JPH11158657A - 耐食性に優れた表面処理鋼材 - Google Patents

耐食性に優れた表面処理鋼材

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JPH11158657A
JPH11158657A JP32479197A JP32479197A JPH11158657A JP H11158657 A JPH11158657 A JP H11158657A JP 32479197 A JP32479197 A JP 32479197A JP 32479197 A JP32479197 A JP 32479197A JP H11158657 A JPH11158657 A JP H11158657A
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JP
Japan
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steel
corrosion
corrosion resistance
environment
treated steel
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Application number
JP32479197A
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Inventor
Kenji Kato
謙治 加藤
Hiromasa Nomura
広正 野村
Kazumi Nishimura
一実 西村
Hidetoshi Niigashira
英俊 新頭
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アルカリ性腐食環境、海水腐食環境、水道水
腐食環境、高温湿潤腐食環境、土壌腐食環境、大気腐食
環境などの腐食環境において優れた耐食性を有する表面
処理鋼材の提供。 【解決手段】 鋼よりも電位が卑なる、亜鉛、アルミニ
ウム、マンガンおよびこれらの金属を主体とする合金に
Mg,Inのうちいずれか一種以上を、重量%で0.0
5%以上、10%以下含有せしめた合金被覆層を鋼材表
面上に0.05μm〜500μmの厚さで形成すること
を特徴とする耐アルカリ性に優れた表面処理鋼材、およ
び、該表面処理鋼材をpH10.5以上の溶液中で処理す
ることを特徴とする耐食性に優れた表面処理鋼材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は耐食性に優れた表面
処理鋼に係り、さらに詳しくは、各種鉄筋構造物、支柱
等のコンクリート腐食環境、アルカリ腐食環境、船舶、
橋梁、杭、矢板等の海水腐食環境、貯水槽、給水管、給
湯管、缶容器、各種容器、食器、調理機器、浴槽、プー
ル、洗面化粧台等の水道水腐食環境、橋梁ケーブル、各
種容器、低温熱交換機、浴室部材等の高温湿潤腐食環
境、各種貯蔵タンク、支柱、杭、矢板、配管等の土壌腐
食環境、橋梁、支柱、建築内外装材、屋根材、建具、厨
房部材、各種手すり、ルーフドレイン、鉄道車両等の大
気腐食環境、等の、これらの腐食環境において優れた耐
食性を有する表面処理鋼に係るものである。
【0002】
【従来の技術】アルカリ性腐食環境、コンクリート腐食
環境、海水腐食環境、水道水腐食環境、高温湿潤腐食環
境、土壌腐食環境、大気腐食環境などの腐食環境で使用
される鋼は、めっき、塗装、溶射、電気防食などの対策
のいずれかがなされることが一般的である。近年、信頼
性の向上、製造・施工工程の簡素化、メンテナンスフリ
ー化、経済的な要請、省資源、等の観点から、鋼素地の
耐食性向上を目的とした、Cr含有鋼やステンレス鋼の
使用が増大している。しかしながら、素材コストの上昇
や経済性を考慮した場合に耐食性を満足する素材が使用
できず、抜本的な対策とならない場合が多い。
【0003】例えば、鉄筋を含む鋼構造と複合したコン
クリートは優れた強度をもたらす。従って、複合される
鋼構造の耐食性はコンクリート構造の長期耐久性を支配
する重要な因子となる。鋼がコンクリートと複合された
場合、コンクリートのpHは12.4〜12.6のアルカ
リ性である。そのため、鋼表面は不働態化し、鋼の腐食
は抑制される。しかし、コンクリートが経年変化の末、
中性化した場合やコンクリート中に塩化物イオンが存在
する場合、不働態化が破壊されて鋼の腐食が発生する。
一方、アルカリ性腐食環境のため、樹脂の劣化が激し
