JPH11207592A - シリンダボアの内面微細溝加工装置及び加工方法 - Google Patents

シリンダボアの内面微細溝加工装置及び加工方法

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JPH11207592A
JPH11207592A JP10026329A JP2632998A JPH11207592A JP H11207592 A JPH11207592 A JP H11207592A JP 10026329 A JP10026329 A JP 10026329A JP 2632998 A JP2632998 A JP 2632998A JP H11207592 A JPH11207592 A JP H11207592A
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浩 大関
Satoshi Shiotani
聡 塩谷
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  • Grinding And Polishing Of Tertiary Curved Surfaces And Surfaces With Complex Shapes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 エンジンのシリンダブロックの複数個のシリ
ンダボアの内面の所望の位置に、順次又は一度に所定の
溝深さの微細溝を高精度に、かつ効率的に加工でき、シ
リンダボアの内径が場所により相異していても所定の溝
深さの微細溝が加工でき、更に、加工時における加工状
態がモニタリングされ、スライシングブレードの摩擦,
破損等が検出されるシリンダボアの内面微細溝加工装置
及び加工方法を提供する。 【解決手段】 XYテーブル2上に載置されたシリンダ
ブロック9のシリンダボア10内の所定位置に支持軸4
に連結されたスライシングブレード5を挿入し、回転軸
支持機構部7及び支持軸移動機構部8を作動して位置合
わせし、所定の溝深さの微細溝を加工する。加工状態は
第1のセンサ18(AEセンサ)や第2のセンサ19に
より検出され、所定の溝深さの微細溝が自動的に形成さ
れると共に、スライシングブレード5の摩耗や破損等が
検出される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンのシリン
ダブロックのシリンダボアの内面に微細溝を高精度に、
かつ効率的に加工するに好適なシリンダボアの内面微細
溝加工装置及び加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】エンジンのシリンダブロックには気筒数
に対応して複数個のシリンダボアが形成されている。こ
のシリンダボアの内面はピストンリングが押圧状態で摺
動するため耐摩耗性を向上させる必要がある。そのた
め、従来よりシリンダボアの内面はホーニング加工さ
れ、表面粗さを低減してピストンリングとの摩擦抵抗を
軽減させるように処理されていた。しかしながら、エン
ジンの高性能化,高速化に伴って従来のホーニング加工
だけでは不十分となり、シリンダボアの内面に潤滑油を
保持するための微細溝を形成する必要が生じた。この微
細溝の加工方法として各種のものがあるが、従来におけ
る代表的な加工方法としてはプラトホーニングによるも
の及びレーザホーニングによるものが挙げられる。
【0003】プラトホーニングは、所定のホーニング加
工仕上げされたシリンダボアを粗めのホーニング砥石を
用いて加工し、まず、図12(a)に示すように内面に
深い溝を作る。次に、仕上げホーニング砥石を用いてシ
リンダボアの内面を円滑に仕上げ加工し、図12(b)
に示すように適宜深さの微細溝14aを形成するもので
ある。
【0004】一方、レーザホーニングは、所定のホーニ
ング加工仕上げされたシリンダボアの内面に、図13に
