JPH11222643A - 制震用Zn−Al合金及びその製造方法 - Google Patents
制震用Zn−Al合金及びその製造方法Info
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- JPH11222643A JPH11222643A JP2613698A JP2613698A JPH11222643A JP H11222643 A JPH11222643 A JP H11222643A JP 2613698 A JP2613698 A JP 2613698A JP 2613698 A JP2613698 A JP 2613698A JP H11222643 A JPH11222643 A JP H11222643A
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Abstract
つ小型軽量化を図ることができるZn−Al合金及びそ
の製造方法を提供する。 【解決手段】 Zn:30〜99wt%、残部Al及び
不可避不純物からなるZn−Al合金であって、平均結
晶粒径が5μm以下のα相又はα′相中に、平均結晶粒
径が0.05μm以下のβ相が微細分散した組織を有し
ている。Zn−Al合金を250℃以上に均熱した後、
急冷し、次いで、275℃以下の温度で温間加工した
後、急冷することにより、あるいはZn−Al合金を2
50℃以上に均熱した後、急冷し、次いで、冷間加工す
ることにより製造される。
Description
揺れ或は歪みに追随できる、所謂、免震・制震デバイス
用金属として使用できる制震用Zn−Al合金及びその
製造方法に関するものである。
るいは歪みや揺れに追随できる、所謂免震・制震デバイ
スとしては、Pb製ダンパー、防振ゴム、オイルダンパ
ーや、LYP(極低降伏点鋼)等の制振鋼板を用いたも
のなどがある。
ため、長期間の耐用が求められる建築物用の免震・制震
デバイスには適していない。オイルダンパーは、定期的
メインテナンスを要するため、防振ゴムと同様に、建築
物の免震・制震デバイス用としては面倒である。また、
LYP等の制振鋼板は、永久変形によって加工硬化がお
きたり、繰り返し荷重に対して材質劣化すると、エネル
ギー吸収性が低下するばかりか、硬くなりすぎると、構
造物にまで振動を伝播することになるため、制震・免震
デバイス用金属としては、その用途が限定される。
振動数0.1〜10Hzの揺れに追随することができ、
また伸縮による材質劣化という問題は少ない。このた
め、現在、建築物に取付けられる免震・制震デバイスと
しては、図7に示すようなPb製ダンパーが、一般に用
いられている。図7中、1が鉛鋳造体であり、2はホモ
ゲン溶接部、3は鋼板である。
が重いために、施工が大変である。また、Pbの降伏点
は5MPa程度と軟らかいため、構造物又は構造物に接
合された部材とPbダンパーを接合するためには、特殊
な技術が必要であり、適用範囲に限界があった。さら
に、Pbは毒性があるため、近年、建築物としての使用
が制限される傾向にある。
小型軽量のデバイスを提供できる制震用の金属が求めら
れており、Pbに代替できる制震用金属として、超塑性
を示すZn−Al合金が注目されてきている。
ら,The observation of tensile superplasticity in n
anocrystalline materials: Nanostruct Mater.Vol. 9,
No. 1/8 p473-476(1997)に、ナノ結晶のZn−22%A
l合金は373Kで歪み速度1×10-4S-1の変形にも
追随できる超塑性が認められたことが報告されている。
しかし、室温ではこのような超塑性は実現されていない
ため、室温での伸びが要求される建築用免震デバイスと
して実際上使用することができない。
vestigation of the mechanical history on superplas
ticity of Zn-22Al-2Cu at room temperature 」(Mate
rial. Science. Forum Vol. 243/245 P553(1997))に、
Zn−22%Al−2%Cu合金を、均熱化、水冷後に
冷間加工して、α相内部にβ相が析出した組織を得、室
