JPH11199763A - ポリエステル樹脂組成物およびそれからなる成形品 - Google Patents

ポリエステル樹脂組成物およびそれからなる成形品

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JPH11199763A
JPH11199763A JP317998A JP317998A JPH11199763A JP H11199763 A JPH11199763 A JP H11199763A JP 317998 A JP317998 A JP 317998A JP 317998 A JP317998 A JP 317998A JP H11199763 A JPH11199763 A JP H11199763A
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JP
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polyester resin
polyester
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acid
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JP317998A
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Tomohiro Oishi
朋広 大石
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Teijin Ltd
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Teijin Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリエステル樹脂の優れた機械的特性を損な
うことなく、優れた静音性及び制振性を有するポリエス
テル樹脂組成物を得る。 【解決手段】(A)ポリエステル樹脂50重量部、
(B)ガラス短繊維10〜50重量部、(C)平均粒径
が0.3〜10μmであるチタン酸バリウム粉末を10
〜100重量部及び(D)ガラスフレークス10〜10
0重量部からなるポリエステル樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、静音性及び制振性
に優れる樹脂組成物及びそれからなる樹脂成形品に関す
る。さらに詳しくは、(A)ポリエステル樹脂に、
(B)ガラス短繊維、(C)チタン酸バリウム、(D)
ガラスフレークスを配合してなり、機械的特性、表面性
及び外観を損ねることなく、静音性及び制振性を兼ね備
えた樹脂組成物及びそれからなる樹脂成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】各種成形材料用に使用されるポリエステ
ル樹脂としては、優れた耐熱性および機械的特性を有す
ることから、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレ
ンテレフタレートに代表されるポリエステルが広く用い
られている。近年、自動車等の交通機関、騒音源を持つ
産業機器、或いは一般家電製品など騒音源となるものが
身近な生活環境に存在しており、騒音や振動の問題が公
害としても社会問題化している。このような背景から、
これらの騒音や振動を軽減すべく、静音化するために騒
音源となる機器や部品を構成する成形材料の静音化技術
が要請されている。
【0003】しかし、ポリエチレンテレフタレートやポ
リブチレンテレフタレートに代表されるポリエステル樹
脂は、耐熱性および機械的特性には優れているものの、
騒音源を有する構造材料やハウジング類またはリレー部
品等の電気電子部品、モーターケース等に使用した場
合、静音性、振動減衰特性は必ずしも十分とはいえなか
った。
【0004】熱可塑性樹脂に静音性、振動減衰特性を付
与する方法として、例えば特開平3−263457号公
報には、ポリエステル樹脂に扁平断面を有する繊維状強
化材を配合するとともに弾性体を配合し制振性を高める
方法が開示されている。しかしこの方法では弾性体の配
合により剛性低下が著しく、実用には弾性体配合量を増
加することが困難であり、そのため制振効果は低いもの
であった。また、特開平6−73276号公報には、熱
可塑性樹脂にポリオルガノシロキサン系グラフト共重合
体に繊維強化材及び板状強化材を組み合わせることによ
り制振性を付与する技術が開示されている。しかし、こ
の技術においても、組成物の耐熱性、剛性を満足するレ
ベルを確保すると若干振動減衰性は向上するものの顕著
