JPH11228745A - 給紙系ゴム部材形成用ゴム組成物 - Google Patents

給紙系ゴム部材形成用ゴム組成物

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JPH11228745A
JPH11228745A JP3017198A JP3017198A JPH11228745A JP H11228745 A JPH11228745 A JP H11228745A JP 3017198 A JP3017198 A JP 3017198A JP 3017198 A JP3017198 A JP 3017198A JP H11228745 A JPH11228745 A JP H11228745A
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rubber
crosslinked
organic
conductivity
particles
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JP3017198A
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English (en)
Inventor
Masaaki Takashima
正昭 高嶋
Kiyonori Kita
清訓 喜多
Toru Hasegawa
亨 長谷川
Kenji Yasuda
健二 安田
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JSR Corp
Original Assignee
JSR Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低硬度、低圧縮永久歪み、非粘着性でブリー
ドアウトが生じず、適度の導電性を有し、しかも環境安
定性が高くて紙に対して高い摩擦係数が長期間にわたっ
て維持される給紙系ゴム部材が得られるゴム組成物を提
供すること。 【解決手段】 本発明のゴム組成物は、トルエン不溶分
が30重量%以上である架橋シリコーンゴムからなる数
平均粒子径が20μm以下の架橋ゴム粒子(A)と、こ
の架橋ゴム粒子(A)が分散された有機ゴム(B)と、
前記架橋ゴム粒子(A)および有機ゴム(B)の少なく
とも一方に含有された1次粒子平均径が1nm以上で5
0nm以下のシリカ充填剤(C)と、前記架橋ゴム粒子
(A)および有機ゴム(B)の少なくとも一方に含有さ
れた導電性付与物質(D)とよりなる。架橋ゴム粒子
(A)と有機ゴム(B)の割合は、重量で、5/95〜
80/20の範囲内であることが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複写機、プリンタ
ーなどの電子写真装置、静電記録装置、その他の給紙機
構を有する各種の装置における給紙系ゴム部材を形成す
るために好適に用いられるゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、複写機、プリンターなどの電子
写真装置や静電記録装置においては、種々の部分におい
てゴム製の部材が用いられており、電子写真プロセスに
おける帯電、現像、転写、トナー層形成、クリーニン
グ、定着、給紙すなわち記録紙堆積体からの紙葉の分離
供給およびその搬送などの多様な機能の遂行に供されて
いる。そして、これらのプロセスにおいて用いられるゴ
ム部材の材質としては、通常は低硬度のゴム材料が性能
上望ましいとされており、それは、各プロセスでの設計
許容範囲が大きくなるからである。例えば、低硬度のゴ
ム材料で形成された現像ロールによれば、感光体に対し
て良好な対接状態が得られるため、好適なトナー搬送が
遂行されるようになる。
【0003】また、上記の各種の装置においては、給紙
系ゴム部材として例えば給紙用のロール、ベルト、パッ
ド、ブレードなどが設けられており、その材質として、
例えばポリウレタンゴム、アクリロニトリル−ブタジエ
ンゴム、シリコーンゴムなどよりなるゴム材料が用いら
れている。このような給紙系ゴム部材、例えば記録紙を
分離供給または搬送するための給紙ロールにおいても、
目的とする機能が確実に発揮されるためには、変形が容
易で紙に対して大きな圧接面積が得られることが必要で
あるとされており、そのような観点から、低硬度化が図
られたゴム材料が用いられている。
【0004】一般にウレタンゴムやアクリロニトリル−
ブタジエンゴムは、機械的強度、特に耐磨耗性に優れて
おり、重送防止性のゴム部材の材料として優れている反
面、いわゆる「鳴き」と呼ばれる不快な振動音を発生す
る不都合があり、さらに耐候性が小さくて耐久性あるい
は環境安定性に劣る上、弾性の温度依存性が大きいため
に低温時に給紙搬送力が劣るという問題があった。ここ
に、「重送」とは、堆積体から2枚以上の紙が同時に送
出される現象をいう。一方、シリコーンゴムは環境安定
性に優れているが、機械的強度が十分なものではない。
【0005】以上の事情から、従来、例えば特公昭54
−43020号公報および特開平8−282866号公
報などに示されているように、上記2種のゴム材料の欠
点が互いに補完されることを期待して両者を単純にブレ
ンドしたり、両者の相溶性が低い場合には相溶化剤を添
加してブレンドすることが行われてきたが、両方のゴム
材料が有する特長乃至利点を十分に兼備するゴム材料を
得ることはできなかった。
【0006】一方、ゴム材料の低硬度化を達成する方法
の一つとしてゴム材料を発泡体とすることも提案されて
いるが、そのような発泡体ゴム材料は、耐摩耗性が小さ
い点で実用性の低いものである。また、発泡体とせずに
低硬度のゴム材料を実現するために、ゴム組成物に可塑
剤や伸展油などを配合し、高分子量成分の含有量を相対
