JPH11228469A - アルカジエノール類の製造方法 - Google Patents

アルカジエノール類の製造方法

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JPH11228469A
JPH11228469A JP10026969A JP2696998A JPH11228469A JP H11228469 A JPH11228469 A JP H11228469A JP 10026969 A JP10026969 A JP 10026969A JP 2696998 A JP2696998 A JP 2696998A JP H11228469 A JPH11228469 A JP H11228469A
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palladium
reaction
carboxylic acid
catalyst
alkadienols
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JP10026969A
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Tomoyuki Mori
知行 森
Hiroshi Kameo
広志 亀尾
Shinji Isotani
真治 磯谷
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 Pd触媒を用いてブタジエン等の共役アルカ
ジエンと水とを反応させ、共役アルカジエンの二量体に
水酸基が結合した構造のアルカジエノール類を製造する
に際し、触媒を循環使用しても活性を高く維持する方法
を提供する。 【解決手段】 反応生成液中のパラジウムに対するカル
ボン酸のモル比が1〜8となるように反応を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は共役アルカジエンか
ら、この共役アルカジエンが二量化した骨格を有するア
ルカジエノール類を製造する方法に関するものである。
アルカジエノール類を水添して得られる高級アルコール
は、可塑剤の原料などとして有用である。
【0002】
【従来の技術】パラジウム及び有機リン化合物からなる
触媒並びに二酸化炭素の存在下に共役アルカジエンと水
とを反応させると、共役アルカジエンが二量化した骨格
を有するアルカジエノール類が生成することは公知であ
る。この方法では高価なパラジウムを一成分とする触媒
を用いるので、触媒を失活させずに反復使用することが
重要である。通常はアルカジエノール類を含む反応生成
液からアルカジエノール類を回収し、残存する触媒を含
む液を反応に再使用する。好ましい一態様では、アルカ
ジエノール類を含む反応生成液を蒸留して、アルカジエ
ノール類及びこれよりも低沸点の成分を留出させ、触媒
を含む缶出液(=蒸留残)を反応に再使用する。この態
様で触媒の循環使用を行うと、反応により副生した高沸
点物が反応系に蓄積して反応が阻害されるようになる。
この対策として、特開昭54−144307号公報に
は、缶出液を炭化水素溶媒で抽出して、高沸点副生物中
のジオクタジエニルエーテルなどを除去したのち反応に
用いることが開示されている。また、特開昭54−32
411号公報には、高沸点副生物を苛性ソーダ水溶液で
抽出して副生カルボン酸を除去したのち反応に用いるこ
とが開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】反応生成液を蒸留して
得られる缶出液から、上述の方法により反応を阻害する
副生物を除去する方法は、副生物の蓄積により反応が阻
害されるのを回避する有力な方法ではあるが、なお解決
すべきいくつもの問題点を残している。その一つは、こ
の方法により副生物を除去しても、なお反応が阻害され
ることがあることである。他の一つは、この方法では副
生物の生成そのものを阻止ないしは低減できないことで
ある。従って本発明は、高沸点副生物の生成を抑制し、
かつ触媒を循環使用しても反応が阻害されることのない
アルカジエノール類の製造方法を提供せんとするもので
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、パラジ
ウム及び有機リン化合物からなる触媒並びに二酸化炭素
の存在下に、共役アルカジエンと水とを反応させて、共
役アルカジエンが二量化した骨格を有するアルカジエノ
ール類を含む反応生成液を取得し、これからアルカジエ
ノール類を回収したのち残留する触媒を含む液を反応に
