JP2000026345A - パラジウムの回収方法 - Google Patents

パラジウムの回収方法

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JP2000026345A JP20026198A JP20026198A JP2000026345A JP 2000026345 A JP2000026345 A JP 2000026345A JP 20026198 A JP20026198 A JP 20026198A JP 20026198 A JP20026198 A JP 20026198A JP 2000026345 A JP2000026345 A JP 2000026345A
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catalyst
water
aqueous phase
reaction
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Tomoyuki Mori
知行 森
Hiroshi Kameo
広志 亀尾
Shinji Isotani
真治 磯谷
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 パラジウム化合物及び有機燐化合物よりなる
触媒の存在下に、共役アルカジエンと水とを反応させて
共役アルカジエンの二量体に水が付加した構造のアルカ
ジエノールを製造するに際し、触媒の損失を低減させ
る。 【解決手段】 反応生成液を蒸留して塔頂からアルカジ
エノールを留出させ、塔底から触媒を含む蒸留残液を取
得する。この蒸留残液は、アミンを含む水で抽出して副
生有機酸を除去したのち、反応系に循環する。抽出で得
られた有機酸のアミン塩を含む水相は、有機溶媒で抽出
して水相中の触媒を有機溶媒中に回収する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はパラジウム化合物及
び有機燐化合物よりなる触媒の存在下に、ブタジエンの
ような共役アルカジエンと水とを反応させてアルカジエ
ノールを製造する方法において、触媒のパラジウムの損
失を低減させる方法に関するものである。詳しくは本発
明は、触媒を循環使用しながらこの反応を実施するに際
し、廃水中に含まれる触媒のパラジウムを回収する方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】パラジウム化合物及び有機燐化合物から
なる触媒の存在下に、共役アルカジエンと水とを反応さ
せて共役アルカジエンの二量体に水が付加した構造を有
するアルカジエノールを製造することは公知である。反
応は通常は二酸化炭素の存在下に行われ、また反応系に
トリエチルアミンのような三級アミンを存在させるのが
好ましいことが知られている。共役ジエンとしてブタジ
エンを用いると、主として1−ヒドロキシ−2,7−オ
クタジエンからなり少量の3−ヒドロキシオクタジエン
を含むオクタジエノール混合物が生成する。また、オク
タジエノールに対し数%の副生物も生成する。副生物は
主にオクタトリエンや高沸点物、例えば、C9 カルボン
酸、ジオクタジエニルエーテル等からなっている。
【0003】この反応では高価なパラジウムを含む触媒
を用いるので、反応生成液から触媒を回収して循環使用
する必要がある。そしてこの循環使用に際しては、パラ
ジウムの損失をできるだけ少くすることが重要である。
反応生成液から触媒を回収して循環使用する最も一般的
な方法は、反応生成液を蒸留してアルカジエノールや低
沸点成分を留出させ、触媒及び高沸点副生物を含む蒸留
残液(=釜残)を触媒液として反応系に循環する方法で
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】蒸留残液を触媒液とし
て用いることを反復していると、触媒活性が漸次低下す
る。この原因の一つは、反応により副生したカルボン酸
が反応系内に漸次蓄積することにある。従って循環され
る蒸留残液の触媒活性を高く維持するには蒸留残液から
副生カルボン酸を除去することが必要である。例えば蒸
留残液にアミンと水とを加えて撹拌し、次いで静置して
油相と水相とに成層分離させると、副生カルボン酸を選
択的に水相に抽出することができる。この方法によれ
