JPH11189557A - アルカジエノール類の製造方法 - Google Patents

アルカジエノール類の製造方法

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JPH11189557A
JPH11189557A JP9356821A JP35682197A JPH11189557A JP H11189557 A JPH11189557 A JP H11189557A JP 9356821 A JP9356821 A JP 9356821A JP 35682197 A JP35682197 A JP 35682197A JP H11189557 A JPH11189557 A JP H11189557A
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water
amine
catalyst
product
palladium
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JP9356821A
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Tomoyuki Mori
知行 森
Hiroshi Kameo
広志 亀尾
Shinji Isotani
真治 磯谷
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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  • Catalysts (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 パラジウム及び有機リン化合物を含む触媒を
用いて共役ジエンと水とを反応させてアルカジエノール
を製造するに際し、触媒を失活させずに循環使用する。 【解決手段】 反応混合物から生成したアルカジエノー
ルを留出させ、触媒を含む蒸留残渣を第3級アミンの存
在下に水で抽出して、副生した有機酸を除去したのち、
触媒液として反応に循環使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は均一系触媒の存在下
に、共役アルカジエンと水とを反応させてアルカジエノ
ール類を製造する方法に関するものである。詳しくは本
発明は、触媒の循環使用に伴う失活を防止する方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】パラジウムと有機リン化合物を含む触媒
及び二酸化炭素の存在下に、共役アルカジエンと水とを
反応させてアルカジエノール類を製造することは公知で
ある。例えば特公昭50−10565号公報には、有機
リン化合物としてトリフェニルホスフィンを用いて反応
を行ったことが記載されている。この方法の問題点の一
つは、カルボン酸を含む高沸点副生物が生成することで
ある。この反応では触媒は循環使用するが、副生するカ
ルボン酸は反応を阻害するので、若し触媒を循環使用す
るに際して副生カルボン酸を除去しなければ、副生カル
ボン酸の蓄積のためアルカジエノール類の生成反応が著
しく阻害されるようになる。特開昭54−32411号
公報には、副生カルボン酸の蓄積を避けるため、反応混
合物をフラッシュ蒸留して得られた触媒を含む残留液を
水酸化ナトリウム水溶液で抽出して、副生カルボン酸を
触媒から分離することが記載されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】水酸化ナトリウム水溶
液で副生カルボン酸を抽出する方法は、副生カルボン酸
の除去の点では優れた方法であるが、大量の強アルカリ
性の廃水が発生するので、この処理が大きな負担とな
る。従って本発明は、廃水処理の負担の少ない副生カル
ボン酸の除去方法を提供せんとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、パラジ
ウムと有機リン化合物を含む触媒が溶解している溶液及
び二酸化炭素の存在下に、共役アルカジエンと水とを反
応させてアルカジエノール類を含む反応混合物を生成さ
せ、これから少なくとも生成したアルカジエノール類を
分離して触媒及び副生高沸点物を含む溶液を取得し、こ
れを反応に循環使用するアルカジエノール類の製造方法
において、反応混合物ないしはこれから取得した触媒及
び副生高沸点物を含む溶液を、アミンの存在下に水で抽
出して副生有機酸を除去することにより、循環される触
媒に同伴して反応帯域に持込まれる副生有機酸量を低減
させることができる。
【0005】水抽出により得られた副生有機酸のアミン
