JP2000319505A - ポリアミド樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents

ポリアミド樹脂組成物およびその成形品

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JP2000319505A
JP2000319505A JP11125985A JP12598599A JP2000319505A JP 2000319505 A JP2000319505 A JP 2000319505A JP 11125985 A JP11125985 A JP 11125985A JP 12598599 A JP12598599 A JP 12598599A JP 2000319505 A JP2000319505 A JP 2000319505A
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glass fiber
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Kazuya Noda
和弥 野田
Chisato Kajiyama
千里 梶山
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 機械的性質・熱的性質、特に振動疲労特性、
クリ−プ特性に優れ、自動車部品、及び、各種構造部材
料として有用なガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物お
よび成形品を提供する。 【解決手段】 ポリアミド樹脂40〜90重量%、表面
処理されたガラス繊維10〜60重量%からなるガラス
繊維強化ポリアミド樹脂組成物であって、該組成物中の
ガラス繊維表面が、温度可変走査型粘弾性顕微鏡測定法
により測定される力学的緩和に基づいた表面動的粘弾性
関数である印加変位と応答力の位相差の吸収ピークが5
0℃〜200℃の温度範囲内に1つ以上存在し、そのう
ちの少なくとも1つの吸収温度が120℃以上であるグ
ラフト化ポリアミド樹脂層で被覆されていることを特徴
とするポリアミド樹脂組成物およびその組成物から成る
成形品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラス繊維強化ポ
リアミド樹脂組成物およびその成形品に関する。より詳
しくは、機械的特性、特に、疲労特性やクリープ特性の
著しく改良されたガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物
および成形品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物は
優れた機械的強度、剛性、耐熱性、耐薬品性などの特徴
を有するエンジニアリング樹脂として有用であり、自動
車用途および工業用途等幅広い分野に使用されている。
また近年、燃費向上の為の軽量化、低コスト化、部品の
モジュール化、一体化の観点から、従来金属が使用され
ている自動車構造部品をガラス繊維強化ポリアミド樹脂
に代替する動きが顕著である。しかしながら、金属を代
替するということにより、樹脂に要求される性能は一段
と苛酷化し、これまで以上に樹脂材料に長期信頼性の向
上が要求されるようになってきている。ガラス繊維強化
ポリアミド樹脂は、その機械的特性、耐熱性の観点から
自動車エンジンルーム内部品の材料として使用されてい
るが、中でもエンジンマウント、エアサスペンションタ
ンク、インテークマニホールド等の構造部品へ適用する
場合には、耐疲労特性が強く要求される。しかしなが
ら、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂材料は、金属材料と
は異なって疲労特性等の動的機械特性に関する検討が、
従来十分に行われておらず、特に周期的に応力が負荷す
るような厳しい条件下での長期信頼性に関する検討に乏
しかった。その上、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂材料