な効果が得られていない。さらに、特開平8−2773
42号公報では、熱可塑性樹脂に鱗片状黒鉛及び繊維状
強化材を組み合わせて組成物の固有減衰能を向上させる
技術が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、成形
用材料として射出成形及び熱成形が可能であり、ポリエ
ステル樹脂の優れた機械的特性を損なうことなく、優れ
た静音性及び制振性を有する静音化ポリエステル樹脂組
成物を得ることである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するため鋭意検討した結果、ガラス短繊維で強
化したポリエステル樹脂に、ガラスフィラー及び特定の
平均粒径のチタン酸バリウム粉末を配合することによ
り、機械的特性を損なうことなく、優れた静音性及び制
振性を有するポリエステル樹脂組成物を得ることを見出
し、本発明に到達した。
【0007】すなわち、本発明は、(A)ポリエステル
樹脂50重量部、(B)ガラス短繊維10〜50重量
部、(C)平均粒径が0.3〜10μmであるチタン酸
バリウム粉末を10〜100重量部及び(D)ガラスフ
レークス10〜100重量部からなるポリエステル樹脂
組成物およびそれからなる成形品である。
【0008】以下、本発明を詳細に説明する。本発明で
用いられる(A)ポリエステル樹脂はジカルボン酸成分
及びジオール成分からなる。ジカルボン酸成分として
は、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、メチルテ
レフタル酸、メチルイソフタル酸等のアルキル置換フタ
ル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸が単独または混
合物として用いられる。これらの成分の他に、ジカルボ
ン酸成分として少量のアジピン酸、セバシン酸、デカン
ジカルボン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、
シクロヘキサンジカルボン酸等の脂肪族または脂環族ジ
カルボン酸が用いられてもよく、これら少量用いられる
成分は全ジカルボン酸成分に対して例えば30モル%以
下、好ましくは20モル%以下である。
【0009】ジオール成分としては、エチレングリコー
ル、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、ヘキサメチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール等の脂肪族ジオールが単独
または混合物として用いられる。これらの成分の他に、
1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオー
ルが少量用いられてもよい。これら少量用いられる成分
は全ジオール成分に対して例えば30モル%以下、好ま
しくは20モル%以下である。
【0010】これらのポリエステル樹脂のうちポリブチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートをハ
ードセグメントとするポリエステルエラストマー、ポリ
ブチレンナフタレンジカルボキシレート、ポリエチレン
テレフタレート、ポリシクロヘキサンジメタノールテレ
フタレート等が例示される。これらは、ホモポリマーで
あってもよく、共重合ポリマーであってもよい。これら
は単独で用いられてもよく、混紡物として用いられても
よい。
【0011】これらのポリエステル樹脂のうち特に好ま
しいものは、 ア.ポリブチレンテレフタレート90〜20重量部
(ア)、並びに イ.芳香族ジカルボン酸を酸成分とし炭素数2〜4のジ
オールをジオール成分としてなり結晶性を有するポリエ
ステルであるハードセグメント(イ−1)10〜70重
量%、及び芳香族ジカルボン酸及び/又は脂肪族ジカル
ボン酸を酸成分、炭素数5〜15の脂肪族ジオール及び
/又はポリオキシアルキレングリコールをジオール成分
としてなり100℃以下の融点又は非晶性であるポリエ
ステルであるソフトセグメント(イ−2)30〜90重
量%からなるポリエステルブロック共重合体10〜80
重量部(イ)からなるポリエステル樹脂組成物である請
求項1に記載のポリエステル樹脂組成物である。
【0012】ここで、ポリブチレンテレフタレート
(ア)は、その酸成分がテレフタル酸であり、ジオール
成分がテトラメチレングリコールよりなるポリエステル
である。
【0013】このポリブチレンテレフタレート(以下、
PBTと略称することがある)は一部を共重合成分で置
換したものでもよい。その場合、テレフタル酸、テトラ
メチレングリコールがそれぞれ全酸成分、全グリコール
成分に対して80モル%以上存在することが必要であ
