JPH11185537A - 低歪・耐熱変形型自己融着エナメル線及び低歪・耐熱変形型リッツ線 - Google Patents

低歪・耐熱変形型自己融着エナメル線及び低歪・耐熱変形型リッツ線

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JPH11185537A
JPH11185537A JP9354551A JP35455197A JPH11185537A JP H11185537 A JPH11185537 A JP H11185537A JP 9354551 A JP9354551 A JP 9354551A JP 35455197 A JP35455197 A JP 35455197A JP H11185537 A JPH11185537 A JP H11185537A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の課題は、偏向ヨークコイルを巻線した
段階ではその融着層材料の熱軟化点以上の温度で熱融着
でき、しかも一旦熱融着した偏向ヨークコイルはその熱
融着温度に加熱しても熱変形しないようにすることがで
きる低歪・耐熱変形型自己融着エナメル線及び低歪・耐
熱変形型リッツ線を提供することにある。 【解決手段】本発明は、エナメル線の絶縁皮膜上に、融
点が100〜150℃の共重合ポリアミド樹脂と酸化防
止剤とから成る融着層を設けて成ることを特徴とする低
歪・耐熱変形型自己融着エナメル線及びそれを素線とし
て撚合わせて成る低歪・耐熱変形型リッツ線にある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は低歪・耐熱変形型自
己融着エナメル線及びその低歪・耐熱変形型自己融着エ
ナメル線を素線として撚合わせて成る低歪・耐熱変形型
リッツ線に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年におけるパソコン、ワープロ、カラ
ーテレビ等の発展には誠に目覚ましいものがある。
【0003】このようなパソコン、ワープロ、カラーテ
レビ等のディスプレー装置はブラウン管方式のものと液
晶方式のものとに大別される。これらのうちブラウン管
方式のディスプレー装置は大型で且つ繊細な画面が要求
されるパソコン、ワープロ、カラーテレビ等に採用され
ている。また液晶方式のディスプレー装置は小型のパソ
コン、ワープロ、カラーテレビ等に採用されている。
【0004】さて、ブラウン管方式のディスプレー装置
には偏向ヨークコイルが設置されている。
【0005】この種の偏向ヨークコイルの製造は、まず
自己融着エナメル線若しくは自己融着性リッツ線を用い
て鞍形状のコイルを巻線し、次にその得られた巻線コイ
ルを通電加熱することにより線間を熱融着させると共に
所定の鞍形状に熱成形するようになっている。
【0006】ここにおいて自己融着エナメル線若しくは
自己融着性リッツ線の融着層材料としては種々なものが
用いられているが、広く実用されているのは共重合ポリ
アミド樹脂と熱可塑性エポキシ樹脂(フェノキシ樹脂)
の2種である。
【0007】これらのうち共重合ポリアミド樹脂を融着
層とした自己融着エナメル線若しくは自己融着性リッツ
線を用いて巻線、熱融着して得られる熱融着コイルは、
その線間接着性及び耐熱変形防止性が優れている。これ
に対して熱可塑性エポキシ樹脂(フェノキシ樹脂)を融
着層とした自己融着エナメル線若しくは自己融着性リッ
ツ線を用いて巻線、熱融着して得られる熱融着コイル
は、熱融着した偏向ヨークコイルの初期歪み(偏向ヨー
クコイルの捩じれ)が小さく、その結果熱融着偏向ヨー
クコイルの耐捩じれ防止性が優れている。
【0008】一方、最近のブラウン管方式のディスプレ
ー装置は走査周波数の上昇、仕様温度の上昇等の気運に
ある。
【0009】このため最近のブラウン管方式のディスプ
