JPH07118522A

JPH07118522A - ポリアミド樹脂組成物、及びそれからなる制振材料

Info

Publication number: JPH07118522A
Application number: JP28728893A
Authority: JP
Inventors: Osamu Fujii; 修藤井; Toru Fuji; 徹藤
Original assignee: Asahi Chemical Industry Co Ltd
Current assignee: Asahi Chemical Industry Co Ltd
Priority date: 1993-10-25
Filing date: 1993-10-25
Publication date: 1995-05-09
Anticipated expiration: 2016-04-16
Also published as: JP3157074B2

Abstract

(57)【要約】【目的】制振性の必要な構造物用途に好適な、制振
性、吸水時剛性、外観性、耐反り性に優れたポリアミド
樹脂組成物を提供する。【構成】（Ａ）ポリアミド成分として、（ａ）ヘキサ
メチレンアジパミド単位７０〜９５ｗｔ％と、（ｂ）ヘ
キサメチレンイソフタラミド単位５〜３０ｗｔ％からな
る半芳香族ポリアミド樹脂，３０〜７０ｗｔ％と、
（Ｂ）ガラス繊維、２５〜６５ｗｔ％と、（Ｃ）平均粒
子径４〜５０μｍのマイカ、５〜３０ｗｔ％とからなる
ポリアミド樹脂組成物、該ポリアミド樹脂組成物からな
る１次共振周波数が１２０Ｈｚ以上の制振材料、及び該
ポリアミド樹脂組成物を成形してなる車両用鏡体保持部
品。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、例えばＡＶ製品のメカ
シャーシや、自動車のドアミラーステイ、エンジンヘッ
ドカバー等の高剛性、制振性、表面平滑性、低反り性等
の物性を必須とする構造部品に有用であり、該性能及び
成形性に優れたポリアミド樹脂組成物、およびそれから
なる制振材料、に関する。

【０００２】

【従来の技術】ポリアミド樹脂の中で特にナイロン６６
は、その強靭性、耐熱性から広く構造材として使用され
ており、また、ナイロン６６にガラス繊維等の無機充填
材を配合することでさらに強度剛性が増しその用途を広
げている。しかし、ナイロン６６は吸水すると剛性が低
下するという欠点を有しており高剛性が必要な用途には
向いていない。そこで、ナイロン６６吸水剛性を改良す
るために種々研究の結果、各種の半芳香族ポリアミドが
見いだされ、ポリマー構造中に芳香環を導入することで
低吸水化後の剛性低下の少ないポリマーが得られた（例
えば特公平３ー５６５７６号公報、特公平３ー７７２１
６号公報、特開平１ー２６３１５１号公報、特開平４ー
１４９２３４号公報等）。

【０００３】

【本発明が解決しようとする課題】しかしながら、前述
の様にナイロン６６では吸水時の剛性低下があるばかり
だけでなく、高濃度に無機充填材を配合すると表面に無
機充填剤が浮きだし表面平滑性が失われ、外観性が必要
な用途に用いることことが出来ない。さらに、ガラス繊
維等の異方性のある充填材を配合すると成形品に反りが
生じ金型の設計を困難にしたり、用途が限定されてたり
していた。吸水剛性を改良した各種半芳香族ポリアミド
においても、該ポリアミドは融点、固化点、ガラス転移
温度が高く、また、無機物強化系組成物においては表面
平滑性が悪いか、もしくは、平滑な表面を得るためにオ
イル温度調節装置付きの金型で１００℃以上の高温金型
で成形する必要があり、かかる成形では、設備コストの
増大ばかりでなく、生産立ち上げ時に、金型温度が上昇
し安定するまでに大量の樹脂材料をロスするという欠点
があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に鋭意検討した結果、本発明らは、特定の半芳香族ポリ
アミドと特定の無機充填剤を特定比率で配合する事によ
って、上記の課題を解決できる事を見出し、本発明に到
達した。即ち、本願の第一の発明は、（Ａ）ポリアミド
成分として、（ａ）アジピン酸及びヘキサメチレンジア
ミンから得られたヘキサメチレンアジパミド単位７０〜
９５ｗｔ％と、（ｂ）イソフタル酸及びヘキサメチレン
ジアミンから得られたヘキサメチレンイソフタラミド単
位５〜３０ｗｔ％からなる半芳香族ポリアミド樹脂、３
０〜７０ｗｔ％と、（Ｂ）ガラス繊維、２５〜６５ｗｔ
％と、（Ｃ）平均粒子径４〜５０μｍのマイカ、５〜３
０ｗｔ％とからなるポリアミド樹脂組成物、に関する。