的に減少させて硬度の低いゴム材料を得る方法がある。
しかしながら、このゴム材料では、可塑剤、伸展油など
の低分子量成分がブリードアウトするため、給紙系ゴム
部材とされた場合に、その表面にトナー、紙粉などが付
着したり、低硬度であることが原因となって表面が粘着
性を帯びるため、感光体や記録紙を汚染してしまうとい
う問題があり、結局、電子写真プロセスを遂行するため
の給紙系ゴム部材のゴム材料としては必ずしも好適なも
のではない。
【0007】さらに、ブリードアウトによる汚染の問題
を解決するために、感光体や記録紙に直接接触する部分
を非汚染性の樹脂あるいはゴムで被覆する方法も提案さ
れているが、そのような給紙系ゴム部材は製造工程が複
雑になり、コストが高くなるという問題が生じる。ま
た、給紙系ゴム部材が低温度で低湿度の環境条件で使用
される場合には、ゴム材料が帯電しやすくなり、紙粉な
どが当該給紙系ゴム部材の表面に付着するようになり、
また摩擦抵抗が大幅に低下して重送が生じやすくなる、
という問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
ゴム材料では、満足すべき特性を有する給紙系ゴム部材
を得ることができない。本発明は、以上の事情に基づい
てなされたものであり、その目的は、低硬度、低圧縮永
久歪み、非粘着性でブリードアウトが生じず、適度の導
電性を有し、しかも環境安定性が高くて紙に対して高い
摩擦係数が長期間にわたって維持されるゴム材料が得ら
れる給紙系ゴム部材形成用ゴム組成物を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の給紙系ゴム部材
形成用ゴム組成物は、トルエン不溶分が30重量%以上
である架橋シリコーンゴムからなる数平均粒子径が20
μm以下の架橋ゴム粒子(A)と、この架橋ゴム粒子
(A)が分散された有機ゴム(B)と、前記架橋ゴム粒
子(A)および有機ゴム(B)の少なくとも一方に含有
された1次粒子平均径が1nm以上で50nm以下のシ
リカ充填剤(C)と、前記架橋ゴム粒子(A)および有
機ゴム(B)の少なくとも一方に含有された導電性付与
物質(D)とよりなることを特徴とする。ここに、架橋
ゴム粒子(A)と有機ゴム(B)との割合は、重量で、
架橋ゴム粒子(A)/有機ゴム(B)=5/95〜80
/20の範囲内であることが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明する。本発明に係る給紙系ゴム部材形成用ゴム組成物
は、特定の架橋シリコーンゴムからなる架橋ゴム粒子
(A)と、この架橋ゴム粒子(A)が分散された有機ゴ
ム(B)とによりゴム成分が構成され、このゴム成分中
にさらに特定のシリカ充填剤(C)が含有されると共
に、有機ゴム(B)にはさらに導電性付与物質(D)が
含有されてなるものである。ここに、シリカ充填剤
(C)は、架橋ゴム粒子(A)および有機ゴム(B)の
いずれか一方のみに含有されてもよいが、両方に含有さ
れてもよい。また、導電性付与物質(D)も、架橋ゴム
粒子(A)および有機ゴム(B)のいずれか一方のみに
含有されてもよいが、両方に含有されてもよい。
【0011】本発明のゴム組成物において、ゴム成分を
構成する架橋ゴム粒子(A)と有機ゴム(B)との割合
は、重量で、架橋ゴム粒子(A)/有機ゴム(B)=5
/95〜95/5の範囲内とされ、好ましくは10/9
0〜80/20、さらに好ましくは20/80〜70/
30の範囲内である。架橋ゴム粒子(A)の割合が過小
であると、得られるゴム組成物によって形成される給紙
系ゴム部材は、耐熱性および耐候性などの環境安定性に
劣ったものとなって使用寿命が短くなり、また給紙時に
「鳴き」が生じやすいものとなる。一方、架橋ゴム粒子
(A)の割合が過大であると、給紙系ゴム部材は、機械
的強度が不十分で、重送防止性に劣ったものとなる。
【0012】架橋シリコーンゴムよりなる架橋ゴム粒子
(A)の原料としては未架橋シリコーンゴムが用いら
れ、その種類は特に限定されるものではないが、例えば
ポリジメチルシロキサン、ポリメチルビニルシロキサ
ン、ポリメチルフェニルビニルシロキサン、ポリメチル
p−ビニルフェニルシロキサン、ポリメチルトリフルオ
ロプロピルビニルシロキサン、これらのポリオルガノシ
ロキサンの変性体よりなるシリコーンゴム、その他を挙
げることができる。これらのシリコーンゴムは単独であ
るいは2種類以上を併用することができる。
【0013】架橋ゴム粒子(A)は、シリコーンゴムの
架橋体による特定の性状を有する粒子であり、有機ゴム
(B)中に分散状態で含有される。この架橋ゴム粒子
(A)は、数平均粒子径が20μm以下であり、好まし
くは10μm以下、更に好ましくは5μm以下である。
また、当該架橋ゴム粒子(A)を形成する架橋シリコー
ンゴムは、トルエン不溶分が30重量%以上であること
が必要であり、好ましくは50重量%以上、更に好まし
くは70重量%以上である。
【0014】架橋ゴム粒子(A)の数平均粒子径が20
μmを超える場合には、得られるゴム組成物によるゴム
材料は耐磨耗性が劣ったものとなり、一方、トルエン不
溶分が30重量%未満の場合には、架橋シリコーンゴム
の架橋の程度が低いため、得られるゴム材料は、表面に
未架橋のシリコーンゴムの一部がブリードアウトするも
のとなる。その結果、当該ゴム材料により形成される給
紙系ゴム部材を例えばインクジェットプリンターに適用
した場合には、記録紙における当該給紙系ゴム部材の接
触部分に当該ゴム部材の跡が残ったり、当該接触部分が
がインクを撥くようになるために画像が不鮮明なものと
なるおそれがある。
【0015】架橋ゴム粒子(A)の数平均粒子径は、ゴ
ム組成物を凍結切断してその切断面を透過型電子顕微鏡
で観察し、架橋ゴム粒子(A)の数が約50〜100個
存在する面領域を任意に3個所選定し、その各々につい