温超塑性を発現させたことが開示されている。ここで示
されている伸びは、135%であり、最大で160%の
伸びが得られることが示されている。しかし、この文献
には、温間加工した場合、室温でこのような伸びを有す
ることは示されていない。また、冷間加工の場合であっ
てもPbダンパーの代替として小型軽量で同程度以上の
免震、制震性能を有するためには、もっと大きな伸び
(例えば、180%以上の伸び)を有することが望まし
い。
submicrometer-grained Zn-22%Alby torsion strainin
g. 」J. Mater. Res. Vol. 11 No.9 P2128(1996) に
は、初期粒径が1μm〜15μmの円柱形のZn−22
%Al合金を5GPaという高圧下で強捻り変形(冷間
変形)すると、最終組織が最微細部である中心部では、
0.1μm〜0.5μmとなったことが開示されてい
る。しかし、捻り変形に起因して、中心部は超塑性を示
す可能性のある微細組織であっても、中心から離れた外
周部の粒状組織は粗大で超塑性現象を示すものではない
という様な、外周部と中心部で著しく異なる組織となっ
ている。また、このような強捻り変形が適用できるサイ
ズは、直径15mm程度、厚さ0.3mmと非常に小さ
いものに限定されるため、免震デバイスのような大荷重
を受ける部材で同様の方法を適用して、部材全体に微細
組織を得ることは困難である。従って、建築部材として
用いる程度の大きさのZn−22%Al合金で、部材全
体に超塑性を発揮できるような微細組織を形成すること
は、このような捻り変形を利用する方法では無理であ
る。
れたものであり、その目的とするところは、部材全体と
して超塑性を示すことができる均一性を有し、しかも、
現在一般に使用されているPb製ダンパーの代替とし
て、しかも小型軽量化を図ることができるように、室温
で超塑性、好ましくは160%超の伸びを示すことがで
きる制震用のZn−Al合金及びその製造方法を提供す
ることにある。
合金において、冷却条件の制御により従来技術では到達
できなかった均一で安定な超微細組織を得ることができ
ることを見い出し、室温でも超塑性と言える伸びを発現
できる制震用Zn−Al合金及びその製造方法を完成し
た。
は、Zn:30〜80wt%、残部Al及び不可避不純
物からなるZn−Al合金であって、平均結晶粒径が5
μm以下のα相又はα′相中に、平均結晶粒径が0.0
5μm以下のβ相が微細分散した組織を有していること
を特徴とする。あるいは、Zn:75〜99wt%、残
部Al及び不可避不純物からなるZn−Al合金であっ
て、平均結晶粒径が5μm以下のα相又はα′相、及び
β相を主要組織とし、前記α相又はα′相中に、平均結
晶粒径が0.05μm以下のβ相が微細分散した組織を
有していることを特徴とする。本発明の制震用Zn−A
l合金は、室温にて160%超の伸びを有すること、特
に180%以上の伸びを有することが好ましい。
造方法は、Zn−Al合金を250℃以上に均熱した
後、急冷し、次いで、275℃以下の温度で温間加工し
た後、急冷することを特徴とする。第2の製造方法は、
Zn−Al合金を250℃以上に均熱した後、急冷し、
次いで、冷間加工することを特徴とする。
合金について説明する。本発明の制震用Zn−Al合金
の成分組成は、Zn含有率が30〜99.9wt%、好
ましくは30〜80wt%、さらに好ましくは50〜8
0wt%、より好ましくは70〜80wt%で、残部が
Al及び不可避不純物である。これらのうち、Zn−2
2%Al共析合金が特に好ましい。図1のZn−Al合
金の状態図に示すように、Alの含有率が22wt%の
ときに共析点があるので、最も組織制御しやすく、超塑
性を発現させやすいからである。一方、上記範囲では、
Znの含有率が小さくなるにつれて、β析出量が減少
し、結晶粒の移動による塑性変形が起こっても伸びが低
下する傾向にある。そして、Znの含有率が30重量%
未満では、本発明の条件で処理しても100%を超える
伸びは発現できないからである。
の面心立方格子の結晶領域をいい、α′相とは結晶構造
は面心立方格子であるが成分的にはZnが主成分となっ
ている結晶領域をいい、β相とはZnが主成分となった
六方稠密格子の結晶領域をいい、Lは液体相である。次