ば、蒸留残液中に副生カルボン酸が蓄積するのを防止す
ることができ、従って蒸留残液の触媒活性を高く維持す
ることができる。
【0005】この方法の問題点の一つは、水相中に触媒
が微量ではあるが流失することである。パラジウムは極
めて高価なので、水相中に失われるパラジウムが微量で
あっても、経済的に無視し得ない損失となる。従って本
発明は、この水相中のパラジウムを回収する方法を提供
しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、パラジ
ウム化合物及び有機燐化合物よりなる触媒並びに二酸化
炭素の存在下に、共役アルカジエンと水とを反応させて
共役アルカジエンの二量体に水が付加した構造を有する
アルカジエノールを生成させる反応工程、反応工程で得
られた反応生成液からアルカジエノール及びこれよりも
低沸点の成分を留出させて高沸点副生物及び触媒を含む
蒸留残液を取得する蒸留工程、蒸留残液の少くとも一部
をアミンの存在下に水で処理して副生有機酸を含む水相
と油相とを取得する抽出工程、及びここで得られた油相
を触媒液として反応工程に供給する循環工程の各工程を
含むアルカジエノールの製造方法において、抽出工程で
得られた水相を有機溶媒で抽出して水相中に含まれてい
るパラジウムを有機溶媒中に回収することにより、パラ
ジウムの損失を低減させることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明について詳細に説明する
に、本発明では共役アルカジエンからのアルカジエノー
ルの生成反応そのものは、常法に従って行うことができ
る。共役アルカジエンとしては通常は1,3−ブタジエ
ンが用いられるが、2−エチル−1,3−ブタジエン、
2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、イソプレン、
1,3−ペンタジエン、クロロプレン、1,3−オクタ
ジエンなどを用いることもできる。1,3−ブタジエン
としては通常は精製1,3−ブタジエンが用いられる
が、所謂BBP(ブテン−ブタジエン留分)、すなわち
ナフサ分解生成物中のC4 留分混合物を用いることもで
きる。なお、BBPを原料とする場合には、含有されて
いるアセチレン類及びアレン類を水添等により除去して
用いるのが好ましい。これらの不純物の濃度はできるだ
け低いのが好ましく、通常は1,3−ブタジエンに対し
て1.0重量%以下となるようにする。
【0008】触媒の主成分の一つであるパラジウムとし
ては、パラジウム黒や担体付パラジウム金属等の金属パ
ラジウムをはじめ、種々の化合物形態及び原子価状態の
ものを用いることができる。そのいくつかを例示する
と、ビス(t−ブチルイソニトリル)パラジウム
(0)、ビス(t−アミルイソニトリル)パラジウム
(0)、ビス(シクロヘキシルイソニトリル)パラジウ
ム(0)、ビス(フェニルイソニトリル)パラジウム
(0)、ビス(p−トリルイソニトリル)パラジウム
(0)、ビス(2,6−ジメチルフェニルイソニトリ
ル)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセト
ン)パラジウム(0)、(1,5−シクロオクタジエ
ン)(無水マレイン酸)パラジウム(0)、ビス(ノル
ボルネン)(無水マレイン酸)パラジウム(0)、ビス
(無水マレイン酸)(ノルボルネン)パラジウム
(0)、(ジベンジリデンアセトン)(ビピリジル)パ
ラジウム(0)、(p−ベンゾキノン)(o−フェナン
スロリン)パラジウム(0)等の0価パラジウム錯体;
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム
(0)、トリス(トリフェニルホスフィン)パラジウム
(0)、ビス(トリトリルホスフィン)パラジウム
(0)、ビス(トリキシリル)パラジウム(0)、ビス
(トリメシチルホスフィン)パラジウム(0)、ビス
(トリテトラメチルフェニル)パラジウム(0)、ビス
(トリメチルメトキシフェニルホスフィン)パラジウム
(0)等のホスフィン化合物を配位子として持つテトラ
キス(ホスフィン)パラジウム、トリス(ホスフィン)
パラジウム、ビス(ホスフィン)パラジウム錯体および
対応するホスファイト化合物を配位子として持つテトラ
キス(ホスファイト)パラジウム、トリス(ホスファイ
ト)パラジウム、ビス(ホスファイト)パラジウム錯
