JPH06321828A - オクタ−2,7−ジエン−1−オールの製造方法 - Google Patents
オクタ−2,7−ジエン−1−オールの製造方法Info
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- JPH06321828A JPH06321828A JP5139610A JP13961093A JPH06321828A JP H06321828 A JPH06321828 A JP H06321828A JP 5139610 A JP5139610 A JP 5139610A JP 13961093 A JP13961093 A JP 13961093A JP H06321828 A JPH06321828 A JP H06321828A
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Abstract
中、パラジウム触媒の存在下でブタジエンと水とを反応
させるオクタ−2,7−ジエン−1−オールの合成工
程、その抽出分離工程、触媒成分を含む抽残液の反応工
程へのフィード工程、抽出液の洗浄工程、洗浄工程で得
るスルホラン水溶液の抽出工程へのフィード工程、およ
び洗浄された抽出液の蒸留工程からなるオクタ−2,7
−ジエン−1−オールの製造方法において、(a)オク
タ−2,7−ジエン−1−オールの蒸発又は蒸留をアル
カリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、炭酸塩もし
くは重炭酸塩の存在下に行い、(b)蒸留によるオクタ
−2,7−ジエン−1−オール以下の生成物留分を炭酸
ガスおよび水と接触させる方法。 【効果】 第3級アミンとパラジウム触媒の溶出量を少
なくし、触媒系組成を一定に保つことが容易になり、オ
クタ−2,7−ジエン−1−オール留分にロスした第3
級アミンおよびスルホランを炭酸塩および/または重炭
酸塩の水溶液として回収してロス量を極小にできる。
Description
せてオクタ−2,7−ジエン−1−オールを製造するた
めの改良された方法に関するものである。
素化して製造される1−オクタノールはジオクチルフタ
レート等の可塑剤の原料として有用であり、またオクタ
−2,7−ジエン−1−オールをオキソ反応に付し、得
られる生成物を水素化することにより製造される1,9
−ノナンジオールは耐加水分解性に優れたポリエステル
を製造するための原料として有用である。
に反応させてオクタ−2,7−ジエン−1−オールを合
成する反応自体は公知である。周知のごとく、パラジウ
ム触媒は極めて高価な貴金属触媒であるので、工業的規
模でオクタ−2,7−ジエン−1−オールを安価に大量
生産するためには次の1)〜4)の技術的課題を解決す
ることが重要である。
触媒濃度(反応混合液1リットルあたりパラジウム原子
換算で数ミリグラム原子程度)において高い反応速度が
達成されること、 2)オクタ−2,7−ジエン−1−オールへの選択率が
十分に高いこと、 3)パラジウム触媒の活性が長期に亘って安定に保持さ
れること、 4)生成したオクタ−2,7−ジエン−1−オールがパ
ラジウム触媒の活性低下を伴うこと無く効率よく反応混
合液から分離されること。
ルはパラジウム触媒を含む反応混合液を蒸留することに
より分離されるが、本発明者らの詳細な検討によれば、
蒸留温度が約120℃を越える場合パラジウム触媒がメ
タル化して失活する傾向が認められた。
記の如き製造方法がすでに提案されている(特公昭63
−37774号公報参照)。
座配位性第3級アミンの炭酸塩および/または重炭酸塩
を含むスルホラン水溶液中、ブタジエンとオクタ−2,
7−ジエン−1−オールのモル比を0.6以上に維持
し、パラジウム化合物およびパラジウム1グラム原子あ
たり少なくとも6モルの親水性の単座配位性ホスフィン
の存在下でブタジエンと水とを反応させることによって
オクタ−2,7−ジエン−1−オールを合成し、(2)
工程(1)で得られる反応混合液の少なくとも一部を飽
和脂肪族炭化水素、モノオレフィン性炭化水素または脂
環式炭化水素で抽出することによってオクタ−2,7−
ジエン−1−オールを抽出分離し、(3)工程(2)に
おける触媒成分を含む抽残液の少なくとも一部を工程
(1)のオクタ−2,7−ジエン−1−オール合成工程
に循環して使用することからなるオクタ−2,7−ジエ
ン−1−オールの製造方法。
ン−1−オールを低濃度のパラジウム触媒の存在下でも
高い反応速度と高い選択率で生成させることができ、し
かもパラジウム触媒の活性を低下させること無く反応混
合液から分離することができ、パラジウム触媒は循環し
て使用することができる。しかしながら、この方法にお
いてもなお工業的な規模で長期に亘って連続運転を行っ
た場合には解決すべき課題が存在することが明らかとな
った。すなわち、反応混合液からオクタ−2,7−ジエ
ン−1−オールを分離する際に得られる抽出液中には極
めて微量ではあるが、パラジウム触媒、リン化合物、第
3級アミンおよびスルホラン等の触媒成分が溶出してく
る。溶出成分の内、特に高価なパラジウム触媒について