に本発明の制震用Zn−Al合金の組織について説明す
る。
α相又はα′相中に微細なβ相が分散析出した組織(以
下、まとめて「β分散α相」という)を有している必要
がある。つまり、Zn:30〜80wt%、残部Al及
び不可避不純物からなる制震用Zn−Al合金の場合、
マクロ的にはα単相組織であるが、各α相又はα′相中
に、β相が微細分散した組織を有している。一方、図1
からわかるように、80%以上のZn濃度域では、必然
的にα+βの2相の混合組織となる。従って、上記範囲
の組成のうち、Znの含有率が75〜99wt%では、
粒径数10μmというマクロ的なβ相と、βが微細分散
したα相又はα′相とが混合した2相組織となる。
0倍程度で認識することが出来る組織をいい、β分散α
相の微細析出しているβ相は、約5000倍以上で確認
できる組織である。
織(α+β)では、α相、β相それぞれの延性が発現さ
れて、超塑性を発現できない。つまり、βが析出してい
ないα相は、α単相と類似の性質を示し、α単相に該当
する99.999wt%Alの室温での伸びは70%程
度で、結晶粒の移動による塑性変形を示すことができな
い。また、マクロなβ相は、常温回復現象(転位の回
復)が起き、変形抵抗は安定するが、伸びは65%程度
である。よって、βの析出がないα相とβ相の2相組織
(α+β)では、全体としても68%程度の伸びとな
る。
相とは全く異なり、結晶粒の移動による塑性変形によっ
て200%以上の伸びを示すことができる。従って、Z
n:75〜99wt%、残部Al及び不可避不純物から
なる本発明に係るZn−Al合金の様に、マクロなβ相
が存在して(α+β)の2相組織となっている場合、マ
クロなβ相は常温回復現象にて65%程度の延性を発揮
するだけであるが、β分散α相が200%以上の伸びを
発揮してβ相の粒界面に応力集中が起こるのを回避でき
るため、全体として160%超の伸びを示すことが出来
る。
は、βが析出していないα相やマクロなβ相は存在しな
い方が好ましいが、超塑性を発揮し得るβ分散α相を有
する組織であれば、マクロなβ相が混在している2相組
織であってもよい。
伸び160%超というような室温超塑性を示すために
は、さらに、上記組織において、βが微細分散している
α相又はα′相、及びα相又はα′相内に分散析出して
いるβ相の粒径が、以下のようでなければならない。
Zn−Al合金のα′相又はα相の粒径と伸びの関係
を、図3に、β相の粒径と伸びとの関係を示す。図2及
び図3において、「◆」はβ分散α相を有する組織であ
り、「○」は製造条件が異なるためにラメラ状をはじめ
とするα+βの2相組織の合金を示している。
程、伸びが大きくなることがわかる。そして、粒径10
μm以下でβ分散α組織となって、100%以上の伸び
を示し、5μm以下にすると160%超、具体的には1
80%以上の伸びを示すことができる。また、図3よ
り、βの粒径が小さい程、伸びが大きくなることがわか
る。そして、粒径0.1μm以下ではβ分散α組織とな
って100%以上の伸びを示し、0.05μm以下では
160%超、具体的には180%以上の伸びを示し、さ
らに0.02μm以下とすることにより、300%以上
の伸びを確保できることがわかる。
は、α相又はα′相が5μm以下で、α相又はα′相中
に分散析出されているβ相が0.05μm以下である。
これにより、室温で160%超、好ましくは180%以
上の伸びを示すことができる。尚、βが析出していない
α単独の相や、α相とは独立に存在しているβ相が存在
する場合、これらのαやβ相は、5.0μm以下、特に
3.5μm以下であることが好ましい。
を満たせば、定常応力が加工量、歪み速度によってあま
り変化しないように、ヒステリシスの安定性を損なわな
い範囲で、強化元素Cu、Si、Mn、Mgを含有して
いてもよい。また、伸びの向上のために、結晶微細化に
有効なZr、TiBを添加してもよい。
に高強度化させた場合には、ゴムのように剛性が小さい
ものと組み合わせて用いる免震・制震ダンパーとしない
ことが好ましい。ゴムの変形が過度になって、本発明の
制震用Zn−Al合金の超塑性変形による制震性が有効
に発揮されずに、ゴムの防振性を損なうことになるから
である。次に、本発明の制震用Zn−Al合金の製造方
法について説明する。
