JP2000119522A - ポリオルガノシロキサン組成物及び製造方法 - Google Patents

ポリオルガノシロキサン組成物及び製造方法

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JP2000119522A
JP2000119522A JP29180698A JP29180698A JP2000119522A JP 2000119522 A JP2000119522 A JP 2000119522A JP 29180698 A JP29180698 A JP 29180698A JP 29180698 A JP29180698 A JP 29180698A JP 2000119522 A JP2000119522 A JP 2000119522A
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silane
polyorganosiloxane
silane clay
clay composite
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JP29180698A
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Noriyuki Suzuki
紀之 鈴木
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Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面外観を損なわず、耐湿性や機械的特性に
優れるポリオルガノシロキサン組成物を提供する。 【解決手段】 ポリオルガノシロキサンおよびシラン粘
土複合体を含有するポリオルガノシロキサン組成物であ
って、シラン粘土複合体が膨潤性ケイ酸塩に下記一般式
(1) YnSiX4-n (1) (ただし、nは0〜3の整数であり、Yは、炭素数1〜
25の炭化水素基、及び炭素数1〜25の炭化水素基と
置換基から構成される有機官能基であり、Xは加水分解
性基および/または水酸基である。n個のY、4−n個
のXは、それぞれ同種でも異種でもよい。)で表される
シラン系化合物が導入される事により調製され、かつ樹
脂組成物中のシラン粘土複合体の平均層厚が500Å以
下である、ポリオルガノシロキサン組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリオルガノシロ
キサンおよびシラン粘土複合体を含有するポリオルガノ
シロキサン組成物および該樹脂組成物の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリオルガノシロキサンは、いわゆるシ
リコーンオイル、シリコーンエラストマー、シリコーン
レジンなどとして、その耐熱性、耐寒性、耐酸化安定
性、耐候性および優れた電気特性を生かして様々な分野
に使われている。
【0003】ポリオルガノシロキサンの利用範囲が更に
広がるに伴い、ポリオルガノシロキサンの各種物性にも
改良が求められるようになってきた。例えば、シリコー
ンエラストマーの中でも、RTV(室温縮合硬化型)液
状シリコーンゴムと呼ばれるものは、常温での縮合反応
で硬化してゴム状弾性体となるシリコーンゴム組成物で
あり、建築用シーラントを始め広く使用されている。し
かしながら、表面剥離性や接着性の向上、とりわけ高温
多湿環境下におけるシロキサン結合の加水分解に起因す
る強度・弾性率・シール性の低下を抑制する事等、各種
特性の改良が求められている。上記の問題に対して、シ
リカ、炭酸カルシウム、酸化チタン、アルミナ、石英粉
末などの粒子状無機物を充填する技術(特開昭52−2
439号、特公昭55−18454号、特公昭61−2
3940号、特開平7−82488号等)が開示されて
いるが、従来の技術では、要求される諸性質をバランス
良く改善することは困難であった。
【0004】こうした粒子状無機物の配合における欠点
は、無機物が少量の場合、主として、分散不良や分散粒
子のサイズが大きすぎる為に吸湿を抑えることができず
樹脂が加水分解する事によるものであり、また、添加量
が多量である場合、マトリックス樹脂と粒子状無機物間
の接着不良等による強度の低下に起因するものと考えら
れている。
【0005】無機物の微分散化技術としては、国際公開
公報95−06090号、米国特許5514734号、
国際公開公報93−04118号および国際公開公報9
3−11190号に開示されている方法が挙げられる。
該公報によれば、シラン系化合物などの有機金属化合物
等が結合し、平均層厚が約50Å以下であり、かつ最大
層厚が約100Å以下である層状粒子等と樹脂マトリッ
クスを含有する樹脂複合材料に関する発明が開示されて
おり、シラン系化合物で処理したモンモリロナイトおよ
び樹脂マトリックスとしてナイロン6からなるナイロン
6系複合材料が開示されている。上記技術によれば、カ
プロラクタムが共重合されたイソシアネートプロピルト
リエトキシシラン他が結合したモンモリロナイトおよび
ナイロン6からなるナイロン6系複合材料の引張弾性率
が単独のナイロン6に比べて改善されてはいるが、決し
て充分なものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のようにナイロン
6系複合材料は開示されているが、ナイロン6系での方
法をポリオルガノシロキサン系へ直接適用する事によっ
て、層状粒子が微分散化したポリオルガノシロキサン複
合材料とする事は困難であった。
【0007】一方、特開平9−118792号公報で
は、ポリプロピレン系樹脂やビニル系高分子に層状粒子
を一枚一枚に分離して分子状に分散させた場合、それ自
体もともと高い弾性率を有する層状粒子が単位層に近い
状態に分離されると歪曲し、本来期待するほどの弾性率
が得られない事が指摘されている。
【0008】また、本発明者らは、層状粒子を単位層に
近い(単位層の層厚みは約10Å)非常に薄い板状の構
造でポリオルガノシロキサン中に含有せしめて複合材料
を得、物性評価を実施したところ、層状粒子を積層・凝
集状態のままでポリオルガノシロキサン中に含有せしめ
たものと比較すれば、たしかに耐加水分解性や表面性は
改良されるものの、吸湿前の初期強度や初期接着性との
バランスは決して十分なものではない事が判明した。
【0009】従って、層状ケイ酸塩を平均層厚が約50
Å以下かつ最大層厚が約100Å以下というように単位
層に近い状態で樹脂マトリックス中に分散せしめても、
あるいは積層・凝集したままの状態で含有せしめても、
何れの場合からも、接着性、強度、弾性率、耐湿性、表
面性のバランスに優れたポリオルガノシロキサン組成物
を得ることは困難である。 上記物性バランスが良好な
ポリオルガノシロキサン組成物を得るためには、適した
層厚を有する層状粒子を分散せしめる事が必須である。
【0010】しかし、その様な技術は未だ提供されてい
ないのが現状であり、本発明の目的は、このような従来
の問題を解決することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成する為に鋭意検討した結果、本発明に至った。す
なわち、膨潤性ケイ酸塩の単位層同士を分離劈開し、1
つの膨潤性ケイ酸塩の凝集粒子を非常に多数の極微小な
薄板状の粒子に細分化して調製される薄板状のシラン粘
土複合体が、ポリオルガノシロキサン中に含有されるこ
とによって得られる、ポリオルガノシロキサン組成物お
よびその製造方法である。
【0012】本発明によれば、請求項1のポリオルガノ
シロキサン組成物は、ポリオルガノシロキサンおよびシ
