JP2932918B2 - α+β型チタン合金押出材の製造方法 - Google Patents
α+β型チタン合金押出材の製造方法Info
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- JP2932918B2 JP2932918B2 JP32371593A JP32371593A JP2932918B2 JP 2932918 B2 JP2932918 B2 JP 2932918B2 JP 32371593 A JP32371593 A JP 32371593A JP 32371593 A JP32371593 A JP 32371593A JP 2932918 B2 JP2932918 B2 JP 2932918B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、α+β型チタン合金
の熱間押出材の製造方法に関する。
の熱間押出材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】チタン合金は高い比強度(軽くて強い)
と優れた耐食性を有している。その中でもα+β型チタ
ン合金は、強度、成形性、溶接性、靱性ともに優れてお
り、宇宙航空機用をはじめとする各種設備・装置類の構
造部材として、大きな需要がある。
と優れた耐食性を有している。その中でもα+β型チタ
ン合金は、強度、成形性、溶接性、靱性ともに優れてお
り、宇宙航空機用をはじめとする各種設備・装置類の構
造部材として、大きな需要がある。
【0003】これらの構造部材は、一般に押出成形によ
り所望素形材形状への成形がなされてきた。α+β型チ
タン合金の押出成形は、一般に変形抵抗の小さいβ変態
点以上の高温度領域で行なわれている。ところが、この
高温度領域では、結晶粒が粗大化し延性の劣化をまねい
たり、αケースと呼ばれる酸素リッチな硬化層が表層に
生成し製品の表面性状を著しく劣化させたりする。そこ
で、次のような押出成形方法が提案されている。
り所望素形材形状への成形がなされてきた。α+β型チ
タン合金の押出成形は、一般に変形抵抗の小さいβ変態
点以上の高温度領域で行なわれている。ところが、この
高温度領域では、結晶粒が粗大化し延性の劣化をまねい
たり、αケースと呼ばれる酸素リッチな硬化層が表層に
生成し製品の表面性状を著しく劣化させたりする。そこ
で、次のような押出成形方法が提案されている。
【0004】特開昭61−193719号公報(従来技
術)では、α+β型チタン合金の中で、Ti−6Al
−4V系チタン合金を850℃〜960℃のα+β域で
押出成形する方法が提案されている。
術)では、α+β型チタン合金の中で、Ti−6Al
−4V系チタン合金を850℃〜960℃のα+β域で
押出成形する方法が提案されている。
【0005】特開昭63−223155号公報(従来技
術)では、素材とするα+β型チタン合金ビレットの
金属組織を微細な等軸α+β組織にした後、β域に加熱
して押出加工を行っている。次いで、押出後の冷却にお
いては冷却速度を5℃/秒以上に制御し、さらに、この
強制冷却により生じたマルテンサイトを分解させるため
の熱処理を施して、強度、延性、靭性に優れた押出材を
製造する方法が提案されている。
術)では、素材とするα+β型チタン合金ビレットの
金属組織を微細な等軸α+β組織にした後、β域に加熱
して押出加工を行っている。次いで、押出後の冷却にお
いては冷却速度を5℃/秒以上に制御し、さらに、この
強制冷却により生じたマルテンサイトを分解させるため
の熱処理を施して、強度、延性、靭性に優れた押出材を
製造する方法が提案されている。
【0006】特開昭61−284560号公報(従来技
術)では、α+β型チタン合金を押出成形後、溶体化
処理と時効処理の2段階の熱処理を行なうことにより、
強化する方法が提案されている。
術)では、α+β型チタン合金を押出成形後、溶体化
処理と時効処理の2段階の熱処理を行なうことにより、
強化する方法が提案されている。
【0007】特公平5−2405号公報(従来技術)
では、α+β型チタン合金のビレットをβ変態点以上の
温度に加熱した後、表面層をα+βの二相領域の温度に
まで冷却させてから、押出成形をしている。この方法に
より、表層部での強度を確保できるということが報告さ
