JP4033362B2 - ポリアミド樹脂複合材料及びその製造方法 - Google Patents

ポリアミド樹脂複合材料及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアミド樹脂複合材料及びその製造方法に関し、さらに詳しくは機械的特性に優れ、低吸水特性、且つブロー成形及びフィルムの製造等に好適な極めて剪断速度依存性の高い粘性挙動を示すポリアミド樹脂複合材料及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
熱可塑性樹脂をはじめとする有機高分子材料の諸特性、特に機械的特性を改良するためにタルク、カオリナイト、マイカなどの無機充填剤を添加することが行われてきている。
しかしながら、熱可塑性樹脂に、これらを単に溶融混合するだけでは無機充填剤が熱可塑性樹脂中に分子状に均一分散しないため、満足できる特性を持つ熱可塑性樹脂複合体は得られていない。
【0003】
ポリアミド樹脂中に層状けい酸塩を分子状に均一分散させるために、けい酸塩、特に層状けい酸塩を選び、これを予め、アミノ酸やポリアミド塩などの有機化合物との複合体にした後、かかる複合体の存在下モノマーを重合せしめ、該複合体を分子状に均一分散させたポリアミド樹脂複合体を製造することが行われている(特公昭58−35211号公報参照)。
【0004】
しかし、この方法では、ポリアミドモノマー末端のアミノ基と負に荷電した層状けい酸塩層とのイオン結合をともなうため、ポリアミドのカルボキシル基とアミノ基の末端基バランスがくずれ、高重合度のポリマーが得られないことや、アミノ末端基が消費されることに起因し、得られたポリアミド樹脂の染色性、印刷性が低下するなどの問題があった。
【0005】
また、ジアミン−ジカルボン酸塩型のモノマーに層状けい酸塩を分散させることは、ジアミンが層状けい酸塩の層間で架橋構造を形成するため困難もしくは不可能であった。
特公平7−47644号公報には、この問題を解決するため、ラクタム又は水などの分散媒に層状けい酸塩を予め分散し、これをポリアミドと混合及び/または混練することが提案されている。
【0006】
しかし、この方法でも反応時間を長くとらなければ層状けい酸塩層とポリアミド高分子鎖が直接イオン結合せず、そのため剪断速度依存性の高い粘性挙動が見られないものしか得られないという欠点があった。ここで剪断速度依存性の高い粘性挙動とは、低剪断領域で粘性が高く、高剪断領域で粘性が低くなる挙動である。
【0007】
また、ジアミン−ジカルボン酸塩型のモノマーから合成されるポリアミド樹脂に層状けい酸塩を分子状に分散させるために、アミノ酸型モノマーから合成されるポリアミドに一旦層状けい酸塩を分子レベルで分散させ、これをジアミン−ジカルボン酸型モノマーから合成されるポリアミド樹脂と溶融混合する方法が考えられるが、ポリアミド同士でも分子レベルで相溶しないため、これらは機械的特性が却って低下してしまうという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、機械的特性を保持し、低吸水性、且つブロー成形及びフィルムの製造等に好適な、極めて剪断速度依存性の高い粘性挙動を示すポリアミド樹脂複合材料を提供することを目的とするものである。
剪断速度依存性の高い粘性挙動を示す樹脂材料がブロー成形性やフィルム製造性等に優れるのは、ブロー成形時のドローダウンの少なさやフィルム製造時の厚み変化が少なくなるという理由による。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、塩型モノマーから合成されるポリアミド樹脂と、層状けい酸塩が分子状に分散されたアミノカルボン酸型モノマーから合成されるポリアミド樹脂を溶融混合する方法について種々検討した結果、次亜リン酸塩の存在下で、塩型モノマーから合成されるポリアミド樹脂と、層状けい酸塩が分子状に均一分散したアミノカルボン酸型モノマーから合成されるポリアミド樹脂を溶融混合することにより、機械的特性および低吸水特性を有し、且つ極めて剪断速度依存性の高い粘性挙動を示すポリアミド樹脂複合材料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明は下記の通りである。
