JP4392106B2 - 低抵抗コネクタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶ディスプレイ(COG、TABタイプ)と回路基板との接続、あるいは電子回路基板間の接続に用いられる低抵抗コネクタに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子回路基板間等を接続するのに、U字型金属線コネクタに替えて、銀粉末を含有するコネクタを使用することが検討されてきた。このコネクタは、導電性エラストマ層と絶縁性エラストマ層とをゼブラ状に積層されているため、接触が安定しており点接触になり難く、表示不良になりにくい。
しかし、導電性部材としての銀粉末は凝集しやすく、長期間保存しておくとエラストマへの添加が困難になる問題があった。また、凝集したものを配合すると分散性不良となり、抵抗値の不安定、不均一性の原因となってしまう。
また、多重積層してゼブラコネクタとするときに、前述の銀粉末の分散性が悪いと、ブロック状態での加硫プレスの時に、導電層内もしくは導電層と絶縁層との界面で裂ける現象(パンク)が起こることがある。このため、大量に安定して製造することが非常に困難であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、液晶ディスプレイと回路基板、回路基板間の接続において安定した導通抵抗を得ることが可能となり、銀粉末としての長期保存も可能で、シリコーンゴムへ添加した場合も銀粉末との親和性に優れ良好な分散性があり、安定した抵抗値を有する導電性部材を使用することにより、大量に安価に製造することができる低抵抗コネクタを提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の低抵抗コネクタは、少なくとも一方が可撓性を有する導電性エラストマ層と絶縁性エラストマ層とを、その接合面が互いに平行となるように交互に、かつ多重に積層したものであって、前記導電性エラストマ層の導電性部材としてのシリコーンゴム組成物が下記(A)〜(C)からなるシリコーンゴム組成物の硬化物からなる。
(A)下記平均組成式(1)で示され、脂肪族不飽和基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン・・・・・・100質量部、
nSiO(4-n)/2・・・・・・(1)
(ただし、式中Rは同一または異種の非置換または置換の1価炭化水素基であり、nは1.98〜2.02の正数である。)
(B)予め銀粉末中に球状有機樹脂からなる粉体を0.2〜5質量%混合してなる導電性粉末・・・・・・100〜800質量部、
(C)硬化剤 ・・・・・・上記(A)成分を硬化させ得る量。
(B)成分の粉体は、微粉末シリカであることが好ましい。銀粉末に混合される微粉末シリカの比表面積50〜300m2/gであることがさらに好ましい。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、予め銀粉末に少なくとも0.2質量%の無機質充填剤および球状有機樹脂から選ばれる粉体を混合した導電性粉末を用いることにより、分散性の優れた銀粉末(導電性粉末)となることで、単なる銀粉末を用いる場合の上述した問題点を解決し得ることを見出した。
【0006】
即ち、下記平均組成式(1)で示されるオルガノポリシロキサン100質量部に、予め銀粉末中に少なくとも0.2質量%の無機質充填剤および球状有機樹脂から選ばれる粉体を混合してなる導電性粉末を100〜800質量部配合することにより、銀粉末の経時での凝集が少なく、シリコーンゴム組成物に配合した場合の分散性に優れるため、安定した体積抵抗率を得ることができ、得られたシリコーンゴム組成物は、有機過酸化物とオルガノハイドロジェンポリシロキサン/白金系触媒単独でも、また有機過酸化物とオルガノハイドロジェンポリシロキサン/白金系触媒の併用系でも硬化し得、その成形物は、結果的に安定的な電気的に抵抗の低い(高導電性)部材となり、長期の使用に耐え得ることから、コネクタに最適であることを知見し、本発明をなすに至った。
nSiO(4-n)/2・・・・・・(1)
(式中、Rは同一または異種の非置換または置換1価炭化水素基であり、nは1.98〜2.02の正数である。)
【0007】
以下、本発明について更に詳細を説明する。
本発明に係るシリコーンゴム組成物の第1必須成分のオルガノポリシロキサンは、下記平均組成式(1)で示されるものである。
