JPH10258334A - アルミニウム合金成形品の製造方法 - Google Patents

アルミニウム合金成形品の製造方法

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JPH10258334A
JPH10258334A JP8245797A JP8245797A JPH10258334A JP H10258334 A JPH10258334 A JP H10258334A JP 8245797 A JP8245797 A JP 8245797A JP 8245797 A JP8245797 A JP 8245797A JP H10258334 A JPH10258334 A JP H10258334A
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aluminum alloy
temperature
elongation
strain
extrusion
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Masataka Kawazoe
正孝 川添
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21CMANUFACTURE OF METAL SHEETS, WIRE, RODS, TUBES OR PROFILES, OTHERWISE THAN BY ROLLING; AUXILIARY OPERATIONS USED IN CONNECTION WITH METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL
    • B21C23/00Extruding metal; Impact extrusion
    • B21C23/001Extruding metal; Impact extrusion to improve the material properties, e.g. lateral extrusion

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  • Mechanical Engineering (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 少ない工程数で比較的簡単に1ミクロン以下
の結晶粒径まで微細化でき、しかも機械的特性を大きく
低下させない温度域で150%以上の伸びを示す変形能
が得られ、低コストで生産性良くアルミニウム合金成形
品を成形加工できる方法を提供する。 【解決手段】 アルミニウム合金成形品の製造方法は、
(A)アルミニウム合金に、220%以上の伸びに相当
する塑性変形(歪み)を与え、平均結晶粒径を1ミクロ
ン以下に微細化する工程と、(B)得られた材料を温度
150〜350℃、歪速度10-5〜100-1の成形加
工条件で成形する工程とを含む。好適には、前記工程
(A)は、アルミニウム合金に、その押出方向を途中で
内角180°未満の側方に変化させて剪断変形を与える
側方押出工程からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウム合金
成形品の製造方法に関し、さらに詳しくは、塑性変形を
与えることによって超塑性加工可能な微細組織に改質し
たアルミニウム合金を成形加工して成形品を製造する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に金属又は合金の延性は、高温にな
ればなる程大きくなり、成形加工し易くなる。しかしな
がら、金属又は合金が高温にさらされると、その機械的
特性(強度、硬度等)が低下するという問題がある。一
方、機械的特性(強度、硬度等)が低下しない温度で
は、変形能が100%以下と小さくなり、成形加工し難
くなる。また、金属や合金の結晶粒径を小さくし、温
度、変形速度などの条件が適切に設定された場合、超塑
性変形領域が発現することが知られている。そこで、結
晶粒径を小さくし、超塑性変形可能とするために、種々
