的にポリオールセグメントを持つポリカルボジイミド化合物であることが好ましい。ポリオールセグメントを持たせることにより、ポリカルボジイミド化合物が水溶化し易くなり、ガラス繊維及び炭素繊維の集束剤として一層好適に使用できるからである。
これらカルボジイミド化合物は、ジイソシアネート化合物を3−メチル−1−フェニル−3−ホスホレン−1−オキシド等の公知のカルボジイミド化触媒の存在下で脱炭酸反応させることによって得られる。ジイソシアネート化合物としては、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート及び脂環式ジイソシアネート、並びにそれらの混合物を用いることが可能である。以下に制限されないが、例えば、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレンジイソシアネートとの混合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、2,6−ジイソプロピルフェニルイソシアネート及び1,3,5−トリイソプロピルベンゼン−2,4−ジイソシアネートが挙げられる。そして、これらのジイソシアネート系化合物をカルボジイミド化することによって、末端に2つのイソシアネート基を有するポリカルボジイミド化合物が得られる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。中でも、反応性を向上させる観点から、ジシクロヘキシルメタンカルボジイミドが好適に使用できる。
末端に2つのイソシアネート基を有するポリカルボジイミド化合物に対し、さらにモノイソシアネート化合物を等モル量カルボジイミド化させる方法、又はポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルと等モル量反応させてウレタン結合を生成する方法などによって、末端にイソシアネート基を1つ有するポリカルボジイミド化合物が得られる。モノイソシアネート化合物としては、以下に制限されないが、例えば、ヘキシルイソシアネート、フェニルイソシアネート及びシクロヘキシルイソシアネートが挙げられる。上記したポリアルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、以下に制限されないが、例えば、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル及びポリエチレングリコールモノエチルエーテルが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリウレタン樹脂は、集束剤として一般的に用いられるものであれば特に制限されない。例えば、m−キシリレンジイソシアナート(XDI)、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアナート)(HMDI)及びイソホロンジイソシアナート(IPDI)等のイソシアネートと、ポリエステル系及びポリエーテル系のジオールとから合成されるものが好適に使用できる。
アクリル酸のホモポリマー(ポリアクリル酸)の重量平均分子量は、1,000〜90,000であることが好ましく、より好ましくは1,000〜25,000である。
アクリル酸のポリマーは、アクリル酸とその他共重合性モノマーとのコポリマーであってもよい。前記アクリル酸と共重合体を形成するモノマーとしては、以下に制限されないが、例えば、水酸基及び/又はカルボキシル基を有するモノマーのうち、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸及びメサコン酸よりなる群から選択される1種以上が挙げられる(但し、アクリル酸のみの場合を除く。)。好ましくは、上記したモノマーのうちエステル系モノマーを1種以上有する。
アクリル酸のポリマー(ホモポリマー及びコポリマーを共に含む。)は塩の形態であってもよい。アクリル酸のポリマーの塩としては、以下に制限されないが、第一級、第二級又は第三級のアミンが挙げられる。以下に制限されないが、例えばトリエチルアミン、トリエタノールアミン及びグリシンが挙げられる。中和度は、他の併用薬剤(シランカップリング剤など)との混合溶液の安定性を向上させ、且つアミン臭を低減させる観点から、20〜90%とすることが好ましく、40〜60%とすることがより好ましい。
塩を形成するアクリル酸のポリマーの重量平均分子量は、特に制限されないが、3,000〜50,000の範囲であることが好ましい。ガラス繊維及び炭素繊維の集束性を向上させる観点から、3,000以上が好ましく、樹脂組成物とした際の機械的特性を向上させる観点から、50,000以下が好ましい。
ガラス繊維及び炭素繊維は、公知のガラス繊維及び炭素繊維の製造工程において、連続的に反応させることにより得られる。具体的には、ローラー型アプリケーターなどの公知の方法を用いて上記の集束剤をガラス繊維及び炭素繊維に付与して製造した繊維ストランドを乾燥することにより、上記のガラス繊維及び炭素繊維が得られる。前記繊維ストランドをロービングとしてそのまま使用してもよく、さらに切断工程を行いチョップドガラスストランドとして使用してもよい。かかる集束剤は、ガラス繊維又は炭素繊維100質量%に対し、固形分率として0.2〜3質量%相当を付与(添加)することが好ましく、より好ましくは0.3〜2質量%相当を付与(添加)する。ガラス繊維及び炭素繊維の集束を維持する観点から、集束剤の添加量が、ガラス繊維又は炭素繊維100質量%に対し、固形分率として0.2質量%以上相当であることが好ましい。一方、ポリアミド樹脂組成物の熱安定性向上の観点から、3質量%以下相当であることが好ましい。また、ストランドの乾燥は切断工程後に行ってもよく、又はストランドの乾燥後に切断工程を行ってもよい。