は、混合液を水溶性ホスフィンの存在下にスルホラン水
溶性で洗浄することにより、効率的に回収する方法がす
でに提案されている。(特開平3−232831号、U
SP5,118,885号参照)。
2831号公報に記載された方法に従えば、溶出したパ
ラジウム触媒成分は効果的に回収される。しかしなが
ら、経済的かつ運転安定性を高めてオクタ−2,7−ジ
エン−1−オールを連続的に製造しようとする場合に
は、反応に必要な各種成分の工程ロスをできる限り微小
化する必要がある。溶出によりロスした成分は、すべて
外部から補給する必要があり、補給量が増大すると、経
済的でなくなるばかりか、反応混合液組成を一定に維持
する操作が繁雑となり、運転安定性が悪くなるという問
題が生じることが明らかとなった。
は、オクタ−2,7−ジエン−1−オール蒸留缶液を蒸
発して、スルホラン以上の高い沸点を有する副生成物な
どを除去することにより回収される。スルホランは比較
的高価な溶剤であるため、回収率を高めるように条件設
定されなければならない。スルホランの回収率を高めた
場合には、ラクトンなどの沸点の近似した成分の混入量
が多くなることが避け難い。これを、このまま循環使用
した場合には、抽出混合液中への第3級アミンおよびパ
ラジウム触媒の溶出量が増大する傾向が認められた。こ
れを回避する方法として、上記の蒸発により得られたス
ルホランを水で抽出処理することにより水に難溶のラク
トンなどの成分を除去する方法も提案されている。この
方法により大部分の不純物は除去されるが、抽出率を高
めようとした場合には、水の使用量が多くなるため、水
の蒸発工程が必要となるのみならず、少量のラクトンな
どの不純物の混入は避け難い。このため、回収したスル
ホラン水溶液を循環させ長期に運転した場合、なお第3
級アミンの抽出液中への溶出ロスが増加するという傾向
が認められた。第3級アミンの濃度は、反応速度を支配
するため、これを一定に維持しなければ、反応混合液の
組成が変動する。連続的な抽出プロセスでは、反応混合
液の組成変動が起これば、各種成分の抽出率が変化し、
すべての成分のバランスが変動してくるため運転安定性
を維持する上で大きな問題となることが判った。連続反
応に於いては、組成変化は小さい程、運転安定性が高ま
ることは言うまでもない。さらに、当然、外部から追加
すべきロス分が少ない程、運転安定性が高まることは言
うまでもない。さらに、当然、外部から追加すべきロス
分が少ない程、経済的である。本発明の目的は、上記の
問題点を解決したオクタ−2,7−ジエン−1−オール
の製造方法を提供することにある。
点のないオクタ−2,7−ジエン−1−オールの製造方
法を開発するために鋭意検討を重ねた結果、本発明を完
成するに至った。
基性定数(pKa)が7以上の単座配位性第3級アミン
の炭酸塩および/または重炭酸塩を含むスルホラン水溶
液中、ブタジエンとオクタ−2,7−ジエン−1−オー
ルのモル比を0.6以上に維持し、パラジウム化合物お
よびホスホニウム塩の存在下でブタジエンと水とを反応
させることによってオクタ−2,7−ジエン−1−オー
ルを合成し、(2)工程(1)で得られる反応混合液の
少なくとも一部を飽和脂肪族炭化水素、モノオレフィン
性炭化水素または脂環式炭化水素で抽出することによっ
てオクタ−2,7−ジエン−1−オールを分離し、
(3)工程(2)で得られる触媒成分を含む抽残液の少
なくとも一部を工程(1)のオクタ−2,7−ジエン−
1−オール合成工程にフィードし、(4)工程(2)で
得られるオクタ−2,7−ジエン−1−オールを含む抽
出液を水溶性ホスフィンの存在下にスルホラン水溶液で
洗浄し、スルホラン水溶液層と洗浄された抽出液層に分
離し、(5)工程(4)で得られるスルホラン水溶液層
の少なくとも一部を抽出工程(2)にフィードし、
(6)工程(4)で得られる洗浄された抽出液層を蒸留
するオクタ−2,7−ジエン−1−オールの製造方法に
おいて、 a)オクタ−2,7−ジエン−1−オールの蒸発もしく
は蒸留をアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化
物、炭酸塩もしくは重炭酸塩の存在下に行い、 b)蒸留により得られるオクタ−2,7−ジエン−1−
オール以下の生成物留分を、炭酸ガスおよび水と接触さ
せることを特徴とするオクタ−2,7−ジエン−1−オ
ールの製造方法を提供することによって達成される。
れまで問題を引き起こしていたラクトンやラクトンが加
水分解した酸がほとんど混在しなくなるため、得られた
スルホランを水で抽出することなく循環使用することが
できることが明らかとなった。この結果、第3級アミン
およびパラジウム触媒の溶出量が低減し、溶出したアミ
ンおよびパラジウム回収の負荷が著しく低下するなどの
効果が得られる。また、抽出プロセスに於いては、反応
混合液中のスルホラン、水および第3級アミン濃度を一
定に維持することが重要である。濃度管理に必要なスル
ホランおよび水は、あらゆる変動に対応できるように、
それぞれ単独にフィードできるようにしておくことが運
転管理上好ましい。これに必要な回収スルホランを水の