[1]塩型のモノマーから合成されるポリアミド樹脂100重量部を、次亜リン酸塩0.01〜5重量部の存在下で、層状けい酸塩が灰分として1〜60重量%分子状に均一分散したアミノカルボン酸型モノマーから合成されるポリアミド樹脂5〜1000重量部と溶融混合することを特徴とするポリアミド樹脂複合材料の製造方法。
[2] 層状けい酸塩が、アミノカルボン酸型モノマーから合成されるポリアミド樹脂に、分子状に均一分散されていることを特徴とする[1]記載のポリアミド樹脂複合材料の製造方法
[3] 塩型のモノマーから合成されるポリアミド樹脂が、ポリアミド66樹脂、ポリアミド610樹脂、ポリアミド612樹脂、ポリアミド6I樹脂(Iはイソフタル酸の意)、ポリアミド6T樹脂(Tはテレフタル酸の意)、ポリアミドMXD6樹脂(MXDはメタキシリレンジアミンの意)、ポリアミド46樹脂及びそれらの共重合体から選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする[1]または[2]記載のポリアミド樹脂複合材料の製造方法。
[4] アミノカルボン酸型モノマーから合成されるポリアミド樹脂が、ポリアミド6樹脂、ポリアミド3樹脂、ポリアミド11樹脂、ポリアミド12樹脂及びそれらの共重合体から選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のポリアミド樹脂複合材料の製造方法
[5] 層状けい酸塩が膨潤性フッ素雲母であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のポリアミド樹脂複合材料の製造方法
【0014】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に用いられる(A)塩型モノマーから合成されるポリアミド樹脂は、ジアミンとジカルボン酸からなる塩型のモノマーから合成されるポリアミド樹脂であり、例えば、ポリアミド66樹脂、ポリアミド610樹脂、ポリアミド612樹脂、ポリアミド6I樹脂(Iはイソフタル酸の意)、ポリアミド6T樹脂(Tはテレフタル酸の意)、ポリアミドMXD6樹脂(MXDはメタキシリレンジアミンの意)、ポリアミド46樹脂及びこれらの共重合体を例示することができ、これらは1種または2種以上を用いることができる。
【0015】
塩型モノマーから合成されるポリアミド樹脂の相対粘度(ηr)は1.5〜3.5の範囲のものが好ましく、さらに好ましい相対粘度(ηr)の範囲は1.9〜3.0である。相対粘度(ηr)が1.5未満であると靭性が低下する場合があるし、3.5を越えると流動性が低下するため成形品の外観が悪化する場合がある。
【0016】
また、塩型モノマーから合成されるポリアミド樹脂の末端基としてのアミノ基が20〜90ミリ当量/kg、カルボキシル基が20〜100ミリ当量/kgの範囲のものが好ましく、さらに好ましい末端基の範囲はアミノ基が40〜70ミリ当量/kgであり、カルボキシル基が40〜80ミリ当量/kgである。塩型モノマーから合成されるポリアミド樹脂の末端基としてのアミノ基が20ミリ当量/kg未満であると印刷性、染色性が低下する場合があり、90ミリ当量/kgを越えるポリアミドは、高分子量化することがむずかしい。また、カルボキシル基が20ミリ当量/kg未満では、表面処理された無機充填材等との接着性が悪くなる場合があり、100ミリ当量/kgを越えると熱安定性が悪化する可能性が高くなる。
【0017】
本発明に用いられる(B)層状けい酸塩を灰分として1〜60重量%含むアミノカルボン酸型モノマーから合成されるポリアミド樹脂は、例えば、特公昭58−35211号公報の実施例に記載の方法等により得ることができる。すなわち、層状けい酸塩の層間のカチオンを酸でアンモニウムイオン化したアミノカルボン酸に置換後、層状けい酸塩の存在下にカプロラクタムを熱処理し重合する方法である。