再使用するアルカジエノール類の製造方法において、反
応生成液中のパラジウムに対するカルボン酸のモル比が
1〜8となるように反応を行うことにより、高沸点副生
物の生成を抑制し、かつ反応阻害を来すことなく触媒の
循環使用を行うことができる。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明について詳細に説明する
と、本発明では原料の共役アルカジエンとしては、1,
3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、
2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、イソプレン、
1,3−ペンタジエン、クロロプレン、1,3−オクタ
ジエンなど、この反応に用い得ることが知られている任
意のものを用いることができる。最も一般的な1,3−
ブタジエンの場合には、精製1,3−ブタジエン以外に
所謂BBP(ブテン−ブタジエン留分)、すなわちナフ
サ分解生成物中のC4 留分混合物を用いることもでき
る。なお、BBPを原料とする場合には、BBP中に含
まれているアセチレン類及びアレン類を、水添等により
予じめ除去しておくのが好ましい。これらの不純物の濃
度はできるだけ低い方が好ましく、通常は1,3−ブタ
ジエンに対して1.0重量%以下とすべきである。
【0006】もう一方の原料である水は脱塩水を用いる
のが好ましい。水は共役アルカジエンに対し通常0.5
〜10倍モル、好ましくは1〜5倍モルとなるように供
給する。触媒の主成分の一つであるパラジウムとして
は、パラジウム黒や担体付パラジウム金属等の金属パラ
ジウムをはじめ、種々の化合物形態及び原子価状態のも
のを用いることができる。そのいくつかを例示すると、
【0007】ビス(t−ブチルイソニトリル)パラジウ
ム(0)、ビス(t−アミルイソニトリル)パラジウム
(0)、ビス(シクロヘキシルイソニトリル)パラジウ
ム(0)、ビス(フェニルイソニトリル)パラジウム
(0)、ビス(p−トリルイソニトリル)パラジウム
(0)、ビス(2,6−ジメチルフェニルイソニトリ
ル)パラジウム(0)、トリス(ジベンジリデンアセト
ン)パラジウム(0)、(1,5−シクロオクタジエ
ン)(無水マレイン酸)パラジウム(0)、ビス(ノル
ボルネン)(無水マレイン酸)パラジウム(0)、ビス
(無水マレイン酸)(ノルボルネン)パラジウム
(0)、(ジベンジリデンアセトン)(ビピリジル)パ
ラジウム(0)、(p−ベンゾキノン)(o−フェナン
スロリン)パラジウム(0)等の0価パラジウム錯体;
【0008】テトラキス(トリフェニルホスフィン)パ
ラジウム(0)、トリス(トリフェニルホスフィン)パ
ラジウム(0)、ビス(トリトリルホスフィン)パラジ
ウム(0)、ビス(トリキシリル)パラジウム(0)、
ビス(トリメシチルホスフィン)パラジウム(0)、ビ
ス(トリテトラメチルフェニル)パラジウム(0)、ビ
ス(トリメチルメトキシフェニルホスフィン)パラジウ
ム(0)等のホスフィン化合物を配位子として持つテト
ラキス(ホスフィン)パラジウム、トリス(ホスフィ
ン)パラジウム、ビス(ホスフィン)パラジウム錯体お
よび対応するホスファイト化合物を配位子として持つテ
トラキス(ホスファイト)パラジウム、トリス(ホスフ
ァイト)パラジウム、ビス(ホスファイト)パラジウム
錯体;
【0009】塩化パラジウム(II)、硝酸パラジウム
(II)、テトラアミンジクロロパラジウム(II)、ジナ
トリウムテトラクロロパラジウム(II)等のパラジウム
無機塩;酢酸パラジウム(II)、安息香酸パラジウム
(II)、α−ピコリン酸パラジウム(II)等のパラジウ
ムカルボン酸塩;ビス(アセチルアセトン)パラジウム
(II)、ビス(8−オキシキノリン)パラジウム(II)
等のパラジウムキレート化合物;ビス(アリル)パラジ
ウム(II)、(η−アリル)(η−シクロペンタジエニ
ル)パラジウム(II)、(η−シクロペンタジエニル)
(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム(II)テト
ラフルオロ硼酸塩、ビス(ベンゾニトリル)パラジウム
(II)酢酸塩、ジ−μ−クロロ−ジクロロビス(トリフ
ェニルホスフィン)二パラジウム(II)、ビス(トリ−
n−ブチルホスフィン)パラジウム(II)酢酸塩、2,
2−ビピリジルパラジウム(II)酢酸塩等の2価パラジ
ウム錯体などが挙げられる。
【0010】パラジウムは、その形態の如何にかかわら
ず共役アルカジエンに対して通常0.00001〜1モ