の疲労寿命の予測はもちろんのこと、疲労特性とポリマ
ー構造の関係に対する定量的な知見もほとんどないとい
うのが現状である。
【0003】これまで、疲労特性を向上させる方法とし
てはガラス繊維濃度を高めて初期の機械的物性を向上さ
せて疲労寿命を伸ばす方法が一般的であったが、この方
法は、部品重量の増加、外観不良等の問題を有し、必ず
しも満足できる方法ではなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、ガラ
ス繊維強化ポリアミド樹脂の本来有する優れた特徴を損
なわずに、疲労特性に優れた成形体となせるガラス繊維
強化ポリアミド樹脂組成物およびその成形品を提供する
ことである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、前記本発
明課題を達成すべく鋭意検討した結果、ポリアミド樹脂
と表面処理されたガラス繊維からなる組成物であって、
組成物中のガラス繊維を特定のポリアミド樹脂層で被覆
した構造を有するポリアミド樹脂組成物が前記本発明課
題を達成し得ることを見出し、本発明に到達した。すな
わち、本発明で特許請求する範囲は下記の通りである。 1.ポリアミド樹脂40〜90重量%、表面処理された
ガラス繊維10〜60重量%からなるガラス繊維強化ポ
リアミド樹脂組成物であって、該組成物中のガラス繊維
表面が、温度可変走査型粘弾性顕微鏡測定法により測定
される力学的緩和に基づいた表面動的粘弾性関数である
印加変位と応答力の位相差の吸収ピークが50℃〜20
0℃の温度範囲内に1つ以上存在し、そのうちの少なく
とも1つの吸収温度が120℃以上であるグラフト化ポ
リアミド樹脂層で被覆されていることを特徴とするポリ
アミド樹脂組成物。
【0006】2.前記グラフト化ポリアミド樹脂層の量
がガラス繊維に対して0.15〜2重量%であることを
特徴とする請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。 3.ポリアミド樹脂40〜90重量%、表面処理された
ガラス繊維10〜60重量%からなるガラス繊維強化ポ
リアミド樹脂組成物から成る成形品であって、該成形品
中のガラス繊維表面が、温度可変走査型粘弾性顕微鏡測
定法により測定される力学的緩和に基づいた表面動的粘
弾性関数である印加変位と応答力の位相差の吸収ピーク
が50℃〜200℃の温度範囲内に1つ以上存在し、そ
のうちの少なくとも1つの吸収温度が120℃以上であ
るグラフト化ポリアミド樹脂層で被覆されていることを
特徴とするポリアミド樹脂成形品。 4.前記グラフト化ポリアミド樹脂層の量がガラス繊維
に対して0.15〜2重量%であることを特徴とする請
求項3に記載のポリアミド樹脂成形品。
【0007】以下に本発明を詳しく説明する。本発明の
ポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂と表面処理さ
れたガラス繊維から成る。本発明に用いるポリアミド樹
脂としては、二塩基酸とジアミンの重縮合物、環状ラク
タム開環重合物、アミノカルボン酸の重縮合物、およ
び、これらのコポリマー、ブレンド物が挙げられる。よ
り具体的には、ナイロン66、ナイロン46、ナイロン
612、ナイロン610、ナイロン6、ナイロン11、
ナイロン12、などの脂肪族ポリアミド樹脂、ポリ(メ
タキシレンアジパミド)(ナイロンMXD6)、ポリ
(ヘキサメチレンテレフタラミド)(ナイロン6T)、
ポリ(ヘキサメチレンイソフタラミド)(ナイロン6
I)などの脂肪族、芳香族ポリアミド樹脂、および、こ
れらの共重合体やブレンド物を用いることができる。本
発明では、耐熱性、機械的強度の点でより優れることか
らナイロン66、ナイロン6、ナイロン66/6、ナイ
ロン66/6Iが特に好ましく用いられる。
【0008】ポリアミド樹脂の重合度については、特に
限定されないが、通常の射出成形加工性の面から、JI
S K6810による98%硫酸中樹脂濃度1重量%と
して、25℃で測定される相対粘度が2.0以上である
ことがより好ましい。本発明に用いるポリアミド樹脂の
