JP2006273964A - 難燃性シリコーンゴム組成物及び定着部材 - Google Patents

難燃性シリコーンゴム組成物及び定着部材 Download PDF

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Abstract

【課題】 熱伝導性、成形性、耐クリープ性、低硬度、光反発等の機械的物理的特性を維持させながら、難燃性効果を向上させた難燃性シリコーンゴム組成物、及びこの難燃性シリコーンゴム組成物を用いて作製され、定着性、耐久性、画質、離型性等の機械的物理的特性を維持させつつ、難燃性効果を向上させた定着部材の提供。
【解決手段】 体積平均粒子径が1〜500nmの範囲の金属水和物を含んでなる難燃性粒子を含有することを特徴とする難燃性シリコーンゴム組成物、及びこの難燃性シリコーンゴム組成物を用いて形成された弾性層を有する定着部材。
【選択図】 なし

Description

本発明は、難燃性シリコーンゴム組成物及び定着部材に関し、より具体的には、熱伝導性、成形性、耐クリープ性、低硬度、光反発等の機械的物理的特性を維持させながら、難燃性効果を向上させた難燃性シリコーンゴム組成物、及びこの難燃性シリコーンゴム組成物を用いて作製され、定着性、耐久性、画質、離型性等の機械的物理的特性を維持させつつ、難燃性効果を向上させた定着部材に関する。
従来、ポリオノガノシロキサン、ポリオルガノハイドロジエンシロキサン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム等を含む硬化性シリコーンゴム組成物とこの硬化性シリコーンゴム組成物を硬化させてなる被覆層を有する熱定着用シリコーンゴムロールが提案されている。(特許文献1参照)
また、補強性シリカを含有し、難燃剤として水酸化アルミニウムとカーボンブラックを併用した射出成形用シリコーンゴム組成物が提案されている。(特許文献2参照)
さらに、シリコーンゴムと熱伝導性充填剤からなり、熱伝導性充填剤の含有量が30〜70容量%で、このうち、30〜90容量%が金属水酸化物(水酸化アルミニウム)である熱伝導成形体が提案されている。(特許文献3参照)
しかしながら、特許文献1に記載の硬化性シリコーンゴム組成物とこの硬化性シリコーンゴム組成物を硬化させてなる被覆層を有する熱定着用シリコーンゴムロールの場合、難燃性が不充分で実施例でV−0のレベルであり、しかも熱伝導性が低い問題がある。
また、特許文献2の射出成形用シリコーンゴム組成物の場合、水酸化アルミニウムの粒子径(実施例では8μm)が大きく、配合量(実施例では、30重量部)も多く、熱伝導性のフィラーを含まないため、熱伝導性が不足し、十分な熱伝導性を付与するため熱伝導性粒子を必要量含有させると、成形性、低硬度、高反発、耐クリープ等の機械的特性を達成することが困難となる。
さらに特許文献3の熱伝導成形体においては、アスカーC硬度5以下と低く、難燃性はV−0のレベルであり、水酸化アルミニウムの粒子径(本文中では、20〜200μm)が大きく、難燃性を高めるために水酸化アルミニウムを多量配合する必要がある。
しかし、この場合、得られる熱伝導成形体は、低硬度で高熱伝導性を有するが、成形性、反発性、クリープ性等の特性が劣ることになる。
以上のように、従来、それぞれの部材に特有の機械的物理的特性を維持させながら、難燃効果を向上させたシリコーンゴム組成物がなく、したがって、このようなシリコーンゴム組成物の特徴を生かした部材としての定着部材は見出し得ない。
特開平5−295263号公報 特開2004−161944号公報 特開2002−138205号公報
本発明の目的は、それぞれの部材に特有の機械的物理的特性を維持させながら、難燃効果を向上させることができるシリコーンゴム組成物とこのシリコーンゴム組成物の特徴を生かした部材としての定着部材を提供することにある。
本発明に係る課題を解決するため鋭意検討を行った結果、以下に構成を満たす発明に達するに至った。すなわち、
本発明の難燃性シリコーンゴム組成物は、
<1> 体積平均粒子径が1〜500nmの範囲の金属水和物を含んでなる難燃性粒子を含有することを特徴とする難燃性シリコーンゴム組成物である。
<2> 前記金属水和物が、Mg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種類の金属の水和物であることを特徴とする<1>に記載の難燃性シリコーンゴム組成物である。
<3> 前記金属水和物が、水酸化マグシウムである<1>または<2>に記載の難燃性シリコーンゴム組成物である。
<4> 前記難燃性粒子の表面に、有機化合物またはポリシリコーンを含む被覆層が形成されていることを特徴とする<1>乃至<3>のいずれかに記載の難燃性シリコーンゴム組成物である
本発明の定着部材は、
<5> <1>〜<4>のいずれかに記載の難燃性シリコーンゴム組成物からなる弾性層を有することを特徴とする定着部材である。
本発明によれば、難燃性粒子の体積平均粒子径が1〜500nmの範囲と極めて小さいため、シリコーンゴム組成物中に比較的少量で難燃性を確保でき、したがって、シリコーンゴム組成物に必要な熱伝導性、成形性、耐クリープ性、低硬度、光反発等の機械的物理的特性を損なうことがない。また、このシリコーンゴム組成物を用いた定着部材は、定着性、耐久性、画質、離型性等の機械的物理的特性を維持させつつ、難燃性効果を向上させることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
<難燃性シリコーンゴム組成物>
