JP3718905B2 - 導電性ゴム組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に電子写真、静電記録等によるプリンターに使用される各種ゴムロール用素材として有用な導電性ゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
今日、電子写真、静電記録等の静電プロセスによるプリンターが産業用および民生用に広く利用されている。このプロセスは、一般に帯電、露光、現像、転写、定着および除電の各機構を経て、感光体に形成されている静電潜像を用紙に転写、定着させる過程からなり、前記各機構では、被接触物を電気的にコントロールするためにそれぞれロールが使用されているが、近年それらのゴム素材に対する要求性能がますます厳しくなっている。
即ち、前記各ロールに使用されるゴム素材の導電性は、温度、湿度等の環境条件が変化しても導電性が大きく変化しないことが要求されている。また、前記各ロール用のゴム素材の機械的物性についても、感光ドラムの安定した接触面積を長期にわたり確保するために、低硬度でかつ圧縮永久歪の小さいことが必要とされている。
従来、このような各種ロールのゴム素材としては、シリコーンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム(EPDM)、ウレタンゴム等が用いられている。
これらゴム素材のうち、シリコーンゴムは摩擦による摩耗が大きいことが問題とされており、NBRは、硬度を下げるために可塑剤あるいは軟化剤の添加が必要であり、その結果ロールの成形加工時にゴムの粘着が激しく、また加硫後にこれらの添加剤がロール表面にブリードして、感光ドラム表面が汚染される場合があり、しかも複写機やプリンター内で発生するオゾンにより劣化して、亀裂を生じたり圧縮永久歪が大きくなる等の不都合が生じる。またEPDMも、NBRと同様に硬度を下げるために軟化剤を添加する必要があるため、軟化剤がロール表面にブリードを生じ、圧縮永久歪が大きくなるという問題がある。さらにウレタンゴムは、特に、高温高湿度環境下でロール上のトナーの立ち上がり特性が十分でなく、トナーの帯電不良による“かぶり”、選択現像によるクリーニング不良、印刷濃度の低下等の欠陥を生じやすく、長期の連続印刷による印刷品位の低下が著しいという問題がある。
一方、ゴム素材の導電性を高めるためには、カーボンブラック等の電子伝導機構による導電性付与剤や、金属塩等のイオン伝導機構による導電性付与剤等を配合することが行われている。
しかしながら、電子伝導機構による導電性付与剤の場合は、十分な導電性を得るために例えばカーボンブラックの添加量を増やすと、組成物の粘度が上昇し、ゴム中での分散が不均質となるため、得られるゴムロールの導電性(抵抗値)も不均一となり、また体積固有抵抗値を1×106 Ω・cm以下のレベルに抑えようとすると、カーボンブラックの添加量が微妙に変化しても、体積固有抵抗値が大きく変化し、ゴム組成物の導電性を正確にコントロールすることが困難であり、しかも得られる導電性ゴム組成物の導電性の環境依存性も大きいという欠点もあった。また、イオン伝導機構による導電性付与剤の場合も、特に導電性(抵抗値)の環境依存性が大きいという問題があった。
さらに近年、ウレタンエラストマーに電子伝導機構による導電性付与物質とイオン伝導機構による導電性付与物質を併用することが提案されているが(特開平7−33977号公報)、この方法も従来のウレタンゴム製ロールの前記問題点は解決できない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その課題は、特に環境条件が変化しても安定した導電性(抵抗値)を有し、また製品が均一な導電性(抵抗値)を保ち、しかも低硬度で圧縮永久歪みが小さい導電性ゴム組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、
平均粒子径が20μm以下でありかつトルエン不溶分が30重量%以上である架橋シリコーンゴムと、シリコーンゴム以外の未架橋有機ゴムとからなり、シリコーンゴムと有機ゴムとの組成比が重量比でシリコーンゴム/有機ゴム=5/95〜80/20の範囲であるゴム組成物(A)中に、電子伝導機構による導電性付与剤(B)とイオン伝導機構による導電性付与剤(C)とを混合分散させてなる導電性ゴム組成物、または