示すように数10[μm]のスポット径の微細溝14b
をレーザにより加工し、次に、仕上げホーニング砥石を
用いてシリンダボアの内面を円滑に仕上げ加工するもの
である。この加工方法は前記のプラトホーニングによる
微細溝14aに較べて形状の安定した微細溝14bを形
成し得る特徴を有する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記のプラトホーニン
グ及びレーザホーニングによる微細溝の加工方法はそれ
ぞれ特徴を有するものであるが、次のような問題点があ
る。プラトホーニングの場合は、粗めのホーニング砥石
と仕上げホーニング砥石等の専用の工具が必要となり工
具コストが高くなる問題点がある。また、シリンダボア
の入口側からの連続加工しか行われず、シリンダボアの
任意の場所に微細溝14aを加工することが困難であ
る。更に、粗めのホーニング砥石による深い溝加工をし
た後、砥石を取り換えて仕上げホーニング砥石による仕
上げ加工が必要となり、加工時間がかかる問題点があ
る。また、レーザホーニングによるものは、装置自体が
非常に高価であり、設備コスト高となるという問題点が
ある。
【0006】本発明は、以上の問題点を解決するもの
で、シリンダボアの内面の任意の位置に微細溝を高精度
に、かつ比較的短時間に加工することができると共に、
加工状態や工具摩擦等をインプロセスにモニタリングし
て切り込み量の制御を行い、所定の微細溝を加工するよ
うにしたシリンダボアの内面微細溝加工装置及び加工方
法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、以上の目的を
達成するために、シリンダブロックの複数個のシリンダ
ボアの内面に微細溝の溝幅にほぼ等しい刃厚のスライシ
ングブレードにより微細溝を加工するための加工装置で
あって、水平面に沿うX軸及びY軸方向に沿って移動自
在に形成され装置本体側に載置されるXYテーブルと、
垂直方向のZ軸方向に沿って前記装置本体上に立設され
るコラムと、円盤状の前記スライシングブレードを回転
自在に中心支持する支持軸と、前記コラム側にZ軸方向
及びX軸又はY軸方向に沿って移動自在に支持されZ軸
方向に沿う回転軸を枢支すると共に該回転軸の駆動機構
部を有する回転軸支持機構部と、前記回転軸を一端側に
連結し前記支持軸を前記回転軸に近接又はこれから離隔
すべくX軸又はY軸方向に沿って移動自在に支持すると
共に前記支持軸を回転駆動する駆動部を有する支持軸移
動機構部とを備え、前記スライシングブレードを回転さ
せながら前記回転軸を回転して前記スライシングブレー
ドを回転軸まわりに旋回せしめて前記微細溝を加工する
シリンダボアの内面微細溝加工装置を構成するものであ
る。
【0008】更に具体的に、前記装置本体には、前記ス
ライシングブレードと前記シリンダボアとの接触時に発
生する弾性波を検出する第1のセンサが設けられること
を特徴とし、前記スライシングブレード側又はシリンダ
ブロック側には、前記スライシングブレードと前記シリ
ンダボアとの間の間隔を検出する第2のセンサが設けら
れ、前記支持軸移動機構部は前記第2のセンサの検出信
号により位置制御されることを特徴とする。また、前記
スライシングブレードが、前記支持軸に複数枚装置され
ることを特徴とする。
【0009】また、本発明は、以上の目的を達成するた
めに、水平面に沿うX軸及びY軸方向に沿って移動自在
に形成され装置本体側に載置されるXYテーブルと、垂
直方向のZ軸方向に沿って前記装置本体上に立設される
コラムと、円盤状のスライシングブレードを回転自在に
中心支持する支持軸と、前記コラム側にZ軸方向及びX
軸又はY軸方向に沿って移動自在に支持されZ軸方向に
沿う回転軸を枢支すると共に該回転軸の駆動機構部を有
する回転軸支持機構部と、前記回転軸を一端側に連結し
前記支持軸を前記回転軸に近接又はこれから離隔すべく
X軸又はY軸方向に沿って移動自在に支持すると共に前