る。
【0014】共重合可能な成分としては、イソフタル
酸、フタル酸、メチルテレフタル酸、メチルイソフタル
酸等のフタル酸誘導体、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタ
レンジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸およびそ
の誘導体、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、3,
4’−ジフェニルジカルボン酸等のジフェニルカルボン
酸およびその誘導体、4,4’−ジフェノキシメタンジ
カルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン
酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸、4,
4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、4,4’−ジ
フェニルエーテルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン
酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、アゼライン
酸、デカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸
等の脂肪族または脂環族ジカルボン酸、エチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコー
ル、オクタメチレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、
ポリプロピレングリコール等の脂肪族ジオール、1,4
−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族ジオール、ハ
イドロキノン、レゾルシン等のジヒドロキシベンゼンお
よびその誘導体、4,4’−ジヒドロキシジフェニル等
の芳香族ジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルホン等のビスフェノール化合物、ビスフェノー
ル化合物とエチレングリコール等のグリコールとから得
られるエーテルジオール等の芳香族ジオール等があげら
れる。
【0015】またオキシ安息香酸、ヒドロキシナフトエ
酸、ヒドロキシジフェニルカルボン酸、ω−ヒドロキシ
カプロン酸等のオキシカルボン酸成分も共重合可能であ
る。
【0016】更に、ポリエステルが実質的に成形性等を
失わない範囲で3官能以上の化合物、例えばグリセリ
ン、ペンタエリスリトール、トリメリット酸、ピロメリ
ット酸等を共重合してもよい。
【0017】本発明に用いられるPBTの極限粘度数
は、o−クロロフェノールを用い35℃で測定したと
き、0.5以上のものを用いることができるが、0.6
〜1.2の極限粘度数を持つものが好ましい。極限粘度
数が0.6より小さいと得られる樹脂組成物の機械特性
が劣り、また1.2より大きいと樹脂組成物の成形時の
流動性が劣る。
【0018】本発明に用いられるPBTは通常のポリエ
ステルの製造方法、例えば溶融重縮合反応またはこれと
固相重縮合反応とを組み合わせた方法等によって製造で
きる。例えば、テレフタル酸またはそのエステル形成性
誘導体(例えばジメチルエステル、モノメチルエステル
等の低級アルキルエステル)とテトラメチレングリコー
ルまたはそのエステル形成性誘導体とを触媒の存在下、
加熱反応させ、得られるテレフタル酸のグリコールエス
テルを触媒の存在下、所定の重合度まで重合反応させる
方法によってPBTを製造することができる。
【0019】また、ポリエステルブロック共重合体
(イ)はハードセグメント(イ−1)及びソフトセグメ
ント(イ−2)からなる。各セグメントは下記の通りと
することが望ましい。すなわち、 [ハードセグメント(イ−1)]ハードセグメント(イ
−1)は芳香族ジカルボン酸を酸成分、炭素数2〜4の
ジオールをジオール成分としてなり結晶性を有するポリ
エステルである。ハードセグメントを構成する芳香族ジ
カルボン酸としてテレフタル酸、2,6−ナフタレンジ
カルボン酸等のナフタレンジカルボン酸が好ましく、特
にテレフタル酸が好ましい。ハードセグメント(イ−
1)としてテトラメチレンテレフタレートが特に好まし
い。
【0020】[ソフトセグメント(イ−2)]ソフトセ
グメント(イ−2)は芳香族ジカルボン酸及び/又は脂
肪族ジカルボン酸を酸成分、炭素数5〜15のジオール
及び/又はポリオキシアルキレングリコールをジオール
成分としてなり、100℃以下の融点又は非晶性である