エチレン性不飽和基を含有する未架橋シリコーンゴムのエマルジョンに、シリコーンゴム以外の未架橋有機ゴムを構成するエチレン性不飽和モノマーを、ラジカル重合開始剤を用いてグラフト共重合させて得られた、シリコーンゴムの平均粒子径が20μm以下でありかつシリコーンゴムのトルエン不溶分が30重量%以上であるグラフト共重合物からなり、シリコーンゴムと有機ゴムとの組成比が重量比でシリコーンゴム/有機ゴム=5/95〜80/20の範囲であるゴム組成物(A ') 中に、電子伝導機構による導電性付与剤(B)とイオン伝導機構による導電性付与剤(C)とを混合分散させてなる導電性ゴム組成物からなる。
【0005】
以下、本発明を詳細に説明する。
ゴム組成物(A)における架橋シリコーンゴムの原料となる未架橋シリコーンゴム、およびゴム組成物(A ') において使用される未架橋シリコーンゴムとしては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリメチル・ビニルシロキサン、ポリメチル・フェニル・ビニルシロキサン、ポリメチル・p−ビニルフェニルシロキサン、ポリメチル・トリフルオロプロピル・ビニルシロキサンや、これらの変性シリコーンゴム等を挙げることができる。これらの未架橋シリコーンゴムは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
シリコーンゴムは、ゴム組成物(A)およびゴム組成物(A ')中に、平均粒子径が20μm以下、好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下であり、かつトルエン不溶分が30重量%以上、好ましくは50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上として含有される。この場合、シリコーンゴムの平均粒子径が20μmを超えると、得られるゴムロールの耐摩耗性が劣り、またトルエン不溶分が30重量%未満では、ゴム表面にシリコーンゴムの一部がブリードして印刷特性に支障を来す。
【0006】
また、シリコーンゴム以外の未架橋有機ゴムとしては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−非共役ジエンゴム、エチレン−酢酸ビニルゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、エチレン−アクリル酸エステルゴム、ポリサルファイドゴム、エピクロルヒドリンゴム、エピクロルヒドリン−エチレンオキシドゴム、フッ素ゴム等を挙げることができる。これらの中で、好ましくはアクリロニトリル−ブタジエンゴム、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴムであり、さらに好ましくはアクリルゴムである。これらの未架橋有機ゴムは、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
ゴム組成物(A)およびゴム組成物(A ')におけるシリコーンゴムと有機ゴムとの組成比は、重量比で、シリコーンゴム/有機ゴム=5/95〜80/20の範囲であり、好ましくはシリコーンゴム/有機ゴム=10/90〜70/30の範囲である。
【0007】
ゴム組成物(A)は、例えば、
(1)所定の平均粒子径およびトルエン不溶分の架橋シリコーンゴムを、ミキサー、ロール等を用いて未架橋有機ゴムと混練りする方法、
(2)未架橋シリコーンゴムと未架橋有機ゴムを混練りしながら、未架橋シリコーンゴムを、所定の平均粒子径およびトルエン不溶分の架橋シリコーンゴムにする方法
等によって調製することができる。
また、ゴム組成物(A ') は、例えば、
(3)エチレン性不飽和基を含有する未架橋シリコーンゴムのエマルジョンに、未架橋有機ゴムを構成するエチレン性不飽和モノマーを、ラジカル重合開始剤を用いてグラフト共重合させて、所定の平均粒子径およびトルエン不溶分のシリコーンゴムを含有するグラフト共重合物を得たのち、グラフト共重合物を分離する方法
等によって調製することができる。
以下、前記(1)〜(3)の方法について、さらに説明する。
まず、前記(1)の方法に使用される架橋シリコーンゴムは、例えば、(a)架橋シリコーンゴムを、ボールミル等により低温あるいは常温で、機械的に粉砕する方法、(b)所定の平均粒子径の未架橋シリコーンゴムラテックスを、例えば過酸化物、電子線等により架橋したのち、架橋シリコーンゴムを分離する方法等により得ることができる。