重合方法は特に限定されず、溶融重合、界面重合、溶液
重合、塊状重合、固相重合、および、これらを組み合わ
せた方法のいずれでもよい。これらの中では、溶融重合
がより好ましく用いられる。
【0009】本発明に用いるガラス繊維は通常ポリアミ
ド樹脂に用いられるものでよく、特に制限はないが、表
面処理されている必要がある。表面処理には、表面処理
剤として、シランカップリング剤、例えば、アミノ系、
エポキシ系、クロル系、および、カチオン系シランカッ
プリング剤が好ましく用いられ、さらに好ましくはアミ
ノシランカップリング剤である。また、集束剤として
は、無水マレイン酸系、ウレタン系、アクリル系、およ
び、これらの共重合体や混合物を含有する集束剤を用い
ることができる。本発明では、アミノシランカップリン
グ剤と無水マレイン酸又は(メタ)アクリル酸含有重合
体の集束剤が疲労特性がより向上するので特に好ましく
用いられる。また、ガラス繊維の数平均繊維長さ(以下
Lともいう)、数平均繊維径(以下Dともいう)、Lと
Dの比(以下L/Dともいう)については特に限定され
ないが、ガラス繊維強化ポリアミド樹脂中あるいはそれ
による成形品中の数平均繊維長さが200μm以上、L
/Dが20以上であることが本発明目的を達成する上で
より好ましい。
【0010】ガラス繊維の配合量は、ポリアミドに対し
て、10〜60重量%である。10重量%未満では機械
的強度への改良効果が期待でき難くなり、60重量%を
越えると比重が増加するのみならず、成形品の外観が損
なわれる恐れがある。本発明のポリアミド樹脂組成物
は、ポリアミド樹脂とガラス繊維とを、それに必要に応
じて添加剤等を加えて、押出し機等を用いて溶融混練し
て得ることが出来る。本発明によるグラフト化ポリアミ
ド樹脂層は、ポリアミド樹脂と表面処理を施したガラス
繊維とを溶融混練することにより主としてガラス繊維の
表面部分に形成させる。ガラス繊維表面の全部あるいは
大部分を被覆するように形成させることが特に好まし
い。本発明におけるグラフト化ポリアミド樹脂層は、温
度可変走査型粘弾性顕微鏡測定法により測定される力学
的緩和に基づいた表面動的粘弾性関数である印加変位と
応答力の位相差の吸収ピークが50℃〜200℃の温度
範囲内に1つ以上存在し、そのうちの少なくとも1つ
は、吸収温度が120℃以上であるように構成させる。
【0011】本発明に言う、ポリアミド樹脂組成物中の
ガラス繊維表面を被覆するグラフト化ポリアミド樹脂層
とは、ポリアミド樹脂組成物をポリアミド樹脂の溶媒で
あるフェノール水溶液に浸しポリアミド樹脂を溶出させ
ガラス繊維を析出させた時、前記溶媒中に溶出せずガラ
ス繊維表面に残るポリアミド樹脂を主成分とする有機物
層のことをいい、赤外吸収スペクトル、熱分解ガスクロ
マトグラフ分析からポリアミド樹脂であることを確認で
きるもののことをいう。
【0012】さらに具体的にガラス繊維強化ポリアミド
66樹脂組成物を例に挙げて説明すると、まず、ガラス
繊維強化ポリアミド66樹脂組成物をフェノール水溶液
(フェノール分90重量%で溶解しガラス繊維を取り出
す。さらに、このガラス繊維をポリアミド66が溶出し
なくなるまで数回前記フェノール溶媒で洗浄する。そし
て、ガラス繊維表面のフェノールを除去するためにエタ
ノールで数回洗浄後、エタノールを乾燥してガラス繊維
から除去する。この様にして得られるガラス繊維の表面
には有機物層が残存し、この有機物は赤外吸収スペクト
ル、熱分解ガスクロマトグラフ/マススペクトル(Py
GC/MS)分析によって、ポリアミド66樹脂を主成
分とするポリアミド樹脂であることを確認できる。
【0013】本発明におけるポリアミド樹脂組成物中の
グラフト化ポリアミド樹脂層の力学的緩和に基づいた表
面動的粘弾性関数である印加変位と応答力の位相差の吸
収ピークは、温度可変走査型粘弾性顕微鏡測定法によ
り、上記の様にして得られたガラス繊維表面における印
加変位と応答力の位相差であるδsurface と温度との関
係を示す図から求めることができる。前記走査型粘弾性
顕微鏡は探針と試料表面の間に働く力が斥力領域の状態
で、すなわち、探針の先端が試料表面に変形を与える状
