JP2000271693A - マグネシウム合金材の製造方法 - Google Patents

マグネシウム合金材の製造方法

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正孝 川添
Jiyunichi Nagahora
純一 永洞
Takashi Hashimoto
貴史 橋本
Kenji Azuma
健司 東
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    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21CMANUFACTURE OF METAL SHEETS, WIRE, RODS, TUBES OR PROFILES, OTHERWISE THAN BY ROLLING; AUXILIARY OPERATIONS USED IN CONNECTION WITH METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL
    • B21C23/00Extruding metal; Impact extrusion
    • B21C23/001Extruding metal; Impact extrusion to improve the material properties, e.g. lateral extrusion

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  • Mechanical Engineering (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は一回の側方押出でも材料に割れが生
ぜず、少ない工程数で結晶粒径の微細化が行え、しかも
機械的特性に優れたマグネシウム合金を提供する。 【解決手段】 熱間塑性加工を施したマグネシウム合金
材に、220%以上の相当伸びに相当する歪量の大きな
変形を加え、ミクロ組織の平均結晶粒径を10μm以
下、金属間化合物の平均粒子径を1μm以下に微細化す
ることによって高強度、高靭性材料を製造する。変形加
工は素材Sの持つ断面積を変化させずにその押出方向を
途中で内角(ψ)180°未満の側方へ変化させる方法
あるいは、素材に対して圧力方向を変化させ断面形状を
変化させて加圧変形を与える方法によって行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マグネシウム合金
材の製造方法に関し、より具体的には、塑性変形によっ
て高強度、高靭性材料を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に金属又は合金の延性は、高温にな
ればなる程大きくなり、成形加工し易くなる。しかしな
がら、金属又は合金が高温にさらされると、その機械的
特性(強度、硬度等)が低下するという問題がある。一
方、機械的特性が低下しない温度では変形能が100%
以下と小さくなり、成形加工し難くなる。また、金属や
合金の結晶粒径を小さくし、温度、変形速度などの条件
が適切に設定された場合、超塑性変形領域が発現するこ
とが知られている。そこで、結晶粒径を小さくし、超塑
性変形可能とするために、種々のプロセスが研究されて
おり、例えば、以下のようなプロセスで組織の微細化が
行われている。
【0003】(a)鋳造材の場合、第3元素として一般
に遷移元素(Mn,Cr,Zr,Ti等)を添加して微
細なピンニング粒子を析出させ、熱間加工等での結晶粒
の粗大化を防ぐ。
【0004】(b)急冷凝固法やメカニカルアロイング
によって微細組織を有する粉末を作製し、固化する。急
冷凝固法の場合、遷移元素を最大固溶限以上まで固溶で
きるので、鋳造冶金法に比べて微細な粒子が高密度に析
出し、一方、メカニカルアロイングの場合、微細な酸化
物を高密度に分散させた組織が得られ、これらの微細粒
子によって結晶粒の粗大化を防いでいる。
【0005】前記(a)の第3元素を添加する方法の場
合、結晶粒径が1ミクロン程度の微細組織は得られる
が、多くの複雑な工程を必要とし、工業レベルでは数ミ
クロンが微細化の限界であった。また、ピンニング粒子
として働いている析出物が割れやボイドの起点となった