前記(a)の場合、未架橋シリコーンゴムの架橋は、例えば、 (i)未架橋シリコーンゴムを、ロール、インターナルミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー等により混練りしながら、過酸化物、多価ヒドロシリル化合物−周期律表第8族遷移金属化合物系触媒(好ましくは白金系触媒)、イオウ、含イオウ有機化合物等の加硫・架橋剤を加え、またカルビノール等を導入した変性シリコーンゴムの場合は、多官能性イソシアネート、エポキシ化合物等の架橋剤を加えて架橋する方法、(ii)シラノール化合物、加水分解反応および縮合反応が可能な加水分解性基を分子内に2個以上含有するケイ素化合物および前記反応に対する触媒作用を有する重金属化合物、アミン類、第四級アンモニウミム塩等を加えて、未架橋シリコーンゴムと反応させる方法等により実施することができる。
また、前記(b)の場合、未架橋シリコーンゴムのラテックスは、例えば、 (iii)未架橋シリコーンゴムを、トルエン、ヘキサン等の溶媒に溶解した溶液を、高速攪拌翼を備えたホモミキサー、高速パイプ乳化機等を用いて、乳化剤を分散させた水中で乳化したのち、溶媒を除去する方法、(iv)多軸スクリュー押出し機中で、有機溶剤、乳化剤および20重量%以下程度の水とともに混合する方法、 (v)オクタメチルシクロテトラシロキサンのような環状シロキサンオリゴマーと多官能アルコキシシラン等のゲル化剤とを、公知のアニオン系またはカチオン系界面活性剤を用い、酸性もしくはアルカリ性のシロキサン重合触媒の存在下で乳化重合する方法等により得ることができる。これらのラテックスには、乳化助剤として部分ケン化ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、変性ポリエチレンワックス等を添加することにより、ラテックスの安定性を高めることができる。
【0008】
次に、前記(2)の方法における未架橋シリコーンゴムの架橋は、例えば、(c)未架橋シリコーンゴムと未架橋有機ゴムを、ロール、インターナルミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー等により混練りしながら、過酸化物、多価ヒドロシリル化合物−周期律表第8族遷移金属化合物系触媒(好ましくは白金系触媒)、イオウ、含イオウ有機化合物等の加硫・架橋剤を加え、またカルビノール等を導入した変性シリコーンゴムの場合は、多官能性イソシアネート、エポキシ化合物等の架橋剤を加えて、適当な温度下において未架橋シリコーンゴムを架橋する方法、(d)未架橋シリコーンゴムと未架橋有機ゴムを、ロール、インターナルミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー等により混練りしながら、シラノール化合物、加水分解反応および縮合反応が可能な加水分解性基を分子内に2個以上含有するケイ素化合物および前記反応に対する触媒作用を有する重金属化合物、アミン類、第四級アンモニウム塩等を加えて、適当な温度下において未架橋シリコーンゴムと反応させる方法等により実施することができる。
なお、前記(1)および(2)の方法における混練りに際しては、通常の充填剤、加工助剤等の添加剤を混練り前あるいは混練り中に添加することができる。
さらに、前記(3)の方法におけるエチレン性不飽和基を含有する未架橋シリコーンゴムのエマルジョンは、例えば、(d)オルガノシロキサンと、エチレン性不飽和基およびアルコキシシリル基を併せもつグラフト交叉剤とを、適当な触媒の存在下に重縮合させることによって得ることができる。
【0009】
次に、電子伝導機構による導電性付与剤(B)(以下、「導電性付与剤(B)」と略記する。)は、自由電子あるいはπ−電子に基づく導電性を示す物質であり、その例としては、一般的なカーボンブラック、グラファイト等の炭素系物質;アルミニウム、銅、ニッケル、銀、金、すず−鉛合金、銅−ニッケル合金等の金属あるいは合金;酸化すず、酸化チタン、酸化インジウム、酸化銀等の金属酸化物;各種フィラーに銅、ニッケル、銀等の導電性金属メッキを施した物質;ポリアセチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレン)、ポリ(p−フェニレン−ビニレン)、ポリ(ピリジノピリジン)等の高分子物質等を挙げることができる。これらの導電性付与剤(B)は、粉末状あるいは繊維状の形態で、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0010】
