JP3546472B2 - 自己融着性エナメル線 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は主にCRTディスプレイの偏向ヨークコイル用に用いられる自己融着性エナメル線、特に、低温融着性に優れた自己融着エナメル線に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、テレビやコンピュータ等のディスプレイに用いられるブラウン管の背面には、自己融着性エナメル線をコイル巻きした偏向ヨークコイルが設けられており、画像を映しだすのに重要な役割を担っている。この偏向ヨークコイルは、導体上に融着材料を被覆した自己融着性エナメル線を鞍型コイルに巻線した後、その得られた鞍型コイルを熱処理あるいは有機溶剤処理して巻き付けられた線間を接着してなるものであり、巻線後の熱接着性と、耐熱変形性が要求される。すなわち、稼動中の偏向ヨークコイルの温度は40〜90℃に達するため、この温度で熱変形すると磁束密度分布が不均一化し、その結果、例えばカラーディスプレイ等では色ずれを起こす原因となるからである。
【0003】
そのため、この自己融着性エナメル線に用いられる従来の融着材料としては、コイルが熱接着し、かつ熱変形を起こさない温度、具体的には150〜160℃で融着する共重合ナイロン,例えば、M−1425(融点145〜155℃)とH−104F(融点125〜135℃)(いずれも日本リルサン製共重合ナイロン)とを1:1でブレンドした塗料が用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、最近、ディスプレイの画質の高解像度化を目的とした高周波化の動きに対応して、この偏向ヨークコイル用の自己融着エナメル線も細径化、撚線化の方向に進んでいる。しかしながら、自己融着エナメル線を細径化、撚線化すると、コイル接着時の熱放散が大きくなる上に、接着面が複雑となるため、従来より用いられてきた150〜160℃で融着する自己融着エナメル線では融着温度が高すぎて接着性が劣り、適用が困難になってきた。
【0005】
そこで、本発明は上記の問題点を有効に解決するために案出されたものであり、その目的は従来より低温融着性に優れ、かつコイルの熱変形も少ない新規な自己融着性エナメル線を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明は、6ナイロン、6,6ナイロン、12ナイロンの各ユニットを主体として形成された融点110〜140℃の共重合ナイロン(I)と6ナイロン、6,6ナイロン、6,10ナイロンの各ユニットを主体として形成された融点110〜120℃の共重合ナイロン(II)を、前記共重合ナイロン(I)が全樹脂の5〜80重量%となるように配合した120〜140℃で融着する塗料を、導体上に直接もしくは他の絶縁体を介して塗布焼付けしてなるものである。
【0007】
融点110〜140℃の共重合ナイロン(I)としては、ダイセル・ヒュルス社のX−7079(融点127℃)等があり、一方、融点100〜120℃の共重合ナイロン(II)としてはダイセル・ヒュルス社のT−431,T−451、T−471等がある。
【0008】
そして、この共重合ナイロン(I)は、クレゾール/キシレンを溶媒として溶解した塗料により自己融着層を形成し、140℃で融着可能である。
【0009】
一方、共重合ナイロン(II)に共重合ナイロン(I)を全樹脂量の5〜80重量%配合させる理由としては、共重合ナイロン(II)単独では、上記と同様にクレゾール/キシレンを溶媒として溶解した塗料により、自己融着層を形成する際、電線焼付時に線が粘着するからである。
【0010】
また、最近はコイルの信頼性向上の見地から、コイルのインダクタンスのばらつき低減のため、融着層にすべり性の付与が要求される場合がある。この場合、本発明の樹脂に低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、脂肪酸エステル樹脂、天然ロウ(カルナバロウ、ミツロウ)等を1〜10phr添加しても良い。
【0011】
そして、これらの自己融着性エナメル線を鞍型コイルに巻線し、これを100〜120℃で熱処理することで熱融着性、熱変形性に優れた偏向ヨークコイルが得られる。
【0012】
【作用】
本発明によれば、電線製造時の粘着が発生せずに、従来より低温で接着し、しかも熱変形性が向上する。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の実施例を詳述する。
【0014】
(実施例1)
共重合ナイロン(I)としてX−7079を、共重合ナイロン(II)としてT−431を用い、X−7079/T−431=5/95となるように配合し、クレゾール/キシレン(=7/3)の溶剤に15重量%となるように溶解した塗料を用い、これを図1に示すように、0.47φmmの導体1上に28mm厚(1種)のエナメル皮膜層2が形成されたH種エステルイミド線に厚さ9μmとなるように焼付けて自己融着層3を形成した。次いで、この試料エナメル線を用いて試料コイルを形成し、そのエナメル線特性、及びコイル特性を評価し、その結果を表1に示す。
【0015】
尚、エナメル線特性としては加熱接着性及び電線製造時の粘着を評価し、その具体的評価方法としては、先ず、この試料エナメル線を巻き付け棒(8mmφ)に20回密に巻き付けて円筒状コイルを形成した後、このコイルを指定温度で10分間加熱して線間を熱接着し、その後室温に冷却した後、引張試験機により軸方向に引張って線間剥離荷重(g)を求めた。
【0016】
