JP3786187B2 - スイッチ用接点部材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、抵抗値が経時的に安定であり、特に電極を通電状態にしたまま長時間にわたり一定の抵抗値を保つことのできるスイッチ用接点部材に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
本来絶縁性であるシリコーンゴムを導電化する場合、その使用電圧や使用目的により様々な導電性物質が充填材として選択されるが、抵抗値に関しては使用する導電性物質に依存するため、その種類や添加量は重要な要素となる。なかでもカーボンブラックは、加工性、成形性、コストに優れ、添加量により10-2〜106Ω・m程度の範囲で抵抗率を任意に選択できるため広く用いられている。
【0003】
これらの導電性シリコーンゴムのなかで最も広く使用されているものは、リモコン等のゴムスイッチに代表されるゴム接点であり、ゴムスイッチ裏面に抵抗率を0.01〜0.1Ω・m程度に調整したカーボン系導電ゴム接点を貼り付けて使用する。
【0004】
これらのゴムスイッチは、単に電気のON/OFF信号を発生させるために使用されている例が多く、そのためになるべく抵抗値の低いゴムが好んで使用されており、またその使用方法も瞬間の接触を繰り返すような使用方法が多かった。
【0005】
しかしながら、近年ゴムスイッチの使用方法の多様化により、単に短時間の電気的接触だけでなく、その後接触状態を保ったまま数秒〜数時間にわたり長時間保持して使用されるケースができたが、上記のような導電性カーボンを用いた導電性シリコーンゴムは、長時間の接触(導通)で抵抗値が変化するという問題が発生してしまうことが判明し、経時的に一定の抵抗値を保持できる導通材料が望まれていた。
このため、特開平7−247431号公報では、カーボンブラックと複酸化物を配合した導電性シリコーンゴム組成物が提案されているが、これは複酸化物の配合量が少ないため、長期的な抵抗の安定性が不十分であった。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、電極を導通状態にしたままでも長時間一定の抵抗値を保つことのできるスイッチ用接点部材を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、下記平均組成式(1)で示されるオルガノポリシロキサン、補強性シリカ粉末、カーボンブラック、複酸化物及び硬化剤をそれぞれ特定量含むシリコーンゴム組成物の硬化物が、長時間の導通状態を経ても抵抗値の変化が少なく、形状安定性にも優れ、良好なスイッチ用接点部材となることを知見し、本発明をなすに至った。
【0008】
即ち、本発明は、(A)下記平均組成式(1)で示されるオルガノポリシロキサン:100部(重量部、以下同じ)
R1 nSiO(4-n)/2 (1)
(式中、R1は同一又は異種の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、nは1.98〜2.02の正数である。)
(B)比表面積が50m2/g以上である補強性シリカ粉末:3〜70部
(C)カーボンブラック:3〜100部
(D)複酸化物:5〜100部
(E)硬化剤:本組成物を硬化させる有効量
を含有するシリコーンゴム組成物を硬化させることにより得られる体積抵抗率が0.01〜100Ω・mの硬化物からなるスイッチ用接点部材を提供する。
【0009】
以下、本発明につき更に詳述する。
(A)オルガノポリシロキサン
本発明に用いるシリコーンゴム組成物の必須成分であるオルガノポリシロキサンは下記平均組成式(1)で示されるものである。
R1 nSiO(4-n)/2 (1)
(式中、R1は同一又は異種の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、nは1.98〜2.02の正数である。)
【0010】
上記式中、R1はメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ヘキセニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基、又はこれらの基の炭素原子に結合した水素原子の一部又は全部をハロゲン原子、シアノ基等で置換したクロロメチル基、トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等から選択される同一又は異種の好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜8の非置換又は置換の一価炭化水素基であるが、オルガノポリシロキサン1分子中のR1の少なくとも2個は、脂肪族不飽和基(アルケニル基)であることが好ましく、この脂肪族不飽和基としては、ビニル基が好ましく挙げられる。また、全R1中の脂肪族不飽和基の含有量は0.001〜20モル%、特に0.025〜5モル%であることが望ましい。なお、nは1.98〜2.02の正数である。