態で試料台のピエゾ素子あるいは探針に正弦的振動を与
え、その振動に対応するカンチレバーからの同じ周期の
応答振動を検出する装置(例えば、「高分子」46巻、
4月号(1997年)、P.249〜251−梶山 千
里、高原淳著「原子間力顕微鏡 高分子鎖の分子運動を
観察する」参照)であり、この変位と応答力信号の振幅
および位相差から試料表面の動的粘弾性関数を評価でき
る測定装置である。この走査型粘弾性顕微鏡測定法によ
り測定されるガラス繊維表面における印加変位と応答力
の位相差であるδsurface は、ガラス繊維表面の損失正
接であるtan δと対応させることができる。本発明で
は、ガラス繊維表面のグラフト化ポリアミド樹脂層の吸
収温度は、位相差であるδsurface が増加しはじめる温
度であるとする。
【0014】本発明におけるグラフト化ポリアミド樹脂
層は、既述のように、温度可変走査型粘弾性顕微鏡測定
法により測定される力学的緩和に基づいた表面動的粘弾
性関数である印加変位と応答力の位相差の吸収ピークが
50℃〜200℃の温度範囲内に1つ以上存在し、その
うちの少なくとも1つは、吸収温度が120℃以上であ
るように構成させる。前記吸収温度が120℃未満では
ガラス繊維を被覆するグラフト化ポリアミド樹脂層を形
成するポリアミド樹脂の分子運動性の拘束が弱く、得ら
れた組成物および成形品の機械的強度、耐疲労性および
耐クリープ性が充分でない。
【0015】本発明におけるポリアミド樹脂組成物中の
ガラス繊維を被覆するグラフト化ポリアミド樹脂層の量
(グラフト化量)は、前記溶媒でポリアミド樹脂を溶出
後残存するガラス繊維をJIS R3420(強熱減
量,Ig.Loss)に基づいて測定される重量減少量
から求めることができる。本発明におけるグラフト化ポ
リアミド樹脂層の量はガラス繊維に対して0.15〜2
重量%であることが好ましく、より好ましくは0.2〜
0.7重量%である。0.15重量%未満ではポリアミ
ド樹脂組成物を構成するガラス繊維の表面を充分に被覆
することができなく、組成物が機械的強度、耐疲労性お
よび耐クリープ性を充分に発現し得なくなる懸念があ
る。また、2重量%を超えると、成形に際して組成物の
溶融流動性が低下し、射出成形時の圧力が高くなる恐れ
を生じる。
【0016】また、本発明のポリアミド樹脂組成物は、
本発明の目的を損なわない範囲において、1種または2
種以上の添加物、例えば、他の樹脂ポリマー、無機充填
材、安定剤および禁止剤(酸化劣化、熱劣化、紫外線劣
化に対する)、滑剤および離形剤、着色剤(染料および
顔料を含む)、核形成剤可塑剤、発泡剤、難燃剤、帯電
防止剤などを目的に応じて適宜加えたものを含む。
【0017】本発明では、熱安定剤として、銅化合物、
例えばヨウ化銅、臭化第一銅、臭化第二銅、塩化第一
銅、酢酸銅、プロピオン酸銅、安息香酸銅、アジピン酸
銅、テレフタル酸銅、イソフタル酸銅等を添加したポリ
アミド樹脂組成物であることが好ましい。またキレート
剤に配位した銅錯塩等も好ましい。これらの銅化合物
は、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いても
よい。なかでもヨウ化銅が疲労特性向上により効果的で
あり、特に好ましい。さらに本発明では、耐熱性改良剤
として作用するハロゲン化アルカリ、より具体的にはヨ
ウ化カリウム、臭化カリウム、塩化カリウム、塩化ナト
リウムを用いることが好ましい。これらのハロゲン化ア
ルカリは単独で用いてもよく、また併用してもよい。
【0018】本発明によるポリアミド樹脂成形品は、以
上において詳述した本発明のポリアミド樹脂組成物から
成るポリアミド樹脂成形品である。また本発明によるポ
リアミド樹脂成形品は、本発明のポリアミド樹脂組成物
から得られた成形品を振動溶着、超音波溶着等で溶着し
て一体化した部品をも含む。本発明による前記成形品
は、射出成形、押し出し成形、圧縮成形、ブロー成形な
どの公知の成形方法によって成形してよい。また、本発
明の成形品の形状は特に限定されない。
【0019】本発明によるポリアミド樹脂組成物による
と、機械的特性、特に疲労特性やクリープ特性に著しく