本発明の難燃性シリコーンゴム組成物は、体積平均粒子径が1〜500nmの範囲の金属水和物を含んでなる難燃性粒子を配合してなることを特徴とする。
前述のように、従来難燃剤として使用されている水和金属化合物などの難燃性の粒子では、その他の有機系難燃化合物と比較して同等の難燃性を得るために多量にマトリックスゴム中に配合させなければならず、これによりゴム物性が著しく低下する。このため、ゴム物性の低下を防ぐためには、難燃剤の低充填化が必要である。
なお、上記難燃性とは、シリコーンゴム中に難燃性化合物を5質量部含有させた時に、ISO5660−1に規定する最高発熱速度が難燃性化合物を含む前と比較して25%以上減少するものをいう。
前記低充填化の方法の一つとして、難燃性の粒子をさらにナノサイズに微粒子化することにより、粒子の比表面積を増加させ、その結果、ゴムとの接触面積を増加させることで、少量の添加でも従来のハロゲン系難燃剤に匹敵する難燃性能を発現させることができる。
すなわち、前記難燃剤として使用される水和金属化合物には、燃焼時に熱分解して水を放出することで燃焼時の熱量を低下させる効果と、燃焼時にポリマーから発する燃焼ガスを希釈する効果との二つの効果がある。そして、通常その効果は多量に充填しないと十分な難燃剤が出現しないことが知られているが、これらの現象は、あくまで従来のマイクロサイズ粒径の水和金属化合物における現象である。
本発明者等は、難燃剤の粒径をナノサイズにすることで熱量を低下させる効果と燃焼時にゴム成分から発する燃焼ガスを希釈する効果とをより緻密に、かつ効果的に働かせることができることを見出した。それは例えば、燃焼物に対して水をジョウロにて消火するのとより水滴が細かい霧吹きにて消火するのとどちらが効果的であるかは、自明の理であるように、マイクロサイズとナノサイズの粒径効果は歴然であるからである。
以下、本発明の難燃性シリコーンゴム組成物の構成等について説明する。
<難燃性粒子>
本発明における金属水和物を含んでなる難燃性粒子の体積平均粒子径は、1〜500nmの範囲である。また、難燃性粒子の体積平均粒子径は1〜200nmの範囲であることが好ましく、5〜200nmの範囲であることがより好ましく、10〜200nmの範囲(特に10〜100nm)であることがさらに好ましい。
難燃性粒子の体積平均粒子径が1nmより小さいと、難燃性保持能が低下してしまう。また、500nmより大きいと、市販の体積平均粒子径が1μmの難燃性粒子と同等の特性となり、難燃性を得るために多量に添加することが必要となってしまう。
また、体積平均粒子径が前記範囲の難燃性粒子は、ゴム中に均一に分散する。さらに、難燃性粒子の体積平均粒子径がナノメーターサイズであると、微細な複合体を形成できることと相まって、透明性の高い難燃性シリコーンゴム組成物を得ることができる。
前記金属水和物としては、例えば、Mg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種類の金属の水和物を用いることができる。これらの金属の水和物は微粒子化が容易であり、また水和物として安定であるだけでなく、加熱による吸熱性、脱水反応性に優れるため優れた難燃効果を発揮する。上記金属水和化合物の中では、Mg、Al、Caの水和物が特に好ましい。
金属の水和物としては、難燃成分を保持するものであれば特に制限されないが、具体的には、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化鉄、水酸化亜鉛、水酸化銅、水酸化ニッケルなどの金属水和物;アルミン酸カルシウム、2水和石膏、ホウ酸亜鉛及びメタホウ酸バリウムの水和物などからなるもの;等が例示される。さらに、これらの複合化水和物も好適に使用される。これらの中では、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム及び水酸化カルシウムが好ましい。
また、前記金属水和物としては、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含む複合金属の水和物を用いることもできる。このようにMg金属を必須としてこれに各種金属を複合化させた場合、難燃効果の向上を図ることができる。例えば、MgとNiやFeとを複合化させると、燃焼時に気化した樹脂成分に由来する炭化水素中の水素を引き抜く作用を生じ、樹脂組成物の難燃化効果、低発煙化効果を高めることができる。また、MgとAlとを複合化させると、燃焼時の水放出温度を調整して難燃効果を向上させることができる。
本発明において、難燃性粒子としてはCa、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種以上とMgとを含む金属の水和物が用いられる場合、該金属の水和物は、下記一般式(1)で示される。
MgMx・(OH)y ・・・ 一般式(1)
上式において、MはCa、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiから選択される1種以上の金属を表し、xは0.1〜10の実数、yは2〜32の整数を表す。
前記MgMxとしてMgAlx、MgCax、MgZnx、MgFex、Mg(Al・Ca)xが好ましく用いられる。
本発明における難燃性粒子には、ゴム中でのナノサイズの難燃性粒子の分散性を向上させるためには、難燃性粒子表面に均一な被覆層を形成することが好ましい(以下、この難燃性粒子を「表面被覆難燃性粒子」という場合がある)。被覆層を形成すると、難燃成分を金属水和物粒子中に安定に保持できるとともに、ゴムとの親和性を大きく向上させることができる。また、前記被覆層は有機化合物またはポリシリコーンを含むことが好ましい。