れている。
では、α+β型チタン合金のビレットをβ変態点以上の
温度に加熱した後、表面層をα+βの二相領域の温度に
まで冷却させてから、押出成形をしている。この方法に
より、表層部での強度を確保できるということが報告さ
れている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】前述の技術には次のよ
うな問題がある。 従来技術については、α+β型チタン合金はα+β二
相域で変形抵抗が高く、この温度域では熱押荷重が大き
く、熱押ミルへの負荷が大きくなる。その結果、押出不
能となる場合があるので、押出製品の形状や寸法の制限
を受けることになる。また、実施例の対象はTi−6A
l−4V合金のみであり、他のα+β型チタン合金につ
いては、適用の可否が不明である。
うな問題がある。 従来技術については、α+β型チタン合金はα+β二
相域で変形抵抗が高く、この温度域では熱押荷重が大き
く、熱押ミルへの負荷が大きくなる。その結果、押出不
能となる場合があるので、押出製品の形状や寸法の制限
を受けることになる。また、実施例の対象はTi−6A
l−4V合金のみであり、他のα+β型チタン合金につ
いては、適用の可否が不明である。
【0009】従来技術については、この公報では触れ
られていないが、材料の加熱温度が高いため製品の表層
にαケースとよばれる酸素リッチな硬化層の生成が著し
い。その結果、この硬化層がクラックの起点となり押出
製品表面に微細な割れを生じたり、硬化層の研磨作用に
よりダイス摩耗が著しくなり、製品長手方向への寸法変
動が生じる。更に、この提案の冷却速度5℃/秒以上を
得るためには強制冷却を行なう必要があり、冷却装置が
必要となる。また、強制冷却により生じたマルテンサイ
トを分解させるため、長時間の焼鈍等の熱処理が必要で
あり生産効率が低下する。
られていないが、材料の加熱温度が高いため製品の表層
にαケースとよばれる酸素リッチな硬化層の生成が著し
い。その結果、この硬化層がクラックの起点となり押出
製品表面に微細な割れを生じたり、硬化層の研磨作用に
よりダイス摩耗が著しくなり、製品長手方向への寸法変
動が生じる。更に、この提案の冷却速度5℃/秒以上を
得るためには強制冷却を行なう必要があり、冷却装置が
必要となる。また、強制冷却により生じたマルテンサイ
トを分解させるため、長時間の焼鈍等の熱処理が必要で
あり生産効率が低下する。
【0010】従来技術については、押出成形後に溶体
化時効処理とよばれる2段階の熱処理を必要とするた
め、生産するうえでは非効率的である。また、溶体化処
理や時効処理により、製品の強度は上昇するが延性は1
0%前後まで低下するので、その用途は限られたものと
なる。
化時効処理とよばれる2段階の熱処理を必要とするた
め、生産するうえでは非効率的である。また、溶体化処
理や時効処理により、製品の強度は上昇するが延性は1
0%前後まで低下するので、その用途は限られたものと
なる。
【0011】従来技術については、表層と内部で異な
る金属組織を有するため、その機械的特性が当然異な
る。これは、構造部材として利用する場合、設計を難し
くする。また、加熱温度が高いため、従来技術の場合
と同様にαケースと呼ばれる硬化層が著しく生成する。
る金属組織を有するため、その機械的特性が当然異な
る。これは、構造部材として利用する場合、設計を難し
くする。また、加熱温度が高いため、従来技術の場合
と同様にαケースと呼ばれる硬化層が著しく生成する。
【0012】本発明の目的はこれらの従来技術の問題点
を解決することであり、押出負荷を小さくし、機械的特
性としての強度、延性、靭性に優れ、αケースの生成の
少ない表面品質の優れたα+β型チタン合金押出材を、
後続の熱処理を要さずに製造する方法を提供することで
ある。
を解決することであり、押出負荷を小さくし、機械的特
性としての強度、延性、靭性に優れ、αケースの生成の
少ない表面品質の優れたα+β型チタン合金押出材を、
後続の熱処理を要さずに製造する方法を提供することで
ある。
【0013】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、α+β型
チタン合金の押出成形において、まず、ビレットを、β
変態点温度未満、かつβ変態点温度Tβと押出比Rとに