ラン粘土複合体を含有するポリオルガノシロキサン組成
物であって、シラン粘土複合体が膨潤性ケイ酸塩に下記
一般式(1) YnSiX4-n (1) (ただし、nは0〜3の整数であり、Yは、炭素数1〜
25の炭化水素基、及び炭素数1〜25の炭化水素基と
置換基から構成される有機官能基であり、Xは加水分解
性基および/または水酸基である。n個のY、4−n個
のXは、それぞれ同種でも異種でもよい。)で表される
シラン系化合物が導入される事により調製され、かつ樹
脂組成物中のシラン粘土複合体の平均層厚が500Å以
下である。
【0013】請求項2のポリオルガノシロキサン組成物
は、請求項1に記載のポリオルガノシロキサン組成物に
おいて、シラン粘土複合体の最大層厚が2000Å以下
である。
【0014】請求項3のポリオルガノシロキサン組成物
は、ポリオルガノシロキサンおよびシラン粘土複合体を
含有するポリオルガノシロキサン組成物であって、シラ
ン粘土複合体が膨潤性ケイ酸塩に下記一般式(1) YnSiX4-n (1) (ただし、nは0〜3の整数であり、Yは、炭素数1〜
25の炭化水素基、及び炭素数1〜25の炭化水素基と
置換基から構成される有機官能基であり、Xは加水分解
性基および/または水酸基である。n個のY、4−n個
のXは、それぞれ同種でも異種でもよい。)で表される
シラン系化合物が導入される事により調製され、かつ樹
脂組成物中のシラン粘土複合体の平均アスペクト比(層
長さ/層厚の比)が10〜300であり、かつ[N]値
が30以上であり、ここで[N]値が、樹脂組成物の面
積100μm2中に存在する、シラン粘土複合体の単位
比率当たりの粒子数であると定義される。
【0015】請求項4のポリオルガノシロキサン組成物
は、請求項1または2に記載のポリオルガノシロキサン
組成物において、[N]値が30以上であり、ここで
[N]値が、樹脂組成物の面積100μm2中に存在す
る、シラン粘土複合体の単位比率当たりの粒子数である
と定義される。
【0016】請求項5のポリオルガノシロキサン組成物
は、請求項1または2に記載のポリオルガノシロキサン
組成物において、樹脂組成物中のシラン粘土複合体の平
均アスペクト比(層長さ/層厚の比)が10〜300で
ある。
【0017】請求項6のポリオルガノシロキサン組成物
の製造方法は、請求項1、2、3、4または5に記載の
ポリオルガノシロキサン組成物の製造方法であって、
(A)シラン粘土複合体とシロキサン中間体を含有する
粘土分散体を調製する工程、(B)シロキサン中間体を
重合及び/又は硬化する工程を包含する。
【0018】請求項7に記載のポリオルガノシロキサン
組成物の製造方法は、請求項6に記載の製造方法におい
て、工程(A)で得られる粘土分散体中のシラン粘土複
合体の底面間隔が、膨潤性ケイ酸塩の底面間隔の3倍以
上である。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明で用いられるポリオルガノ
シロキサンは、一価の置換または非置換の炭化水素基を
有するシロキサン構造で主鎖が形成されているものであ
る。ポリオルガノシロキサンにおける炭化水素基として
は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキ
シル基、ドデシル基のようなアルキル基、フェニル基の
ようなアリール基、β−フェニルエチル基、β−フェニ
ルプロピル基のようなアラルキル基、ビニル基等の非置
換の炭化水素基や、クロロメチル基、3,3,3−トリ
フルオロプロピル基等の置換炭化水素基が例示される。
なお、一般的には、メチル基およびフェニル基が合成の
し易さ等から多用される。さらには、ケイ素原子に結合
する有機基がメチル基である場合が、原料中間体の合成
の容易さ、得られる重合体の重合度の高さに比べて粘度
が最も低く、また、得られる組成物の物性バランスの点
から最も好ましい。耐熱性が要求される用途に用いる場
合は、ケイ素原子に結合する有機基の一部がフェニル基
であることが好ましい。
【0020】上記ポリオルガノシロキサンは、重合度、
架橋構造の有無や程度により、シリコーンオイル、シリ
コーンエラストマー、シリコーンレジンとして用いられ
る。
【0021】シリコーンオイルとしては、上記のように
炭化水素基で置換されたストレートシリコーン系のオイ
ル(ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロ
キサン、ポリメチル水素シロキサン等)や非反応型変性
シリコーンオイルの他、アミノ基、エポキシ基、アルコ
ール、メルカプト基、カルボキシル基等で変性された反
応型変性シリコーンオイルが挙げられる。また、他の有
機化合物、例えばポリオキシアルキレン、高級アルコー
ル、脂肪酸等の共重合タイプの変性シリコーンオイル等
も挙げることができる。
【0022】シリコーンエラストマーとは、上記のよう
に一価の置換または非置換の炭化水素基を有するポリシ
ロキサンのようなベースポリマーと架橋剤との架橋反応
生成物であり、架橋反応の型によって、室温縮合硬化型
(RTV型)液状シリコーンゴム、熱加硫型シリコーン
ゴム、液状熱加硫型(LPS型)シリコーンゴムが挙げ
られる。上記RTV型液状シリコーンゴムは低重合度体
であり、架橋剤はシラン系化合物であり、本発明で用い
られる一般式(1)で表されるシラン系化合物と同様で
ある。RTV型液状シリコーンゴムの種類としては、架
橋反応時に縮合脱離する成分の種類によって、脱酢酸
型、脱アルコール型、脱オキシム型、脱アミド型、脱ア
セトン型、脱アミノキシ型、脱水素型が挙げられる。熱
加硫型シリコーンゴムは、直鎖状で重合度が6000〜
10000と大きいベース樹脂(生ゴム)が主原料であ
り、硫黄の他、過酸化ベンゾイル、過酸化−2,4−ジ
クロロベンゾイル、過酸化ーp−クロロベンゾイル、過
酸化ジクミル、過酸化ジ−t−ブチル、2,5−ジブチ
ル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン等の過
酸化物を加硫剤として用いて加熱架橋して得られる。ま
た、LPS型シリコーンゴムは低重合度体であり、上記
硫黄や過酸化物の他、γ線、白金化合物などの遷移金属
化合物を加硫剤とした付加反応によって得られる。
【0023】シリコーンレジンとは、構造中に多官能性
シロキサン成分を共重合させることによって高次架橋樹
脂としたものである。一般的には炭化水素基で置換され
たストレートシリコーン系のレジンが用いられるが、耐
候性や電気絶縁性を向上させるためにエポキシ変性やア
ルキッド変性されたレジンも用いられる。
【0024】本発明で用いられるシラン粘土複合体と
は、膨潤性ケイ酸塩に下記一般式(1) YnSiX4-n (1) (ただし、nは0〜3の整数であり、Yは、炭素数1〜
25の炭化水素基、及び炭素数1〜25の炭化水素基と
置換基から構成される有機官能基であり、Xは加水分解
性基および/または水酸基である。n個のY、4−n個
のXは、それぞれ同種でも異種でもよい。)で表される
シラン系化合物が導入されているものである。
【0025】上記の膨潤性ケイ酸塩は、主として酸化ケ
イ素の四面体シートと、主として金属水酸化物の八面体
シートから成り、その例としては、例えば、スメクタイ
ト族粘土および膨潤性雲母などが挙げられる。膨潤性ケ
イ酸塩としてスメクタイト族粘土および膨潤性雲母を使
用する場合には、本発明のポリオルガノシロキサン組成
物中における膨潤性ケイ酸塩の分散性、入手の容易さ及
び樹脂組成物の物性改善の点から好ましい。
【0026】前記のスメクタイト族粘土は下記一般式
(2) X0.20.623410(OH)2・nH2O(2) (ただし、XはK、Na、1/2Ca、及び1/2Mg