レー装置に用いられる偏向ヨークコイルのマグネットワ
イヤは、融着層として線間接着性及び耐熱変形防止性が
優れた共重合ポリアミド樹脂を用いた自己融着エナメル
線若しくは自己融着製リッツ線が多用されるようになっ
てきている。
【0010】融着層として共重合ポリアミド樹脂を用い
た自己融着エナメル線若しくは自己融着性リッツ線の耐
熱変形防止性が優れているのは熱軟化が高く、しかもそ
の熱軟化点を越えた温度で熱融着すると優れた線間接着
性を発揮するためである。
【0011】ここにおいて仕様温度の上昇に対処するに
は当然ながら融着層の耐熱変形温度を高くする必要があ
る。即ち、自己融着エナメル線若しくは自己融着性リッ
ツ線の融着層の耐熱変形温度を高くするには、従来の共
重合ポリアミド樹脂より熱軟化点の高い共重合ポリアミ
ド樹脂を用いる必要がある。
【0012】しかし融着層材料として熱軟化点の高い共
重合ポリアミド樹脂を用いた自己融着エナメル線若しく
は自己融着性リッツ線は当然ながら低温領域における熱
融着性が低下し、その結果巻線して得られた偏向ヨーク
コイルの熱融着作業性及び熱成形作業性が悪化する。
【0013】他方、巻線、熱融着して得られる熱融着偏
向ヨークコイルの初期歪み(偏向ヨークコイルの捩じ
れ)も大きな問題である。
【0014】この熱融着偏向ヨークコイルの初期歪み
(コイルの捩じれ)は種々な要因により発生するもので
あるが、それらの要因の一つが融着層材料の線膨張率の
大きさである。共重合ポリアミド樹脂の線膨張率は熱可
塑性エポキシ樹脂(フェノキシ樹脂)の線膨張率より大
きく、従って共重合ポリアミド樹脂を融着層とした自己
融着エナメル線若しくは自己融着製リッツ線を用いて巻
線、熱融着して得られる熱融着偏向ヨークコイルは、初
期歪み(偏向ヨークコイルの捩じれ)が大きいという難
点がある。これに対して熱可塑性エポキシ樹脂(フェノ
キシ樹脂)を融着層とした自己融着エナメル線若しくは
自己融着性リッツ線を用いて巻線、熱融着して得られる
熱融着偏向ヨークコイルは、コイルの初期歪みが小さい
という特長がある。
【0015】このような熱融着偏向ヨークコイルの初期
歪み(偏向ヨークコイルの捩じれ)は磁界の偏重を招
き、それにより赤、青、緑の3本の電子ビームが完全に
集束しなくなり、その結果カラーデイスプレー装置の色
ずれ(コンバース不良)が発生する。従ってカラーデイ
スプレー装置の色ずれ(コンバース不良)を防止するに
は熱融着偏向ヨークコイルの初期歪み(偏向ヨークコイ
ルの捩じれ)を極力小さくすることが不可欠である。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】ところで偏向ヨークコ
イルの熱変形の発生メカニズムは熱融着、熱成形時の残
留応力が偏向ヨークコイルの線間接着力を上回ったとき
に起こるものと考えられている。換言すれば偏向ヨーク
コイルの熱変形メカニズムは、まず一旦熱融着した偏向
ヨークコイルがディスプレー運転負荷により高温とな
り、次にその高温のため偏向ヨークコイルの線間接着力
が低下し、次にその線間接着力の低下により熱融着、熱
成形時の残留応力が作用して熱変形するものと考えられ
ている。
【0017】理論的には自己融着エナメル線若しくは自
己融着性リッツ線はその熱軟化点の温度で熱融着し、し
かも一旦熱融着した偏向ヨークコイルは熱軟化点の以下
の温度では熱変形しない筈である。例えば、自己融着エ
ナメル線若しくは自己融着性リッツ線は130〜140
℃で熱融着し、しかも一旦熱融着した偏向ヨークコイル
は熱融着温度の130〜140℃以下では熱変形しない
筈である。
【0018】しかしながら共重合ポリアミド樹脂を融着
層とした自己融着エナメル線若しくは自己融着性リッツ
線を用いて巻線、熱融着して得られる熱融着偏向ヨーク
コイルの熱変形は、用いた共重合ポリアミド樹脂の熱軟
化点より20〜30℃も低い温度から始まるのである。