前記有機化合物としては、特に制限されないが、前記難燃性粒子と結合可能な有機基を有するものであることが好ましい。このような有機基を難燃性粒子に結合させることにより、難燃性粒子表面に薄層の有機層を均一に形成することができる。
前記有機化合物としては、前記有機基の末端に難燃性粒子と結合を形成するための結合性基を有したものが好ましい。
上記結合性基としては、例えば、ヒドロキシル基、リン酸基、ホスホニウム塩基、アミノ基、硫酸基、スルホン酸基、カルボキシル基、親水性複素環基、多糖基(ソルビトール、ソルビット、ソルビタン、ショ糖エステル、ソルビタンエステル残基など)、ポリエーテル基(ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン基などのアルキレンの炭素数が2〜4のポリオキシアルキレン基など)、加水分解性基(メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ基などの炭素数が1〜4のアルコキシ基、ハロゲン原子(臭素、塩素原子など)などが挙げられる。
なお、結合性基がアニオン性基(硫酸基、スルホン酸基、カルボキシル基など)の場合、種々の塩基と塩を形成していてもよい。該塩基としては、無機塩基(例えば、カルシウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、アンモニアなど)、有機塩基(例えば、アミン類など)が挙げられる。また、結合性基がカチオン性基(例えば、アミノ基)の場合には、酸、例えば無機酸(塩酸、硫酸など)、有機酸(酢酸など)と塩を形成してもよい。さらに、上記カチオン性基は、アニオン性基(特に、カルボキシル基、硫酸基)と塩を形成してもよい。また、結合性基として、カチオン性基及びアニオン性基の両方を有していてもよい。
このように、好ましい結合性基には、イオン性基(アニオン性基、カチオン性基)、加水分解性基が含まれ、難燃性粒子と形成される結合は、イオン結合であっても共有結合であってもよい。
前記有機化合物の有機基としては、界面活性剤の疎水性基等として作用する基(例えば、高級脂肪酸残基、高級アルコール残基、アルキル−アリール基など)やポリアミノ酸残基等が挙げられる。
上記高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、アラキン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、カプリル酸、カプリン酸、ダチュリン酸、ステアリン酸、モンタン酸、メリシン酸などの炭素数8〜30の飽和脂肪酸(好ましくは炭素数10〜28の飽和脂肪酸、さらに好ましくは12〜26の飽和脂肪酸);エライジン酸、リノール酸、リノレン酸リンデル酸、マッコウ酸、オレイン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ブラシジン酸などの炭素数が12〜30の不飽和脂肪酸(好ましくは炭素数が14〜28の不飽和脂肪酸、さらに好ましくは炭素数が14〜26の不飽和脂肪酸)などが挙げられる。
前記疎水性基としては、また、これらの高級脂肪酸残基または前記高級脂肪酸に対応する高級アルコール残基(例えば、オクチル、ノニル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル(セチル)、オクタデシルなどの炭素数が8〜24の高級脂肪酸残基(好ましくは炭素数が10〜22の高級脂肪酸残基、さらに好ましくは炭素数が12〜20の高級脂肪酸残基)などが挙げられる。
また、前記アルキル−アリール基としては、例えば、ヘキシルフェニル、オクチルフェニル、ノニルフェニル、デシルフェニル、ドデシルフェニル、イソプロピルフェニル、ブチルフェニル、アミルフェニル、テトラデシルフェニルなどのアルキル−アリール基(好ましくは炭素数が1〜20のアルキル−炭素数が6〜18のアリール基、さらに好ましくは炭素数が6〜18のアルキル−炭素数が6〜12のアリール基、特に炭素数が6〜16のアルキル−フェニル基)などが挙げられる。
これらの疎水性基には、種々の置換基(例えば、炭素数が1〜4のアルキル基など)が置換していてもよい。
また、前記ポリシリコーンとしては、シロキサン結合を有するものであれば特に限定されないが、下記一般式(2)で示されるような環状オルガノシロキサン化合物の重合体を用いることが好ましい。
Figure 2006273964
上記式中、nは3〜8の整数を表す。nの数が小さいほど沸点が低く、揮発して難燃性粒子に吸着する量が多くなり、nが7を超えると揮発しにくくなり被覆処理が不充分となるため好ましくない。また特に4量体、5量体、6量体はその立体的な性質から重合しやすく最も適している。
本発明においては、前記一般式(2)で示される環状オルガノシロキサン化合物(a)、(b)のうちのいずれか、または2種を組み合わせて用いることができる。重合体の重合度(繰り返し単位数)は10〜1000の範囲であることが好ましく10〜100の範囲がより好ましい。また、被覆層としては、上記重合体と前記有機化合物と組み合わせて用いてもよい。
被覆層として、上記のような低表面エネルギーのポリシリコーンを用いることにより、表面被覆難燃性粒子をマトリックス樹脂と混合した場合に樹脂の可塑化が起こりにくくなる。
また、難燃性シリコーンゴム組成物としたときに、燃焼時に表面のポリシリコーン層が熱バリア層を形成するが、粒子表面にポリシリコーンの被覆層を形成することで、金属水和物粒子より放出される水分が熱バリア層を発泡させるため、熱バリア層の断熱性を高め難燃効果を向上させることができる。