体;塩化パラジウム(II)、硝酸パラジウム(II)、テ
トラアミンジクロロパラジウム(II)、ジナトリウムテ
トラクロロパラジウム(II)等のパラジウム無機塩;酢
酸パラジウム(II)、安息香酸パラジウム(II)、α−
ピコリン酸パラジウム(II)等のパラジウムカルボン酸
塩;ビス(アセチルアセトン)パラジウム(II)、ビス
(8−オキシキノリン)パラジウム(II)等のパラジウ
ムキレート化合物;ビス(アリル)パラジウム(II)、
(η−アリル)(η−シクロペンタジエニル)パラジウ
ム(II)、(η−シクロペンタジエニル)(1,5−シ
クロオクタジエン)パラジウム(II)テトラフルオロ硼
酸塩、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)酢酸
塩、ジ−μ−クロロ−ジクロロビス(トリフェニルホス
フィン)二パラジウム(II)、ビス(トリ−n−ブチル
ホスフィン)パラジウム(II)酢酸塩、2,2−ビピリ
ジルパラジウム(II)酢酸塩等の2価パラジウム錯体な
どが挙げられる。
【0009】これらのパラジウム化合物のなかでは、テ
トラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム
(0)、ビス(トリトリルホスフィン)パラジウム
(0)、ビス(トリキシリルホスフィン)パラジウム
(0)、ビス〔トリス(メチルメトキシフェニル)ホス
フィン〕パラジウム(0)、酢酸パラジウム(II)、ビ
ス(アセチルアセトン)パラジウム(II)などを用いる
のが好ましい。
【0010】パラジウムは、その形態の如何にかかわら
ず共役アルカジエンに対して通常0.00001〜1モ
ル倍、好ましくは0.0001〜0.5モル倍となるよ
うに反応系に供給される。触媒のもう一方の主成分であ
る有機燐化合物としては、トリオクチルホスフィン、ト
リブチルホスフィン、ジメチルオクチルホスフィン等の
トリアルキルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィ
ン等のトリシクロアルキルホスフィン、トリフェニルホ
スフィン、トリトリルホスフィン、トリキシリルホスフ
ィン、トリメシチルホスフィン、トリス(テトラメチル
フェニル)ホスフィン、ジフェニル−p−クロロフェニ
ルホスフィン、トリス(p−メトキシフェニル)ホスフ
ィン等のトリアリールホスフィン、ジフェニルエチルホ
スフィン、ジメチルフェニルホスフィン、ビス(ジフェ
ニルホスフィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホ
スフィノ)エタン等の第3アルキルアリールホスフィ
ン、ジオクチルオクトキシホスフィン、ジブチルブトキ
シホスフィン等のアルキルホスフィナイト、ジフェニル
フェノキシホスフィン、ジトリルトリルオキシホスフィ
ン、ジキシリルキシリルオキシホスフィン等のアリール
ホスフィナイト、ジフェニルエトキシホスフィン、ジエ
チルフェノキシホスフィン等のアルキルアリールホスフ
ィナイト、オクチルジオクトキシホスフィン、ブチルジ
ブトキシホスフィン等のアルキルホスホナイト、フェニ
ルジフェノキシホスフィン、トリルジトリルオキシホス
フィン、キシリルジキシリルオキシホスフィン等のアリ
ールホスホナイト、フェニルジエトキシホスフィン、エ
チルジフェノキシホスフィン等のアルキルアリールホス
ホナイト、トリオクチルホスファイト、トリブチルホス
ファイト、ジメチルオクチルホスファイト等のトリアル
キルホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト等
のトリシクロアルキルホスファイト、トリフェニルホス
ファイト、トリトリルホスファイト、トリキシリルホス
ファイト等のトリアリールホスファイト、ジフェニルエ
チルホスファイト、ジメチルフェニルホスファイト等の
アルキルアリールホスファイトが用いられる。これらの
うちでも燐の各結合手に7以上の炭素を有するものが、
アルカジエノールの選択率が高いので好ましい。その代
表的なものはトリトリルホスフィン、トリキシリルホス
フィン、トリメシチルホスフィン、トリス(テトラメチ
ルフェニル)ホスフィン等の疎水性ホスフィンである。
また有機燐化合物としては、下記一般式又はで示さ
れる環式ホスファイト類も使用し得る。
【0011】
【化1】