優れた成形品が得られるため、本発明は優れた疲労特性
およびクリープ特性が要求される自動車部品まわりの、
エンジンマウント、エアサスペンションタンク、インテ
ークマニホールド等に特に好適である。また、サージタ
ンク、オイルタンク、各種シリンダー等の自動車アンダ
ー部品、さらに、アジャスター、プラ束、天井釣り具等
の住宅用構造部品、エアコンファン等の家電部品、椅子
の脚、座、背等のOA、家具部品への適用も期待でき
る。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に実施例、比較例を挙げ本発
明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定さ
れるものでない。なお以下の実施例及び比較例における
ポリアミド樹脂組成物、成形体の評価は次の通り行っ
た。 [評価方法] (1)グラフト化ポリアミド樹脂層の力学的緩和に基づ
いた表面動的粘弾性関数である印加変位と応答力の位相
差の吸収ピークおよび吸収温度の測定:ポリアミド樹脂
組成物約5gを90%フェノール水溶液100mlに溶
解させる(40℃、2時間攪拌)。静置するとガラス繊
維は沈殿するので上澄みの溶解したポリアミドを含むフ
ェノール溶液を除去する。沈殿して残ったガラス繊維に
90%フェノール100mlを加えてガラス繊維を洗浄
する(40℃、2時間攪拌)。静置するとガラス繊維は
沈殿するので上澄み溶液を除去する。この操作を3回繰
り返した後、99.5%エタノール100mlを加えて
ガラス繊維に残存するフェノールを取り除く(40℃、
2時間攪拌)。静置するとガラス繊維は沈殿するので上
澄み溶液を除去する。この操作を3回繰り返した後、エ
タノールを除去するために窒素フロー乾燥機で80℃、
2昼夜乾燥する。
【0021】この様にして得られたガラス繊維を測定対
象試料として、温度可変走査型粘弾性顕微鏡(セイコー
インスツルメンツ(株)製:SPA300HV)を用い
て、その表面における印加変位と応答力の位相差である
δsurface の温度依存性を以下の条件で測定した。な
お、カンチレバーはSi3N4製、両面金コート、ばね
定数0.09N・m−1のものを使用した。 測定環境:真空中、周波数:4kHz、温度範囲:25
℃〜200℃、動的歪振幅:1.0nm、探針への荷
重:約1.0nN また、グラフト化ポリアミド樹脂層の吸収温度は、位相
差であるδsurface が増加しはじめる温度から求めた。
【0022】(2)グラフト化ポリアミド樹脂層の量の
測定:上記(1)と同様の処理をして得られたガラス繊
維試料を用いて、JIS R3420に準じてグラフト
化ポリアミド樹脂層の量を求めた。すなわち、ガラス繊
維を1g以上採取しその質量を量る。次にこれを110
±5℃で1時間以上乾燥した後、デシケーターに入れて
室温まで放冷しその質量を量る(m1)。これを625
±20℃に保った電気炉で恒量になるまで加熱(15分
間)した後取り出し、デシケーターに入れて室温まで放
冷してその質量を量る(m2)。グラフト化量(W0重
量%)は、次式に従ってを算出した。 グラフト化量(W0重量%)={(m1−m2)/m
2}×100
【0023】(3)疲労試験片の作成:疲労試験片は、
ASTM−D1822に記載の引張衝撃ダンベル(Ty
peS)とした。前記試験片は、射出成形機(日精樹脂
工業(株)製:PS40E)を用い、シリンダー温度2
90℃、金型温度80℃で成形した。また、得られた試
験片の吸水率は0.2重量%以下とした。 (4)疲労特性の測定:23℃における振動疲労試験
は、振動疲労試験機((株)オリエンテック製:VFA
−1KVA)を用いて、引張荷重制御、チャック間距
離:20mm、周囲温度:23℃、周波数:10Hz、
応力モード:引張−引張、最小応力:5.4MPaの条
件下で測定した。
【0024】120℃における振動疲労試験は、振動疲
労試験機((株)島津製作所製:サーボパルサーEHF
−EG5kN−20L)を用いて、引張荷重制御、チャ
ック間距離:20mm、周囲温度:120℃、周波数:
100Hz、応力モード:引張−引張、最小応力:5.