く、塗装の使用は困難である。さらに、コンクリートは
凝固後、導電性にきわめて乏しく、電気防食による対策
は実用的ではない。加えて、コンクリートが固化するま
での間、鋼表面上では水素ガスが発生し、この水素ガス
はコンクリートと鋼の間に隙間を形成し、密着性を阻害
する結果、強度上の問題を引き起こす場合もある。
【0004】以上述べた、コンクリートとの接触部での
鋼の腐食の問題を解決するために、鋼表面に各種金属被
覆を施す防食方法が従来から提案されている。被覆する
金属には、コンクリート中で鋼よりも卑な電位を示し犠
牲防食効果が期待される亜鉛、アルミニウム等の金属と
コンクリート中で鋼よりも貴な電位を示し表面処理層の
難溶解性による防食効果が期待されるニッケル、船など
がある。
【0005】前者の犠牲防食金属による表面処理では、
亜鉛が古くから検討されている。また、亜鉛にアルミニ
ウムを5重量%または55重量%含有する亜鉛−アルミ
合金の被覆も検討がなされている。しかし、これらの金
属は両性金属のため、アルカリ腐食環境中での溶出速度
がきわめて速く、また、塩化物が存在するとその溶出速
度がさらに加速されるため、目的の犠牲防食効果を長期
間維持するためには非常に厚い被覆層を形成する必要が
あり、長期防食手段としての本質的な問題と経済的な問
題を抱えている。
【0006】一方、後者の難溶解性金属による表面処理
では、特開昭63−153287号公報において、Ni
を主原料とした各種Ni合金めっき鋼材が耐塩性鉄筋コ
ンクリート用鋼材として開示されている。また、特開平
5−78805号公報では、フラックスを工夫した鉛め
っき鋼材がコンクリート構造用鋼材として開示されてい
る。これらのアルカリ性環境中で難溶解性の金属被覆処
理によって金属被覆層の耐食性は向上するが、これらの
金属は鋼より電位的に貴な金属であり、鉄に対する犠牲
防食効果を持たない。従って、何らかの原因で被覆層に
欠陥が生じ鋼が露出した場合には鉄の腐食が促進される
という、信頼性において本質的な問題を抱えている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は耐食性に優れ
た表面処理鋼に係り、さらに詳しくは、アルカリ腐食環
境、コンクリート腐食環境、海水腐食環境、水道水腐食
環境、高温湿潤腐食環境、土壌腐食環境、大気腐食環境
などの腐食環境において優れた耐食性を有し、かつ低コ
ストの表面処理鋼を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】発明者らは上記の目的を
達成すべく、アルカリ性環境をはじめとする腐食環境に
おいて優れた耐食性を有する表面処理鋼を開発するべ
く、種々の観点から検討した。従来の技術を詳細に見直
し、表面被覆金属として、基材となる鋼よりも電位が卑
なる犠牲防食効果を有する金属を使用することが、経済
性、信頼性の観点から不可欠であるとの見解に至った。
この見解の上に、まず、アルカリ性環境における腐食反
応について検討し、アルカリ性環境中で鋼よりも電位が
卑なる金属である亜鉛、アルミニウムあるいはマンガン
およびこれらの金属を主体とする合金といった犠牲防食
効果を有する金属の腐食は水素発生反応をカソード反応
としてきわめて速い速度で進行することを見出した。さ
らに、該腐食環境において犠牲防食金属の耐食性を向上
させる手段を様々な金属元素を含有することを中心に種
々検討した結果、これらの犠牲防食金属中にMg,In
を、重量%で0.05%以上、10%以下含有すること
で水素発生反応が抑制され犠牲防食金属の腐食速度が大
幅に減少することを発見した。
【0009】さらに本発明者らは本発見事実に検討を加
え、この耐食効果は一旦発現すると、アルカリ性環境か
ら取り出しても持続し、弱酸性、中性および弱アルカリ
腐食環境における耐食性をも向上させることを見い出す
に至り、Mg,Inを、重量%で0.05%以上、10
%以下含有した鋼よりも電位が卑なるこれら犠牲防食金
属のアルカリ性溶液中における処理条件と海水腐食環
境、水道水腐食環境、高温湿潤腐食環境、土壌腐食環
境、大気腐食環境などの種々の腐食環境における防食効
果の関係について詳細かつ広範に検討を加え、一定の処
理を施すことでアルカリ性環境のみならず上述した種々
の腐食環境においても耐食性を有する表面処理鋼の開発
に成功した。すなわち、Mg,Inを、重量%で0.0
5%以上、10%以下含有した鋼よりも電位が卑なるこ
れらの犠牲防食金属で被覆した表面を、さらにpH10.