て、架橋ゴム粒子(A)の長径と個数を調べ、その結果
から数平均粒子径を算出し、得られた3個の領域につい
ての数平均粒子径の値の平均値として求められるもので
ある。
【0016】また、架橋シリコーンゴムのトルエン不溶
分は架橋の程度を示す指標であり、試料を325メッシ
ュの金網のカゴに精秤して入れ、大過剰の沸騰トルエン
中に放置して6時間経過後にカゴを取り出して不溶分を
乾燥した後精秤し、その重量を溶解前の試料の全重量で
除して得られる値である。また、有機ゴム(B)とのブ
レンド後にシリコーンゴムの架橋が行われる場合には、
ブレンド後のゴム組成物を試料としてこれを325メッ
シュの金網に精秤して入れ、大過剰の沸騰トルエン中に
放置して6時間経過後にカゴを取り出し、トルエン溶液
部分をロータリーエバポレーターで処理してトルエンを
除去し、真空乾燥機で乾燥することによりトルエン溶解
分の重合物を取り出して精秤すると共に、当該トルエン
溶解分の重合物を核磁気共鳴吸収法(NMR)で測定す
ることにより架橋シリコーンゴム成分と有機ゴム成分と
の組成比を求めて溶解シリコーンゴム分の重量を求め、
この値と、前記試料の重量と、シリコーンゴムのブレン
ド比とから、不溶化したシリコーンゴムの割合を求める
手法によって得られる値である。
【0017】本発明における有機ゴム(B)としては、
例えば天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、ス
チレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ウレタン
ゴム、アクリルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴ
ムあるいは水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム、
ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン・プロピ
レンゴム、エチレン・プロピレン・非共役ジエンゴム、
エチレン−酢酸ビニルゴム、クロロスルホン化ポリエチ
レン、エチレン−アクリル酸エステルゴム、ポリサルフ
ァイドゴム、エピクロルヒドリンゴム、エピクロルヒド
リン−エチレンオキシドゴム、フッ素ゴムなどを挙げる
ことができる。これらの中で好ましいものは、ウレタン
ゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシドゴム、ア
クリルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、水素
化アクリロニトリル−ブタジエンゴム、フッ素ゴムであ
り、さらに好ましいものはアクリロニトリル−ブタジエ
ンゴム、アクリルゴムおよびフッ素ゴムである。これら
は単独でまたは2種以上を併用することができる。
【0018】本発明の給紙系ゴム部材形成用ゴム組成物
におけるゴム成分、すなわち既述の性状を有する架橋ゴ
ム粒子(A)と、これが分散された有機ゴム(B)とよ
りなるゴム混合物を製造するためには、次の〔方法1〕
〜〔方法3〕のいずれかを好ましく利用することができ
る。
【0019】〔方法1〕 未架橋のシリコーンゴムと有
機ゴム(B)とを均一にブレンドし、その状態で未架橋
のシリコーンゴムを架橋させることにより、トルエン不
溶分が30重量%以上の架橋シリコーンゴムよりなる数
平均粒子径が20μm以下の架橋ゴム粒子(A)を有機
ゴム(B)中において生成させる方法。 〔方法2〕 トルエン不溶分が30重量%以上の架橋シ
リコーンゴムよりなる数平均粒子径が20μm以下の架
橋ゴム粒子(A)を独自に製造し、これを、有機ゴム
(B)に、ミキサー、ロールなどを用いて混合する方
法。 〔方法3〕 トルエン不溶分が30重量%以上の架橋シ
リコーンゴムよりなる数平均粒子径が20μm以下の架
橋ゴム粒子(A)のエマルジョンを製造し、この架橋ゴ
ム粒子(A)に対し、有機ゴム(B)のための単量体を
グラフト重合させる方法。
【0020】上記の〔方法1〕の具体的手段としては、
以下の方法が好ましい。 (方法1A) 未架橋のシリコーンゴムと、有機ゴム
(B)とを混練り機を用いて練りトルクが一定になるま
で混練りし、その状態で、シリコーンゴム用架橋剤を混
練りしながら加え、その上で適当な温度に維持してシリ
コーンゴムの架橋反応を進行させることにより、有機ゴ
ム(B)中において架橋ゴム粒子(A)を生成させる方
法。
【0021】ここに、混練り機としては、二本ロール、
インターナルミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー
などの通常の混練り機を用いることができる。また、シ
リコーンゴム用架橋剤としては、多価ヒドロシリル化合
物と周期律表第VIII 族遷移金属化合物触媒(例えば好
ましくは白金系触媒)との組合せ、過酸化物、イオウ、
イオウ化合物などが用いられるが、シリコーンゴムがカ
ルビノールなどを導入した変性シリコーンゴムである場
合には、多官能性イソシアネート化合物、エポキシ化合
物などが用いられる。
【0022】また、上記のシリコーンゴム用架橋剤とし
て用いられる多価ヒドロシリル化合物は、特にその化学
構造が制限されるものではないが、ポリオルガノシロキ
サンとヒドロシリル化反応を生起し、架橋構造を生成す
るものである必要がある。具体的には、1分子中にケイ
素原子に結合した水素原子を少なくとも2個以上有する
ポリオルガノハイドロジェンシロキサンが好ましく用い
られる。このようなポリオルガノハイドロジェンシロキ
サンは周知であり、その具体例としては下記の(式1)
〜(式7)に示したものを挙げることができる。
【0023】
【化1】 (式中、R1 は炭素数が1〜18のアルキル基、m≧
0、n≧2である。)