本発明における表面被覆難燃性粒子における有機化合物による表面被覆量は、表面被覆難燃性粒子全体の1〜200質量%の範囲であることが好ましく、20〜100質量%の範囲であることがより好ましく、30〜80質量%の範囲であることがさらに好ましい。被覆量が1質量%に満たないと、マトリックスゴム中で凝集物が生成し、分散が不均一になってしまう場合がある。また、200質量%を超えると、マトリックスゴムに分散したときゴムが可塑化してしまう場合がある。
また、表面被覆難燃性粒子におけるポリシリコーンによる表面被覆量は、表面被覆難燃性粒子全体の20〜200質量%の範囲であることが好ましく、20〜80質量%の範囲であることがより好ましい。被覆量が20質量%に満たないと、マトリックス樹脂中で凝集物が生成し、分散が不均一になってしまう場合がある。また、200質量%を超えると、マトリックス樹脂に分散したとき樹脂が可塑化してしまう場合がある。
なお、被覆層の均一性は、表面被覆難燃性粒子を透過型電子顕微鏡で観察することにより確認することができる。
なお、本発明における表面被覆した難燃性粒子の場合も、体積平均粒子径(表面被覆難燃性粒子が非球状の場合にはその外接円の平均径)は前記と同様である。
また、本発明における難燃性粒子の分散度は、0.1〜3.0の範囲が好ましく、分散度は0.1〜1.0の範囲がさらに好ましく、0.1〜0.8の範囲が特に好ましい。
分散度が小さいことは、難燃性粒子の粒度分布が狭いこと、すなわち粒子の大きさがより均一であることを示しており、分散度が前記範囲にあると樹脂に分散した場合の難燃性、機械的特性も均一となる。
なお、前記体積平均粒子径、分散度は、レーザードップラーヘテロダイン型粒度分布計(UPA日機装株式会社製、MICROTRAC−UPA150)により測定した(以下同様である)。具体的には、測定された粒度分布を基にして、体積について小粒径側から累積分布を引いて、累積50%となる粒径を体積平均粒径とした。また、質量について粒度分布を引いて、小粒径側から累積90%となる粒径をD90、累積10%となる粒径をD10としたとき、分散度は下記式(1)で定義される。この測定法については、以下同様である。
分散度=log(D90/D10) ・・・ 式(1)
前記表面被覆した難燃性粒子の製造方法は、上記構成、特性を満足させることができる方法であれば特に制限されないが、例えば、有機化合物金属塩及び分散剤を溶解させた水溶液中に金属水和物粒子を分散させ、その表面に有機化合物層を形成する方法、金属水和物粒子表面に有機シロキサン化合物の気化物を作用させ、ポリシリコーン化合物層を形成する方法、さらにアルキル酸金属塩を有機溶媒に展開して逆ミセルを形成し、金属イオンを金属酸化物として表面被覆粒子を形成する方法などが挙げられる。
本発明の難燃性シリコーンゴム組成物における前記難燃性粒子の配合量は、後述するシリコーン成分100質量部に対して5〜50質量部の範囲であることが好ましく、5〜30質量部の範囲であることがより好ましく,特に好ましくは5〜25質量部の範囲である。
一方、ポリマーへの難燃剤添加による樹脂難燃化においては、難燃剤を一つではなくいくつか併用して用いる場合がほとんどあり、その場合に樹脂やゴムに対する配合量の多いものが主たる難燃剤であり、その主たる難燃剤の難燃効果をさらに高めるため少量添加されるものとして難燃助剤がある。
例えば、臭素系難燃剤に対する難燃助剤が酸化アンチモン化合物であり、主たる臭素系難燃剤に対し、燃焼時に臭素と反応性を持つ酸化アンチモン化合物がさらに難燃性能を高める。この場合、難燃助剤は臭素系難燃剤と反応し、吸熱効果を持つとされており、難燃剤と組合せてさらなる相乗効果を得るために使用されるものである。
また、難燃助剤の中には、積極的に酸化し、燃焼時にポリマー表面を覆い酸素を遮断する効果と、ポリマーから発せられる可燃物を遮断する二つの効果とを持つものがある。このような化合物をチャー形成化合物といい、その難燃効果は、前記水和金属化合物の持つ難燃効果と異なるものである。
本発明においては、これら水和金属化合物とチャー形成化合物(難燃助剤)との異なる二つの効果を組合せることにより、さらなる難燃効果を向上させることができる。
具体的には、ナノサイズの水和金属化合物とチャー形成化合物とを併用した場合には、前記水和金属化合物をナノサイズにした優位性とチャー形成化合物の持つ元々の効果とを組合せることで、従来のマイクロサイズ水和金属化合物とチャー形成化合物との組合せ効果より、さらに難燃性の向上が可能であることがわかった。これは、水和金属化合物がナノサイズであるがために、ポリマー中におけるチャー形成化合物との距離が非常に近くなるためであると考えられる。
さらに本発明においては、難燃剤としてナノサイズの金属水和物とチャーを形成し得る難燃助剤とを使用することで、前記のような両者の複合効果により、燃焼時に有害なガスが発生せず、かつリサイクル時の環境負荷の小さな難燃性シリコーンゴム組成物を得ることができる。
<難燃助剤>
本発明に用いられる難燃助剤としては、特に制限されないが、例えば、ホウ酸系難燃助剤、アンモン系難燃助剤、その他の無機系難燃助剤、チッ素系難燃助剤、その他の有機系難燃助剤及びコロイド系難燃助剤からなる群から少なくとも1種であることが好ましい。
前記ホウ酸系難燃助剤としては、例えば、ホウ酸亜鉛水和物、メタホウ酸バリウム、ほう砂などのホウ酸を含有する化合物が挙げられる。
前記アンモン系難燃助剤としては、例えば、硫酸アンモニウム等のアンモニア化合物が挙げられる。