また、イオン伝導機構による導電性付与剤(C)(以下、「導電性付与剤(C)」と略記する。)は、陽イオンあるいは陰イオンに基づく導電性を示す物質であり、その例としては、例えば、LiCF3 SO3 、NaClO4 、LiClO4 、LiAsF6 、LiBF4 、NaSCN、KSCN、NaCl等の周期律表第1族金属の塩;NH4 Cl、NH4 SO4 、NH4 NO3 等のアンモニウム塩;Ca(ClO4)2 、Ba(ClO4)2 等の周期律表第2族金属の塩;これらの塩と1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール等の多価アルコールやそれらの誘導体との錯体;これらの塩とエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル等のモノオールとの錯体;第四級アンモニウム塩等の陽イオン性界面活性剤;脂肪族スルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルりん酸エステル塩等の陰イオン性界面活性剤;ベタイン等の両性界面活性剤等を挙げることができる。これらの導電性付与剤(C)は、粉末状あるいは繊維状の形態で、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0011】
本発明の導電性ゴム組成物には、用いられる有機ゴムの種類に応じて、イオウ系加硫剤、含イオウ有機化合物、有機過酸化物、キノイド系架橋剤、樹脂架橋剤、金属酸化物架橋剤、アミン架橋剤、トリアジン系架橋剤、ポリオール架橋剤、金属石鹸架橋剤、マレイミド系架橋剤等の公知の加硫・架橋剤が適宜選択して配合される。
また、加硫・架橋剤としてイオウ系加硫剤を使用する場合には、加硫促進剤を併使用することができ、また有機過酸化物を使用する場合には、共架橋剤を併用することができる。
さらに、本発明の導電性ゴム組成物には、通常のゴム組成物で使用される各種の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、例えば、滑剤、金属酸化物、軟化剤、可塑剤、老化防止剤、顔料、染料、加工助剤、活性剤、カップリング剤、内部離型剤、スコーチ防止剤、発泡剤、発泡助剤、抗菌剤等を挙げることができる。
【0012】
【作用】
本発明の導電性ゴム組成物は、電子導電性とイオン導電性とを併わせ有するため、従来のカーボンブラック等の電子伝導機構による導電性微粉末の量が少なくても、電気抵抗値の低いゴム組成物が得られるとともに、製品の導電性(抵抗値)が均一となり、しかも体積固有抵抗値が1×1011〜1×104 Ω・cmの範囲で環境依存性が少なく、5℃×相対湿度30%〜40℃×相対湿度90%の実用環境条件下における体積固有抵抗値の変化の小さい導電性ゴム組成物が得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、実施例により本発明の実施の形態をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例中における部および%は、特記しない限り重量に基づく。
【実施例】
実施例1
メチル・p−ビニルフェニル・ジメトキシシラン2.0部およびオクタメチルシクロテトラシロキサン98.0部を混合したのち、ドデシルベンゼンスルホン酸2.0部を溶解した蒸留水300部中に入れ、ホモミキサーにより3分間攪拌して乳化分散させた。
この混合液を、コンデンサー、窒素導入口および攪拌機を備えたセパラブルフラスコに移し、攪拌混合しながら90℃で6時間加熱したのち、5℃に24時間保持して縮合を完結させた。得られたポリオルガノシロキサン中のオクタメチルシクロテトラシロキサンの縮合率は89.5%であった。
このポリオルガノシロキサンエマルジョンを炭酸ナトリウム水溶液でpH7に中和して、シリコーンゴムエマルジョン(E−1)を得た。シリコーンゴムエマルジョン(E−1)から重合体を塩析して測定したところ、平均重合度はケイ素原子数で5,000、重合体の有機基中のp−ビニルフェニル基の割合は0.3モル%であった。