記支持軸を回転駆動する駆動部を有する支持軸移動機構
部と、前記スライシングブレードとシリンダボアとの接
触時に発生する弾性波を検出すべく前記装置本体側に配
設される第1のセンサと、前記スライシングブレードと
前記シリンダボアとの間の間隔を検出すべくスライシン
グブレード側又はシリンダブロック側に設けられその検
出信号によって前記支持軸移動機構部を位置制御する第
2のセンサとを備えるシリンダボアの内面微細溝加工装
置によりシリンダブロックの複数個の前記シリンダボア
内に微細溝をZ軸方向に沿って複数列加工するための加
工方法であって、シリンダブロックを前記XYテーブル
上に位置決め搭載する第1の手順と、それぞれの前記シ
リンダボアに対応する前記回転軸支持機構部を動作し前
記回転軸と前記シリンダボアとの中心位置決めを行う第
2の手順と、前記スライシングブレードを前記シリンダ
ボアの微細溝加工位置に移動すると共に第1のセンサに
よる検出信号の発する位置まで前記支持軸移動機構部を
作動する第3の手順と、前記支持軸移動機構部により前
記スライシングブレードを所定の微細溝の溝深さに相当
する位置まで移動する第4の手順と、前記回転軸を回転
し前記スライシングブレードを回転軸まわりに旋回させ
て微細溝加工を行う第5の手順と、該微細溝加工中にお
いて、前記第2のセンサにより検出した前記間隔を常時
一定値に保持すべく前記支持軸移動機構部の移動位置制
御を行う第6の手順と、前記スライシングブレードをZ
軸方向に移動し前記第3乃至第6の手順を繰り返す第7
の手順とを行うシリンダボアの内面微細溝加工方法を特
徴とするものである。
【0010】シリンダブロックをXYテーブル上に位置
決め搭載し、回転軸支持機構部を作動し、回転軸とシリ
ンダボアの中心合わせを行う。次に、支持軸移動機構部
を作動し、スライシングブレードをシリンダボアの内面
に接触する位置まで移動すると共に、回転軸支持機構部
を作動してスライシングブレードをZ軸方向に移動し、
微細溝を加工する位置にセットする。この状態は第1の
センサにより検出される。次に、回転軸支持機構部を作
動し、回転軸まわりに支持軸を旋回せしめ、支持軸移動
機構部をX軸又はY軸方向に移動せしめて所定の溝深さ
になるようにスライシングブレードをシリンダボアの内
面に切り込ませる。以上により、所定位置において微細
溝が加工される。シリンダボアの内面とスライシングブ
レード側との間の間隔に変化がある場合には、常に一定
深さの微細溝を加工すべく第2のセンサの検出信号によ
り支持軸移動機構部の位置制御を行う。所定位置におけ
る微細溝加工が終了したら、スライシングブレードをZ
軸方向に移動せしめ、前記と同様な加工方法により順
次、複数列の微細溝の溝加工を行う。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明のシリンダボアの内
面微細溝加工装置の実施の形態を図面を参照して詳述す
る。図1にシリンダボアの内面微細溝加工装置の全体概
要構造を示す。シリンダボアの内面微細溝加工装置1
は、大別してXYテーブル2と、コラム3と、スライシ
ングブレード5を支持する支持軸4と、回転軸6を枢支
する回転軸支持機構部7と、支持軸移動機構部8等とか
らなる。以下、これ等の構造を順次説明する。
【0012】装置本体のベッド11上にはXYテーブル
2が載置される。XYテーブル2は、ベッド11上にY
軸方向に沿って移動自在に支持されるYテーブル12
と、Yテーブル12上にX軸方向に沿って移動自在に支
持されるXテーブル13とからなる。シリンダブロック
9(以下、ワーク9という)は位置決め手段14(図
2)等を介してXテーブル13上の所定位置に固定され
る。ワーク9にはシリンダボア10が形成される。な
お、本例ではワーク9に2個のシリンダボア10が穿孔
されているが、勿論シリンダボア10の数は2個に限ら
ない。なお、2個のシリンダボア10,10のボアピッ