【0011】
上記平均組成式(1)のオルガノポリシロキサンは、基本的には直鎖状であることが好ましいが、部分的に分岐鎖又は環状構造を有していてもよく、分子構造の異なる2種以上の混合物であってもよい。また、上記オルガノポリシロキサンは、平均重合度が100〜20,000、特に1,000〜10,000であることが好ましい。
【0012】
(B)補強性シリカ粉末
本発明のゴム組成物には、補強性シリカ粉末を添加する。補強性シリカ粉末は、機械的強度の優れた硬化物を得るために必要であり、比表面積が50m2/g以上、好ましくは50〜400m2/gのものが用いられる。この補強性シリカ粉末としては、煙霧質シリカ(乾式シリカ)、沈殿シリカ(湿式シリカ)が例示されるが、特に煙霧質シリカ(乾式シリカ)が好ましい。これらの補強性シリカ粉末としては、市販品が使用可能であり、アエロジル130,200,300,380(日本アエロジル社製)、Cab−O−sil MS−5,MS−7,HS−5,HS−7(キャボット社製)、Santocel FRC,CS(モンサント社製)、ニップシルVN−3(日本シリカ工業社製)等が挙げられる。
【0013】
また、これらシリカ粉末の表面をオルガノポリシロキサン、オルガノポリシラザン、クロロシラン、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、アルコキシシラン等で疎水化処理したものを用いることもできる。
【0014】
上記補強性シリカ粉末は単独で用いても2種以上を併用してもよい。なお、補強性シリカ粉末の添加量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100部に対して3〜70部、好ましくは5〜40部、特に好ましくは7〜30部の範囲である。3部未満では十分な補強効果が得られず、70部より多くすると加工性が悪くなる。
【0015】
(C)カーボンブラック
本発明のシリコーンゴム組成物には、導電性を付与するためにカーボンブラックを添加する。このカーボンブラックとしては、通常導電性ゴム組成物に常用されているものが使用し得、例えばアセチレンブラック、コンダクティブファーネスブラック(CF)、スーパーコンダクティブファーネスブラック(SCF)、エクストラコンダクティブファーネスブラック(XCF)等のファーネスブラック、コンダクティブチャンネルブラック(CC)等のチャンネルブラック、又は1,500〜3,000℃程度の高温で熱処理されたファーネスブラックやチャンネルブラック等を挙げることができる。
【0016】
具体的には、アセチレンブラックとしてはデンカブラック(電気化学社製)、シャウニガンアセチレンブラック(シャウニガンケミカル社製)等、コンダクティブファーネスブラックとしてはコンチネックスCF(コンチネンタルカーボン社製)、バルカンC(キャボット社製)等、スーパーコンダクティブファーネスブラックとしてはコンチネックスSCF(コンチネンタルカーボン社製)、バルカンSC(キャボット社製)等、エクストラコンダクティブファーネスブラックとしては旭HS−500(旭カーボン社製)、バルカンXC―72(キャボット社製)等、コンダクティブチャンネルブラックとしてはコウラックスL(デグッサ社製)等が例示される。
【0017】
また、ファーネスブラックの一種であるケッチェンブラック、例えば、ケッチェンブラックEC,EC−600JD(ケッチェンブラックインターナショナル社製)等を用いることもできる。
【0018】
これらのカーボンブラックは不純物、特に硫黄及び硫黄化合物の量が硫黄原子の濃度で6,000ppm以下、特に3,000ppm以下であることが望ましい。上記カーボンブラックのうち、アセチレンブラックやコンダクティブファーネスブラックは、不純物含有量が少ない上、粒子径が安定していることから導電性に優れており、本発明において特に好適に用いられる。また、その卓越した比表面積から低充填量でも優れた導電性を示すケッチェンブラック、特にケッチェンブラックECやケッチェンブラックEC−600JD等も好ましく使用できる。
【0019】
上記導電性カーボンブラックの添加量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100部に対して3〜100部、好ましくは5〜40部、特に好ましくは7〜20部である。添加量が3部未満では十分な導電性を得ることができず、100部を超えると物理的混合が難しくなったり、機械的強度が低下したりして目的とするゴム弾性が得られない。