ポリエステルである。芳香族ジカルボン酸が全酸成分に
対し60モル%以上であるポリエステルが好ましく使用
される。グリコール成分としては、炭素数5〜15のジ
オールは好ましくは炭素数5〜15の脂肪族ジオールで
あり、ヘキサメチレングリコール、デカメチレングリコ
ール、3−メチルペンタンジオール、2−メチルオクタ
メチレンジオール等があげられる。
【0021】炭素数5〜15の脂肪族ジオールには炭素
鎖中にエーテル基を含む脂肪族ジオールもあり、このよ
うなジオールとして好ましくは分子式HO(CH2CH2
O)iH(i=2〜5)、分子式HO(CH2CH2CH2
CH2O)iH(i=2〜3)で表わされるジオールであ
り、更に好ましくは分子式HO(CH2CH2O)i
(i=2〜5)、特に好ましくはトリエチレングリコー
ルである。
【0022】また、ソフトセグメント(イ−2)は、上
記の芳香族ジカルボン酸とグリコールからなるポリエス
テルであるが、上記以外に例えば脂肪族、脂環族などの
ジカルボン酸や、芳香族、脂肪族などのジオールが共重
合されていてもよい。このソフトセグメント(イ−2)
を構成する成分からなるポリエステルは、融点が100
℃未満または非晶であり、好ましくは融点が50℃未満
または非晶である。融点が100℃以上の如き高融点の
場合、静音性への寄与が少なくなる。
【0023】このハードセグメント(イ−1)とソフト
セグメント(イ−2)との比率は、通常80/20〜3
0/70(重量比)が使用される。ハードセグメント
(イ−1)の比率をこの範囲以上に高くすると機械的強
度は向上するが静音性は低下する。一方、ソフトセグメ
ント(イ−2)の比率をこの範囲以上に高くすると静音
性は向上するが、機械的強度、特に剛性、高温耐熱性が
低下する。このようなバランスからハードセグメント
(イ−1)とソフトセグメント(イ−2)との比率は8
0/20〜50/50とするのが特に好ましい。
【0024】(イ)ブロックポリエステル共重合体はハ
ードセグメント(イ−1)とソフトセグメント(イ−
2)からなるが、このブロックポリエステルは例えば次
のように製造される。ソフトセグメント(イ−2)に相
当する高分子量のポリエステルとを、溶融反応させ、融
点がハードセグメント(イ−1)に相当する高分子量ポ
リエステルの融点より2〜40℃低いものとすることに
より製造できる。勿論これ以外の製造法によって製造さ
れたものであってもよい。このブロックポリエステルは
通常オルソクロロフェノール中で35℃で測定した固有
粘度が、0.6以上、好ましくは0.8以上である。
【0025】本発明において、(A)ポリエステル樹脂
は、(ア)ポリブチレンテレフタレートと(イ)ブロッ
クポリエステル共重合体の混合物であることが好まし
く、好ましい混合比率は(ア)90〜20重量%及び
(イ)10〜80重量%である。(イ)ブロックポリエ
ステル共重合体の割合が10重量%より小さいと静音性
向上の効果が少なく、また80重量%より大きいとポリ
ブチレンテレフタレートのもつ耐熱性が失われてくるた
め好ましくない。
【0026】本発明において用いられる(B)ガラス短
繊維は、組成物又は成形品の状態で繊維直径が3〜20
μmかつ繊維長/繊維直径の比が1〜50のガラス短繊
維であり、好ましくは繊維長/繊維直径の比が3〜3
0、特に好ましくは5〜20の範囲にあるものである。
ガラス短繊維の繊維直径が3μmより小さいと一般に組
成物の機械的特性は向上する方向であるが、ガラス短繊
維の分散不良を起こしやすくなり、またガラス短繊維の
製造コストも上がり、経済的にも好ましくない。一方、
20μmより大きいと機械的特性は著しく低下し好まし
くない。ガラス短繊維の繊維長/繊維直径の比が1より
小さいと、ガラス短繊維による補強効果が小さくなり、
繊維長/繊維直径の比が50より大きいと、補強効果は
大きくなるが、組成物の流動性が低下し、成形性や表面
外観が劣る傾向にあり、好ましくない。
【0027】またガラス短繊維は集束剤(例えばポリ酢
酸ビニル、ポリエステル集束剤等)、カップリング剤
(例えばシラン化合物、ボロン化合物、チタン化合物
等)、その他の表面処理剤で処理されていてもよい。
【0028】ガラス短繊維の配合量は、(A)ポリエス
テル樹脂50重量部に対し、10〜50重量部である。
好ましくは、20〜30重量部である。この配合量が1
0重量部より少ないところでは成形品の機械的強度や耐
熱性の向上効果が十分でない。また、50重量部を越え
る場合には、組成物の溶融状態における流動性が著しく
劣ってくるため外観の良好な成形品を得ることができ
ず、また強度的にも飽和に達してくるため好ましくな
い。
【0029】本発明において用いられる(C)チタン酸
バリウムは、組成物又は成形品の状態で平均粒径が0.