250℃以上で均熱する。構造欠陥を含んだ状態で鍛造
等の加工を行なうと、鍛造割れを引き起こすおそれがあ
るので、構造欠陥や偏析を消失させて、均質化するため
である。
℃以上、より好ましくは300℃以上で10分間以上保
持することにより行なう。インゴット等の鋳造後の合金
の状態では、通常、Zn−Alのラメラ状組識とβ析出
がないα相との混合組識(Al含有率が22%以上の場
合)、あるいはα相とは独立したβ相を有する(α+
β)の混合組織(Al含有率が22%以下の場合)とな
っている。よって、一旦昇温して、βをα内に閉じ込め
る必要があるからである。一方、均熱は、液相が表れる
温度以下、例えばZn含有率が80%以上の場合には3
50℃以下で行なうことが好ましい。液相ではβの拡散
が大きくなりすぎて、β分散α組織が得られないからで
ある。
と、凝固時に巣ができ破断の原因になる。特に、Zn含
有率が40%以下では、Zn−Al合金の液相温度が高
く、Znの蒸気圧が問題となる。よって、均熱前に行な
う鋳造に際しては、一旦、液相が表れる温度に保持し、
その後、凝固を開始する方が“巣”の発生率が少なくな
るので好ましい。
又は(α′+β)の組織状態から急冷することにより、
α′から安定なαに移行しようとしても、マクロレベル
で2相分離する程までβが拡散できず、βをα内で析出
させることができるからである。つまり、α+βの2相
の混合組織ではなく、超塑性を発揮し得るβ分散α組織
を生成できるからである。ここで、冷却速度は、10℃
/sec以上で、具体的には水冷することが好ましい。
炉冷(0.1℃/sec以下)や空冷(10℃/sec
未満)では、βが拡散してラメラ状組織となるからであ
る。この段階でラメラ組織となっている場合、次に行な
う加工処理が加工率30%以下では、微細化が不十分と
なり、内部摩擦で評価できる制振性(音の吸収)は多少
発揮(Q -1=1.0〜5.0×10-2)するが、室温で
の伸びは100〜140%程度となり、160%超の伸
びを確保できないからである。
るが、αは10〜20μm程度、βは0.05〜0.1
μm程度で、100〜150℃程度の高温で超塑性とい
えるような180%以上の伸びを示しても、室温でその
ような伸びは示さない。
めには、続いて、物理的外力を与えてα又はα′結晶
粒、更にはα又はα′中のβを微細化する必要がある。
すなわち、急冷後、冷間加工又は温間加工する必要があ
る。
ために外力を加える工程であればよく、具体的には、鍛
造、押し出し、伸線加工などが挙げられる。
分以下の温度で行なうことが好ましい。Zn−Al合金
の融点(Tm)は、合金の組成にもよるが400℃(6
73K)前後であるから、融点(Tm)に対する加工熱
処理温度(Ttmcp)の比率であるTtmcp/Tmが0.4
5〜0.6程度となる加工熱処理温度は、20〜120
℃程度である。従って、室温〜100℃で行なう冷間加
工によれば、αが5μm以下で、この内部に0.05μ
m以下のβが微細分散した本発明に係る制震用Zn−A
l合金が得られる。
工だけでなく、100〜275℃で行なう温間加工によ
っても、その後に行なう冷却速度を制御することにより
得られる。温間加工の加工温度を275℃以下とするの
は、275℃を超えると、図1に示すように、組織が変
態するため、せっかくβ分散α相を形成していても、再
度、α又はα′相からβが分離して(α+β)の2相組
織になるおそれがあるからである。
cで急冷する必要がある。具体的には水冷を行なう必要
がある。インゴットの加熱後に行なう冷却の場合と同様
に、得られたβ分散α組織を固定するためである。10
0℃以上に加熱した後、冷却速度が遅いとβ分散α組織
が粗大化し、更に275℃以上に加熱する場合にはラメ
ラ状組織が出現し、室温での超塑性は発現しなくなるか
らである。
時に行なうことが好ましいが、小型部材の押し出しの場
合、加熱後に押し出した後、急冷してもよい。
l合金を用いることにより、従来のPbダンパーと同様
の強度、制震機能を確保し、且つ小型軽量化したダンパ
ーを製造することができる。
び組織状態にもよるが、一般に60〜200MPaであ
る。一方、現在ダンパー材料として用いられているPb
の降伏点は5MPaで、室温での伸びは約54%程度で
ある。免震デバイスの変形モードは剪断変形であり、図