蒸発を伴うことなく確保できるため経済性および操作性
は著しく向上した。
る水の一部を、スルホラン回収に使用することなく、こ
れをオクタ−2,7−ジエン−1−オールの洗浄に炭酸
ガスと共に使用することにより、抽剤回収工程で回収で
きずに微小量ロスする第3級アミンを効果的に水層に除
去できることが見い出された。これにより、第3級アミ
ンのロスがさらに低減される。
炭酸ガスおよび未反応ブタジエンが回収され、次いで、
抽剤および第3級アミン(トリエチルアミン)が蒸留操
作により回収される。第3級アミンはこの工程で大部
分、炭酸塩から遊離のアミンと成って回収されるが、微
少量は次の蒸留工程に持ち込まれる。抽剤および第3級
アミンを蒸留した残液から、オクタトリエンやオクタ−
1,7−ジエン−3−オールなどの低沸点生成物を分離
した後、オクタ−2,7−ジエン−1−オールが蒸留分
離される。しかし、オクタ−2,7−ジエン−1−オー
ル単品が必要でない場合、低沸点生成物との混合物とし
て蒸留分離し、たとえば水素還元に供することもでき
る。
−1−オールの蒸留は、アルカリ金属またはアルカリ土
類金属の水酸化物、炭酸塩もしくは重炭酸塩の存在下に
実施される。アルカリ金属またはアルカリ土類金属の水
酸化物、炭酸塩もしくは重炭酸塩の使用量に特に制限は
ないが、抽剤および第3級アミンを蒸留した残液中に存
在するラクトンおよびラクトンが加水分解して生成した
酸と当量以上が好ましい。特に、当量ないしは5倍量で
使用するのが望ましい。アルカリ金属またはアルカリ土
類金属の水酸化物、炭酸塩もしくは重炭酸塩は、固体の
まま、あるいは水溶液として添加することができる。
7−ジエン−1−オールを含む生成物は、炭酸ガス雰囲
気下に、水で洗浄される。
で水が消費されるため、反応消費水の0.5〜当量程度
が好ましい。炭酸ガスは専用のものを使用してもよい
が、プラント内で一部パージされているオフガスを使用
するのが好ましい。炭酸ガスは常圧でも加圧でもよい
が、20気圧以下の加圧系がより好ましい。洗浄温度は
加圧の程度により異なるが、通常、第3級アミンの炭酸
塩が分解し難い50℃以下が望ましい。洗浄水は工程
(4)にフィードされ、工程(2)を経て触媒液に仕込
まれる。
1−オールを蒸留分離した残りの缶液から蒸発により純
度の高い状態で回収されるため、そのまま循環再使用で
きる。
(2)で得られるオクタ−2,7−ジエン−1−オール
を含む抽出液をスルホラン水溶液で洗浄する際に存在さ
せる水溶性ホスフィンとしては、下記一般式(I)
ンが好ましい。一般式(I)におけるMが表すアルカリ
金属としては、具体的にはリチウム、ナトリウムおよび
カリウムが挙げられる。水溶性ホスフィンの量は工程
(2)で得られる抽出液中に含まれるパラジウム原子に
対して1当量以上が適当である。水溶性ホスフィンが存
在しない場合には、工程(2)で得られる抽出液中に含
まれるパラジウム触媒の30〜40%程度しかスルホラ
ン水溶液中に回収することはできない。工程(2)で得
られる抽出液中に含まれるパラジウム触媒の90〜10
0%がスルホラン水溶液中に回収される。しかも、その
際にオクタ−2,7−ジエン−1−オールを含む抽出液
中へのリン化合物の溶出量は増加することはない。水溶
性ホスフィンの使用上の上限は無いが、その使用量は工
程(4)で得られる洗浄された抽出液中に含まれる量に
相当する量、すなわち、反応系外に溶出するリン化合物
のモル相当の量が好ましい。工程(4)で用いられる水
は、オクタ−2,7−ジエン−1−オールの炭酸水によ
る洗浄で用いられた水溶液を用いるのが好ましい。抽出
液中のスルホランはパラジウムと共に水層に回収されス
ルホラン水溶液を形成する。洗浄操作は二酸化炭素の雰
囲気下で行うのが適当である。二酸化炭素の分圧は3絶
対圧力より大きく、20絶対圧力より小さい圧力である
のが好ましく、4〜16絶対圧力であるのが好ましい。
二酸化炭素の圧力によってパラジウム触媒およびリン化
合物のスルホラン水溶液中への回収率はほとんど変化し
ない。二酸化炭素の圧力は第3級アミンの回収率に大き
な影響を与え、二酸化炭素の圧力が高いほど第3級アミ
ンの回収率は高くなり、二酸化炭素の分圧が20絶対圧
力以上になると第3級アミンは100%回収される。第
3級アミンは後工程における蒸留操作によっても抽剤と
共に効率良く回収されることから、工程(4)において
二酸化炭素の分圧をあえて高圧にする必要はない。
触媒をその活性を保ったままで回収する上で、0〜80
℃の範囲の温度を採用することが好ましく、5〜30℃
の範囲の温度で採用することがより好ましい。洗浄操作
を80℃より高い温度で行う場合、回収されるパラジウ
ム触媒の活性が低下するばかりか、第3級アミンの回収
率も低下し、また0℃より低い温度で洗浄を行う場合、
洗浄界面の分離性が悪くなることから、いずれの場合も
好ましくない。洗浄操作はバッチでも連続的にも実施す
ることが可能であり、通常良く用いられる抽出・洗浄装
置を用いて実施される。
(4)で得られる洗浄された抽出液を蒸留操作に付する
際に、該抽出液に予めジメチルグリオキシムを添加する
のが好ましい。ジメチルグリオキシムは蒸留塔缶液での