ル倍、好ましくは0.0001〜0.5モル倍となるよ
うに反応系に供給される。
【0011】触媒のもう一方の主成分である有機燐化合
物としては、トリオクチルホスフィン、トリブチルホス
フィン、ジメチルオクチルホスフィン等のトリアルキル
ホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等のトリシ
クロアルキルホスフィン、トリフェニルホスフィン、ト
リトリルホスフィン、トリキシリルホスフィン、トリメ
シチルホスフィン、トリス(テトラメチルフェニル)ホ
スフィン、ジフェニル−p−クロロフェニルホスフィ
ン、トリス(p−メトキシフェニル)ホスフィン等のト
リアリールホスフィン、ジフェニルエチルホスフィン、
ジメチルフェニルホスフィン、ビス(ジフェニルホスフ
ィノ)メタン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)
エタン等の第3アルキルアリールホスフィン、ジオクチ
ルオクトキシホスフィン、ジブチルブトキシホスフィン
等のアルキルホスフィナイト、ジフェニルフェノキシホ
スフィン、ジトリルトリルオキシホスフィン、ジキシリ
ルキシリルオキシホスフィン等のアリールホスフィナイ
ト、ジフェニルエトキシホスフィン、ジエチルフェノキ
シホスフィン等のアルキルアリールホスフィナイト、オ
クチルジオクトキシホスフィン、ブチルジブトキシホス
フィン等のアルキルホスホナイト、フェニルジフェノキ
シホスフィン、トリルジトリルオキシホスフィン、キシ
リルジキシリルオキシホスフィン等のアリールホスホナ
イト、フェニルジエトキシホスフィン、エチルジフェノ
キシホスフィン等のアルキルアリールホスホナイト、ト
リオクチルホスファイト、トリブチルホスファイト、ジ
メチルオクチルホスファイト等のトリアルキルホスファ
イト、トリシクロヘキシルホスファイト等のトリシクロ
アルキルホスファイト、トリフェニルホスファイト、ト
リトリルホスファイト、トリキシリルホスファイト等の
トリアリールホスファイト、ジフェニルエチルホスファ
イト、ジメチルフェニルホスファイト等のアルキルアリ
ールホスファイトが挙げられる。
【0012】これらのうちでは燐の各結合手に7以上の
炭素を持つものが、アルカジエノールの選択率が高いの
で好ましい。その代表的なものはトリトリルホスフィ
ン、トリキシリルホスフィン、トリメシチルホスフィ
ン、トリ(テトラメチルフェニル)ホスフィン等であ
る。また、有機燐化合物としては下記一般式で示され
る水溶性ホスフィン類や、下記一般式又はで示され
る環式ホスファイト類も使用し得る。
【0013】
【化1】
【0014】(式中、Aはフェニル基、Mはアルカリ金
属を示し、mは0〜2の整数、nは1〜3の整数でm+
n=3である。)
【0015】
【化2】
【0016】(式中、R1 、R2 及びR3 は、それぞ
れ、メチル、エチル、ノニル等のアルキル基、フェニ
ル、トリル、ナフチル等のアリール基、ヒドロキシメチ
ル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシペンチル等のヒドロ
キシアルキル基、エトキシメチル等のアルコキシアルキ
ル基、フェノキシメチル等のアリールオキシアルキル
基、又は、アセトキシメチル、アセトキシペンチル等の
アシルオキシアルキル基を表す。)
【0017】有機燐化合物は、パラジウムに対し通常
0.1〜100倍モル、好ましくは1〜50倍モルとな
るように用いる。通常は触媒形成に要する量と考えられ
ているパラジウムに対して2倍モルよりも過剰に用い
て、遊離の有機燐化合物が反応系に存在するようにする
のが好ましい。
【0018】二酸化炭素は、反応系で二酸化炭素として
存在するものであればよく、二酸化炭素そのものとして
供給する以外に、炭酸、炭酸塩、重炭酸塩、或は炭酸又
は二酸化炭素とアミンとの付加物などの形態で供給する
ことができる。二酸化炭素はパラジウムに対して通常等
モル以上、好ましくは10倍モル以上用いる。反応系に
存在させる二酸化炭素量の上限は経済的理由により決定
され、過剰に用いても反応が阻害されることはない。反
応系には更にトリエチルアミンのような三級アミンを存
在させるのが好ましい。
【0019】共役アルカジエンと水との反応は、両者を
溶解する溶媒の存在下に行うのが好ましい。溶媒として
は、例えば、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒ
ドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、ト
リエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレ
ングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、アセト
ン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソ
プロピルケトン、エチル−n−ブチルケトン等のケトン
類、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリ
ル等のニトリル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エ
チルベンゼン等の芳香族炭化水素類、ペンタン、ヘキサ
ン、ヘプタン等のアルカン類、ヘキセン、オクテン等の
アルケン類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド
類、スルホラン等のスルホン類、ニトロベンゼン、ニト
ロメタン等のニトロ化合物、ピリジン、α−ピコリン等
のピリジン誘導体、トリエチルアミン、トリメチルアミ
ン、トリプロピルアミン等のアミン類、アセトアミド、
プロピオンアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、
N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセ
トアミド等のアミド類などが用いられる。これらのなか
でも炭化水素類は疎水性なので、親水性の極性溶媒と併
用するのが好ましい。また、メタノール、エタノール、
n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノー
ル、i−ブタノール、t−オクタノール、n−オクタノ
ールなどのアルコール類を溶媒とすることもできる。し
かし1級アルコールはアルカジエニルエーテルを生成し
易いので、アルコールを溶媒とする場合には、2級又は
3級アルコールを用いるのが好ましい。
【0020】共役アルカジエンと水との反応は、室温か
ら約180℃までの広い範囲で行うことができるが、好
ましくは50〜130℃、特に60〜100℃で行われ
る。反応圧力は通常は常圧〜200kg/cm2 の範囲
であるが3〜70kg/cm 2 の範囲が好ましい。通常
は二酸化炭素で所望の圧力まで加圧するが、ヘリウムや
アルゴン等の不活性ガスを共存させることも可能であ
る。
【0021】得られる反応生成液中には、触媒、遊離の
有機燐化合物、主生成物であるアルカジエノール類の他
に、副生物である共役アルカジエンが二量化したアルカ
トリエン類、アルカジエニルエーテル類、共役アルカジ
エンの二量化したものに二酸化炭素が結合した骨格を有
するカルボン酸やそのエステル類、未反応の共役アルカ
ジエン、水、溶媒、アミンなどが含まれている。副生物
の生成量は反応条件により異なるが、主生成物であるア
ルカジエノール類に対し、通常20重量%以下である。
【0022】反応生成液からは生成したアルカジエノー
ル類を回収し、触媒を含む残りの液は反応系に循環す
る。通常は反応生成液を蒸留してアルカジエノール類や
アルカトリエン及び低沸点物を蒸留塔の塔頂から留出さ
せ、塔底から触媒を含む缶出液を取得し、反応系に循環
する。
【0023】本発明では反応生成液からアルカジエノー
ル類を回収した後の触媒を含む液を反応系に循環するに
際し、新たにパラジウムを添加する場合はそれも含めて
パラジウムに対するカルボン酸のモル比を、この触媒を
含む液を用いて行った反応の反応生成液中のパラジウム
に対するカルボン酸のモル比が1〜8、好ましくは2〜
6になるように調整する。なお、カルボン酸には、反応
で副生するものに加えて、系外から持込まれるものがあ
ればそれも含まれるが、炭酸は含まれない。
【0024】反応に際しては原料の共役アルカジエンの
2量化物に炭酸ガスが付加した骨格を有するカルボン酸
が必ず副生するので、このことは反応系に循環される液
中のパラジウムに対するカルボン酸のモル比を、新たに
パラジウムを添加する場合はそれも含めて8未満、好ま
しくは6未満とすることを意味する。本発明者らの検討
によれば、反応により副生する高沸点物及びそのなかの
カルボン酸の量は、反応生成液中のパラジウムに対する
カルボン酸のモル比が大きいほど多くなる傾向がある。
また、このモル比が大きくなると触媒活性が阻害される
傾向がある。反応生成液中のカルボン酸は、一部は触媒
と共に循環されてきたものであり、残部は反応により生
成したものである。
【0025】反応による生成量は、反応時間や反応系中