チをP(図3)とする。以上の構造により、ワーク9の
シリンダボア10はベッド11に対しXY方向の任意の
位置に位置決め固定される。なお、X軸及びY軸により
形成されるXY平面が水平面に相当する。また、説明の
都合上、シリンダボア10の内径寸法をDとする。
【0013】図1に示すように、コラム3はベッド11
上にZ軸方向に沿って立設して載置される。なお、Z軸
は前記XY軸と直交する垂直軸に相当する。また、コラ
ム3にはZ軸方向に沿うガイド21が設けられている。
【0014】図1,図3,図7,図9等に示すように、
支持軸4はZ軸方向に沿って配設される円筒軸からな
り、その下端にはスライシングブレード5が回転可能に
ブレード挟持手段22等を介して固定される。なお、ス
ライシングブレード5は薄肉の円盤体からなり、外径に
切刃(図略)が形成される。スライシングブレード5の
切刃の刃厚は微細溝20(図7)の溝幅にほぼ等しいも
のからなる。また、その外径寸法を説明の都合上d(図
4)とする。
【0015】コラム3にはスライドブロック15がガイ
ド21に案内され、Z軸方向に沿って移動自在に支持さ
れる。また、スライドブロック15には回転軸支持機構
部7がスライドブロック15にU軸(図1)方向に沿っ
て形成されたガイド23に沿ってU軸方向に移動自在に
支持される。なお、本例では、シリンダボア10が2個
形成されているため、これに対応して回転軸支持機構部
7は2セット配設される。また、本例ではU軸はX軸と
同一方向のものからなるが、U軸はY軸と同一方向でも
よい。
【0016】回転軸支持機構部7は、スライドブロック
15に移動自在に支持される箱本体16と、箱本体16
に枢支されZ軸方向に沿って配設される回転軸6と、箱
本体16内に収納され回転軸6を回転駆動する駆動機構
部(図略)等とから形成される。
【0017】支持軸移動機構部8はブロック体17と、
ブロック体17内に収納され、ブロック体17側に保持
される支持軸4をXt方向(図1)に沿って移動させる
ための移動機構部(図略)や支持軸4を回転駆動する駆
動部(図略)等を有するものからなり、ブロック体17
の一端側には回転軸6が固定される。なお、本例ではX
t方向はX方向と同一であるがY方向と同一であっても
よい。
【0018】以上の構造のシリンダボアの内面微細溝加
工装置により、ワーク9のシリンダボア10に微細溝2
0(図7)を加工する加工方法を説明する。なお、微細
溝20の加工は以下に述べる第1のセンサ18や第2の
センサ19がなくても可能であるが、高精度の微細溝2
0を自動的に、かつシリンダボア10の内径寸法Dにバ
ラツキや偏径があっても所定の深さの微細溝20を加工
するためには第1のセンサ18や第2のセンサ19が必
要である。そのため、以下の加工方法の説明では第1及
び第2のセンサ18,19を備えたシリンダボアの内面
微細溝加工装置における微細溝20の加工方法について
説明する。それに先立って第1のセンサ18及び第2の
センサ19を説明する。
【0019】第1のセンサ18は、スライシングブレー
ド5の外周がシリンダボア10の内面に接触した瞬間を
検出するセンサであり、本例では第1のセンサ18とし
てAE(Acoustic−Emission)センサ
が採用されるが、勿論これに限定するものではない。A
Eとは、工具やワーク等の固体の変形及び破壊等に伴っ
て解放されるエネルギーが弾性波(AE波)として伝播
する現象をいい、前記AEセンサはこの弾性波を検出す
るセンサである。具体的に説明すると、スライシングブ
レード5がシリンダボア10の内面に接触するとAE波
が発生するが、前記AEセンサはこの接触瞬間を検出す
るセンサとして使用される。勿論、AEセンサ波は加工
中にも生じ、かつスライシングブレード5の破損時にも
発生する。従って、前記AEセンサを設けることによ
り、その波形からスライシングブレード5とシリンダボ
ア10との接触や正常切削加工の状態やスライシングブ
レード5の破壊状態を検出することができる。なお、本