パラジウム触媒のメタル化を抑制するのに効果がある。
ジメチルグリオキシムの添加量は、該洗浄された抽出液
中に溶存するパラジウム原子に対するモル比で10以上
であるのが好ましい。工程(4)においてパラジウム触
媒の回収が効果的に実施されていれば、洗浄された抽出
液を蒸留する際に該抽出液にジメチルグリオキシムをあ
えて加える必要はない。工程(4)におけるパラジウム
触媒の回収により、また蒸留操作中におけるパラジウム
触媒のジメチルグリオキシムによる安定化効果により、
蒸留塔缶液でのパラジウム触媒のメタル化を抑制するこ
とができ、安定な蒸留運転が保証される。
タ−2,7−ジエン−1−オールは、塩基性定数(pK
a)が7以上の単座配位性第3級アミンの炭酸塩および
/または重炭酸塩を含むスルホラン水溶液中、ブタジエ
ンとオクタ−2,7−ジエン−1−オールのモル比を
0.6以上に維持し、パラジウム化合物およびホスホニ
ウム塩の存在下でブタジエンと水とを反応させることに
よって得ることができる。ブタジエンとオクタ−2,7
−ジエン−1−オールのモル比は0.6以上に維持させ
ることが必要であり、0.8〜1.6の範囲に維持する
ことが好ましい。ブタジエンとオクタ−2,7−ジエン
−1−オールのモル比が0.6よりも小さい場合には、
反応混合液中への不溶性重合物の蓄積、パラジウム触媒
の失活、反応速度および反応の選択率の低下、さらにオ
クタ−2,7−ジエン−1−オールを分離する際に、抽
出液中へのパラジウム触媒の溶出量が多くなる。また、
そのモル比の上限についてはとくに制限はないが、通常
20以下であることが好ましい。モル比が2.0より大
きい場合には、ブタジエンの回収量が多くなるうえに、
反応混合液が不均一系となり、オクタ−2,7−ジエン
−1−オール合成反応に続いて実施される抽出操作にお
いて抽出液中へのスルホランなどの溶出量が増加し、ま
た大きな反応装置が必要になるなど経済的に不利にな
る。
合グレード品、化学反応用グレード品および石油化学に
おいて通常C4留分と言われている炭化水素混合物のい
ずれをも使用することができる。しかし、反応速度の大
きさおよび未反応ブタジエンの回収の容易さを考慮する
と、重合グレード品および化学反応用グレード品を使用
するのが好ましい。
数(pKa)が7以上の単座配位性第3級アミンの炭酸
塩および/または重炭酸塩は、オクタ−2,7−ジエン
−1−オールへの選択率を高い水準に維持したまま反応
速度を著しく向上させ、パラジウム触媒の活性を安定化
し、また反応工程(1)に続く抽出工程(2)において
オクタ−2,7−ジエン−1−オールの抽出率を増大さ
せる作用を有する。この様な単座配位性第3級アミンと
しては、例えば、トルメチルアミン、トリエチルアミ
ン、トリn−ブチルアミン、1−N,N−ジメチルアミ
ノ−2−プロパノール、N,N−ジメチル−2−メトキ
シエチルアミン、N−メチルモルホリン、N,N,
N′,N′−テトラメチルヘキサメチレンジアミンなど
が挙げられる。これらのうちでも反応成績、沸点、溶解
性、価格などの諸点を考慮すると、トリメチルアミンま
たはトリエチルアミンが好ましい。単座配位性第3級ア
ミンの炭酸塩および/または重炭酸塩の添加による上述
の優れた効果は、例えばピリジン、ジピリジルなどのp
Kaが7未満の単座または二座配位性第3級アミンの炭
酸塩および/または重炭酸塩、またたとえpKaが7以
上であってもN,N,N′,N′−テトラメチルジアミ
ノエタン、N,N−ジメチル−2−アミノプロピオノニ
トリルなどの二座配位能の強い第3級アミンの炭酸塩お
よび/または重炭酸塩を用いたのでは十分に発現しな
い。
の炭酸塩および/または重炭酸塩は反応系中において炭
酸イオンおよび/または重炭酸イオンおよび単座配位性
第3級アミンとの平行混合物として存在し(下記平衡式
参照)、反応条件下における第3級アミンの炭酸塩およ
び/または重炭酸塩の存在比率は反応系での温度および
二酸化炭素の分圧に依存する。
0気圧(絶対圧力)となるような状態で行われる。反応
成績、抽出効率、第3級アミンの抽出層への溶出量を考
慮すると第3級アミンの炭酸塩および/または重炭酸塩
を反応混合液に対して5〜10重量%の範囲となるよう
な量で用いるのが好ましい。
在する。スルホラン水溶液は長期の連続使用に悪影響を
及ぼさないのみならず、反応混合液からの抽出による生
成物の分離を可能にする。また、反応速度を高め、オク
タ−2,7−ジエン−1−オールへの選択率を高める効
果がある。スルホラン水溶液中の水の濃度はブタジエン
の溶解度ならびにオクタ−2,7−ジエン−1−オール
の抽出効率を考慮すると、水とスルホランの重量比で7
0対30〜30対70、好ましくは60対40〜40対
60に保つことが望ましい。水の量が多くなると反応速
度が低下する傾向にあり、逆に水の量が少なくなるとオ
クタ−2,7−ジエン−1−オールの抽出率が低下し、
かつスルホランおよび触媒成分の抽出液中への溶出量が
大きくなる傾向がある。
系に存在させるパラジウム化合物はとくに限定されるも
のではない。パラジウム触媒としては例えばこれまでに
オクタ−2,7−ジエン−1−オールの合成反応に用い