のパラジウムに対するカルボン酸のモル比などにより異
なるが、通常は反応生成液中のカルボン酸の大部分は触
媒と共に循環されてきたものである。従って反応生成液
中のパラジウムに対するカルボン酸のモル比を小さくす
るには、触媒と共に循環されてくるカルボン酸をできる
だけ少くするべきである。触媒を含む液中のカルボン酸
は、前述のように苛性ソーダ水溶液による抽出などで除
去できるが、液中のカルボン酸濃度を著るしく低くする
ことは相当に困難である。従って反応系に供給するパラ
ジウムに対するカルボン酸のモル比を低減させるのに要
する費用と、これにより達成される高沸点物の副生量の
減少とを考慮して、カルボン酸の除去量を決定するのが
好ましい。前述の如く本発明では、反応により得られる
反応生成液中のパラジウムに対するカルボン酸のモル比
が1〜8、好ましくは2〜6となるように反応させる
が、反応系内で生成するカルボン酸のパラジウムに対す
るモル比、すなわち反応生成液中のパラジウムに対する
カルボン酸のモル比と、反応系に供給されるパラジウム
に対するカルボン酸のモル比との差が1.5以下となる
ように反応させるのが好ましい。
【0026】
【実施例】以下に実施例により、本発明をさらに具体的
に説明する。 実施例1 図1に示す装置を用いて、1,3−ブタジエンと水とか
らオクタジエニルアルコールを連続的に製造した。
【0027】反応器1としては内容積10Lの誘導撹拌
機付きステンレス製オートクレーブを用い、これにアセ
トン、トリエチルアミン、循環触媒液、1,3−ブタジ
エン及び水を連続的に供給し、二酸化炭素で10kg/
cm2 Gに加圧して、75℃、液滞留時間2.5時間で
反応を行った。反応開始時の液の重量組成は次の通りで
ある。 アセトン 55% トリエチルアミン 9% ブタジエン 20% 水 12%
【0028】反応器へ供給するブタジエンに対する水の
モル比は1.5とした。また触媒を形成するパラジウム
としては酢酸パラジウムを、反応開始時の液中のパラジ
ウム濃度が250ppmとなるように用い、有機リン化
合物としてはトリス(2,5−キシリル)ホスフィン
を、パラジウムに対して12モル倍用いた。
【0029】反応器から流出する反応生成液は、気液分
離器2で1kg/cm2 G、30℃で気液分離し、気相
は反応器1に循環し、液相は蒸留塔3に供給した。蒸留
塔は理論段数15段で、塔頂圧力760mmHg、還流
比1で操作した。アセトン及びトリエチルアミンを主体
とする塔頂留出物は反応器1に循環し、ヒドロキシオク
タジエン類、水、副生物及び触媒を含む塔底液は油水分
離器4に供給した。油水分離器で得られた水相は反応器
1に循環し、油相は蒸留塔5に供給した。蒸留塔5は理
論段数5段で、塔頂圧力20mmHg、還流比0.5で
操作し、1−ヒドロキシオクタジエン、3−ヒドロキシ
オクタジエン、オクタトリエン等を主成分とする生成物
を塔頂から留出させ、高沸点副生物及び触媒成分を含む
液を塔底から抜出して脱酸槽6に供給した。脱酸槽6に
は同時に蒸留塔3から反応器1へ循環されるアセトンと
トリエチルアミンを主体とする循環液及び水も供給し
た。塔底液:循環液:水の供給比率(容量比)は約5:
3:10である。脱酸槽は80℃に加温されたオーバー
フロー式の撹拌槽で、滞留時間は約1時間である。脱酸
槽から流出した液は油水分離器7で水相と油相に分離
し、水相は系外に排出し、油相は反応器に循環した。こ
のようにして、アセトンとトリエチルアミンを時々補給
しながら約120時間運転した。
【0030】次いで、内容積0.2Lの誘導撹拌機付き
オートクレーブに、油水分離器7で得られた油相5.3
g、水4.5g(250mmol)、1,3−ブタジエ
ン14.2g(263mmol)、トリエチルアミン7
g(70mmol)、アセトン40g、o−キシレン
(内部標準)2gを仕込み、二酸化炭素で20kg/c
2 Gに加圧して、75℃で3時間反応させた。反応生
成液を分析した結果、ブタジエンの転化率は45%、オ
クタジエノール類より高沸点の成分(主としてオクタジ
エニルエーテル)の選択率は3.4%であった。また反
応生成液中のカルボン酸(C9 カルボン酸)の濃度は約
450ppm、パラジウムの濃度は90ppmであっ
た。反応開始時の油相のカルボン酸濃度は約350pp
mであったので、パラジウムに対するカルボン酸のモル
比は、反応開始時は2.7であり、反応終了時は3.5
であった。
【0031】比較例1 実施例1において、油水分離器7で得られた油相の代り
に、蒸留塔5の塔底液を用いた以外は、実施例1と同様
にして反応を行った。その結果、1,3−ブタジエンの
