JPH11189617A - 新規な遷移金属化合物、α−オレフィン重合用触媒成分およびα−オレフィン重合体の製造方法 - Google Patents

新規な遷移金属化合物、α−オレフィン重合用触媒成分およびα−オレフィン重合体の製造方法

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JPH11189617A
JPH11189617A JP36736497A JP36736497A JPH11189617A JP H11189617 A JPH11189617 A JP H11189617A JP 36736497 A JP36736497 A JP 36736497A JP 36736497 A JP36736497 A JP 36736497A JP H11189617 A JPH11189617 A JP H11189617A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】押出成形や射出成形が可能な高分子量で且つ高
融点のオレフィン重合体を高収率で得ることが出来るα
−オレフィン重合用触媒成分となり得る新規な遷移金属
化合物を提供する。 【解決手段】下記一般式(I)で表される新規な遷移金
属化合物。 【化1】 (一般式(I)中、R1及びR4は好ましくは炭素数1〜
7の炭化水素基、R2及びR5は好ましくは水素原子、R
3及びR6は好ましくは1,3−ペンタジエニレン基また
は1,4−ペンタジエニレン基、R7及びR8は炭素数1
〜20の炭化水素基などを示す。Qは好ましくはケイ素
原子またはゲルマニウム原子、Aは好ましくはブタジエ
ニレン基、Raは炭素数1〜10の飽和または不飽和炭
化水素基、m及びnは0〜20の整数、lは0〜22の
整数を示す。X及びYは、水素原子、ハロゲン原子など
を示し、Mは周期律表4〜6族遷移金属を示す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な遷移金属化
合物、当該遷移金属化合物から成るα−オレフィン重合
用触媒成分およびそれを使用したα−オレフィン重合体
の製造方法に関するものである。詳しくは、本発明は、
高分子量かつ高融点のα−オレフィン重合体の製造を可
能にする高活性な重合触媒成分および重合触媒ならびに
当該触媒を使用したα−オレフィン重合体の製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】オレフィン重合用均一系触媒として周知
の所謂カミンスキー触媒は、重合活性が高く、シャープ
な分子量分布の重合体を製造することが出来る。
【0003】カミンスキー触媒によりアイソタクチック
ポリオレフィンを製造する際に使用する遷移金属化合物
としては、エチレンビス(インデニル)ジルコニウムジ
クロリドやエチレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロ
インデニル)ジルコニウムジクロリドが知られている
(例えば特開昭61−130314号公報)。しかしな
がら、斯かる触媒による場合は、一般に、得られるポリ
オレフィンの分子量が小さく、また、分子量を大きくす
るために低温重合を行った場合は触媒の重合活性が低下
するという問題がある。
【0004】また、高分子量のポリオレフィンの製造を
目的として、上記のジルコニウム化合物の代わりにハフ
ニウム化合物を使用する方法が提案されている(Journa
l of Molecular Catalysis,(1989),237〜2
47)。しかしながら、この方法による場合は、触媒の
重合活性が低いという問題点がある。
【0005】更に、ジメチルシリレンビス置換シクロペ
ンタジエニルジルコニウムジクロリド等が提案され(特
開平1−301704号公報、Polymer Preprints,Jap
an39(1990),1614〜1616、特開平3−1
2406号公報)、ジメチルシリレンビス(インデニ
ル)ジルコニウムジクロリド等が提案されている(特開
昭63−295007号公報、特開平1−275609
号公報)。そして、これらの化合物の使用により、比較
的低温の重合では高立体規則性で高融点のポリマーの製
造が可能であるが、経済性の高い高温重合条件下では得
られるポリマーの立体規則性や融点および分子量が低
い。一方、配位子を架橋する原子上の置換基に対してハ
ロゲン原子を導入した遷移金属化合物および助触媒から
成る触媒も提案されている(特開平4−366106号
公報)。しかしながら、斯かる触媒は、上記のハロゲン
原子を含まない類似の触媒に比し、生成ポリマーの分子
量および立体規則性が低いという問題がある。
【0006】また、配位子の一部であるインデニル基に
置換基を付与することにより、ポリプロピレンのアイソ
タクチシティー及び分子量の向上を図る改良を加えた化
合物が知られている(例えば、特開平4−268307
号公報、特開平6−157661号公報)。更に、共役
五員環の隣接する炭素2原子を含めた副環が6員環以外
の員数の環である遷移金属化合物についても公知である
(例えば、特開平4−275294号公報、特開平6−
239914号公報、特開平8−59724号公報)。
【0007】しかしながら、上記の化合物は、経済性の
高い高温重合条件下での触媒性能が不充分であり、しか
も、これらの化合物の触媒系は、反応媒体に可溶である
ことが多い。従って、得られる重合体は、粒子形状が不
定形で且つ嵩密度が小さく、更に、微粉が多いなど粒子
性状が極めて悪い。そのため、スラリー重合や気相重合
などに適用した場合、連続した安定運転が困難になる
等、製造工程上多くの問題点がある。
【0008】一方、上記の問題点を解消するため、無機
酸化物(例えば、シリカ、アルミナ等)若しくは有機物
に遷移金属化合物および/または有機アルミニウムを担
持させた触媒も提案されている(例えば、特開昭61−
108610号公報、同60−135408号公報、同
61−296008号公報、特開平3−74412号公
報、同3−74415号公報)。しかしながら、これら
の触媒によって得られる重合体は、微粉や粗粒を多く含
み、しかも、嵩密度も低いなど粒子性状の点においても
十分とは言えず、更に、固体成分当たりの重合活性が低
かったり、分子量や立体規則性が担持体を使用しない系
に比較して低い等の問題がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みなされたものであり、その目的は、押出成形や射出
成形が可能な高分子量で且つ高融点のオレフィン重合体
を高収率で得ることが出来るα−オレフィン重合用触媒
成分となり得る新規な遷移金属化合物を提供することに
ある。本発明の他の目的は、上記の遷移金属化合物から
成るα−オレフィン重合用触媒成分を提供することにあ
る。本発明の他の目的は、上記の触媒成分を使用したα
−オレフィン重合用触媒およびそれを使用したα−オレ
フィン重合体の製造方法を提供することにある。本発明
の更に他の目的は、プロセス適用性を改良するために担
体上に触媒成分を担持して使用するに際し性能低下が小
さい新規な触媒成分を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の第1
の要旨は、下記一般式(I)で表される新規な遷移金属
化合物に存する。
【0011】
【化2】
【0012】一般式(I)中、R1、R2、R4、R5は、
それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10の炭化水
素基、炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基または炭
素数1〜18のハロゲン化炭化水素基、R3及びR6は、
それぞれ独立して、それが結合する五員環に対して縮合
環を形成する炭素数3〜10の飽和または不飽和の2価
の炭化水素基を示す。ただし、R3及びR6の少なくとも
一方の炭素数は5〜8であり、R3又はR6由来の不飽和
結合を有する7〜10員環から成る縮合環を形成する。
7及びR8は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の炭
化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭
素数1〜20の酸素含有炭化水素基、アミノ基、炭素数
1〜20の窒素含有炭化水素基または炭素数1〜20の
硫黄含有炭化水素基を示す。Qは、ケイ素原子、ゲルマ
ニウム原子またはスズ原子、Aは、それが結合するQと
共に環を形成する炭素数3〜12の2価の不飽和炭化水
素基、Raは、炭素数1〜10の飽和または不飽和炭化
水素基を示す。m及びnは、それぞれ独立して0〜20
の整数を示す。ただし、m及びnが同時に0となること
はない。m又はnが2以上の場合、それぞれ、R7同士
またはR8同士が連結して新たな環構造を形成していて
もよい。また、lは0〜22の整数を示す。lが2以上
の場合、Ra同士が連結して新たな環構造を形成しても
よい。X及びYは、それぞれ独立して、水素原子、ハロ
ゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜2
0のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン
化炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、
アミノ基または炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基を
示し、Mは周期律表4〜6族遷移金属を示す。
【0013】本発明の第2の要旨は、上記の遷移金属化
合物から成ることを特徴とするオレフィン重合用触媒成
分に存する。
【0014】本発明の第3の要旨は、次の必須成分
(A)及び(B)と任意成分(C)を含むことを特徴と
するα−オレフィン重合用触媒に存する。
【0015】
【表1】 成分(A):上記の遷移金属化合物 成分(B):アルミニウムオキシ化合物、成分(A)と
反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能な
イオン性化合物またはルイス酸 成分(C):微粒子担体
【0016】本発明の第4の要旨は、次の必須成分
(A)及び(D)と任意成分(E)を含むことを特徴と
するα−オレフィン重合用触媒に存する。
【0017】
【表2】 成分(A):上記の遷移金属化合物 成分(D):珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物また
は無機珪酸塩 成分(E):有機アルミニウム化合物
【0018】そして、本発明の第5の要旨は、上記の何