3〜10μm、好ましくは0.5〜5μm、特に好まし
くは0.7〜2μmの範囲にある粉末状のものである。
チタン酸バリウムの平均粒径が0.3μmより小さいと
組成物の分散不良を起こし、平均粒径が10μmより大
きくなると組成物中でチタン酸バリウムの分散が悪くな
り、成形性、表面外観に劣り好ましくない。
【0030】チタン酸バリウムの製法は、従来より行わ
れている常法で特に限定はないが、一般に炭酸バリウム
と酸化チタンの等モル混合物を1200〜1300℃で
焼成して得られる方法を用いることができる。また、こ
れらチタン酸バリウム粉末を高温で焼成し、これを粉砕
して用いたり、チタン酸バリウム粉末を生成する際にマ
グネシウム化合物その他の添加物を加えたものなどを用
いてもよい。さらにチタン酸バリウム粉末の形状は球
状、柱状、薄片状、針状などであって、特に限定される
ものではない。またチタン酸バリウム粉末の平均粒径は
0.5〜10μmであることが好ましい。
【0031】チタン酸バリウムとして、例えば富士チタ
ン工業(株)社製の商品名「チタン酸バリウム・BT−
303」を例示することができる。
【0032】チタン酸バリウムの配合量は、(A)ポリ
エステル樹脂50重量部に対し、10〜100重量部で
ある。好ましくは、15〜50重量部で、さらに好まし
くは20〜30重量部である。この配合量が10重量部
以下であると、本発明の効果である成形品の静音性、振
動減衰特性が劣ってしまう。一方、100重量部以上と
なると、各成分を配合、混練りする押出工程で他成分と
の混ざりが悪くペレット化が困難である。
【0033】本発明において用いられる(D)ガラスフ
レークスは樹脂組成物又は成形品の状態で、好ましくは
平均厚みが1〜7μm、平均粒径が2〜1000μmの
ものであり、好ましくは平均粒径が5〜300μm、さ
らに好ましくは10〜100μmである。平均粒径が2
μm未満であると、組成物の分散不良を起こしやすく、
また、平均粒径が1000より大きいと外観不良を起こ
したり、機械的強度が低下するするので好ましくない。
【0034】本発明で用いられるガラスフレークスは、
組成物又は成形品の状態で上記の平均厚み、平均粒径を
満足するものであれば、一般の熱可塑性樹脂補強用に用
いられるものでよく特に限定はない。ガラスフレークス
は厚さ数μmのガラスの薄い膜を粉砕して得られる鱗片
状のもので、樹脂との相容性を向上すべく表面処理した
ガラスフレークスを使用することができる。
【0035】ガラスフレークスの配合量は、(A)ポリ
エステル樹脂50重量部に対し、10〜100重量部で
ある。好ましくは、15〜50重量部で、さらに好まし
くは20〜30重量部である。この配合量が10重量部
以下であると、本発明の効果である成形品の静音性、振
動減衰特性が劣ってしまう。一方、100重量部以上と
なると、各成分を配合、混練りする押出工程で他成分と
の混ざりが悪くペレット化が困難である。
【0036】本発明において、本発明の効果を損なわな
い範囲で、更に必要に応じて他の熱可塑性樹脂を配合す
ることができる。また、その目的に応じて所望の特性を
付与するため、一般に熱可塑性樹脂に添加される公知の
物質、例えば難燃剤、難燃助剤、その他の無機充填剤、
滑剤、酸化防止剤、各種安定剤、衝撃改良材、可塑剤、
離型剤、着色剤、結晶化促進剤等を配合することができ
る。
【0037】本発明のポリエステル樹脂組成物は公知の
方法で製造することができる。すなわち、(A)ポリエ
ステル樹脂(B)ガラス短繊維(C)チタン酸バリウム
(D)ガラスフレークスをブレンダーなどを用いて均一
混合した後、バンバリーミキサー、加熱ロールや単軸又
は多軸押し出し機等を用いて230〜360℃、好ましくは23
0〜290℃の温度で溶融混練する方法により製造すること
ができる。また、樹脂組成物の成分を予め予備混練して
おき、後に所定の配合比に調節して混練する方法も可能
である。
【0038】本発明の樹脂組成物を製造するためには、
原料として下記の条件を満たす成分を配合するとよい。
【0039】すなわち、ガラス短繊維としては、繊維直
径が3〜20μmかつ繊維長/繊維直径の比が50〜1
000、好ましくは100〜500、特に好ましくは1
70〜300のガラス短繊維を配合する。
【0040】チタン酸バリウム粉末としては、平均粒径
が0.5〜20μm、好ましくは0.7〜10μm、特
に好ましくは1.0〜3.0μmのチタン酸バリウムを
配合する。
【0041】ガラスフレークスとしては、平均厚みが1
〜7μmかつ平均粒径が5〜2000μm、好ましくは
10〜500μm、特に好ましくは100〜200μm
のガラスフレークスを配合する。
【0042】このようにして得られたポリエステル樹脂
組成物から樹脂成形品を得るには、通常十分乾燥された
状態に保ったまま射出成形機等の成形機に供して成形す
る。更にまた、組成物の構成原料をドライブレンドして
直接成形機ホッパー内に投入し成形機中で溶融混練する
ことも可能である。
【0043】
【実施例】以下、実施例により本発明を詳述する。本発
明の組成物を構成する実施例および比較例に使用した原
材料及び物性の測定方法を以下に示す。
【0044】(1)ポリエステル樹脂 本発明の(A)成分中の(ア)成分としてo−クロロフ
ェノールを用い35℃で測定したときの極限粘度数が
0.72であるポリブチレンテレフタレート樹脂(帝人
(株)製)を使用した。
【0045】(イ)成分としてポリエステルブロック共
重合体を以下の通り得られたものを使用した。すなわ
ち、イソフタル酸ジメチル175部、セバシン酸ジメチ
ル23部、ヘキサメチレングリコール140部をジブチ
ル錫ジアセテート触媒でエステル交換反応後、減圧下に
重縮合して、固有粘度1.06、DSC法によって結晶
の融解に起因する吸熱ピークを有さない非晶性のポリエ
ステルを得た。このポリエステルに、別途同様に重縮合
して得た固有粘度0.98のポリブチレンテレフタレー
トのチップを乾燥して、107部添加し、240℃で更
に45分じ反応させたのち、フェニルスルホン酸を0.