5以上のアルカリ性溶液に浸漬処理するか、好ましくは
pH10.5以上のアルカリ性溶液中で陽極電解処理を行
うことで、必ずしも弱酸性〜弱アルカリ性の海水腐食環
境、水道水腐食環境、高温湿潤腐食環境、土壌腐食環
境、大気腐食環境などの種々の腐食環境で優れた耐食性
と犠牲防食効果を有する表面処理鋼が得られ、本発明の
課題解決にきわめて有効であることを見出した。さら
に、コンクリート腐食環境はpH約12.5のアルカリ環
境であるが、鋼よりも電位が卑なる金属である亜鉛、ア
ルミニウムあるいはマンガンおよびこれらの金属を主体
とする合金は本環境で水素の発生を伴って腐食するため
セメントと鋼材の界面に隙間を形成し、密着性、耐食性
を低下させるが、上述した表面処理鋼によって、水素の
発生が無視しうる程度に抑制され、きわめてその効果は
大きい。
【0010】本発明は主として上記の知見に基づいてな
されたものであり、その要旨は以下のとおりである。 (1)鋼よりも電位が卑なる亜鉛あるいは亜鉛を主体と
する合金において、Mg,Inのうちいずれか一種以上
を、重量%で0.05%以上、10%以下含有せしめた
ものを鋼材表面上に0.05μm〜500μmの厚さで
形成することを特徴とする、アルカリ環境中で耐食性に
優れた表面処理鋼。
【0011】(2)鋼よりも電位が卑なるアルミニウム
あるいはアルミニウムを主体とする合金において、M
g,Inのうちいずれか一種以上を、重量%で0.05
%以上、10%以下含有せしめたものを鋼材表面上に
0.05μm〜500μmの厚さで形成することを特徴
とする、アルカリ環境中で耐食性に優れた表面処理鋼。 (3)鋼よりも電位が卑なるマンガンあるいはマンガン
を主体とする合金において、Mg,Inのうちいずれか
一種以上を、重量%で0.05%以上、10%以下含有
せしめたものを鋼材表面上に0.05μm〜500μm
の厚さで形成することを特徴とする、アルカリ環境中で
耐食性に優れた表面処理鋼。
【0012】(4)前記(1)〜(3)に記載の表面処
理鋼を、pH11以上の溶液中に、0.05秒以上30時
間以下浸漬することを特徴とする、耐食性に優れた金属
および表面処理鋼。 (5)前記(1)〜(3)に記載の表面処理鋼を、pH1
0.5以上の溶液中で陽極電解処理を施すことを特徴と
する、耐食性に優れた金属および表面処理鋼。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明における各成分の範
囲および処理条件を限定した理由などの詳細を以下に説
明する。本発明の表面処理鋼が使用される場合におい
て、少なくとも腐食環境に曝される面を、基材となる鋼
よりも電位が卑なる金属で被覆するものである。被覆金
属として鋼よりも電位が卑なる、亜鉛、アルミニウム、
マンガンおよびこれらの金属を主体とする合金が使用で
きる。
【0014】これらの金属のアルカリ性環境中における
腐食速度はMg,Inをこれらの金属中に含有せしめる
ことで大幅に低下するという新たな発見は、本願発明の
根幹をなすものである。現時点でその理由は不明である
が、0.05%未満ではその効果が不十分で、一方10
%を超えて含有せしめても効果が飽和するばかりか、経
済性を阻害することから、これらの含有範囲を重量%で
0.05%以上、10%以下に限定した。効果の安定性
の観点からは、0.1%以上10%以下が好ましく、さ
らに工業的な大量連続生産性の観点からは、0.5%以
上6%以下がより好ましい。また、Mg,Inは同時に
含有せしめてもその効果を減ずることはなく、両者を同
時に含有して良い。これらMg,Inの含有形態は、固
溶、析出、単体等いかなる形態であっても良く、これら
の元素金属を表面被覆層に含有せしめるためにいかなる
プロセスさらにはプロセス上必要な被覆層中に残存しう
る媒体となる金属の使用を選択したとしても、それをも
って本願発明の範囲を逸脱するものではない。
【0015】皮膜の厚さは、0.05μm未満では表面
処理の効果が不十分であり、一方500μmを超えて皮
膜を形成しても効果が飽和するばかりか、経済性を損な
うことから、鋼材上の皮膜の厚さを0.05μm〜50
0μmの厚さに限定した。前記(4)に記載したpH1
0.5以上の溶液中に浸漬処理を行う場合は、0.1μ
m以上の厚さとすることが好ましく、さらに前記(5)
に記載したpH10.5以上の溶液中で陽極電解処理を施
す場合は0.3μm以上の厚さとすることが好ましい。
【0016】上記の鋼よりも電位が卑なる亜鉛、アルミ
ニウム、マンガンおよびこれらの金属を主体とする合金
にMg,Inのうちいずれか一種以上を、重量%で0.