4MPaの条件下で測定した。 (5)静的引張強度試験片の作成:静的引張強度試験片
は、射出成形機(日精樹脂工業(株)製:PS40E)
を用い、シリンダー温度290℃、金型温度80℃で、
ASTM D638に記載のTYPE I試験片を作成
した。 (6)静的引張強度の測定:静的引張強度は、ASTM
D638に準じて、引張試験機((株)東洋精機製:
UTM25)で、23℃、クロスヘッドスピード5mm
/minの条件で測定した。
【0025】(実施例1)400Lのオートクレーブ中
に、40%AH塩(アジピン酸/ヘキサメチレンジアミ
ンの等モル塩)水溶液を仕込み、1.8MPa加圧下で
加熱溶融重合を行い、冷却固化、造粒してポリアミド6
6樹脂ペレットを得た。得られたペレット100重量部
に対してガラス繊維(繊維径10μm×長さ3mmのチ
ョップドストランドをN−(2−アミノエチル)−3−
アミノプロピルトリメトキシシラン(チッソ(株)製サ
ライエースS320)からなるカップリング剤と無水マ
レイン酸−ブタジエンの共重合体からなる集束剤との混
合物で表面処理したガラス繊維)50重量部とを290
℃の温度で2軸押出し機(東芝機械製TEM35)を用
いて溶融混練してガラス繊維濃度33重量%の強化ポリ
アミド樹脂組成物ペレットを得た。得られたペレットか
ら既述の射出成形方法で試験片を作成した。用いたペレ
ット及び得られた試験片の評価結果を表1に示す。
【0026】(実施例2)400Lのオートクレーブ中
に表1の成分組成になる様に、40%AH塩(アジピン
酸/ヘキサメチレンジアミンの等モル塩)水溶液、ヨウ
化カリウム、ヨウ化銅を仕込み、1.8MPa加圧下で
加熱溶融重合を行い、冷却固化、造粒してポリアミド6
6樹脂ペレットを得た。このポリアミド66樹脂ペレッ
トを用いた以外は実施例1と同様にして強化ポリアミド
樹脂組成物ペレットを得た。このペレットから実施例1
と同様にして試験片を作成した。用いたペレット及び得
られた試験片の評価結果を表1に示す。
【0027】(実施例3)ガラス繊維(繊維径10μm
×長さ3mmのチョップドストランドをN−(2−アミ
ノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
(チッソ(株)製サライエースS320)からなるカッ
プリング剤と無水マレイン酸−ブタジエンの共重合体と
イソホロンジイソシアネート−ブタンジオールの共重合
体からなる集束剤との混合物で表面処理したガラス繊
維)50重量部以外は実施例2と同様にしてガラス繊維
濃度33重量%の強化ポリアミド樹脂組成物ペレットを
得た。このペレットから実施例1と同様にして試験片を
作成した。用いたペレット及び得られた試験片の評価結
果を表1に示す。
【0028】(実施例4)ガラス繊維を100重量部と
した以外は実施例2と同様にしてガラス繊維濃度50重
量%の強化ポリアミド樹脂組成物ペレットを得た。この
ペレットから実施例1と同様にして試験片を作成した。
用いたペレット及び得られた試験片の評価結果を表1に
示す。 (実施例5)ガラス繊維(繊維径13μm×長さ3mm
のチョップドストランドをN−(2−アミノエチル)−
3−アミノプロピルトリメトキシシラン(チッソ(株)
製サライエースS320)からなるカップリング剤とア
クリル酸−メタクリル酸の共重合体からなる集束剤との
混合物で表面処理したガラス繊維)50重量部以外は実
施例2と同様にしてガラス繊維濃度33重量%の強化ポ
リアミド樹脂組成物ペレットを得た。このペレットから
実施例1と同様にして試験片を作成した。用いたペレッ
ト及び得られた試験片の評価結果を表1に示す。
【0029】(実施例6)ガラス繊維(繊維径10μm
×長さ3mmのチョップドストランドをN−(2−アミ
ノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
(チッソ(株)製サライエースS320)からなるカッ
プリング剤と無水マレイン酸−ブタジエンの共重合体と