から成る群より選ばれる1種以上であり、YはMg、F
e、Mn、Ni、Zn、Li、Al、及びCrから成る
群より選ばれる1種以上であり、ZはSi、及びAlか
ら成る群より選ばれる1種以上である。尚、H2Oは層
間イオンと結合している水分子を表すが、nは層間イオ
ンおよび相対湿度に応じて著しく変動する)で表され
る、天然または合成されたものである。該スメクタイト
族粘土の具体例としては、例えば、モンモリロナイト、
バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、鉄サポナ
イト、ヘクトライト、ソーコナイト、スチブンサイト及
びベントナイト等、またはこれらの置換体、誘導体、あ
るいはこれらの混合物が挙げられる。前記スメクタイト
族粘土の初期の凝集状態における底面間隔は約10〜1
7Åであり、凝集状態でのスメクタイト族粘土の平均粒
径はおおよそ1000Å〜1000000Åである。
【0027】また、前記の膨潤性雲母は下記一般式
(3) X0.51.023(Z410)(F、OH)2 (3) (ただし、XはLi、Na、K、Rb、Ca、Ba、及
びSrから成る群より選ばれる1種以上であり、YはM
g、Fe、Ni、Mn、Al、及びLiから成る群より
選ばれる1種以上であり、ZはSi、Ge、Al、F
e、及びBから成る群より選ばれる1種以上である。)
で表される、天然または合成されたものである。これら
は、水、水と任意の割合で相溶する極性溶媒、及び水と
該極性溶媒の混合溶媒中で膨潤する性質を有する物であ
り、例えば、リチウム型テニオライト、ナトリウム型テ
ニオライト、リチウム型四ケイ素雲母、及びナトリウム
型四ケイ素雲母等、またはこれらの置換体、誘導体、あ
るいはこれらの混合物が挙げられる。前記膨潤性雲母の
初期の凝集状態における底面間隔はおおよそ10〜17
Åであり、凝集状態での膨潤性雲母の平均粒径は約10
00〜1000000Åである。
【0028】上記の膨潤性雲母の中にはバーミキュライ
ト類と似通った構造を有するものもあり、この様なバー
ミキュライト類相当品等も使用し得る。該バーミキュラ
イト類相当品には3八面体型と2八面体型があり、下記
一般式(4) (Mg,Fe,Al)23(Si4-xAlx)O10(OH)2・(M+,M2+ 1/2 )x・nH2O (4) (ただし、MはNa及びMg等のアルカリまたはアルカ
リ土類金属の交換性陽イオン、x=0.6〜0.9、n=
3.5〜5である)で表されるものが挙げられる。前記
バーミキュライトの初期の凝集状態における底面間隔は
おおよそ10〜17Åであり、凝集状態でのバーミキュ
ライトの平均粒径は約1000〜5000000Åであ
る。
【0029】膨潤性ケイ酸塩は単独で用いても良く、2
種以上組み合わせて使用しても良い。これらの内では、
モンモリロナイト、ベントナイト、ヘクトライトおよび
層間にナトリウムイオンを有する膨潤性雲母が、本発明
のポリオルガノシロキサン組成物中での分散性、入手の
容易さ及び樹脂組成物の物性改善効果の点から好まし
い。
【0030】膨潤性ケイ酸塩の結晶構造は、c軸方向に
規則正しく積み重なった純粋度が高いものが望ましい
が、結晶周期が乱れ、複数種の結晶構造が混じり合っ
た、いわゆる混合層鉱物も使用され得る。
【0031】膨潤性ケイ酸塩に導入されるシラン系化合
物とは、通常一般に用いられる任意のものが使用され
得、下記一般式(1) YnSiX4-n (1) で表されるものである。一般式(1)中のnは0〜3の
整数であり、Yは、置換基を有していても良い炭素数1
〜25の炭化水素基である。炭素数1〜25の炭化水素
基が置換基を有する場合の置換基の例としては、例えば
エステル結合で結合している基、エーテル結合で結合し
ている基、エポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、末
端にカルボニル基を有する基、アミド基、メルカプト
基、スルホニル結合で結合している基、スルフィニル結
合で結合している基、ニトロ基、ニトロソ基、ニトリル
基、ハロゲン原子および水酸基などが挙げられる。これ
らの内の1種で置換されていても良く、2種以上で置換
されていても良い。Xは加水分解性基および(または)
水酸基であり、該加水分解性基の例としては、アルコキ
シ基、アルケニルオキシ基、ケトオキシム基、アシルオ
キシ基、アミノ基、アミノキシ基、アミド基、ハロゲン
原子よりなる群から選択される1種以上である。一般式
(1)中、nまたは4−nが2以上の場合、n個のYま
たは4−n個のXはそれぞれ同種でも異種でも良い。
【0032】本明細書において炭化水素基とは、直鎖ま
たは分岐鎖(すなわち側鎖を有する)の飽和または不飽
和の一価または多価の脂肪族炭化水素基、および芳香族
炭化水素基、脂環式炭化水素基を意味し、例えば、アル
キル基、アルケニル基、アルキニル基、フェニル基、ナ
フチル基、シクロアルキル基等が挙げられる。本明細書
において、「アルキル基」という場合は、特に指示が無
い限り「アルキレン基」等の多価の炭化水素基を包含す
ることを意図する。同様にアルケニル基、アルキニル
基、フェニル基、ナフチル基、及びシクロアルキル基
は、それぞれアルケニレン基、アルキニレン基、フェニ
レン基、ナフチレン基、及びシクロアルキレン基等を包
含する。
【0033】上記一般式(1)において、Yが炭素数1
〜25の炭化水素基である場合の例としては、デシルト
リメトキシシランの様に直鎖長鎖アルキル基を有するも
の、メチルトリメトキシシランの様に低級アルキル基を
有するもの、2−ヘキセニルトリメトキシシランの様に
不飽和炭化水素基を有するもの、2−エチルヘキシルト
リメトキシシランの様に側鎖を有するアルキル基を有す
るもの、フェニルトリエトキシシランの様にフェニル基
を有するもの、3−β−ナフチルプロピルトリメトキシ
シランの様にナフチル基を有するもの、及びp−ビニル
ベンジルトリメトキシシランの様にアラルキル基を有す
るものが挙げられる。Yが炭素数1〜25の炭化水素基
の中でも特にビニル基を有する基である場合の例として
は、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラ
ン、及びビニルトリアセトキシシランが挙げられる。Y
がエステル基で結合している基で置換されている基を有
する基である場合の例としては、γ−メタクリロキシプ
ロピルトリメトキシシランが挙げられる。Yがエーテル
基で結合している基で置換されている基を有する基であ
る場合の例としては、γ−ポリオキシエチレンプロピル
トリメトキシシラン、及び2−エトキシエチルトリメト
キシシランが挙げられる。Yがエポキシ基で置換されて
いる基である場合の例としては、γ−グリシドキシプロ
ピルトリメトキシシランが挙げられる。Yがアミノ基で
置換されている基である場合の例としては、γ−アミノ
プロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチ
ル)アミノプロピルトリメトキシシラン、及びγ−アニ
リノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。Yが末
端にカルボニル基を有する基で置換されている基である
場合の例としては、γ−ユレイドプロピルトリエトキシ
シランが挙げられる。Yがメルカプト基で置換されてい
る基である場合の例としては、γ−メルカプトプロピル
トリメトキシシランが挙げられる。Yがハロゲン原子で
置換されている基である場合の例としては、γ−クロロ
プロピルトリエトキシシランが挙げられる。Yがスルホ
ニル基で結合している基で置換されている基を有する基
