JPH0817253A - 自己融着性エナメル線 - Google Patents

自己融着性エナメル線

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JPH0817253A
JPH0817253A JP15223694A JP15223694A JPH0817253A JP H0817253 A JPH0817253 A JP H0817253A JP 15223694 A JP15223694 A JP 15223694A JP 15223694 A JP15223694 A JP 15223694A JP H0817253 A JPH0817253 A JP H0817253A
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Kenji Asano
健次 浅野
Kazunori Suzuki
和則 鈴木
Akio Mitsuoka
昭雄 光岡
Eiji Suzuki
英治 鈴木
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明の目的は従来より低温融着性に優れ、
かつコイルの熱変形も少ない新規な自己融着性エナメル
線を提供することにある。 【構成】 本発明は6ナイロン、6,6ナイロン、12
ナイロンの各ユニットを主体として形成された融点11
0〜140℃の共重合ナイロン(I)からなる塗料を導
体上に直接もしくは他の絶縁体を介して塗布焼付けして
なることを特徴としている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は主にCRTディスプレイ
の偏向ヨークコイル用に用いられる自己融着性エナメル
線、特に、低温融着性に優れた自己融着エナメル線に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、テレビやコンピュータ等のディ
スプレイに用いられるブラウン管の背面には、自己融着
性エナメル線をコイル巻きした偏向ヨークコイルが設け
られており、画像を映しだすのに重量な役割を担ってい
る。この偏向ヨークコイルは、導体上に融着材料を被覆
した自己融着性エナメル線を鞍型コイルに巻線した後、
その得られた鞍型コイルを熱処理あるいは有機溶剤処理
して巻き付けられた線間を接着してなるものであり、巻
線後の熱接着性と、耐熱変形性が要求される。すなわ
ち、稼動中の偏向ヨークコイルの温度は40〜90℃に
達するため、この温度で熱変形すると磁束密度分布が不
均一化し、その結果、例えばカラーディスプレイ等では
色ずれを起こす原因となるからである。
【0003】そのため、この自己融着性エナメル線に用
いられる従来の融着材料としては、コイルが熱接着し、
かつ熱変形を起こさない温度、具体的には150〜16
0℃で融着する共重合ナイロン,例えば、M−1425
(融点145〜155℃)とH−104F(融点125
〜135℃)(いずれも日本ソルサン製共重合ナイロ
ン)とを1:1でブレンドした塗料が用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、最近、ディ
スプレイの画質の高解像度化を目的とした高周波化の動
きに対応して、この偏向ヨークコイル用の自己融着エナ
メル線も細径化、撚線化の方向に進んでいる。しかしな
がら、自己融着エナメル線を細径化、撚線化すると、コ
イル接着時の熱放散が大きくなる上に、接着面が複雑と
なるため、従来より用いられてきた150〜160℃で
融着する自己融着エナメル線では融着温度が高すぎて接
着性が劣り、適用が困難になってきた。
【0005】そこで、本発明は上記の問題点を有効に解
決するために案出されたものであり、その目的は従来よ
り低温融着性に優れ、かつコイルの熱変形も少ない新規
な自己融着性エナメル線を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、6ナイロン、6,6ナイロン、12ナイロ
ンの各ユニットを主体として形成された融点110〜1
40℃の共重合ナイロン(I)からなる塗料、もしくは
6ナイロン、6,6ナイロン、6,10ナイロンの各ユ
ニットを主体として形成された融点100〜120℃の
共重合ナイロン(II)に、上記共重合ナイロン(I)を
全樹脂の5重量%以上含有した塗料を、導体上に直接も
しくは他の絶縁体を介して塗布焼付けしてなるものであ
る。
【0007】この融点110〜140℃の共重合ナイロ
ン(I)としては、ダイセル・ヒュルス社のX−707
9(融点127℃)等があり、一方、融点100〜12
0℃の共重合ナイロン(II)としてはダイセル・ヒュル
ス社のT−431,T−451、T−471等がある。
【0008】そして、この共重合ナイロン(I)は、ク
レゾール/キシレンを溶媒として溶解した塗料により自
己融着層を形成し、140℃で融着可能である。
【0009】一方、共重合ナイロン(II)に共重合ナイ
ロン(I)を全樹脂量の5重量%以上含有させる理由と
しては、共重合ナイロン(II)単独では、上記と同様に
クレゾール/キシレンを溶媒として溶解した塗料によ
り、自己融着層を形成する際、電線焼付時に線が粘着す
るからである。
【0010】また、最近はコイルの信頼性向上の見地か
ら、コイルのインダクタンスのばらつき低減のため、融
着層にすべり性の付与が要求される場合がある。この場
合、本発明の樹脂に低分子量ポリエチレン、低分子量ポ
リプロピレン、脂肪酸エステル樹脂、天然ロウ(カルナ
バロウ、ミツロウ)等を1〜10phr添加しても良
い。
【0011】そして、これらの自己融着性エナメル線を
鞍型コイルに巻線し、これを100〜120℃で熱処理
することで熱融着性、熱変形性に優れた偏向ヨークコイ
ルが得られる。
【0012】
【作用】本発明によれば、電線製造時の粘着が発生せず
に、従来より低温で接着し、しかも熱変形性が向上す
る。
【0013】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳述する。
【0014】(実施例1)先ず、共重合ナイロン(I)