前記その他無機系難燃助剤としては、例えば、フェロセンなどの酸化鉄系燃焼触媒、酸化チタンなどのチタンを含有する化合物、スルファミン酸グアニジンなどのグアニジン系化合物、さらに、ジルコニウム系化合物、モリブデン系化合物、錫系化合物、炭酸カリウムなどの炭酸塩化合物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの水酸和金属及びその変性物が挙げられる。
前記チッ素系難燃助剤としては、例えば、トリアジン環を有するシアヌレート化合物が挙げられる。
前記その他の有機系難燃助剤としては、例えば、無水クロレンド酸、無水フタル酸、ビスフェノールAを含有する化合物、グリシジルエーテルなどのグリシジル化合物、ジエチレングリコール、ペンタエリスリトールなどの多価アルコール、変性カルバミド、シリコーンオイル、オルガノシロキサン等のシリコーン化合物が挙げられる。
コロイド系難燃助剤としては、例えば、従来から使用されている難燃性を持つ水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの水和金属化合物、アルミン酸化カルシウム、2水和石膏、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ砂、カオリンクレーなどの水和物、硝酸ナトリウムなどの硝酸化合物、モリブデン化合物、ジルコニウム化合物、アンチモン化合物、ドーソナイト、プロゴパイトなどの難燃性化合物のコロイドが挙げられる。
以上の各種難燃助剤の多くは、水溶性又は親水性のものであり、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明に用いられる難燃助剤としては、比較的少ない量で優れた難燃効果が得られること、リサイクル時における熱履歴などで劣化しないことなどから、ホウ酸系難燃助剤、シリコーン化合物及びチッ素系難燃助剤のうちから選択される1種以上を用いることが好ましい。
本発明の難燃性シリコーンゴム組成物における前記難燃助剤の配合量は、後述するシリコーン成分100質量部に対して1〜30質量部の範囲であることが好ましく、5〜30質量部の範囲であることがより好ましく、特に好ましくは5〜20質量部の範囲である。
また、本発明の難燃性シリコーンゴム組成物には、前記難燃性微粒子、難燃助剤のみだけではなく、さらに粒子径の大きい難燃剤と併用することによって、ポリマーマトリックス中において大きな粒子同志の隙間を小さな難燃性微粒子が埋める石垣のような効果により、隙間なくマトリックス樹脂中に難燃性物質を行き渡らせる効果がある。そして上記の効果によって、難燃性はさらに向上する。
前記難燃剤としては、体積平均粒子径が0.5〜50μmの範囲であるものが好ましく、0.5〜30μmの範囲であるものがより好ましい。体積粒子径が0.5μmに満たないと、粒子が小さすぎて前記石垣のような構造を採ることができない場合がある。50μmより大きいと、ポリマーの機械的特性を低下させる原因となる場合がある。
前記難燃剤としては、特に制限されないが、水和金属化合物、無機水和物、窒素含有化合物、及び珪素含有無機充填剤から選択される1種以上を用いることが好ましい。
前記水和金属化合物としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、及び水酸化カルシウムのうちから選択されるいずれかであることが好ましい。また、前記無機水和物としては、アルミン酸化カルシウム、2水和石膏、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ砂、及びカオリンクレーのうちから選択されるいずれかであることが好ましい。また、前記窒素含有化合物は硝酸ナトリウムであることが好ましい。さらに、前記珪素含有無機充填剤は、モリブデン化合物、ジルコニウム化合物、アンチモン化合物、ドーソナイト、プロゴパイト、及びスメクタイト等から選択されるいずれかであることが好ましい。
上記難燃剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。また、上記難燃性化合物としては、前記難燃性微粒子に用いられる無機微粒子を構成する化合物と同一であっても、異なってもよい。
前記難燃剤の含有量は、前記難燃性粒子100質量部に対し、0.1〜200質量部の範囲であることが好ましく、0.1〜50質量部の範囲であることがより好ましい。含有量が0.1質量部に満たないと、含有量が少なすぎ前記石垣のような構造を採ることができない場合がある。200質量部を超えると、難燃剤の量が多くなりすぎポリマーの機械的特性が低下する場合がある。
また、本発明の難燃性シリコーンゴム組成物には、前記難燃性粒子、難燃助剤のみだけではなく、有機化処理したスメクタイト類と併用することによって、マトリックスゴム中において大きなアスペクト比のスメクタイト類粒子同志の隙間を小さな難燃性微粒子が埋める点と線のような効果により、隙間なくマトリックスゴム中に難燃性物質を行き渡らせる効果がある。
付け加えるに、前記有機化処理したスメクタイト類がゴム中に分散した際にそのゴムは透明になりやすく、本発明の難燃性微粒子が可視光以下の大きさであり、かつ、シリコーンゴムに配合する際にも均一に分散するため、その併用配合シリコーンゴムは透明性に優れる。
本発明のシリコーンゴム組成物のマトリックスとして用いられるシリコーンゴムとしては、汎用のものが使用でき、例えば、メチルシリコーンゴム、ビニルメチルシリコーンゴム、フェニルメチルシリコーンゴム、フッ化シリコーンゴムなどを挙げることができ、これらの1種類もしくは2種類以上の混合系のシリコーンゴムが挙げられる。