れかの触媒とα−オレフィンとを接触させて重合または
共重合を行うことを特徴とするα−オレフィン重合体の
製造方法に存する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
先ず、本発明の遷移金属化合物について説明する。本発
明の遷移金属化合物は、下記一般式(I)で表される。
【0020】
【化3】
【0021】本発明の遷移金属化合物は、置換基R1
2及びR3を有する五員環配位子と、置換基R4、R5
びR6を有する五員環配位子とが、基Qを介して相対位
置の観点において、M、X及びYを含む平面に関して非
対称である化合物(a)及び対称である化合物(b)を
含む。
【0022】ただし、高分子量かつ高融点のα−オレフ
ィン重合体の製造を行うためには、上記の化合物
(a)、換言すれば、M、X及びYを含む平面を挟んで
対向する二個の五員環配位子が当該平面に関して実体と
鏡像の関係にない化合物を使用するのか好ましい。
【0023】一般式(I)中、R1、R2、R4、R5は、
それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜10の炭化水
素基、炭素数1〜18のケイ素含有炭化水素基または炭
素数1〜18のハロゲン化炭化水素基を示す。
【0024】上記の炭素数1〜10の炭化水素基の具体
例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロ
ピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチ
ル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロプロピル、シ
クロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル
等のアルキル基、ビニル、プロペニル、シクロヘキセニ
ル等のアルケニル基、ベンジル、フェニルエチル、フェ
ニルプロピル等のアリールアルキル基、trans−スチリ
ル等のアリールアルケニル基、フェニル、トリル、ジメ
チルフェニル、エチルフェニル、トリメチルフェニル、
1−ナフチル、2−ナフチル等のアリール基が挙げられ
る。
【0025】上記の炭素数1〜18のケイ素含有炭化水
素基の具体例としては、トリメチルシリル、トリエチル
シリル、t−ブチルジメチルシリル等のトリアルキルシ
リル基、トリフェニルシリル等のトリアリールシリル
基、ジメチルフェニルシリル等の(アルキル)(アリー
ル)シリル基、ビス(トリメチルシリル)メチル等のア
ルキルシリルアルキル基が挙げられる。
【0026】上記の炭素数1〜18のハロゲン化炭化水
素基において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩
素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。そして、
上記のハロゲン化炭化水素基は、ハロゲン原子が例えば
フッ素原子の場合、フッ素原子が上記の炭化水素基の任
意の位置に置換した化合物である。具体的には、フルオ
ロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ク
ロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ブロ
モメチル、ジブロモメチル、トリブロモメチル、ヨード
メチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,1,1
−テトラフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、ペン
タクロロエチル、ペンタフルオロプロピル、ノナフルオ
ロブチル、トリフルオロビニル、1,1−ジフルオロベ
ンジル、1,1,2,2−テトラフルオロフェニルエチ
ル、o−、m−、p−フルオロフェニル、o−、m−、p−ク
ロロフェニル、o−、m−、p−ブロモフェニル、2,4
−、3,5−、2,6−、2,5−ジフルオロフェニル、
2,4−、3,5−、2,6−、2,5−ジクロロフェニ
ル、2,4,6−トリフルオロフェニル、2,4,6−トリ
クロロフェニル、ペンタフルオロフェニル、ペンタクロ
ロフェニル、4−フルオロナフチル、4−クロロナフチ
ル、2,4−ジフルオロナフチル、ヘプタフルオロ−1
−ナフチル、ヘプタクロロ−1−ナフチル、o−、m−、
p−トリフルオロメチルフェニル、o−、m−、p−トリク
ロロメチルフェニル、2,4−、3,5−、2,6−、2,
5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、2,4−、
3,5−、2,6−、2,5−ビス(トリクロロメチル)
フェニル、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フ
ェニル、4−トリフルオロメチルナフチル、4−トリク
ロロメチルナフチル、2,4−ビス(トリフルオロメチ
ル)ナフチル基などが挙げられる。
【0027】これらの中では、R1及びR4としては、メ
チル、エチル、プロピル、ブチル、ベンジル等の炭素数
1〜7の炭化水素基が好ましく、R2及びR5としては水
素原子が好ましい。
【0028】一般式(I)中、R3及びR6は、それぞれ
独立して、それが結合する五員環に対して縮合環を形成
する炭素数3〜10の飽和または不飽和の2価の炭化水
素基を示す。ただし、R3及びR6の少なくとも一方の炭
素数は5〜8であり、R3又はR6由来の不飽和結合を有
する7〜10員環から成る縮合環を形成する。
【0029】上記のR3及びR6の具体例としては、トリ
メチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメ
チレン、ヘプタメチレン等の2価の飽和炭化水素基、プ
ロペニレン、2−ブテニレン、1,3−ブタジエニレ
ン、1−ペンテニレン、2−ペンテニレン、1,3−ペ
ンタジエニレン、1,4−ペンタジエニレン、1−ヘキ
セニレン、2−ヘキセニレン、3−ヘキセニレン、1,
3−ヘキサジエニレン、1,4−ヘキサジエニレン、1,
5−ヘキサジエニレン、2,4−ヘキサジエニレン、2,
5−ヘキサジエニレン、1,3,5−ヘキサトリエニレン
等の2価の不飽和炭化水素基が挙げられる。これらの中
では、ペンタメチレン基、1,3−ペンタジエニレン
基、1,4−ペンタジエニレン基または1,3,5−ヘキ
サトリエニレン基が好ましく、1,3−ペンタジエニレ
ン基または1,4−ペンタジエニレン基が特に好まし
い。
【0030】一般式(I)中、R7及びR8は、それぞれ
独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜2
0のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有
炭化水素基、アミノ基、炭素数1〜20の窒素含有炭化
水素基または炭素数1〜20の硫黄含有炭化水素基を示
す。
【0031】上記の炭素数1〜20のハロゲン化炭化水
素基において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩
素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。そして、
上記のハロゲン化炭化水素基は、ハロゲン原子が例えば
フッ素原子の場合、フッ素原子が上記の炭化水素基の任
意の位置に置換した化合物である。具体的には、フルオ
ロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ク
ロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル、ブロ
モメチル、ジブロモメチル、トリブロモメチル、ヨード
メチル、2,2,2−トリフルオロエチル、2,2,1,1
−テトラフルオロエチル、ペンタフルオロエチル、ペン
タクロロエチル、ペンタフルオロプロピル、ノナフルオ
ロブチル、トリフルオロビニル、1,1−ジフルオロベ
ンジル、1,1,2,2−テトラフルオロフェニルエチ
ル、o−、m−、p−フルオロフェニル、o−、m−、p−ク
ロロフェニル、o−、m−、p−ブロモフェニル、2,4
−、3,5−、2,6−、2,5−ジフルオロフェニル、
2,4−、3,5−、2,6−、2,5−ジクロロフェニ
ル、2,4,6−トリフルオロフェニル、2,4,6−トリ
クロロフェニル、ペンタフルオロフェニル、ペンタクロ
ロフェニル、4−フルオロナフチル、4−クロロナフチ
ル、2,4−ジフルオロナフチル、ヘプタフルオロ−1
−ナフチル、ヘプタクロロ−1−ナフチル、o−、m−、
p−トリフルオロメチルフェニル、o−、m−、p−トリク
ロロメチルフェニル、2,4−、3,5−、2,6−、2,
5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル、2,4−、
3,5−、2,6−、2,5−ビス(トリクロロメチル)
フェニル、2,4,6−トリス(トリフルオロメチル)フ
ェニル、4−トリフルオロメチルナフチル、4−トリク
ロロメチルナフチル、2,4−ビス(トリフルオロメチ
ル)ナフチル基などが挙げられる。
【0032】上記の炭素数1〜20の炭化水素基の具体
例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロ
ピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチ
ル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロプロピル、シ
クロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル
等のアルキル基、ビニル、プロペニル、シクロヘキセニ
ル等のアルケニル基、ベンジル、フェニルエチル、フェ
ニルプロピル等のアリールアルキル基、trans−スチリ
ル等のアリールアルケニル基、フェニル、トリル、ジメ
チルフェニル、エチルフェニル、トリメチルフェニル、
1−ナフチル、2−ナフチル、アセナフチル、フェナン
トリル、アントリル等のアリール基が挙げられる。これ
らの中では、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロ
ピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチ
ル、シクロプロピル等の炭素数1〜4のアルキル基、フ
ェニル、トリル、ジメチルフェニル、エチルフェニル、
トリメチルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル等の