上記した成分の他に、本実施の形態の効果を損なわない範囲で、必要に応じてさらに他の成分を添加してもよい。
以下に制限されないが、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤、光劣化防止剤、可塑剤、滑剤、離型剤、核剤、難燃剤、着色剤、染色剤や顔料などを添加してもよいし、他の熱可塑性樹脂を混合してもよい。ここで、上記した他の成分はそれぞれ性質が大きく異なるため、各成分についての、本実施の形態の効果をほとんど損なわない好適な含有率は様々である。そして、当業者であれば、上記した他の成分ごとの好適な含有率は容易に設定可能である。
本実施の形態において、ポリアミド樹脂組成物を製造する方法は、以下に制限されないが、単軸又は多軸の押出機によってポリアミド樹脂を溶融させた状態で混練する方法を用いることができる。無機充填材を用いる場合、上流側供給口と下流側供給口とを備えた二軸押出機を使用し、上流側供給口からポリアミド樹脂、熱安定剤、及び上記特定の含有量の亜鉛化合物を供給して溶融させた後、下流側供給口から無機充填材を供給して溶融混練する方法を用いることが好ましい。また、ガラス繊維及び炭素繊維などのロービングを用いる場合も、公知の方法で複合化することができる。
このようにして得られる目的物としてのポリアミド樹脂組成物は、特に制限されることなく、例えば、射出成形による各種部品の成形体として利用できる。
これらの各種部品は、例えば、自動車用、機械工業用、電気・電子用、産業資材用、工業材料用、日用・家庭品用として好適に使用できる。
以下、本実施の形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施の形態はこれらの実施例のみに制限されるものではない。
[原料の調製]
1.ポリアミド樹脂
ポリアミド66(以下、「PA66」と略記する)として、商品名:レオナ(登録商標)1300S(旭化成ケミカルズ社製)を用いた。また、ポリアミド6(以下、「PA6」と略記する)として、商品名:UBEナイロン1013B(宇部興産社製)を用いた。また、ポリアミド66/6T(以下、「PA66/6T」と略記する)として、商品名:Grivory(登録商標)FE5011(EMS社製)を用いた。
また、ポリアミド9T(以下、「PA9T」と略記する)を、特開平7−228689号公報の実施例1に記載された方法に従って製造した。その際、テレフタル酸単位をジカルボン酸単位とした。一方、1,9−ノナンジアミン単位及び2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位[1,9−ノナンジアミン単位:2−メチル−1,8−オクタンジアミン単位=80:20(モル比)]をジアミン単位とした。
上記の原料を20リットル容のオートクレーブに入れ、窒素で置換した。100℃で30分間撹拌し、2時間かけて内部温度を210℃まで昇温した。その際、オートクレーブ(内部)を22kg/cmまで昇圧した。そのまま1時間反応を続けた後、230℃に昇温した。その後、230℃で2時間恒温し、水蒸気を徐々に抜いて圧力を22kg/cmに保ちながら反応させた。次に、30分かけて圧力を10kg/cmまで下げ、さらに1時間反応させて、プレポリマーを得た。これを、100℃、減圧下で12時間乾燥し、2mm以下の大きさまで粉砕した。これを230℃、0.1mmHg下にて、10時間固相重合し、PA9Tを得た。ここで、ηr(相対粘度)は2.61であった。
2.ヨウ化銅(以下、「CuI」と略記する)
和光純薬工業社製の試薬を使用した。
3.ヨウ化カリウム(以下、「KI」と略記する)
和光純薬工業社製の試薬を使用した。
4.亜鉛化合物
酸化亜鉛(以下、「ZnO−1」と略記する)として、商品名:銀嶺A(登録商標)(東邦亜鉛社製)を用いた。なお、かかる商品の平均粒子径は0.6μm(SEM法による)であり、比表面積は4m/g(BET法による)であった。また、別の酸化亜鉛(以下、「ZnO−2」と略記する)として、商品名:FZO−50(石原産業社製)を用いた。なお、かかる商品の平均粒子径は0.02μm(SEM法による)であり、比表面積は50m/g(BET法による)であった。
また、硫化亜鉛(以下、「ZnS」と略記する)として、商品名:サクトリスHD(登録商標)(SACHTLEBEN社製)を用いた。なお、かかる商品の平均粒子径は0.3μm(SEM法による)であった。
5.ガラス繊維(以下、「GF」と略記する)
商品名:ECS 03T−275H(日本電気硝子社製)を用いた。
[評価方法]
以下では、実施例及び比較例で行った評価の方法について説明する。
<引張強度>
実施例及び比較例で得られたポリアミド樹脂組成物のペレットを、射出成形機(PS−40E:日精樹脂株式会社製)を用いて、ISO 3167に準拠しつつ、多目的試験片(A型)の成形片を成形した。その際、射出及び保圧の時間25秒、冷却時間15秒、金型温度80℃(上記のポリアミド樹脂のうち、PA66/6T及びPA9Tでは120℃)、溶融樹脂温度290℃(上記のポリアミド樹脂のうち、PA66/6T及びPA9Tでは320℃)に設定した。得られた多目的試験片(A型)を用いて、ISO 527に準拠しつつ引張速度5mm/分で引張試験を行い、引張強度(MPa)を測定した。