よって決まる下記の式(1)で表される下限温度TL以
上の温度に加熱し、次いで熱間押出成形を行うことを特
徴とするα+β型チタン合金押出材の製造方法である。 TL=Tβ−65+110/(R−5) (1) 第2の発明は、更に、α+β二相域で50%以上の加工
を行なったビレットを素材とすることを特徴とするα+
β型チタン合金押出材の製造方法である。
チタン合金の押出成形において、まず、ビレットを、β
変態点温度未満、かつβ変態点温度Tβと押出比Rとに
よって決まる下記の式(1)で表される下限温度TL以
上の温度に加熱し、次いで熱間押出成形を行うことを特
徴とするα+β型チタン合金押出材の製造方法である。 TL=Tβ−65+110/(R−5) (1) 第2の発明は、更に、α+β二相域で50%以上の加工
を行なったビレットを素材とすることを特徴とするα+
β型チタン合金押出材の製造方法である。
【0014】第3の発明は、更にこのα+β型チタン合
金が、Al:3.0〜5.0wt%、V:2.1 〜3.7wt %、Mo:0.85
〜3.15wt%、 O(酸素):0.20wt %以下を含有し、更
に、Fe,Ni,CoおよびCrのうち1種または2種以上を含有
し、かつ、Fe(wt%)+Ni(wt%)+Co(wt%)+0.9Cr(wt%)が0.85
〜3.15wt%であることを特徴とするα+β型チタン合金
押出材の製造方法である。
金が、Al:3.0〜5.0wt%、V:2.1 〜3.7wt %、Mo:0.85
〜3.15wt%、 O(酸素):0.20wt %以下を含有し、更
に、Fe,Ni,CoおよびCrのうち1種または2種以上を含有
し、かつ、Fe(wt%)+Ni(wt%)+Co(wt%)+0.9Cr(wt%)が0.85
〜3.15wt%であることを特徴とするα+β型チタン合金
押出材の製造方法である。
【0015】
【作用】押出成形は高速度で強加工を行なえるという特
徴を有しており、大きな加工発熱を伴う。発明者らは永
年の研究の結果、この加工発熱を利用して押出加工中の
材料温度を上昇させてβ変態点を越えるようにし、イン
ゴットの加熱温度が低目で済みαケースの生成を防止す
る技術を発明した。
徴を有しており、大きな加工発熱を伴う。発明者らは永
年の研究の結果、この加工発熱を利用して押出加工中の
材料温度を上昇させてβ変態点を越えるようにし、イン
ゴットの加熱温度が低目で済みαケースの生成を防止す
る技術を発明した。
【0016】更に、この技術は、単にβ変態点を越える
ことで変形抵抗を低下させるのみに止まらず、次のよう
な金属組織の変化をもたらす効果があることを見出し
た。それは、製品の組織は、針状α組織となるが、微細
な再結晶β粒から変態生成して形成されているので、等
軸α+β組織を有するものと同等の延性を示すことであ
る。
ことで変形抵抗を低下させるのみに止まらず、次のよう
な金属組織の変化をもたらす効果があることを見出し
た。それは、製品の組織は、針状α組織となるが、微細
な再結晶β粒から変態生成して形成されているので、等
軸α+β組織を有するものと同等の延性を示すことであ
る。
【0017】本発明でビレットの加熱温度をβ変態点未
満とした理由を説明する。まず、加熱温度がβ変態点以
上では、熱間押出中の温度が高くなるため再結晶により
生成するβ粒も結局は粗大化してしまう。その結果、製
品の組織は旧β粒界が粗大な針状α組織となり、押出材
の延性が劣ることになる。従って、ビレットの加熱温度
をβ変態点未満とする。また、加熱中の材料の表層への
αケースの生成を抑えることも加熱温度を低目とする理
由の1つである。
満とした理由を説明する。まず、加熱温度がβ変態点以
上では、熱間押出中の温度が高くなるため再結晶により
生成するβ粒も結局は粗大化してしまう。その結果、製
品の組織は旧β粒界が粗大な針状α組織となり、押出材
の延性が劣ることになる。従って、ビレットの加熱温度
をβ変態点未満とする。また、加熱中の材料の表層への
αケースの生成を抑えることも加熱温度を低目とする理
由の1つである。
【0018】次に、加熱温度の下限を式(1)で表され
る下限温度TL以上に制限する理由を説明する。一般に
押出材においては、材料の場所により加工度等が異なる
ため加工発熱量が異なり、あまり低い温度では押出中に
β変態点に達しない部分が生じる。その場合、α+β組