炭素数6〜20のアリール基が好ましい。
【0033】上記の炭素数1〜20の酸素含有炭化水素
基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキ
シ、シクロプロポキシ、ブトキシ等のアルコキシ基、フ
ェノキシ、メチルフェノキシ、ジメチルフェノキシ、ナ
フトキシ等のアリロキシ基、フェニルメトキシ、ナフチ
ルメトキシ等のアリールアルコキシ基、フリル基などの
酸素含有複素環基などが挙げられる。
【0034】上記の炭素数1〜20の窒素含有炭化水素
基の具体例としては、メチルアミノ、ジメチルアミノ、
エチルアミノ、ジエチルアミノ等のアルキルアミノ基、
フェニルアミノ、ジフェニルアミノ等のアリールアミノ
基、(メチル)(フェニル)アミノ等の(アルキル)
(アリール)アミノ基、ピラゾリル、インドリル等の窒
素含有複素環基などが挙げられる。
【0035】上記の炭素数1〜20の硫黄含炭化水素基
の具体例としては、前記含酸素化合物の酸素が硫黄に置
換した置換基などが挙げられる。
【0036】一般式(I)中、Qは、ケイ素原子、ゲル
マニウム原子またはスズ原子を示し、これらの中では、
ケイ素原子またはゲルマニウム原子が好ましい。
【0037】一般式(I)中、Aは、それが結合するQ
と共に環を形成する炭素数3〜12の2価の不飽和炭化
水素基を示す。斯かる不飽和炭化水素基の具体例として
は、プロペニレン、ブテニレン、ブタジエニレン、ペン
テニレン、ペンタジエニレン、ヘキセニレン、ヘキサジ
エニレン、ヘキサトリエニレン等の2価の不飽和炭化水
素基が挙げられる。これらの中では、プロペニレン、ブ
テニレン、ブタジエニレン、ペンテニレン、ペンタジエ
ニレン等の炭素数3〜5の2価の炭化水素基が好まし
く、ブタジエニレン基が特に好ましい。
【0038】一般式(I)中、Raは、炭素数1〜10
の飽和または不飽和炭化水素基示す。斯かる炭化水素基
の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i
−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t
−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロプロピ
ル、シクロペンチル等のアルキル基、ビニル、プロペニ
ル、ブテニル、ブタジエニル、ヘキセニル、ヘキサジエ
ニル等のアルケニル基、ベンジル、フェニルエチル、フ
ェニルプロピル等のアリールアルキル基、trans−スチ
リル等のアリールアルケニル基、フェニル、トリル、ジ
メチルフェニル、エチルフェニル、トリメチルフェニ
ル、1−ナフチル、2−ナフチル等のアリール基が挙げ
られる。これらの中では、メチル基、エチル基、n−プ
ロピル基、i−プロピル基、プロペニル基またはブテニ
ル基が好ましい。
【0039】一般式(I)中、m及びnは、それぞれ独
立して0〜20の整数を示す。m及びnは1〜5が好ま
しい。m及び/又はnが2〜20の整数の場合は、複数
の基R7(R8)は互いに同一でも異なっていても構わな
い。ただし、m及びnが同時に0となることはない。ま
た、m又はnが2以上の場合、それぞれ、R7同士また
はR8同士が連結して新たな環構造を形成していてもよ
い。R7及びR8のR3又はR6に対する結合位置は、特に
制限されないが、それぞれの5員環に隣接する炭素(α
位の炭素)であることが好ましい。lは、0〜22の整
数を示すが、1〜10が好ましく、1〜4が特に好まし
い。lが2〜22の整数の場合は、複数の基Raは互い
に同一でも異なっていても構わない。また、lが2以上
の場合、Ra同士が連結して新たな環構造を形成しても
よい。
【0040】一般式(I)中、X及びYは、それぞれ独
立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭
化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭
素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20
の酸素含有炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20
の窒素含有炭化水素基を示す。
【0041】上記のハロゲン原子としては、フッ素原
子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられ、上記
の炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロ
ゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素
基、炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基としては、前
記のR7及びR8におけるのと同様の基が挙げられる。
【0042】上記の炭素数1〜20のケイ素含有炭化水
素基の具体例としては、トリメチルシリルメチル、トリ
エチルシリルメチル等のトリアルキルシリルメチル基、
ジメチルフェニルシリルメチル、ジエチルフェニルシリ
ルメチル、ジメチルトリルシリルメチル等のジ(アルキ
ル)(アリール)シリルメチル基などが挙げられる。
【0043】一般式(I)中のX及びYとしては、水素
原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭
素数1〜20の窒素含有炭化水素基が好ましく、ハロゲ
ン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20
の窒素含有炭化水素基が更に好ましく、塩素原子、メチ
ル基、i−ブチル基、フェニル基、ジメチルアミノ基、
ジエチルアミノ基が特に好ましい。
【0044】一般式(I)中、Mは、周期表4〜6族の
遷移金属を示し、好ましくは、チタン、ジルコニウム、
ハフニウムの4族の遷移金属、更に好ましくはジルコニ
ウム又はハフニウムである。
【0045】本発明の遷移金属化合物は、置換基ないし
結合の様式に関して合目的的な任意の方法によって合成
することが出来る。代表的な合成経路は次の反応式に示
す通りである。なお、反応式中のH2Ra及びH2Rbは、それ
ぞれ、次の様な構造を示す。
【0046】
【化4】
【0047】
【化5】H2Ra+n-C4H9Li→HRaLi+C4H10 H2Rb+n-C4H9Li→HRbLi+C4H10 HRaLi+HRbLi+QCl2→HRa−Q−HRb+2LiC
l HRa−Q−HRb+2n-C4H9Li→LiRa−Q−LiRb+2C
4H10 LiRa−Q−LiRb+ZrCl4→(Ra−Q−Rb)ZrCl2
2LiCl
【0048】なお、上記の反応式のQCl2は、次の様
な構造を示す。そして、QCl2の様なジクロロシラン
化合物の生成は、例えば、J.Organomet.Chem.,304(198
6)93-105又はJ.Organomet.Chem.,499(1995)c7-c9に記
載の様な公知の方法によることが出来る。
【0049】
【化6】
【0050】また、上記のHRaLi及びHRbLiの様なシ
クロペンタジエニル化合物の金属塩の生成は、例えば、
ヨーロッパ特許第697418号公報に記載の様に、ア
ルキル基やアリール基などの付加反応を伴う様な方法で
合成しても構わない。具体的には、不活性溶媒中、アル
キルリチウム化合物またはアリールリチウム化合物とア
ズレン化合物とを反応させてジヒドロアズレニル化合物
のリチウム塩を生成させる。アルキルリチウム化物とし
ては、メチルリチウム、i−プロピルリチウム、n−ブ
チルリチウム、t−ブチルリチウム等が使用され、アリ
ールリチウム化物としては、フェニルリチウム、p−ク
ロロフェニルリチウム、p−フルオロフェニルリチウ
ム、p−トリフルオロメチルフェニルリチウム、ナフチ
ルリチウム等が使用される。また、不活性溶媒として
は、ヘキサン、ベンゼン、トルエン、ジエチルエーテ
ル、テトラヒドロフラン又はこれらの混合溶媒などが使
用される。
【0051】本発明の遷移金属化合物の具体例としては
次の化合物が挙げられる。なお、これらの化合物は単に
化学的名称のみで指称されているが、その立体構造は本
発明でいう非対称性を持つ化合物と対称性を持つ化合物
の双方を意味する。また、最初に以下の化合物の命名法
の理解のため、以下の(1)に記載のジルコニウムジク
ロリドの構造式を以下に示す。このジルコニウムジクロ
リドは、1,4−ジヒドロアズレン骨格を有する錯化前
の化合物に由来して命名すれば、9−シラフルオレン−
9,9−ジイルビス{1,1´−(2−メチル−4−フ
ェニル−1,4−ジヒドロアズレニル)}ジルコニウム
ジクロリド称することも出来る。
【0052】
【化7】
【0053】
【表3】(1)9−シラフルオレン−9,9−ジイルビス
{1,1´−(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロ
アズレニル)}ジルコニウムジクロリド (2)9−シラフルオレン−9,9−ジイルビス{1,1´
−(2−エチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニ
ル)}ジルコニウムジクロリド (3)9−シラフルオレン−9,9−ジイルビス{1,1´
−(2,8−ジメチル−4−フェニル−4−ヒドロアズ
レニル)}ジルコニウムジクロリド (4)9−シラフルオレン−9,9−ジイルビス[1,1´
−{2−メチル−4−(1−ナフチル)−4−ヒドロア
ズレニル}]ジルコニウムジクロリド (5)9−シラフルオレン−9,9−ジイル{1−(2−メ
チル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)}{1−
(2−メチル−4−フェニル−4,5,6,7,8−ペンタ
ヒドロアズレニル)}ジルコニウムジクロリド (6)9−シラフルオレン−9,9−ジイル{1−(2−メ
チル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)}{1−
(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウ
ムジクロリド
【0054】
【表4】(7)1−シラインデン−1,1−ジイルビス
{1,1´−(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロ
アズレニル)}ジルコニウムジクロリド (8)1−シラインデン−1,1−ジイルビス{1,1´−
(2−エチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニ
ル)}ジルコニウムジクロリド (9)1−シラインデン−1,1−ジイルビス{1,1´−
(2,8−ジメチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレ
ニル)}ジルコニウムジクロリド (10)1−シラインデン−1,1−ジイルビス[1,1´−
{2−メチル−4−(1−ナフチル)−4−ヒドロアズ
レニル}]ジルコニウムジクロリド
【0055】
【表5】(11)1−シラインデン−1,1−ジイル{1−
(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニ
ル)}{1−(2−メチル−4−フェニル−4,5,6,
7,8−ペンタヒドロアズレニル)}ジルコニウムジク
ロリド (12)1−シラインデン−1,1−ジイル{1−(2−メ
チル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)}{1−
(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウ
ムジクロリド (13)テトラメチル−1−シラシクロペンタジエン−1,
1−ジイルビス{1,1´−(2−メチル−4−フェニ
ル−4−ヒドロアズレニル)}ジルコニウムジクロリド (14)テトラメチル−1−シラシクロペンタジエン−1,
1−ジイルビス{1,1´−(2−エチル−4−フェニ
ル−4−ヒドロアズレニル)}ジルコニウムジクロリド
【0056】
【表6】(15)テトラメチル−1−シラシクロペンタジエ
ン−1,1−ジイルビス{1,1´−(2,8−ジメチル
−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)}ジルコニウ
ムジクロリド (16)テトラメチル−1−シラシクロペンタジエン−1,
1−ジイルビス[1,1´−{2−メチル−4−(2−
ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ジルコニウムジ
クロリド (17)テトラメチル−1−シラシクロペンタジエン−1,
1−ジイル{1−(2−メチル−4−フェニル−4−ヒ
ドロアズレニル)}{1−(2−メチル−4−フェニル
−4,5,6,7,8−ペンタヒドロアズレニル)}ジルコ
ニウムジクロリド (18)テトラメチル−1−シラシクロペンタジエン−1,
1−ジイル{1−(2−メチル−4−フェニル−4−ヒ
ドロアズレニル)}{1−(2−メチル−4−フェニル
インデニル)}ジルコニウムジクロリド
【0057】
【表7】(19)1−シラシクロ−3−ペンテン−1,1−
ジイルビス{1,1´−(2−メチル−4−フェニル−
4−ヒドロアズレニル)}ジルコニウムジクロリド (20)1−シラシクロ−3−ペンテン−1,1−ジイルビ
ス{1,1´−(2−エチル−4−フェニル−4−ヒド
ロアズレニル)}ジルコニウムジクロリド (21)1−シラシクロ−3−ペンテン−1,1−ジイルビ
ス{1,1´−(2,8−ジメチル−4−フェニル−4−
ヒドロアズレニル)}ジルコニウムジクロリド (22)1−シラシクロ−3−ペンテン−1,1−ジイルビ
ス[1,1´−{2−メチル−4−(1−ナフチル)−
4−ヒドロアズレニル}]ジルコニウムジクロリド
【0058】
【表8】(23)1−シラシクロ−3−ペンテン−1,1−
ジイル{1−(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロ
アズレニル)}{1−(2−メチル−4−フェニル−
4,5,6,7,8−ペンタヒドロアズレニル)}ジルコニ
ウムジクロリド (24)1−シラシクロ−3−ペンテン−1,1−ジイル
{1−(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレ
ニル)}{1−(2−メチル−4−フェニルインデニ
ル)}ジルコニウムジクロリド (25)9−シラフルオレン−9,9−ジイルビス[1,1´
−{2−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4−
ヒドロアズレニル}]ジルコニウムジクロリド (26)9−シラフルオレン−9,9−ジイルビス[1,1´
−{2−メチル−4−(4−トリフルオロメチルフェニ
ル)−4−ヒドロアズレニル}]ジルコニウムジクロリ
【0059】
【表9】(27)1−シラインデン−1,1−ジイルビス
[1,1´−{2−メチル−4−(4−フルオロフェニ
ル)−4−ヒドロアズレニル}]ジルコニウムジクロリ
ド (28)1−シラインデン−1,1−ジイルビス[1,1´−
{2−メチル−4−(4−トリフルオロメチルフェニ
ル)−4−ヒドロアズレニル}]ジルコニウムジクロリ
ド (29)テトラメチル−1−シラシクロペンタジエン−1,
1−ジイルビス[1,1´−{2−メチル−4−(4−
フルオロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ジルコ
ニウムジクロリド (30)テトラメチル−1−シラシクロペンタジエン−1,
1−ジイルビス[1,1´−{2−メチル−4−(4−
トリフルオロメチルフェニル)−4−ヒドロアズレニ
ル}]ジルコニウムジクロリド (31)1−シラシクロ−3−ペンテン−1,1−ジイルビ
ス[1,1´−{2−メチル−4−(4−フルオロフェ
ニル)−4−ヒドロアズレニル}]ジルコニウムジクロ
リド (32)1−シラシクロ−3−ペンテン−1,1−ジイルビ
ス[1,1´−{2−メチル−4−(4−トリフルオロ
メチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ジルコニ
ウムジクロリド
【0060】また、上記の様な化合物の、前記一般式
(I)におけるX及びY部分をなす塩素原子の一方また
は両方が、水素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原
子、メチル基、フェニル基、フルオロフェニル基、ベン
ジル基、メトキシ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミ
ノ基などに代わった化合物も例示することが出来る。ま
た、先に例示した化合物の中心金属(M)がジルコニウ
ムの代わりに、チタン、ハフニウム、タンタル、ニオ
ブ、バナジウム、タングステン、モリブデン等に代わっ
た化合物も例示することが出来る。これらの中では、ジ
ルコニウム、チタン、ハフニウムの4族遷移金属化合物
が好ましく、ジルコニウム又はハフニウムが特に好まし
い。
【0061】次に、本発明のα−オレフィン重合用触媒
(1)と(2)について説明する。これらの触媒は、何
れも、前述した本発明の遷移金属化合物を必須成分
(A)として含む。
【0062】先ず、本発明のα−オレフィン重合用触媒
(1)について説明する。この触媒は、必須成分(B)
として、アルミニウムオキシ化合物、成分(A)と反応
して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオ
ン性化合物またはルイス酸を含み、任意成分(C)とし
て微粒子担体を含む。なお、上記のルイス酸のある種の
ものは、成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに
変換することが可能なイオン性化合物として把握するこ
とも出来る。従って、上記のルイス酸およびイオン性化
合物の両者に属する化合物は、何れか一方に属するもの
と解することとする。
【0063】上記のアルミニウムオキシ化合物として
は、具体的には次の一般式(II)、(III)又は(IV)
で表される化合物が挙げられる。
【0064】
【化8】
【0065】上記の各一般式中、R9は、水素原子また
は炭化水素残基、好ましくは炭素数1〜10、特に好ま
しくは炭素数1〜6の炭化水素残基を示す。また、複数
のR9はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。また、
pは、0〜40、好ましくは2〜30の整数を示す。
【0066】一般式(II)及び(III)で表される化合
物は、アルモキサンとも呼ばれる化合物であって、一種
類のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリア
ルキルアルミニウムと水との反応により得られる。具体
的には、(a)一種類のトリアルキルアルミニウムと水
から得られる、メチルアルモキサン、エチルアルモキサ
ン、プロピルアルモキサン、ブチルアルモキサン、イソ
ブチルアルモキサン、(b)二種類のトリアルキルアル
ミニウムと水から得られる、メチルエチルアルモキサ
ン、メチルブチルアルモキサン、メチルイソブチルアル
モキサン等が例示される。これらの中では、メチルアル
モキサン又はメチルイソブチルアルモキサンが好まし
い。
【0067】上記のアルモキサンは、各群内および各群
間で複数種併用することも可能である。そして、上記の
アルモキサンは、公知の様々な条件下に調製することが
出来る。具体的には以下の様な方法が例示できる。
【0068】
【表10】(a)トルエン、ベンゼン、エーテル等の適
当な有機溶剤の存在下、トリアルキルアルミニウムを直
接水と反応させる方法 (b)トリアルキルアルミニウムと結晶水を有する塩水
和物、例えば、硫酸銅、硫酸アルミニウムの水和物とを
反応させる方法 (c)トリアルキルアルミニウムとシリカゲル等に含浸
させた水分とを反応させる方法 (d)トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミ
ニウムとを混合した後、トルエン、ベンゼン、エーテル
等の適当な有機溶剤の存在下、直接水と反応させる方法
【0069】
【表11】(e)トリメチルアルミニウムとトリイソブ
チルアルミニウムとの混合物と結晶水を有する塩水和
物、例えば、硫酸銅、硫酸アルミニウムとの水和物とを
加熱反応させる方法 (f)シリカゲル等に水分を含浸させ、トリイソブチル
アルミニウムで処理した後、トリメチルアルミニウムで
追加処理する方法 (g)メチルアルモキサン及びイソブチルアルモキサン
を公知の方法で合成し、これら二成分を所定量混合して
加熱反応させる方法 (h)ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素溶媒中に
硫酸銅5水塩などの結晶水を有する塩とトリメチルアル
ミニウムとを添加して約−40〜40℃の温度条件下に
反応させる方法
【0070】反応に使用する水の量は、トリメチルアル
ミニウムに対するモル比で通常0.5〜1.5である。
上記の方法で得られたメチルアルモキサンは、線状また
は環状の有機アルミニウムの重合体である。
【0071】一般式(IV)で表される化合物は、一種類
のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリアル
キルアルミニウムと次の一般式(V)で表されるアルキ
ルボロン酸との10:1〜1:1(モル比)の反応によ
り得ることが出来る。一般式(V)中、R10は、炭素数
1〜10、好ましくは炭素数1〜6の炭化水素残基また
はハロゲン化炭化水素基を示す。
【0072】
【化9】 R10B(OH)2 (V)
【0073】
【表12】具体的には以下の様な反応生成物が例示でき
る。 (a)トリメチルアルミニウムとメチルボロン酸の2:
1の反応物 (b)トリイソブチルアルミニウムとメチルボロン酸の
2:1反応物 (c)トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミ
ニウムとメチルボロン酸の1:1:1反応物 (d)トリメチルアルミニウムとエチルボロン酸の2:
1反応物 (e)トリエチルアルミニウムとブチルボロン酸の2:
1反応物
【0074】また、成分(A)と反応して成分(A)を
カチオンに変換することが可能なイオン性化合物として
は、一般式(VI)で表される化合物が挙げられる。
【0075】
【化10】 〔K〕e+〔Z〕e- (VI)
【0076】一般式(VI)中、Kはカチオン成分であっ
て、例えば、カルボニウムカチオン、トロピリウムカチ
オン、アンモニウムカチオン、オキソニウムカチオン、
スルホニウムカチオン、ホスフォニウムカチオン等が挙
げられる。また、それ自身が還元され易い金属の陽イオ
ンや有機金属の陽イオン等も挙げられる。
【0077】上記のカチオンの具体例としては、トリフ
ェニルカルボニウム、ジフェニルカルボニウム、シクロ
ヘプタトリエニウム、インデニウム、トリエチルアンモ
ニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモ
ニウム、N,N−ジメチルアニリニウム、ジプロピルア
ンモニウム、ジシクロヘキシルアンモニウム、トリフェ
ニルホスホニウム、トリメチルホスホニウム、トリス
(ジメチルフェニル)ホスホニウム、トリス(メチルフ
ェニル)ホスホニウム、トリフェニルスルホニウム、ト
リフェニルオキソニウム、トリエチルオキソニウム、ピ
リリウム、銀イオン、金イオン、白金イオン、銅イオ
ン、パラジウムイオン、水銀イオン、フェロセニウムイ
オン等が挙げられる。
【0078】上記の一般式(VI)中、Zは、アニオン成
分であり、成分(A)が変換されたカチオン種に対して
対アニオンとなる成分(一般には非配位の成分)であ
る。Zとしては、例えば、有機ホウ素化合物アニオン、
有機アルミニウム化合物アニオン、有機ガリウム化合物
アニオン、有機リン化合物アニオン、有機ヒ素化合物ア
ニオン、有機アンチモン化合物アニオン等が挙げられ、
具体的には次のアニオンが挙げられる。
【0079】
【表13】(a)テトラフェニルホウ素、テトラキス
(3,4,5−トリフルオロフェニル)ホウ素、テトラキ
ス{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}ホ
ウ素、テトラキス{3,5−ジ(t−ブチル)フェニ
ル}ホウ素、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホ
ウ素など (b)テトラフェニルアルミニウム、テトラキス(3,
4,5−トリフルオロフェニル)アルミニウム、テトラ
キス{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}
アルミニウム、テトラキス(3,5−ジ(t−ブチル)
フェニル)アルミニウム、テトラキス(ペンタフルオロ
フェニル)アルミニウム等
【0080】
【表14】(c)テトラフェニルガリウム、テトラキス
(3,4,5−トリフルオロフェニル)ガリウム、テトラ
キス{3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル}
ガリウム、テトラキス{3,5−ジ(t−ブチル)フェ
ニル}ガリウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニ
ル)ガリウム等 (d)テトラフェニルリン、テトラキス(ペンタフルオ
ロフェニル)リン等 (e)テトラフェニルヒ素、テトラキス(ペンタフルオ
ロフェニル)ヒ素など (f)テトラフェニルアンチモン、テトラキス(ペンタ
フルオロフェニル)アンチモン等 (g)デカボレート、ウンデカボレート、カルバドデカ
ボレート、デカクロロデカボレート等
【0081】また、ルイス酸、特に成分(A)をカチオ
ンに変換可能なルイス酸としては、種々の有機ホウ素化
合物、金属ハロゲン化合物、固体酸などが例示され、そ
の具体的例としては次の化合物が挙げられる。
【0082】
【表15】(a)トリフェニルホウ素、トリス(3,5
−ジフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペンタフルオ
ロフェニル)ホウ素等の有機ホウ素化合物 (b)塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、ヨウ化ア
ルミニウム、塩化マグネシウム、臭化マグネシウム、ヨ
ウ化マグネシウム、塩化臭化マグネシウム、塩化ヨウ化
マグネシウム、臭化ヨウ化マグネシウム、塩化マグネシ
ウムハイドライド、塩化マグネシウムハイドロオキシ
ド、臭化マグネシウムハイドロオキシド、塩化マグネシ
ウムアルコキシド、臭化マグネシウムアルコキシド等の
金属ハロゲン化合物 (c)アルミナ、シリカ−アルミナ等の固体酸
【0083】本発明のα−オレフィン重合用触媒(1)
において、任意成分(C)としての微粒子担体は、無機
または有機の化合物から成り、通常5μから5mm、好
ましくは10μから2mmの粒径を有する微粒子状の担
体である。
【0084】上記の無機担体としては、例えば、SiO
2、Al23、MgO、ZrO、TiO2、B23、Zn
O等の酸化物、SiO2−MgO、SiO2−Al23
SiO2−TiO2、SiO2−Cr23、SiO2−Al
23−MgO等の複合酸化物などが挙げられる。
【0085】上記の有機担体としては、例えば、エチレ
ン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテ
ン等の炭素数2〜14のα−オレフィンの(共)重合
体、スチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族不飽和炭化
水素の(共)重合体などから成る多孔質ポリマーの微粒
子担体が挙げられる。これらの比表面積は、通常20〜
1000m2/g、好ましくは50〜700m2/gであ
り、細孔容積は、通常0.1cm2/g以上、好ましく
は0.3cm2/g、更に好ましくは0.8cm2/g以
上である。
【0086】本発明のα−オレフィン重合用触媒(1)
は、微粒子担体以外の任意成分として、例えば、H
2O、メタノール、エタノール、ブタノール等の活性水
素含有化合物、エーテル、エステル、アミン等の電子供
与性化合物、ホウ酸フェニル、ジメチルメトキシアルミ
ニウム、亜リン酸フェニル、テトラエトキシシラン、ジ
フェニルジメトキシシラン等のアルコキシ含有化合物を
含むことが出来る。
【0087】また、上記以外の任意成分としては、トリ
メチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイ
ソブチルアルミニウム等のトリ低級アルキルアルミニウ
ム、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアル
ミニウムクロリド、メチルアルミニウムセスキクロリド
等のハロゲン含有アルキルアルミニウム、ジエチルアル
ミニウムヒドリド等のアルキルアルミニウムヒドリド、
ジエチルアルミニウムエトキシド、ジメチルアルミニウ
ムブトキシド等のアルコキシ含有アルキルアルミニウ
ム、ジエチルアルミニウムフェノキシド等のアリールオ
キシ含有アルキルアルミニウム等が挙げられる。
【0088】本発明のα−オレフィン重合用触媒(1)
において、アルミニウムオキシ化合物、成分(A)と反
応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイ
オン性化合物またはルイス酸は、成分(B)として、そ
れぞれ単独使用される他、これらの3成分を適宜組み合
わせて使用することが出来る。また、上記の低級アルキ
ルアルミニウム、ハロゲン含有アルキルアルミニウム、
アルキルアルミニウムヒドリド、アルコキシ含有アルキ
ルアルミニウム、アリールオキシ含有アルキルアルミニ
ウムの1種または2種以上は、任意成分ではあるが、ア
ルミニウムオキシ化合物、イオン性化合物またはルイス
酸と併用してα−オレフィン重合用触媒(1)中に含有
させるのが好ましい。
【0089】本発明のα−オレフィン重合用触媒(1)
は、重合槽の内外において、重合させるべきモノマーの
存在下または不存在下、上記の成分(A)及び(B)を
接触させることにより調製することが出来る。すなわ
ち、成分(A)及び(B)と必要に応じて成分(C)等
を重合槽に別々に導入してもよいし、成分(A)及び
(B)を予め接触させた後に重合槽に導入してもよい。
また、成分(A)及び(B)の混合物を成分(C)に含
浸させた後に重合槽へ導入してもよい。
【0090】上記の各成分の接触は、窒素などの不活性
ガス中、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キ
シレン等の不活性炭化水素溶媒中で行ってもよい。接触
温度は、−20℃から溶媒の沸点の範囲の温度、特に、
室温から溶媒の沸点の範囲の温度が好ましい。この様に
して調製された触媒は、調製後に洗浄せずに使用しても
よく、また、洗浄した後に使用してもよい。更には、調
製後に必要に応じて新たに成分を組み合わせて使用して
もよい。
【0091】また、成分(A)、(B)及び成分(C)
を予め接触させる際、重合させるモノマーを存在させて
α−オレフィンの一部を重合する、いわゆる予備重合を
行うことも出来る。すなわち、重合の前に、エチレン、
プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテ
ン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテ
ン、ビニルシクロアルカン、スチレン等のオレフィンの
予備重合を行い、必要に応じて洗浄した予備重合生成物
を触媒として使用することも出来る。この予備重合は、
不活性溶媒中で穏和な条件で行うことが好ましく、固体
触媒1g当たり、通常0.01〜1000g、好ましく
は0.1〜100gの重合体が生成する様に行うのが好
ましい。
【0092】成分(A)及び(B)の使用量は任意であ