塩を含む水溶液は、PHが中性に近いのでそのまま廃水
処理に供することができるが、好ましくはこれから副生
有機酸を分離して、アミンや水を系内で循環して使用す
る。本発明の好ましい一態様では、アミンとして水より
も沸点の低いアミンを用い、水抽出により得られた副生
有機酸のアミン塩を含む水溶液を蒸留してアミン塩を解
離させ、アミンを塔頂から留出させ、副生有機酸及び水
を塔底から排出させる。遊離の副生有機酸は水不溶性な
ので、塔底流出液は、静置すると副生有機酸と水とに成
層分離する。この方法によれば、アミンと水とは回収し
てそれぞれ循環使用することができ、廃水処理の負担は
著しく軽減される。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明について詳細に説明する
と、本発明では共役アルカジエンと水とからアルカジエ
ノール類を生成させる反応そのものは、常法に従って行
えばよい。共役アルカジエンとしては、1,3−ブタジ
エン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2,3−ジメ
チル−1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペン
タジエン、クロロプレン、1,3−オクタジエン等が挙
げられる。原料が1,3−ブタジエンである場合、通
常、容易に入手可能なものとして、精製1,3−ブタジ
エン及び所謂BBP(ブテン−ブタジエン留分)、即
ち、ナフサ分解生成物中のC4留分混合物などが挙げら
れる。
【0007】BBPを原料とする場合は、原料BBP中
に含有されるアセチレン類及びアレン類を予め除去して
おくことが望ましい。原料中のアセチレン類及びアレン
類の総濃度は、可能な限り低いことが望ましいが、通
常、1,3−ブタジエンに対して1.0重量%以下程度
が好ましい。アセチレン類及びアレン類を低減する方法
には特に制限はなく、公知の諸法を適宜採用可能であ
る。
【0008】共役アルカジエンと反応させる水は、通常
の純度のものであればよい。例えば、後記する水抽出に
より得られた水溶液を蒸留して塔頂からアミンを留出さ
せ、塔底から排出される副生有機酸と水とを油水分離し
て得られる水を用いることができる。反応に供する水量
は、共役アルカジエンに対し通常0.5〜10モル倍で
あるが、1〜5モル倍が好ましい。
【0009】触媒を構成するパラジウムとしては種々の
形態及び原子価のものを用いることができる。そのいく
つかを例示するとパラジウム黒、担体付パラジウム金属
等の金属パラジウム;ビス(t−ブチルイソニトリル)
パラジウム(0)、ビス(t−アミルイソニトリル)パ
ラジウム(0)、ビス(シクロヘキシルイソニトリル)
パラジウム(0)、ビス(フェニルイソニトリル)パラ
ジウム(0)、ビス(p−トリルイソニトリル)パラジ
ウム(0)、ビス(2,6−ジメチルフェニルイソニト
リル)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセ
トン)パラジウム(0)、(1,5−シクロオクタジエ
ン)(無水マレイン酸)パラジウム(0)、ビス(ノル
ボルネン)(無水マレイン酸)パラジウム(0)、ビス
(無水マレイン酸)(ノルボルネン)パラジウム
(0)、(ジベンジリデンアセトン)(ビピリジル)パ
ラジウム(0)、(p−ベンゾキノン)(o−フェナン
スロリン)パラジウム(0)等の0価パラジウム錯体;
テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム
(0)、トリス(トリフェニルホスフィン)パラジウム
(0)、ビス(トリトリルホスフィン)パラジウム
(0)、ビス(トリキシリル)パラジウム(0)、ビス
(トリメシチルホスフィン)パラジウム(0)、ビス
(トリテトラメチルフェニル)パラジウム(0)、ビス
(トリメチルメトキシフェニルホスフィン)パラジウム
(0)等のホスフィン化合物を配位子として持つテトラ
キス(ホスフィン)パラジウム、トリス(ホスフィン)
パラジウム、ビス(ホスフィン)パラジウム錯体および
対応するホスファイト化合物を配位子として持つテトラ
キス(ホスファイト)パラジウム、トリス(ホスファイ
ト)パラジウム、ビス(ホスファイト)パラジウム錯
体;塩化パラジウム(II)、硝酸パラジウム(II)、テ
トラアミンジクロロパラジウム(II)、ジナトリウムテ
トラクロロパラジウム(II)等のパラジウム無機塩;酢
酸パラジウム(II)、安息香酸パラジウム(II)、α−
ピコリン酸パラジウム(II)等のパラジウムカルボン酸
塩;ビス(アセチルアセトン)パラジウム(II)、ビス
(8−オキシキノリン)パラジウム(II)等のパラジウ
ムキレート化合物;ビス(アリル)パラジウム(II)、