アクリル酸−メタクリル酸の共重合体からなる集束剤と
の混合物で表面処理したガラス繊維)50重量部を用い
た以外は実施例1と同様にして強化ポリアミド樹脂組成
物ペレットを得た。このペレットから実施例1と同様に
して試験片を作成した。用いたペレット及び得られた試
験片の評価結果を表1に示す。
【0030】
【表1】
【0031】(比較例1)ガラス繊維(繊維径10μm
×長さ3mmのチョップドストランドをN−(2−アミ
ノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
(チッソ(株)製サライエースS320)からなるカッ
プリング剤で表面処理したガラス繊維)50重量部を用
いた以外は実施例1と同様にして強化ポリアミド樹脂組
成物ペレットを得た。このペレットから実施例1と同様
にして試験片を作成した。用いたペレット及び得られた
試験片の評価結果を表2に示す。
【0032】(比較例2)ガラス繊維(繊維径10μm
×長さ3mmのチョップドストランドをN−(2−アミ
ノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
(チッソ(株)製サライエースS320)からなるカッ
プリング剤で表面処理したガラス繊維)50重量部を用
いた以外は実施例2と同様にして強化ポリアミド樹脂組
成物ペレットを得た。このペレットから実施例1と同様
にして試験片を作成した。用いたペレット及び得られた
試験片の評価結果を表2に示す。
【0033】(比較例3)ガラス繊維(繊維径10μm
×長さ3mm、表面処理なし)50重量部を用いた以外
は実施例1と同様にして強化ポリアミド樹脂組成物ペレ
ットを得た。このペレットから実施例1と同様にして試
験片を作成した。用いたペレット及び得られた試験片の
評価結果を表2に示す。 (比較例4)ガラス繊維(繊維径10μm×長さ3mm
のチョップドストランドをN−(2−アミノエチル)−
3−アミノプロピルトリメトキシシラン(チッソ(株)
製サライエースS320)からなるカップリング剤で表
面処理したガラス繊維)100重量部を用いた以外は実
施例2と同様にして強化ポリアミド樹脂組成物ペレット
を得た。このペレットから実施例1と同様にして試験片
を作成した。用いたペレット及び得られた試験片の評価
結果を表2に示す。
【0034】(比較例5)ガラス繊維(繊維径13μm
×長さ3mmのチョップドストランドを3−アミノプロ
ピルトリエトキシシラン(チッソ(株)製サライエース
S330)からなるカップリング剤とイソホロンジイソ
シアネート−エステルの共重合体からなるウレタン系集
束剤との混合物で表面処理したガラス繊維)50重量部
を用いた以外は実施例2と同様にして強化ポリアミド樹
脂組成物ペレットを得た。このペレットから実施例1と
同様にして試験片を作成した。用いたペレット及び得ら
れた試験片の評価結果を表2に示す。
【0035】(比較例6)ガラス繊維(繊維径10μm
×長さ3mmのチョップドストランドをN−(2−アミ
ノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
(チッソ(株)製サライエースS320)からなるカッ
プリング剤とイソホロンジイソシアネート−エステルの
共重合体とアクリル酸−メタクリル酸の共重合体からな
る集束剤との混合物で表面処理したガラス繊維)50重
量部を用いた以外は実施例1と同様にして強化ポリアミ
ド樹脂組成物ペレットを得た。このペレットから実施例
1と同様にして試験片を作成した。用いたペレット及び
得られた試験片の評価結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】(実施例7)実施例2の強化ポリアミド樹
脂組成物ペレットから実施例1と同様にして試験片を作
成した。用いたペレット及び得られた試験片の評価結果
を表3に示す。 (実施例8)実施例3の強化ポリアミド樹脂組成物ペレ
ットから実施例1と同様にして試験片を作成した。用い