る。例えば、溶媒重合の場合、成分(A)の使用量は、
遷移金属原子として、通常10-7〜102mmol/L、好
ましくは10-4〜1mmol/Lの範囲とされる。アルミニ
ウムオキシ化合物の場合、Al/遷移金属のモル比は、
通常10〜105、好ましくは100〜2×104、更に
好ましくは100〜104の範囲とされる。一方、成分
(B)としてイオン性化合物またはルイス酸を使用した
場合、遷移金属に対するこれらのモル比は、通常0.1
〜1,000、好ましくは0.5〜100、更に好まし
くは1〜50の範囲とされる。
【0093】次に、本発明のα−オレフィン重合用触媒
(2)について説明する。この触媒は、必須成分(D)
として、珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物または無
機珪酸塩を含み、任意成分(E)として有機アルミニウ
ム化合物を含む。
【0094】上記のイオン交換性層状化合物としては、
六方最密パッキング型、アンチモン型、CdCl2型、
CdI2型などの層状の結晶構造を有するイオン結晶性
化合物が挙げられ、その具体例としては、α−Zr(H
AsO42・H2O、α−Zr(HPO42、α−Zr
(KPO42・3H2O、α−Ti(HPO42、α−
Ti(HAsO42・H2O、α−Sn(HPO42
2O、γ−Zr(HPO42、γ−Ti(HP
42、γ−Ti(NH4PO42・H2O等の多価金属
の結晶性酸性塩が挙げられる。
【0095】上記のイオン交換性層状化合物は、必要に
応じて塩類処理および/または酸処理を行って使用して
もよい。塩類処理も酸処理も施されていない状態の、珪
酸塩を除くイオン交換性層状化合物は、イオン結合等に
よって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重
なった結晶構造をとる化合物であり、含有するイオンの
交換が可能である。
【0096】上記の無機珪酸塩としては、粘土、粘土鉱
物、ゼオライト、珪藻土などが挙げられる。これらは、
合成品を使用してもよいし、天然に産出する鉱物を使用
してもよい。粘土および粘土鉱物の具体例としては、ア
ロフェン等のアロフェン族、ディッカイト、ナクライ
ト、カオリナイト、アノーキサイト等のカオリン族、メ
タハロイサイト、ハロイサイト等のハロイサイト族、ク
リソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石
族、モンモリロナイト、ソーコナイト、バイデライト、
ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト等のスメク
タイト、バーミキュライト等のバーミキュライト鉱物、
イライト、セリサイト、海緑石などの雲母鉱物、アタパ
ルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベント
ナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、ヒシンゲル石、パイ
ロフィライト、リョクデイ石群などが挙げられる。これ
らは混合層を形成していてもよい。また、人工合成物と
しては、合成雲母、合成ヘクトライト、合成サポナイ
ト、合成テニオライト等が挙げられる。
【0097】上記の無機珪酸塩の中では、カオリン族、
ハロサイト族、蛇紋石族、スメクタイト、バーミキュラ
イト鉱物、雲母鉱物、合成雲母、合成ヘクトライト、合
成サポナイト又は合成テニオライトが好ましく、スメク
タイト、バーミキュライト鉱物、合成雲母、合成ヘクト
ライト、合成サポナイト又は合成テニオライトが更に好
ましい。これらは、特に処理を行うことなくそのまま使
用してもよいし、ボールミル、篩い分け等の処理を行っ
た後に使用してもよい。また、単独で使用しても、2種
以上を混合して使用してもよい。
【0098】上記の無機珪酸塩は、必要に応じ、塩類処
理および/または酸処理により、固体の酸強度を変える
ことが出来る。また、塩類処理においては、イオン複合
体、分子複合体、有機誘導体などを形成することによ
り、表面積や層間距離を変えることが出来る。すなわ
ち、イオン交換性を利用し、層間の交換性イオンを別の
大きな嵩高いイオンと置換することにより、層間が拡大
した状態の層状物質を得ることが出来る。
【0099】イオン交換性層状化合物および無機珪酸塩
は、未処理のまま使用してもよいが、含有される交換可
能な金属陽イオンを次に示す塩類および/または酸より
解離した陽イオンとイオン交換することが好ましい。
【0100】上記のイオン交換に使用する塩類は、1〜
14族原子から成る群より選ばれた少なくとも一種の原
子を含む陽イオンを含有する化合物であり、好ましく
は、1〜14族原子から成る群より選ばれた少なくとも
一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲン原子、無機酸お
よび有機酸から成る群より選ばれた少なくとも一種の原
子または原子団よりより誘導される陰イオンとから成る
化合物であり、更に好ましくは、2〜14族原子から成
る群より選ばれた少なくとも一種の原子を含む陽イオン
と、Cl、Br、I、F、PO4、SO4、NO3、C
3、C24、ClO4、OOCCH3、CH3COCHC
OCH3、OCl2、O(NO32、O(ClO42、O
(SO4)、OH、O2Cl2、OCl3、OOCH及びO
OCCH2CH3から成る群より選ばれた少なくとも一種
の陰イオンとから成る化合物である。また、これら塩類
は2種以上を同時に使用してもよい。
【0101】上記のイオン交換に使用する酸は、好まし
くは、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、シュウ酸から選択さ
れ、これらは、2種以上を同時に使用してもよい。塩類
処理と酸処理を組み合わせる方法としては、塩類処理を
行った後に酸処理を行う方法、酸処理を行った後に塩類
処理を行う方法、塩類処理と酸処理を同時に行う方法、
塩類処理を行った後に塩類処理と酸処理を同時に行う方
法などがある。なお、酸処理は、イオン交換や表面の不
純物を取り除く効果の他、結晶構造のAl、Fe、M
g、Li等の陽イオンの一部を溶出させる効果がある。
【0102】塩類および酸による処理条件は特に制限さ
れない。しかしながら、通常、塩類および酸濃度は0.
1〜30重量%、処理温度は室温から使用溶媒の沸点の
範囲の温度、処理時間は5分から24時間の条件を選択
し、被処理化合物の少なくとも一部を溶出する条件で行
うことが好ましい。また、塩類および酸は一般的には水
溶液で使用される。
【0103】上記の塩類処理および/または酸処理を行
う場合、処理前、処理間、処理後に粉砕や造粒などで形
状制御を行ってもよい。また、アルカリ処理や有機化合
物処理、有機金属処理などの他の化学処理を併用しても
よい。この様にして得られる成分(B)としては、水銀
圧入法で測定した半径20Å以上の細孔容積が0.1c
c/g以上、特には0.3〜5cc/gであることが好
ましい。斯かる成分(B)は、水溶液中で処理した場
合、吸着水および層間水を含む。ここで、吸着水とは、
イオン交換性層状化合物または無機珪酸塩の表面あるい
は結晶破面に吸着された水であり、層間水とは、結晶の
層間に存在する水である。
【0104】本発明において、成分(D)は、上記の様
な吸着水および層間水を除去してから使用することが好
ましい。脱水方法は、特に制限されないが、加熱脱水、
気体流通下の加熱脱水、減圧下の加熱脱水および有機溶
媒との共沸脱水などの方法が使用される。加熱温度は、
吸着水および層間水が残存しない様な温度範囲とされ、
通常100℃以上、好ましくは150℃以上とされる
が、構造破壊を生じる様な高温条件は好ましくない。加
熱時間は、0.5時間以上、好ましくは1時間以上であ
る。その際、脱水乾燥した後の成分(D)の重量減量
は、温度200℃、圧力1mmHgの条件下で2時間吸
引した場合の値として3重量%以下であることが好まし
い。本発明においては、重量減量が3重量%以下に調整
された成分(D)を使用する場合、必須成分(A)及び
後述の任意成分(E)と接触する際にも、同様の重量減
量の状態が保持される様に取り扱うことが好ましい。
【0105】本発明のα−オレフィン重合用触媒(2)
において、任意成分(E)としての有機アルミニウム化
合物の一例は、次の一般式(VII)で表される。
【0106】
【化11】 AlRa3-a (VII)
【0107】一般式(VII)中、Rは炭素数1〜20の
炭化水素基、Pは、水素、ハロゲン、アルコキシ基また
はシロキシ基を示し、aは0より大きく3以下の数を示
す。一般式(VII)で表される有機アルミニウム化合物
の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチ
ルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソ
ブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジ
エチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニ
ウムモノメトキシド等のハロゲン又はアルコキシ含有ア
ルキルアルミニウムが挙げられる。これらの中では、ト
リアルキルアルミニウムが好ましい。本発明のα−オレ
フィン重合用触媒(2)においては、成分(E)とし
て、一般式(VII)で表される有機アルミニウム化合物
以外にメチルアルミノキサン等のアルミノキサン類など
も使用できる。また、上記の有機アルミニウム化合物と
アルミノキサン類とを併用することも出来る。
【0108】本発明のα−オレフィン重合用触媒(2)
は、α−オレフィン重合用触媒(1)の場合と同様の方
法により調製することが出来る。この際、必須成分
(A)及び成分(D)と任意成分(E)の接触方法は、
特に限定されないが、次の様な方法を例示することが出
来る。なお、この接触は、触媒調製時だけでなく、オレ
フィンによる予備重合時またはオレフィンの重合時に行
ってもよい。
【0109】
【表16】(1)成分(A)と成分(D)とを接触させ
る方法 (2)成分(A)と成分(D)とを接触させた後に成分
(E)を添加する方法 (3)成分(A)と成分(E)とを接触させた後に成分
(D)を添加する方法 (4)成分(D)と成分(E)とを接触させた後に成分
(A)を添加する方法 (5)成分(A)、(D)、(E)を同時に接触させ
る。
【0110】上記の各成分の接触の際もしくは接触の後
に、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体、シリ
カ、アルミナ等の無機酸化物の固体を共存させるか、ま
たは、接触させてもよい。