nSiO(4-n)/2・・・・・・(1)
(式中、Rは同一または異種の非置換または置換1価炭化水素基であり、nは1.98〜2.02の正数である。)
【0008】
ここで、上記式中Rはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基などや、これらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部または全部をハロゲン原子、シアノ基などで置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基などから選択される同一または異種の好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜8の非置換または置換1価炭化水素基である。この場合、Rは脂肪族不飽和基(アルケニル基)を少なくとも2個有していることが必要であるが、R中の脂肪族不飽和基の含有量は0.001〜20モル%、特に0.025〜5モル%であることが好ましい。また、nは1.98〜2.02の正数である。上記式(1)のオルガノポリシロキサンは、基本的には直鎖状であることが好ましいが、分子構造の異なる1種または2種以上の混合物であってもよい。
【0009】
更に、上記オルガノポリシロキサンは、平均重合度が100〜10,000であることが好ましい。
次に、銀粉末について説明すると、本発明で使用する銀粉末は、特に限定されるものではなく、例えば電解法、粉砕法、熱処理法、アトマイズ法、化学的製法などで製造された、粒状、樹枝状、フレーク状などの粉末が挙げられる。更には、ガラスビーズやフェノール樹脂に銀をメッキした材料でもよい。
また、本発明に使用される銀粉末の粒径は特に限定されないが、好ましくは平均粒径が0.05〜100μm、特に0.1〜10μmの範囲がよい。
なお、本発明の銀粉末の形状は特に限定されず、例えば、粒状、樹枝状、フレーク状、不定形状であり、またこれらの形状を有する銀粉末の混合物であってもよいが、低抵抗コネクタの導電性部材のシリコーンゴムを形成するためには完全に独立した分散ではなく、銀の粉末が部分的に連結していることが望ましい。
【0010】
銀粉末を粉砕する装置は特に限定されず、例えば、スタンプミル、ボールミル、振動ミル、ハンマーミル、圧延ローラ、乳鉢等の公知の装置が挙げられる。また、還元銀、アトマイズ銀、電解銀またはこれら2種以上の混合物からなる銀粉末を圧延する条件は特に限定されず、使用する銀粉末の粒径や形状により選択する必要がある。
粉砕法による銀粉末の場合、粉砕する装置は特に限定されず、例えば、スタンプミル、ボールミル、振動ミル、ハンマーミル、圧延ローラ、乳鉢等の公知の装置が挙げられる。また、還元銀、アトマイズ銀、電解銀またはこれら2種以上の混合物からなる銀粉末を圧延する条件は特に限定されず、使用する銀粉末の粒径や形状により選択する。
銀粉末は、ガラスビーズやフェノール樹脂に銀をメッキした材料でもよい。
また、銀粉末と併用して、従来から知られている導電性カーボンブラック、導電性亜鉛華、導電性酸化チタン等の他の導電性無機物などの導電材や、増量剤としてシリコーンゴムパウダ、ベンガラ、粉砕石英、炭酸カルシウムなどの充填剤を添加してもよい。
【0011】
また、銀粉末は、酸化物や硫化物を生成しやすく、これらは絶縁物質であるため製造した銀粒子含有のコネクタを空気中に放置しておくと、酸化や硫化されて抵抗値の上昇を招くおそれがある。
低抵抗コネクタの導電性部材のシリコーンゴムを形成するために利用されるフレーク状の銀粉末は、粉砕法で得られたものが用いられ得る。
一般的に銀粉末を粉砕する際に、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の飽和または不飽和の高級脂肪酸、金属石鹸、高級脂肪族アミン、ポリエチレンワックスなどで処理する方法があるが、これらの処理方法に使用される化合物は、シリコーンゴムに添加した際、加硫阻害を引き起こす可能性がある。
そこで、前記処理に用いられた化合物を洗浄・除去した後に導電性エラストマと混練して低抵抗コネクタとし、その低抵抗コネクタのコンタクト部分にメルカプト系化合物を溶剤、もしくは水に溶解させ、これを塗布、コーティングすることによって銀粉末の酸化、硫化を防ぐことが可能となり、安定した抵抗値を得ることができる。
【0012】