また、前記シリコーンゴムに熱伝導性フィラーを添加し、好ましい熱伝導率に調整した熱伝導性シリコーンゴムを用いる。該熱伝導性シリコーンゴムの熱伝導率は、0.3(W/m・K)以上が好ましく、0.4(W/m・K)以上がより好ましく、0.5(W/m・K)以上が更に好ましい。熱伝導性フィラーとしては、石英、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、窒化アルミニウム、アルミナ等が挙げられるが、コストや貯蔵安定性の点で、アルミナが好ましい。その配合量は、目的とする熱伝導率により適宜選択することが出来るが、シリコーンゴム100重量部当り、10〜500重量部の割合で使用できる。
また、シリコーンゴム組成物に添加配合することが公知とされる各種添加剤、例えば、硬化抑制剤や、シリカ,けいそう土、石英粉末、マイカ、酸化チタンなどの補強性充填剤、カーボンブラック、ベンガラ、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物などの耐熱性向上剤、顔料などを、本発明の目的を損なわない限り、適宜配合することができる。
シリコーンゴムの原料については特別な制限はなく、例えばRaSiOxで示され、Rをメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などのアルキル基、またはビニル基、アリル基などのアルケニル基、またはフェニル基、トリル基などのアリール基、またはこれらの基の炭素原子に結合する水素原子の一部または全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、またはトリフルオロプロピル基、シアノエチル基などから選択される同一または異種の非置換または置換の1価炭化水素とすることができる。ただし、このときRの80モル%以上がメチル基で、0.1〜0.5モル%がビニル基であるものがよく、また25℃における粘度が100cS以上、好ましくは1,000cS以上であるオルガノポリシロキサンをベースとするものが好ましい。さらに有機過酸化物などの架橋剤を配合したものがよい。
架橋剤の具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジクロロベンゾイルパーオキサイド、ブチルパーオキシ−2−オクチルヘキサネート、2,5−ジメチル−2,5ジベンゾイルパーオキシヘキサン、ブチルパーオキシラウレート、シクロヘキサンパーオキサイド、ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、パーオキシアリルカーボネートなどが例示される。
また、アルケニル基などの脂肪族不飽和基を含有するオルガノポリシロキサンと、分子中に珪素原子に結合した水素原子を少なくとも2個含有するハイドロジエンポリシロキサンと、塩化白金酸または白金系錯体または塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、オレフィン、ビニルシロキサンとの錯塩などからなる白金触媒とからなる付加反応型シリコーンゴムとしてもよい。
本発明の難燃性シリコーンゴム組成物は、以上述べた難燃性粒子、難燃助剤、マトリックスとしてのシリコーンゴム組成物及び必要に応じて難燃剤、安定剤などを混合し、これを混練機で混練することにより得ることができる。
上記混練機としては、特に制限されないが、3本ロールや2本ロールを用い、せん断応力と位置交換の繰り返しによって、難燃性微粒子を分散させる方法、及びプラネタリウムミキサー、ニーダー、バンバリーミキサー、インターミックス、1軸押出機、2軸押出機を用い、分散機壁面の衝突力やせん断力によって分散させる方法が、高い分散性を得る観点から好ましく用いられる。
混練温度は用いるマトリックスとしてのシリコーンゴム、難燃性粒子などの添加量等によって異なるが、10〜50℃の範囲が好ましく、20〜40℃の範囲がより好ましい。
一方、本発明における難燃性粒子は、表面に被覆層を好適に有していることから、前記ニーダー、2軸押出機及びロールなどの機械的混合により均一分散させることができる。
混練されたシリコーンゴム組成物は、加熱成形された後、2次加硫を経て成形体が得られる。加熱成形工程は、シリコーンゴム組成物の組成、成形体の目的とする厚み等により異なるが、概ね80〜150℃、好ましくは100〜130℃で1〜60分の条件で実施することができる。また、2次加硫の工程もシリコーンゴム組成物の組成、成形体の目的とする厚み等により異なるが、概ね160〜210℃、好ましくは180〜200℃で1〜5時間の条件で実施することができる。
本発明のシリコーンゴム組成物が得られる成形品の形状は、シート状、棒状、糸状など特に限定されるものではなく、また、その大きさも制限されるものではないが、シリコーンゴム組成物の好ましい用途は、電子写真用定着部材であり、この定着部材の弾性層に用いられる。
図1は、定着部材としての定着ロールを備えた定着装置の一実施の形態を示し、図中、10は定着ロール(定着部材)10Aは芯金、10Bは弾性層、10Cは表面層、11は加圧ロール(加圧部材)、11Aは芯金、11Bは弾性層、11Cは表面層、12,13はヒーターランプ(加熱源)、14は未定着トナー(像)、15は記録材を示し、該弾性層10B,11Bを本発明のシリコーンゴム組成物で形成することができ、表面剥離層は、例えば、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)等から形成される。