【０００５】本発明に用いられるポリアミド樹脂は、ア
ジピン酸及びヘキサメチレンジアミンから得られたヘキ
サメチレンアジパミド単位（６６単位）とイソフタル酸
及びヘキサメチレンジアミンから得られたヘキサメチレ
ンイソフタラミド単位（６Ｉ単位）を構成成分とした半
芳香族共重合ポリアミドであり、共重合比率は、６６／
６Ｉ比が９５／５〜７０／３０ｗｔ％である。６Ｉ単位
が５ｗｔ％より少ないと、高濃度に無機充填材を配合す
ると表面平滑性が失われ外観性が必要な用途に用いるこ
とが出来ない。また、吸水時の剛性低下も発生し、本発
明の目的にそぐわない。６Ｉ単位が７０ｗｔ％より多い
と高濃度に無機充填材を配合した場合、高温の金型で成
形しないと平滑な表面が得られず、又、結晶性が低くな
るため射出成形での成形サイクルが延び生産性が悪くな
る。表面平滑性、吸水時の剛性、成形性の観点から、さ
らに好ましい範囲は、６６／６Ｉ比が８５／１５〜７５
／２５ｗｔ％の範囲である。

【０００６】また、該ポリアミド樹脂の樹脂組成物に対
する配合比率は、３０〜７０ｗｔ％であり、配合比率が
３０ｗｔ％より少ないと表面平滑性が失われ外観性が必
要な用途に用いる事が出来ず、配合比率が７０ｗｔ％よ
り多いと剛性改善効果が少なく、またそのため共振周波
数も低く本発明の目的を達成しない。該ポリアミド樹脂
の配合比率のさらに好ましい範囲は、４０〜６０ｗｔ％
である。本発明のガラス繊維は、樹脂強化剤用に一般的
に用いられるガラス繊維であり、樹脂組成物に対して２
５〜６５ｗｔ％配合する。ガラス繊維が２５ｗｔ％より
少ないと、得られる成形品の引張強度が低く、強度改善
効果が少なく、ガラス繊維が６５ｗｔ％より多いと表面
平滑性が失われ外観性が必要な用途に用いる事が出来
ず、さらに好ましい範囲は、ガラス繊維の配合比が３０
〜６０ｗｔ％の範囲である。

【０００７】本発明で用いられるマイカは、平均粒子径
が４〜５０μｍのものであり、また該マイカを樹脂組成
物に対して５〜３０ｗｔ％配合する。平均粒子径が４μ
ｍより小さいと剛性改善効果が少なく、またそのため共
振周波数も低く本発明の目的を達成せず、平均粒子径が
５０μｍより大きいと表面平滑性が失われ外観性が必要
な用途に用いる事が出来ない。また、配合比が５ｗｔ％
より少ないと剛性改善効果が少なく、また反り改善効果
が少なく本発明の目的に反し、配合比が３０ｗｔ％より
多いと表面平滑性が失われ外観性が必要な用途に用いる
事が出来ず、さらに好ましい範囲は、マイカの配合比が
５〜１５ｗｔ％の範囲である。

【０００８】本発明で用いられるマイカの種類に特に限
定は無いが、剛性改善効果から白マイカ、金マイカが好
ましく、また、マイカを充填する際、強度、剛性向上の
ために公知の表面処理剤、例えば、アミノシラン系のカ
ップリング剤を用いる事ができ、該表面処理剤は、あら
かじマイカに処理した物を用いても良いし、本発明のポ
リアミド樹脂を溶融混練し製造する際に添加してもよ
い。本発明のポリアミド樹脂の製造は、上記の成分、す
なわちポリアミド樹脂、ガラス繊維、マイカを溶融混練
することで達成でき、混練方法としては、各成分をあら
かじめブレンダーを用いブレンドし、単軸や多軸の押出
機で溶融混練しても良いし、単軸や多軸の押出機を用い
て、ガラス繊維やマイカをサイドフィードしても良い。

【０００９】本発明のポリアミド樹脂には、耐熱性向上
のために、例えば、銅系の熱安定剤等の公知の耐熱安定
剤を、本発明の目的が達成される範囲で添加することが
でき、また、耐候性向上のために、例えばカーボンブラ
ック、マンガン化合物等の公知の耐候性安定剤を、本発
明の目的が達成される範囲で添加することができる。さ
らに、用途によっては、本発明の目的が損なわれない範
囲で顔料、染料によって着色して用いたり、塗料によっ
て、塗装して用いることが出来る。本願の第二の発明
は、第一の発明のポリアミド樹脂組成物からなる制振材
料に関するものであり、ＡＳＴＭＤ６３８に準じた引
張試験用ダンベル成形片を用いて測定した共振周波数が
１２０Ｈｚ以上のものである。該制振材料は公知の方
法、例えば射出成形、押出成形、プレス成形等により溶
融成形することができる。共振周波数が１２０Ｈｚ以下
であると、例えば自動車エンジンや一般のモーター類の
振動により共振し、共振周波数が１２０Ｈｚ以上である
と幅広い用途で制振機能を発現することができる。本願
の第三の発明は、第一の発明のポリアミド樹脂組成物を
成形してなる車両用鏡体保持部品であり、車両用鏡体保
持部品とは、自動車のドアミラーや、ルームミラー、バ
イクのバックミラー等をを車体に保持するための部品で
ある。該車両用鏡体保持部品は公知の方法、例えば射出
成形、プレス成形等により溶融成形して得ることができ
る。