本発明においては、上記銀粉末に無機質充填剤および球状有機樹脂から選ばれる粉体の1種または2種以上を予め混合してなる導電性充填剤をシリコーンゴム組成物に配合する。
この場合、無機質充填剤としては、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、マイカ、硫酸バリウム、カーボンブラック等が挙げられる。これらの中では、シリカ、アルミナ、カーボンブラックが好ましく、特にシリカが好ましい。
また、球状有機樹脂としては、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン、スチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、アミノ樹脂、含フッ素樹脂、ニトリル系樹脂等が挙げられ、特にポリメチルメタクリレートが好ましく用いられる。
【0013】
上記無機質充填剤、球状有機樹脂の平均粒径は0.005〜50μmが好ましく、更に好ましくは0.01〜30μmである。
上記無機質充填剤としては、シリカ、特に微粉末シリカが好ましいが、上記銀粉末に混合される微粉末シリカは、銀粉末の凝集防止が目的であり、比表面積(BET法)が50m2/g以上、特に100〜300m2/gであることが好ましい。比表面積が50m2/gに満たないと十分な凝集防止効果を得ることができないおそれがある。微粉末シリカとしては、例えば煙霧質シリカ、沈降シリカ等が挙げられ、またこれらの表面をクロロシランやヘキサメチルジシラザン、オルガノポリシロキサン、アルコキシシランなどで疎水化したものも好適に用いられる。
【0014】
上記無機質充填剤および球状有機樹脂から選ばれる粉体は、銀粉末に対して0.2質量%以上、好ましくは0.5〜5質量%をターブラ撹拌機等を用いて5分〜5時間程度混合することが推奨される。該粉体の添加量が0.2質量%未満では凝集効果が減少する。なお、5質量%を超えると電気抵抗値が高くなってしまうことがある。
なお、上記のように銀粉末に上記粉体を予め混合した導電性粉末を用いるのではなく、組成物調製時に銀粉末と上記粉末を上記オルガノポリシロキサンに混合しても、本発明の効果は得られない。
上記導電性粉末の配合量は、上記オルガノポリシロキサン100質量部に対し100〜800質量部であり、特に200〜600質量部が好ましい。配合量が少ないと十分な導電性を付与し得ないことがあり、多すぎると配合性に問題が生じる場合がある。
100質量部に満たない場合には、十分な導電性を付与し得ないことがあり、また800質量部を超えると、配合性および導電性エラストマ層の薄膜に成膜する際の加工が困難になる。
【0015】
本発明において、第3必須成分の硬化剤としては、既知のオルガノハイドロジェンポリシロキサン/白金系触媒(付加反応用硬化剤)または有機過酸化物触媒を使用し得る。
白金系触媒としては公知のものが使用でき、具体的には白金元素単体、白金化合物、白金複合体、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール化合物、アルデヒド化合物、エーテル化合物、各種オレフィン類とのコンプレックスなどが例示される。白金系触媒の添加量は、第1成分のオルガノポリシロキサンに対し白金原子として1〜2,000ppmの範囲とすることが望ましい。
一方、オルガノハイドロジェンポリシロキサンは、ケイ素原子に直結した水素原子を少なくとも2個以上有するものであれば特に制限されず、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよいが、R1 abSiO(4-a-b)/2(R1はRと同様の非置換または置換1価炭化水素基で、好ましくは脂肪族不飽和結合を有さないものである。a、bは、0≦a<3、0<b<3、0<a+b<3の数である。)で表されるものが好ましく、特に重合度が300以下のものが好ましい。
【0016】
具体的には、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたジオルガノポリシロキサン、ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位および末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジメチルハイドロジェンシロキサン単位(H(CH3)2SiO0.5単位)とSiO2単位とからなる低粘度流体、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジェン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンなどが例示される。