例では検出精度を考慮して前記AEセンサは図1に示す
ように回転軸支持機構部7の箱本体16に装着されてい
るが、AE波を検出できるならば装置本体の他のいずれ
の場所でも構わない。
【0020】第2のセンサ19は、シリンダボア10の
内面とスライシングブレード5の切刃の先端との関係位
置を検出するものであるが、本例では支持軸4の外周に
固着される。スライシングブレード5と支持軸4との関
係位置は固定されており、支持軸4の外周とスライシン
グブレード5の外周との寸法関係も既知のため、支持軸
4に第2のセンサ19を固定して支持軸4の外周とシリ
ンダボア10の内面との間隔h(図7)を検出すること
によりシリンダボア10の内面とスライシングブレード
5との関係寸法を検出することが可能である。勿論、第
2のセンサ19は支持軸4以外の所に装着してもよい。
第2のセンサ19としては接触式や非接触式の各種のセ
ンサが適用される。接触式としては、例えば、接触式タ
ッチセンサが挙げられ、非接触式としては、非接触高精
度レーザ変位計等が挙げられる。なお、これ等はすべて
公知技術であり、説明を省略する。
【0021】次に、第1のセンサ18や第2のセンサ1
9を用いた本発明のシリンダボアの内面微細溝加工装置
によるシリンダボア10の微細溝20の加工方法を図1
0のフローチャート及び図1乃至図9を用いて説明す
る。図2に示すようにワーク9をXYテーブル2上に搭
載し、位置決め手段14を用いて所定位置に位置決め固
定する(ステップ100)。次に、2個のシリンダボア
10,10のそれぞれに対応する回転軸支持機構部7の
箱本体16,16をスライドブロック15に沿ってU軸
方向に移動させ、図3に示すように、その回転軸6,6
をワーク9のそれぞれのシリンダボア10の中心に位置
決めする(ステップ101)。図3ではシリンダボア1
0,10間のボアピッチがPで表示されているが、この
Pの値が変化しても箱本体16,16はそれぞれ独立に
スライドブロック15に支持されているため、シリンダ
ボア10の中心に回転軸6,6を正確に中心位置決めす
ることは容易にできる。
【0022】次に、支持軸移動機構部8を作動し、支持
軸4,4を回転軸6,6に近接する方向に移動せしめ、
支持軸4,4に連結されているスライシングブレード
5,5がシリンダボア10,10内に楽に挿入し得る位
置まで支持軸4,4を移動させる(ステップ102)。
図2はその状態を示す。次に、スライドブロック15を
コラム3のガイド21に案内させてZ軸方向に沿って下
降せしめ、スライシングブレード5,5をそれぞれシリ
ンダボア10,10内に挿入すると共に、スライシング
ブレード5,5の下降位置を調整して微細溝20,20
を加工すべき位置にセットする(ステップ103)。
【0023】次に、図2に示すように、支持軸移動機構
部8を作動し支持軸4,4を回転軸6,6から離隔する
Xt軸方向に沿って移動せしめ、スライシングブレード
5,5の外周をシリンダボア10,10の内面に接触さ
せる(ステップ104)。前記AEセンサはこの接触位
置を検出する。なお、この場合、支持軸4,4の外周と
シリンダボア10,10の内面との間の間隔hがシリン
ダボア10,10の全内周において同一の寸法になって
いるかを第2のセンサ19により確認し、回転軸6,6
の中心位置の再調整を行う(ステップ105)。
【0024】次に、図4に示すように、支持軸移動機構
部8を作動し、支持軸4,4をシリンダボア10,10
の内面に近接する方向に移動し、スライシングブレード
5,5の外周をシリンダボア10,10に喰い込ませる
(ステップ106)。勿論、この場合、支持軸4,4を
回転駆動することは必要である。次に、支持軸4を回転
しながら回転軸6を回転駆動することにより所定の溝深
さの微細溝20が加工される(ステップ108)。次
に、図4により、回転軸6,支持軸4等の関係位置と微
細溝20の加工方法をわかり易く説明する。図示のよう