【００１０】

【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳しく
説明する。なお、実施例によって本発明の範囲はなんら
限定されるものではない。実施例、比較例中の評価は、
以下の方法を用いた。（１）機械物性；ＤＲＹ物性：引張強度は、ＡＳＴＭ
Ｄ６３８に、曲げ弾性率は、ＡＳＴＭＤ７９０に準じて
行った。ＷＥＴ物性：成形品を２３℃、相対湿度５０％の恒温、
恒湿の部屋で平衡吸水に至るまで放置し、引張強度は、
ＡＳＴＭＤ６３８に、曲げ弾性率は、ＡＳＴＭＤ７
９０に準じて行った。（２）表面光沢度；１３０ｍｍ×１３０×３ｍｍの平板
成形品を東芝機械（株）製ＩＳ１５０Ｅ射出成形機で
金型温度９０℃で成形し、得られた成形品の表面を、堀
場製ハンディ光沢計ＩＧ３２０を使い、ＪＩＳＫ
７１０５に準じて測定した。（３）反り；（２）で成形した平板成形品を用い、ＪＩ
ＳＫ６９１１に準じて測定した。（４）共振周波数；（１）の引張特性評価用成形品を用
い、松貿機器（株）製複素弾性率測定装置を用いて測定
した。

【００１１】実施例、比較例中のポリマーは、次の樹脂
を用いた。（１）ポリヘキサメチレンアジパミド（Ｎ６６）；旭化
成工業（株）社製レオナ１３００（商品名）（２）コポリヘキサメチレンアジパミド・ヘキサメチレ
ンイソフタラミド；（Ｎ６６／６Ｉ）；製造例１に従っ
て、製造した。（３）ポリメタキシリレンアジパミド（ＮＭＸＤ６）；
三菱ガス化学（株）社製レニー６００２（商品名）（製造例１）アジピン酸とヘキサメチレンジアミンの等
モル塩、０．８ｋｇ及びイソフタル酸とヘキサメチレン
ジアミンの等モル塩、０．２ｋｇ及び純水１．０ｋｇを
５Ｌオートクレーブの中に仕込、窒素置換しながら、良
く攪拌し、室温から２２０℃まで約１時間かけて昇温
し、水蒸気を反応系外へ抜きながら１８ｋｇ／ｃｍ²Ｇ
に内圧をコントロールした。さらに加熱を続け、約２時
間で内温２６０℃に達した時点で、内温２６０℃を保ち
ながら約１時間かけて内圧を常圧まで下げた。オートク
レーブを密閉した後、室温まで徐冷しポリマーを取り出
し粉砕し、得られた粉砕ポリマーを窒素気流下、９０℃
で２４時間乾燥した。

【００１２】実施例、比較例中の組成物は、次の方法で
製造した。使用した原材料ポリマー；上記製造例１の樹脂ガラス繊維；旭ファーバーグラス社製、ＪＡ４１６（商
品名）マイカ；レプコ社製、ＭーＸＦＣＴ、Ｍー４００ＣＴ・
・・白マイカＳ−４００ＣＴ、Ｓ−２００ＣＴ・・・金マイカ（製造例２）上記のポリマー、ガラス繊維、及びマイカ
を２軸押出機を用い、シリンダー設定温度２８０℃で溶
融混練して組成物を製造した。溶融状態の組成物をスト
ランド化しカッターでペレット化した。

【００１３】（実施例１〜５）表１に示す組成からなる
ポリアミド樹脂組成物を、成形し、前記の方法で機械物
性、表面光沢度、反り、共振周波数を評価し、その結果
を表１に示す。いずれの組成物も吸水時の剛性、外観
性、耐反り性、に優れ、共振周波数の高い成形品が得ら
れた。

【００１４】

【表１】（比較例１〜５）表２に示す組成からなるポリアミド樹
脂組成物を、成形し、同様に評価し、その結果を表２に
示す。いずれの組成物も、吸水時の剛性、外観性、耐反
り性、共振周波数を同時に満足出来る物はなかった。

【００１５】

【表２】

【００１６】

【発明の効果】本発明により剛性、外観性、耐反り性、
耐共振性に優れるポリアミド樹脂及び、それからなる制
振材料が提供され、また、特に車両用鏡体保持部品等の
構造物を経済的に生産出来るようになった。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】（Ａ）ポリアミド成分として、（ａ）ア
ジピン酸及びヘキサメチレンジアミンから得られたヘキ
サメチレンアジパミド単位７０〜９５ｗｔ％と、（ｂ）
イソフタル酸及びヘキサメチレンジアミンから得られた
ヘキサメチレンイソフタラミド単位５〜３０ｗｔ％から
なる半芳香族ポリアミド樹脂３０〜７０ｗｔ％と、
（Ｂ）ガラス繊維、２５〜６５ｗｔ％と、（Ｃ）平均粒
子径４〜５０μｍのマイカ、５〜３０ｗｔ％とからなる
ことを特徴そするポリアミド樹脂組成物。
【請求項２】得られる成形品の一次共振周波数が１２
０Ｈｚ以上であることを特徴とする請求項１記載のポリ
アミド樹脂組成物からなる制振材料。
【請求項３】請求項１記載のポリアミド樹脂組成物を成
形して得られる車両用鏡体保持部品。