1部添加して、反応を停止させた。このブロックポリエ
ステル共重合体を取り出チップ化して原料とした。この
チップの固有粘度は1.03であった。
【0046】(A)成分のポリエステル樹脂の(ア)と
(イ)の重量比は60:40で一定とした。
【0047】(B)ガラス短繊維 繊維直径13μm、繊維長3mmのガラス繊維チョップ
ドストランド(日本電気硝子(株)製)を使用した。
【0048】(C)チタン酸バリウム 平均粒径1.39μmのチタン酸バリウム(富士チタン
工業(株)製、品番BT−303)を使用した。
【0049】(D)ガラスフレークス 厚さ4±3μm、平均粒径140μmのガラスフレーク
ス(日本板硝子(株)製、品番REF−140)を使用
した。
【0050】(E)タルク 平均粒径8〜10μmのタルク(林化成(株)製、品番
PKNN)を使用した。
【0051】(F)酸化チタン 石原産業(株)製、品番CR−80を使用した。
【0052】(1)音圧及び振動特性 上記成形方法で、幅60mm、長さ100mm、厚み
1.5mmの板状成形品を得た。この成形品の左右上端
部に直径4mmの小穴を開け、そこをフックで通し成形
品を拘束されない状態でつり下げ固定した。一方、音圧
を測定するための騒音の発生方法は、長さ150mm、
直径1.5mmの振り子状の金属棒の先端にハンマー型
加速度センサー(PCB社製)を取り付け、この振り子
状金属棒を上記の成形品に向かって打振させ、音と振動
を発生させた。このとき、打振するときの振り子状金属
棒の先端ハンマーと成形品間の距離は70mmに設定し
た。また、打振位置からマイクまでの距離は50mmに
設定した。
【0053】音圧はリオン社精密騒音計NA−40で、
JIS−C1512のA特性で、発生音のピーク音圧を
測定した。これを繰り返し回数10回の平均値で音圧と
して求めた。
【0054】振動特性は音圧測定と同様の測定条件で、
成形品に平板吸着型の加速度センサー(PCB社製)を
貼り付けた。この状態で成形品を打振させ、このときの
振動を上記平板吸着型の加速度センサーで振動信号を得
て、増幅器(PCB社製、MODEL 480E09)で信号増幅
後、A/D変換を行い、パーソナルコンピューターでデ
ータ処理を行った。振動特性の数値は、打振直後から4
0m秒までの振幅の平均値(電圧値)を求め、これを繰
り返し回数10回の平均値を算出し、これを振動特性の
データとした。振動特性の値が小さいほど、振動減衰能
が高く、すなわち制振性に優れることになる。
【0055】なお、音圧及び振動特性の測定は、遮音箱
の中で行い、その環境音圧40dBであった。
【0056】(2)押出性 上述の二軸押出機で成形用ペレットを作成する工程で、
スレッド切れ、シュートアップ等の押し出し工程の不具
合が生じることがないかを判定した。
【0057】(3)曲げ弾性率 ASTM D648に準拠して測定した。
【0058】[実施例1、2及び比較例1〜10]上記
諸原材料を表に示す配合組成(重量%)で予め乾式混合
した後、スクリュー径各44mmのベント付き二軸押出
機を用いて真空に引きながらシリンダー温度260℃、
スクリュー回転数150rpm、吐出量50kg/hr
にて溶融混練し、ダイスから吐出するスレッドを冷却切
断して成形用ペレットを得た。
【0059】次いでこのペレットを乾燥後、射出容量5
オンスの射出成形機にてシリンダー温度260℃、金型
温度90℃、射出圧力80MPa、冷却時間12秒、お
よび全成形サイクル40秒の条件で各特性測定用の成形
品を成形した。
【0060】実施例1、2及び比較例1〜10の組成と
特性の一覧を表1に示す。
【0061】ガラス短繊維の繊維直径及び繊維長/繊維
直径の比、チタン酸バリウム粉末の平均粒径並びにガラ
スフレークスの平均厚み及び平均粒径を表2に示す。こ
れらの各数値は、上述実施例に示した方法で得た射出成
形品を電気炉にて600℃、3時間で焼成し、灰化物を
走査型電子顕微鏡(日本電子(株)製SEM JSM−
