JPH11189556A - アルカジエノール類の製造方法 - Google Patents

アルカジエノール類の製造方法

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JPH11189556A
JPH11189556A JP9356820A JP35682097A JPH11189556A JP H11189556 A JPH11189556 A JP H11189556A JP 9356820 A JP9356820 A JP 9356820A JP 35682097 A JP35682097 A JP 35682097A JP H11189556 A JPH11189556 A JP H11189556A
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JP
Japan
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palladium
catalyst
mol
alkadienols
reaction
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JP9356820A
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English (en)
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Tomoyuki Mori
知行 森
Hiroshi Kameo
広志 亀尾
Shinji Isotani
真治 磯谷
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 パラジウムと有機リン化合物とを触媒とし
て、共役アルカジエンと水とを反応させてアルカジエノ
ールを製造する方法において、触媒活性を低下させるこ
となく触媒を循環使用する方法を提供する。 【解決手段】 触媒としてパラジウムとこれに対し2モ
ル以上の単座配位性有機リン化合物及び0.05〜0.
5モルの二座配位性有機リン化合物とを併用し、且つ反
応液の蒸留を100〜160℃、触媒の滞留時間1.5
時間以下の条件下で行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は均一系触媒の存在下
に、共役アルカジエンと水とを反応させてアルカジエノ
ール類を製造する方法に関するものである。詳しくは本
発明は、高活性の触媒を形成させ、且つ触媒の循環使用
に伴う失活を防止する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】パラジウムと有機リン化合物を含む触媒
及び二酸化炭素の存在下に、共役アルカジエンと水とを
反応させて、アルカジエノール類を製造することは公知
である。例えば特公昭50−10565号公報には、有
機リン化合物としてトリフェニルホスフィンを用いて反
応を行ったことが記載されている。この方法によるアル
カジエノール類の製造では、反応により生成したアルカ
ジエノール類を含む反応生成液を蒸留して、塔頂からア
ルカジエノール類を留出させて回収し、塔底からは触媒
を含む蒸留残液を取得し、これを触媒液として反応に循
環使用することが行われている。触媒に用いられている
パラジウムは極めて高価なので、この循環使用に際して
の触媒の失活を如何に少なくするかは、この方法を工業
的に実施して成功するか否かの支配的要因の一つであ
る。触媒の循環使用に際しての失活を防止する方法とし
て、特公昭64−2092号公報には、有機リン化合物
としてパラジウム1モル当たり6モル以上の単座配位性
ホスフィンと0.3〜3モルの二座配位性ホスフィンと
を併用することが記載されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】特公昭64−2092
号公報に記載の方法には、解決すべきいくつかの問題が
含まれている。その一つは高価な二座配位性ホスフィン
を多量に用いることである。また、他の一つは二座配位
性ホスフィンの添加により本来の触媒活性が低下するこ
とである。従って本発明は、二座配位性ホスフィンを用
いて、しかもこれらの問題の無いアルカジエノール類の
製造方法を提供せんとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、パラジ
ウムと有機リン化合物を含む触媒が溶解している溶液及
び二酸化炭素の存在下に、共役アルカジエンと水とを反