ることが提案されているパラジウム化合物が使用可能で
ある。これらのパラジウム化合物の具体例として、パラ
ジウムアセチルアセトナート、π−アリルパラジウムア
セテート、π−アリルパラジウムクロリド、酢酸パラジ
ウム、炭酸パラジウム、硝酸パラジウム、塩化パラジウ
ム、ナトリウムクロロパラデート、ビスベンゾニトリル
パラジウムクロリド、ビストリフェニルホスフィンパラ
ジウムクロリド、ビストリフェニルホスフィンパラジウ
ムアセテート、ビス(1,5−シクロオクタジエン)パ
ラジウム、ビス−π−アリルパラジウムなどを挙げるこ
とができる。オクタ−2,7−ジエン−1−オールの合
成反応における真のパラジウム触媒の活性種は低原子価
パラジウム錯体であるので、二価のパラジウム化合物を
触媒として用いる場合には、それを反応系中に存在する
ブタジエンで還元することによってパラジウム触媒の活
性種を形成させることもできるが、同一反応系内または
別の反応容器内で該二価のパラジウム化合物に還元剤を
作用させることによってパラジウム触媒の活性種を形成
させ、それを使用することもできる。この目的に用いら
れる還元剤としてはアルカリ金属水酸化物、アルカリ金
属カルボン酸塩、水素化硼素ナトリウム、亜鉛末、マグ
ネシウム、ヒドラジンなどを挙げることができる。反応
系中に存在させるパラジウム化合物の量については特別
な制限はないが、工業的には反応混合液1リットルあた
りパラジウム原子として好ましくは0.5〜50ミリグ
ラム原子、より好ましくは0.5〜5ミリグラム原子の
濃度となるような量で存在させるのが望ましい。
系に存在させるホスホニウム塩としては下記一般式(I
I)
基を有していてもよい炭素数1〜12の炭化水素基を表
し、R3 は水素原子または置換基を有していてもよい炭
素数1〜5の炭化水素基を表し、Mはアルカリ金属を表
し、Xは水酸基またはヒドロカルボニルオキシ基を表
す)で示されるホスホニウム塩が好ましい。一般式(I
I)において、R1 およびR2 が表す炭素数1〜12の
炭化水素基としては、メチル、エチル、n−プロピル、
n−ブチル、n−ペンチル、n−オクチルなどのアルキ
ル基、2−プロペニル、3−ブテニル、1−ペンテニル
などのアルケニル基などの脂肪族炭化水素基;シクロヘ
キシルで代表されるシクロアルキル基などの脂環式炭化
水素基;およびフェニル、トリルなどのアリール基、ベ
ンジルなどのアラルキル基などの芳香族炭化水素基を例
示することができる。R3が表す炭素数1〜5の炭化水
素基としては、メチル、エチル、プロピルなどのアルキ
ル基;アリル、4−ペンテニルなどのアルケニル基など
の脂肪族炭化水素基などを例示することができる。上記
の置換基としては、例えば、ジメチルアミノ基などのジ
(低級アルキル)アミノ基;シアノ基;式−SO3 Mま
たは−COOM(式中、Mはリチウム、ナトリウム、カ
リウムなどのアルカリ金属を表す)で示される基などが
挙げられる。また、Mが表すアルカリ金属としては、具
体的にはリチウム、ナトリウムおよびカリウムが挙げら
れる。ホスホニウム塩の使用量は、反応速度およびオク
タ−2,7−ジエン−1−オールへの選択率の高さ、パ
ラジウム触媒の活性の長期安定化、次の抽出工程(2)
における抽出液中へのパラジウム触媒の溶出抑制効果な
どを考慮して通常パラジウム1グラム原子あたり6モル
以上、好ましくは10モル以上である。ホスホニウム塩
の使用量について厳密な意味での上限はないが、ホスホ
ニウム塩は一般的にはパラジウム1グラム原子あたり1
50モル以下となるような量で使用され、好ましくは8
0モル以下となるような量で用いられる。
は、パラジウム化合物の存在下、かつ炭酸イオンおよび
/または重炭酸イオンを含有する水の存在下において前
記一般式(I)で示されるホスフィンを該ホスフィンに
対して等モル以上の一般式(III)
る)で示されるアリルアルコールと反応させることによ
って容易に得ることができる。
成反応は通常50〜110℃の温度で実施される。反応
装置としては撹拌型反応槽、気泡塔型反応槽などそれ自
体公知の気液接触型の装置を用いることができる。
において、オクタ−2,7−ジエン−1−オールは、反
応混合液の少なくとも一部を抽剤で抽出することによっ
て分離されるが、抽剤として使用可能なものは、オクタ
−2,7−ジエン−1−オールよりも低い沸点を有する
飽和脂肪族炭化水素、モノオレフィン性炭化水素および
脂環式炭化水素である。これらの具体例としては、n−
ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n
−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタンなどの飽和脂
肪族炭化水素;ブテン、イソブテンなどのモノオレフィ
ン性炭化水素;シクロヘキサン、シキロヘキセン、メチ
ルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素が挙げられ、ま
たブタジエン源としてのC4留分中に含まれるブタン、
ブテン、イソブテンなどの炭化水素の混合物を挙げるこ