である場合の例としては、γ−フェニルスルホニルプロ
ピルトリメトキシシランが挙げられる。Yがスルフィニ
ル基で結合している基で置換されている基を有する基で
ある場合の例としては、γ−フェニルスルフィニルプロ
ピルトリメトキシシランが挙げられる。Yがニトロ基で
置換されている基である場合の例としては、γ−ニトロ
プロピルトリエトキシシランが挙げられる。Yがニトロ
ソ基で置換されている基である場合の例としては、γ−
ニトロソプロピルトリエトキシシランが挙げられる。Y
がニトリル基で置換されている基である場合の例として
は、γ−シアノエチルトリエトキシシランおよびγ−シ
アノプロピルトリエトキシシランが挙げられる。Yがカ
ルボキシル基で置換されている基である場合の例として
は、γ−(4−カルボキシフェニル)プロピルトリメト
キシシランが挙げられる。前記以外にYが水酸基を有す
る基であるシラン系化合物もまた使用し得る。その様な
例としては、N,N−ジ(2−ヒドロキシエチル)アミ
ノ−3−プロピルトリエトキシシランが挙げられる。水
酸基はまたシラノール基(SiOH)の形であり得る。
【0034】上記のシラン系化合物の置換体、または誘
導体もまた使用し得る。これらのシラン系化合物は、単
独、又は2種以上組み合わせて使用され得る。
【0035】シラン粘土複合体は、例えば、膨潤性ケイ
酸塩を分散媒中で底面間隔を拡大させた後にシラン系化
合物を添加する事により得られる。
【0036】上記の分散媒とは、水、水と相溶する極性
溶媒、及び水と該極性溶媒の混合溶媒を意味する。該極
性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イ
ソプロパノール等のアルコール類、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール等
のグリコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケ
トン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエ
ーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジ
メチルアセトアミド等のアミド化合物、その他の溶媒と
してピリジン、ジメチルスルホキシドやN−メチルピロ
リドン等が挙げられる。
【0037】これらの極性溶媒は単独で用いても良く2
種類以上組み合わせて用いても良い。
【0038】膨潤性ケイ酸塩を分散媒中で底面間隔を拡
大させることは、該膨潤性ケイ酸塩を該分散媒中で充分
に撹拌して分散させる事によりなし得る。拡大後の底面
間隔は初期の膨潤性ケイ酸塩の底面間隔に比べて、好ま
しくは3倍以上であり、より好ましくは4倍以上であ
り、特に好ましくは5倍以上である。上限値は特にな
い。ただし、底面間隔が約10倍以上に拡大すると、底
面間隔の測定が困難になるが、この場合、膨潤性ケイ酸
塩は実質的に単位層で存在する。
【0039】ここで、本明細書において、膨潤性ケイ酸
塩の初期の底面間隔とは、分散媒に添加する前の、単位
層が互いに積層し凝集状態である粒子状の膨潤性ケイ酸
塩の底面間隔である事を意図する。
【0040】底面間隔は小角X線回折法(SAXS)な
どで求めることが出来る。すなわち、分散媒と膨潤性ケ
イ酸塩を含む分散体におけるX線回折ピーク角値をSA
XSで測定し、該ピーク角値をBraggの式に当ては
めて算出することにより底面間隔を求め得る。
【0041】膨潤性ケイ酸塩の底面間隔を効率的に拡大
させるためには、数千rpm以上で撹拌するか、以下に
示す物理的な外力を加える方法が挙げられる。物理的な
外力は、一般に行われるフィラーの湿式微粉砕方法を用
いることによって加えられ得る。一般的なフィラーの湿
式微粉砕方法としては、例えば、硬質粒子を利用する方
法が挙げられる。この方法では、硬質粒子と膨潤性ケイ
酸塩と任意の溶媒とを混合して撹拌し、硬質粒子と膨潤
性ケイ酸塩との物理的な衝突によって、膨潤性ケイ酸塩
を分離させる。通常用いられる硬質粒子はフィラー粉砕
用ビーズであり、例えば、ガラスビーズまたはジルコニ
アビーズ等が挙げられる。これら粉砕用ビーズは、膨潤
性ケイ酸塩の硬度、または撹拌機の材質を考慮して選択
され、上述したガラスまたはジルコニアに限定されな
い。その粒径もまた、膨潤性ケイ酸塩のサイズなどを考
慮して決定されるために一概に数値で限定されるもので
はないが、直径0.1〜6.0mmの範囲にあるものが
好ましい。ここで用いる溶媒は特に限定されないが、例
えば、上記の分散媒が好ましい。
【0042】上記のように、膨潤性ケイ酸塩の底面間隔
を拡大して、凝集状態であった層を劈開してばらばらに
し、個々独立に存在させた後にシラン系化合物を添加し
て撹拌する。この様に、劈開された膨潤性ケイ酸塩の層
の表面に該シラン系化合物を導入する事によってシラン
粘土複合体が得られる。
【0043】シラン系化合物の導入は、分散媒を用いる
方法の場合は、底面間隔が拡大された膨潤性ケイ酸塩と
分散媒を含む分散体中にシラン系化合物を添加して撹拌
することにより行われ得る。シラン系化合物をより効率
的に導入したい場合は、撹拌の回転数を1000rpm
以上、好ましくは1500rpm以上、より好ましくは
2000rpm以上にするか、あるいは湿式ミルなどを
用いて500(1/s)以上、好ましくは1000(1
/s)以上、より好ましくは1500(1/s)以上の
剪断速度を加える。回転数の上限値は約25000rp
mであり、剪断速度の上限値は約500000(1/
s)である。上限値よりも大きい値で撹拌を行ったり、
剪断を加えても効果はそれ以上変わらない傾向があるた
め、上限値よりも大きい値で撹拌を行う必要はない。
【0044】物理的外力を用いる方法の場合、膨潤性ケ
イ酸塩に物理的外力を加えながら(例えば、湿式粉砕し
ながら)そこにシラン系化合物を加えることによって、
シラン系化合物を導入し得る。
【0045】あるいは、物理的外力によって底面間隔が
拡大された膨潤性ケイ酸塩を分散媒中に加え、上記の分
散媒を用いる方法の場合と同様に、そこにシラン系化合
物を添加することによって、シラン系化合物を膨潤性ケ
イ酸塩に導入することもできる。
【0046】膨潤性ケイ酸へのシラン系化合物の導入
は、底面間隔が拡大した膨潤性ケイ酸塩の表面に存在す
る水酸基と、シラン系化合物の加水分解性基および(ま
たは)水酸基とが反応する事によって、膨潤性ケイ酸塩
のにシラン系化合物が導入され得る。
【0047】膨潤性ケイ酸塩中に導入されたシラン系化
合物がさらに水酸基、カルボキシル基、アミノ基、エポ
キシ基、あるいはビニル基などの様な反応活性な官能基
を有している場合、この様な反応活性基と反応できる化
合物を更に添加して、この化合物をこの反応活性基と反
応させることも可能である。この様にして膨潤性ケイ酸
塩に導入されたシラン系化合物の官能基鎖の鎖長を長く
したり、極性を変えることができる。この場合、添加さ
れる化合物としては上記のシラン系化合物自体も用いら
れ得るが、それらに限定されることなく、目的に応じて
任意の化合物が用いられ得、例えば、エポキシ基含有化
合物、アミノ基含有化合物、カルボキシル基含有化合
物、酸無水物基含有化合物、及び水酸基含有化合物等が
挙げられる。
【0048】反応は室温で充分に進行するが、必要に応
じて加温しても良い。加温時の最高温度は用いるシラン
系化合物の分解温度未満であり、かつ分散媒の沸点未満
で有れば任意に設定されうる。
【0049】シラン系化合物の使用量は、粘土分散体に
おけるシラン粘土複合体の分散性、シラン粘土複合体と
樹脂との親和性、ポリオルガノシロキサン組成物中での