(η−アリル)(η−シクロペンタジエニル)パラジウ
ム(II)、(η−シクロペンタジエニル)(1,5−シ
クロオクタジエン)パラジウム(II)テトラフルオロ硼
酸塩、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム(II)酢酸
塩、ジ−μ−クロロ−ジクロロビス(トリフェニルホス
フィン)二パラジウム(II)、ビス(トリ−n−ブチル
ホスフィン)パラジウム(II)酢酸塩、2,2−ビピリ
ジルパラジウム(II)酢酸塩等の2価パラジウム錯体な
どが挙げられる。
【0010】反応帯域に供給する触媒中のパラジウム量
は、通常、共役アルカジエン1モル当り、パラジウム原
子に換算して0.00001〜1グラム原子、好ましく
は0.0001〜0.5グラム原子の範囲である。パラ
ジウムと共に触媒を構成する有機燐化合物としては、疎
水性であって水で抽出されない各種のホスフィン類、ホ
スフィナイト類、ホスホナイト類、ホスファイト類が挙
げられる。
【0011】これらの具体例としては、トリオクチルホ
スフィン、トリブチルホスフィン、ジメチルオクチルホ
スフィン等のトリアルキルホスフィン、トリシクロヘキ
シルホスフィン等のトリシクロアルキルホスフィン、ト
リフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリキ
シリルホスフィン、トリメシチルホスフィン、トリス
(テトラメチルフェニル)ホスフィン、ジフェニル−p
−クロロフェニルホスフィン、トリス(p−メトキシフ
ェニル)ホスフィン等のトリアリールホスフィン、ジフ
ェニルエチルホスフィン、ジメチルフェニルホスフィ
ン、ビス(ジフェニルホスフィノ)メタン、1,2−ビ
ス(ジフェニルホスフィノ)エタン等の第3アルキルア
リールホスフィン、ジオクチルオクトキシホスフィン、
ジブチルブトキシホスフィン等のアルキルホスフィナイ
ト、ジフェニルフェノキシホスフィン、ジトリルトリル
オキシホスフィン、ジキシリルキシリルオキシホスフィ
ン等のアリールホスフィナイト、ジフェニルエトキシホ
スフィン、ジエチルフェノキシホスフィン等のアルキル
アリールホスフィナイト、オクチルジオクトキシホスフ
ィン、ブチルジブトキシホスフィン等のアルキルホスホ
ナイト、フェニルジフェノキシホスフィン、トリルジト
リルオキシホスフィン、キシリルジキシリルオキシホス
フィン等のアリールホスホナイト、フェニルジエトキシ
ホスフィン、エチルジフェノキシホスフィン等のアルキ
ルアリールホスホナイト、トリオクチルホスファイト、
トリブチルホスファイト、ジメチルオクチルホスファイ
ト等のトリアルキルファイト、トリシクロヘキシルホス
ファイト等のトリクロアルキルホスファイト、トリフェ
ニルホスファイト、トリトリルホスファイト、トリキシ
リルホスファイト等のトリアリールホスファイト、ジフ
ェニルエチルホスファイト、ジメチルフェニルホスファ
イト等のアルキルアリールホスファイトが例示される。
また、有機燐化合物としては下記式(I)又は(II)で
表される環式ホスファイト類も使用し得る。
【0012】
【化1】
【0013】(式中、R1 、R2 及びR3 は、それぞ
れ、メチル、エチル、ノニル等のアルキル基、フェニ
ル、トリル、ナフチル等のアリール基、ヒドロキシメチ
ル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシペンチル等のヒドロ
キシアルキル基、エトキシメチル等のアルコキシアルキ
ル基、フェノキシメチル等のアリールオキシアルキル
基、又は、アセトキシメチル、アセトキシペンチル等の
アシルオキシアルキル基を示す。) これらの有機燐化合物は、通常、パラジウム1モルに対
して2〜100モル程度、好ましくは4〜50モル程度
の割合で使用されるが、必ずしも上記範囲に限定される
ものではない。
【0014】共役アルカジエンと水との反応は、上記の
パラジウム及び有機燐化合物からなる触媒を用いて、二
酸化炭素の存在下に行われる。二酸化炭素は、助触媒で
あり、その供給形態は問わない。例えば、分子状の二酸
化炭素、炭酸、炭酸塩、重炭酸塩などを用いることがで
きる。通常、二酸化炭素は触媒のパラジウム1モルに対
して1モル以上、好ましくは10モル以上使用される。
使用量の上限は経済的理由により決定され、過剰に使用
しても反応が阻害されることはない。
【0015】共役アルカジエンと水との反応は、反応を
円滑に行うために、これら両者を少なくとも部分的に溶
解する溶媒の存在下に行うのが好ましい。溶媒として
は、従来より公知の種々の溶媒を使用できる。例えば、
ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、
エチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレング
リコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコール
ジメチルエーテル等のエーテル類、アセトン、、メチル
エチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソプロピルケ
トン、エチル−n−ブチルケトン等のケトン類、アセト
ニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニト
リル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼ
ン等の芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ン等のアルカン類、ヘキヘン、オクテン等のアルケン
類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、スルホ
ラン等のスルホン類、ニトロベンゼン、ニトロメタン等
のニトロ化合物、ピリジン、α−ピロリン等のピリジン
誘導体、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプ
ロピルアミン等のアミン類、アセトアミド、プロピオン
アミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメ
チルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド等の
アミド類などが例示される。溶媒は単独で用いても、混
合溶媒として用いても良い。なお、アルコール類を溶媒
とすることもできるが、1級及び2級アルコールは、オ
クタジエノール類がこれらと反応した構造のオクタジエ
ノールエーテルを相当量副生するので、t−ブタノール
のような3級アルコールを用いるのが好ましい。また、
炭化水素類を溶媒とする場合には、水の溶解能を高める
ため、極性溶媒を併用するのが好ましい。
【0016】共役アルカジエンと水との反応温度は、室
温から約180℃までの広い範囲から選択することがで
きるが、好ましくは50〜130℃、より好ましくは6
0〜100℃の範囲である。また、反応圧力は、常圧か
ら約200kg/cm2 までの広い範囲から選択するこ
とができるが、3〜70kg/cm2 の範囲とするのが
好ましい。反応に際しては、特公昭50−10565号
公報に開示されているように、反応系中に二酸化炭素の
他にヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを共存させるこ
とも可能である。
【0017】本発明においては、以上に説明した反応原
料、反応条件にて共役アルカジエンと水とを反応させ
て、アルカジエノール類を生成させる。この反応により
得られる反応混合物中には、触媒、主生成物であるアル
カジエノール、副生成物のアルカトリエン類、ジアルカ
ジエニルエーテル類、有機カルボン酸及びエステル類、
並びに溶媒、未反応の共役アルカジエン及び水等が含有
されている。原料共役アルカジエンが1,3−ブタジエ
ンの場合、主生成物としてはオクタ−2,7−ジエン−
1−オールが、副生成物としてはオクタ−1,7−ジエ
ン−3−オール、オクタトリエン類、ジオクタジエニル
エーテル類及び有機カルボン酸等が生成する。なお、副
生成物の生成量は、反応条件に依存し、通常、原料の共
役アルカジエン基準でそれぞれ数モルパーセント内外で
ある。
【0018】反応混合物からは生成したアルカジエノー
ル類を回収し、触媒及び副生高沸点物を含む溶液は、含
まれている触媒を有効利用するため、触媒液として反応
帯域に循環する。本発明では、触媒と一緒に反応帯域に
循環される副生有機酸を減少させるため、副生有機酸を
アミンの存在下に水で抽出して除去する。アミンとして
は塩基性定数(pka)が7以上のものであればよく、
「大有機化学 別巻2 有機化学定数便覧(朝倉書店、
昭和38年発行)」の585〜611頁に記載のアミン
類のなかからpkaが7以上のものを適宜選択して用い
ればよい。好ましくは第3級アミン、例えばトリメチル
アミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリ
ブチルアミン、トリオクチルアミン、トリデシルアミ
ン、ジメチルデシルアミン等のトリアルキルアミン;ト
リエタノールアミン、トリプロパノールアミン、ジメチ
ルエタノールアミン等のヒドロキシ基が結合したアルキ
ル基を有するトリアルキルアミン;ジメチルアニリン、
トリフェニルアミン、トリベンジルアミン等の芳香環を