【0020】
(D)複酸化物
本発明のシリコーンゴム組成物には複酸化物を添加する。これは2種以上の金属が酸化物又は金属原子として共存しているものであり、単なる金属酸化物とは異なるものである。
【0021】
複酸化物の製造方法の一例を挙げると、金属酸化物結晶粒子中に1種又は2種以上の異種の金属イオンを分散させ、還元雰囲気中で焼成する方法、例えば、酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの複酸化物の場合には、酸化亜鉛とアルミニウム塩をアンモニウム塩水溶液中で処理し、脱水処理後水素雰囲気中で焼成して得る方法(特公昭62−41171号公報参照)が挙げられる。
【0022】
このような複酸化物としては、例えば酸化亜鉛(ZnO)と酸化アルミニウム(Al2O3)との固溶体、酸化スズ(SnO2)と酸化アンチモン(Sb2O5)との固溶体、酸化インジウム(In2O3)と酸化スズ(SnO2)との固溶体、酸化亜鉛(ZnO)と酸化チタン(Ti2O3)との固溶体、酸化マグネシウム(MgO)と酸化アルミニウム(Al2O3)との固溶体、酸化チタン(TiO2)と酸化スズ(SnO2)と酸化アンチモン(Sb2O5)との固溶体、酸化チタン(TiO2)と酸化スズ(SnO2)と酸化アンチモン(Sb2O5)と酸化カリウム(K2O)との固溶体、酸化鉄(FeO)と酸化チタン(TiO2)との固溶体等が挙げられる。
【0023】
本発明の複酸化物としては、酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの固溶体、酸化スズと酸化アンチモンとの固溶体及び酸化チタンと酸化スズと酸化アンチモンとの固溶体から選ばれた少なくとも1種であることが望ましく、特に酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの固溶体であるアルミニウムをドープした導電性酸化亜鉛が望ましい。この理由としては、樹脂等の高分子分散媒に対し分散が容易であり、加工性に優れること、原料である酸化亜鉛のグレードが多く、粒子径、分散性、形状の選択が可能なこと、複酸化物の中では、モース硬度等に代表される複酸化物自体の硬さが比較的柔らかいこと、コストが安価であることなどが挙げられる。
【0024】
このような複酸化物の多くは、n型半導体としての導電性があり、この導電性は湿度や環境因子による影響がほとんどないという特徴がある。この導電性メカニズムは、ドープされて一部置換された原子価が異なる金属原子の余剰又は不足した電子対によって、半導体的な導電性を示すというメカニズムと考えられており、これはカーボンブラック等の自由電子による導電メカニズムと全く異なるものである。
【0025】
本発明のスイッチ用接点部材の抵抗値が経時的に変化しにくい理由は、複酸化物のn型半導体としての導電メカニズムによる効果と、複酸化物とカーボンブラックを組み合わることで導通経路を複雑化させ、カーボンブラック間の接触や切断による抵抗不安定要因が、複酸化物によって緩和されるためであると考えられるが、この理論に限定されるものではない。
【0026】
上記複酸化物の添加量は、上述した(A)成分のオルガノポリシロキサン100部に対して5〜100部、好ましくは7〜40部、特に好ましくは10〜30部である。5部未満では目的としている抵抗値の経時安定性が得られず、100部を超えると硬化物のゴム強度やゴム弾性が低下すると共に耐摩耗性も低下する。
【0027】
なお、前述の(C)成分のカーボンブラックとこの複酸化物との比は、カーボンブラック:複酸化物=100:40〜100:500(重量比)、特に100:60〜100:300とすることが好ましい。複酸化物の割合が少なすぎると長期的な抵抗の安定性が得られない場合があり、多すぎると硬化物のゴム特性が悪化する恐れや、目的とする抵抗値が得られない恐れがある。
【0028】
(E)硬化剤
本発明で用いる硬化剤としては、シリコーンゴム組成物を硬化させ得るものであれば特に限定されず、添加量は組成物を硬化させる有効量であるが、一般的にシリコーンゴム組成物の硬化剤として既知の、白金系触媒及びオルガノハイドロジェンポリシロキサンを組み合わせたもの又は有機過酸化物触媒を使用し得る。
【0029】
白金系触媒としては公知のものが使用でき、具体的には白金元素単体、白金化合物、白金複合体、塩化白金酸、塩化白金酸のアルコール化合物、アルデヒド化合物、エーテル化合物、各種オレフィン類とのコンプレックスなどが例示される。白金系触媒の添加量は、(A)成分のオルガノポリシロキサンに対し白金原子として1〜2,000ppmの範囲とすることが望ましい。