例えば、熱軟化点が130〜140℃の共重合ポリアミ
ド樹脂を融着層とした自己融着エナメル線若しくは自己
融着性リッツ線を用いて巻線、熱融着して得られる熱融
着偏向ヨークコイルの熱変形開始温度は、100〜12
0℃である。
【0019】本発明はかかる点に立って為されたもので
あって、その目的とするところは前記した従来技術の欠
点を解消し、偏向ヨークコイルを巻線した段階ではその
融着層材料の熱軟化点以上の温度で熱融着でき、しかも
一旦熱融着した偏向ヨークコイルはその熱融着温度に加
熱しても熱変形しないようにすることができる低歪・耐
熱変形型自己融着エナメル線及び低歪・耐熱変形型リッ
ツ線を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨とするとこ
ろは、エナメル線の絶縁皮膜上に、融点が100〜15
0℃の共重合ポリアミド樹脂と酸化防止剤とから成る融
着層を設けて成ることを特徴とする低歪・耐熱変形型自
己融着エナメル線及びそれを素線として撚合わせて成る
低歪・耐熱変形型リッツ線にある。
【0021】
【発明の実施の形態】次に、本発明の低歪・耐熱変形型
自己融着エナメル線及び低歪・耐熱変形型りッツ線の実
施の形態について説明する。
【0022】本発明の低歪・耐熱変形型自己融着エナメ
ル線及び低歪・耐熱変形型りッツ線において融着層とし
ては、熱軟化点100〜150℃の共重合ポリアミド樹
脂100重量部に対して酸化防止剤を0.3〜5.0重
量部配合して成るものであることが好ましい。
【0023】ここにおいて熱軟化点100〜150℃の
共重合ポリアミド樹脂100重量部に対して酸化防止剤
の配合量を0.3〜5.0重量部が好ましいとしたの
は、0.3重量部以下では熱変形開始温度の上昇効果が
十分でなく、逆に5.0重量部以上では熱軟化点100
〜150℃の共重合ポリアミド樹脂の本来の熱融着特性
が急激に悪化するためである。
【0024】また、本発明の低歪・耐熱変形型自己融着
エナメル線及び低歪・耐熱変形型りッツ線において酸化
防止剤としてはフェノール系酸化防止剤であることが好
ましい。
【0025】ここにおいてフェノール系酸化防止剤とし
ては2,6−ブチル−t−ブチルーp−クレゾール、
2,2′−メチレンビス−(4−メチル−6−t−ブチ
ルフェノール)、4,4−ブチリデン−ビス−(3−メ
チル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−チオビス
(6−第3ブチル−3−メチルフェノール)、ステアリ
ル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフ
ェノールプロピネート)等がある。
【0026】更に、本発明の低歪・耐熱変形型自己融着
エナメル線及び低歪・耐熱変形型りッツ線において、特
に好ましいフェノール系酸化防止剤としては、4,4−
チオビス(6−第3ブチル−3−メチルフェノール)で
ある。
【0027】つまり本発明の低歪・耐熱変形型自己融着
エナメル線及び低歪・耐熱変形型りッツ線の要旨とする
ことは、驚くべきことに融点が100〜150℃の共重
合ポリアミド樹脂と酸化防止剤とから成る融着層を設け
ることにより、偏向ヨークコイルを巻線した段階ではそ
の融着層材料の熱軟化点の温度で熱融着でき、しかも一
旦熱融着した偏向ヨークコイルとした段階ではその熱融
着温度下に加熱しても熱変形しないようにすることがで
きる自己融着エナメル線及び自己融着製リッツ線を見い
出したことにある。
【0028】換言すれば本発明の要旨の第1は、融点が
100〜150℃の共重合ポリアミド樹脂に酸化防止剤
を添加することにより偏向ヨークコイルの線間接着強度
の低下を完全に抑止し、それにより熱融着偏向ヨークコ
イルの熱変形開始温度を熱軟化点の温度まで高めること
ができることにある。
【0029】そして本発明の要旨の第2は、共重合ポリ