シラン粘土複合体の分散性が十分に高まるように調製し
得る。必要であるならば、異種の官能基を有する複数種
のシラン系化合物を併用し得る。従って、シラン系化合
物の添加量は一概に数値で限定されるものではないが、
膨潤性ケイ酸塩100重量部に対して、0.1から20
0重量部であり、好ましくは0.2から180重量部で
あり、より好ましくは0.3から160重量部であり、
更に好ましくは0.4から140重量部であり、特に好
ましくは0.5から120重量部である。シラン系化合
物の量が0.1重量部未満であると得られるシラン粘土
複合体の微分散化効果が充分で無くなる傾向がある。ま
た、200重量部以上では効果が変わらないので、20
0重量部より多く添加する必要はない。
【0050】上記のようにして得られるシラン粘土複合
体の底面間隔は、導入されたシラン系化合物の存在によ
り、膨潤性ケイ酸塩の初期の底面間隔に比べて拡大し得
る。例えば、分散媒中に分散されて底面間隔が拡大され
た膨潤性ケイ酸塩は、シラン系化合物を導入しない場
合、分散媒を除去すると再び層同士が凝集した状態に戻
るが、本発明によれば、底面間隔を拡大した後にシラン
系化合物を導入することによって、分散媒を除去した後
も、得られるシラン粘土複合体は層同士が凝集すること
なく底面間隔が拡大された状態で存在し得る。シラン粘
土複合体の底面間隔は膨潤性ケイ酸塩の初期の底面間隔
に比べて、1.3倍以上、好ましくは1.5倍以上、更に
好ましくは1.7倍以上、特に好ましくは2倍以上拡大
している。このように、シラン系化合物が導入されるこ
とにより、および底面間隔が拡大されることにより、シ
ラン粘土複合体と樹脂との親和性を高めることができ
る。
【0051】ここで、シラン系化合物が膨潤性ケイ酸塩
に導入された事は種々の方法で確認し得る。確認の方法
としては、例えば、以下の方法が挙げられる。まず、テ
トラヒドロフランやクロロホルムなどの有機溶剤を用い
てシラン粘土複合体を洗浄する事によって、単に吸着し
ているシラン系化合物を洗浄し除去する。洗浄後のシラ
ン粘土複合体を乳鉢などで粉体状にしたのち充分に乾燥
する。次いで、シラン粘土複合体を粉末状の臭化カリウ
ム(KBr)等のような窓材質と所定の比率で充分に混
合して加圧錠剤化し、フーリエ変換(FT)−IRを用
い、透過法等により、シラン系化合物に由来する吸収帯
を測定する。より正確に測定することが所望される場
合、あるいは導入されたシラン系化合物量が少ない場合
には、充分に乾燥した粉末状のシラン粘土複合体をその
まま拡散反射法(DRIFT)で測定することが望まし
い。
【0052】また、シラン粘土複合体の底面間隔が膨潤
性ケイ酸塩よりも拡大している事は、種々の方法で確認
し得る。確認の方法としては、例えば、以下の方法が挙
げられる。
【0053】すなわち、上記と同様にして、吸着してい
るシラン系化合物を有機溶媒で洗浄してシラン粘土複合
体から除去し、乾燥した後に、小角X線回折法(SAX
S)などで確認し得る。この方法では、粉末状のシラン
粘土複合体の(001)面に由来するX線回折ピーク角
値をSAXSで測定し、Braggの式に当てはめて算
出することにより底面間隔を求め得る。同様に初期の膨
潤性ケイ酸塩の底面間隔を測定し、この両者を比較する
ことにより底面間隔の拡大を確認し得る。
【0054】前記のように、有機溶剤で洗浄した後に、
添加したシラン系化合物に由来する吸収帯がFT−IR
等で観測され、かつ底面間隔が原料の膨潤性ケイ酸塩よ
りも拡大していることをSAXS等で測定することによ
り、シラン粘土複合体が生成していることが判る。
【0055】本発明のポリオルガノシロキサン組成物に
おいて、ポリオルガノシロキサン100重量部に対する
シラン粘土複合体の配合量が、代表的には0.1〜50
重量部、好ましくは0.2〜45重量部、より好ましく
は0.3〜40重量部、更に好ましくは0.4〜35重量
部、特に好ましくは0.5〜30重量部となるように調
製される。シラン粘土複合体の配合量が0.1重量部未
満であると耐湿性や機械的特性などの改善効果が不充分
となる場合があり、50重量部を超えると表面性が損な
われる傾向がある。
【0056】また、シラン粘土複合体に由来するポリオ
ルガノシロキサン組成物の灰分率が、代表的には0.1
〜30重量%、好ましくは0.2〜28重量%、より好
ましくは0.3〜25重量%、更に好ましくは0.4〜2
3重量%、特に好ましくは0.5〜20重量%と成るよ
うに調製される。灰分率が0.1重量%未満であると耐
湿性や機械的特性などの改善効果が不充分となる場合が
あり、30重量%を超えると表面性が損なわれる傾向が
ある。
【0057】本発明のポリオルガノシロキサン組成物中
で分散しているシラン粘土複合体の構造は、配合前の膨
潤性ケイ酸塩が有していたような、層が多数積層したμ
mサイズの凝集構造とは全く異なる。すなわち、マトリ
ックス樹脂と親和性を有するシラン系化合物が導入さ
れ、かつ初期の膨潤性ケイ酸塩に比べて底面間隔が拡大
されたシラン粘土複合体を用いることによって、層同士
が劈開し、互いに独立して細分化する。その結果、シラ
ン粘土複合体はポリオルガノシロキサン組成物中で非常
に細かく互いに独立した薄板状で分散し、その数は、原
料である膨潤性ケイ酸塩に比べて著しく増大する。この
様な薄板状のシラン粘土複合体の分散状態は以下に述べ
るアスペクト比(層長さ/層厚の比率)、分散粒子数、
最大層厚および平均層厚で表現され得る。
【0058】まず、平均アスペクト比を、樹脂中に分散
したシラン粘土複合体の層長さ/層厚の比の数平均値で
あると定義すると、本発明のポリオルガノシロキサン組
成物中のシラン粘土複合体の平均アスペクト比は10〜
300であり、好ましくは15〜300であり。更に好
ましくは20〜300である。シラン粘土複合体平均ア
スペクト比が10未満であると、本発明のポリオルガノ
シロキサン組成物の弾性率や寸法安定性への改善効果が
十分に得られない場合がある。また、300より大きく
ても効果はそれ以上変わらないため、平均アスペクト比
を300より大きくする必要はない。
【0059】また、[N]値を、ポリオルガノシロキサ
ン組成物の面積100μm2における、膨潤性ケイ酸塩
の単位重量比率当たりの分散粒子数であると定義する
と、本発明のポリオルガノシロキサン組成物におけるシ
ラン粘土複合体の[N]値は、30以上であり、好まし
くは45以上であり、より好ましくは60以上である。
上限値は特にないが、[N]値が1000程度を越える
と、それ以上効果は変わらなくなるので、1000より
大きくする必要はない。[N]値は、例えば、次のよう
にして求められ得る。すなわち、ポリオルガノシロキサ
ン組成物を約50μm〜100μm厚の超薄切片に切り
出し、該切片をTEM等で撮影した像上で、面積が10
0μm2の任意の領域に存在するシラン粘土複合体の粒
子数を、用いた膨潤性ケイ酸塩の重量比率で除すことに
よって求められ得る。あるいは、TEM像上で、100
個以上の粒子が存在する任意の領域(面積は測定してお
く)を選んで該領域に存在する粒子数を、用いた膨潤性
ケイ酸塩の重量比率で除し、面積100μm2に換算し
た値を[N]値としてもよい。従って、[N]値はポリ
オルガノシロキサン組成物のTEM写真等を用いること
により定量化できる。
【0060】また、平均層厚を、薄板状で分散したシラ
ン粘土複合体の層厚みの数平均値であると定義すると、
本発明のポリオルガノシロキサン組成物中のシラン粘土
複合体の平均層厚の上限値は500Å以下であり、好ま
しくは450Å以下であり、より好ましくは400Å以
下である。平均層厚が500Åより大きいと、本発明の
ポリオルガノシロキサン組成物の耐湿性や機械的特性の