【0111】また、上記の各成分の接触は、窒素などの
不活性ガス中、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエ
ン、キシレン等の不活性炭化水素溶媒中で行ってもよ
い。接触は、−20℃から溶媒の沸点の間の温度で行
い、特に室温から溶媒の沸点の間での温度で行うのが好
ましい。
【0112】上記の各成分の使用量は次の通りである。
すなわち、成分(D)1g当たり、成分(A)は、通常
10-4〜10mmol、好ましくは10-3〜5mmolであり、
成分(E)は、通常0.01〜104mmol、好ましくは
0.1〜100mmolである。また、成分(A)中の遷移
金属と成分(E)中のアルミニウムの原子比は、通常
1:0.01〜106、好ましくは1:0.1〜105
ある。この様にして調製された触媒は、調製後に洗浄せ
ずに使用してもよく、また、洗浄した後に使用してもよ
い。また、必要に応じて新たに成分(E)を組み合わせ
て使用してもよい。すなわち、成分(A)及び/又は
(D)と成分(E)とを使用して触媒調製を行った場合
は、この触媒調製とは別途に更に成分(E)を反応系に
添加してもよい。この際、使用される成分(E)の量
は、成分(A)中の遷移金属に対する成分(E)中のア
ルミニウムの原子比で1:0〜104、好ましくは1:
1〜103なる様に選ばれる。
【0113】次に、本発明に係るα−オレフィン重合体
の製造方法について説明する。本発明においては、前述
の本発明の触媒とα−オレフィンとを接触させて重合ま
たは共重合を行う。本発明のα−オレフィン重合用触媒
(1)又は(2)は、溶媒を使用する溶媒重合に適用さ
れる他、実質的に溶媒を使用しない液相無溶媒重合、気
相重合、溶融重合にも適用される。また、重合方式は、
連続重合および回分式重合の何れであってもよい。
【0114】溶媒重合における溶媒としては、ヘキサ
ン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、
トルエン等の不活性な飽和脂肪族または芳香族炭化水素
の単独あるいは混合物が使用される。重合温度は、通常
−78〜250℃、好ましくは−20〜100℃とされ
る。反応系のオレフィン圧は、特に制限されないが、好
ましくは常圧から2000kgf/cm2G、更に好ま
しくは常圧から50kgf/cm2Gの範囲とされる。
また、例えば、温度や圧力の選定または水素の導入など
の公知の手段により分子量調節を行なうことも出来る。
【0115】原料のα−オレフィンとしては、炭素数が
通常2〜20、好ましくは2〜10のα−オレフィンが
使用され、その具体例としては、エチレン、プロピレ
ン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキ
セン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−
テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、
1−エイコセン等が挙げられる。本発明の触媒は、立体
規則性重合を目的とする炭素数3〜10のα−オレフィ
ン、特にプロピレンの重合に好適に使用される。
【0116】また、本発明の触媒は、上記の各α−オレ
フィン同志またはα−オレフィンとの他の単量体との共
重合にも適用可能である。α−オレフィンと共重合可能
な他の単量体としては、例えば、ブタジエン、1,4−
ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、7−メチル−1,
6−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジ
エンの様な共役および非共役ジエン類、シクロプロペ
ン、シクロブテン、シクロペンテン、ノルボルネン、ジ
シクロペンタジエンの様な環状オレフィンが挙げられ
る。また、重合に際しては、多段階に条件を変更するい
わゆる多段重合、例えば、一段目にプロピレンの重合を
行い、二段目にエチレンとプロピレンの共重合を行う所
謂ブロック共重合も可能である。
【0117】本発明の遷移金属化合物をα−オレフィン
重合用触媒成分とすることにより、後述の実施例に示す
通り、得られるポリマーの融点が高く、分子量が大きく
なり、MFRが低下する等の効果が達成される。その理
由は、必ずしも明かではないが、一応、次の様に推定す
ることが出来る。
【0118】すなわち、本発明の遷移金属化合物におけ
る置換基R7又はR8は、それらが結合するR3又はR6
7員以上の縮合環を形成するため、5員環部分とR3
はR6とで形成される縮合環平面から、ある程度の角度
を持った立体配置を占める。しかも、架橋基Qに環状置
換基Aが結合していることにより、立体的に嵩高くな
り、適度な立体障害と形状とを形成する。その結果、ポ
リマー鎖の成長方向およびモノマーの配位方向を規制す
る作用が高められ、生成するポリマーの立体規則性が向
上し、ひいては、融点の高いポリマーが得られると推定
される。更に、R3又はR6によって形成される7〜10
員環に存在する2重結合と、Aに含まれる2重結合によ
り、置換基R7、R8又はRaの動きが抑制されて配位子
構造が堅固となるため、重合温度が高くなっても、立体
規則性に優れた高分子量のポリマーが得られると推定さ
れる。
【0119】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に
説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下
の実施例に限定されるものではない。なお、以下の諸例
において、触媒合成工程および重合工程は、全て精製窒
素雰囲気下で行い、溶媒は、MS−4Aで脱水した後に
精製窒素でバブリングして脱気して使用した。また、固
体触媒成分当たりの活性は触媒活性として(単位:g−
ポリマー/g−固体)、錯体成分当たりの活性は錯体活
性として(単位:g−ポリマー/g−錯体)表した。
【0120】(1)MFRの測定:ポリマー6gに熱安
定剤(BHT)のアセトン溶液(0.6重量%)6gを
添加した。次いで、上記のポリマーを乾燥した後、メル
トインデクサー(230℃)に充填し、2.16Kg荷
重の条件下に5分間放置した。その後、ポリマーの押し
出し量を測定し、10分間当たりの量に換算し、MFR
の値とした。
【0121】(2)分子量分布の測定:GPCにより得
られた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)
の比(Mw/Mn=Q値)により決定した。GPC装置
は、Waters社製「150CV型」を使用した。溶
媒はオルトジクロルベンゼンを使用し、測定温度は13
5℃とした。
【0122】(3)融点の測定:DSC(デュポン社製
「TA2000型」)を使用し、10℃/分で20〜2
00℃までの昇降温を1回行った後の2回目の昇温時の
測定により求めた。
【0123】実施例1 (1)9−シラフルオレン−9,9−ジイルビス{1,1
´−(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニ
ル)}ジルコニウムジクロリドの合成:2−メチルアズ
レン0.8g(5.6mmol)とヘキサン10mlの
溶液に−5℃でフェニルリチウムのシクロヘキサン−ジ
エチルエーテル溶液(1.08M)5.2ml(5.6
mmol)を滴下した。得られた溶液を徐々に室温まで
戻しながら2時間攪拌した後、反応溶液を0℃に冷却
し、テトラヒドロフラン10ml及びジメチルアミノピ
リジン0.017gを添加し、更に、9,9−ジクロロ
−9−シラフルオレン0.7g(2.8mmol)を添
加した。反応溶液を室温で1時間攪拌後、希塩酸を添加
して反応を停止し、水相をエーテルで抽出処理し、抽出
した有機相の全部を硫酸マグネシウムで乾燥した。減圧
下に溶媒を留去した後、シリカゲルカラムクロマトグラ
フィーで精製し、暗緑色粉末0.9gを得た。
【0124】次に、上記反応生成物0.9gをジエチル
エーテル6mlに溶解し、これに−78℃でn−ブチル
リチウムのn−ヘキサン溶液(1.47M)1.98m
l(2.9mmol)を滴下した。滴下終了後、反応溶
液を徐々に室温まで戻しながら4時間攪拌した。減圧下
溶媒を留去した後、トルエンとジエチルエーテルの混合
溶媒(40:1)15mlを添加して−78℃に冷却
し、これに四塩化ジルコニウム0.35g(1.5mm
ol)を添加した。その後、直ちに室温まで戻し12時
間攪拌した。得られた反応液を減圧下溶媒を留去し、ト
ルエンを添加し生じた懸濁液を窒素気流下セライト上で
濾別した。得られた固体をトルエンで洗浄した後、ジク
ロロメタンで抽出し、抽出液からジクロロメタン溶媒を
留去し、9−シラフルオレン−9,9−ジイルビス{1,
1´−(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレ
ニル)}ジルコニウムジクロリドのラセミ・メソ混合物
0.25g(収率22%)を得た。
【0125】上記のラセミ・メソ混合物の1H−NMR
のケミカルシフトは次の通りであった。300MHz,CD
Cl3(ppm)2.40(s,メソ体2−Me)、2.4
4(s,ラセミ体2−Me)、5.01(br s,ラセ
ミ体4−H)、5.03(br s,メソ体4−H)、
5.8−6.2(m,−CH=)、7.1−7.7(m,
−CH=)、7.9−8.1(m,−CH=)、8.3
−8.5(m,−CH=)
【0126】(2)メチルアルモキサンを助触媒とする
プロピレンの重合:内容積1Lの攪拌式オートクレーブ
中にメチルアルモキサン(東ソー・アクゾ社製「MMA
O」)2mmol(Al原子換算)を導入した。一方、
破裂板付き触媒フィーダーに上記のラセミ・メソ混合物
0.1mgをトルエンで希釈して導入した。その後、オ
ートクレーブにプロピレン 700mlを導入し、室温
で破裂板をカットし、70℃に昇温して1時間の重合操
作を行い、ポリプロピレン20gを得た。錯体活性は2
0×104 であった。ポリプロピレンのTmは152.
8℃、MFRは1.3、Mwは3.4×105、Qは
2.6であった。
【0127】実施例2 <メチルアルモキサンを助触媒とするプロピレンの重合
>内容積1Lの攪拌式オートクレーブ中に、トルエン5
00mlを導入した後、メチルアルモキサン(東ソー・
アクゾ社製「MMAO」)2.1mmol(Al原子換
算)と実施例1(1)で得たラセミ・メソ混合物0.3
mgをトルエンで希釈して導入した。その後、プロピレ
ン を導入し、70℃に昇温し、プロピレン圧を5Kgf
/cm2Gに保ち、1時間の重合操作を行い、ポリプロ
ピレン4gを得た。錯体活性は1.3×104 であっ
た。ポリプロピレンのTmは156.2℃、Mwは2.