とができる。この中でもとくに好ましく用いることがで
きるものはn−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサ
ンおよびメチルシクロヘキサンである。これらの抽剤は
単独で使用しても混合して使用してもよい。抽剤はオク
タ−2,7−ジエン−1−オールの抽出効率、抽出液中
への触媒成分およびスルホランの溶出量を考慮して、オ
クタ−2,7−ジエン−1−オールの合成反応によって
得られる反応混合液に対する容量比で0.3〜3の範囲
内の量で用いられる。
が適当である。二酸化炭素の分圧は3絶対圧力より大き
く20絶対圧力より小さい圧力であるのが好ましく、4
〜16絶対圧力であるのがより好ましい。二酸化炭素の
分圧が3絶対圧力以下では第3級アミンの溶出量が多く
なるばかりでなく、パラジウム触媒の溶出量の経時的増
加が認められる。また、抽出液および触媒液からなる抽
出界面の安定性も悪い。一方、二酸化炭素の分圧を20
絶対圧力以上にすることはパラジウム触媒の溶出抑制効
果以上の不必要な二酸化炭素を使用することになるので
経済的ではない。抽出操作における温度としてはパラジ
ウム触媒および第3級アミンの溶出を抑えるうえで、0
〜40℃の範囲の温度を採用することが好ましく、5〜
30℃の範囲の温度を採用することがより好ましい。抽
出操作を40℃より高い温度で行う場合、第3級アミン
の溶出量が増加するのみならず、生成したオクタ−2,
7−ジエン−1−オールが同一触媒系で分解反応を受け
て選択率の低下を招く。さらには、オクタ−2,7−ジ
エン−1−オールの分解に伴ってパラジウム触媒の溶出
量の経時的増加が認められる。抽出温度の低下とともに
パラジウム触媒の溶出量および第3級アミンの溶出量は
減少する傾向にあるが、0℃より低い温度で抽出を行う
場合には抽出界面の分離性が悪くなる。工程(2)で使
用される抽出装置としては、工業的に汎用な撹拌型抽出
器、RDC型抽出器、多孔板塔などが適用可能である。
工業的には相分離するのに十分な静置槽を備えることに
より連続方式によって抽出操作が行われる。
残液(スルホラン水溶液)の少なくとも一部は工程
(1)のオクタ−2,7−ジエン−1−オール合成反応
工程にフィードし再使用される。工程(4)で用いられ
る水溶性ホスフィンは該工程(4)における洗浄工程な
いしは工程(5)でスルホラン水溶液層に含まれた状態
でフィードされる抽出工程(2)において完全にホスホ
ニウム塩に転化されることから、工程(3)で工程
(1)のオクタ−2,7−ジエン−1−オール合成反応
工程にフィードされる抽残液中には水溶性ホスフィンが
含まれることはない。抽残液は所望によりその一部を取
り出し、触媒賦活処理を施した後、上記合成反応工程に
循環してもよい。
る抽出操作により触媒系外から溶出した触媒成分は工程
(4)において、パラジウム触媒、リン化合物、第3級
アミンおよびスルホランの一部が回収され、工程(6)
において、炭酸ガス、抽剤、第3級アミン、スルホラン
が回収される。回収されない極微量の触媒成分は、パラ
ジウム触媒、リン化合物およびスルホランについては蒸
留缶液から高沸物とともに、第3級アミンについては低
沸留分として、それぞれ系外へロスする。従って、ロス
した量の触媒成分は追加触媒液として新たに触媒系へ添
加される。追加すべき触媒成分は、それぞれの追加すべ
き量に応じた薬液を一括または目的に応じた組み合わせ
で分割して調製し、断続的または連続的に追加される
が、第3級アミンについては、予め二酸化炭素および水
の存在下に炭酸塩および/または重炭酸塩に変換した
後、水溶液として供給するのが望ましい。かかる炭酸塩
の水溶液中にパラジウム触媒、ホスホニウム塩およびス
ルホランを存在させても差支えないが、第3級アミンの
炭酸塩および/または重炭酸塩の水溶液、パラジウム触
媒、ホスホニウム塩を含むスルホラン水溶液、およびス
ルホラン水溶液の3分割でそれぞれ単独に触媒系に追加
する方法が、反応液組成を一定の組成に保つことがで
き、安定運転が達成できるので好ましい。
るが、本発明はこれらによって何ら制限されるものでは
ない。 [実施例1]次の装置を用いて後述の運転条件下で連続
反応を行い、定常状態における反応成績を調べた。
触媒液循環ポンプ、二酸化炭素導入口、圧力調整弁およ
び液面計を備えたステンレス製耐圧反応装置。反応混合
液は減圧弁を経て抽出装置に送られる。
ポンプ、液面計および界面計を備えたミキサーセトラー
型抽出器。抽残触媒液は触媒貯槽を経て反応装置に触媒
フィードポンプで定量的にフィードされる。抽出液は抽
出液フィードポンプで抽出液のスルホラン水溶液洗浄装
置にフィードされる。
クミキサーおよび静置槽を備えた洗浄装置、下層のスル
ホラン水溶液層は追加液フィードポンプで触媒調整槽お
よび抽出装置にフィードされる。上層の洗浄された抽出
液層は減圧弁を経てブタジエン回収塔にフィードされ
る。
収)、抽剤回収塔(抽剤および第3級アミンの回収)、
薄膜蒸発器(溶出パラジウム触媒、溶出リン化合物の分
離および高沸カット)、精製塔(オクタ−2,7−ジエ
ン−1−オールの精製)を備えた蒸留装置。