7に示すPbダンパ(高さ92.1cm、直径18.0
cm、重量約200kg)と同程度の剪断強度を有する
ダンパーを、降伏応力(σy)がPbの約28倍のZn
−Al合金で作製する場合、Zn−Al合金の高さ、
径、及び要求される伸びの関係は、表1に示すようにな
る。
室温で180%以上の伸びを発揮する場合には、高さを
約1/3、径を約1/10にでき、その結果、重量を1
/100(約2kg)程度にまで小型化することができ
る。このように、本発明のZn−Al合金を用いて免震
デバイスを製造すれば、従来のPb製ダンパーと同程度
の制震性(地震の揺れに追随できる変位)を確保しつ
つ、小型軽量化が達成され、免震デバイスの運搬、施工
が簡便となり、作業性、取扱い性が向上する。
による問題は起きないが、塑性変形段階になると、免震
デバイスの各部位での変形挙動が同じになるとは考えら
れないので、非円形断面にする等、適宜形状変更するこ
とが好ましい。
は軟鋼よりもやや柔らかいので、ボルト締め、リベット
締め等の一般的な接合技術も使用でき、建築構造物等と
の接合は容易である。但し、はんだ付けのように熱を加
える接合処理の場合には、250℃以上、好ましくは1
00℃以上に加熱しないように注意しなければならな
い。上述のように250℃以上では組織が変態するおそ
れがあり、また100℃以上加熱された後、急冷しなけ
れば、せっかく得られた微細組織が粗大化し、室温で1
60%を超える伸びを確保することが困難となるからで
ある。
Al合金を真空溶解炉にてAr雰囲気大気圧中で、一旦
溶解させた後、凝固させてZn−Al合金のインゴット
を得た。尚、凝固開始温度はAl−20%Znで650
℃、Al−40%Znで620℃、Al−60%Znで
560℃、Al−20%Znで500℃、Al−96%
Znで410℃であった。
表2に示す処理(350℃で1時間保持→第1冷却→加
工→第2冷却)を行った(表2中、No6〜No.2
9)。冷却速度は、炉冷の場合は約10℃/h(0.0
03℃/s)程度であり、空冷の場合は5℃/s程度で
あり、水冷の場合は200℃/s程度である。
(99.9%)以上の市販の鍛造品を切り出したもので
ある。4Nは99.99%、5Nは99.999%を示
している。また、No.9〜14の加工については、ダ
イスを6回通過させて真歪みを1.8とする場合(表
中、「b」で示す)と、ダイスを8回通過させて真歪み
を2.4とする場合(表中、「a」で示す)との2種類
を行なった。
し、α又はα′、及びβの粒径を測定した。また、各金
属の伸びを測定した。尚、伸びは、ゲージ部の径10m
mφ、ゲージ長さ42mmの円筒形引張試験片を、クロ
スヘッド速度0.5mm/分で室温にて引張試験を行
い、破断するときの伸びを測定することにより行なっ
た。結果を表2に示す。
ンゴットの特性である。鋳造欠陥を含むためと思われる
が、伸びは24.3%と少なく、Pbよりも劣ってい
た。
にα′、β共に粗大であり、伸びがインゴットの場合よ
りも向上したものの、Pbと同程度の伸びしか得られな
かった。
ものであるが、やはり冷却速度が遅いために、No.6
と同様、α′、βの微細化が不十分で、伸びは多少向上
したものの、Pbと同程度であった。
00℃/s)したものである。急冷によりα′、βの微
細化は進み、伸びは空冷や炉冷の場合よりも向上した
が、やはりPbと同程度の伸びしか得られなかった。
料を水中にて伸線(冷間加工)したものである。伸線に
より微細化が更に進んでα′は5μm以下、βは0.0
5μm以下となって組織微細化が達成され、伸びは18
0%を越えていた。この合金の組織を電子顕微鏡(50
00倍)で観察したところ、図4に示すように、α結晶
粒が認められ、更に10万倍の電子顕微鏡で、α′を拡
大観察したところ(図5)、α′相内に微細析出してい
るβが確認できた。図5中、黒色部分がα′で、黒色部
分の中に存在する白色粒がβである。
を、炉冷又は空冷として、次いで、冷間加工をしたもの
である。この場合、No.9と同様に冷間加工にしたに
も拘わらず、元の組織がラメラ状であったために、α、
βの微細化はNo.9に比べて劣り、伸びも180%以
下であった。
を大気中で伸線加工(空冷伸線)したものである。伸線
により組織微細化が進み、α′は5μm以下、βは0.