り、疲労強度や靭性を劣化させることもある。一方、前
記(b)の急冷凝固法やメカニカルアロイングによれば
結晶粒径が1ミクロン以下の微細組織によることは可能
であるが、粉末冶金法であるが故に、多くの工程を必要
とし、また長時間に及び、その結果、コストが高くな
り、鋳造冶金法に比べて経済性、生産性の点で問題があ
った。また、ピンニング粒子として働いている析出物が
割れやボイドの起点となったり、疲労強度や靭性を劣化
させることもある。
【0006】また、本発明者らは、さきにアルミニウム
合金材に側方押出を施し、結晶の微細化を行う技術を開
発した。(特開平9−137244号公報、特開平10
−258334号公報参照)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
のマグネシウム合金の場合、鋳造にて作製した合金材に
上記公報に開示の側方押出方法を適用した場合、一回の
側方押出にて、材料に割れ(クラック)が生じ、以後の
加工及び成形が行えない、という問題がある。
【0008】そこで、本発明では、このような問題がな
く、少ない工程数で比較的間単に結晶粒径の微細化が行
え、しかも機械的特性に優れたマグネシウム合金材を製
造することができる方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱間塑性加工
を施したマグネシウム合金材に、220%以上の相当伸
びに相当する歪量の大きな変形を加え、ミクロ組織の平
均結晶粒径を10μm以下、金属間化合物の平均粒子径
を1μm以下に微細化することによって高強度、高靭性
材料を製造することを特徴とするマグネシウム合金材の
製造方法である。
【0010】本発明に適用されるマグネシウム合金とし
ては、例えばMg−Al−Zn(AZ系)合金、Mg−
Zn−Zr(ZK系)合金などに適用できるが、これら
に限らず、通常のMg合金全てに適用可能である。ま
た、本発明に適用されるMg合金にはSc,Zr,T
i,Cr,Mn,Si,Caの少なくとも1種の元素が
5wt%以下で含んでいることが好ましい。Mg合金は
鋳造により作製されたものにより効果的である。
【0011】本発明においては、事前に熱間塑性加工を
施すことが重要であるが、その具体的な加工としては、
押出、鍛造などが適用でき、その具体的な温度としては
200〜360℃で行うことが、鋳造組織の破壊及び結
晶粒及び金属間化合物の粗大化を防止する上で有効であ
る。特に前記ZK系合金の場合200〜320℃で行う
ことが好ましい。また、熱間塑性加工を施す前に前記押
出温度より高い温度で溶体化処理を施すことが好まし
い。
【0012】さらに、本発明において、220%以上の
相当伸びに相当する歪量の大きな変形を加えるが、これ
らの具体的な方法としては、第1にマグネシウム合金材
に、その素材の持つ断面積を変化させずに、その押出方
向を途中で内角180°未満の側方に変化させて剪断応
力を与えることによって、220%以上の相当伸びに相
当する大きな歪を加え、ミクロ組織の平均結晶粒径を1
0μm以下、金属間化合物の平均粒子径を1μm以下に
微細化し、高強度、高靭性材料を製造するマグネシウム
合金材の製造方法の手法があり、第2にマグネシウム合
金材に、その素材に対して圧力方向を変化させ断面形状
を変化させて加圧変形を与えることによって、220%
以上の相当伸びに相当する大きな歪を加え、ミクロ組織
の平均結晶粒径を10μm以下、金属間化合物の平均粒
子径を1μm以下に微細化することによって高強度、高
靭性材料を製造するマグネシウム合金材の製造方法の手
法がある。
【0013】第1の手法は、側方押出法であって、生産
性、経済性等の点で最も好ましい。本発明による側方押
出法は、図1に示すように、内面で同一断面積を持つ2
つの押出しコンテナー、又はコンテナー1とダイ2を1
80°未満の適当な角度(2ψ)で接合し、一方のコン
テナー1にMg合金Sを挿入し、ラム3によって次のコ
ンテナー又はダイ2に向けて押出しすることによって、
材料に側方方向の剪断変形を加える方法であり、好まし
くはこの工程を複数回行う。この方法をMg合金に適用
することにより、非常に単純な工程で、しかも断面積を
減少させずに、結晶粒が1ミクロン以下に微細化され、
しかも従来の加工硬化による強度を上回る強化が出来る
と同時に、靭性を大きく改善できる。また、そのプロセ