【0030】
一方、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、一分子中に2個以上、特に3個以上のケイ素原子に結合した水素原子(SiH基)を有するものが用いられ、下記平均組成式
RaHbSiO(4-a-b)/2
(式中、Rは好ましくは脂肪族不飽和結合を有さない、上記R1と同様の炭素数1〜10の一価炭化水素基であり、a、bは0≦a≦3、0<b≦3、0<a+b≦3、好ましくは0≦a≦2.2、0.002<b≦2、1.002≦a+b≦3を満足する正数である。)
【0031】
本発明のオルガノハイドロジェンポリシロキサンはSiH基を1分子中に2個以上、好ましくは3個以上有するが、これは分子鎖末端にあっても、分子鎖の途中にあっても、その両方にあってもよい。また、このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは25℃における粘度が0.5〜10,000cSt、特に1〜300cStであることが好ましい。
【0032】
このオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよいが、重合度が300以下のものが好ましく、ジメチルハイドロジェンシリル基で末端が封鎖されたジオルガノポリシロキサン、ジメチルシロキサン単位とメチルハイドロジェンシロキサン単位及び末端トリメチルシロキシ単位との共重合体、ジメチルハイドロジェンシロキサン単位[H(CH3)2SiO0.5単位]とSiO2単位とからなる低粘度流体、1,3,5,7−テトラハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1−プロピル−3,5,7−トリハイドロジェン−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,5−ジハイドロジェン−3,7−ジヘキシル−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサンなどが例示される。
【0033】
この硬化剤としてのオルガノハイドロジェンポリシロキサンの添加量は、(A)成分のオルガノポリシロキサンの脂肪族不飽和基(アルケニル基)に対して、オルガノハイドロジェンポリシロキサンのケイ素原子に直結した水素原子(SiH基)が50〜500モル%となる割合で用いることが望ましい。
【0034】
また、有機過酸化物触媒としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、p−メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーベンゾエートなどが挙げられる。有機過酸化物触媒の添加量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100部に対して0.1〜5部が望ましい。
【0035】
本発明においては、上記(A)〜(E)成分と共に、更に炭化水素系油を含むシリコーンゴム組成物の硬化物が好ましく用いられる。
【0036】
炭化水素系油を添加する目的は、長期間安定した端子間の導通を確保するためである。炭化水素系油が含まれていると、接点部材を長期間使用している間に基盤表面にシリコーンオイル等が付着し、これが基盤表面でシリカ化した場合においても、基盤表面に炭化水素系油を意図的に付着させておくことで、炭化水素系油が酸化等の劣化により変質して生成する炭素類(カーボン等)により端子間の導通を確保することが可能となる。
【0037】
この炭化水素系油について具体的に例を挙げれば、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、またこれらオイル中に芳香族環構造を有する分子を含むオイル、ポリα−オレフィンオイル(PAO)等が挙げられる。
【0038】
これらの炭化水素系油は、一般的には化学合成又は天然鉱物油を精製して作られるが、シリコーンゴム組成物を硬化させるのに阻害となるような成分、例えば硫黄やアミン成分が少ない方が望ましい。また、これら炭化水素系油中には、酸化防止剤が含まれている場合があるが、シリコーンゴム組成物の硬化を阻害しなければ酸化防止剤を含んでいてもよい。
【0039】
炭化水素系油の揮発性としては、200℃で4時間加熱したときの、炭化水素系油の減量(揮発分)が30重量%以下であるものが望ましい。揮発分が多いと硬化物の利点である耐熱性を悪化させる場合があり、またポストキュアーしたときに炭化水素系油がこの段階で酸化して変質したり、炭化水素油量が減少し炭化水素油の効果が得られなくなったりする恐れがある。