織が残るため押出負荷の増大を招く。更に、押出材の金
属組織は針状α粒と等軸α+β粒が混在した組織とな
り、同一断面内での機械的特性の差が生じるため、構造
部材としての適用に制限を受けることになる。そこで、
材料のほぼ全体が押出中にβ変態点に達するような条件
を種々検討した結果、押出比Rの影響を考慮した式
(1)の温度が加熱温度の下限として得られた。
る下限温度TL以上に制限する理由を説明する。一般に
押出材においては、材料の場所により加工度等が異なる
ため加工発熱量が異なり、あまり低い温度では押出中に
β変態点に達しない部分が生じる。その場合、α+β組
織が残るため押出負荷の増大を招く。更に、押出材の金
属組織は針状α粒と等軸α+β粒が混在した組織とな
り、同一断面内での機械的特性の差が生じるため、構造
部材としての適用に制限を受けることになる。そこで、
材料のほぼ全体が押出中にβ変態点に達するような条件
を種々検討した結果、押出比Rの影響を考慮した式
(1)の温度が加熱温度の下限として得られた。
【0019】更に、素材とするビレットの組織について
は、等軸α+β組織を有するものが望ましい。これは、
素材とするビレットが粗大なβ粒から変態した針状α組
織を有する場合、この粗大なβ粒界のために押出成形時
の変形が不均一となり、押出材のミクロ組織に不均一が
生じるためである。このような、等軸α+β組織を得る
には、予め合金に熱間加工を加えてビレットを製造すれ
ばよい。熱間加工としては、熱間鍛造でよくその他の方
法も適宜用いることができる。熱間加工の大きさは、ビ
レットの組織を等軸α+β組織とするために、50%以
上好ましくは60%以上とすればよい。
は、等軸α+β組織を有するものが望ましい。これは、
素材とするビレットが粗大なβ粒から変態した針状α組
織を有する場合、この粗大なβ粒界のために押出成形時
の変形が不均一となり、押出材のミクロ組織に不均一が
生じるためである。このような、等軸α+β組織を得る
には、予め合金に熱間加工を加えてビレットを製造すれ
ばよい。熱間加工としては、熱間鍛造でよくその他の方
法も適宜用いることができる。熱間加工の大きさは、ビ
レットの組織を等軸α+β組織とするために、50%以
上好ましくは60%以上とすればよい。
【0020】また、α+β型チタン合金のなかでも、Ti
-4.5Al-3V-2Mo-2Fe 系のα+β型チタン合金等では、β
変態点が低いので素材ビレットの加熱温度を低くするこ
とができる。この合金を用いると、αケースの生成が少
なく良好な表面品質が容易に得られるとともに、押出温
度が低いため押出工具の摩耗が少なくなる。
-4.5Al-3V-2Mo-2Fe 系のα+β型チタン合金等では、β
変態点が低いので素材ビレットの加熱温度を低くするこ
とができる。この合金を用いると、αケースの生成が少
なく良好な表面品質が容易に得られるとともに、押出温
度が低いため押出工具の摩耗が少なくなる。
【0021】この合金の成分については、特開平3−2
74238により、Al:3.0〜5.0wt%、V:2.1 〜3.7wt
%、Mo:0.85 〜3.15wt%、 O(酸素):0.15wt %以下を
含有し、更に、Fe,Ni,CoおよびCrのうち1種または2種
以上を含有し、かつ、Fe(wt%)+Ni(wt%)+Co(wt%)+0.9Cr
(wt%)が0.85〜3.15wt%とすることにより、変態点がか
なり低下することが知られている。本発明でも、基本的
にこの成分系を採用するが、O(酸素)については、上限
が0.15%ではなく0.20%でよい。
74238により、Al:3.0〜5.0wt%、V:2.1 〜3.7wt
%、Mo:0.85 〜3.15wt%、 O(酸素):0.15wt %以下を
含有し、更に、Fe,Ni,CoおよびCrのうち1種または2種
以上を含有し、かつ、Fe(wt%)+Ni(wt%)+Co(wt%)+0.9Cr
(wt%)が0.85〜3.15wt%とすることにより、変態点がか
なり低下することが知られている。本発明でも、基本的
にこの成分系を採用するが、O(酸素)については、上限
が0.15%ではなく0.20%でよい。
【0022】
【実施例】次に本発明の実施例を説明する。Al;4.65%,
V;3.02%,Mo;1.95%,O;0.072%,Fe;1.98%,残部;Ti(以上重