下膜式蒸発器で蒸発された液は静置後、スルホランリッ
チな下層は抽出液のスルホラン水溶液洗浄装置に、上層
の高沸液は薄膜蒸発器にフィードされる。
組成はスルホラン34重量%、水30重量%、トルエチ
ルアミン9.8重量%、パラジウム触媒(酢酸パラジウ
ムから形成された触媒)1.7mg原子/リットル(パ
ラジウム原子換算)、式
タジエン1.1モル/リットル、オクタ−2,7−ジエ
ン−1−オール0.9モル/リットルに維持され、反応
温度70℃、反応圧力14.5kg/cm2 G(二酸化
炭素により加圧)、反応液滞留時間1.0時間の条件で
運転した。
(微量のトリエチルアミンを含むn−ヘキサン溶液)と
の容量比0.66で4絶対圧力の炭酸ガス加圧下、20
℃で抽出した。55日後の抽出液中の生成物、ブタジエ
ン、トリエチルアミンおよびスルホランをガスクロマト
グラフィーで、パラジウム触媒を原子吸光分析で、リン
化合物を比色定量法でそれぞれ分析した結果、抽出液中
のオクタ−2,7−ジエン−1−オール濃度は11.2
重量%であり、抽剤中への溶媒および触媒の溶出量はパ
ラジウム触媒(原子換算)2.0ppm、リン化合物
(リン原子換算)5.6ppm、スルホラン1.2重量
%、トルエチルアミン0.5重量%、水0.15重量%
であった。
置より回収されたスルホラン溶液14重量部(スルホラ
ン12重量部を含む)、オクタ−2,7−ジエン−1−
オールの洗浄装置から回収された水溶液17重量部、お
よびジフェニルホスフィノベンゼン−m−スルホネート
のリチウム塩31重量%を含む水溶液0.032重量部
の割合で連続添加し、温度20℃、4絶対圧力の炭酸ガ
ス加圧下にスタティックミキサーで混合し、静置槽で分
液した。上層液の分析結果、オクタ−2,7−ジエン−
1−オール濃度は11重量%で、溶媒および触媒の溶出
量はパラジウム触媒(原子換算)0.2ppm、リン化
合物(リン原子換算)1.1ppm、スルホラン1.2
5重量%、トリエチルアミン0.17重量%、水0.1
5重量%であった。この結果、パラジウム触媒の92.
5%、リン化合物の80%、トリエチルアミンの66%
が下層に回収されたことがわかる。この下層液を連続的
に抽出装置にフィードした。
エン回収塔において4kg/cm2Gの加圧下に蒸留
し、未反応ブタジエンおよび炭酸ガスを回収した。次に
抽剤回収工程において、常圧条件下、塔頂温度60℃で
ヘキサンをトリエチルアミンとともに回収し、抽出装置
に連続フィードした。抽剤回収塔の缶液を連続的に薄膜
蒸発器にフィードした。ここではスルホラン以下の沸点
の化合物が蒸発され、抽出工程で溶出したパラジウム触
媒、リン化合物および高沸物をカットした。缶液中には
5重量%のスルホランが含まれていた。蒸発液は精製塔
にフィードし、オクタ−2,7−ジエン−1−オールを
主留分とする留出液は、抽出系の炭酸ガスを含むオフガ
スおよび水17重量部と撹拌下に接触させた。さらに低
沸カットをした後得られたオクタ−2,7−ジエン−1
−オールのGC純度は99.8%であった。
含んでおり、0.6重量部の水酸化ナトリウムを含む4
0重量%の水溶液を添加し、流下膜式の蒸発器で蒸発し
た後、静置し、下層を抽出液のスルホラン水溶液による
洗浄装置にフィードした。上層液は薄膜蒸発器にフィー
ドし、流下膜式の缶液は薄膜蒸発器の缶液に戻した。
相当するパラジウム触媒およびホスホニウム塩をスルホ
ラン水溶液に溶解させてフィードしたが、反応液中のパ
ラジウム触媒濃度およびホスホニウム塩の濃度はほぼ一
定に保たれた。また、反応液中のスルホラン濃度および
水濃度を微調整するため、フレッシュなスルホランおよ
び水を適宜抽出装置にフィードした。反応液中のトリエ
チルアミン濃度を一定に保つために、トリエチルアミン
換算で35重量%に相当するトリエチルアミンの炭酸塩
および/または重炭酸塩の水溶液をフィードした。1t
のオクタ−2,7−ジエン−1−オールを製造するに当
り0.5kgのトリエチルアミンの追加量で反応液中の
トリエチルアミン濃度は一定に保たれた。このことか
ら、トリエチルアミンの回収率は約97%であることが
わかる。
したところ、運転は極めて安定であり、一定の反応成績
を示した。
トリウムを添加せず、直接高沸物を含んだスルホラン溶
液を水とは独立に抽出液の洗浄工程にフィードし、オク
タ−2,7−ジエン−1−オールの炭酸水による洗浄も
実施せずに同様な反応条件、抽出条件および蒸留条件
で、25日間連続運転を実施した。
たが、次第に抽出液中のパラジウム濃度が高くなり、抽
出液を洗浄した後も溶出パラジウム濃度が高く、反応系
外へのロス量が大きくなった。18日後の洗浄された抽
出液の分析結果、オクタ−2,7−ジエン−1−オール
濃度は9.8重量%で、溶媒および触媒の溶出量はパラ
ジウム触媒(原子換算)1.3ppm、リン化合物(リ
ン原子換算)2.3ppm、スルホラン1.2重量%、
トリエチルアミン0.42重量%、水0.15重量%で
あった。その結果、反応液中のパラジウム濃度を一定に
保つために加えるべきパラジウム触媒量は多くなった。
反応液中のトリエチルアミン濃度を一定に保つために、
1tのオクタ−2,7−ジエン−1−オールを製造する