【0018】
アミノカルボン酸型モノマーから合成されるポリアミド樹脂としては、例えば、ポリアミド6樹脂、ポリアミド3樹脂、ポリアミド11樹脂およびポリアミド12樹脂及び/又はそれらの共重合体を例示することができ、これらは1種または2種以上を用いることができる。
該アミノカルボン酸型モノマーから合成されるポリアミド樹脂の添加量は、(A)塩型のモノマーから合成されるポリアミド樹脂100重量部に対して、5〜1000重量部であり、好ましくは5〜500重量部、より好ましくは5〜200重量部である。この添加量が5重量部未満であると機械的特性をはじめ剪断速度依存性の高い粘性挙動等の特性も発現することができない。また、1000重量部を越えると吸水率が高くなる。
【0019】
該アミノカルボン酸型モノマーから合成されるポリアミド樹脂中の層状けい酸塩の添加量は、灰分として1〜60重量%の範囲であり、より好ましい範囲は5〜40重量%である。層状けい酸塩の添加量が1重量%未満であると、後に塩型モノマーから合成されるポリアミド樹脂と混合した際、さらに層状けい酸塩の濃度が低下し、機械的特性、粘性挙動等の改善効果が不十分になる。また、層状けい酸塩の添加量が60重量%を越えると、アミノカルボン酸型モノマーから合成されるポリアミド樹脂の分子量が低いものしか得られなくなる。
【0020】
アミノカルボン酸型モノマーから合成されるポリアミド樹脂に含まれる層状けい酸塩は分子状に均一分散していることが好ましい。層状けい酸塩が分子状に均一分散したアミノカルボン酸型モノマーから合成されるポリアミド樹脂とは、アミノカルボン酸型モノマーから合成されるポリアミド樹脂中に分散した層状けい酸塩粒子の重心間の距離の平均値が20〜100Åであり、分散した層状けい酸塩粒子の層の厚みが100Å以下であるような状態で分散した粒子が、アミノカルボン酸型モノマーから合成されるポリアミド樹脂中に含まれる層状けい酸塩粒子の50重量%以上存在することを表している。尚、このような測定は透過型電子顕微鏡写真の画像解析等により実施することができる。
【0021】
層状けい酸塩が分子状に均一分散したアミノカルボン酸型モノマーから合成されるポリアミド樹脂のマトリックスを構成するポリアミド樹脂の相対粘度(ηr)は1.0〜3.5が好ましく、さらに好ましくは1.5〜3.0である。
また、本発明において、層状けい酸塩は、けい酸マグネシウムまたはけい酸アルミニウム層から構成される層状フィロけい酸塩であり、具体的には、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母、サポナイト、バイデライト、ヘクトライト、スティブンサイト、バーミキュライト、ハロイサイト等を例示することができ、好ましくは、モンモリロナイト、膨潤性フッ素雲母、より好ましくは膨潤性フッ素雲母である。これらは合成のものでも天然のものであってもかまわない。
【0022】
層状けい酸塩は、天然に存在する層状けい酸塩および合成された層状けい酸塩を95%以上の高純度化したものがより好ましく、膨潤性フッ素雲母の場合、タルク、珪フッ化ナトリウム及び/又は珪フッ化リチウム等を原料として固相で合成されたものがより好ましい。
層状けい酸塩は水膨潤性の性質を有し、該層状珪酸塩の陽イオン交換容量は20〜300ミリ当量/100gが好ましいが、更に好ましくは60〜300ミリ当量/100gである。陽イオン交換容量が20ミリ当量/100gに満たないと層状けい酸塩が十分にポリマー中で膨潤しないため分子状で均一にポリアミド樹脂中に分散させることが困難となる傾向があり、300ミリ当量/100gを越える層状けい酸塩は天然にほとんど存在しないか、もしくは工業的に合成が困難である。
【0023】