アミド樹脂に酸化防止剤を添加することにより、共重合
ポリアミド樹脂の水素結合をドライビングフォースとし
た結晶(球晶)化の核剤に活性化させて共重合ポリアミ
ド樹脂の結晶化を促進し、それにより共重合ポリアミド
樹脂の線膨脹率を低下させ、その結果熱融着偏向ヨーク
コイルとしたときの初期歪み(偏向ヨークコイルの捩じ
れ)を顕著に低減できることにある。
【0030】ここにおいて共重合ポリアミド樹脂に酸化
防止剤を添加することにより共重合ポリアミド樹脂の水
素結合をドライビングフォースとした結晶(球晶)化の
核剤に活性化できる条件としては、自己融着エナメル線
の塗布、焼き付け作業時のような急速高温加熱、急速冷
却では不適当であって、巻線して得られた鞍形状のコイ
ルを通電加熱、熱成形するときのような通電加熱、徐冷
が適当である。また、加熱温度は少なくとも酸化防止剤
の融点より高いことが望ましい。例えば、融点が160
℃の4,4−チオビス(6−第3ブチル−3−メチルフ
ェノール)を用いた場合には160℃以上に加熱するの
が望ましい。また、共重合ポリアミド樹脂の熱軟化点は
酸化防止剤の融点より低いことが望ましい。即ち、共重
合ポリアミド樹脂の熱軟化点をt、酸化防止剤の融点を
mとしたとき、下記式を満足するようになるのが望まし
い。
【0031】m > t これは徐冷過程において酸化防止剤の融点mより低い熱
軟化点tを有する共重合ポリアミド樹脂が熱溶融状態の
うちに、融点mが高い(凝固点が低い)酸化防止剤が先
に結晶析出して固体化し、その結晶析出物が共重合ポリ
アミド樹脂の結晶核剤になるためと考えられる。
【0032】このように酸化防止剤を添加した共重合ポ
リアミド樹脂は結晶化の進展により強靱性が向上し、ま
た熱融着した偏向ヨークコイルの線間接着力が10%以
上向上する。更に、熱融着した偏向ヨークコイルを熱劣
化し、それからその線間接着力を測定してみても初期値
の100%以上保持する。
【0033】
【実施例】次に本発明の低歪・耐熱変形型自己融着エナ
メル線及び低歪・耐熱変形型リッツ線の実施例を比較例
と共に説明する。
【0034】(ベース自己融着性塗料の用意)まず熱軟
化点が100〜150℃の共重合ポリアミド樹脂を主成
分とするベース共重合ポリアミド樹脂塗料としてオート
化学工業株式会社のSBA−18Sを用意した。
【0035】(実施例及び比較例の自己融着性塗料の作
成)上記のベース共重合ポリアミド樹脂塗料に各種の添
加剤を配合することにより実施例及び比較例の自己融着
性塗料を作成した。
【0036】(実施例及び比較例の自己融着エナメル線
の作成)まず、導体径φ0.16mmの銅線上に、ポリエ
ステルイミド塗料を塗布、焼き付けすることにより、皮
膜厚さが20μmのポリエステルイミドエナメル線を作
成した。
【0037】次に、この絶縁厚さが20μmのポリエス
テルイミドエナメル線上に、実施例及び比較例の自己融
着性塗料を塗布、焼き付けすることにより、融着層厚さ
が10μmの実施例及び比較例の自己融着ポリエステル
イミドエナメル線を作成した。
【0038】図1はかくして得られた実施例1の低歪・
耐熱変形型自己融着エナメル線の拡大断面図を示したも
のである。
【0039】図1において1は導体、2はポリエステル
イミド層、3は融着層である。
【0040】(実施例のリッツ線の作成)まず、実施例
及び比較例の自己融着エナメル線をそれぞれ7本ずつ用
意した。
【0041】次に、これら7本の自己融着エナメル線を
撚合わせすることにより実施例及び比較例のリッツ線を
得た。
【0042】図2はかくして得られた実施例1の低歪・
耐熱変形型リッツ線の断面図を示したものである。
【0043】図2において数字記号は図1と同じであ
る。
【0044】(配合組成及び特性試験結果)実施例及び
比較例の自己融着性塗料配合量、フィルム特性、自己融
着エナメル線特性及び偏向ヨークコイル特性を試験し
た。
【0045】特性試験は次のように行った。