05%以上、10%以下含有せしめたものを鋼材表面上
に0.05μm〜500μmの厚さで被覆した後、アル
カリ性溶液への浸漬処理もしくはアルカリ性溶液中での
陽極電解処理を施すことによって、海水腐食環境、水道
水腐食環境、高温湿潤腐食環境、土壌腐食環境、大気腐
食環境等における優れた耐食性を得ることができる。
【0017】亜鉛を主体とする合金とは、合金成分のう
ち最大量を占める成分が亜鉛である合金すなわち亜鉛基
合金であり、一般に亜鉛基合金に含有されるアルミニウ
ム等の合金成分および不純物成分を含んでよい。アルミ
ニウムを主体とする合金とは、合金成分のうち最大量を
占める成分がアルミニウムである合金すなわちアルミニ
ウム基合金であり、一般にアルミニウム基合金に含有さ
れるシリコン、亜鉛等の合金成分および不純物成分を含
んでよい。
【0018】マンガンを主体とする合金とは、合金成分
のうち最大量を占める成分がマンガンである合金すなわ
ちマンガン基合金であり、一般にマンガン基合金に含有
されるアルミニウム等の合金成分および不純物成分を含
んでよい。本発明の一つの典型例においては、表面処理
鋼材の被覆層は、MgおよびInのうちの少なくとも一
種を0.05〜10重量%含有し、残部が亜鉛またはア
ルミニウムまたはマンガンと不可避的不純物とから成る
亜鉛基合金またはアルミニウム基合金またはマンガン基
合金から成る。
【0019】本発明の別の典型例においては、表面処理
鋼材の被覆層は、MgおよびInのうちの少なくとも一
種を0.05〜10重量%含有する亜鉛基合金またはア
ルミニウム基合金またはマンガン基合金から成る。浸漬
処理では、pH約10.5以上の溶液への浸漬を行うこと
で耐食性が得られるが、耐食性を安定に得るためにはpH
11以上が好ましい。浸漬時間は0.05秒未満では耐
食性が不十分で、一方、30時間を超えて浸漬しても効
果が飽和し、徒に生産性を低下させるだけなので、処理
時間は0.05秒以上、30時間以下に限定した。さら
に、単なる浸漬処理ではなく、陽極電解処理することに
よって、一層優れた耐食性を得ることができる。
【0020】上記被覆および処理の実施態様としては、
コイル、板、棒、ケーブル、穿孔鋼管等の鋼材の一般的
な形状とした後に、本願発明の被覆や処理を行うことは
もちろんのこと、被覆・処理後の本願発明表面処理鋼を
プレスやロール成形等で所定の形状に成形し、さらに加
工・溶接して製品として製造しても良いし、本発明の表
面処理鋼板を例えば電縫鋼管等としてまず鋼管の形状に
した後に、2次加工および溶接などによって製品に使用
しても良く、さらに、本願発明の被覆・処理を施す前に
鋼材を上述したようなプロセスによって目的の形状とし
た後に、本発明の表面処理を施すことも可能であり、そ
の他のプロセスも含めて、本発明で限定する組成および
処理条件の組み合わせを有する鋼は、いずれも本発明の
対象とするところであって、コストや既存製造設備の制
約などによって最適な製品製造工程を選択することがで
き、どの製造工程を選択したとしても、それをもって本
発明の範囲を逸脱するものではない。
【0021】被覆の方法は、鋼よりも電位が卑なる該金
属が基材に充分に固着されていれば、そのプロセスを限
定するものではない。用途やコストなどを考慮した上で
選択すれば良く、溶融めっき、電着めっき、溶融塩電解
めっき、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティ
ング、溶射などを使用することができ、それらを併用す
ることも可能である。また、本願要求の被覆および処理
の前後にいかなる処理を選択したとしてもそれをもって
本願発明の範囲を逸脱するものではない。
【0022】
【実施例】以下に本発明の実施例について説明する。供
試材の表面皮膜および処理を表1〜表2に、各種腐食試
験結果を表3および表4に、それぞれまとめて示す。な
お、表3および表4の備考欄には、Niプレめっき前処
理およびクロメート後処理の実施についても付記した。
【0023】耐食性については、鋼を溶製し、熱延、冷
延などの通常の鋼板製造工程によって肉厚1mmの鋼板と
し、800℃にて焼鈍を施し、これらの鋼板から幅70
mm、長さ150mmの基材試験片を採取して、本願発明を
含む各種被覆、処理を施して、腐食試験に供した。被覆
は膜厚10mm未満のものは真空蒸着、膜厚10mm以上5
0mm以下のものは溶融めっき(ただしマンガンは溶融塩
中電解めっき)、50mm超のものは溶射にて鋼板上に形
成した。またアルカリ性溶液による処理を行ったものに