本発明において、層状けい酸塩は、層間にアルカリ、アルカリ土類金属イオン等を含むものが好ましく、これらのイオンとしてはNa+イオン、あるいはLi+イオンが好ましい。これらの層間イオンはアンモニウムイオン、フォスフォニウムイオン等のオニウムイオンでイオン置換しポリアミドモノマーと混合される。
【0024】
本発明に用いられる層状けい酸塩の形状は、層状の結晶構造を有し、層の1辺の長さが平均的に10〜1000nmの範囲、1層の厚みが6〜10Åのものが好ましい。
本発明に用いられる(C)次亜リン酸塩とは、例えば、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸リチウム、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸バリウム、次亜リン酸マグネシウムである。
【0025】
上記、次亜リン酸塩の添加量は、前記塩型モノマーから合成されるポリアミド樹脂の重量を100重量部として、0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜1重量部の範囲である。添加量が0.01重量部未満では本発明の効果が十分に得られないし、5重量部を越えると引張り強度や曲げ弾性率が低下する。
本発明のポリアミド樹脂複合材料は、塩型モノマーから合成されるポリアミド樹脂とアミノカルボン酸型モノマーから合成されるポリアミド樹脂をそれぞれ1種以上含むものであればよい。
【0026】
また、本発明のポリアミド樹脂複合材料は、ポリアミド樹脂を少なくとも10重量%以上、好ましくは20重量%以上含むものであればポリアミド樹脂以外の樹脂との混合物としてもよく、ポリアミド樹脂以外の樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、スチレン−ブタジエンブロック共重合体およびその水添品、熱可塑性ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリオキシメチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリサルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン等を例示することができる。
【0027】
またこれらの樹脂とポリアミド樹脂複合材料を混合する場合、2種以上組み合わせて用いても良い。
これらの樹脂とポリアミド樹脂複合材料を混合する場合、ポリアミド樹脂と非相溶性の組み合わせの場合には、相溶化剤を配合することができる。このような相溶化剤としては、従来公知のものを広く使用することができる。
【0028】
本発明のポリアミド樹脂複合材料は、必要に応じて染料、顔料、繊維状補強物(ガラスファイバー、カーボンファイバー等)、粒子状補強物、離型剤、増粘剤などの成形性改良剤、可塑剤、耐衝撃性改良剤、発泡剤、耐熱性改良剤、難燃剤、核剤等を配合することができる。
本発明のポリアミド樹脂複合材料は、一般に熱可塑性樹脂の成形に用いられている公知の方法、例えば、射出成形、ブロー成形、インフレーション成形、真空成形、押出成形、加熱加圧成形等の方法によって各種成形体に成形され、特に、ブロー成形、インフレーション成形等の加工に好適である。また、フィルムや二軸延伸フィルム、シート、発泡シート、発泡ビーズ、チューブ、マルチフィラメント、モノフィラメント等に成形された後、所望の成形体に成形される。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により限定されるものではない。
なお、評価項目及びその方法は下記の通りである。
(イ)分散性
実施例及び比較例の方法により得られた樹脂複合材料ペレットの超薄切片を切り出し、分散性を日本電子(株)製透過型電子顕微鏡JEM1200を用いて観察した。尚、透過型電子顕微鏡による評価を下記の基準に基づいて行った。
【0030】
○:分散性が良い(厚み1μm以下の層が50%以上である)。
×:分散性が悪い(厚み1μm以下の層が50%未満である)。
××:分散性が非常に悪い(ほとんどが1μm以上の塊で存在する)。