【0012】(式中、R1 、R2 及びR3 は、それぞ
れ、メチル、エチル、ノニル等のアルキル基、フェニ
ル、トリル、ナフチル等のアリール基、ヒドロキシメチ
ル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシペンチル等のヒドロ
キシアルキル基、エトキシメチル等のアルコキシアルキ
ル基、フェノキシメチル等のアリールオキシアルキル
基、又は、アセトキシメチル、アセトキシペンチル等の
アシルオキシアルキル基を表す。)
【0013】有機燐化合物は、パラジウムに対し通常
0.1〜100倍モル、好ましくは1〜50モル倍とな
るように用いる。通常は触媒形成に要する量と考えられ
ているパラジウムに対して2倍モルよりも過剰に用い
て、遊離の有機燐化合物が反応系に存在するようにする
のが好ましい。共役アルカジエンと水との反応は、上記
のパラジウム化合物及び有機燐化合物からなる触媒を用
いて、二酸化炭素の存在下に行われる。二酸化炭素は助
触媒であり、その供給形態は問わない。例えば分子状の
二酸化炭素、炭酸、炭酸塩、重炭酸塩などを用いること
ができる。通常、二酸化炭素は触媒のパラジウム1モル
に対して1モル以上、好ましくは10モル以上使用す
る。使用量の上限は経済的理由により決定され、過剰に
使用しても反応が阻害されることはない。
【0014】反応は水と共役アルカジエンの両者に対し
て溶解力のある溶媒の存在下に行うのが好ましい。この
ような溶媒としては、ジエチルエーテル、ジオキサン、
テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエー
テル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等の
エーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチル
ケトン、メチルイソプロピルケトン、エチル−n−ブチ
ルケトン等のケトン類、アセトニトリル、プロピオニト
リル、ベンゾニトリル等のニトリル類、ベンゼン、トル
エン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素
類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等のアルカン類、ヘ
キセン、オクテン等のアルケン類、ジメチルスルホキシ
ド等のスルホキシド類、スルホラン等のスルホン類、ニ
トロベンゼン、ニトロメタン等のニトロ化合物、ピリジ
ン、α−ピコリン等のピリジン誘導体、トリエチルアミ
ン等のアミン類、アセトアミド、プロピオンアミド、
N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセ
トアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等のアミド類
などが用いられる。これらのなかでも炭化水素類は疎水
性なので、親水性の極性溶媒を併用するのが好ましい。
なお、アルコール類を溶媒として用いることもできる
が、1級アルコール及び2級アルコールは、アルカジエ
ノールがこれらと反応した構造のアルカジエニルエーテ
ルを相当量副生するので、t−ブタノールのような3級
アルコールを用いるのが好ましい。
【0015】共役アルカジエンと水との反応温度は、室
温から約180℃までの広い範囲から選択することがで
きるが、好ましくは50〜130℃、より好ましくは6
0〜100℃の範囲である。また、反応圧力は、常圧か
ら約200kg/cm2 までの広い範囲から選択するこ
とができるが、3〜70kg/cm2 の範囲とするのが
好ましい。反応に際しては、特公昭50−10565号
公報に開示されているように、反応系中に二酸化炭素の
他にヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを共存させるこ
とも可能である。
【0016】反応生成液は、触媒、主生成物であるアル
カジエノール、副生物のアルカトリエン、カルボン酸や
そのエステル、ジアルカジエニルエーテルなど、並びに
溶媒、未反応の共役アルカジエン及び水などからなって
いる。1,3−ブタジエンを原料として用いた場合に
は、1−ヒドロキシ−2,7−オクタジエンが主生成物
であり、3−ヒドロキシオクタジエンも若干生成する。