ついては、温度25℃、pHが11.5〜14.5のNa
OH溶液中に60〜300秒間浸漬した。さらにアルカ
リ性溶液中で陽極電解処理を施したものは、温度25
℃、pHが10.5〜14.5のNaOH溶液中で、外部
定電位装置を用いて、−300mVvsSCEの電位に
20〜120秒保持することで実施した。以上の試験片
を用いて、アルカリ性腐食環境、コンクリート腐食環
境、海水腐食環境、水道水腐食環境、高温湿潤腐食環
境、土壌腐食環境、大気腐食環境、等の種々の腐食環境
を想定した耐食性評価試験を実施した。
【0024】アルカリ中腐食試験は、塩化物イオン50
0ppm を含むpH14.0に調整した常温のNaOH溶液
1000cc中にサンプルを60日間浸漬する条件で実施
した。試験結果を表3,4に併せて示した。腐食試験結
果の◎は試験後の目視およびGDS分析で被覆層の初期
厚さの50%以上が全面に均一に残存していたもの、△
は被覆層がほぼ完全に消失していたが部分的に残存が認
められたもの、×は被覆層が完全に消失していたことを
それぞれ示す。
【0025】表1〜4から明らかなように、本発明例で
あるNo.1〜57は塩化物を含む高アルカリ性環境と
いう非常に厳しい腐食環境であっても良好な耐食性を示
しているのに対して、比較例であるNo.58〜70は
耐食性に劣ることがわかる。コンクリート中腐食試験
は、3000ppm の塩化物イオンを含む海砂を用いて混
練したボルトランドセメント中に試験片を埋め込みサン
プルとなし、凝固させた後、人工海水中にサンプルを半
分まで浸漬し、40℃の環境に約700日放置する試験
とした。試験結果を表3,4に併せて示した。腐食試験
結果の◎は地鉄の腐食による発錆が認められなかったも
の、○は発錆面積率が5%以下、△は発錆面積率が5%
超50%以下、×は50%以上であったことをそれぞれ
示す。
【0026】表1〜4から明らかなように、本発明例で
あるNo.1〜57は塩化物を含むコンクリート中腐食
環境で良好な耐食性を示しているのに対して、比較例で
あるNo.58〜70は耐食性に劣ることがわかる。す
なわち本発明例であるNo.1〜57はアルカリ性腐食
環境、コンクリート腐食環境の腐食環境で良好な耐食性
を示しているのに対して、比較例であるNo.58〜7
0は耐食性に劣ることがわかる。
【0027】海水環境腐食試験は、人工海水中に試験片
を浸漬し、40℃の雰囲気に3ケ月間保持する試験とし
た。試験結果を表3,4に併せて示した。腐食試験結果
の◎は地鉄の腐食による発錆が認められなかったもの、
○は発錆面積率が5%以下、△は発錆面積率が5%超5
0%以下、×は50%以上であったことをそれぞれ示
す。
【0028】表1〜4から明らかなように、本発明例で
あるNo.33〜47,49〜52,54〜57は海水
腐食環境で良好な耐食性を示しているのに対して、比較
例であるNo.1〜32,48,53,58〜70は耐
食性に劣ることがわかる。水道水環境腐食試験は、水道
水中に試験片を浸漬し、40℃の雰囲気に12ケ月間保
持する試験とした。試験結果を表3,4に併せて示し
た。腐食試験結果の◎は地鉄の腐食による発錆が認めら
れなかったもの、○は発錆面積率が5%以下、△は発錆
面積率が5%超50%以下、×は50%以上であったこ
とをそれぞれ示す。
【0029】表1〜4から明らかなように、本発明例で
あるNo.33〜47,49〜52,54〜57は水道
水腐食環境で良好な耐食性を示しているのに対して、比
較例であるNo.1〜32,48,53,58〜70は
耐食性に劣ることがわかる。高温湿潤腐食試験は、サン
プルを純水を含浸させたガーゼで覆い、湿度90%、2
5℃の環境に2時間保持後、塩化物イオン濃度50ppm
の60℃温水中に2時間保持した後、湿度50%、60
℃の環境に2時間保持することを3000回繰り返す試
験とした。試験結果を表3,4に併せて示した。腐食試
験結果の◎は地鉄の腐食による発錆が認められなかった
もの、○は発錆面積率が5%以下、△は発錆面積率が5
%超50%以下、×は50%以上であったことをそれぞ
れ示す。
【0030】表1〜4から明らかなように、本発明例で
あるNo.33〜47,49〜52,54〜57は結露
腐食環境で良好な耐食性を示しているのに対して、比較
例であるNo.1〜32,48,53,58〜70は耐
食性に劣ることがわかる。特に本願発明によれば、従来
亜鉛による表面被覆は50〜60℃以上の温度領域では
腐食速度が増大し、使用できないとされていたのに対し
て、優れた高温耐食性を実現していることが明らかであ