【0046】.フィルム特性試験 フィルムは融点、結晶化エネルギー、伸びについて試験
した。
【0047】融点、結晶化エネルギーはDSCにより測
定した。
【0048】またフィルムの伸びは、長さ10mm、幅5
mm、厚さ0.05mmの試験片を採取し、特殊引張試験装
置にて1mm/minの速度で引張り、その切断伸びを測定し
た。
【0049】.エナメル線特性 JIS−C−3003に準じて行った。
【0050】接着力試験は、まず実施例及び比較例の自
己融着エナメル線を外径φ5mmの巻き付け棒に20ター
ンを密に巻き付けることによりヘリカルコイルを作成
し、次にこれらのヘリカルコイルを高温で10分加熱す
ることにより熱融着し、最後にその熱融着したヘリカル
コイルを引っ張り試験機にて引っ張り、その線間剥離荷
重を接着力として測定した。
【0051】これらの熱融着温度−接着力のグラフを図
3に示す。
【0052】.DY特性(DYは偏向ヨークコイルの
略である) DY特性は、まず実施例及び比較例の自己融着エナメル
線の7本の素線を撚合わせ成るリッツ線とし、次にこれ
らのリッツ線により偏向ヨークコイルを巻線、熱融着、
熱成形し、最後にその熱融着、熱成形した偏向ヨークコ
イルについて下記a、bの試験を行った。
【0053】a.捩じれ試験……平板上に熱融着、熱成
形した偏向ヨークコイルを下向ききに置き、ネック部を
固定したときの開口フリンジ側にできる隙間を捩じれ量
として測定した。
【0054】b.コンバーゼンス…熱融着、熱成形した
偏向ヨークコイルをCRTに組み込んでから、コンバー
ゼンス試験装置によりコンバーゼンスを測定した。
【0055】表1はこれらの試験結果を示したものであ
る。
【0056】表1においてPHRはPart Per
Hundred Resinの略であって、共重合ポリ
アミド樹脂100重量部に対する酸化防止剤の配合量
(重量部)である。
【0057】
【表1】
【0058】(比較例1の評価)フイルムは、結晶化エ
ネルギーが小さく且つ熱処理後の伸びも小さいという難
点がある。
【0059】自己融着エナメル線は、熱劣化後の接着力
がかなり小さく且つ高温下での接着力も小さいという難
点がある。
【0060】偏向ヨークコイルは、捩じれ量が大きく且
つ熱処理後のコンバーゼンス変化量が大きいという難点
がある。
【0061】(比較例2の評価)フイルムは、結晶化エ
ネルギーが大きく且つ熱処理後の伸びも大きい。
【0062】自己融着エナメル線は、熱劣化後の接着力
が大きく且つ高温下での接着力も大きい。
【0063】しかし偏向ヨークコイルは、コンバーゼン
スが大きいという難点がある。
【0064】(比較例3の評価)フイルムは、結晶化エ
ネルギーがピークが検出されない程小さいという難点が
ある。
【0065】自己融着エナメル線は、初期接着力が小さ
く且つ熱劣化後の接着力もかなり小さく、しかも高温下
での接着力も小さいという難点がある。
【0066】偏向ヨークコイルは、捩じれ量が大きいと
いう難点がある。
【0067】(比較例4の評価)フイルムは、熱処理後
の伸びが小さいという難点がある。
【0068】自己融着エナメル線は、初期接着力が小さ
く且つ熱劣化後の接着力もかなり小さく、しかも高温下
での接着力もかなり小さいという難点がある。
【0069】偏向ヨークコイルは、コンバーゼンスが大
きく且つ熱処理後のコンバーゼンス変化量が大きいとい
う難点がある。
【0070】(比較例5の評価)フイルムは、結晶化エ
ネルギーがピークが検出されない程小さく且つ熱処理後
の伸びがかなり小さいという難点がある。
【0071】自己融着エナメル線は、初期接着力が小さ
く且つ熱劣化後の接着力もかなり小さく、しかも高温下
での接着力もかなり小さいという難点がある。
【0072】偏向ヨークコイルは、捩じれ量が大きく且
つ熱処理後のコンバーゼンス変化量が大きいという難点
がある。