(ロ)粘性挙動
動的粘弾性測定装置(レオメトリックス・サイエンティフィック(株)製RDA−II)を用いて窒素雰囲気下で実施例及び比較例から得られた樹脂複合材料の複素粘度(η*)の剪断速度依存性を測定した。尚、粘性挙動の評価を下記の基準に基づいて行った。
【0031】
○:剪断速度依存性が大きい(1rad/secの剪断速度で測定した複素粘度(η*)の値と500rad/secの剪断粘度で測定した複素粘度(η*)の値の差が1桁以上ある)。
×:剪断速度依存性が小さい(1rad/secの剪断速度で測定した複素粘度(η*)の値と500rad/secの剪断粘度で測定した複素粘度(η*)の値の差が1桁未満である)。
【0032】
(ハ)吸水率
実施例及び比較例の方法から得られた樹脂複合材料を、日本製鋼所(株)製J100SS−II成形機を用いて、樹脂温度295℃でASTM3号ダンベル型成形体を射出成形した。この成形体を23℃水中に24時間放置し、取り出し後成形体表面の水分を拭き取り、23℃、50%RHの雰囲気で30分放置後の重量を測定することにより吸水率を算出した。
【0033】
(ニ)引張り強度
吸水率評価の方法で得られたダンベル型成形体をASTM D123に準じて引張り強度の評価を行った。
(ホ)曲げ弾性率
実施例及び比較例の方法から得られた樹脂複合材料を、日本製鋼所(株)製J100SS−II成形機を用いて、樹脂温度295℃でASTM3号短冊型成形体を射出成形した。この短冊形成形体をASTM D790に準じて曲げ弾性率の評価を行った。
【0034】
【製造例1】
(層状けい酸塩が分子状に均一分散したポリアミド6樹脂の調整)
表1に示す層状けい酸塩50gを水2リットルに混合・分散し、これに12−アミノドデカン酸と35%濃度塩酸水溶液をそれぞれ層状けい酸塩の陽イオン交換容量の1.5倍当量加え、80℃に加熱し60分間撹拌した。さらにブフナーロートを用いて、水で充分洗浄しながら、吸引濾過を行った後、80℃で48時間真空乾燥を行い、層間のナトリウムイオンがアミノドデカン酸イオンに置換された層状けい酸塩の乾燥固体塊を得、さらにこの塊状の複合物を粉砕機で0.3〜10μm程度に細粒化し、粉体を得た(以下、この物質を、処理けい酸塩と略称する)。
【0035】
この処理けい酸塩50g、ε−カプロラクタム450g、アミノカプロン酸50gおよび蒸留水200ccを、攪拌機をつけたセパラブルブルフラスコに仕込み十分に窒素置換を行った。この原料を仕込んだセパラブルフラスコをウッドメタルバスに浸せきし、セパラブルフラスコ内を窒素フローしながら200℃に昇温し脱水した。脱水量を計測し、脱水が飽和した時点で240℃に昇温し4時間重合を行った。
【0036】
【表1】
Figure 0004033362
【0037】
【製造例2】
(層状けい酸塩が分子状に均一分散したポリアミド12樹脂の調整)
ε−カプロラクタムの代わりに12−アミノドデカン酸を用いた以外は製造例1と同様にして調整を行った。
【0038】
【実施例1〜6】
旭化成工業(株)社製ポリアミド66樹脂レオナ1300を100重量部に対して、製造例1で得た層状けい酸塩が分子状に均一分散したポリアミド6樹脂、および次亜リン酸ナトリウムを各々表2記載の量で混合し、ウエルナー&フライドラー社製二軸押出機ZSK25を用いて樹脂温度295℃で溶融混練ペレット化し、ポリアミド樹脂複合材料ペレットを得た。
【0039】
このようにして得られたペレットを窒素フロー雰囲気下、80℃で24時間乾燥し所定の評価を行った。結果を表2に示す。
【0040】
【実施例7】
ポリアミド66樹脂の代わりに、ポリアミド610樹脂[東レ(株)製アミランCM2001]を使用し、押出しでの樹脂温度を250℃で溶融混練ペレット化した以外は、実施例1と同様にして試験片を作成し評価を行った。結果を表2に示す。
【0041】
【実施例8】