る。
【0031】土壌腐食試験は、含水率15%、塩化物イ
オン濃度1000ppm に調整した砂中に試験片を埋め込
み、25℃に保持して約700日放置する試験とした。
試験結果を表3,4に併せて示した。腐食試験結果の◎
は地鉄の腐食による発錆が認められなかったもの、○は
発錆面積率が5%以下、△は発錆面積率が5%超50%
以下、×は50%以上であったことをそれぞれ示す。
【0032】表1〜4から明らかなように、本発明例で
あるNo.33〜47,49〜52,54〜57は土壌
腐食環境で良好な耐食性を示しているのに対して、比較
例であるNo.1〜32,48,53,58〜70は耐
食性に劣ることがわかる。大気腐食試験は、海岸から約
100mの位置に試験片を約700日暴露する試験とし
た。試験結果を表3,4に併せて示した。腐食試験結果
の◎は地鉄の腐食による発錆が認められなかったもの、
○は発錆面積率が5%以下、△は発錆面積率が5%超5
0%以下、×は50%以上であったことをそれぞれ示
す。
【0033】表1〜4から明らかなように、本発明例で
あるNo.33〜47,49〜52,54〜57は大気
腐食環境で良好な耐食性を示しているのに対して、比較
例であるNo.1〜32,48,53,58〜70は耐
食性に劣ることがわかる。すなわち本発明例であるN
o.33〜47,49〜52,54〜57は高温湿潤腐
食環境、大気腐食環境、水道水腐食環境、土壌腐食環
境、等の種々の腐食環境で良好な耐食性を示しているの
に対して、比較例であるNo.1〜32,48,53,
58〜70は耐食性に劣ることがわかる。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】
【表3】
【0037】
【表4】
【0038】
【発明の効果】以上述べたように、本発明は、従来困難
であったアルカリ性腐食環境、コンクリート腐食環境に
優れた耐食性を有する表面処理鋼を低コストで提供する
ことと同時に、これをアルカリ性溶液によって処理する
だけで、海水腐食環境、水道水腐食環境、高温湿潤腐食
環境、土壌腐食環境、大気腐食環境などの腐食環境にお
いて従来に増した優れた耐食性を有する表面処理鋼を低
コストで提供することを可能としたものであり、産業上
の価値の極めて高い発明である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C23C 22/60 C23C 22/60 C25D 5/26 C25D 5/26 E 11/04 11/04 E (72)発明者 新頭 英俊 兵庫県姫路市広畑区富士町1番地 新日本 製鐵株式会社広畑製鐵所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 亜鉛あるいは亜鉛を主体とする合金にお
    いて、Mg,Inのうちいずれか一種以上を、重量%で
    0.05%以上、10%以下含有せしめたものを鋼材表
    面上に0.05μm〜500μmの厚さで形成すること
    を特徴とする、アルカリ環境中で耐食性に優れた表面処
    理鋼。
  2. 【請求項2】 アルミニウムあるいはアルミニウムを主
    体とする合金において、Mg,Inのうちいずれか一種
    以上を、重量%で0.05%以上、10%以下含有せし
    めたものを鋼材表面上に0.05μm〜500μmの厚
    さで形成することを特徴とする、アルカリ環境中で耐食
    性に優れた表面処理鋼。
  3. 【請求項3】 マンガンあるいはマンガンを主体とする
    合金において、Mg,Inのうちいずれか一種以上を、
    重量%で0.05%以上、10%以下含有せしめたもの
    を鋼材表面上に0.05μm〜500μmの厚さで形成
    することを特徴とする、アルカリ環境中で耐食性に優れ
    た表面処理鋼。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3に記載の表面処理鋼を、pH
    11以上の溶液中に、0.05秒以上30時間以下浸漬
    することを特徴とする、耐食性に優れた表面処理鋼。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3に記載の表面処理鋼を、pH
    10.5以上の溶液中で陽極電解処理を施すことを特徴
    とする、耐食性に優れた表面処理鋼。
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