【0017】
この硬化剤としてのオルガノハイドロジェンポリシロキサンの添加量は、第1成分のオルガノポリシロキサンの脂肪族不飽和基(アルケニル基)に対して、ケイ素原子に直結した水素原子が50〜500モル%となる割合で用いることが望ましい。
また、有機過酸化物触媒としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、p−メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−ビス(2,5−t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエートなどが挙げられる。有機過酸化物触媒の添加量は、第1成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して0.1〜5質量部とすればよい。
【0018】
本発明に係るシリコーンゴム組成物には、上記必須成分に加え、任意成分として本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じ、補強性シリカ粉末を添加してもよい。補強性シリカ粉末は、機械的強度の優れたシリコーンゴムを得るために添加されるものであるが、この目的のためには、比表面積が50m2/g以上、好ましくは100〜300m2/gである必要がある。比表面積が50m2/gに満たないと硬化物の機械強度が低くなってしまう。このような補強性シリカとしては、例えば煙霧質シリカ、沈降シリカ等が挙げられ、またこれらの表面をクロロシランやヘキサメチルジシラザンなどで疎水化したものも好適に用いられる。
補強性シリカ粉末の添加量は、第1成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対して3〜70質量部、特に10〜50質量部とすることが好ましく、3質量部未満では添加量が少なすぎて補強効果が得られず、70質量部を超えると加工性が悪くなり、また機械的強度が低下してしまうおそれが生じる。
【0019】
更には、スポンジを成形するための無機、有機の発泡剤を添加してもよい。この発泡剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、ジニトロペンタメチレンテトラミン、ベンゼンスルフォンヒドラジドアゾジカルボンアミドなどが例示され、その添加量は(A)成分のオルガノポリシロキサン100質量部に対し1〜10質量部の範囲が好適である。このように、本発明に用いられる組成物に発泡剤を添加すると、スポンジ状の導電性シリコーンゴムを得ることができる。
また、本発明に用いられる組成物には、必要に応じて着色剤、耐熱性向上剤などの各種添加剤や反応制御剤、離型剤あるいは充填剤用分散剤などを添加することは任意とされるが、この充填剤用分散剤として使用されるジフェニルシランジオール、各種アルコキシシラン、カーボンファンクショナルシラン、シラノール基含有低分子量シロキサンなどは本発明の効果を損なわないように最小限の添加量に止めることが好ましい。
【0020】
更に、本発明に係る導電性部材のシリコーンゴム組成物を難燃性、耐火性にするために、白金含有材料、白金化合物と二酸化チタン、白金と炭酸マンガン、白金とγ−Fe23、フェライト、マイカ、ガラス繊維、ガラスフレークなどの公知の添加剤を添加してもよい。
本発明に係る導電性部材のシリコーンゴム組成物は、上記した成分を2本ロール、バンバリーミキサー、ドウミキサー(ニーダー)などのゴム混練り機を用いて均一に混合して、必要に応じ加熱処理を施すことにより得ることができる。
このようにして得られた導電性シリコーンゴム組成物は、金型加圧成形、押出成形、カレンダ成形などの種々の成形法によって必要とされる用途に成形することができる。なお、硬化は硬化方法、成形物の肉厚により適宜選択することができるが、通常80〜400℃で10秒〜30日の条件にて行うことができる。
【0021】