応させてアルカジエノール類を含む反応生成液を生成さ
せ、これを蒸留してアルカジエノール類を留出させて回
収すると共に触媒を含む溶液を取得し、これを触媒液と
して反応に循環使用するアルカジエノール類の製造方法
において、反応をパラジウム1モルに対して2モル以上
の単座配位性有機リン化合物及び0.05〜0.5モル
の二座配位性有機リン化合物の存在下に行い、且つ反応
生成液からアルカジエノール類を回収するための蒸留
を、蒸留塔における塔底液の温度が100〜160℃
で、且つ蒸留塔における触媒の滞留時間が1.5時間以
下となる条件下で行うことにより、高活性の触媒を失活
させることなく循環使用することができる。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明について詳細に説明する
と、本発明ではパラジウム1モルに対して2モル以上の
単座配位性有機リン化合物と0.05〜0.5モルの二
座配位性有機リン化合物を用いる以外は、共役アルカジ
エンと水とからアルカジエノール類を生成させる反応そ
のものは、常法に従って行うことができる。原料の共役
アルカジエンとしては、1,3−ブタジエン、2−エチ
ル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメチル−1,3−
ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、クロ
ロプレン、1,3−オクタジエンなどが挙げられる。原
料が1,3−ブタジエンである場合、容易に入手可能な
ものとしては、精製1,3−ブタジエンの他、所謂BB
P(ブテン−ブタジエン留分)、すなわち、ナフサ分解
生成物中のC4留分混合物などが挙げられる。BBPを
原料とする場合は、原料BBP中に含有されるアセチレ
ン類およびアレン類を予め除去しておくことが望まし
い。原料中のアセチレン類およびアレン類の総濃度は、
可能な限り低いことが望ましいが、通常、1,3−ブタ
ジエンに対して約1.0重量%以下とする。アセチレン
類およびアレン類を除去する方法としては、選択的水素
化等の公知の方法が適宜採用可能である。
【0006】もう一方の原料である水としては、水和二
量化反応に影響を与えない程度の純度の水であればよ
い。反応に供する溶液中の水の濃度は、通常1〜20重
量%が好ましく、更に3〜15重量%がより好ましく、
特に5〜12重量%が好ましい。水の濃度が高すぎる
と、溶液が2液層となりアルカジエノール類の選択率が
低下する。また、低すぎると水の付加が遅くなり、同じ
くアルカジエノール類の選択率が低下する。触媒を形成
するのに用いるパラジウムとしては、種々の形態及び原
子価のものを用いることができる。そのいくつかを例示
すると、パラジウム黒、担体付パラジウム金属などの金
属パラジウム;ビス(t−ブチルイソニトリル)パラジ
ウム(0)、ビス(t−アミルイソニトリル)パラジウ
ム(0)、ビス(シクロヘキシルイソニトリル)パラジ
ウム(0)、ビス(フェニルイソニトリル)パラジウム
(0)、ビス(p−トリルイソニトリル)パラジウム
(0)、ビス(2,6−ジメチルフェニルイソニトリ
ル)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセト
ン)二パラジウム(0)、(1,5−シクロオクタジエ
ン)(無水マレイン酸)パラジウム(0)、ビス(ノル
ボルネン)(無水マレイン酸)パラジウム(0)、ビス
(無水マレイン酸)(ノルボルネン)パラジウム
(0)、(ジベンジリデンアセトン)(ビピリジル)パ
ラジウム(0)、(p−ベンゾキノン)(o−フェナン
スロリン)パラジウム(0)等の0価パラジウム錯体;
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム
(0)、トリス(トリフェニルホスフィン)パラジウム
(0)、ビス(トリトリルホスフィン)パラジウム
(0)、ビス(トリキシリルホスフィン)パラジウム
(0)、ビス(トリメシチルホスフィン)パラジウム
(0)、ビス[トリス(テトラメチルフェニル)ホスフ
ィン]パラジウム(0)、ビス[トリス(メチルメトキ
シフェニル)ホスフィン]パラジウム(0)等のホスフ
ィン化合物を配位子として持つテトラキス(ホスフィ
ン)パラジウム、トリス(ホスフィン)パラジウム、及
びビス(ホスフィン)パラジウム型錯体および対応する
ホスファイト化合物を配位子として持つテトラキス(ホ
スファイト)パラジウム、トリス(ホスファイト)パラ
ジウム、及びビス(ホスファイト)パラジウム型錯体;