改良効果が十分に得られない場合がある。平均層厚の下
限値は特に限定されないが、好ましくは50Åより大き
く、より好ましくは60Å以上であり、更に好ましくは
70Å以上である。
【0061】また、最大層厚を、本発明のポリオルガノ
シロキサン組成物中に薄板状に分散したシラン粘土複合
体の層厚みの最大値であると定義すると、シラン粘土複
合体の最大層厚の上限値は、2000Å以下であり、好
ましくは1800Å以下であり、より好ましくは150
0Å以下である。最大層厚が2000Åより大きいと、
本発明のポリオルガノシロキサン組成物の耐湿性、接着
性、機械的特性および表面性のバランスが損なわれる場
合がある。シラン粘土複合体の最大層厚の下限値は特に
限定されないが、好ましくは100Åより大きく、より
好ましくは150Å以上であり、更に好ましくは200
Å以上である。
【0062】層厚および層長さは、本発明のポリオルガ
ノシロキサン組成物から得られる薄片を顕微鏡等を用い
て撮影される像から求めることができる。
【0063】すなわち、いま仮に、X−Y面上に上記の
方法で調製した検体を置いたと仮定する。上記の検体を
X−Z面あるいはY−Z面と平行な面で約50μm〜1
00μm厚の超薄切片を切り出し、該切片を透過型電子
顕微鏡などを用い、約4〜10万倍以上の高倍率で観察
して求められ得る。測定は、上記の方法で得られた透過
型電子顕微鏡の象上に置いて、100個以上のシラン粘
土複合体を含む任意の領域を選択し、画像処理装置など
で画像化し、計算機処理する事等により定量化できる。
あるいは、定規などを用いて計測しても求めることもで
きる。本発明のポリオルガノシロキサン組成物の製造方
法には特に制限はないが、例えば、(A)シラン粘土複
合体とシロキサン中間体を含有する粘土分散体を調製す
る工程、(B)シロキサン中間体を重合及び/又は硬化
する工程、を包含する方法が好ましい。
【0064】上記のシロキサン中間体とは、ジメチルジ
クロロシラン等のシラン系化合物及びその加水分解物か
ら得られる環状及び/又は線状のシロキサンオリゴマー
であり、側鎖としてメチル基、ビニル基、フェニル基等
の炭化水素基の他、アミノ基、エポキシ基、アルコー
ル、メルカプト基、カルボキシル基等の反応性官能基を
有していてもよい。該シロキサン中間体の粘度は粘土分
散体が充分に均一分散できる程度の粘度となるものであ
り、10〜100,000cSt、好ましくは50〜5
0,000cStである。
【0065】上記の工程(A)で粘土分散体を調製する
方法は特に限定されず、例えば、予め調製したシラン粘
土複合体およびシロキサン中間体を十分に混合する方
法、またはシラン粘土複合体および有機溶媒を充分に混
合した後、シロキサン中間体を更に添加混合する方法等
が挙げられる。
【0066】工程(A)で得られる粘土分散体に含まれ
るシラン粘土複合体は、膨潤性ケイ酸塩が有していたよ
うな初期の積層・凝集構造はほぼ完全に消失して薄板状
に細分化するか、あるいは層同士の間隔が拡大していわ
ゆる膨潤状態となる。膨潤状態を表す指標として底面間
隔が用いられ得る。粘土分散体中のシラン粘土複合体の
底面間隔は、シラン粘土複合体が細分化して薄板状に成
るためには、膨潤性ケイ酸塩の初期の底面間隔の3倍以
上が好ましく、4倍以上がより好ましく、5倍以上更に
好ましい。
【0067】次に工程(B)、すなわち、シロキサン中
間体を重合及び/又は硬化する工程を行い得る。その方
法は特に限定されず、通常一般に行われるポリオルガノ
シロキサンの重合および硬化方法によってなし得る。そ
の様な方法としては、例えば、環状オリゴマーを開環重
合する方法、架橋剤を用いて硬化する方法等が挙げられ
る。
【0068】本発明のポリオルガノシロキサン組成物の
耐湿性、接着性、機械的特性、表面外観に優れる理由
は、樹脂中にシラン粘土複合体が、多数の微小な薄板状
粒子となって分散し、その分散状態の指標となるシラン
粘土複合体の平均層厚、最大層厚、分散粒子数および平
均アスペクト比が前述した範囲になっているためであ
る。
【0069】シラン粘土複合体の分散状態は、シラン粘
土複合体の調製工程、上記のポリオルガノシロキサン組
成物の製造方法における工程(A)から選ばれる1種以
上の工程によって制御され得る。
【0070】すなわち、例えば、シラン粘土複合体を調
製する工程において、膨潤性ケイ酸塩を分散させる際の
撹拌力や剪断力が一定であるならば、分散媒の種類、複
数種の分散媒を用いる場合はその混合比率および混合の
順番に伴って、膨潤性ケイ酸塩の膨潤・劈開の状態は変
化する。例えば、膨潤性ケイ酸塩としてモンモリロナイ
トを用いた場合、分散媒が水のみでは、モンモリロナイ
トはほぼ単位層に近い状態にまで膨潤・劈開するので、
その状態でアミノ基、メルカプト基またはニトリル基等
の極性が高い基を有するシラン系化合物を反応させれ
ば、ほぼ単位層厚のシラン粘土複合体が分散した分散体
が調製される。一方、エタノール、テトラヒドロフラン
(THF)、メチルエチルケトン(MEK)やピリジ
ン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N
−ジメチルアセトアミド(DMAc)、N−メチルピロ
リドン(NMP)等の極性溶媒と水との混合溶媒を分散
媒とした場合や、該極性溶媒にモンモリロナイトを分散
させ次いで水を加える等した場合は、約数枚〜約百数十
枚程度の単位層が積層した状態に劈開、細分化する。
【0071】その状態でシラン系化合物を反応させれ
ば、ほぼ数枚〜約百数十枚分の厚みを有するシラン粘土
複合体が分散した分散体が調製される。それらの状態を
保持するように、ポリオルガノシロキサン組成物の製造
方法における工程(A)および(B)を行う事によって
シラン粘土複合体の分散状態を制御し得る。
【0072】また、工程(A)では、粘土分散体と混合
されるシロキサン中間体の種類や分子量、必要に応じて
用いられる有機溶媒の種類等でシラン粘土複合体の分散
状態は変化する。それらの状態を保持するように、ポリ
オルガノシロキサン組成物の製造方法における工程
(B)を行う事によってシラン粘土複合体の分散状態を
制御し得る。
【0073】本発明のポリオルガノシロキサン組成物に
は、必要に応じて、ポリブタジエン、ブタジエン−スチ
レン共重合体、アクリルゴム、アイオノマー、エチレン
−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン
共重合体、天然ゴム、塩素化ブチルゴム、α−オレフィ
ンの単独重合体、2種以上のα−オレフィンの共重合体
(ランダム、ブロック、グラフトなど、いずれの共重合
体も含み、これらの混合物であっても良い)、またはオ
レフィン系エラストマーなどの耐衝撃性改良剤を添加す
ることができる。また、必要に応じて、他の熱可塑性樹
脂や熱硬化性樹脂の単独または2種以上を組み合わせて
使用し得る。
【0074】更に、本発明のポリオルガノシロキサン組
成物には、目的に応じて、顔料や染料、熱安定剤、酸化
防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、可塑剤、難燃
剤、及び帯電防止剤等の添加剤を添加することができ
る。本発明のポリオルガノシロキサン組成物は、そのま
まの状態で使用されたり、又、熱プレス成形や射出成
形、押出成形で成形できる。
【0075】本発明のポリオルガノシロキサン組成物
は、耐湿性、接着性、表面性、機械的特性等に優れる
為、例えば、オイル、エラストマー、レジンの形態で、
各種添加剤、シ−ラント、機械・電気部品、自動車部
品、その他工業用資材に好適に用いられる。
【0076】本発明のポリオルガノシロキサン組成物中