本発明の低抵抗コネクタを構成する一方の絶縁性エラストマ層を形成するエラストマは、形状的に安定し、自重で甚だしく変形したり、硬化後、塑性変形しない弾性材料であればよく、これには天然ゴム、ブタジエン・スチレン、アクリロニトリル・ブタジエン、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン、スチレン・エチレン、エチレン・プロピレン、エチレン・プロピレン・ジエン等の各共重合体ゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、ポリサルファイドゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、ポリイソブチレンゴム等の合成ゴム類のほか、ポリエステルエラストマ等の熱可塑性エラストマ、塑性化塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体樹脂などが挙げられるが、これらの内では時効特性、電気絶縁性、耐熱性、圧縮永久歪、加工性等に優れ、価格的にも安定しているシリコーンゴムが好ましい。
【0022】
シリコーンゴム類としては、通常、ジメチル−、メチルフェニル−、メチルビニル−等の各ポリシロキサン類、シリカのような充填剤を配合して適当なレオロジー特性が付与されたハロゲン化ポリシロキサン類、または金属塩類でバルカナイズされ、もしくは硬化されたハロゲン化ポリシロキサン類等が挙げられる。
この低抵抗コネクタの製造方法は、上記導電性部材を用いて形成した低抵抗の導電性エラストマ層と絶縁性エラストマ層とを交互に積層し硬化してなる低抵抗コネクタの硬度を、好ましくは50〜80°H、特に好ましくは60〜80°Hとすることによって、電子回路基板間等の接続の際、圧縮率が2〜10%と極めて小さな値でも均一な接続が可能になり、圧縮による座屈をほとんどなくすことができ、確実で安定した接続状態が得られ、機器に与える付加が小さくなり、IC検査機器等の小型軽量化が達成される。
【0023】
この低抵抗コネクタとなる導電性エラストマ層および絶縁性エラストマ層は、印刷法やカレンダ法等を用いて製造されるが、安定した生産性を考慮すると、カレンダ法により積層するのが好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレートフィルム上に絶縁性エラストマ層をカレンダで薄膜に製膜して設け、加熱硬化した後、この絶縁性エラストマ層上に導電性エラストマ層をカレンダで薄膜に製膜し、得られた積層薄膜をポリエチレンテレフタレートフィルムから剥離して、これを同順に多数枚積層して積層ブロック体とし、スライス後、裁断してコネクタとする。なお、本発明の低抵抗コネクタは、このような製法に限定されるものではなく、さまざまな製法で製造することが可能である。
また、本発明に出てくる硬度の測定は、JIS K−6253(ISO 7619)に規定されている試験方法で行われている。
【0024】
【実施例】
[参考例1〜5、比較例1〜2]
ベースフィルムとしての厚さ0.5mmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、絶縁性シリコーンゴムコンパウンド[商品名:KE971U、信越化学工業(株)製][硬化剤としてC−19A/B(信越化学工業(株)製を使用]を厚さ0.03mmとなるようにカレンダで分出しし、200℃の加熱炉中で硬化して絶縁性エラストマ層を形成した。
別に、平均粒径1.5〜1.7μmの銀粉末に微粉末疎水性シリカ(商品名:R−972、日本アエロジル(株)製、比表面積130m2/g)を0.5質量%、1.0質量%、3.0質量%添加し、ターブラ撹拌機を用いて30分間、銀粉末とシリカを撹拌混合した。
【0025】
また、シリカを添加しない銀粉末、銀粉末にシリカ(商品名:R−972)を0.1質量%添加した混合粉末を比較用導電性粒子とした。そして、表1に示すように、導電性粉末A〜Eとした。
次に、得られた導電性粒子A〜Eを、ジメチルシロキサン単位99.85モル%とメチルビニルシロキサン単位0.15モル%とからなる平均重合度が約8000のメチルビニルポリシロキサン(シロキサンポリマー)に、表2に示すとおり添加し、ジクミルパーオキサイドを得られたコンパウンド100質量部に対して0.5質量部添加し、混練して導電性エラストマコンパウンドを調製した。
この導電性エラストマコンパウンドを先に形成した絶縁性エラストマ層上に、厚さ0.03mmとなるようにカレンダで分出しして導電層を形成して硬化した。これをベースフィルムから剥離して、同順に多数枚積層して積層ブロック体とし、加硫処理後、スライスし、さらに二次加硫して硬度を60°H(JIS K−6253に基づき測定)とし、規定のサイズに裁断して低抵抗コネクタを製造した。そして、その低抵抗コネクタの性能を調べた。その結果を表2に併せて示す。