次に、内容積6リットルのオートクレーブ内に、シリコーンゴムエマルジョン(E−1)30部、有機ゴムを構成するエチレン性不飽和モノマーとしてエチルアクリレート68部とアリルグリシジルエーテル2部、ラジカル重合開始剤としてパラメンタンハイドロパーオキシド0.02部、硫酸第一鉄0.005部およびりん酸カリウム0.3部、並びに乳化剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.1部を添加し、反応温度30℃で重合させた。重合転化率が90%に到達したのち、N−ジエチルヒドロキシアミン0.2部を加えて、重合を停止させた。次いで、反応溶液に安定剤としてアルキル化ジフェニルアミン1部を加え、水蒸気蒸留により未反応モノマーを除去したのち、硫酸アルミニウムを加えて、生成したグラフト共重合物を凝固させた。この凝固させたグラフト共重合物を水洗したのち、真空乾燥機を用いて乾燥し、ゴム組成物(A−1)を得た。ゴム組成物(A−1)中のシリコーンゴムの平均粒子径およびトルエン不溶分を、表1に示す。
次に、ゴム組成物(A−1)を用い、表2に示す配合処方および加硫条件で加硫シートを作製した。
得られた加硫シートについて、加硫ゴム表面のシリコーンゴムのブリードの有無を目視にて観察し、さらに機械的物性(引張試験と圧縮永久歪)をJIS K−6301に従い、また体積固有抵抗値をJIS K−6911に従い測定した結果を表3に示す。その結果、本発明の導電性ゴム組成物は、シリコーンゴムのブリードがなく、ゴム本来の特性を損なうことなく、低硬度かつ圧縮永久歪が小さく、しかも導電性(抵抗値)の環境安定性に優れたものであることがわかった。
【0014】
実施例2
ケイ素原子に結合した有機基の1モル%がビニル基で、残余がメチル基であり、平均重合度が5,500の直鎖状ポリメチル・ビニルシロキサン100重量部に、表面をポリシロキサンで処理して疎水性化した微粉末シリカ35重量部を、ニーダーで均一になるまで配合してシリコーンゴム組成物を得た。
次に、前記シリコーンゴム組成物40.5部、有機ゴムとしてアクリロニトリル−ブタジエンゴム(日本合成ゴム(株)製 N220S)70部、およびポリオルガノハイドロジェンシロキサンとして末端がトリメチルシリル基で封鎖された、20個のメチルハイドロジェンシロキサン単位からなる直鎖状ポリメチルハイドロジェンシロキサン2部を、この順序で温度60〜80℃および60rpmに設定したゴムミキサー内に投入、混練りした。その後均一状態になった時点で、塩化白金酸1重量%を含むイソプロパノール溶液を加えてさらに混練りし、約80分後に再び均一状態になったのち、排出して、ゴム組成物(A−2)を得た。ゴム組成物(A−2)中の架橋シリコーンゴムの平均粒子径およびトルエン不溶分を、表1に示す。
次に、ゴム組成物(A−2)を用い、表2に示す配合処方および加硫条件で加硫シートを作製した。
得られた加硫シートについて、実施例1と同様にして、加硫ゴム表面のシリコーンゴムのブリートの有無、機械的物性および体積固有抵抗値を評価した結果を表3に示す。その結果、本発明の導電性ゴム組成物は、シリコーンゴムのブリードがなく、ゴム本来の特性を損なうことなく、低硬度かつ圧縮永久歪が小さく、しかも導電性(抵抗値)の環境安定性に優れたものであることがわかった。
【0015】
実施例3
両末端にケイ素原子に結合した水酸基を有し、平均重合度が100の直鎖状ポリジメチルシロキサン100重量部に、表面をポリシロキサンで処理して疎水性化した微粉末シリカ35重量部を、ヘンシェルミキサーで均一になるまで混練りしてシリコーンゴム組成物を得た。
次に、前記シリコーンゴム組成物67.5重量部、有機ゴムとしてアクリルゴム(日本合成ゴム(株)製 AREX100)、およびケイ素化合物としてエチルシリケートの部分加水分解・縮合物(二酸化ケイ素分=40%、ユニオンカーバイド(株)製エチルシリケート−40)0.5重量部を、この順次で温度60〜80℃および60rpmに設定したゴムミキサー内に投入、混練りした。その後均一になった時点で、ジブチルスズラウレート0.1重量部を加えてさらに混練りし、再び均一になったのち、排出して、ゴム組成物(A−3)を得た。ゴム組成物(A−3)中の架橋シリコーンゴムの平均粒子径およびトルエン不溶分を、表1に示す。
次に、ゴム組成物(A−3)を用い、表2に示す配合処方および加硫条件で加硫シートを作製した。
得られた加硫シートについて、実施例1と同様にして、加硫ゴム表面のシリコーンゴムのブリートの有無、機械的物性および体積固有抵抗値を評価した結果を表3に示す。その結果、本発明の導電性ゴム組成物は、シリコーンゴムのブリードがなく、ゴム本来の特性を損なうことなく、低硬度かつ圧縮永久歪が小さく、しかも導電性(抵抗値)の環境安定性に優れたものであることがわかった。