としてX−7079をクレゾール/キシレン(=7/
3)の溶剤に15重量%となるように溶解して塗料を形
成し、これを図1に示すように、0.47φmmの導体
1上に28mm厚(1種)のエナメル皮膜層2が形成さ
れたH種エステルイミド線に厚さ9μmとなるように焼
付けて自己融着層3を形成した。次いで、この試料エナ
メル線を用いて試料コイルを形成し、そのエナメル線特
性、及びコイル特性を評価し、その結果を表1に示す。
【0015】尚、エナメル線特性としては加熱接着性及
び電線製造時の粘着を評価し、その具体的評価方法とし
ては、先ず、この試料エナメル線を巻き付け棒(8mm
φ)に20回密に巻き付けて円筒状コイルを形成した
後、このコイルを指定温度で10分間加熱して線間を熱
接着し、その後室温に冷却した後、引張試験機により軸
方向に引張って線間剥離荷重(g)を求めた。
【0016】また、コイル特性としては通電接着性及び
耐熱変形性を評価し、そのうちの通電接着性の具体的評
価方法としては、図2に示すように、上記試料エナメル
線を135ターン巻の鞍型モデルコイルに巻線し、得ら
れた鞍型モデルコイルの両端末に従来品接着条件20V
低い100Vの交流電圧を4秒間印加して線間を通電加
熱した後、線間の完全接着部分と不完全接着部分(ホツ
レのある部分)とを観察した。そして、このホツレ部が
10%以下を○、10〜20%以上を×と評価した。一
方、耐熱変形性の具体的評価方法としては、図3に示す
ように上記試料エナメル線を135ターン巻の鞍型モデ
ルコイルに巻線し、得られた鞍型モデルコイルの両端末
に100Vの交流電圧を4秒間印加して線間を通電加熱
した後、2個の鞍型モデルコイルを図4に示す耐熱変形
性試験装置にセパレータを介して装着し、そのセパレー
タ凸部と上下鞍型モデルコイルとの初期距離をそれぞれ
測定し、その後、2個の鞍型モデルコイルを挿着した熱
変形性試験装置を100℃の雰囲気下で200時間加熱
した後、冷却し、セパレータ凸部と上下鞍型モデルコイ
ルとの距離をそれぞれ測定した。そして、その距離の平
均値が0.15mm以下を○、0.15〜0.20mm
を△、0.2mm以上を×とした。
【0017】(実施例2)共重合ナイロン(II)として
T−431を用い、T−431/X−7079=5/9
5となるように配合し、クレゾール/キシレン(=7/
3)の溶剤に15重量%となるように溶解した塗料を用
いた他は実施例1と同様な方法で評価を行った。
【0018】(実施例3)共重合ナイロン(II)として
T−451を用い、T−451/X−7079=5/9
5となるように配合し、クレゾール/キシレン(=7/
3)の溶剤に15重量%となるように溶解した塗料を用
いた他は実施例1と同様な方法で評価を行った。
【0019】(実施例4)共重合ナイロン(II)として
T−471を用い、T−471/X−7079=5/9
5となるように配合し、クレゾール/キシレン(=7/
3)の溶剤に15重量%となるように溶解した塗料を用
いた他は実施例1と同様な方法で評価を行った。
【0020】(実施例5〜9)T−451/X−707
9を80/20、60/40、40/60、20/8
0、10/90まで変化させた他は実施例1と同様な方
法で評価を行った。
【0021】(比較例1)T−431を単独として用い
た他は実施例1と同様な方法で評価を行った。
【0022】(比較例2)T−451を単独として用い
た他は実施例1と同様な方法で評価を行った。
【0023】(比較例3)T−471を単独として用い
た他は実施例1と同様な方法で評価を行った。
【0024】(比較例4)M−1425(融点145〜
155℃)とH−104F(融点125〜135℃)
(いずれも日本ソルサン製)とを1:1ブレンドしてな
る従来塗料(クレゾール/キシレン=7/3溶剤使用)
を用いた他は実施例1と同様な方法で評価を行った。
【0025】
【表1】
【0026】表1に示すように、本発明に係る実施例1
〜9はいずれも、良好なエナメル特性及びコイル特性を
発揮した。これに対し、共重合ナイロン(II)を単独で
用いた比較例1〜3はいずれも電線製造時に線に粘着が
発生し、また、耐熱変形性も不十分であった。さらに、
従来の塗料を用いた比較例4の場合では粘着が発生せ
ず、耐熱変形性も良好であったが、低温通電接着性が悪
く、本発明の目的を達成することができない。
【0027】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、電線製造
時の粘着もなく、従来より低温で接着し、しかも熱変形
性が向上するため、自己融着エナメル線の細径化、撚線
化の要求に充分対応することができる等といった優れた
効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す拡大断面図である。
【図2】鞍型モデルコイルを示す斜視図である。
【図3】鞍型モデルコイルの耐熱変形性試験方法を示す
説明図である。
【符号の説明】
1 導体 2 エナメル被膜層 3 自己融着層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 英治 茨城県日立市川尻町4丁目10番1号 日立 電線株式会社豊浦工場内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 6ナイロン、6,6ナイロン、12ナイ
    ロンの各ユニットを主体として形成された融点110〜
    140℃の共重合ナイロン(I)からなる塗料を導体上
    に直接もしくは他の絶縁体を介して塗布焼付けしてなる
    ことを特徴とする自己融着性エナメル線。
  2. 【請求項2】 6ナイロン、6,6ナイロン、6,10
    ナイロンの各ユニットを主体として形成された融点10
    0〜120℃の共重合ナイロン(II)に、上記請求項1
    記載の共重合ナイロン(I)を全樹脂の5重量%以上含
    有した塗料を、導体上に直接もしくは他の絶縁体を介し
    て塗布焼付けしてなることを特徴とする自己融着性エナ
    メル線。
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