のプロセスが研究されており、例えば、以下のようなプ
ロセスで組織の微細化が行われている。
【0003】(a)鋳造材の場合、第3元素として一般
に遷移元素(Mn,Cr,Zr,Ti等)を添加して微
細なピンニング粒子を析出させ、熱間加工等での結晶粒
の粗大化を防ぐ。 (b)急冷凝固法やメカニカルアロイングによって微細
組織を有する粉末を作製し、固化する。急冷凝固法の場
合、遷移元素を最大固溶限以上まで固溶できるので、鋳
造冶金法に比べて微細な粒子が高密度に析出し、一方、
メカニカルアロイングの場合、微細な酸化物を高密度に
分散させた組織が得られ、これらの微細粒子によって結
晶粒の粗大化を防いでいる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】前記(a)の第3元素
を添加する方法の場合、結晶粒径が1ミクロン程度の微
細組織は得られるが、多くの複雑な工程を必要とし、工
業レベルでは数ミクロンが微細化の限界であった。ま
た、ピンニング粒子として働いている析出物が割れやボ
イドの起点となったり、疲労強度や靭性を劣化させるこ
ともある。一方、前記(b)の急冷凝固法やメカニカル
アロイングによれば結晶粒径が1ミクロン以下の微細組
織にすることは可能であるが、粉末冶金法であるが故
に、多くの工程を必要とし、また長時間に及び、その結
果、コストが高くなり、鋳造冶金法に比べて経済性、生
産性の点で問題があった。また、ピンニング粒子として
働いている析出物が割れやボイドの起点となったり、疲
労強度や靭性を劣化させることもある。
【0005】従って、本発明の目的は、前記のような問
題もなく、少ない工程数で比較的簡単に1ミクロン以下
の結晶粒径まで微細化でき、しかも機械的特性を大きく
低下させない温度域で150%以上の伸びを示す変形能
が得られ、低コストで生産性良くアルミニウム合金成形
品を成形加工できる方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明によれば、(A)アルミニウム合金に、22
0%以上の伸びに相当する塑性変形(歪み)を与え、平
均結晶粒径を1ミクロン以下に微細化する工程と、
(B)得られた材料を温度150〜350℃、歪速度1
-5〜100-1の成形加工条件で成形する工程とを含
むことを特徴とするアルミニウム合金成形品の製造方法
が提供される。好適な態様によれば、前記工程(A)
は、アルミニウム合金に、その押出方向を途中で内角1
80°未満の側方に変化させて剪断変形を与えることに
よって、220%以上の伸びに相当する大きな歪を加
え、ミクロ組織の平均結晶粒径を1ミクロン以下に微細
化する側方押出工程からなる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明のアルミニウム合金成形品
の製造方法は、アルミニウム合金材料に、比較的低温、
好ましくは再結晶温度以下の温度で、押出、圧延、鍛造
等の塑性加工によって220%以上の伸びに相当する塑
性変形を与えることにより、平均結晶粒径を1ミクロン
以下に微細化し、高温での延性(成形加工性)を改善
し、材料の機械的性質を大きく低下させない温度域で1
50%以上の伸びを示す変形能を有する材料とし(結晶
粒微細化工程)、その後、材料に延性を付与するための
温度150〜350℃、歪速度10-5〜100-1の成
形加工条件で種々の形状に成形を行うものである(成形
工程)。
【0008】すなわち、本発明者の研究によれば、上記
結晶粒微細化工程(A)において、アルミニウム合金に
伸び220%以上に相当する歪量の塑性変形を与え、1
ミクロン以下の結晶粒径に微細化された組織にすると、
温度150〜350℃、歪速度10-5〜100-1の成
形加工条件で150%以上の伸びを示すようになること
が見い出された。また、この材料に上記条件で成形加工
を施すと、粒界すべりによる変形と粒内(塑性)変形と
により材料が変形し、すなわち超塑性的な変形を生ずる
ことも見い出された。そこで本発明では、上記のように
結晶粒微細化工程を経た材料に対して、超塑性加工が可
能な領域(材料の機械的性質を低下させずに延性を付与