塩化パラジウム(II)、硝酸パラジウム(II)、テトラ
アンミンジクロロパラジウム(II)、ジナトリウムテト
ラクロロパラジウム(II)等のパラジウム無機塩;酢酸
パラジウム(II)、安息香酸パラジウム(II)、α−ピ
コリン酸パラジウム(II)等のパラジウムカルボン酸
塩;ビス(アセチルアセトン)パラジウム(II)、ビス
(8−オキシキノリン)パラジウム(II)等のパラジウ
ムキレート化合物;ビス(アリル)パラジウム(II)、
(η−アリル)(η−シクロペンタジエニル)パラジウ
ム(II)、(η−シクロペンタジエニル)(1,5−シ
クロオクタジエン)パラジウム(II)テトラフルオロ硼
酸塩、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)酢酸
塩、ジ−μ−クロロ−ジクロロビス(トリフェニルホス
フィン)二パラジウム(II)、ビス(トリ−n−ブチル
ホスフィン)パラジウム(II)酢酸塩、2,2−ビピリ
ジルパラジウム(II)酢酸塩などの2価パラジウム錯体
等が挙げられる。上記のパラジウム化合物中では、テト
ラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)、
ビス(トリトリルホスフィン)パラジウム(0)、ビス
(トリキシリル)パラジウム(0)、ビス[トリス(メ
チルメトキシフェニル)ホスフィン]パラジウム
(0)、酢酸パラジウム(II) 、ビス(アセチルアセト
ン)パラジウム(II)が好ましい。
【0007】パラジウムの使用量は、共役アルカジエン
1モル当たりパラジウム原子に換算して0.00001
〜1モル、好ましくは0.0001〜0.5モルの範囲
で適宜決定される。共触媒として使用するリン化合物と
しては、単座配位性及び二座配位性の各種のホスフィン
類、ホスフィナイト類、ホスホナイト類、及びホスファ
イト類が挙げられる。単座配位性有機リン化合物として
は、トリオクチルホスフィン、トリブチルホスフィン、
ジメチルオクチルホスフィン等のトリアルキルホスフィ
ン;トリシクロヘキシルホスフィン等のトリシクロアル
キルホスフィン;トリフェニルホスフィン、トリトリル
ホスフィン、トリキシリルホスフィン、トリメシチルホ
スフィン、トリス(テトラメチルフェニル)ホスフィ
ン、ジフェニル−p−クロロフェニルホスフィン、トリ
ス(p−メトキシフェニル)ホスフィン等のトリアリー
ルホスフィン;ジフェニルエチルホスフィン、ジメチル
フェニルホスフィン等の第3級アルキルアリールホスフ
ィン;ジオクチルオクトキシホスフィン、ジブチルブト
キシホスフィン等のアルキルホスフィナイト;ジフェニ
ルフェノキシホスフィン、ジトリルトリルオキシホスフ
ィン、ジキシリルキシリルオキシホスフィン等のアリー
ルホスフィナイト;ジフェニルエトキシホスフィン、ジ
エチルフェノキシホスフィン等のアルキルアリールホス
フィナイト;オクチルジオクトキシホスフィン、ブチル
ブトキシホスフィン等のアルキルホスホナイト;フェニ
ルジフェノキシホスフィン、トリルジトリルオキシホス
フィン、キシリルジキシリルオキシホスフィン等のアリ
ールホスホナイト;フェニルジエトキシホスフィン、エ
チルジフェノキシホスフィン等のアルキルアリールホス
ホナイト;トリオクチルホスファイト、トリブチルホス
ファイト、ジメチルオクチルホスファイト等のトリアル
キルホスファイト;トリシクロヘキシルホスファイト等
のトリシクロアルキルホスファイト;トリフェニルホス
ファイト、トリトリルホスファイト、トリキシリルホス
ファイト等のトリアリールホスファイト;ジフェニルエ
チルホスファイト、ジメチルフェニルホスファイト等の
アルキルアリールホスファイト等が挙げられる。
【0008】上記のリン化合物の中では、アルカジエノ
ール類の選択率の観点から、リンの各結合手に7個以上
の炭素原子を持つものが好適であり、具体的にはトリト
リルホスフィン、トリキシリルホスフィン、トリメシチ
ルホスフィン、トリス(テトラメチルフェニル)ホスフ
ィン等が好ましい。また、下記式(I)で示される水溶
性ホスフィン類も使用し得る(式中、Aはフェニル基、
Mはアルカリ金属を示し、mは0〜2の整数、nは1〜
3の整数を表し、m+n=3である)。
【0009】
【化1】
【0010】更に、下記式(II)で示される環式ホスフ
ァイト類も使用し得る(式中、R1は、メチル、エチ
ル、ノニル等のアルキル基、フェニル、トリル、ナフチ
ル等のアリール基、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチ
ル、ヒドロキシペンチル等のヒドロキシアルキル基、エ
トキシメチル等のアルコキシアルキル基、フェノキシメ
チル等のアリールオキシアルキル基、又はアセトキシメ
チル、アセトキシペンチル等のアシルオキシアルキル基
を表わす)。
【0011】
【化2】
【0012】単座配位性の有機リン化合物は、パラジウ
ム1モルに対して2モル以上、好ましくは5〜30モル
の割合で用いる。二座配位性有機リン化合物としては、
二座配位性のホスフィン、特に下記式(III)で示され
るものを用いるのが好ましい。
【0013】
【化3】
【0014】(式中、Rは水素原子又は−SO3 M(M
は1価のカチオンを表わす)を表わし、Aは炭素鎖から
なる連結基を表わす) 式(III)の二座配位性ホスフィンの連結基としては、
例えば次のようなものが挙げられる。
【0015】
【化4】
【0016】本発明で用いるのに好適な二座配位性ホス
フィンとしては、次のようなものが挙げられる。
【0017】
【化5】
【0018】二座配位性有機リン化合物は、パラジウム
1モルに対し0.05〜0.5モル用いる。使用量がこ
れよりも少ないと、後述する生成したアルカジエノール
類を留出させて回収するための蒸留工程で触媒が失活し
て、パラジウム金属が析出するようになる。逆に使用量
がこれよりも多くなると、触媒の活性低下が目立つよう
になる。二座配位性有機リン化合物の好適な使用量は、
パラジウム1モルに対し0.05〜0.3モル、特に
0.2〜0.3モルである。
【0019】反応系に存在させる二酸化炭素は助触媒で
あり、反応系内で二酸化炭素として存在する限り、任意
の化合物の形態で添加することができる。通常は二酸化
炭素そのものとして添加するが、所望ならば炭酸、炭酸
塩、重炭酸塩などの形態で添加してもよい。また、反応
系には所望によりアミン化合物を添加するが、このアミ
ンとの付加物として添加してもよい。二酸化炭素はパラ
ジウム1モルに対して通常1モル以上、好ましくは10
モル以上使用する。その上限は専ら経済的理由により決
定され、大過剰に使用しても反応を阻害することはな
い。共役アルカジエンと水との反応は、反応を円滑に行
うために、これら両者を少なくとも部分的に溶解する溶
媒の存在下に行うのが好ましい。
【0020】溶媒としては、ジエチルエーテル、ジオキ
サン、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチ
ルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテ
ル等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジ
エチルケトン、メチルイソプロピルケトン、エチル−n
−ブチルケトン等のケトン類、アセトニトリル、プロピ
オニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル類、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭
化水素類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等のアルカン
類、ヘキセン、オクテン等のアルケン類、ジメチルスル
ホキシド等のスルホキシド類、スルホラン等のスルホン
類、ニトロベンゼン、ニトロメタン等のニトロ化合物、
ピリジン、α−ピコリン等のピリジン誘導体、トリメチ
ルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン等の
アミン類、アセトアミド、プロピオンアミド、N,N−
ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミ
ド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド類などが
挙げられる。溶媒は単独で用いても混合溶媒として用い
てもよい。
【0021】なお、アルコール類を溶媒とすることもで
きるが、1級及び2級アルコールは、生成物のアルカジ
エノール類がこれらと反応した構造のアルカジエノール
エーテルを相当量副生するので、t−ブタノールのよう
な3級アルコールを用いるのが好ましい。また、炭化水
素類を溶媒とする場合には、水の溶解能を高めるため、
極性溶媒を併用するのが好ましい。
【0022】共役アルカジエンと水との反応の温度は、
室温から約180℃までの広い範囲から選択することが
できるが、好ましくは50〜130℃、更に好ましくは
60〜100℃の範囲である。また、反応圧力は、常圧