6100)にて観察、撮影し、撮影した写真から、対応
する各数値を求めた。なお、各数値は、表2に示したn
数で測定した平均値である。
【0062】
【表1】
【0063】
【表2】
【0064】実施例1、2は、本発明の請求項1及び2
を満足する条件のもので、結果の通り静音性及び制振性
に優れ、特に実施例2が最も優れていることが以下に述
べる各比較例と対比させるとわかる。また樹脂成形品の
剛性の指標である曲げ弾性率もある程度備え、本発明の
考えられる用途である、騒音源を有する構造材料やハウ
ジング類等の用途として提供できる静音材料として有効
であると考えられる。
【0065】一方、比較例1〜10は、表の組成の通
り、本発明の請求項を満たさない条件での例で、いずれ
も実施例の音圧、振動特性よりも大きな数値となり、静
音性及び制振性が低い。比較例1、3及び7は、曲げ弾
性率も実施例1及び2に比べ低いものになっている。ま
た、実施例10は、本発明の請求項で示される成分はい
ずれも満たしているが、(C)及び(D)成分の配合量
が請求項の範囲を超えている。そのため、安定した押出
工程とならず、成形用ペレットを得ることができなかっ
た。
【0066】
【発明の効果】本発明のポリエステル樹脂組成物は、優
れた静音性及び制振性を有し、機械的特性にも優れた成
形品をし得るものであり、特に騒音源を有する構造材料
やハウジング材料、または各種自動車部品、電気電子関
連部品等の静音性並びに制振性を要求される成形材料と
して有用である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリエステル樹脂50重量部、
    (B)ガラス短繊維10〜50重量部、(C)平均粒径
    が0.3〜10μmであるチタン酸バリウム粉末を10
    〜100重量部及び(D)ガラスフレークス10〜10
    0重量部からなるポリエステル樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (B)ガラス短繊維が、繊維直径が3〜
    20μmかつ繊維長/繊維直径の比が1〜50である請
    求項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 (D)ガラスフレークスが、平均厚みが
    1〜7μmかつ平均粒径が2〜1000μmである請求
    項1に記載のポリエステル樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 (A)ポリエステル樹脂が ア.ポリブチレンテレフタレート90〜20重量部
    (ア)、並びに イ.芳香族ジカルボン酸を酸成分とし炭素数2〜4のジ
    オールをジオール成分としてなり結晶性を有するポリエ
    ステルであるハードセグメント(イ−1)10〜70重
    量%、及び芳香族ジカルボン酸及び/又は脂肪族ジカル
    ボン酸を酸成分、炭素数5〜15の脂肪族ジオール及び
    /又はポリオキシアルキレングリコールをジオール成分
    としてなり100℃以下の融点又は非晶性であるポリエ
    ステルであるソフトセグメント(イ−2)30〜90重
    量%からなるポリエステルブロック共重合体10〜80
    重量部(イ)からなるポリエステル樹脂である請求項1
    に記載のポリエステル樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載のポリエステル樹脂組成
    物からなる成形品。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20020073066A (ko) * 2001-03-14 2002-09-19 현대자동차주식회사 자동차용 흡기 매니폴드의 소음저감을 위한 오버몰딩 조성물
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