たペレット及び得られた試験片の評価結果を表3に示
す。 (比較例7)比較例2の強化ポリアミド樹脂組成物ペレ
ットから実施例1と同様にして試験片を作成した。用い
たペレット及び得られた試験片の評価結果を表3に示
す。 (比較例8)比較例3の強化ポリアミド樹脂組成物ペレ
ットから実施例1と同様にして試験片を作成した。用い
たペレット及び得られた試験片の評価結果を表3に示
す。
【0038】
【表3】
【0039】
【発明の効果】本発明によるポリアミド樹脂組成物は、
成形することによって、機械的特性、特に耐疲労特性及
び耐クリープ特性に著しく優れた成形体となせる。ま
た、本発明によるポリアミド樹脂成形品は、上記のよう
な著しく優れた特性を有する成形体から構成されるの
で、耐久性、信頼性に極めて優れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 CL001 DL006 FB086 FB256 FD046 FD060 GN00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミド樹脂40〜90重量%、表面
    処理されたガラス繊維10〜60重量%からなるガラス
    繊維強化ポリアミド樹脂組成物であって、該組成物中の
    ガラス繊維表面が、温度可変走査型粘弾性顕微鏡測定法
    により測定される力学的緩和に基づいた表面動的粘弾性
    関数である印加変位と応答力の位相差の吸収ピークが5
    0℃〜200℃の温度範囲内に1つ以上存在し、そのう
    ちの少なくとも1つの吸収温度が120℃以上であるグ
    ラフト化ポリアミド樹脂層で被覆されていることを特徴
    とするポリアミド樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 前記グラフト化ポリアミド樹脂層の量が
    ガラス繊維に対して0.15〜2重量%であることを特
    徴とする請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 ポリアミド樹脂40〜90重量%、表面
    処理されたガラス繊維10〜60重量%からなるガラス
    繊維強化ポリアミド樹脂組成物から成る成形品であっ
    て、該成形品中のガラス繊維表面が、温度可変走査型粘
    弾性顕微鏡測定法により測定される力学的緩和に基づい
    た表面動的粘弾性関数である印加変位と応答力の位相差
    の吸収ピークが50℃〜200℃の温度範囲内に1つ以
    上存在し、そのうちの少なくとも1つの吸収温度が12
    0℃以上であるグラフト化ポリアミド樹脂層で被覆され
    ていることを特徴とするポリアミド樹脂成形品。
  4. 【請求項4】 前記グラフト化ポリアミド樹脂層の量が
    ガラス繊維に対して0.15〜2重量%であることを特
    徴とする請求項3に記載のポリアミド樹脂成形品。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103289386A (zh) * 2013-05-09 2013-09-11 东莞市意普万尼龙科技股份有限公司 一种汽车发动机罩盖专用尼龙66组合物及其制备方法
KR101777446B1 (ko) 2014-12-03 2017-09-26 주식회사 엘지화학 유리섬유 보강 폴리아미드 수지 조성물 및 플라스틱 성형품
US9783677B2 (en) 2013-06-20 2017-10-10 Asahi Kasei Chemicals Corporation Polyamide resin composition and molded body
CN111704796A (zh) * 2020-06-29 2020-09-25 上海中镭新材料科技有限公司 一种电镀尼龙材料及其制备方法

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