から約200kg/cm2 までの広い範囲から選択する
ことができるが、3〜70kg/cm2 が好ましい。反
応に際しては、反応系内に二酸化炭素の他に、ヘリウ
ム、アルゴン等の不活性ガスを共存させることも可能で
ある。
【0023】反応器から抜き出された反応生成液中に
は、主生成物であるアルカジエノール類、副生成物のア
ルカトリエン類、ジアルカジエニルエーテル類、カルボ
ン酸、エステル類の他、未反応の共役アルカジエン、触
媒、水、溶媒などが含まれている。例えば共役アルカジ
エンが1,3−ブタジエンの場合、主生成物のオクタ−
2,7−ジエン−1−オールの外に、オクタ−1,7−
ジエン−3−オール、オクタトリエン類、ジオクタジエ
ニルエーテル類及びカルボン酸等が副生する。これら反
応副生物の生成量は、反応の条件に依存して異なるが、
通常、共役アルカジエン基準でそれぞれ数モルパーセン
ト内外である。
【0024】反応生成液は蒸留してアルカジエノール類
を留出させて回収し、触媒を含む蒸留残渣は触媒液とし
て反応系に循環する。通常は反応生成液を先ず気液分離
して液相と気相に分離して、気相は反応系に循環し、液
相は蒸留塔で常圧ないしは若干の減圧下で蒸留して、溶
媒、水、有機アミンなどの主生成物であるアルカジエノ
ール類よりも低沸点の成分を塔頂から留出させて反応系
に循環する。塔底から得られるアルカジエノール類や副
生高沸点物及び触媒を含む溶液は、次いで減圧蒸留塔で
蒸留してアルカジエノール類を塔頂から留出させて回収
し、塔底から得られる副生高沸点物及び触媒を含む溶液
は、触媒液として反応系に循環する。
【0025】本発明ではアルカジエノール類を回収する
ための蒸留を、蒸留塔の塔底液の温度が100〜160
℃で且つ触媒の滞留時間が1.5時間以下となる条件下
で行う。本発明者らの検討によれば、本発明のように二
座配位性有機リン化合物の使用量が少ない場合には、蒸
留に際しての温度と時間とが、触媒の失活に密接に関連
していることが判明した。蒸留に際しての塔底液の温度
が160℃を超えると、短時間の蒸留でも触媒は著しく
失活するようになる。失活防止の観点からは、塔底液の
温度は140℃以下に維持するのが好ましい。塔底液の
温度は低いほど触媒の失活を防止する観点からは有利で
あるが、100℃以下では著しい減圧下に蒸留すること
となり、蒸留時間が長くなってやはり触媒が失活するよ
うになる。総合的にみて塔底液の温度は110〜135
℃に保って蒸留するのが最も好ましい。
【0026】また、塔底液が上記の温度範囲に維持され
ていても、塔底における触媒滞留時間が長ければ、やは
り触媒は失活する。従って触媒の滞留時間は1.5時間
以下とすべきである。滞留時間は短いほど好ましく、通
常は1時間以下、特に0.5時間とすべきである。な
お、蒸留そのものは連続で行っても回分で行ってもよ
く、連続で行う場合には、滞留時間とは平均滞留時間を
意味する。蒸留塔の塔底から得られる溶液は、含まれて
いる触媒が高い活性を保有しているので、触媒液として
反応系に循環する。なお、触媒を含む溶液の循環を反復
していると、副生した有機酸が蓄積して触媒活性を低下
させるので、溶液から副生有機酸を除去して循環するの
が好ましい。例えば有機リン化合物として疎水性のもの
を用いた場合には、触媒を含む溶液を苛性ソーダ水溶液
で抽出することにより、副生有機酸を除去することがで
きる。苛性ソーダ水溶液を用いる代わりに、溶液にトリ
エチルアミンのような第3級アミンを加えて副生有機酸
のアミン酸を形成させ、水で抽出することもできる。
【0027】
【実施例】以下に実施例により本発明を更に具体的に説
明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものでは
ない。 実施例1 0.2リットル容のステンレス製の電磁誘導撹拌装置付
きのオートクレーブに、窒素雰囲気下で、酢酸パラジウ
ム0.0463g(0.206mmol)、トリ(o−
トリル)ホスフィン1.5g(4.9mmol)、1,
3−ブタジエン19.85g、水6.6g及びアセトン
60gを仕込み、更に1,2−ビス(ジフェニルホスフ
ィノ)エタンをパラジウム1モルにつき0モル、0.2
4モル、及び1.0モルとなるように仕込み、二酸化炭
素で20kg/cm2 Gに加圧して、75℃で3時間反
応させた。反応後、内容液を取出し、ガスクロマトグラ
フィーにより分析を行った。結果を表−1に示す。
【0028】
【表1】
【0029】実施例2 1リットル容のステンレス製の電磁誘導撹拌装置付きオ
ートクレーブに、窒素雰囲気中で、酢酸パラジウム0.