【0024】
【化2】 (式中、R1 は炭素数が1〜18のアルキル基であ
る。)
【0025】
【化3】 (式中、R1 は炭素数が1〜18のアルキル基、R2
ブチル基またはフェニル基を示す。)
【0026】
【化4】 (式中、R1 は炭素数が1〜18のアルキル基、m≧
0、2つのnはそれらの合計が2以上となる値であ
る。)
【0027】
【化5】 (式中、R1 は炭素数が1〜18のアルキル基、R3
メチル基またはフェニル基を示し、p≧0である。)
【0028】
【化6】 (式中、R1 は炭素数が1〜18のアルキル基、q≧
0、r≧1である。)
【0029】
【化7】 (式中、R1 は炭素数が1〜18のアルキル基、s≧1
である。)
【0030】(方法1B) シラノール基を有する未架
橋のシリコーンゴムと有機ゴム(B)とを混練り機を用
いて混練りし、加水分解してシラノール基と縮合反応す
る架橋性成分を当該縮合反応のための触媒と共に加え、
適当な温度下においてシリコーンゴムを加水分解・縮合
反応させることにより、架橋シリコーンゴムよりなる架
橋ゴム粒子(A)を有機ゴム(B)中において生成させ
る方法。ここで、架橋性成分としては、加水分解してシ
ラノール基と縮合反応する加水分解性基を分子内に2個
以上含有するケイ素化合物が用いられる。また、この反
応のための触媒としては、重金属化合物、アミン類もし
くは第四級アンモニウム塩を挙げることができる。
【0031】上記(方法1B)において、架橋性成分と
して用いられるケイ素化合物としては、例えば式 Ra
SiX4-a (式8)(ここで、Rは1価の炭化水素基、
Xはケイ素原子に結合した加水分解し得る基である。)
で表されるオルガノシランまたはその部分加水分解縮合
物を挙げることができる。シランの場合には、aは0〜
3の範囲から選ばれた適宜の値であるが、いずれの場合
も1分子中に2個以上のXを有することが必要である。
【0032】ここでXの具体例としては、アセトキシ基
のようなアシロキシ基;イソプロポキシ基、ブトキシ基
のようなアルコキシ基;アセトンオキシム基、メチルエ
チルケトオキシム基のようなオキシム基;ジメチルアミ
ノ基、ジエチルアミノ基のようなアミノ基;ジメチルア
ミノオキシ基、ジエチルアミノオキシ基のようなアミノ
オキシ基;メチルカルボニルメチルアミノ基のようなア
ミド基;イソシアネート基;水酸基および塩素原子から
選ばれる基または原子である。
【0033】以上の(方法1A)および(方法1B)の
混練り工程においては、シリコーンゴムの架橋反応の進
行に伴って練りトルクが上昇するが、練りトルクが一定
になるまで混練りすることが好ましい。これにより、シ
リコーンゴムが十分に粒径の小さい状態に分割されると
共に架橋反応が十分に進行するため、生成する架橋ゴム
粒子(A)が確実に目的とする性状のもの、すなわちト
ルエン不溶分が30重量%以上であって数平均粒子径が
20μm以下のものとすることができる。なお、混練り
に際しては、通常の充填剤、加工助剤などの第三成分を
工程前にあるいは混練り工程の最中に添加することがで
きる。
【0034】上記の〔方法2〕に用いられる架橋ゴム粒
子(A)を製造するための具体的手段としては、次の方
法を挙げることができる。 (方法2A) 未架橋のシリコーンゴムをシリコーンゴ
ム用架橋剤により架橋させて架橋シリコーンゴムを製造
し、これをボールミルなどで低温あるいは常温で機械的
に粉砕する方法。ここに、シリコーンゴム用架橋剤とし
ては、上記の(方法1A)に示したものを用いることが
できる。
【0035】(方法2B) シラノール基を有する未架
橋のシリコーンゴムに、加水分解してシラノール基と縮
合反応する架橋性成分を、当該反応のための触媒と共に
加え、シリコーンゴムを加水分解・縮合反応させて架橋
シリコーンゴムを製造し、これをボールミルなどで低温
あるいは常温で機械的に粉砕する方法。ここに、架橋性
成分および触媒としては、上記の(方法1B)に示した
ものを用いることができる。 (方法2C) 数平均粒子径が20μm以下の未架橋の
シリコーンゴム粒子よりなるラテックスを製造し、この
ラテックス状態のまま、過酸化物あるいは電子線で処理
してシリコーンゴムを架橋して架橋ゴム粒子(A)を得
る方法。
【0036】上記(方法2C)において、未架橋のシリ
コーンゴム粒子よりなるラテックスは、未架橋のシリコ
ーンゴムをトルエン、ヘキサンなどの溶媒に溶解して得
られる溶液を、乳化剤を分散させた水中で乳化してエマ
ルジョンとし、このエマルジョンから溶媒を除去するこ
とにより製造することができる。エマルジョンを得るた
めには、高速攪拌羽根を有するホモミキサーあるいは高
速パイプ乳化機などを用いる方法、その他の公知の方法
を使用することができる。
【0037】また、上記のラテックスを製造するため
に、未架橋のシリコーンゴムを、多軸スクリュー押出機
を用いて、有機溶剤および乳化剤、並びに必要な環状シ
ロキサンオリゴマー、多官能アルコキシシランなどのゲ
ル化剤および公知のアニオン系またはカチオン系界面活
性剤と共に、酸またはアルカリ性のシロキサン重合触媒
の存在下で乳化重合処理することにより、シリコーンゴ
ムラテックスを得ることもできる。
【0038】以上のラテックスの製造方法においては、
いずれの場合にも、乳化助剤として部分ケン化ポリビニ
ルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、変性ポ
リエチレンワックスなどを添加することにより、安定し
たラテックスを得ることができる。
【0039】上記の〔方法3〕の具体的手段としては、
通常のオルガノシロキサンと、エチレン性不飽和基を含
む原子団およびアルコキシシリル基を共に有するグラフ
ト交叉剤とを、触媒の存在下に重縮合させ、これによっ
て得られる変性シリコーンゴムエマルジョンに、有機ゴ