【0026】
なお、評価方法は以下の通りである。
[評価方法]
☆体積抵抗値:製品後、10%圧縮したとき、体積抵抗値が10-3Ω・cm以下ならば○、これ以上ならば×。
☆ブロックのパンク:200mm高さ、200mm角の大きさのブロックに加圧力9.807MPa(100kg/cm2)、加圧時間15時間で加硫プレスを実施し、これをスライスし1スライス原反毎に裂け(パンク)が見られなければ○、裂けがあると×。
【0027】
【表1】
Figure 0004392106
【0028】
【表2】
Figure 0004392106
【0029】
[参考例6〜9、比較例3]
参考例1で用いた疎水性シリカのかわりに、比表面積200m2/gの煙霧質シリカ(商品名:アエロジル200、日本アエロジル(株)製)および比表面積180m2/gの湿式シリカ(商品名:ニプシルLP、日本シリカ(株)製)を用いる以外は同様な方法で、表3に示す導電性粉末を得て、表4に示すように、参考例6〜9と、比較例3を実施し、上記と同様、評価した。評価結果を表4に併せて示す。
【0030】
【表3】
Figure 0004392106
【0031】
【表4】
Figure 0004392106
【0032】
[参考実施例10、実施例1、比較例4]
参考例1で用いた平均粒径1.5〜1.7μmの銀粉末に1次粒子の平均粒径20nmの酸化アルミニウム(商品名:Oxide C、日本アエロジル(株)製)を1.0質量%添加しターブラ撹拌機を用いて30分間銀粉末とアルミナを撹拌混合し、導電性粉末Kを得た。
また、酸化アルミニウムのかわりに平均粒径1μmの球状ポリメチルメタクリレート樹脂を添加し、導電性粉末Lを得た以外は同様の方法で評価を行った。結果を表5に示す。
比較のため、シロキサンポリマー100質量部に導電性粉末Dを450質量部、アエロジル200(前出)を3質量部、ジクミルパーオキサイドを0.5質量部混合した導電性シリコーンゴム組成物について、上記と同様の評価を行った。
【0033】
【表5】
Figure 0004392106
【0034】
【発明の効果】
上記構成からなる本発明の低抵抗コネクタは、体積抵抗率が小さく安定した抵抗値を示し、多くの電流を流すことができ、この導電性部材を用いてなる本発明の低抵抗コネクタは、抵抗値のばらつきが小さく、安定した接続状態が得られ、微小電流を流せることから、カラー液晶用モジュールやプラズマディスプレイ用モジュール等との接続に好適に用いることができ、高い電流値を必要とする回路にも十分安定した状態で使用することができた。
また、ICチップ等の検査の接続に用いると、低い圧縮率で接続することができるため、機器に与える負荷が小さく、ICチップの端子の変形や内部破壊を起こすことなく、より精密な検査を行うことができ、これらの検査機器等の小型軽量化を図ることができた。
さらに、本発明のコネクタは既存の設備で製造することができ、またブロック作製時に不良の発生も減少し、生産性が高く、製造コストを低減することができた。

Claims (3)

  1. 少なくとも一方が可撓性を有する導電性エラストマ層と絶縁性エラストマ層とを、その接合面が互いに平行となるように交互に、かつ多重に積層した低抵抗コネクタであって、前記導電性エラストマ層の導電性部材としてのシリコーンゴム組成物が下記(A)〜(C)からなるシリコーンゴム組成物の硬化物からなることを特徴とする低抵抗コネクタ。
    (A)下記平均組成式(1)で示され、脂肪族不飽和基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサン・・・・・・100質量部、
    nSiO(4-n)/2・・・・・・(1)
    (ただし、式中Rは同一または異種の非置換または置換の1価炭化水素基であり、nは1.98〜2.02の正数である。)
    (B)予め銀粉末中に球状有機樹脂からなる粉体を0.2〜5質量%混合してなる導電性粉末・・・・・・100〜800質量部、
    (C)硬化剤 ・・・・・・上記(A)成分を硬化させ得る量。
  2. (B)成分の粉体が微粉末シリカであることを特徴とする請求項1に記載の低抵抗コネクタ。
  3. 銀粉末に混合された微粉末シリカの比表面積が50〜300m2/gであることを特徴とする請求項2に記載の低抵抗コネクタ。
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