有するアミン;N−メチルピロリジン、N−メチルピペ
リジン、N−メチルモルホリン、N,N′−ジメチルピ
ヘラジン、N−メチルピペコリン等の環式アミンを用い
る。特に好ましいのは、第3級アミンで且つ沸点が水よ
りも低いものである。このようなアミンを用いると、水
抽出で得た副生有機酸のアミン塩を含む水溶液を蒸留し
てアミンと遊離酸とに解離させ、アミンを塔頂流出物と
して回収し、塔底から排出される遊離の有機酸と水との
混合液は成層分離させて、有機酸と水とに分離させるこ
とができる。
【0019】アミンの存在下における副生有機酸の水抽
出は、反応混合物を処理して触媒と副生高沸点物を含む
溶液を取得し、これを触媒液として反応に循環使用する
までの任意の段階で行うことができる。例えば反応混合
物そのものについて水抽出を行うことができる。共役ア
ルカジエンと水との反応は、周知のように、アミンの存
在下に行うこともできるが、反応混合物中に既に十分な
量のアミンが存在している場合には、新たなアミンを添
加することなく、水抽出を行うことができる。しかし、
通常は、前述のように、反応には水と共役アルカジエン
との双方に対して溶解能を有する溶媒を用いるので、反
応混合物そのものについて水抽出すると、水相と油相と
を分離させるため大量の水を用いなければならず、必然
的に系内の水量を増加させることになる。従って通常
は、反応混合物から溶媒、未反応共役アルカジエンなど
主生成物であるアルカジエノール類よりも低沸点の成分
を蒸留により留去して得られる触媒、アルカジエノール
類及び副生高沸点物などを含む蒸留残渣、又はこの蒸留
残渣から更に主生成物であるアルカジエノール類を蒸留
により留去して得られる、触媒及び副生高沸点物などを
含む蒸留残渣について水抽出を行う。水抽出に際して
は、副生有機酸をアミン塩とするため、アミンは副生有
機酸に対し等モル倍以上存在させるべきである。通常は
1.1モル倍以上、好ましくは2モル倍以上存在させ
る。存在させるアミンの上限は専ら経済的観点から決定
され、多くても副生有機酸に対し100モル倍に止める
べきである。
【0020】水抽出は、ミキサーセトラーや多孔板塔な
ど、常用の抽出装置を用いて常法に従って行うことがで
きる。ミキサーセトラーを用いる場合には、抽出を反復
する多段抽出を行うと抽出率を向上させることができ
る。抽出は常温で行えばよいが、所望ならば昇温下に行
ってもよい。抽出に際しての油相と水相との比率は任意
であるが、水相の比率が小さ過ぎると副生有機酸の抽出
率が低下する。油相に対する水相の比率は通常は0.1
以上、好ましくは0.3以上である。抽出により得られ
た副生有機酸のアミン塩を含む水溶液は、苛性ソーダ水
溶液で抽出して得られたものとは異なり、PHが中性に
近いので、そのまま活性汚泥法などの廃水処理に供する
ことができる。しかし好ましくは、この水溶液から副生
有機酸を分離し、廃水処理の負荷を軽減させるべきであ
る。例えば、副生有機酸のアミン塩を含む水溶液を疎水
性の有機溶媒で抽出すると、副生有機酸を有機溶媒相に
抽出することができる。これは、水溶液中では副生有機
酸の一部はアミン塩と平衡関係にある遊離型として存在
しており、この遊離型のものが、平衡関係を維持しつ
つ、有機溶媒で抽出されるものと思われる。副生有機酸
の抽出に用いる有機溶媒としては、例えばn−プロパノ
ール、イソプロパノール、n−ブタノール、イソ−ブタ
ノール、t−ブタノール、n−オクタノール、オクタ−
2,7−ジエン−1−オール、オクタ−1,7−ジエン
−3−オールなどのアルコール類、トルエン、キシレ
ン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素、トリエチレ
ングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコ
ールジメチルエーテルなどのエーテル類、ジエチルケト
ン、エチル−n−ブチルケトンなどのケトン類、ヘプタ
ン、オクタンなどのアルカン類、オクテン、ノネンなど
のアルケン類、n−オクタトリエンなどのアルカトリエ
ン類などが挙げられる。本発明の特に好ましい態様で
は、水よりも沸点の低いアミンの存在下に水抽出を行
い、得られた副生有機酸のアミン塩を含む水溶液を蒸留
して塔頂からアミンを留出させ、塔底から水と遊離の副
生有機酸を排出する。遊離の副生有機酸は水に溶解しな
いので、塔底流出液は静置すると、水相と副生有機酸と
に成層分離する。従ってこの方法によれば、水抽出で得
られた水溶液から、アミンと水を回収して反応に循環使
用することができ、廃水処理の負荷は著しく軽減され
る。アミン塩を含む水溶液の蒸留は、塔底部においてア
ミン塩が分解してアミンが留出する温度であればよい。