ム(B)のための単量体を、重合開始剤を用いてグラフ
ト重合させることによって得る方法を挙げることができ
る。
【0040】上記の架橋ゴム粒子(A)と有機ゴム
(B)とよりなるゴム成分中には、シリカ充填剤(C)
が含有されるが、具体的には、架橋ゴム粒子(A)およ
び有機ゴム(B)のいずれか一方または両方の成分中に
含有される。このように、シリカ充填剤(C)がゴム成
分中に含有されることにより、得られる給紙系ゴム部材
は機械的強度が大きいものとなる。
【0041】本発明において、シリカ充填剤(C)とし
ては、その1次粒子平均径が1nm以上で50nm以下
のものが用いられる。1次粒子平均径が50nmを超え
るシリカ充填剤を用いると、得られるゴム材料は機械的
強度が小さいものとなり、一方、1nm未満のシリカ充
填剤は飛散しやすく、作業上あるいは環境上の問題があ
るので好ましくない。シリカ充填剤(C)の具体例とし
ては、煙霧質シリカ、沈澱シリカを用いることができ、
これらのシリカを各種の表面処理剤を用いて疎水化処理
したものを用いることもできる。これらの中で好ましい
ものは煙霧質シリカであり、特に煙霧質シリカを疎水化
処理したものが好ましい。これらのシリカ充填剤(C)
によれば、機械的強度に優れており、また低硬度で低圧
縮永久歪み性に優れたゴム材料を得ることができる。
【0042】シリカを疎水化処理するための表面処理剤
としては、例えば(CH3 3 SiCl、(CH3 2
SiCl2 、〔(CH3 3 Si〕2 NH、〔(C
3 2SiO〕4 、RSi(OR1 3 などを挙げる
ことができる。ここに、Rはアルキル基を示す。このよ
うな表面処理剤によって疎水化処理されたシリカは、ゴ
ム成分に対して高い親和性を有するものとなる。
【0043】シリカ充填剤(C)を添加する方法として
は、未架橋のシリコーンゴムに密閉型混練機、オープン
ロールなどによって予め混入する方法、シリコーンゴム
と有機ゴム(B)とを混合するときまたは混合した後に
添加する方法を利用することができる。シリカ充填剤
(C)の割合は、架橋ゴム粒子(A)および有機ゴム
(B)からなるゴム成分100重量部に対して0.1〜
20重量部、好ましくは0.5〜15重量部、さらに好
ましくは1〜10重量部とされる。シリカ充填剤(C)
の割合が過小では、得られるゴム材料は機械的強度が低
いものとなり、一方、過大の場合には、得られるゴム材
料は耐圧縮永久歪み性が劣ったものとなる。
【0044】以上のシリカ充填剤(C)を、上記の〔方
法1〕〜〔方法3〕によって得られる、架橋ゴム粒子
(A)が有機ゴム(B)中に分散されてなるゴム成分と
共に、例えば通常のオープンロールあるいは密閉式混練
り機を使用して混練りすることにより、架橋ゴム粒子
(A)と共にシリカ充填剤(C)が有機ゴム(B)中に
分散含有されてなるゴム組成物が得られる。また、架橋
ゴム粒子(A)中にシリカ充填剤(C)が含有された状
態のゴム組成物は、架橋ゴム粒子(A)を得るための未
架橋のシリコーンゴム中にシリカ充填剤(C)を分散さ
せ、これを有機ゴム(B)に混練りした後、当該未架橋
のシリコーンゴムの架橋処理を行う方法、またはシリカ
充填剤(C)が分散された未架橋のシリコーンゴムを架
橋させて架橋ゴム粒子(A)を製造し、これを有機ゴム
(B)中に混練りする方法によって製造することができ
る。
【0045】上記の架橋ゴム粒子(A)およびゴム成分
の有機ゴム(B)の少なくとも一方または両方には、さ
らに導電性付与物質(D)が含有されるが、特に有機ゴ
ム(B)中に含有されることが好ましい。これにより、
得られるゴム材料は電気抵抗値が低いものとなり、これ
による給紙系ゴム部材は、低温度で低湿度の環境におい
ても、帯電が防止されてトナーや紙粉の付着性が低いも
のとなる。この導電性付与物質(D)は、架橋ゴム粒子
(A)中にも含有させることができる。
【0046】本発明において、導電性付与物質(D)と
しては、電子伝導機構による導電性付与物質(Da)お
よびイオン伝導機構による導電性付与物質(Db)の少
なくとも一方または両方を用いることができる。また、
導電性付与物質(D)と共に陽イオン性界面活性剤、陰
イオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性
剤などの帯電防止剤を併用することもできる。
【0047】電子伝導機構による導電性付与物質(D
a)としては、当該物質それ自体が電子伝導性による導
電性を有する物質の粉末あるいは繊維状体を用いること
ができる。具体的には、一般的なカーボンブラック、グ
ラファイト系物質の粉末あるいはそれらの単繊維、銅、
ニッケル、銀などの導電性金属粉あるいはそれらの繊維
状物質、酸化スズ、酸化チタン、酸化インジウムなどの
導電性金属酸化物、各種のフィラー材の単位体の表面に
金属メッキを施して導電性を付与した物質、ポリアセチ
レン、ポリピロール、ポリアニリンなどの有機導電性物
質の微粉末、その他を挙げることができる。これらは単
独で、または2種以上を併用することができる。上記導
電性付与物質(Da)のうち好ましいものはカーボンブ
ラックであり、その具体例としては、ファーネスブラッ
ク、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、アセチ
レンブラックなどがあるが、これらのうち、特に導電性
が高い点でケッチェンブラックが好ましく用いられる。
【0048】また、イオン伝導機構による導電性付与物
質(Db)としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリ
ウム塩などの周期律表第I族の金属塩、例えばLiCF
3 SO3 、NaClO4 、LiClO4 、LiAs
6 、LiBF4 、NaSCN、KSCN、NaClな
ど、あるいは第4級アンモニウム塩などの電解質、カル