スは、鋳造組織、合金成分のマクロ、ミクロ的な偏析の
破壊、均質化にも効果を持っており、Mg合金でも一般
に行われている高温・長時間の均質化熱処理を省略する
こともできる。さらに、たとえダイ2において断面減少
をともなっても、その効果は変わらない。
【0014】本発明の側方押出法でMg合金に加えられ
る剪断変形量は、2つのコンテナーまたはコンテナーと
ダイの接合角度によって異なる。一般に、この様な剪断
変形による押出し1回当たりの歪量△εiは、下記式
(1)で与えられる。
【0015】
【数1】
【0016】(但し、△εiは歪量、ψは接合内角の1
/2、ERRは加工前後の面積比、Aoは加工前の断面
積、Aは加工後の断面積、EARは加工前後の相当断面
減少率、EEは相当歪(伸びと同義)を表わす。) 即ち、2つのコンテナー又はコンテナとダイの接合の内
角が直角(90°)の場合、1回の側方押出で歪量は
1.15(相当伸び:220%)、120°の場合、歪
量は0.67(相当伸び:95%)で与えられる。断面
積を同一のまま直角に側方押出しすることによって、圧
延による圧下率(断面減少率)69%に相当する加工を
加えることが出来る。
【0017】上記プロセスを繰り返すことによって、材
料の断面積を変えずに材料中に無限に歪を蓄積すること
が出来る。その繰り返しによって材料に与える積算歪量
εtは、下記式(5)で与えられる。
【0018】
【数2】
【0019】(但し、ε1は積算歪量、Nは押出回数を
表わす。) この繰り返し回数(N)は、理論的には多いほど良い
が、実際には合金によってある回数でその効果に飽和状
態が見られる。一般のMg合金では、繰り返し数4回
(接合内角が直角の場合、積算歪量:4.6、相当伸
び:10000%)で十分な効果を得ることが出来る。
圧延によっても無限に歪を蓄積することが出来るが、そ
の場合、断面積は無限に小さくなり、この点において側
方押出法とは対照的である。
【0020】本発明による側方押出しは、出来るだけ低
温で行うことが好ましい。しかしながら、合金の変形抵
抗は低温になるほど高く、変形能は低温ほど小さくなる
傾向がある。押出し用工具の強度の関係及び健全な押出
材を得るために、通常は合金によって異なる適切な温度
で行われる。一般的には、300℃以下、好ましくは合
金の再結晶温度以下、さらに好ましくは回復温度以下で
行われる。しかし、この再結晶温度、回復温度は、材料
に加えられる加工度によって変化する。押出温度は、押
出角度によっても異なり、角度が大きくなるほど低温で
可能となる。これは、押出力(剪断変形に要するエネル
ギー)が小さくなることと、材料の変形能による制約が
緩くなるからである。
【0021】第2の手法は、図2に示すように、逐次圧
縮(押圧)方向を変えて鍛造を行う手法であって、例え
ばX軸方向両側から押圧し圧縮させることにより断面形
状を変化させ素材に変形を加え、次にY軸方向両側か
ら、さらにはZ軸方向両側からといったように逐次圧縮
変形を与える。この際素材の断面積は変化させない方が
より好ましい。この手法においても前述の側方押出法と
同様に220%あるいはそれ以上の相当伸びに相当する
歪量を与えることができるとともに結晶粒及び金属間化
合物の微細化が行える。また、鍛造の際の温度も上述の
押出温度と同様に適用できる。
【0022】これらの手法により平均結晶粒径が10μ
m以下、金属間化合物の平均粒子径を1μm以下とする
ことができ、このようなMg合金材は、温度100〜3
50℃、歪速度10-5〜100-1の成形加工条件で種
々の形状に成形できる。また、成形に際しては150%
以上の伸びを示すことから、粒界すべりによる変形と粒
内(塑性)変形とにより材料が変形し、超塑性的な変形
が生じる。また、微細な金属間化合物が存在しているこ
とにより、成形の際に上記のように加熱を行っても、結
晶粒の粗大化が抑制され、機械的な特性の低下が生じに
くい。なお、超塑性的な成形及び機械的特性を考慮した
場合、平均結晶粒径は3μm以下であることが好ましく
より好ましくは1μm以下である。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、実施例にもとづき、本発明
を具体的に説明する。適用合金としてZK60(Mg−
6Zn−0.5Zrwt%)を用い、鋳造によって直径
80mmの丸棒を作製し、得られた丸棒を499℃で2