23g(1.03mmol)、トリ(o−トリル)ホス
フィン2.5g(8.2mmol)、1,3−ブタジエ
ン100.3g、水33g及びアセトン300gを仕込
み、二酸化炭素で20kg/cm2 Gに加圧して、75
℃で3時間反応させた。
【0030】反応液をガラス製の蒸留装置に仕込み、オ
イルバス温度90℃で常圧蒸留し、約30分でアセトン
を留出した。釜残は油相と水相とに分離していた。この
油相を上記の蒸留装置に仕込み、130℃に加熱して約
1時間蒸留した。塔頂圧力は常圧から10mmHgまで
漸次減圧にした。釜残を0.2μmのメンブランフィル
ターを用いて加圧濾過した。50ml容のガラス製フラ
スコに上記で得た濾液を入れ、二座配位性ホスフィンを
濾液に対して0.14(重量)%となるように添加した
のち、撹拌しながら150℃に保持した。フラスコから
経時的にサンプルを採取し、これを0.2μmのメンブ
ランフィルターを用いて濾過したのち、濾液のパラジウ
ム濃度を測定した。結果を表−2に示す。
【0031】
【表2】
【0032】なお、二座配位性ホスフィンを添加した系
で、経時的にパラジウム濃度が上昇しているのは、軽沸
点成分が生成して蒸発したため、液が濃縮されたことに
よる。 実施例3 10リットル容のステンレス製の電磁誘導撹拌装置付き
のオートクレーブに、窒素雰囲気下で、酢酸パラジウム
2.32g(10.3mmol)、トリ(o−トリル)
ホスフィン37.6g(123.6mmol)、1,2
−ビス(ジフェニルホスフィン)エタン1.03g
(2.57mmol)、1,3−ブタジエン1005
g、水323g及びアセトン3000gを仕込んだ。二
酸化炭素を圧入して20kg/cm2 Gに加圧し、75
℃で3時間反応させた。
【0033】反応液を窒素雰囲気下で取出し、これを柵
段数15段のガラス製オルダーショーに連続的に供給
し、常圧下、還流比0.5で蒸留してアセトンを留出さ
せた。反応液は上から11段目に供給し、塔底には熱源
として水蒸気を吹込んだ。塔内における触媒の滞留時間
は約3分間であった。塔底から流出した液は油水分離器
で油相と水相とに分離した。油相はテフロンワイパーに
よる内部掻き取り式のガラス製薄膜蒸留装置で、20m
mHg、140℃で蒸留して、オクタジエノールを留出
させた。触媒の滞留時間は約1分間であった。触媒を含
む蒸留残渣はガラス製の300mlフラスコに仕込み、
撹拌下、140℃で10分間保持して熱処理した。酢酸
パラジウム、トリ(o−トリル)ホスフィン及び1,2
−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタンの代りに上記の
熱処理を経た触媒液を用いた以外は、上記と全く同様に
して第2回目の反応を行った。反応液は上記と全く同様
にして後処理及び触媒液の熱処理を行い、次いでこの触
媒液を用いて、再度上記と全く同様にして第3回目の反
応を行った。第1回目の反応液と第3回目の反応液の分
析結果を表−3に示す。
【0034】
【表3】

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パラジウムと有機リン化合物を含む触媒
    が溶解している溶液及び二酸化炭素の存在下に、共役ア
    ルカジエンと水とを反応させてアルカジエノール類を含
    む反応生成液を生成させ、これを蒸留してアルカジエノ
    ール類を留出させて回収すると共に触媒を含む溶液を取
    得し、これを触媒液として反応に循環使用するアルカジ
    エノール類の製造方法において、反応をパラジウム1モ
    ルに対して2モル以上の単座配位性有機リン化合物及び
    0.05〜0.5モルの二座配位性有機リン化合物の存
    在下に行い、且つ反応生成液からアルカジエノール類を
    回収するための蒸留を、蒸留塔における塔底液の温度が
    100〜160℃で、且つ触媒の滞留時間が1.5時間
    以下となる条件下で行うことを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 反応生成液からアルカジエノール類を回
    収するための蒸留を、蒸留塔における触媒の滞留時間が
    1時間以下となる条件下で行うことを特徴とする請求項
    1記載の方法。
  3. 【請求項3】 反応生成液からアルカジエノール類を回
    収するための蒸留を、蒸留塔の塔底液の温度を140℃
    以下に維持して行うことを特徴とする請求項1又は2記
    載の方法。
  4. 【請求項4】 反応生成液からアルカジエノール類を回
    収するための蒸留を、蒸留塔の塔底液の温度を110〜
    135℃に維持して行うことを特徴とする請求項1又は
    2記載の方法。
  5. 【請求項5】 反応をパラジウム1モルに対して0.0
    5〜0.5モルの二座配位性有機リン化合物及び5〜3
    0モルの単座配位性有機リン化合物の存在下に行うこと
    を特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の方
    法。
  6. 【請求項6】 反応をパラジウム1モルに対して2モル
    以上の単座配位性有機リン化合物及び0.05〜0.3
    モルの二座配位性有機リン化合物の存在下に行うことを
    特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
  7. 【請求項7】 共役アルカジエンが1,3−ブタジエン
    であることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに
    記載の方法
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WO2023162973A1 (ja) 2022-02-25 2023-08-31 株式会社クラレ 2,7-オクタジエン-1-オールの製造方法

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