しかし温度が高すぎると、水溶液中に微量含まれている
パラジウムが金属として析出してしまい、塔底流出液を
油水分離して得た水相を反応系に循環しても、新たなパ
ラジウム触媒の補給を要するようになるので、塔底温度
は200℃以下、特に150℃以下に止めるのが好まし
い。
【0021】
【実施例】以下に実施例により本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。
【0022】実施例1 図1に示す装置を用いて、1,3−ブタジエンと水とを
反応させてオクタジエノールを生成させ、触媒の循環使
用に伴う活性の変化を検討した。反応器1としては、内
容積10Lの誘導撹拌機を備えたステンレス製オートク
レーブを用いた。反応器にアセトン、水、ブタジエン、
トリエチルアミン、酢酸パラジウム、酢酸パラジウムに
対して12モル倍のトリ(2,5−キシリル)ホスフィ
ン及び二酸化炭素を供給して反応を開始させた。反応条
件は次の通りである。 反応温度 75℃ 反応圧力 10kg/cm2 G(二酸化炭素で制御) 反応器の液滞留時間 2.5時間 液相の組成(反応開始時の仕込組成) アセトン 55% トリエチルアミン 9% ブタジエン 20% 水 12% 二酸化炭素 4% パラジウム 150ppm 反応器には外部からブタジエンを連続的に定量供給し、
水は反応器に供給される全ブタジエンに対して、循環さ
れて来るものを含め2倍モルとなるように供給した。
【0023】反応器流出液は1kg/cm2 G、30℃
に維持されている気液分離器2で気液分離し、気相は反
応器に循環し、液層は蒸留塔3に供給した。蒸留塔3は
塔頂圧力760mmHgで運転し、トリエチルアミンと
アセトンを主とする留分を留出させて反応器に循環し
た。塔底から流出するヒドロキシオクタジエン類、副生
高沸点物、水及び触媒を含む液相は油水分離器4に供給
して油水分離し、水相は反応器へ循環し、油相は蒸留塔
5に供給した。蒸留塔は塔頂圧力20mmHgで運転
し、1−ヒドロキシオクタジエン、3−ヒドロキシオク
タジエン及びオクタトリエン等を留出させ、塔底から副
生高沸点物及び触媒を含む液相を抜出して水抽出槽6に
供給した。水抽出槽は撹拌機付きのオーバフロー型の槽
で80℃に加熱されており、400mlの液が収容され
ている。水抽出槽には、蒸留塔の塔頂から留出したトリ
エチルアミンとアセトンとの混合液を60ml/hr
で、水を200ml/hrで供給した。水抽出槽からオ
ーバフローした液は油水分離器7に流入させた。油水分
離器7で分液された油相は、触媒液として反応器に循環
した。なお、循環系から水抽出槽に供給したトリエチル
アミンとアセトンに相当する量は、ときどき新たに系外
から補給した。このようにして約720時間にわたり連
続運転を行ったところ、反応混合物の組成はほぼ下記の
通りで、あまり変化しなかった。従って触媒の失活は殆
ど起こらなかったものと考えられる。 1,3−ブタジエン 3.5% 1−ヒドロキシオクタジエン 17.4% 3−ヒドロキシオクタジエン 0.7% トリエチルアミン 9.3% 水 7.2% アセトン 44.6% カルボン酸(C8 17COOHとして) 0.06% ジオクタジエニルエーテル 6.7% 他の副生物、二酸化炭素など 約9% パラジウム 155ppm トリ(2,5−キシリル)ホスフィン 0.71% また、水抽出−油水分離によるカルボン酸の除去率は、
約60%であった。
【0024】比較例1 実施例1において、蒸留塔5の塔底流出液をそのまま触
媒液として反応器に循環する以外は、実施例1と同様に
してオクタジエニルアルコールの製造を行った。反応混
合物中のブタジエンとカルボン酸の濃度が漸次上昇し
て、運転開始48時間でブタジエン10.3%、カルボ
ン酸0.31%、96時間でブタジエン14.6%、カ
ルボン酸0.44%に達したので、120時間で運転を
中止した。
【0025】実施例2 実施例1において、油水分離器7から流出する水相を、
5段の棚段を持つガラス製オルダーショの回分蒸留装置
に仕込み、塔底温度100℃、還流比200で1時間蒸
留し、トリエチルアミンを留出させた。塔底液は静置す
るとタール状の油相と水相とに分離した。水相のカルボ
ン酸の濃度は、蒸留前に0.99%であったものが、蒸
留後は0.69%に低下していた。
【0026】実施例3 実施例1で油水分離器7から流出した水相を、3mmデ
ィクソンパッキングを20cmの高さに充填したステン
レス製蒸留塔(直径30mmφ)を備えた回分蒸留装置
に仕込み、塔頂圧力2711mmHg、塔底温度140
℃、還流比200で2時間蒸留し、トリエチルアミンを
留出させた。塔底液は静置するとタール状の油相と水相
とに分離した。水相のカルボン酸濃度は、蒸留前の0.