シウム塩、バリウム塩等の周期律表第II族の金属塩、例
えばCa(ClO4 2 など、並びに、これらと、1,
4−ブタンジオール、エチレングリコール、ポリエチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレング
リコールなどの多価アルコール若しくはそれらの誘導体
などとの錯体、またはエチレングリコールモノメチルエ
ーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどの
モノオールとの錯体を挙げることができる。以上のう
ち、特にリチウム、ナトリウム、カリウムなどの金属塩
およびその錯体、あるいはカルシウム、バリウムなどの
金属塩およびその錯体またはそれらの複合体が好まし
い。
【0049】導電性付与物質(D)は、電子伝導機構に
よる導電性付与物質(Da)およびイオン伝導機構によ
る導電性付与物質(Db)のいずれも、上記のシリカ充
填剤(C)の添加方法と同様の方法により添加すること
ができるが、特に架橋ゴム粒子(A)を有機ゴム(B)
中に分散させるときに同時に添加する方法、あるいは架
橋ゴム粒子(A)を有機ゴム(B)中に分散させた後に
添加する方法が好ましい。これらの方法による場合に
は、導電性付与物質(D)は、ゴム成分においてマトリ
ックスを形成している有機ゴム(B)中にのみ選択的に
存在する偏在状態となるため少量で十分な導電性を発現
させることができ、従ってゴム材料において、低硬度、
低圧縮永久歪性などの特性が犠牲にされることが抑止さ
れる。
【0050】既述のように、導電性付与物質(D)は架
橋ゴム粒子(A)にも含有させることができる。しか
し、例えば、イオン伝導機構による導電性付与物質(D
b)の存在する状態でヒドロシリル化反応を利用して架
橋ゴム粒子(A)を生成させると、反応系にイオウ化合
物が存在するために、反応の程度が不十分となったり、
反応が進行しないおそれがある。従って、イオン伝導機
構による導電性付与物質(Db)は、架橋ゴム粒子
(A)が生成された後に添加することが好ましい。
【0051】本発明によるゴム組成物を架橋(加硫)さ
せるためには、有機ゴム(B)を構成するゴムの種類に
より、イオウ系加硫剤、有機過酸化物、キノイド加硫
剤、樹脂加硫剤、金属酸化物加硫剤、含イオウ有機化合
物、アミン加硫剤、トリアジン系加硫剤、ポリオール加
硫剤、金属石鹸加硫剤、マレイミド系加硫剤などの架橋
剤が適宜選択して使用される。また、架橋剤としてイオ
ウ系加硫剤を使用する場合には、加硫促進剤を併せて使
用することができる。一方、有機過酸化物を使用する場
合には、共架橋剤を併用することもできる。
【0052】本発明の給紙系ゴム部材形成用ゴム組成物
には、通常のゴム組成物で使用される各種の添加剤を適
宜の範囲で配合することができる。このような添加剤と
しては、例えば、滑剤、金属酸化物、軟化剤、可塑剤、
老化防止剤、顔料、染料、加工助剤、活性剤、カップリ
ング剤、内部離型剤、スコーチ防止剤、発泡剤、発泡助
剤、抗菌剤などを挙げることができる。
【0053】本発明のゴム組成物によるゴム材料は、そ
れ自体の特性として低硬度、低圧縮永久歪み、非粘着性
でブリードアウトが生じず、適度の導電性を有し、しか
も環境安定性が高くて紙に対して高い摩擦係数が長期間
にわたって維持されるため、このゴム材料により形成さ
れる給紙系ゴム部材は、長期間にわたり円滑で良好な給
紙特性が得られてジャム(紙詰まり)がなく、重送防止
性および「鳴き」防止性に優れた効果が発揮される。従
って、本発明のゴム組成物による給紙系ゴム部材は、複
写機、プリンターなどの電子写真装置、静電記録装置、
その他の給紙機構を有する各種の装置において好適に用
いることができる。
【0054】
【実施例】以下、本発明の実施例について具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、「部」は「重量部」を意味する。 実施例1 p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン2.0部お
よびオクタメチルシクロテトラシロキサン98.0部を
混合し、これを、ドデシルベンゼンスルホン酸2.0部
を溶解した蒸留水300部中に入れ、ホモミキサーによ
り3分間攪拌して乳化分散させた。この混合液を、コン
デンサー、窒素導入口および攪拌機を備えたセパラブル
フラスコに移し、攪拌混合しながら90℃で6時間加熱
し、5℃で24時間冷却することによって縮合を完結さ
せて変性ポリオルガノシロキサンのエマルジョンを製造
した。この変性ポリオルガノシロキサンにおけるオクタ
メチルシクロテトラシロキサンの縮合率は89.5%で
あった。
【0055】この変性ポリオルガノシロキサンエマルジ
ョンを炭酸ナトリウム水溶液でpH7に中和して、架橋
シリコーンゴムエマルジョンを得た。これをエマルジョ
ンE−1とする。なお、このエマルジョンE−1の重合
体を塩析により測定したところ、平均重合度はケイ素原
子数で5000、重合体の有機基中のp−ビニルフェニ
ル基の割合は0.3%であった。
【0056】次に、表1に示す重合処方に従い、内容積
6リットルのオートクレーブ内に、上記のエマルジョン
E−1の38部を入れ、次いで1,3−ブタジエン1
9.2部およびアクリロニトリル42.8部、ラジカル
重合開始剤として硫酸第1鉄0.005部およびパラメ
ンタンハイドロパーオキサイド0.1部、並びに乳化剤
としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部を投
入し、温度30℃で反応させた。そして、単量体成分の
転化率が61.3%に達した後にN−ジエチルヒドロキ
シアミン0.2部を加えて重合を停止させた。次いで反
応溶液に安定剤としてアルキル化ジフェニルアミン1部