4×105、Qは2.7であった。
【0128】実施例3 <粘土鉱物を助触媒とするプロピレンの重合> (1)粘土鉱物の化学処理および固体触媒成分の調製:
硫酸10gと脱塩水90mlから成る希硫酸に10gの
モンモリロナイト(クニミネ工業社製「クニピアF」)
を分散させ、沸点まで昇温した後に6時間攪拌処理し
た。その後、回収したモンモリロナイトを脱塩水で十分
洗浄し、予備乾燥した後に200℃で2時間乾燥し、化
学処理された粘土鉱物を得た。この化学処理されたモン
モリロナイト200mgに、濃度0.5mol/lのト
リエチルアルミニウムのトルエン溶液0.8mlを加
え、室温で1時間攪拌した。その後、トルエンで洗浄
し、33mg/mlのモンモリロナイト−トルエンスラ
リーを得た。
【0129】(2)重合:内容積1Lの攪拌式オートク
レーブ中にトリイソブチルアルミニウム(東ソー・アク
ゾ社製)0.25mmol(Al原子換算)を導入し
た。一方、破裂板付き触媒フィーダーに、実施例1
(1)で得たラセミ・メソ混合物3mgをトルエンで希
釈して導入し、更に、上記で得たトリエチルアルミニウ
ム処理したモンモリロナイトを50mg及びトリイソブ
チルアルミニウム0.15mmol(Al原子換算)を
導入した。その後、オートクレーブにプロピレン700
mlを導入し、室温で破裂板をカットし、80℃に昇温
して1時間の重合操作を行い、ポリプロピレン72gを
得た。触媒活性は1.4×103、錯体活性は3.0×
104 であった。ポリプロピレンのTmは147.9
℃、MFRは21.3、Mwは1.7×105、Qは
2.3であった。
【0130】比較例1 (1)ジメチルシリレンビス{1,1´−(2−メチル
−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)}ジルコニウ
ムジクロリドの合成: (a)ラセミ・メソ混合物の合成;特開昭62−207
232号公報に記載の方法に従って合成した2−メチル
アズレン2.22gをヘキサン30mlに溶解し、フェ
ニルリチウムのシクロヘキサン−ジエチルエーテル溶液
15.6ml(1.0等量)を0℃で少しずつ加えた。
この溶液を室温で1時間攪拌した後、−78℃に冷却し
てテトラヒドロフラン30mlを加えた。この溶液にジ
メチルジクロロシラン0.95mlを加え、室温まで戻
し、更に、50℃で1.5時間加熱した。その後、塩化
アンモニウム水溶液を加えて分液した後、有機相を硫酸
マグネシウムで乾燥し、減圧下溶媒を留去した。得られ
た粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘ
キサン−ジクロロメタン=5:1)で精製し、ジメチル
ビス{1,1´−(2−メチル−4−フェニル−1,4−
ジヒドロアズレニル)}シラン1.48gを得た。
【0131】上記で得られたジメチルビス{1,1´−
(2−メチル−4−フェニル−1,4−ジヒドロアズレ
ニル)}シラン768mgをジエチルエーテル15ml
に溶解し、これに−78℃でn−ブチルリチウムのヘキ
サン溶液1.98ml(1.64mol/L)を滴下
し、徐々に室温まで戻しながら12時間攪拌した。減圧
下に溶媒を留去した後、得られた固体をヘキサンで洗浄
し減圧乾固した。これにトルエン・ジエチルエーテルの
混合溶媒(40:1)20mlを加え、−60℃で四塩
化ジルコニウム325mgを加え、徐々に室温まで戻し
ながら15時間攪拌した。得られた溶液を減圧下に濃縮
し、ヘキサンを加えて再沈殿し、ジメチルシリレンビス
{1,1´−(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロ
アズレニル)}ジルコニウムジクロリドのラセミ・メソ
混合物(下記のスペクトルデータを示すラセミ・メソ混
合物)150mgを得た。
【0132】(b)ラセミ体の精製;上記のラセミ・メ
ソ混合物887mgをジクロロメタン30mlに溶解
し、100W高圧水銀ランプを有するパイレックスガラ
ス製容器に導入した。そして、溶液を攪拌しながら常圧
下に30分間光照射(300nm〜600nm)してラ
セミ体の比率を高めた後、ジクロロメタンを減圧下留去
した。得られた黄色固体にトルエン7mlを加えて攪拌
した後、静置させて黄色固体を沈殿させ上澄み液を除去
した。更に、同様の洗浄操作をトルエン4ml、2m
l、ヘキサン2mlによって3回行った後、得られた固
形物を減圧下乾固し、ジメチルシリレンビス{1,1´
−(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニ
ル)}ジルコニウムジクロリドのラセミ体437mgを
得た。
【0133】<ラセミ体の1H−NMRのケミカルシフ
ト>300MHz,C66(ppm)δ0.51(s,6H,S
i(CH32 )、1.92(s,6H,CH3 )、5.
30(br d,2H)、5.75−5.95(m,6
H)、6.13(s,2H)、6.68(d,J=14H
z,2H)、7.05−7.20(m,2H,arom)、7.
56(d,J=7Hz,4H)
【0134】<メソ体の1H−NMRのケミカルシフト
>300MHz,C66(ppm)δ0.44(s,6H,Si
CH3 )、0.59(s,6H,SiCH3 )、1.84
(s,6H,CH3 )、5.38(br d,2H)、
5.75−6.00(m,6H)、6.13(s,2
H)、6.78(d,J=14Hz,2H)、7.00−
7.20(m,2H,arom)、7.56(d,J=7Hz,4
H)
【0135】(2)メチルアルモキサンを助触媒とする
プロピレンの重合:内容積2Lの攪拌式オートクレーブ
中にメチルアルモキサン(東ソー・アクゾ社製「MMA
O」)4mmol(Al原子換算)及び上記(1)で得
たラセミ体0.26mg(0.4μmol)を入れ、プ
ロピレン1500mlを導入した。70℃に昇温して1
時間重合操作を行い、ポリプロピレン43.5gを得
た。錯体活性は16.7×104であった。ポリプロピ
レンのTmは150.9、MFRは1.3、Mwは3.
5×105 、Qは2.7であった。
【0136】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、新規な遷
移金属化合物が提供されるが、斯かる遷移金属化合物を
含む本発明の触媒によれば、生成ポリマーの分子量およ
び立体規則性を低下させることなく、押出成形や射出成
形が可能な高分子量で且つ高融点のオレフィン重合体を
高収率で得ることが出来る。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表される新規な遷移
    金属化合物。 【化1】 (一般式(I)中、R1、R2、R4、R5は、それぞれ独
    立して、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、炭素
    数1〜18のケイ素含有炭化水素基または炭素数1〜1
    8のハロゲン化炭化水素基、R3及びR6は、それぞれ独
    立して、それが結合する五員環に対して縮合環を形成す
    る炭素数3〜10の飽和または不飽和の2価の炭化水素
    基を示す。ただし、R3及びR6の少なくとも一方の炭素
    数は5〜8であり、R3又はR6由来の不飽和結合を有す
    る7〜10員環から成る縮合環を形成する。R7及びR8
    は、それぞれ独立して、炭素数1〜20の炭化水素基、
    炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜2
    0の酸素含有炭化水素基、アミノ基、炭素数1〜20の
    窒素含有炭化水素基または炭素数1〜20の硫黄含有炭
    化水素基を示す。Qは、ケイ素原子、ゲルマニウム原子
    またはスズ原子、Aは、それが結合するQと共に環を形
    成する炭素数3〜12の2価の不飽和炭化水素基、Ra
    は、炭素数1〜10の飽和または不飽和炭化水素基を示
    す。m及びnは、それぞれ独立して0〜20の整数を示
    す。ただし、m及びnが同時に0となることはない。m
    又はnが2以上の場合、それぞれ、R7同士またはR8
    士が連結して新たな環構造を形成していてもよい。ま
    た、lは0〜22の整数を示す。lが2以上の場合、R
    a同士が連結して新たな環構造を形成してもよい。X及
    びYは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、
    炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素
    含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素
    基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、アミノ基ま
    たは炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基を示し、Mは
    周期律表4〜6族遷移金属を示す。)
  2. 【請求項2】 Aが炭素数3〜6の2価の不飽和炭化水
    素基であり、Raのlが0〜10の整数である請求項1
    に記載の遷移金属化合物。
  3. 【請求項3】 Aが不飽和結合を2個含む炭素数4から
    成る5員環を形成し、Raのlが0〜4の整数である請
    求項1に記載の遷移金属化合物。
  4. 【請求項4】 Qがケイ素またはゲルマニウム原子であ
    る請求項1〜3の何れかに記載の遷移金属化合物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れかに記載の遷移金属
    化合物から成ることを特徴とするオレフィン重合用触媒
    成分。
  6. 【請求項6】 次の必須成分(A)及び(B)と任意成
    分(C)を含むことを特徴とするα−オレフィン重合用
    触媒。 成分(A):請求項1〜4の何れかに記載の遷移金属化
    合物 成分(B):アルミニウムオキシ化合物、成分(A)と
    反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能な
    イオン性化合物またはルイス酸 成分(C):微粒子担体
  7. 【請求項7】 次の必須成分(A)及び(D)と任意成
    分(E)を含むことを特徴とするα−オレフィン重合用
    触媒。 成分(A):請求項1〜4の何れかに記載の遷移金属化
    合物 成分(D):珪酸塩を除くイオン交換性層状化合物また
    は無機珪酸塩 成分(E):有機アルミニウム化合物
  8. 【請求項8】 請求項6又は7に記載の触媒とα−オレ
    フィンとを接触させて重合または共重合を行うことを特
    徴とするα−オレフィン重合体の製造方法。
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