に当り15kgのトリエチルアミンの追加量が必要であ
った。
かなとおり、高沸物を含むスルホラン溶液を蒸発する際
に水酸化ナトリウムを添加することにより、直接触媒系
にフィード可能なスルホランを得ることができるため、
第3級アミンおよびパラジウム触媒の溶出量を長期に亘
って少なくすることができ、触媒系の組成を一定に保つ
ことが容易となった。さらにオクタ−2,7−ジエン−
1−オール留分にロスした第3級アミンおよびスルホラ
ンを炭酸塩および/または重炭酸塩の水溶液として回収
できるため、第3級アミンおよびスルホランのロス量を
極小にすることができる。
Claims (5)
- 【請求項1】 (1)塩基性定数(pKa)が7以上の
単座配位性第3級アミンの炭酸塩および/または重炭酸
塩を含むスルホラン水溶液中、ブタジエンとオクタ−
2,7−ジエン−1−オールのモル比を0.6以上に維
持し、パラジウム化合物およびホスホニウム塩の存在下
でブタジエンと水とを反応させることによってオクタ−
2,7−ジエン−1−オールを合成し、 (2)工程(1)で得られる反応混合液の少なくとも一
部を飽和脂肪族炭化水素、モノオレフィン性炭化水素ま
たは脂環式炭化水素で抽出することによってオクタ−
2,7−ジエン−1−オールを分離し、 (3)工程(2)で得られる触媒成分を含む抽残液の少
なくとも一部を工程(1)のオクタ−2,7−ジエン−
1−オール合成工程にフィードし、 (4)工程(2)で得られるオクタ−2,7−ジエン−
1−オールを含む抽出液を水溶性ホスフィンの存在下に
スルホラン水溶液で洗浄し、スルホラン水溶液層と洗浄
された抽出液層に分離し、 (5)工程(4)で得られるスルホラン水溶液層の少な
くとも一部を抽出工程(2)にフィードし、 (6)工程(4)で得られる洗浄された抽出液層を蒸留
するオクタ−2,7−ジエン−1−オールの製造方法に
おいて、 a)オクタ−2,7−ジエン−1−オールの蒸発もしく
は蒸留をアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化
物、炭酸塩もしくは重炭酸塩の存在下に行い、 b)蒸留により得られるオクタ−2,7−ジエン−1−
オール以下の生成物留分を、炭酸ガスおよび水と接触さ
せることを特徴とするオクタ−2,7−ジエン−1−オ
ールの製造方法。 - 【請求項2】 第3級アミンがトリメチルアミンまたは
トリエチルアミンである請求項1記載の製造方法。 - 【請求項3】 ホスホニウム塩がパラジウム1グラム原
子あたり少なくとも6モルの量である請求項1または2
記載の製造方法。 - 【請求項4】 水溶性ホスフィンの量がオクタ−2,7
−ジエン−1−オールを含む抽出液中に含まれるパラジ
ウム原子に対して1当量以上である請求項1〜3のいず
れか1つに記載の製造方法。 - 【請求項5】 工程(4)で得られる洗浄された抽出液
層中に、該抽出液層中のパラジウム原子に対するモル比
で10倍以上のジメチルグリオキシムを添加する請求項
1〜4のいずれか1つに記載の製造方法。
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---|---|---|---|
JP5139610A JP2888509B2 (ja) | 1993-05-18 | 1993-05-18 | オクタ−2,7−ジエン−1−オールの製造方法 |
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---|---|
JPH06321828A true JPH06321828A (ja) | 1994-11-22 |
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WO2011151301A1 (de) | 2010-06-01 | 2011-12-08 | Basf Se | Verfahren zur herstellung von expandierbaren styrolpolymer-zusammensetzungen |
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WO2014157402A1 (ja) | 2013-03-27 | 2014-10-02 | 株式会社クラレ | 2,7-オクタジエン-1-オールの製造方法 |
WO2014157403A1 (ja) | 2013-03-27 | 2014-10-02 | 株式会社クラレ | ビス(6-メチル-3-スルホフェニル)(2-メチルフェニル)ホスフィンおよびそのアンモニウム塩並びにそれらの製造方法 |
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US9315433B2 (en) | 2013-03-27 | 2016-04-19 | Kuraray Co., Ltd. | Method for producing 2,7-octadien-1-OL |
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