定着ロールの弾性層には、高反発弾性率、低硬度、低圧縮永久歪み率の物性が必要である。反発弾性率が低いと、定着ロールと加圧ロールの圧接部(以下、ニップ部と呼ぶことがある)から記録材(用紙等)が排出される際に、ニップ部で伸ばされていた定着ロール表面が瞬間的に復元することにより生じるせん断1力くによる剥離性向上効果が減少し、結果として、用紙剥離性が低下する。この観点から、弾性層に用いるシリコーンゴム材料の反発弾性率は70%以上が好ましく、さらに好ましくは75%以上である。 また、硬度が高いと、定着ロール表面が用紙や未定着トナー像の凹凸に追従し難くなり、結果として定着後の画像に斑が生じ、画像均一性が悪化する。この観点から、弾性層に用いるシリコーンゴム材料の硬度は5〜45°が好ましく、さらに好ましくは5〜35°である。
また、圧縮永久歪み率が高いと、ニップ部を形成させたまま放置された際に、弾性層が永久歪みを生じ、結果として、定着ロール表面の凹み(ニップ痕)が発生する。ニップ痕が生じると、その部分での圧力が低下するため、画像欠陥が発生してしまう。この観点から、弾性層に用いるシリコーンゴム材料の圧縮永久歪み率は5%以下が好ましく、さらに好ましくは4%以下である。
定着ロールの弾性層を本発明のシリコーンゴム組成物で形成する場合、ナノサイズの難燃性粒子を用いており、少量の難燃性粒子の含有量で難燃効果が確保されるとともに、難燃性粒子を必要以上に配合する必要がないため、定着ロールに必要な熱伝導性を損なうことがなく、かつ定着性、耐久性、画質、離型性等の機械的物理的特性を維持することができる。
以下、本発明について実施例により具体的に説明する。但し、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
まず、本発明に用いた難燃性粒子の製造例を示す。また、この難燃性粒子を用いた難燃性シリコーンゴム組成物を作製しその特性についても検討した。
(難燃性粒子の調製例1)
下記実施例に用いた難燃性粒子について説明する。
難燃性粒子として体積平均粒径が80nmの水酸化マグネシウム粒子(マグネシア50H、宇部マテリアル社製)200gと、環状オルガノシロキサン化合物としてオクタメチルシクロテトラシロキサン200gとを、それぞれ別のガラス容器に秤量した。これらを容器ごと、減圧・密閉できるデシケーター中に設置した。次いで、真空ポンプにてデシケーター内圧を80mmHgまで減圧した後密閉した。その後、デシケーター容器ごと60℃環境下にて12時間放置し処理を行った。処理後、ガラス容器より表面処理の施された表面被覆難燃性粒子(難燃性粒子)を取り出した。
得られた表面被覆難燃性粒子の体積平均粒子径は80nm、分散度は0.5であった。また、表面被覆難燃性粒子を精秤して表面被覆量を算出したところ50質量%であり、透過型電子顕微鏡(FEI Company TecnaiG2)による観察でも均一に被覆されていることが確認された。
(難燃性粒子の調製例2)
難燃性粒子として体積平均粒径が200nmの水酸化マグネシウム粒子を用いたこと以外は、調整例1と同様にして表面被覆難燃性粒子を得た。
得られた表面被覆難燃性粒子の体積平均粒子径は200nm、分散度は0.5であった。また、表面被覆難燃性粒子を精秤して表面被覆量を算出したところ50質量%であり、透過型電子顕微鏡による観察でも均一に被覆されていることが確認された。
(難燃性粒子の調製例3)
難燃性粒子として体積平均粒径が450nmの水酸化マグネシウム粒子100gを用いたこと以外は、調整例1と同様にして表面被覆難燃性粒子を得た。
得られた表面被覆難燃性粒子の体積平均粒子径は450nm、分散度は0.5であった。また、表面被覆難燃性粒子を精秤して表面被覆量を算出したところ30質量%であり、透過型電子顕微鏡による観察でも均一に被覆されていることが確認された。
(難燃性粒子の調製例4)
難燃性粒子として体積平均粒径が1000nmの水酸化マグネシウム粒子を用いたこと以外は、調整例1と同様にして表面被覆難燃性粒子を得た。
得られた表面被覆難燃性粒子の体積平均粒子径は1000nm、分散度は5.0であった。また、表面被覆難燃性粒子を精秤して表面被覆量を算出したところ15質量%であり、透過型電子顕微鏡による観察でも未被覆部の発生が確認された。
(実施例1)
(難燃性シリコーンゴム組成物、難燃性シリコーンゴム成型物の作製)
調整例1で得られた表面被覆難燃性粒子(水酸化マグネシウム)10質量部を、高熱伝導液状シリコーンゴム(東レダウコーニングシリコン(株)製、DY35−3030)100質量部にプラネタリーミキサーを用いて混合し、難燃性シリコーンゴム組成物を得た。得られた組成物を加熱プレス(150℃×10分間)にて成形し、次いでオーブンにて2次加硫(200℃×4時間)することによって、2mm厚のシート状成形体(難燃性シリコーンゴム成型物)を得た。
(実施例2)
調整例2で得られた表面被覆難燃性粒子(水酸化マグネシウム)15質量部を、高熱伝導液状シリコーンゴム(東レダウコーニングシリコン(株)製、DY35−3030)100質量部に混合した以外は、実施例1と同様にして2mm厚のシート状成形体(難燃性シリコーンゴム成型物)を得た。
(実施例3)
調整例3で得られた表面被覆難燃性粒子(水酸化マグネシウム)25質量部を、高熱伝導液状シリコーンゴム(東レダウコーニングシリコン(株)製、DY35−3030)100質量部に混合した以外は、実施例1と同様にして2mm厚のシート状成形体(難燃性シリコーンゴム成型物)を得た。
(比較例1)