量%) からなるα+β型チタン合金( 以下A合金と呼
ぶ) のインゴットに、α+β二相域で60%の熱間鍛造
を加えて、直径170mmの熱間押出用ビレットとした。
この合金のβ変態点は900℃である。
V;3.02%,Mo;1.95%,O;0.072%,Fe;1.98%,残部;Ti(以上重
量%) からなるα+β型チタン合金( 以下A合金と呼
ぶ) のインゴットに、α+β二相域で60%の熱間鍛造
を加えて、直径170mmの熱間押出用ビレットとした。
この合金のβ変態点は900℃である。
【0023】同様にAl;6.02%,V;3.87%,O;0.125%,Fe;0.0
2%, 残部;Ti(以上重量%) からなるα+β型チタン合金
( 以下B合金と呼ぶ) のインゴットから同様の熱間押出
用ビレットを製造した。この合金はβ変態点が990℃
であり、A合金よりも90℃高くなっている。
2%, 残部;Ti(以上重量%) からなるα+β型チタン合金
( 以下B合金と呼ぶ) のインゴットから同様の熱間押出
用ビレットを製造した。この合金はβ変態点が990℃
であり、A合金よりも90℃高くなっている。
【0024】これら2種類の合金のT型及び管の熱間押
出成形を行なった。押出比RはT型の場合14を中心に
一部10、18とし、管の場合10を中心に一部8、1
4とした。これら押出材の長手方向中央、肉厚中心部よ
り丸棒引張試験片(平行部φ6×30mm)および、シ
ャルピー衝撃試験片(2mmV切欠き試験片)を採取
し、引張特性及び靭性を調べた。
出成形を行なった。押出比RはT型の場合14を中心に
一部10、18とし、管の場合10を中心に一部8、1
4とした。これら押出材の長手方向中央、肉厚中心部よ
り丸棒引張試験片(平行部φ6×30mm)および、シ
ャルピー衝撃試験片(2mmV切欠き試験片)を採取
し、引張特性及び靭性を調べた。
【0025】押出条件と押出材の機械的特性を表1〜表
4に示す。表1はA合金のT型押出材、表2はA合金の
管押出材、表3はB合金のT型押出材、表4はB合金の
管押出材である。
4に示す。表1はA合金のT型押出材、表2はA合金の
管押出材、表3はB合金のT型押出材、表4はB合金の
管押出材である。
【0026】加熱温度が式(1)で規定される下限温度
TL(表中に記載)より低い温度域で、押出成形したも
のは、押出負荷が大きく押出不能であったり、工具の耐
圧を越えるような高負荷となっている。また、押出比が
低目で下限温度TLが高くなったため加熱温度が不足と
なった場合は、β粒と等軸α+β粒の混在した金属組織
となっている。これらの場合の機械的特性は、いずれも
シャルピー衝撃値が低くなっている。
TL(表中に記載)より低い温度域で、押出成形したも
のは、押出負荷が大きく押出不能であったり、工具の耐
圧を越えるような高負荷となっている。また、押出比が
低目で下限温度TLが高くなったため加熱温度が不足と
なった場合は、β粒と等軸α+β粒の混在した金属組織
となっている。これらの場合の機械的特性は、いずれも
シャルピー衝撃値が低くなっている。
【0027】一方、β変態点を越える温度域に加熱した
ものは、再結晶β粒の成長が著しく粗大な旧β粒界から
生成した針状α粒となっているため、製品の伸び・絞り
等の延性が劣っている。また、その表面にはαケースに
起因する微細な割れが観察される場合がある。
ものは、再結晶β粒の成長が著しく粗大な旧β粒界から
生成した針状α粒となっているため、製品の伸び・絞り
等の延性が劣っている。また、その表面にはαケースに
起因する微細な割れが観察される場合がある。
【0028】これに対して、本発明の温度域に加熱して
押出成形したものは、製品の全長にわたって微細な再結
晶β粒から生成した針状α粒が得られ、優れた延性、靭
性を示している。
押出成形したものは、製品の全長にわたって微細な再結
晶β粒から生成した針状α粒が得られ、優れた延性、靭
性を示している。
【0029】なお、A合金は通常のTi-6Al-4V 系チタン
合金より変態点が90℃低いが、これは単に加熱温度を下
げるのみならず、押出成形の治具の寿命が伸びるという
効果もある。これは、900 〜990 ℃の間で治具の寿命が
大きく変化るからである。特に、複雑な押出成形の治具
の場合、Ti-6Al-4V 系チタン合金(変態点990 ℃)では
連続使用に耐えられないこともあり、そのような場合は