層状けい酸塩が分子状に均一分散したポリアミド6樹脂の代わりに、製造例2で得た層状けい酸塩が分子状に均一分散したポリアミド12樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にして試験片を作成し評価を行った。結果を表2に示す。
【0042】
【比較例1〜3】
表3に記載のように、層状けい酸塩が分子状に均一分散したポリアミド6樹脂、次亜リン酸ナトリウムの添加量にした以外は、実施例1と同様にして試験片を作成し評価を行った。結果を表3に示す。
【0043】
【比較例4】
表3に記載のように、次亜リン酸ナトリウムを添加しなかった以外は比較例3と同様にして試験片を作成し評価を行った。結果を表3に示す。
【0044】
【表2】
Figure 0004033362
【0045】
【表3】
Figure 0004033362
【0046】
表2、3より明らかな様に、塩型モノマーから合成されるポリアミド樹脂、層状けい酸塩が分子状に均一分散したアミノカルボン酸型モノマーから合成されるポリアミド樹脂及び次亜リン酸塩からなるポリアミド複合材料は、従来技術の層状けい酸塩が分子状に分散したポリアミド樹脂複合材料に比べ、優れた特性を有する。
【0047】
【発明の効果】
本発明のポリアミド樹脂複合材料は、機械的特性を保持し、低吸水性、且つブロー成形及びフィルムの製造等に好適な極めて剪断速度依存性の高い粘性挙動を示す。
したがって、本発明のポリアミド樹脂複合材料は、例えば、自動車の内外装部品として、ホイールカバー、ディストリビューターカム、トランスミッションノスラストワイヤー、ベアリング、ロータリーシーリング、ブッシュ、ブレーキリーダー、エンジン部品、ショックアブソーバー部品、シートローラー、ドアブッシング、エンジンカバー、ラジエータータンク、インテークマニホールド、燃料タンク、ハーネス類、ワイパーモータカバー、シリンダーヘッドカバー、キャニスター、ラジエーターのウォーターポンプインペラ、インスツルメンタルパネル、ワイヤーハーネスコネクタ、コネクタ類。OA・電子部品としてソケット、スイッチ類、ヒューズボックス、ヒューズケース、電熱ヒーター部品、SMTコネクタ、コネクタ類、複写機部品。その他自転車のホイール、机の脚、椅子の脚等の構造材料、車両部品、日用品、玩具、雑貨、建材部品等の広範な用途に好適である。

Claims (5)

  1. 塩型のモノマーから合成されるポリアミド樹脂100重量部を、次亜リン酸塩0.01〜5重量部の存在下で、層状けい酸塩が灰分として1〜60重量%分子状に均一分散したアミノカルボン酸型モノマーから合成されるポリアミド樹脂5〜1000重量部と溶融混合することを特徴とするポリアミド樹脂複合材料の製造方法。
  2. 層状けい酸塩が、アミノカルボン酸型モノマーから合成されるポリアミド樹脂に、分子状に均一分散されていることを特徴とする請求項1記載のポリアミド樹脂複合材料の製造方法
  3. 塩型のモノマーから合成されるポリアミド樹脂が、ポリアミド66樹脂、ポリアミド610樹脂、ポリアミド612樹脂、ポリアミド6I樹脂(Iはイソフタル酸の意)、ポリアミド6T樹脂(Tはテレフタル酸の意)、ポリアミドMXD6樹脂(MXDはメタキシリレンジアミンの意)、ポリアミド46樹脂及びそれらの共重合体から選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする請求項1または2記載のポリアミド樹脂複合材料の製造方法。
  4. アミノカルボン酸型モノマーから合成されるポリアミド樹脂が、ポリアミド6樹脂、ポリアミド3樹脂、ポリアミド11樹脂、ポリアミド12樹脂及びそれらの共重合体から選ばれた1種または2種以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂複合材料の製造方法
  5. 層状けい酸塩が膨潤性フッ素雲母であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド樹脂複合材料の製造方法
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