またオクタジエノール以外にn−オクタトリエンやC9
カルボン酸、ジオクタジエニルエーテルなどのオクタジ
エノールよりも高沸点物も若干生成する。これらの副生
物の生成量は反応条件により異なるが、通常はオクタジ
エノールの数%である。
【0017】反応生成液は蒸留してアルカジエノールを
留出させて回収し、触媒及び高沸点副生物を含む蒸留残
液を取得する。次いでこの蒸留残液中に含まれている副
生有機酸を、アミンの存在下に水で抽出して除去する。
この抽出操作は、反応生成液中の副生有機酸の濃度が所
定の範囲になるように行えばよく、必ずしも蒸留残液の
全量について行う必要はない。アミンとしては塩基性定
数(PKa)が7以上のものを用いればよく、「大有機
化学別巻2 有機化学定数便覧(朝倉書店、昭和38年
発行)」の585〜611頁に記載のアミン類のなかか
らPKaが7以上のものを適宜選択して用いればよい。
好ましくは3級アミン、例えばトリメチルアミン、トリ
エチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミ
ン、トリオクチルアミン、トリデシルアミン、ジメチル
デシルアミン等のトリアルキルアミン;トリエタノール
アミン、トリプロパノールアミン、ジメチルエタノール
アミン等のヒドロキシ基が結合したアルキル基を有する
トリアルキルアミン;ジメチルアニリン、トリフェニル
アミン、トリベンジルアミン等の芳香環を有するアミ
ン;N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N
−メチルモルホリン、N,N′−ジメチルピペラジン、
N−メチルピペコリン等の環式アミンを用いる。
【0018】特に好ましいのはトリエチルアミンのよう
な水よりも沸点の低い3級アミンである。このようなア
ミンを用いると、抽出で得た副生有機酸のアミン塩を含
む水相を蒸留してアミン塩をアミンと有機酸とに解離さ
せ、アミンは塔頂留出物として回収し、塔底から排出さ
れる遊離の有機酸と水との混合液は、成層分離させて有
機酸と水とに分離させることができ、従って廃水処理の
負荷が軽減できる。
【0019】蒸留残液中の副生有機酸の抽出に際して
は、副生有機酸をアミン塩とするため、アミンは副生有
機酸に対して等モル以上存在させるべきである。通常は
1.1モル倍以上、好ましくは2モル倍以上存在させ
る。存在させるアミンの上限は限定的ではないが、10
0モル倍以上存在させるのは無意味である。抽出はミキ
サーセトラーや多孔板塔など常用の抽出装置を用いて、
常法に従って行うことができる。ミキサーセトラーを用
いる場合には、抽出を反復する多段抽出を行うと抽出率
を向上させることができる。抽出は通常は常温で行うが
所望ならば昇温下に行ってもよい。抽出に際しての油相
と水相との比率は任意であるが、水相の比率が小さ過ぎ
ると副生有機酸の抽出率が低下する。油相に対する水相
の比率は、通常は0.1以上、好ましくは0.3以上で
ある。
【0020】蒸留残液中の副生有機酸を水で抽出して得
た水相中には、副生有機酸の他に微量のパラジウム化合
物及び燐化合物が含まれているので、この水相をそのま
ま廃棄すると、高価なパラジウムの損失となる。本発明
では、この水相中のパラジウムを有機溶媒で抽出して回
収する。抽出に用いる有機溶媒としては、パラジウムは
よく抽出するが、副生有機酸は抽出し難いものが好まし
く、例えばペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、
デカン等のアルカン類、ヘキセン、オクテン等のアルケ
ン類、ヘキサジエン、オクタジエン等のアルカジエン
類、オクタトリエン等のアルカトリエン類、ベンゼン、
トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水
素などの炭化水素類を用いることができる。また、オク
タノール、オクタジエノール、ノナノール、デカノール
などの高級アルコール類、ジエチルエーテル、ジイソプ
ロピルエーテル等のエーテル類、ジエチルケトン、メチ
ルイソプロピルケトン、エチル−n−ブチルケトン等の
ケトン類なとが用いられる。好ましくは反応生成液から
回収されるアルカジエノールやアルカトリエンを用い
る。これらを抽剤として用いた場合には、抽出により得
られたパラジウムを含む油相を、そのまま反応系又はこ
れに後続する反応生成液の処理系に供給して処理するこ