<熱老化後の引張強度>
上記の多目的試験片(A型)を、熱風循環式オーブン内で、230℃で所定時間(250時間、500時間、1,000時間)熱老化させた。23℃で24時間以上冷却した後、ISO 527に準拠しつつ引張速度5mm/分で引張試験を行い、上記の250時間後、500時間後及び1,000時間後の各引張強度(MPa)を測定した。
<シャルピー衝撃強度>
上記の多目的試験片(A型)を切削して使用し、厚さ80mm×巾10mm×長さ4mmの試験片を用いて、ISO 179に準拠しつつ、ノッチ付きシャルピー衝撃強度(kJ/m)を測定した。
[実施例1〜11、比較例1〜4]
押出機の上流側から1番目のバレルに上流側供給口を有し、且つ9番目のバレルに下流側供給口を有する、L/D(押出機のシリンダーの長さ/押出機のシリンダー径)=48(バレル数:12)の二軸押出機[ZSK−26MC:コペリオン社製(ドイツ)]を用いた。前記二軸押出機において、上流側供給口からダイまでを290℃(上記のポリアミド樹脂のうち、PA66/6T、PA9T及びPA46では320℃)、スクリュー回転数250rpm、及び吐出量25kg/時間に設定した。かかる条件下で、下記表1の上部に記載された割合となるように、上流側供給口より上記のポリアミド樹脂(PA)、CuI及びKI、並びにZnO及び/又はZnSをそれぞれ供給し、下流側供給口よりGFを供給した。そして、これらを溶融混練することで樹脂組成物のペレットを製造した。得られた樹脂組成物を上記の溶融樹脂温度及び金型温度で成形し、引張強度、熱老化後の引張強度、及びシャルピー衝撃強度を評価した。これらの評価(計数)結果などを下記表1に記載した。
Figure 0005491092
まず、表1の見方について説明する。引張強度が大きい程、機械的強度に優れることを示す。また、熱老化後(250時間後、500時間後及び1,000時間後)の引張強度が大きい程、特に耐熱エージング性に優れることを示す。さらに、シャルピー衝撃強度が大きい程、耐衝撃性に優れることを示す。
続いて、表1より、実施例1〜11の結果を比較例の結果と比較しつつ見ると、機械的強度、耐衝撃性及び耐熱エージング性にバランス良く優れた、熱安定性の良好なポリアミド樹脂組成物が得られることが分かる。実施例1〜11の間では、用いたポリアミド樹脂及び亜鉛化合物の種類や含有率が異なるものの、かかる結果より、ポリアミド樹脂の種類はポリアミド樹脂組成物の性能(機械的強度、耐衝撃性及び耐熱エージング性)に殆ど影響を与えないことを確認した。一方、亜鉛酸化物の種類はポリアミド樹脂組成物の性能に顕著な影響を与えることを確認した。すなわち、平均粒子径のより小さなZnO−2を用いた場合、耐熱エージング性及び耐衝撃性に優れたポリアミド樹脂組成物が得られることを確認した。また、実施例9及び比較例3の対比から、亜鉛化合物に由来する亜鉛元素が、5,000質量ppm以下の含有量であれば、ポリアミド樹脂組成物の性能がバランス良く優れたものとなることを見出した。
以上のことから、本実施の形態を採ることにより、ポリアミド樹脂組成物の機械的強度、耐衝撃性及び耐熱エージング性を顕著に向上させることができることを見出した。
本発明の樹脂組成物は機械的強度、耐衝撃性及び耐熱エージング性に優れるため、自動車部品や各種電子部品など、高レベルの機械的な物性が要求される成形品に対して好適に利用できる。

Claims (6)

  1. (A)ポリアミド樹脂と、
    (B)銅塩と、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のハロゲン化物との混合物と、
    (C)亜鉛化合物と、
    を含み、但し、ポリフェニレンエーテルは含まないポリアミド樹脂組成物であって、
    前記(C)の成分に由来の亜鉛元素含有量が、該組成物100質量%に対して50〜5,000質量ppmである、ポリアミド樹脂組成物。
  2. 前記(C)の成分は、酸化亜鉛、硫化亜鉛、ホウ酸亜鉛及び水酸化亜鉛からなる群より
    選択される1種以上である、請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. 前記(C)の成分の平均粒子径が0.01〜1.5μmである、請求項1又は2に記載
    のポリアミド樹脂組成物。
  4. 前記(A)の成分は、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド610、ポリアミド
    612、ポリアミド46、ポリアミド6T、ポリアミド6I及びポリアミド9T、並びに
    これらを構成成分として含む共重合ポリアミドからなる群より選択される1種以上である
    、請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  5. 前記(B)の成分に由来の銅元素含有量が、ポリアミド樹脂組成物100質量%に対し
    て10〜500質量ppmである、請求項1〜のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  6. 前記(B)の成分に由来の銅元素に対する前記(C)の成分に由来の亜鉛元素の質量比
    が、1〜40である、請求項1〜のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
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