に回転軸6は内径寸法Dのシリンダボア10の中心に位
置決めされる。微細溝20の溝深さをδとすると、回転
軸6から微細溝20の溝底までの寸法RはD/2+δと
なる。スライシングブレード5の外径がdが表示されて
いるため、支持軸4と回転軸6との間隔aはD/2+δ
−d/2=R−d/2となる。すなわち、支持軸4を回
転軸6からa寸法だけ離れた位置に移動して回転させ、
回転軸6を回転するとスライシングブレード5の外周は
寸法Rの旋回半径で回転軸6まわりに旋回し、シリンダ
ボア10には溝深さδの微細溝20が形成される。
【0025】以上のことは、図5に示すように、シリン
ダボア10の内面が、真円の場合において成立する。し
かしながら、図6に示すように、シリンダボア10の内
径が場所によって相異する場合は、前記した加工方法で
は溝深さの相異する加工が行われる。すなわち、場所に
より図示のように溝深さδが溝深さδ′のように相異す
る結果となる。溝深さが相異すると微細溝20内に溜る
潤滑油の量にバラツキが生じ、ピストンリングが偏摩耗
する不具合が生ずる。そこで、本発明のシリンダボアの
内面微細溝加工方法では第2のセンサ19等を用いた加
工方法が採用される。
【0026】図7に示すように、支持軸4に固着された
第2のセンサ19はシリンダボア10の内面との間隔h
を検出する(ステップ107)。この間隔hの値がシリ
ンダボア10の全内周にわたって一定ならば、そのまま
微細溝20の加工が進められる(ステップ108)。一
方、第2のセンサ19が検出した間隔hの値が所定の微
細溝20の溝深さδを形成できない値の場合には、第2
のセンサ19に連結されている制御装置24が支持軸移
動機構部8の位置制御を指令する(ステップ109)。
これにより、支持軸4の位置がその都度調整される(ス
テップ110)。以上の位置調整によりステップ108
の微細溝20の加工が行われる。図8はその状態を示す
ものである。
【0027】以上の加工方法により、シリンダボア10
には1本の微細溝20が所定位置に形成されるが、引き
続き次の微細溝20を加工する場合には(ステップ11
1)、図9に示すように、スライシングブレード5をZ
軸方向に移動せしめ(ステップ112)、前記した加工
手順を行うことにより同様に行われる。なお、スライシ
ングブレード5をZ軸方向に移動するには、本例の場合
はスライドブロック15をZ軸方向に移動して行うが、
その前に、支持軸4を回転軸6に近傍する方向に移動
し、加工済の微細溝20から離すことは勿論である。以
上により、シリンダボア10の内面には複数列の微細溝
20が順次形成される。
【0028】本発明のシリンダボアの内面微細溝加工装
置及び加工方法では、単にスライシングブレード5を所
定位置で自転及び旋回せしめることにより、微細溝20
を加工するため、従来技術に較べて加工が容易に行わ
れ、加工効率の向上が図れる。また、微細溝20の溝幅
や溝深さが正確に形成され、高精度の溝加工が行われ
る。また、前記したように、シリンダボア10の内面の
内径が場所によって相異する場合でも、スライシングブ
レード5の切り込み深さがその都度調整され、所望の一
定の深さの微細溝20が形成される。また、前記AEセ
ンサを配設するため、スライシングブレード5による加
工状態がモニタリングされ、その摩耗や破損等をタイム
リに検出することができる。
【0029】図11は、支持軸4に複数枚のスライシン
グブレード5を装着した場合を示す。これにより、シリ
ンダボア10の内面に複数列の微細溝20を同時に加工
することができ、加工時間の短縮が図れる。
【0030】
【発明の効果】1)本発明の請求項1に記載のシリンダ
ボアの内面微細溝加工装置によれば、シリンダボアの内
面に自動的に、かつ高精度に微細溝を加工することがで
きると共に、従来技術に較べて加工効率の向上が図れ
る。 2)本発明の請求項2に記載のシリンダボアの内面微細
溝加工装置によれば、AEセンサのような第1のセンサ
を装置に配設することにより、スライシングブレードの