とができる。
【0021】抽出操作はミキサーセトラーや多孔板塔な
ど、常用の抽出装置を用いて常法に従って行うことがで
きる。ミキサーセトラーを用いる場合には、抽出を反復
する多段抽出を行うのも好ましい。抽出は常温で行う
が、所望ならば昇温して行ってもよい。抽出に際しての
水相に対する油相の比率は通常は0.01〜0.2であ
り、好ましくは0.03〜0.1である。油相の比率が
大きいと、油相に抽出される副生カルボン酸量が増加す
るので好ましくない。抽出により得た油相は、蒸留して
抽剤とパラジウムを含む残留液とに分離し、残留液は反
応系ないしはこれに後続する反応生成液の処理系に供給
する。前述の如く、抽剤として反応で生成するアルカジ
エノールやアルカトリエンを用いた場合には、抽剤と残
留液とに分離することなく処理することができる。
【0022】
【実施例】以下に実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。 アルカジエノールの製造;図1のフローシートに従っ
て、1,3−ブタジエンと水とからオクタジエノールを
製造した。反応器1としては内容積10Lの誘導撹拌機
付きステンレス製オートクレーブを用い、これにアセト
ン、水、1,3−ブタジエン、トリエチルアミン、酢酸
パラジウム及びトリス(2,5−キシリル)−ホスフィ
ンを下記の組成となるように供給し、更に二酸化炭素で
10kg/cm2 Gに加圧して、温度75℃、液滞留時
間2.5時間で連続的に反応を行った。 アセトン 50重量% トリエチルアミン 10重量% 1,3−ブタジエン 25重量% 水 15重量% パラジウム 250ppm トリス(2,5−キシリル)ホスフィン パラジウムに対して12モル倍 反応器から抜出した反応生成液は気液分離器2に供給
し、1kg/cm2 G、30℃で気液分離した。気相は
反応器に循環し、液相は理論段数15段の蒸留塔3に供
給した。蒸留塔3には塔底に気液混相の水を供給して、
塔頂圧力760mmHg、塔底温度100℃、還流比1
で操作し、アセトンとトリエチルアミンを主体とする塔
頂流出物は反応器1に循環し、オクタジエノール、水、
副生物及び触媒を含む塔底液は油水分離器4に供給し
た。油水分離器から抜出した水相はその一部を熱交換器
5で加熱して蒸留塔3に供給し、残部は反応器に循環し
た。油相は理論段数5段の蒸留塔6に供給し、塔頂圧力
20mmHg、塔底液温120℃、還流比0.5で蒸留
して、塔頂から1−ヒドロキシオクタジエン、3−ヒド
ロキシオクタジエン及びオクタトリエンを主体とする留
分を取得した。塔底からは高沸点副生物及び触媒を含む
蒸留残液を抜出し、脱酸槽7に供給した。脱酸槽は液量
400mLの撹拌槽であって80℃に維持されている。
脱酸槽には蒸留残液と共に蒸留塔3の塔頂留出液と熱水
とを、それぞれ30mL/hr及び100mL/hrで
供給した。脱酸槽に供給される副生有機酸に対するアミ
ンの比率(モル比)は約18であった。
【0023】脱酸槽からオーバーフローした液は油水分
離器8で水相と油相とに分離し、油相は酢酸パラジウム
及びトリス(2,5−キシリル)ホスフィンの代りに反
応器1に供給した。このようにして触媒やトリエチルア
ミンを時々補給し、かつ油水分離器8から抜出した油相
の一部を系外に排出して、系内の高沸点副生物であるジ
オクタジエニルエーテルの濃度を7〜9重量%、パラジ
ウム濃度を150〜170ppmに維持しつつ1ケ月間
反応を行った。反応は順調に進行し、反応生成液中のオ
クタジエノールの濃度は18〜19%で推移した。な
お、油水分離器8の水相を、反応生成液から回収したオ
クタトリエンを主体とする留分で抽出してパラジウムを
回収し、得られた有機相をそのまま蒸留塔6に供給して
パラジウム及び燐を系内に戻した場合にも、反応成績に
悪影響は生じなかった。
【0024】油水分離器8から抜出した水相中のパラジ
ウムの抽出; 実験1 攪拌機を備えたガラス製フラスコに、油水分離器8から
抜出した水75gと1−ヒドロキシ−2,7−オクタジ
エン15gとを窒素雰囲気下で仕込んだ。80℃で30
分間撹拌したのち10分間静置して油水分離させ、油相
19gと水相71gとを得た。処理の前後における水相
及び油相中の燐、パラジウム及びC9 カルボン酸の濃度
は次の通りであった。なお、燐とパラジウムとはICP
発光分光分析装置により分析し、カルボン酸は滴定によ