を加えて水蒸気蒸留により未反応単量体を除去した後、
硫酸アルミニウムを加え、生成した重合体を凝固させ
た。ここに得られた重合体を水洗した後、真空乾燥機を
用いて乾燥し、試料S−1を得た。また、試料S−1中
の不溶分および数平均粒子径を求めた。結果を表2に示
した。
【0057】ここに得られた重合体を水洗した後、真空
乾燥機を用いて乾燥して、架橋シリコーンゴムよりなる
架橋ゴム粒子(A)が有機ゴム(B)中に分散されてな
る混合ゴムを製造した。これを試料S−1とする。そし
て、この試料S−1中の架橋ゴム粒子(A)について、
トルエン不溶分および数平均粒子径を求めた。結果を表
2に示す。
【0058】次に、表3に示す処方に従って、この試料
S−1の100部に対し、加工助剤であるステアリン酸
1部、シリカ充填剤C1の5部、導電性付与物質Da1
の10部、導電性付与物質Db1の2部並びに架橋剤1
部および架橋助剤1の1部を配合してゴム組成物を製造
した。ここに、シリカ充填剤C1は、ジメチルジクロロ
シランによって表面処理された1次粒子平均径が20n
mの疎水性シリカ「アエロジルR972」(日本アエロ
ジル社製)、導電性付与物質Da1はカーボンブラック
「デンカブラックHS100」(電気化学工業社製)、
導電性付与物質Db1はLiClO4 とCH3OCH2
CH2 OCH2 CH2 OHとの錯体「MP−100−
A」(昭島化学工業社製)、架橋剤は1,3−ビス(t
−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン「パーカド
ックス#14/40」(日本化薬アクゾ社製)、架橋助
剤1はN,N’−メタフェニレンビスマレイミド「バル
ノックPM」(大内新興化学工業社製)である。また、
このようにして得られたゴム組成物に対し、170℃で
20分間加圧加熱する一次処理、さらに200℃で4時
間加熱する二次処理による架橋処理を施して架橋ゴムを
作製した。さらに、当該架橋ゴムをゴム材料として、電
子写真複写機用の紙送りロール、紙送りベルトおよび重
送防止用パッドを製造した。
【0059】実施例2 ケイ素原子に結合した有機基の1モル%がビニル基で残
余がメチル基であり、平均重合度が5500の直鎖状ポ
リメチルビニルシロキサン100部と、1次粒子平均径
が20nmの微粉末シリカ「アエロジル130」(日本
アエロジル社製)の表面を処理剤〔(CH3 2 Si
O〕4 により疎水化処理したシリカ充填剤C2の15部
とをニーダーで均一になるまで混練して未架橋シリコー
ンゴム組成物を得た。次に、この未架橋シリコーンゴム
組成物34.5部と、有機ゴムとしてアクリロニトリル
−ブタジエンゴム「N220S」(ジェイエスアール社
製)70部とを用い、シリコーンゴムのための架橋剤と
して末端がトリメチルシリル基で封鎖され、20個のメ
チルハイドロジェンシロキサン単位からなる直鎖状ポリ
メチルハイドロジェンシロキサン2部を用い、これらを
順次、温度60〜80℃、回転数60rpmに設定され
たゴムミキサー内に投入して混練りし、均一状態になっ
た時点で塩化白金酸1重量%を含む水溶液を加えてさら
に混練りし、おおよそ60分間が経過した後、内容物を
排出した。ここに得られたものは、未架橋の有機ゴム
(B)中に架橋ゴム粒子(A)が分散され、その架橋ゴ
ム粒子(A)中にシリカ充填剤(C)が含有された組成
物である。これを試料S−2とする。この試料S−2中
の架橋ゴム粒子(A)について、トルエン不溶分および
数平均粒子径を求めた。結果を表2に示す。
【0060】次に、表3に示す処方に従って、この試料
S−2の100部に対し、ステアリン酸1部、1次粒子
平均径が20nmの微粉末シリカ「アエロジル130」
(日本アエロジル社製)の表面を処理剤〔(CH3 2
SiO〕4 により疎水化処理したシリカ充填剤C2の5
部、導電性付与物質Da2としてカーボンブラック「ケ
ッチェンブラックEC600JD」(ケッチェンブラッ
ク社製)の5部および導電性付与剤Db2としてCa
(ClO4)2 と、CH3 OCH2 CH2 OCH2CH2
OHとの錯体「MP−100−E」(昭島化学工業社
製)の1部、並びに架橋剤の1部および架橋助剤1の1
部を配合してゴム組成物を製造した。ここに得られたも
のは、有機ゴム(B)中に架橋ゴム粒子(A)とシリカ
充填剤(C)と導電性付与物質(D)が分散され、しか
もその架橋ゴム粒子(A)中にシリカ充填剤(C)が含
有された組成物である。また、このようにして得られた
ゴム組成物に対し、実施例1におけると同一の条件で架
橋処理を施して架橋ゴムを作製した。
【0061】実施例3 両末端にケイ素原子に結合した水酸基を有し、平均重合
度が100の直鎖状ポリジメチルシロキサン100部
と、シリカ充填剤C2の15部とをヘンシェルミキサー
で均一になるまで混練りして未架橋シリコーンゴム組成
物を得た。次に、有機ゴム(B)としてフッ素ゴム「ア
フラス150E」(旭硝子社製)50部、上記未架橋シ
リコーンゴム組成物57.5部、および架橋性ケイ素化
合物としてエチルシリケートの部分加水分解・縮合物
「エチルシリケート−40」(二酸化ケイ素分40重量
%、ユニオンカーバイド社製)0.5部を、温度60〜
80℃、回転数60rpmに設定されたゴムミキサー内
に順次に加えて混練りし、均一になった時点で、ジブチ
ルスズラウレート0.1部を加えてさらに混練りし、再
び均一になった後、内容物を排出した。ここに得られた
ものは、有機ゴム(B)中に架橋ゴム粒子(A)が分散
され、その架橋ゴム粒子(A)中にシリカ充填剤(C)
が含有された組成物である。これを試料S−3とする。
この試料S−3中の架橋ゴム粒子(A)について、トル
エン不溶分および数平均粒子径を求めた。結果を表2に
示す。
【0062】次に、表3に示す処方に従って、この試料
S−3の100部に対し、ステアリン酸1部、シリカ充