するための上記条件)で種々の形状に成形加工を行うも
のである。
【0009】以下、本発明の方法について詳しく説明す
ると、まず、前記結晶粒微細化工程(A)としては、側
方押出法、圧延法、鍛造法などが適用できるが、生産
性、経済性等の点で最も好ましいのは側方押出法であ
る。本発明による側方押出法は、図1に示すように、内
面で同一断面積を持つ2つの押出しコンテナー、又はコ
ンテナー1とダイ2を180°未満の適当な角度(2
ψ)で接合し、一方のコンテナー1にアルミニウム合金
Sを挿入し、ラム3によって次のコンテナー又はダイ2
に向けて押出しすることによって、材料に側方方向の剪
断変形を加える方法であり、好ましくはこの工程を複数
回行う。この方法をアルミニウム合金に適用することに
より、非常に単純な工程で、しかも断面積を減少させず
に、結晶粒が1ミクロン以下に微細化され、しかも従来
の加工硬化による強度を上回る強化が出来ると同時に、
靭性を大きく改善出来る。また、そのプロセスは、鋳造
組織、合金成分のマクロ、ミクロ的な偏析の破壊、均質
化にも効果を持っており、アルミニウム合金では一般に
行われている高温・長時間の均質化熱処理を省略するこ
ともできる。さらに、たとえダイ2において断面減少を
ともなっても、その効果は変わらない。
【0010】本発明の側方押出法でアルミニウム合金に
加えられる剪断変形量は、2つのコンテナー又はコンテ
ナーとダイの接合角度によって異なる。一般に、この様
な剪断変形による押出し1回当たりの歪量Δεi は、下
記式(1)で与えられる。
【数1】 即ち、2つのコンテナー又はコンテナとダイの接合の内
角が直角(90°)の場合、1回の側方押出で歪量は
1.15(相当伸び:220%)、120°の場合、歪
量は0.67(相当伸び:95%)で与えられる。断面
積を同一のまま直角に側方押出しすることによって、圧
延による圧下率(断面減少率)69%に相当する加工を
加えることが出来る。
【0011】上記プロセスを繰り返すことによって、材
料の断面積を変えずに材料中に無限に歪を蓄積すること
が出来る。その繰り返しによって材料に与える積算歪量
εtは、下記式(5)で与えられる。
【数2】 この繰り返し回数(N)は、理論的には多いほど良い
が、実際には合金によってある回数でその効果に飽和状
態が見られる。一般の展伸用アルミニウム合金では、繰
り返し数4回(接合内角が直角の場合、積算歪量:4.
6、相当伸び:10000%)で十分な効果を得ること
が出来る。圧延によっても無限に歪を蓄積することが出
来るが、その場合、断面積は無限に小さくなり、この点
において側方押出法とは対照的である。
【0012】上記のような側方押出法により、例えば、
素材合金がA6063系合金の場合、Mg:0.3〜
0.9重量%、Si:0.2〜0.8重量%、その他不
純物合計1重量%未満、及び残部Alからなる組成を有
し、結晶粒又は亜結晶粒の平均粒径が0.1〜1.0μ
mの範囲にあり、引張強度250MPa以上、伸び15
%以上の機械的性質を有する強靭性アルミニウム合金材
料が得られる。得られたアルミニウム合金材料は、結晶
粒界が伸長された繊維状の組織を持ち、さらにその結晶
粒の内部が0.1〜1.0μmの亜結晶で構成されてい
る。
【0013】また、1〜9重量%のMgを含むアルミニ
ウム合金の場合、結晶粒又は亜結晶粒の平均粒径が0.
05〜1.0μmの範囲にあり、1×10-4〜2×10
3-1の歪速度領域において強度の歪速度依存性を抑制
した強靭性アルミニウム合金材料が得られる。例えば、
素材合金がA5056系合金の場合、Mg:4.5〜
5.6重量%、Mn:0.05〜0.20重量%、C
r:0.05〜0.20重量%、その他不純物合計1重
量%未満、及び残部Alからなる組成を有し、結晶粒又
は亜結晶粒の平均粒径が0.05〜1.0μmの範囲に
あり、引張強度350MPa以上、伸び15%以上の機
械的性質を有する強靭性アルミニウム合金材料が得られ
る。得られたアルミニウム合金材料は、同様に結晶粒界
が伸長された繊維状の組織を持ち、さらにその結晶粒の
内部が0.05〜1.0μmの亜結晶で構成されてい
る。
【0014】ところで、Al−Mg系合金は、固溶硬化