ではシラン粘土複合体が非常に細かく、かつ薄い板状で
均一分散していることから、表面平滑性を損なうことな
く、また、比重を著しく増加させる事なく、耐湿性、接
着性、機械的強度を改善することができる。
【0077】
【実施例】以下実施例により本発明を更に詳細に説明す
るが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるも
のではない。
【0078】実施例、及び比較例で使用する主要原料を
以下にまとめて示す。尚、特に断らない場合は、原料の
精製は行っていない。 (原料) ・テトラヒドロフラン:和光純薬(株)製のテトラヒド
ロフラン(以降、THFと称す)を用いた。 ・モンモリロナイト:山形県産の天然モンモリロナイト
(底面間隔=13Å)を用いた。 ・膨潤性雲母:タルク25.4gとケイフッ化ナトリウ
ム4.7gの微粉砕物を混合し、800℃で加熱処理し
たものを用いた(底面間隔=12Å)。 ・γ-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシ
ラン:日本ユニカー(株)製、A−1120(以降、A
1120と称す)を用いた。 ・ビニルトリメトキシシラン:日本ユニカー(株)製、
A−171(以降、A171と称す)を用いた。 ・フェニルトリメトキシシラン:信越シリコーン(株)
製、LS−2750(以降、LS2750と称す)を用
いた。 ・熱加硫型シリコーン生ゴム:信越化学工業(株)製、
KE931U(以降、KE931Uと称す)を用いた。 ・シリコーンオイル:信越化学工業(株)製、KF96
(以降、KF96と称す)を用いた。 ・液状シリコーンゴム:信越化学工業(株)製、KE4
5(以降、KE45と称す)を用いた。また、実施例お
よび比較例における評価方法を以下にまとめて示す。 (FT−IR)シラン粘土複合体1.0gをテトラヒド
ロフラン(THF)50mlに添加し、24時間撹拌し
て吸着しているシラン系化合物を洗浄・除去した後、遠
心分離を行い上澄みを分離した。この洗浄操作を3回繰
り返した。洗浄後、十分に乾燥したシラン粘土複合体約
1mgとKBr粉末約200mgとを乳鉢を用いて充分
に混合した後、卓上プレスを用いて測定用のKBrディ
スクを作製した。ついで赤外分光器(島津製作所(株)
製、8100M)を用いて透過法で測定した。検出器は
液体窒素で冷却したMCT検出器を用い、分解能は4c
-1、スキャン回数は100回とした。 (試験体の作製)JISA5758に準じて組成物をガ
ラス上に塗布した。その後、20℃、55%RHで7日
間、更に30℃で7日間放置して硬化試験体を作製し
た。 (分散状態の測定)シラン粘土複合体に関しては、TE
Mを用いて以下のように行った。
【0079】硬化試験体から厚み50〜100μmの超
薄切片を用いた。透過型電子顕微鏡(日本電子JEM−
1200EX)を用い、加速電圧80kVで倍率4万〜
100万倍でシラン粘土複合体の分散状態を観察撮影し
た。TEM写真において、100個以上の分散粒子が存
在する領域を選択し、粒子数([N]値)、層厚および
層長を、目盛り付きの定規を用いた手計測または、必要
に応じてインタークエスト社の画像解析装置PIASII
Iを用いて処理する事により測定した。平均アスペクト
比は個々のシラン粘土複合体の層長と層厚の比の数平均
値とした。[N]値の測定は以下のようにして行った。
まず、TEM像上で、選択した領域に存在するシラン粘
土複合体の粒子数を求める。これとは別に、シラン粘土
複合体に由来する樹脂組成物の灰分率を測定する。上記
粒子数を灰分率で除し、面積100μm2に換算した値
を[N]値とした。
【0080】平均層厚は個々のシラン粘土複合体の層厚
の数平均値、最大層厚は個々のシラン粘土複合体の層厚
の中で最大の値とした。
【0081】分散粒子が大きく、TEMでの観察が不適
当である場合は、光学顕微鏡(オリンパス光学(株)製
の光学顕微鏡BH−2)を用いて上記と同様の方法で
[N]値を求めた。
【0082】板状に分散しない分散粒子のアスペクト比
は、長径/短径の値とした。ここで、長径とは、顕微鏡
像等において、対象となる粒子の外接する長方形のうち
面積が最小となる長方形を仮定すれば、その長方形の長
辺を意図する。また、短径とは、上記最小となる長方形
の短辺を意味する。 (小角X線回折法(SAXS)による底面間隔の測定)
X線発生装置(理学電機(株)製、RU−200B)を
用い、ターゲットCuKα線、Niフィルター、電圧4
0kV、電流200mA、走査角2θ=0.2〜16.0
°、ステップ角=0.02°の測定条件で底面間隔を測
定した。
【0083】底面間隔は、小角X線回折ピーク角値をB
raggの式に代入して算出した。ただし、小角X線ピ
ーク角値の確認が困難である場合は、層が十分に劈開し
て結晶性が実質的に消失したかあるいは、ピーク角値が
おおよそ0.8°以下である為に確認が困難であるとみ
なし、底面間隔の評価結果としては>100Åとした。 (引張強度、伸び、引裂強度)JISK6301−19
75に従って測定した。 (耐湿性)80℃の温水中に7日間、14日間浸漬後
に、上記と同様の引張試験を行った。 (表面性)表面性は中心線平均粗さで評価した。中心線
表面粗さは、東京精密(株)製の表面粗さ計;surf
com1500Aを用いて測定した。 (灰分率)シラン粘土複合体に由来する、ポリオルガノ
シロキサン組成物の灰分率は、JISK7052に準じ
て測定した。
【0084】(実施例1) 工程(A) 3500gのイオン交換水に125gのモンモリロナイ
トを加え、日本精機(株)製の湿式ミルで5000rp
m、5分撹拌して混合した。その後、16gのA112
0を加え、更に、表1に示した条件で撹拌する事によっ
てシラン粘土複合体を調製した。(シラン粘土複合体の
確認は、固形分を分離、乾燥、粉砕したものをSAXS
により底面間隔を測定し、およびTHFで洗浄したもの
のFT−IRによりシラン系化合物に由来する官能基の
吸収帯を測定することにより行った。結果は表1に示し
た)。次いで1000gのジエチルカーボネートを加え
て十分に混合したあと加熱して水を除去した。次いで1
600gのKE45を十分に混合する事によって、粘土
分散体を調製した。粘土分散体中のシラン粘土複合体の
底面間隔は、>100Åであった。 工程(B) 更に、35gのLS2750、1.6gのジブチルスズ
ラウレートを十分に混合した。その後、脱溶媒、脱気を
行った後、上記の試験体の作製に従って室温にて脱アル
コール縮合硬化して、本発明のポリオルガノシロキサン
組成物を得た。灰分率および特性を、以下の実施例と併
せ、表2に示した。 (実施例2)工程(A)において、A1120の量を1
0gとした以外は、実施例1と同様に行い(粘土分散体
中のシラン粘土複合体の底面間隔は、>100Åであっ
た。)、シラン粘土複合体を含有するポリオルガノシロ
キサン組成物を得、評価した。
【0085】(実施例3)工程(A)において、A11
20の代わりに、24gのA171(予め、PH3.0
で加水分解した)を用いた以外は、実施例1と同様に行
い(粘土分散体中のシラン粘土複合体の底面間隔は、8
8Åであった。)、シラン粘土複合体を含有するポリオ
ルガノシロキサン組成物を得、評価した。
【0086】(実施例4)工程(A)において、モンモ
リロナイトの代わりに膨潤性雲母を、またA1120の
量を32gとした以外は、実施例1と同様に行い(粘土
分散体中のシラン粘土複合体の底面間隔は、55Åであ
った。)、シラン粘土複合体を含有するポリオルガノシ
ロキサン成形体を得、評価した。 (比較例1)125gのモンモリロナイトと1000g
のジエチルカーボネートを十分に混合した後、1600