時間溶体化処理を施し、これを300℃、押出比10で
押出加工を行った。得られた押出材について、その組織
を調べたところ平均結晶粒径20μmの再結晶組織が観
察された。
【0024】次にこの押出材を用いて、図1に示す側方
押出を行った。側方押出の条件は直角(ψ=45°)に
連結した2つのコンテナー(孔の直径25mm)を用
い、温度453Kにて行った。側方押出は8回繰り返し
行い、前述の式の積算歪量(εt)9.4(相当伸び1
000000%)の加工を受けさせた。このようにして
得られたマグネシウム材はクラックの発生等がなく、市
販のT5処理材が降伏応力230MPa、伸び5%であ
るのに対し、降伏応力が370MPa、伸び10%と優
れた機械的特性を有するものであった。
【0025】また、組織を透過電子顕微鏡(TEM)像
(倍率:3万倍)にて調べてみたところ1μm以下の微
細な結晶粒であるとともに、金属間化合物の大きさも1
μm以下であることが、また金属間化合物は結晶粒に対
し、微細に分散した組織であることが観察された。
【0026】比較として上記と同様の合金について鋳造
によって直径25mmの丸棒を作製し、得られた丸棒を
499℃で2時間溶体化処理を施し、これを側方押出し
た。側方押出の条件は上記と同様である。この場合、1
回目の側方押出で、材料にクラックが発生した。
【0027】
【発明の効果】本発明の方法によれば、マグネシウム合
金を比較的低温で側方押出しすることによって、ミクロ
組織の平均結晶粒径を10μm以下、金属間化合物の平
均粒子径を1μm以下に微細化し、強度、靭性共に従来
のマグネシウム合金材料の値を大幅に改善し、バランス
の取れたマグネシウム合金材料を提供することができ
る。すなわち、高強度、高靭性と共に、高耐食性、高衝
撃吸収性を併せ備え、かつ、押出加工、冷間加工等の加
工性を向上し、固相域でも射出成形も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における側方押出の説明図である。
【図2】本発明において逐次圧縮方向を変えて鍛造を行
う方法の説明図である。
【符号の説明】
1 コンテナー 2 ダイ 3 ラム 5 マグネシウム合金
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 橋本 貴史 宮城県黒川郡富谷町富ケ丘1−15−22 (72)発明者 東 健司 大阪府富田林市寺池台3−4−9 Fターム(参考) 4E087 AA01 BA03 BA24 CA27 CB01 EC17

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱間塑性加工を施したマグネシウム合金
    材に、220%以上の相当伸びに相当する歪量の大きな
    変形を加え、ミクロ組織の平均結晶粒径を10μm以
    下、金属間化合物の平均粒子径を1μm以下に微細化す
    ることによって高強度、高靭性材料を製造することを特
    徴とするマグネシウム合金材の製造方法。
  2. 【請求項2】 マグネシウム合金材が鋳造により作製さ
    れたものであり、熱間塑性加工により鋳造組織を破壊す
    る請求項1記載のマグネシウム合金材の製造方法。
  3. 【請求項3】 マグネシウム合金材に、その素材の持つ
    断面積を変化させずに、その押出方向を途中で内角18
    0°未満の側方に変化させて剪断応力を与えることによ
    って、220%以上の相当伸びに相当する大きな歪を加
    え、ミクロ組織の平均結晶粒径を10μm以下、金属間
    化合物の平均粒子径を1μm以下に微細化し、高強度、
    高靭性材料を製造する請求項1記載のマグネシウム合金
    材の製造方法。
  4. 【請求項4】 マグネシウム合金材に、その素材に対し
    て圧力方向を変化させ断面形状を変化させて加圧変形を
    与えることによって、220%以上の相当伸びに相当す
    る大きな歪を加え、ミクロ組織の平均結晶粒径を10μ
    m以下、金属間化合物の平均粒子径を1μm以下に微細
    化することによって高強度、高靭性材料を製造する請求
    項1記載のマグネシウム合金材の製造方法。
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