【0040】
炭化水素系油の配合量としては、特に限定するものではないが、(A)成分のオルガノポリシロキサン100部に対して望ましくは0.01〜10部、より望ましくは0.1〜3部である。0.01部未満では上述した有効な効果を得ることができない恐れがあり、10部を超えると硬化物の物性を著しく損ねる恐れがある。
【0041】
本発明に用いるシリコーンゴム組成物には、任意成分として、本発明の効果を妨げない範囲で、必要に応じ酸化チタン等の無機導電材料、増量剤としてシリコーンゴムパウダー、紅ガラ、粉砕石英、炭酸カルシウム等を添加してもよい。場合によっては、スポンジ化するための無機又は有機の発泡剤を添加してもよい。この発泡剤としては、アゾビスイソブチロニトリル、ジニトロペンタメチレンテトラミン、ベンゼンスルフォンヒドラジド、アゾジカルボンアミド等が例示され、これらの発泡剤の添加量は、(A)成分のオルガノポリシロキサン100部に対して1〜10部の範囲が好適である。
【0042】
また、必要に応じて着色剤、耐熱性向上剤などの各種添加剤、反応制御剤、離型剤、充填剤用分散剤等を添加することは任意とされるが、充填剤用分散剤としてジフェニルシランジオール、各種アルコキシシラン、カーボンファンクショナルシラン、又は末端シラノール基ジメチルポリシロキサン等のシラノール基含有低分子シロキサン等を用いることが好ましい。なお、これら充填剤用分散剤の使用量は、本発明の効果を損なわないように最小限の添加量に止めることが好ましく、(A)成分のオルガノポリシロキサン100部に対して0.1〜20部、特に0.5〜10部であることが好ましい。
【0043】
更に、難燃性、耐火性を付与するために、白金含有材料、白金化合物と二酸化チタンの混合物、白金と炭酸マンガンの混合物、白金とγ−Fe2O3の混合物、フェライト、マイカ、ガラス繊維、ガラスフレーク等の公知の添加剤を添加してもよい。
【0044】
本発明に用いるシリコーンゴム組成物は、上記した成分を二本ロール、バンバリーミキサー、ドウミキサー(ニーダー)等のゴム混練機を用いて均一に混合し、必要に応じ加熱処理を施すことにより得ることができる。製造方法としては従来公知の方法が適用でき、特に限定されるものではないが、上記各成分の混合方法としては、例えば(A)成分のオルガノポリシロキサンと(B)成分の補強性シリカ粉末を予め混合してシリコーンベースを調製しておき、これに(C)成分のカーボンブラック及び(D)成分の複酸化物を添加して混合し、必要に応じて三本ロール等で処理した後、更に(E)成分の硬化剤を添加、混合する方法が好ましく用いられる。
【0045】
このようにして得られたシリコーンゴム組成物は、金型加圧成形、押し出し成形等の種々の成形法によって、必要とされる用途に合わせた形に成形して用いることができる。
【0046】
本発明の導電性シリコーンゴム組成物の硬化物は、体積抵抗率が好ましくは0.01〜100Ω・m、特に0.05〜10Ω・m、とりわけ0.1〜5Ω・mであることが好ましい。
【0047】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
【0048】
[実施例1]
ジメチルシロキサン単位99.825モル%、メチルビニルシロキサン単位0.15モル%、ジメチルビニルシロキサン単位0.025モル%からなり、平均重合度が約5,000であるオルガノポリシロキサン100部に、分散剤としてジフェニルシランジオール3部と末端シラノール基ジメチルポリシロキサン(重合度=10)4部、比表面積が200m2/gである表面処理シリカ(日本アエロジル社製)20部を添加し、2時間混合、熱処理してベースコンパウンドを得た。
【0049】
上記ベースコンパウンド100部に、デンカブラック粒状(電気化学工業社製)20部、複酸化物として酸化亜鉛にアルミニウム原子をドープした導電性亜鉛である酸化亜鉛23−K(ハクスイテック社製)15部を添加し、加圧ニーダーで混練りした後、三本ロールにて2回分散させ、150メッシュでろ過をしてコンパウンドを得た。
【0050】
更に、上記コンパウンド100部に、硬化剤として2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.4部を混練りし、得られたシリコーンゴム組成物を用いて、幅20mm、長さ120mmの板状弾性体を成形した。成形温度は165℃/10分、成形圧力は35kgf/cm2であった。その後、二次架橋(ポストキュアー)を200℃で4時間行い、硬化物を得た。
【0051】
[実施例2]
デンカブラック粒状を25部、酸化亜鉛23−Kを30部とした以外は実施例1と同様の方法で硬化物を得た。