及び加工硬化で適度の強度を持つようになり、かつ延性
(成形加工性)にも優れているため、展伸用アルミニウ
ムの中では最も広い用途を持っている。しかし、溶質原
子であるMgの濃度が高くなると、室温で降伏点以上に
負荷した場合、ストレッチャー・ストレインマークと呼
ばれる縞模様が形成される。一方、応力−歪曲線上では
不連続な降伏が繰返し生じ、これは鋸歯状となるセレー
ションとして現れ、Portevin−LeChate
lier効果(PL効果)とも呼ばれている。このよう
なセレーションが発生する場合には、負の歪速度感受
性、即ち歪速度が増加すると強度が低下する性質、を示
しやすいために、変形の局在化が生じて材料の成形性を
劣化させる原因となる。また、衝撃強度や動的破壊靭性
で合金自体の信頼性が低下し、製品の薄肉・軽量化の障
害になる。これに対して、本発明に従って従来の材料に
側方押出法による強歪み加工を加えることにより、非常
に単純な工程で、結晶粒径と結晶粒内のMgの固溶状態
を制御することによってセレーションの抑制が出来る。
しかも、その加工後の材料の伸びや絞りが大きく、成形
加工性に優れ、かつ強度が高く、衝撃吸収性や動的破壊
靭性も大きいことから、材料としての信頼性も高い。
【0015】セレーションは、転位の溶質雰囲気による
固着と、負荷応力による固着からの解放によって生じて
いると考えられているので、この抑制には、粒内のMg
の濃度を減少させる方法、あるいは転位が固着から解放
された後すぐに障壁となる粒界などを高密度に分布させ
る方法が有効と考えられる。前者の方法は、転位を導入
し、セル壁や回復でのポリゴン化によって形成された亜
結晶粒界の近傍にMg溶質原子を集積して、結晶粒内の
見かけ上のMg濃度を減少させればよい。後者の方法は
結晶粒を微細にすれば達成される。前者の方法として圧
延による冷間加工が考えられるが、加工率の増加と共に
延性の低下、異方性、応力腐蝕割れという問題が生じて
くる場合がある。これに対して、本発明によれば、側方
押出しプロセスによる強加工によって結晶粒の微細化と
結晶粒内のMg濃度の制御を行い、セレーションを抑制
し、アルミニウム合金の強靭化を図ることができる。
【0016】本発明による側方押出しは、出来るだけ低
温で行うことが好ましい。しかしながら、合金の変形抵
抗は低温になるほど高く、変形能は低温ほど小さくなる
傾向がある。押出し用工具の強度の関係及び健全な押出
材を得るために、通常は合金によって異なる適切な温度
で行われる。一般的には、300℃以下、好ましくは合
金の再結晶温度以下、さらに好ましくは回復温度以下で
行われる。しかし、この再結晶温度、回復温度は、材料
に加えられる加工度によって変化する。押出温度は、ψ
=45°(90°側方押出し)の時、展伸用アルミ合金
の代表であるAl−Mg−Si系のA6063合金では
室温〜150℃、Al−Mg系のA5056合金では室
温〜200℃、Al−Zn−Mg−Cu系のA7075
合金では50〜200℃等が代表的な温度である。この
押出温度は、押出角度によっても異なり、角度が大きく
なるほど低温で可能となる。これは、押出力(剪断変形
に要するエネルギー)が小さくなることと、材料の変形
能による制約が緩くなるからである。
【0017】側方押出しされた材料の組織を光学顕微鏡
及び透過型電子顕微鏡で観察すると、加工前は200〜
500ミクロン以上の結晶粒が、3〜4回の押出しで
0.1ミクロン程度まで著しく微細化(転位セル構造、
亜結晶、再結晶組織を含む)されているのが分かる。金
属材料を加工すると、その塑性変形のエネルギーは、大
部分は熱に変化するが、その一部は点欠陥、転位、積層
欠陥あるいは内部応力として材料中に蓄積される。これ
らの格子欠陥の蓄積が硬化(強化)の原因となる。さら
に強加工を受けると、結晶粒は引き伸ばされるとともに
転位密度は増大し、引き伸ばされた結晶粒の中に下部構
造として3次元的な転位の網目構造(セル構造)を取る
ようになる。このセルは加工の増大とともに微細化す
る。転位密度の高いセル壁は本来厚みを持っており、微
視的にはさらに小さなセル構造を持っていると解されて
いるが、側方押出法で処理した材料には厚みを持ったセ