り分析した。
【0025】
【表1】
【0026】実験2 実験1において、撹拌時間を30分から1時間に延長し
た以外は、実験1と全く同様にしてパラジウムの抽出を
行った。結果は次の通りであった。
【0027】
【表2】
【0028】実験3 攪拌機を備えたガラス製フラスコに、油水分離器8から
抜出した水426.9gと、反応生成液から回収したオ
クタトリエンを主体とする留分10.6gとを窒素雰囲
気下で仕込んだ。室温で5分間撹拌したのち10分間静
置して油水分離させた。油相を除去したのち、水相に新
たにオクタトリエンを主体とする留分10.6gを加
え、前回と同様に室温で5分間撹拌したのち10分間静
置して油水分離させた。2回の抽出操作で得られた油相
の重量は21.4gであった。処理の前後における水相
及び油相中の燐、パラジウム及びC9 カルボン酸の濃度
は次の通りであった。
【0029】
【表3】
【0030】実験4 油水分離器8から抜出した水476.2gに、反応生成
液から回収したオクタトリエンを主体とする留分23.
8gを加えて実験3と同様に処理し、得られた水相に再
びオクタトリエンを主体とする留分23.8gを加えて
実験3と同様に処理した。2回の抽出操作で得られた油
相の重量は42.7gであった。処理の前後における水
相及び油相中の燐、パラジウム及びC9 カルボン酸の濃
度は次の通りであった。
【0031】
【表4】
【図面の簡単な説明】
【図1】アルカジエノール製造プロセスの1例である。
【符号の説明】
1 反応器 2 気液分離器 3 蒸留塔 4 油水分離器 5 熱交換器 6 蒸留塔 7 脱酸槽 8 油水分離器
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C07B 61/00 300 C22B 11/04 (72)発明者 磯谷 真治 岡山県倉敷市潮通三丁目10番地 三菱化学 株式会社水島事業所内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC41 AC92 AD11 AD16 BA25 BA43 BA48 BA51 BA53 BB11 BB15 BB16 BB18 BB20 BB21 BB22 BB23 BB60 BC10 BC11 BD36 BE60 4H039 CA60 CL11 4K001 AA42 BA24 DB07 DB27 DB38 EA01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パラジウム化合物及び有機燐化合物より
    なる触媒並びに二酸化炭素の存在下に、共役アルカジエ
    ンと水とを反応させて共役アルカジエンの二量体に水が
    付加した構造を有するアルカジエノールを生成させる反
    応工程、反応工程で得られた反応生成液からアルカジエ
    ノール及びこれよりも低沸点の成分を留出させて高沸点
    副生物及び触媒を含む蒸留残液を取得する蒸留工程、蒸
    留残液の少くとも一部をアミンの存在下に水で処理して
    副生有機酸を含む水相と触媒を含む油相とを取得する抽
    出工程、及びここで得られた油相を触媒液として反応工
    程に供給する循環工程の各工程を含むアルカジエノール
    の製造方法において、抽出工程で得られた水相を有機溶
    媒で抽出して水相中に含まれているパラジウムを有機溶
    媒中に回収することを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 水相を、反応生成液から回収したアルカ
    ジエノール及びアルカトリエンよりなる群から選ばれた
    成分を主体とする留分で抽出することを特徴とする請求
    項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 抽出により有機溶媒中に回収されたパラ
    ジウムを、触媒としてアルカジエノールの製造に用いる
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010180430A (ja) * 2009-02-03 2010-08-19 Univ Of Miyazaki 金属イオンの抽出剤、及び抽出方法

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