接触位置の確認が正確に行われ、溝深さを所定の値に高
精度に形成することができる。また、加工時におけるス
ライシングブレードの摩擦や破損が検出され、加工状態
のモニタリングが行われる。 3)本発明の請求項3に記載のシリンダボアの内面微細
溝加工装置によれば、シリンダボアの内面の内径に相異
があっても、それに対応してスライシングブレードの位
置調整が自動的に行われ、一定の溝深さの微細溝を形成
することができる。 4)本発明の請求項4に記載のシリンダボアの内面微細
溝加工装置によれば、スライシングブレードを複数枚装
着することにより、シリンダボアの内面に複数列の微細
溝が同時に形成され、溝加工時間の短縮が図れる。 5)本発明の請求項5に記載のシリンダボアの内面微細
溝加工方法によれば、加工状態をモニタリングしなが
ら、シリンダボアの内面の内径の相異に関係なく、所定
の寸法の微細溝を高精度に、かつ自動的に加工すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシリンダボアの内面微細溝加工装置の
概要構造を示す斜視図。
【図2】XYテーブル上に載置されたシリンダブロック
と、これに係合するスライシングブレードを示す模式
図。
【図3】回転軸支持機構部の回転軸とシリンダボアとの
位置合わせ状態を説明するための模式図。
【図4】回転軸,支持軸,スライシングブレードとシリ
ンダボアとの関係位置をわかり易く説明するための模式
図。
【図5】シリンダボアの内面の内径が一定の場合におけ
る微細溝の溝深さの状態を示す平面図。
【図6】シリンダボアの内面の内径が場所により相異す
る場合における微細溝の溝深さの状態を示す平面図。
【図7】第2のセンサによる検出方法とそれによるスラ
イシングブレードの位置調整を説明するための構成図。
【図8】シリンダボアの内面の内径が場所により相異す
る場合においてスライシングブレードの位置調整を行っ
た場合の微細溝の溝深さの状態を示す平面図。
【図9】本発明のシリンダボアの内面微細溝加工装置に
よる複数列の微細溝の加工方法を説明するための模式
図。
【図10】本発明のシリンダボアの内面微細溝加工方法
を説明するためのフローチャート。
【図11】1本の支持軸に複数枚のスライシングブレー
ドを装着した場合を示す模式図。
【図12】従来のプラトホーニングによる微細溝の形成
状態を説明するための部分拡大図。
【図13】従来のレーザホーニングによる微細溝の形成
状態を説明するための部分拡大図。
【符号の説明】
1 シリンダボアの内面微細溝加工装置 2 XYテーブル 3 コラム 4 支持軸 5 スライシングブレード 6 回転軸 7 回転軸支持機構部 8 支持軸移動機構部 9 シリンダブロック(ワーク) 10 シリンダボア 11 ベッド 12 Yテーブル 13 Xテーブル 14 位置決め手段 15 スライドブロック 16 箱本体 17 ブロック体 18 第1のセンサ(AEセンサ) 19 第2のセンサ 20 微細溝 21 ガイド 22 ブレード挟持手段 23 ガイド 24 制御装置

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリンダブロックの複数個のシリンダボ
    アの内面に微細溝の溝幅にほぼ等しい刃厚のスライシン
    グブレードにより微細溝を加工するための加工装置であ
    って、水平面に沿うX軸及びY軸方向に沿って移動自在
    に形成され装置本体側に載置されるXYテーブルと、垂
    直方向のZ軸方向に沿って前記装置本体上に立設される
    コラムと、円盤状の前記スライシングブレードを回転自
    在に中心支持する支持軸と、前記コラム側にZ軸方向及
    びX軸又はY軸方向に沿って移動自在に支持されZ軸方
    向に沿う回転軸を枢支すると共に該回転軸の駆動機構部
    を有する回転軸支持機構部と、前記回転軸を一端側に連
    結し前記支持軸を前記回転軸に近接又はこれから離隔す