【0073】(実施例1〜3の評価)フイルムは、結晶
化エネルギーが大きく且つ熱処理後の伸びも大きいとい
う特長がある。
【0074】自己融着エナメル線は、熱劣化後の接着力
が大きく且つ高温下での接着力も大きいという特長があ
る。
【0075】偏向ヨークコイルは、捩じれ量が小さく且
つ熱処理後のコンバーゼンス変化量も小さいという特長
がある。
【0076】
【発明の効果】本発明の低歪・耐熱変形型自己融着エナ
メル線及び低歪・耐熱変形型リッツ線の融着層は結晶化
エネルギーが大きく且つ熱処理後の伸びが大きいという
特長があり、それにより自己融着エナメル線及びリッツ
線としたときには初期接着力が大きく且つ熱劣化後の接
着力が大きく、しかも高温下での接着力が大きいという
特長があり、それらにより偏向ヨークコイルとしたとき
には捩じれ量が小さく且つ熱処理後のコンバーゼンス変
化量も小さいという特長があり、工業上有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の低歪・耐熱変形型自己融着
エナメル線の拡大断面図を示したものである。
【図2】本発明の低歪・耐熱変形型リッツ線の断面図を
示したものである。
【図3】熱融着ヘリカルコイルの熱融着温度−接着力の
関係を示したグラフである。
【符号の説明】
1 導体 2 ポリエステルイミド層 3 融着層

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エナメル線の絶縁皮膜上に、融点が100
    〜150℃の共重合ポリアミド樹脂と酸化防止剤とから
    成る融着層を設けて成ることを特徴とする低歪・耐熱変
    形型自己融着エナメル線。
  2. 【請求項2】融着層が、熱軟化点100〜150℃の共
    重合ポリアミド樹脂100重量部に対して酸化防止剤を
    0.3〜5.0重量部配合して成るものであることを特
    徴とする請求項1記載の低歪・耐熱変形型自己融着エナ
    メル線。
  3. 【請求項3】酸化防止剤が、共重合ポリアミド樹脂の熱
    軟化点をt、酸化防止剤の融点をmとしたとき、 m > t を満足する融点を有するものであることを特徴とする請
    求項2記載の低歪・耐熱変形型自己融着エナメル線。
  4. 【請求項4】酸化防止剤が、フェノール系酸化防止剤で
    あることを特徴とする請求項2記載の低歪・耐熱変形型
    自己融着エナメル線。
  5. 【請求項5】フェノール系酸化防止剤が、4,4−チオ
    ビス(6−第3ブチル−3−メチルフェノール)である
    ことを特徴とする請求項4記載の低歪・耐熱変形型自己
    融着エナメル線。
  6. 【請求項6】複数本の素線を撚合わせて成るリッツ線に
    おいて、該素線はエナメル線の絶縁皮膜上に融点が10
    0〜150℃の共重合ポリアミド樹脂と酸化防止剤とか
    ら成る融着層を設けて成る自己融着エナメル線であるこ
    とを特徴とする低歪・耐熱変形型リッツ線。
  7. 【請求項7】素線が、エナメル線の絶縁皮膜上に熱軟化
    点100〜150℃の共重合ポリアミド樹脂100重量
    部に対して酸化防止剤を0.3〜5.0重量部配合した
    融着層を設けて成る自己融着エナメル線であることを特
    徴とする請求項6記載の低歪・耐熱変形型リッツ線。
  8. 【請求項8】酸化防止剤が、4,4−チオビス(6−第
    3ブチル−3−メチルフェノール)であることを特徴と
    する請求項7記載の低歪・耐熱変形型リッツ線。
JP35455197A 1997-12-24 1997-12-24 低歪・耐熱変形型自己融着エナメル線及び低歪・耐熱変形型リッツ線 Expired - Fee Related JP3419288B2 (ja)

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