【0052】
[実施例3]
酸化亜鉛23−Kを5部とした以外は実施例1と同様の方法で硬化物を得た。
【0053】
[実施例4]
デンカブラック粒状を18部とし、複酸化物として酸化亜鉛23−Kの代わりに酸化チタンにスズ−アンチモンをドープした粉末である白色導電粉末WP(三菱マテリアル社製)を用いた以外は実施例1と同様の方法で硬化物を得た。
【0054】
[実施例5]
硬化剤として2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンの代わりに、白金系触媒C−25A 1.0部、C−25B 2.0部(いずれも信越化学工業製)を用いた以外は実施例1と同様の方法で硬化物を得た。
【0055】
[実施例6]
実施例1のベースコンパウンドに、デンカブラック粒状と酸化亜鉛23−Kを添加後、更に炭化水素系油であるサンパー2280(日本サン石油社製)をオルガノポリシロキサン100部に対して0.5部添加した以外は実施例1と同様の方法で硬化物を得た。
【0056】
[比較例1]
酸化亜鉛23−Kを添加しなかったこと以外は実施例1と同様の方法で硬化物を得た。
【0057】
[比較例2]
酸化亜鉛23−Kを200部とした以外は実施例1と同様の方法で硬化物を得た。
【0058】
[比較例3]
デンカブラック粒状を添加せず、酸化亜鉛23−Kを250部とした以外は実施例1と同様の方法で硬化物を得た。
【0059】
得られた硬化物を用いて、ゴム硬さ、引っ張り強さ、反発弾性率及び体積抵抗率を測定した。また、日本ゴム協会標準規格(SRIS)−2301記載の体積抵抗率試験用の冶具を利用した図1に示す測定装置を用い、ゴム両端に500V直流電圧を印加した時に流れる電流値から硬化物の抵抗値を求めた。抵抗値は初期、5分後、30分後のデータを測定した。電圧電源、電流測定装置はケースレ社のパワーサプライ237型を使用した。結果を表1に示す。
【0060】
なお、図1において、1はシリコーンゴム組成物の硬化物、2,2’は上部電極、3,3’は下部電極であり、4,4’,4’’は絶縁板、5は電圧端子、6は重り、7は電流計、電圧計を備えた電源装置である。
【0061】
また、これらの硬化物を直径5mm、厚さ2mmに加工し、500g荷重にて1万回耐久試験によりゴム形状が保てるかどうかを試験した。結果を表1に示す。なお、1万回耐久試験の結果は、円筒状を保ったままであるものを○、若干樽状に変形しているものを△、割れたり、形状がつぶれているものを×と表記した。
【0062】
【表1】
【0063】
表1の結果より、本発明の硬化物は長時間にわたり抵抗値が安定であり、スイッチ用接点部材として有用であることが確認された。
【0064】
【発明の効果】
本発明のシリコーンゴム組成物の硬化物をスイッチ用接点部材として用いることにより、電極を導通状態にしたままでも長時間一定の抵抗値を保つことができ、形状安定性に優れたスイッチ用接点部材を提供することができる。
【0065】
【図面の簡単な説明】
【図1】抵抗値測定装置の冶具の断面及び測定回路の概略を示す図である。
【符号の説明】
1 硬化物
2,2’ 上部電極
3,3’ 下部電極
4,4’,4’’ 絶縁板
5 電圧端子
6 重り
7 電源装置(電流計、電圧計)
Claims (4)
- (A)下記平均組成式(1)で示されるオルガノポリシロキサン:100重量部
R1 nSiO(4-n)/2 (1)
(式中、R1は同一又は異種の非置換又は置換の一価炭化水素基であり、nは1.98〜2.02の正数である。)
(B)比表面積が50m2/g以上である補強性シリカ粉末:3〜70重量部
(C)カーボンブラック:3〜100重量部
(D)複酸化物:5〜100重量部
(E)硬化剤:本組成物を硬化させる有効量
を含有するシリコーンゴム組成物を硬化させることにより得られる体積抵抗率が0.01〜100Ω・mの硬化物からなるスイッチ用接点部材。 - 更に、炭化水素系油を含有する請求項1記載のスイッチ用接点部材。
- 複酸化物が、酸化亜鉛と酸化アルミニウムとの固溶体、酸化スズと酸化アンチモンとの固溶体及び酸化チタンと酸化スズと酸化アンチモンとの固溶体から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2記載のスイッチ用接点部材。
- カーボンブラックと複酸化物との比が、カーボンブラック:複酸化物=100:40〜100:500(重量比)であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のスイッチ用接点部材。
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