ル壁は観察され難く、側方押出法で得られる特徴的な組
織ではない。
【0018】一般に、セル構造は、欠陥の再配列を伴う
回復(蓄積エネルギー解放の初期段階;組織変化は伴わ
ない)によって亜結晶に変るとされ、これら欠陥の再配
列は融点(絶対温度)の1/3〜1/2の温度に加熱す
ると生じるとされている。側方押出しは、それよりさら
に低い温度で行われているが、相当伸びで1000%を
超える著しい強加工で転位密度の増加を許容できなくて
亜結晶への遷移温度が低下して亜結晶へ遷移したか、強
加工による変形熱で見かけ温度以上に材料温度が上昇し
て亜結晶が主体となったものと考えられる。従来、アル
ミニウム合金の結晶を微細化する方法として加工熱処理
法が知られているが、工業的な1ミクロン以下の結晶微
細化には適さない。低温で強制的に強加工を与える本発
明の方法により、初めて1ミクロン以下の結晶からなる
材料を工業的に得ることが出来る。しかも、各々の結晶
は加工組織に特徴的な高転位密度を有さないことから、
工業的な応用の温度範囲ではこれらの組織は安定であ
る。
【0019】上述のような1ミクロン以下(好ましくは
0.5ミクロン以下)の微細な結晶粒(又は亜結晶粒)
からなる組織が本発明の方法の前記工程(A)で得られ
るアルミニウム合金材料の特徴であるが、この組織が材
料の機械的性質に特徴を与える。一般に材料の強化法に
は、加工強化、固溶強化、析出強化、分散強化などがあ
るが、何れの場合も材料の強度化とともに伸び、絞り、
シャルピー衝撃値などの材料のしなやかさの指標は低下
し、当然、破壊靭性値も低下する。しなやかさを失わず
に材料を強化する方法として、結晶の微細化がある。材
料は結晶の微細化とともに強度が増し、これはホール・
ペッチの法則として知られている。このように、本発明
の前記結晶粒微細化工程(A)で得られる材料組織は非
常に微細な結晶粒であり、しかも転位密度が高くないこ
とから、高い強度を有するとともに、伸び、絞り、シャ
ルピー衝撃値も高く、2次加工性にも優れている。
【0020】前記した結晶粒微細化工程(A)の後、温
度150〜350℃、歪速度10-5〜100-1の成形
加工条件で成形することにより、ドアパネルなどの板
材、車の補強パネル、ロアアーム、建築部品等の種々の
部品など、簡単な形状から複雑な形状を持った製品ま
で、比較的容易に成形することができる。成形加工方法
としては、プレス成形、熱間押出、鍛造など種々の方法
を適用できる。
【0021】本発明の方法は、あらゆるアルミニウム合
金に適用出来るが、特に熱処理型の合金に有利に適用す
ることができ、その代表的なものとしては、例えば下記
表1に示すようなJIS A6063合金やA5056
合金が挙げられる。また、本発明の方法は、室温又は加
熱領域で均質化熱処理、熱間押出し等の中間加工又はそ
の他の方法で製造されたアルミニウム合金だけでなく、
鋳造後のアルミニウム合金にも適用できる。
【表1】
【0022】
【実施例】以下、実施例を示して本発明について具体的
に説明するが、本発明が下記実施例に限定されるもので
ないことはもとよりである。
【0023】実施例1 適用合金として表1に示す組成範囲内のA5056合金
を用い、鋳造によって直径25mmの丸棒とし、得られ
た丸棒を425℃で4時間熱処理後、水中で急冷し供試
材とした。作製した供試材を、直角(ψ=45°)に連
結した2つのコンテナー(何れも内径25mm)の一方
に挿入し、100℃で4回の側方押出しを行い、直径2
5mmの処理材を得た。これによって、前述の式(5)
によれば積算歪量(εt )4.6(相当伸び10000
%)の加工を受けたアルミニウム合金材料が得られたこ
とになる。このようにして作製した側方押出材から、平
行部長さ6mm、直径3mmの引張試験片を作製し、歪
速度1×10-5-1一定、温度473K、498K、5
28K又は548Kの各条件で引張試験を行った。その
結果を図2に示す。
【0024】図2から明らかなように、温度の上昇と共
に伸びは増加し、548Kにおいて真歪み1.1、即ち
200%の伸びを示した。また、513K、3×10-4
-1という図示しない他の条件においても150%の伸