また、コイル特性としては通電接着性及び耐熱変形性を評価し、そのうちの通電接着性の具体的評価方法としては、図2に示すように、上記試料エナメル線を135ターン巻の鞍型モデルコイルに巻線し、得られた鞍型モデルコイルの両端末に従来品接着条件20V低い100Vの交流電圧を4秒間印加して線間を通電加熱した後、線間の完全接着部分と不完全接着部分(ホツレのある部分)とを観察した。そして、このホツレ部が10%以下を○、10〜20%以上を×と評価した。一方、耐熱変形性の具体的評価方法としては、図3に示すように上記試料エナメル線を135ターン巻の鞍型モデルコイルに巻線し、得られた鞍型モデルコイルの両端末に100Vの交流電圧を4秒間印加して線間を通電加熱した後、2個の鞍型モデルコイルを図3に示す耐熱変形性試験装置にセパレータを介して装着し、そのセパレータ凸部と上下鞍型モデルコイルとの初期距離をそれぞれ測定し、その後、2個の鞍型モデルコイルを挿着した熱変形性試験装置を100℃の雰囲気下で200時間加熱した後、冷却し、セパレータ凸部と上下鞍型モデルコイルとの距離をそれぞれ測定した。そして、その距離の平均値が0.15mm以下を○、0.15〜0.20mmを△、0.2mm以上を×とした。
【0017】
(実施例2)
共重合ナイロン(II)としてT−451を用い、X−7079/T−451=5/95となるように配合し、クレゾール/キシレン(=7/3)の溶剤に15重量%となるように溶解した塗料を用いた他は実施例1と同様な方法で評価を行った。
【0018】
(実施例3)
共重合ナイロン(II)としてT−471を用い、X−7079/T−471=5/95となるように配合し、クレゾール/キシレン(=7/3)の溶剤に15重量%となるように溶解した塗料を用いた他は実施例1と同様な方法で評価を行った。
【0019】
(実施例4〜7)
X−7079/T−451を20/80、40/60、60/40、80/20まで変化させた他は実施例1と同様な方法で評価を行った。
【0020】
(比較例1)
T−431を単独として用いた他は実施例1と同様な方法で評価を行った。
【0021】
(比較例2)
T−451を単独として用いた他は実施例1と同様な方法で評価を行った。
【0022】
(比較例3)
T−471を単独として用いた他は実施例1と同様な方法で評価を行った。
【0023】
(比較例4)
M−1425(融点145〜155℃)とH−104F(融点125〜135℃)(いずれも日本リルサン製)とを1:1ブレンドしてなる従来塗料(クレゾール/キシレン=7/3溶剤使用)を用いた他は実施例1と同様な方法で評価を行った。
【0024】
【表1】
【0025】
表1に示すように、本発明に係る実施例1、2、3と、共重合ナイロン( II )を単独で使用した比較例1,2,3とを比較すると、共重合ナイロン( II )に共重合ナイロン(I)を5重量部配合することで100℃での加熱融着性がゼロであり、電線製造時の粘着がないことが判る。また共重合ナイロン( II )のT−431、T−451、T−471を用いた加熱融着性を比べると、加熱融着性は、T−431<T−451<T−471と高くなることが判る。さらに実施例4〜7を比較すると、共重合ナイロン(I)の配合割合が高くなると、融着温度が高くなることが判る。このように実施例1〜7はいずれも、良好なエナメル特性及びコイル特性を発揮した。これに対し、共重合ナイロン(II)を単独で用いた比較例1〜3はいずれも電線製造時に線に粘着が発生し、また、耐熱変形性も不十分であった。さらに、従来の塗料を用いた比較例4の場合では粘着が発生せず、耐熱変形性も良好であったが、低温通電接着性が悪く、本発明の目的を達成することができない。
【0026】
【発明の効果】
以上要するに本発明によれば、電線製造時の粘着もなく、従来より低温(120〜140℃)で接着し、しかも熱変形性が向上するため、自己融着エナメル線の細径化、撚線化の要求に充分対応することができる等といった優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す拡大断面図である。
【図2】鞍型モデルコイルを示す斜視図である。
【図3】鞍型モデルコイルの耐熱変形性試験方法を示す説明図である。
【符号の説明】
1 導体
2 エナメル被膜層
3 自己融着層
Claims (1)
- 6ナイロン、6,6ナイロン、12ナイロンの各ユニットを主体として形成された融点110〜140℃の共重合ナイロン(I)と6ナイロン、6,6ナイロン、6,10ナイロンの各ユニットを主体として形成された融点110〜120℃の共重合ナイロン(II)を、前記共重合ナイロン(I)が全樹脂の5〜80重量%となるように配合した120〜140℃で融着する塗料を、導体上に直接もしくは他の絶縁体を介して塗布焼付けしてなることを特徴とする自己融着性エナメル線。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15223694A JP3546472B2 (ja) | 1994-07-04 | 1994-07-04 | 自己融着性エナメル線 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP15223694A JP3546472B2 (ja) | 1994-07-04 | 1994-07-04 | 自己融着性エナメル線 |
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JPH0817253A JPH0817253A (ja) | 1996-01-19 |
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Family
ID=15536069
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP15223694A Expired - Fee Related JP3546472B2 (ja) | 1994-07-04 | 1994-07-04 | 自己融着性エナメル線 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3546472B2 (ja) |
-
1994
- 1994-07-04 JP JP15223694A patent/JP3546472B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH0817253A (ja) | 1996-01-19 |
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