填剤C1の2部、導電性付与物質Da2の3部、導電性
付与物質Db2の5部、並びに架橋剤の1部および架橋
助剤2の1部を配合してゴム組成物を製造した。ここ
に、架橋助剤2はトリアリルイソシアヌレート「TAI
C」(日本化成社製)である。また、このようにして得
られたゴム組成物に対し、実施例1におけると同一の条
件で架橋処理を施して架橋ゴムを作製した。
【0063】比較例1 微粉末シリカを含有するミラブル型シリコーンゴム「K
E8751−U」(信越化学社製)と、有機ゴムである
アクリロニトリル−ブタジエンゴム「N222L」(ジ
ェイエスアール社製)とを、重量でシリコーンゴム/ア
クリロニトリル−ブタジエンゴム=40/60となる配
合比率で混合し、比較用のゴム成分を製造した。これを
試料R−1とする。この比較用試料R−1のシリコーン
ゴムの不溶分および数平均粒子径を求めた。結果を表2
に示す。次に、ゴム成分として試料S−1の代わりに試
料R−1を用いた他は実施例1と同様にしてゴム組成物
を製造し、また、得られたゴム組成物に対し、実施例1
におけると同一の条件で架橋処理を施して架橋ゴムを作
製した。
【0064】比較例2 導電性付与物質を何も添加しないことの他は、実施例2
と同様にしてゴム組成物を製造し、また、得られたゴム
組成物に対し、実施例2におけると同一の条件で架橋処
理を施して架橋ゴムを作製した。
【0065】以上の実施例1〜3並びに比較例1および
2によって得られた架橋ゴムの各々を試料として、シリ
コーンゴムのブリードアウトの有無、引張特性、引張強
度、破断伸び、硬度、圧縮永久歪み、種々の温度および
湿度条件の雰囲気下における体積固有抵抗並びに損失正
接tanδの温度分散を下記の条件で調べた。結果を表
4に示す。 <硬度> JIS K6301に準拠して測定した。 <圧縮永久歪み> JIS K6301に準拠して、温
度70℃、時間22時間で測定した。 <tanδの温度分散>50℃でのtanδの値に対す
る0℃でのtanδの値の比率を求めた。
【0066】また、上記の実施例および比較例に係るゴ
ム組成物の各々を用いて製作された給紙系ゴムロールを
製作し、その各々を、電子写真複写機の紙堆積体から記
録紙を送り出す給紙ロールとして用い、これを用いて5
万枚の給紙テストを行い、当該給紙ロールの初期および
給紙テスト終了後の摩擦係数を測定しすると共に、給紙
テスト中における「鳴き」の発生回数、重送の発生回
数、ジャムの発生回数および給紙テスト後の紙粉付着に
よる汚染の有無を調べた。結果を表4に示す。なお、摩
擦係数の測定条件は次のとおりである。 <摩擦係数>鉄板の表面に接着剤によって固定された普
通紙に対して500gfの負荷で押圧された状態のロー
ルを線速度が400mm/秒となる速度で回転させなが
ら、発生する摩擦力をロードセルで測定し、式 摩擦係
数=(500/摩擦力) によって算出した。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】表4の結果から、実施例1〜3に係るゴム
組成物によるゴム材料は、ブリードアウトがなく、機械
的強度が大きく、低硬度で圧縮永久歪みが小さく、さら
に電気抵抗が小さく、しかも摩擦係数が大きくてその安
定性が高く、総じて環境安定性が優れたものであること
が理解される。これに対し、架橋ゴム粒子の数平均粒子
径が大きい比較用の試料R−1を用いた比較例1では、
シリコーンゴムのブリードアウトが生じ、引張強度が小
さくて圧縮永久歪みが大きく、また導電性付与物質が含
有されない比較例2では体積固有抵抗が大きいものであ
る。
【0072】また、実施例1〜3によるゴム組成物から
得られる給紙系ゴム部材によれば、5万枚の給紙テスト
の後にも安定した摩擦係数を有し、その安定性が高いこ
とが理解されると共に、給紙系ゴム部材としてきわめて
有用な特性を有するものであることが明らかである。
【0073】
【発明の効果】本発明のゴム組成物によれば、それ自体
の特性として、低硬度、低圧縮永久歪み、非粘着性でブ
リードアウトが生じず、適度の導電性を有し、しかも環
境安定性が高くて紙に対して高い摩擦係数が長期間にわ
たって維持されるため、このゴム材料により形成される
給紙系ゴム部材は、長期間にわたり円滑で良好な給紙特
性が得られてジャム(紙詰まり)がなく、重送防止性お
よび「鳴き」防止性に優れた効果が発揮される。従っ
て、本発明のゴム組成物による給紙系ゴム部材は、複写
機、プリンターなどの電子写真装置、静電記録装置、そ
の他の給紙機構を有する各種の装置において好適に用い
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安田 健二 東京都中央区築地2丁目11番24号 ジェイ エスアール株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トルエン不溶分が30重量%以上である
    架橋シリコーンゴムからなる数平均粒子径が20μm以
    下の架橋ゴム粒子(A)と、この架橋ゴム粒子(A)が
    分散された有機ゴム(B)と、前記架橋ゴム粒子(A)
    および有機ゴム(B)の少なくとも一方に含有された1
    次粒子平均径が1nm以上で50nm以下のシリカ充填
    剤(C)と、前記架橋ゴム粒子(A)および有機ゴム
    (B)の少なくとも一方に含有された導電性付与物質
    (D)とよりなることを特徴とする給紙系ゴム部材形成
    用ゴム組成物。
  2. 【請求項2】 架橋ゴム粒子(A)と有機ゴム(B)と
    の割合が、重量で、架橋ゴム粒子(A)/有機ゴム
    (B)=5/95〜80/20の範囲内である請求項1
    記載の給紙系ゴム部材形成用ゴム組成物。
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