【0016】
比較例1
ミラブル型シリコーンゴム(信越化学工業(株)製KE8751−U)40部と有機ゴムとしてアクリロニトリル−ブタジエンゴム(日本合成ゴム(株)製N222L)60部とを混合して、表1に示すシリコーンゴムの平均粒子径およびトルエン不溶分を有するゴム組成物を得た。次に、このゴム組成物を用いて、表2に示す配合処方、加硫条件で加硫シートを作製した。
得られた加硫シートについて、実施例1と同様にして、加硫ゴム表面のシリコーンゴムのブリートの有無、機械的物性および体積固有抵抗値を評価した結果を表3に示す。その結果、ゴム加硫物の表面にシリコーンゴムのブリードが認められ、また機械的物性の不十分であり、しかも導電性(抵抗値)の環境安定性に劣っていた。
【0017】
比較例2
導電性付与物質(C)を添加しない以外は、実施例1と同様にして、加硫シートを作製した。
得られた加硫シートについて、実施例1と同様にして、加硫ゴム表面のシリコーンゴムのブリートの有無、機械的物性および体積固有抵抗値を評価した結果を表3に示す。その結果、特に導電性(抵抗値)の環境安定性に劣っていた。
【0018】
比較例3
導電性付与物質(B)を添加しない以外は、実施例3と同様にして、加硫シートを作製した。
得られた加硫シートについて、実施例1と同様にして、加硫ゴム表面のシリコーンゴムのブリートの有無、機械的物性および体積固有抵抗値を評価した結果を表3に示す。その結果、特に、体積固有抵抗値が一般に高く、しかも導電性(抵抗値)の環境安定性に劣っていた。
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】
【表3】
【0022】
【発明の効果】
本発明の導電性ゴム組成物は、環境条件が変化しても安定した導電性(抵抗値)を有し、また製品が均一な導電性(抵抗値)を保ち、かつシリコーンゴムのブリードがなく、しかもゴム本来の特性を損なうことなく、低硬度で圧縮永久歪が小さいため、特に電子写真、静電記録等のプリンターにおけるトナー搬送用ロール、帯電ロール、現像ロール、転写ロール、クリーニングロール等の被接触物を電気的にコントロールするロール用素材に極めて好適に使用することができる。
Claims (6)
- 平均粒子径が20μm以下でありかつトルエン不溶分が30重量%以上である架橋シリコーンゴムと、シリコーンゴム以外の未架橋有機ゴムとからなり、シリコーンゴムと有機ゴムとの組成比が重量比でシリコーンゴム/有機ゴム=5/95〜80/20の範囲であるゴム組成物(A)中に、電子伝導機構による導電性付与剤(B)とイオン伝導機構による導電性付与剤(C)とを混合分散させてなる導電性ゴム組成物。
- エチレン性不飽和基を含有する未架橋シリコーンゴムのエマルジョンに、シリコーンゴム以外の未架橋有機ゴムを構成するエチレン性不飽和モノマーを、ラジカル重合開始剤を用いてグラフト共重合させて得られた、シリコーンゴムの平均粒子径が20μm以下でありかつシリコーンゴムのトルエン不溶分が30重量%以上であるグラフト共重合物からなり、シリコーンゴムと有機ゴムとの組成比が重量比でシリコーンゴム/有機ゴム=5/95〜80/20の範囲であるゴム組成物(A ') 中に、電子伝導機構による導電性付与剤(B)とイオン伝導機構による導電性付与剤(C)とを混合分散させてなる導電性ゴム組成物。
- シリコーンゴム以外の未架橋有機ゴムがアクリロニトリル−ブタジエンゴム、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴムおよびアクリルゴムの群の単独または2種以上の混合物である、請求項1に記載の導電性ゴム組成物。
- シリコーンゴム以外の未架橋有機ゴムがアクリロニトリル−ブタジエンゴムおよびアクリルゴムの群の単独または2種の混合物である、請求項2に記載の導電性ゴム組成物。
- ゴム組成物中のシリコーンゴムの平均粒子径が10μm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の導電性ゴム組成物。
- ゴム組成物中のシリコーンゴムのトルエン不溶分が70重量%以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の導電性ゴム組成物。
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