転化率は32%、オクタジエノール類よりも高沸点の成
分の選択率は13.7%であり、実施例1よりも大幅に
増加していた。また、反応開始時の油相のカルボン酸濃
度は約3000ppm、反応生成液中のカルボン酸濃度
は約3200ppmで、パラジウムに対するカルボン酸
のモル比は、反応開始時23であり、反応終了時は2
4.9であった。
【0032】実施例2 実施例1において油水分離器7で得られた水相を塩酸で
酸性にしたのちn−ヘキサンで抽出した。得られたn−
ヘキサン相を水洗したのちn−ヘキサンを室温で留去し
て純度75%のC9 カルボン酸を得た。内容積0.2L
の誘導撹拌機付きオートクレーブに、油水分離器7で得
られた油相4.6g、水4.5g(250mmol)、
1,3−ブタジエン14.2g(263mmol)、ト
リエチルアミン7g(70mmol)、アセトン40
g、o−キシレン2g及び上記で得たC9 カルボン酸含
有液0.022g(C9 カルボン酸として約0.11m
mol)を仕込み、二酸化炭素で20kg/cm2Gに
加圧して、75℃で3時間反応させた。
【0033】反応生成液を分析した結果、1,3−ブタ
ジエンの転化率は21%、オクタジエノール類より高沸
点の成分の選択率は3.4%であった。反応生成液中の
パラジウム濃度は78ppm、カルボン酸の濃度は83
6ppmであった。反応開始時の油相のカルボン酸濃度
は約700ppmであったので、パラジウムに対するカ
ルボン酸のモル比は、反応開始時は6.3であり、反応
終了時は7.8であった。
【0034】比較例2 実施例2において、油水分離器7で得られた油相の仕込
量を5.2g、C9 カルボン酸含有液の仕込量を0.4
5g(C9 カルボン酸として約2.22mmol)とし
た以外は、実施例1と同様にして反応を行った。反応生
成液を分析した結果、1,3−ブタジエンの転化率は1
8%、オクタジエノール類よりも高沸点の成分の選択率
は11.3%で大幅に増加していた。反応生成液中のパ
ラジウム濃度は90ppm、カルボン酸の濃度は約79
00ppmであった。反応開始時の油相のカルボン酸濃
度は約7500ppmであったので、パラジウムに対す
るカルボン酸のモル比は、反応開始時は58であり、反
応終了時は61であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明を実施する際のフローシートの1
例である。
【符号の説明】
1 反応器 2 気液分離器 3 蒸留塔 4 油水分離器 5 蒸留塔 6 脱酸槽 7 油水分離器

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パラジウム及び有機リン化合物からなる
    触媒並びに二酸化炭素の存在下に、共役アルカジエンと
    水とを反応させて、共役アルカジエンが二量化した骨格
    を有するアルカジエノール類を含む反応生成液を取得
    し、これからアルカジエノール類を回収したのち残留す
    る触媒を含む液を反応に再使用するアルカジエノール類
    の製造方法において、反応生成液中のパラジウムに対す
    るカルボン酸のモル比が1〜8となるように反応を行う
    ことを特徴とする方法。
  2. 【請求項2】 反応生成液中のパラジウムに対するカル
    ボン酸のモル比が2〜6となるように反応を行うことを
    特徴とする請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 反応生成液を蒸留してアルカジエノール
    類及びこれよりも低沸点の成分を留出させ、缶出液から
    カルボン酸を選択的に除去することにより缶出液中のパ
    ラジウムに対するカルボン酸の比率を低下させたのち、
    缶出液を反応に再使用することを特徴とする請求項1又
    は2記載の方法。
  4. 【請求項4】 反応生成液中のパラジウムに対するカル
    ボン酸のモル比と、反応系に供給されるパラジウムに対
    するカルボン酸のモル比との差が1.5以下となるよう
    に反応を行うことを特徴とする請求項1ないし3のいず
    れかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 共役アルカジエンがブタジエンであり、
    かつカルボン酸が炭素数9のカルボン酸であることを特
    徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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