このB合金の使用が望ましい。
合金より変態点が90℃低いが、これは単に加熱温度を下
げるのみならず、押出成形の治具の寿命が伸びるという
効果もある。これは、900 〜990 ℃の間で治具の寿命が
大きく変化るからである。特に、複雑な押出成形の治具
の場合、Ti-6Al-4V 系チタン合金(変態点990 ℃)では
連続使用に耐えられないこともあり、そのような場合は
このB合金の使用が望ましい。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【表3】
【0033】
【表4】
【0034】図1は、A合金について、押出比・押出温
度と押出成形・製品の評価の関係を示した図である。図
2は、B合金について、押出比・押出温度と押出成形・
製品の評価の関係を示した図である。図中、○印と□印
は押出成形・製品の評価が良好だったもの、●印と■印
はこれらの評価が不良だったものを示す。図より、β変
態点未満でかつ式(1)で表される下限温度TL以上の
領域で、評価が良好(○、□)となっていることがわか
る。
度と押出成形・製品の評価の関係を示した図である。図
2は、B合金について、押出比・押出温度と押出成形・
製品の評価の関係を示した図である。図中、○印と□印
は押出成形・製品の評価が良好だったもの、●印と■印
はこれらの評価が不良だったものを示す。図より、β変
態点未満でかつ式(1)で表される下限温度TL以上の
領域で、評価が良好(○、□)となっていることがわか
る。
【0035】
【発明の効果】本発明により、押出中はβ単相となるた
め加工がβ組織で行われることになり、α+β2相域で
の押出成形よりも押出負荷が小さくなる。また、加工前
の組織が粗大化せずにすむため、再結晶β粒の成長も抑
えられ製品の組織が均一となり、強度、延性、靭性等の
機械的特性が、α+β2相域成形材と同等となる。
め加工がβ組織で行われることになり、α+β2相域で
の押出成形よりも押出負荷が小さくなる。また、加工前
の組織が粗大化せずにすむため、再結晶β粒の成長も抑
えられ製品の組織が均一となり、強度、延性、靭性等の
機械的特性が、α+β2相域成形材と同等となる。
【0036】更に、加熱温度がβ変態点未満で済むた
め、αケースの生成が少なく、良好な表面品質を有する
押出材が、製造できる。また、押出加工後の冷却の制御
や熱処理を要さずに製造できる。
め、αケースの生成が少なく、良好な表面品質を有する
押出材が、製造できる。また、押出加工後の冷却の制御
や熱処理を要さずに製造できる。
【図1】Ti-4.5Al-3V-2Mo-2Fe 系合金における押出比・
押出温度と押出成形・製品の評価の関係を示した図であ
る。
押出温度と押出成形・製品の評価の関係を示した図であ
る。
【図2】Ti-6Al-4V 系合金における押出比・押出温度と
押出成形・製品の評価の関係を示した図である。
押出成形・製品の評価の関係を示した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22F 1/18 B21C 23/00 B21C 19/00 C22C 14/00
Claims (3)
- 【請求項1】 α+β型チタン合金の押出成形におい
て、まず、ビレットを、β変態点温度未満、かつβ変態
点温度Tβと押出比Rにより下記の式で表される下限温
度TL以上の温度に加熱し、次いで、熱間押出成形を行
うことを特徴とするα+β型チタン合金押出材の製造方
法。 TL=Tβ−65+110/(R−5) - 【請求項2】 α+β二相域で50%以上の加工を行な
ったビレットを素材とすることを特徴とする請求項1の
α+β型チタン合金押出材の製造方法。 - 【請求項3】 前記α+β型チタン合金は、Al:3.0〜5.
0wt %、V:2.1 〜3.7wt %、Mo:0.85 〜3.15wt%、 O
(酸素):0.20wt %以下を含有し、更に、Fe,Ni,Coおよ
びCrのうち1種または2種以上を含有し、かつ、Fe(wt
%)+Ni(wt%)+Co(wt%)+0.9Cr(wt%)が0.85〜3.15wt%であ
ることを特徴とする請求項1および請求項2のα+β型
チタン合金押出材の製造方法。
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