びを示した。参考のために、図3に同一合金の焼鈍材に
ついての温度に対する伸びの関係を示す。焼鈍材の平均
結晶粒径が40、95又は200ミクロンのそれぞれの
場合について示す。図3に示されるように、焼鈍材の場
合、548K付近での伸びは30〜120%であること
がわかる。
【0025】表2に高温引張前後の前記材料の機械的性
質を示す。比較材は焼鈍材である。
【表2】 上記表2から、側方押出材の変形後は、変形前の約80
%、かつ焼鈍材よりも2倍高い降伏応力を有しているこ
とがわかる。
【0026】以上のように側方押出材が焼鈍材よりも高
い変形能を示すのは、変形機構が異なるからである。そ
こで、両者の破断後の試験片変形部の表面を観察した走
査電子顕微鏡(SEM)写真を図4(側方押出材)及び
図5(焼鈍材)に示す。図4の側方押出材の方には粒界
すべりの形跡と思われるキャビティーが認められる。一
方、図5の焼鈍材にはそのような形跡は見られない。従
って、本発明による側方押出材は、粒内塑性変形と粒界
すべりが生ずることによって超塑性的な変形が得られる
と言える。
【0027】
【発明の効果】以上のように、本発明のアルミニウム合
金成形品の製造方法は、アルミニウム合金材料に、比較
的低温、好ましくは再結晶温度以下の温度で、押出、圧
延、鍛造等の塑性加工、特に側方押出しによって220
%以上の伸びに相当する塑性変形を与えることにより、
少ない工程数で比較的簡単に平均結晶粒径を1ミクロン
以下に微細化でき、しかも高温での延性(成形加工性)
を改善し、材料の機械的性質を大きく低下させない15
0〜350℃の温度域で150%以上の伸びを示す変形
能を有する材料とし、その後、上記温度域で歪速度10
-5〜100-1の成形加工条件で種々の形状に成形を行
うものであるため、複雑な形状を持った製品であっても
低コストで生産性良く製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に採用するアルミニウム合金の側方押出
法の概念を説明するための概略部分断面図である。
【図2】実施例1で得られたアルミニウム合金A505
6側方押出材の引張試験における引張強度と歪みの関係
を示すグラフである。
【図3】アルミニウム合金A5056焼鈍材の引張試験
における伸びと温度の関係を示すグラフである。
【図4】実施例1で得られたアルミニウム合金A505
6側方押出材の破断後の試験片変形部の走査電子顕微鏡
(SEM)写真である。
【図5】アルミニウム合金A5056焼鈍材の破断後の
試験片変形部の走査電子顕微鏡(SEM)写真である。
【符号の説明】
1 コンテナー 2 ダイ 3 ラム S アルミニウム合金材料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C22F 1/00 630 C22F 1/00 630K 694 694A 694B

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)アルミニウム合金に、220%以
    上の伸びに相当する塑性変形(歪み)を与え、平均結晶
    粒径を1ミクロン以下に微細化する工程と、(B)得ら
    れた材料を温度150〜350℃、歪速度10-5〜10
    0-1の成形加工条件で成形する工程とを含むことを特
    徴とするアルミニウム合金成形品の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記工程(A)が、アルミニウム合金
    に、その押出方向を途中で内角180°未満の側方に変
    化させて剪断変形を与えることによって、220%以上
    の伸びに相当する大きな歪を加え、ミクロ組織の平均結
    晶粒径を1ミクロン以下に微細化する側方押出工程から
    なる請求項1に記載の方法。
JP8245797A 1997-03-17 1997-03-17 アルミニウム合金成形品の製造方法 Pending JPH10258334A (ja)

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