調整例4で得られた表面被覆難燃性粒子(水酸化マグネシウム)100質量部を、高熱伝導液状シリコーンゴム(東レダウコーニングシリコン(株)製、DY35−3030)100質量部に混合した以外は、実施例1と同様にして2mm厚のシート状成形体(難燃性シリコーンゴム成型物)を得た。
(比較例2)
調整例4で得られた表面被覆難燃性粒子(水酸化マグネシウム)50質量部を、高熱伝導液状シリコーンゴム(東レダウコーニングシリコン(株)製、DY35−3030)100質量部に混合した以外は、実施例1と同様にして2mm厚のシート状成形体(難燃性シリコーンゴム成型物)を得た。
(難燃性シリコーンゴム組成物、難燃性樹脂成型物の評価)
上記の如く作製したシート状成型体について、下記の評価を行った。
−難燃性試験−
難燃性試験としては、JIS Z 2391に従い垂直燃焼試験を行った。その試料厚みは、2mmにて試験を実施した。 難燃試験はV−0以上で合格(○)、V−0以下で不合格(×)とした。
−反発弾性率、硬さ、圧縮永久歪み−
ゴム組成物の反発弾性率はJIS K 6255に基づき測定を行った。また、硬さ、圧縮永久歪みはJIS K 6249に基づき測定を行った。
結果を表1に示す。
Figure 2006273964
表1の結果から、本発明の実施例のシート状成形体は、比較例のシート状成形体に比べて難燃性が高いのみならず、反発弾性率、硬さ、永久圧縮歪みの機械的特性に優れている。
(定着ロールおよび加圧ロールの作成)
(実施例4)
ロール成形用金型内に、表面に市販のシリコーンゴム用プライマー(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社製;商品名DY39−051)を塗布した外径44mm、厚さ4mmのアルミ製芯金と内面が接着処理された膜厚30μmのテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)チューブを配置し、この間に、実施例1のシリコーンゴム組成物を注入して、150℃で20分間加熱を行い硬化させた。この後、金型からロールを取り出し、200℃にて4時間加熱することにより、シリコーンゴム層の厚みが3mmの定着ロールを作製した。
また、定着ロールの作製において、芯金の外径を46mmにした以外は、定着ロールの作製と同様にして、シリコーンゴム層の厚みが2mmの加圧ロールを作製した。
(実施例5、6及び比較例3、4)
実施例5、6及び比較例3、4については、各々、実施例2、3及び比較例1、2のシリコーンゴム組成物を用い、実施例4と同様にして定着ロールおよび加圧ロールを作製した。
(定着ロールおよび加圧ロールの評価)
上記のようにして作製したロールを、図1に示した定着装置に組み込み、定着ロール表面温度を150℃に、加圧ロール表面温度を120℃に設定し、両ロール間にニップ荷重100Kgfを印加した状態で、表面速度が200mm/秒になるように回転させ、未定着像を定着した際の、用紙剥離性、画像の均一性を評価した。
用紙剥離性の評価としては、5枚実施し、5枚とも問題なく剥離するもの(○)、定着ロールに巻付き気味だが剥離するもの(△)を合格とし、1枚以上巻付きが発生するものを不合格(×)とした。
画像均一性としては、問題なく均一なものを合格(○)、不均一なものを不合格(×)とした。
また、上記の条件でニップしたまま、回転をさせずに24時間放置した後、同様に未定着像の定着を行い、ニップしていた場所の凹み(ニップ痕)による、画像ディフェクトの発生の有無を評価した。評価としては、ロール上の凹みもなく画像ディフェクトも発生しないもの(○)、ロール上では僅かに凹みが観察されるが画像では検知されないもの(△)とし、画像ディフェクトが発生するものを不合格(×)とした。
未定着像としては、富士ゼロックス社製DocuCenterColor500(DCC500)を改造し、記録材上にDCC500用の4色の現像剤を使用してフルカラー画像の未定着トナー像を形成したものを用いた。尚、記録材としては、富士ゼロックス社製P紙を用いた。
Figure 2006273964
難燃性シリコーンゴム組成物は特有の難燃性効果を有しているにもかかわらず、表2の結果から本発明の難燃性シリコーンゴム組成物を用いて作製された定着ロールは、定着ロールとしての特性においても優れていることがわかる。
は、本発明の定着部材の好ましい一実施の形態を示す説明図である。
符号の説明
10 定着ロール(定着部材)
10A 芯金
10B 弾性層
10C 表面層
11 加圧ロール(加圧部材)
11A 芯金
11B 弾性層
11C 表面層
12,13 ヒーターランプ(加熱源)
14 未定着トナー(像)
15 記録材

Claims (5)

  1. 体積平均粒子径が1〜500nmの範囲の金属水和物を含んでなる難燃性粒子を含有することを特徴とする難燃性シリコーンゴム組成物。
  2. 前記金属水和物が、Mg、Ca、Al、Fe、Zn、Ba、Cu及びNiのうちから選択される1種類の金属の水和物であることを特徴とする請求項1に記載の難燃性シリコーンゴム組成物。
  3. 前記金属水和物が、水酸化マグシウムである請求項1または請求項2に記載の難燃性シリコーンゴム組成物。
  4. 前記難燃性粒子の表面に、有機化合物またはポリシリコーンを含む被覆層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の難燃性シリコーンゴム組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の難燃性シリコーンゴム組成物からなる弾性層を有することを特徴とする定着部材。
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