05μm以下となり、伸びが180%を越えていた。
を大気中にて伸線加工したものである。No.12と同
様の条件で伸線を行なったにも拘わらず、伸線前の組織
が粗大であったため、加工後の組織は、α′は5〜10
μm、βは0.05〜0.1μmとなり、伸びは100
%を超えたが、180%を超えることはなかった。
aの加工(真歪み2.4)の方がbの加工(真歪み1.
8)よりもα′、βの粒径が小さく、加工率が大きい
程、結晶粒の微細化レベルを上げることができることが
わかる。
間鍛造又は275℃以下で温間鍛造したものである。鍛
造により組織が微細化されて、α′は5μm以下、βは
0.05μm以下となり、いずれの伸びも180%を越
えた。つまり、温間鍛造した場合(No.16〜21)
であっても、その後に急冷することにより、冷間鍛造し
た場合(No.15)と同様に、α′、βの微細化を達
成できることがわかる。
(No.20)、つまり鍛造温度がα′析出温度(27
5℃)よりも高い場合には、再度ラメラ組織が出現した
ために、180%以上の伸びを達成できなかった。特
に、温間鍛造後の冷却が急冷でない場合(No.2
1)、図6の電子顕微鏡写真(5000倍)に見られる
ように、組織が粗大化して白色部分と黒色部分とがラメ
ラ状となり、伸びは加工しない場合(No.6、7)と
同程度にまで低下した。
たZn−Al合金について、均熱後急冷し、さらに温間
鍛造したもの(奇数No.)と温間鍛造しないもの(偶
数No.)を示している。いずれも温間鍛造した方が、
α′(又はα)、及びβが微細化され、伸びも増大して
いることがわかる。しかし、No.19、25、27、
29を比較すると、α′(又はα)、及びβの粒径が同
程度であっても、Zn含有率が少なくなるのに従って、
伸びが低下していくことがわかる。また、No.23か
ら、Znの含有率が高すぎると、180%以上の伸びは
確保されるが、α′相(又はα相)とは独立したβ相の
存在割合が増えるために、伸びが低下すると考えられ
る。逆に、Znの含有率が30重量%未満(No.2
9)になると、均熱後、急冷し、更に加工後、急冷して
も100%を超える伸びを得ることはできなかった。
0%を超える伸びを示し、しかも降伏点が高いので、鉛
よりも小型軽量でPbと同程度に地震や風の揺れに追随
できるダンパーの材料として適している。また、本発明
の製造方法によれば、伸びが160%超、好ましい場合
には180%以上の超塑性と言える制震用Zn−Al合
金を製造することができる。
フである。
る。
組織状態を示す電子顕微鏡写真(5000倍)である。
組織状態を示す電子顕微鏡写真(10万倍)である。
状態を示す電子顕微鏡写真(5000倍)である。
を示す図である。
Claims (6)
- 【請求項1】 Zn:30〜80wt%、残部Al及び
不可避不純物からなるZn−Al合金であって、 平均結晶粒径が5μm以下のα相又はα′相中に、平均
結晶粒径が0.05μm以下のβ相が微細分散した組織
を有していることを特徴とする制震用Zn−Al合金。 - 【請求項2】 Zn:75〜99wt%、残部Al及び
不可避不純物からなるZn−Al合金であって、 平均結晶粒径が5μm以下のα相又はα′相、及びβ相
を主要組織とし、 前記α相又はα′相中に、平均結晶粒径が0.05μm
以下のβ相が微細分散した組織を有していることを特徴
とする制震用Zn−Al合金。 - 【請求項3】 室温にて160%超の伸びを有する請求
項1又は2に記載の制震用Zn−Al合金。 - 【請求項4】 室温にて180%以上の伸びを有する請
求項1又は2に記載の制震用Zn−Al合金。 - 【請求項5】 Zn−Al合金を250℃以上に均熱し
た後、急冷し、 次いで、275℃以下の温度で温間加工した後、急冷す
ることを特徴とする制震用Zn−Al合金の製造方法。 - 【請求項6】 Zn−Al合金を250℃以上に均熱し
た後、急冷し、 次いで、冷間加工することを特徴とする制震用Zn−A
l合金の製造方法。
Priority Applications (1)
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