    べくX軸又はY軸方向に沿って移動自在に支持すると共
    に前記支持軸を回転駆動する駆動部を有する支持軸移動
    機構部とを備え、前記スライシングブレードを回転させ
    ながら前記回転軸を回転して前記スライシングブレード
    を回転軸まわりに旋回せしめて前記微細溝を加工するこ
    とを特徴とするシリンダボアの内面微細溝加工装置。
  2. 【請求項2】 前記装置本体には、前記スライシングブ
    レードと前記シリンダボアとの接触時に発生する弾性波
    を検出する第1のセンサが設けられるものである請求項
    1に記載のシリンダボアの内面微細溝加工装置。
  3. 【請求項3】 前記スライシングブレード側又はシリン
    ダブロック側には、前記スライシングブレードと前記シ
    リンダボアとの間の間隔を検出する第2のセンサが設け
    られ、前記支持軸移動機構部は前記第2のセンサの検出
    信号により位置制御されるものである請求項1に記載の
    シリンダボアの内面微細溝加工装置。
  4. 【請求項4】 前記スライシングブレードが、前記支持
    軸に複数枚装置されるものである請求項1に記載のシリ
    ンダボアの内面微細溝加工装置。
  5. 【請求項5】 水平面に沿うX軸及びY軸方向に沿って
    移動自在に形成され装置本体側に載置されるXYテーブ
    ルと、垂直方向のZ軸方向に沿って前記装置本体上に立
    設されるコラムと、円盤状のスライシングブレードを回
    転自在に中心支持する支持軸と、前記コラム側にZ軸方
    向及びX軸又はY軸方向に沿って移動自在に支持されZ
    軸方向に沿う回転軸を枢支すると共に該回転軸の駆動機
    構部を有する回転軸支持機構部と、前記回転軸を一端側
    に連結し前記支持軸を前記回転軸に近接又はこれから離
    隔すべくX軸又はY軸方向に沿って移動自在に支持する
    と共に前記支持軸を回転駆動する駆動部を有する支持軸
    移動機構部と、前記スライシングブレードとシリンダボ
    アとの接触時に発生する弾性波を検出すべく前記装置本
    体側に配設される第1のセンサと、前記スライシングブ
    レードと前記シリンダボアとの間の間隔を検出すべくス
    ライシングブレード側又はシリンダブロック側に設けら
    れその検出信号によって前記支持軸移動機構部を位置制
    御する第2のセンサとを備えるシリンダボアの内面微細
    溝加工装置によりシリンダブロックの複数個の前記シリ
    ンダボア内に微細溝をZ軸方向に沿って複数列加工する
    ための加工方法であって、シリンダブロックを前記XY
    テーブル上に位置決め搭載する第1の手順と、それぞれ
    の前記シリンダボアに対応する前記回転軸支持機構部を
    動作し前記回転軸と前記シリンダボアとの中心位置決め
    を行う第2の手順と、前記スライシングブレードを前記
    シリンダボアの微細溝加工位置に移動すると共に第1の
    センサによる検出信号の発する位置まで前記支持軸移動
    機構部を作動する第3の手順と、前記支持軸移動機構部
    により前記スライシングブレードを所定の微細溝の溝深
    さに相当する位置まで移動する第4の手順と、前記回転
    軸を回転し前記スライシングブレードを回転軸まわりに
    旋回させて微細溝加工を行う第5の手順と、該微細溝加
    工中において、前記第2のセンサにより検出した前記間
    隔を常時一定値に保持すべく前記支持軸移動機構部の移
    動位置制御を行う第6の手順と、前記スライシングブレ
    ードをZ軸方向に移動し前記第3乃至第6の手順を繰り
    返す第7の手順とを行うことを特徴とするシリンダボア
    の内面微細溝加工方法。
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