gのKE45を十分に混合した。混合物中のモンモリロ
ナイトの底面間隔は、14Åであった。更に、35gの
LS2750、1.6gのジブチルスズラウレートを十
分に混合した。その後、実施例1と同様にしてポリオル
ガノシロキサン組成物を得た。灰分率および特性を、以
下の比較例と併せ、表3に示した。
【0087】(比較例2)125gのモンモリロナイト
に16gのA1120をスプレーを用いて直接噴霧し、
1時間混合する事によってモンモリロナイトをシラン処
理した。シラン処理モンモリロナイトの底面間隔は13
Åであり、THFで洗浄した後、FT−IRにより測定
した結果、1級アミノ基、2級アミノ基、及びエチレン
基に由来する吸収帯が観測された。
【0088】モンモリロナイトの代わりに、上記のシラ
ン処理モンモリロナイトを用いた以外は、比較例1と同
様の方法でポリオルガノシロキサン組成物を得、評価し
た。
【0089】(実施例5) 工程(A) 3500gのイオン交換水に125gのモンモリロナイ
トを加え、日本精機(株)製の湿式ミルを用いて500
0rpm、5分間撹拌して混合した。その後、25gの
A171を加えてから更に、5000rpm、1時間撹
拌する事によってシラン粘土複合体を調製した。次い
で、1600gのKE931Uを加えて、ニーダーにて
十分に混練する事によって粘土分散体を調製した。粘土
分散体中のシラン粘土複合体の底面間隔は、59Åであ
った。 工程(B) 上記の粘土分散体に35gのKF96を添加し更に混練
した。これを取り出し、二本ロールで混練しながら、硬
化剤の過酸化ベンゾイル8gを添加混合した。加熱下、
水を除去しつつ、プレス成形により、シラン粘土複合体
を含有するポリオルガノシロキサン組成物を得、評価し
た。灰分率および特性を、以下の比較例と併せ、表4に
示した。
【0090】(比較例3)125gのモンモリロナイト
と1600gのKE931Uをニーダーにて十分に混練
した。混練物におけるモンモリロナイトの底面間隔は1
3Åであった。次いで、35gのKF96を添加し更に
混練した後、実施例5と同様の方法でポリオルガノシロ
キサン組成物を得、評価した。
【0091】
【発明の効果】以上、詳述したように、ポリオルガノシ
ロキサン中において、膨潤性ケイ酸塩の単位層同士を分
離劈開して、1つの膨潤性ケイ酸塩の凝集粒子を、非常
に多数の極微小な薄板状の層に細分化すること、すなわ
ち、平均層厚を500Å以下にすること、あるいは最大
層厚を2000Å以下にすること、または平均アスペク
ト比(層長さ/層厚の比)が10〜300であり、面積
100μm2中に存在するシラン粘土複合体の単位比率
当たりの粒子数を30以上にすることによって、表面性
を損なうことなく、耐湿性や機械的特性を改善すること
ができる。ポリオルガノシロキサン中で、膨潤性ケイ酸
塩を上記の如く薄板状に細分化することは、膨潤性ケイ
酸塩にシラン系化合物を導入してシラン粘土複合体とす
る事が必須である。
【0092】本発明のポリオルガノシロキサン組成物
は、例えば、本発明の製造方法、すなわち、(A)シラ
ン粘土複合体とシロキサン中間体を含有する粘土分散体
を調製する工程、(B)シロキサン中間体を重合及び/
又は硬化する工程、を包含する製造方法によって得られ
る。
【0093】
【表1】
【0094】
【表2】
【0095】
【表3】
【0096】
【表4】

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリオルガノシロキサンおよびシラン粘
    土複合体を含有するポリオルガノシロキサン組成物であ
    って、シラン粘土複合体が膨潤性ケイ酸塩に下記一般式
    (1) YnSiX4-n (1) (ただし、nは0〜3の整数であり、Yは、炭素数1〜
    25の炭化水素基、及び炭素数1〜25の炭化水素基と
    置換基から構成される有機官能基であり、Xは加水分解
    性基および/または水酸基である。n個のY、4−n個
    のXは、それぞれ同種でも異種でもよい。)で表される
    シラン系化合物が導入される事により調製され、かつ樹
    脂組成物中のシラン粘土複合体の平均層厚が500Å以
    下である、ポリオルガノシロキサン組成物。
  2. 【請求項2】 シラン粘土複合体の最大層厚が2000
    Å以下である、請求項1に記載のポリオルガノシロキサ
    ン組成物。
  3. 【請求項3】 ポリオルガノシロキサンおよびシラン粘
    土複合体を含有するポリオルガノシロキサン組成物であ
    って、シラン粘土複合体が膨潤性ケイ酸塩に下記一般式
    (1) YnSiX4-n (1) (ただし、nは0〜3の整数であり、Yは、炭素数1〜
    25の炭化水素基、及び炭素数1〜25の炭化水素基と
    置換基から構成される有機官能基であり、Xは加水分解
    性基および/または水酸基である。n個のY、4−n個
    のXは、それぞれ同種でも異種でもよい。)で表される
    シラン系化合物が導入される事により調製され、かつ樹
    脂組成物中のシラン粘土複合体の平均アスペクト比(層
    長さ/層厚の比)が10〜300であり、かつ[N]値
    が30以上であり、ここで[N]値が、樹脂組成物の面
    積100μm2中に存在する、シラン粘土複合体の単位
    比率当たりの粒子数であると定義される、ポリオルガノ
    シロキサン組成物。
  4. 【請求項4】 [N]値が30以上であり、ここで
    [N]値が、樹脂組成物の面積100μm2中に存在す
    る、シラン粘土複合体の単位比率当たりの粒子数である
    と定義される、請求項1または2に記載のポリオルガノ
    シロキサン組成物。
  5. 【請求項5】 樹脂組成物中のシラン粘土複合体の平均
    アスペクト比(層長さ/層厚の比)が10〜300であ
    る、請求項1または2に記載のポリオルガノシロキサン
    組成物。
  6. 【請求項6】 (A)シラン粘土複合体とシロキサン中
    間体を含有する粘土分散体を調製する工程、(B)シロ
    キサン中間体を重合及び/又は硬化する工程を包含す
    る、請求項1、2、3、4または5に記載のポリオルガ
    ノシロキサン組成物の製造方法。
  7. 【請求項7】 工程(A)で得られる粘土分散体中のシ
    ラン粘土複合体の底面間隔が、膨潤性ケイ酸塩の底面間
    隔の3倍以上であることを特徴とする、請求項6に記載
    のポリオルガノシロキサン組成物の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009096933A (ja) * 2007-10-18 2009-05-07 Kobe Steel Ltd 制振材料およびその製造方法
JP2009522431A (ja) * 2006-01-09 2009-06-11 モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド 気体透過性の低い室温硬化型シロキサン含有組成物を有する断熱ガラスユニット
JP2009522429A (ja) * 2006-01-09 2009-06-11 モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ インコーポレイテッド 室温硬化型オルガノポリシロキサン組成物
JP2017031314A (ja) * 2015-07-31 2017-02-09 株式会社日本触媒 シロキサン化合物を含む組成物

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