99%から0.45%に低下していた。
【0027】実施例4 実施例1で油水分離器7から得られた水相を、理論段数
4段の蒸留塔に連続的に供給してトリエチルアミンを留
出させ、塔底液は油水分離して、水相は蒸留塔の塔頂か
ら留出したトリエチルアミンと一緒に反応器に循環させ
るようにした以外は、実施例1とほぼ同様にしてアルカ
ジエノールの製造を行った。蒸留塔の操作条件は、塔頂
圧力2kg/cm2 G、塔底部の温度125℃、還流比
100、滞留時間3時間とした。720時間にわたり連
続的に反応を行ったが、反応成績はほぼ一定であり、触
媒の失活は認められなかった。気液分離器2から流出す
る反応混合物中のカルボン酸濃度の約0.11%であっ
た。
【0028】実施例5 実施例1で油水分離器7から得られた水相50gに、ト
ルエン16.7gを加えて、98℃で1時間撹拌した。
次いで静置して油相を水相とに分離した。水相のカルボ
ン酸濃度は1.1%から0.92%に低下していた。同
様の実験をトルエンの代わりにn−オクタノールを用い
て行ったところ、水相のカルボン酸濃度は1.1%から
0.32%に低下していた。
【0029】実施例6〜8 比較例1で蒸留塔5の塔底液を抜出し、これにトリエチ
ルアミンと水を加えて80℃で30分間撹拌した。静置
して水層と油層とに成層分離させ、油層のカルボン酸濃
度を測定してカルボン酸の除去率を算出した。結果を表
−1に示す。
【0030】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する際のフローシートの1例であ
る。
【符号の説明】
1 反応器 2 気液分離器 3 溶媒蒸留塔 4 油水分離器 5 生成物蒸留塔 6 水抽出槽 7 油水分離器

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パラジウムと有機リン化合物を含む触媒
    が溶解している溶液及び二酸化炭素の存在下に、共役ア
    ルカジエンと水とを反応させてアルカジエノール類を含
    む反応混合物を生成させ、これから少なくとも生成した
    アルカジエノール類を分離して触媒及び副生高沸点物を
    含む溶液を取得し、これを反応に循環使用するアルカジ
    エノール類の製造方法において、反応混合物ないしはこ
    れから取得した触媒及び副生高沸点物を含む溶液を、ア
    ミンの存在下に水で抽出して副生有機酸を除去すること
    により、循環される触媒に同伴して反応帯域に持込まれ
    る副生有機酸を低減させることを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 反応混合物からアルカジエノール類より
    も低沸点の成分を蒸留分離して得られる、アルカジエノ
    ール類、触媒及び副生高沸点物を含む溶液を、アミンの
    存在下に水で抽出することを特徴とする請求項1記載の
    方法。
  3. 【請求項3】 反応混合物からアルカジエノール類及び
    これよりも低沸点の成分を蒸留分離して得られる、触媒
    及び副生高沸点物を含む溶液を、アミンの存在下に水で
    抽出することを特徴とする請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 アミンが第3級アミンであることを特徴
    とする請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 アミンが水よりも沸点の低いアミンであ
    ることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載
    の方法。
  6. 【請求項6】 アミンがトリエチルアミンであることを
    特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の方法。
  7. 【請求項7】 抽出により得られた水相を蒸留して、ア
    ミンを塔頂から留出させ、副生有機酸と水とを塔底から
    排出し、留出したアミンを回収して反応工程又は水抽出
    工程に供給することを特徴とする請求項5又は6に記載
    の方法。
  8. 【請求項8】 抽出により得られた水相を蒸留して、ア
    ミンを塔頂から留出させ、副生有機酸と水とを塔底から
    排出し、これを油水分離して副生有機酸と水とに分離す
    ることを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載
    の方法。
  9. 【請求項9】 抽出により得られた水相を非水溶性の有
    機溶媒で抽出して副生有機酸を有機溶媒相に抽出するこ
    とを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の方
    法。
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