JP2009033066A - 太陽光発電モジュールの建築物への設置方法 - Google Patents

太陽光発電モジュールの建築物への設置方法 Download PDF

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Abstract

【課題】生産性の良い部材を用いて、耐食性に対する信頼性が顕著に改善される太陽光発電モジュールの設置方法を提供する。
【解決手段】 Al合金製のフレームを持つ太陽光発電モジュールを、金属製の支持部材が結合された構造の架台を介して建築物に設置するに際し、その支持部材のうち鋼材からなる部材に下記(A)の溶融Al系めっき鋼板を加工してなる部材を用いる。
(A)溶融Al系めっき鋼板; 基材が7質量%以上のCrを含有する鋼板であり、Al−3〜12質量%Si組成のAl系めっき層が片面あたり20g/m2以上の付着量で形成され、模擬雨水中における基材表面の自然電位E0とAl系めっき層表面の自然電位E1の差E0−E1が300mV以上であるめっき鋼板
【選択図】図1

Description

本発明は、Al合金製のフレームを持つ太陽光発電モジュールを建築物の屋根などに設置する方法に関する。
近年、住宅やビルなどの建築物の屋上に太陽光発電モジュールを設置した発電システムを採用するケースが増えている。図1、2に(財)新エネルギー財団によりまとめられた「住宅用太陽光発電システム設計・施工指針」に示されている太陽光発電モジュールを建築物の屋根面に設置する場合の部材構成の一例を模式的に示す。太陽光発電モジュール(以下、単に「モジュール」ということがある)12は、多結晶シリコンなどの太陽電池セルを配置したパネルであり、周囲にフレーム11を有している。フレーム11はAl合金部材で構成されることが多く、通常、その表面には陽極酸化皮膜、あるいはさらに塗膜が形成されている。モジュール12を建築物に設置する際には、建築物とモジュール12の間に金属製の架台を介在させ、その架台を介してモジュール12を建築物に固定するのが一般的である。
図1の例では、太陽光発電モジュール12が、横桟21と縦桟22を結合してなる架台を介して傾斜した屋根面10に設置されている。この場合、モジュール12は横桟21と横桟21の間に挟まれて配置され、モジュール間カバー32と締結金具31を用いて固定されている。本明細書では、端部に配置されるモジュール12に取り付けられ、モジュール12どうしの間にないカバーも便宜上モジュール間カバー32と称している。横桟21は締結金具31によって縦桟22に固定されている。そして縦桟22は屋根面10に支持金具33を用いて固定されている。図2の例では、ほとんど勾配の無い陸屋根に勾配を付けた架台を介してモジュールが設置されている。この場合、架台は横桟21あるいは縦桟22に相当する部材の他にステー23や、必要に応じて筋交い等の補強部材が取り付けられて構築されている。
架台は、横桟21や縦桟22のように太陽光発電モジュールの荷重を受け持つ部材が、締結金具、ボルト、ナット、座金などによって結合された構造を有する。架台を構成する部材の中でも、横桟21、縦桟22、ステー23、支持金具33は、モジュールの荷重を受け持つ部材である。このような部材を本明細書では「支持部材」と呼び、締結金具、ボルト、ナット、座金などの結合部材や、筋交いなどの補強部材と区別している。一般的に太陽光発電モジュールの架台を構成する支持部材は、支持金具を除き、長手方向に一定の断面形状を持つ加工部材からなる。
太陽光発電モジュールのフレーム(以下、単に「フレーム」ということがある)、および架台を構成する支持部材(以下、単に「支持部材」ということがある)はアース線によって接地される。したがって、フレームと支持部材は電気的に接続された状態となるが、Al合金製のフレームは通常、陽極酸化皮膜や塗膜で被覆されて表面が絶縁状態となっているので、フレームのAl合金素地と、支持部材の金属とをケーブルで接続することによって導通を確保するのが一般的である。
従来、太陽光発電モジュールの周辺部材(支持部材、モジュール間カバー、締結金具など)の材料としては、ドブ漬けZnめっき鋼材、ステンレス鋼材、Al合金材などが使われている。ドブ漬けZnめっき鋼材の場合、成形加工した後の部材を溶融Znめっき浴に浸漬することによりZnめっきを施したものであるから、例えば図1の符号40に示されるような切断端面にもめっき層が形成されている。
一方、Znめっき鋼板に代わる高耐食材料として、昨今、Zn−Al−Mg系めっき鋼板(例えば特許文献1、2)が種々の分野で使用されている。また、排ガス経路部材などの用途では耐熱性・耐食性に優れたAl系めっきステンレス鋼板が使用されている(例えば特許文献3、4)。
特許第3179401号公報 特許第3149129号公報 特許第2132539号公報 特開平07−233451号公報
上記従来の支持部材には、以下のような問題点がある。
〔ドブ漬けZnめっき鋼材の問題点〕
太陽光発電モジュールは勾配を付けた状態で設置される。モジュール面に降った雨はその勾配にしたがってモジュールの表面やモジュール間カバーの表面を流れ、一部は支持部材の表面や、締結金具の表面を伝って流れ落ちる。そのため、これら部材には雨水が集中して流れる流路ができる。これらの部位ではドブ漬けZnめっき材のめっき層の消耗は一般の暴露環境に比べると著しく速く、耐久性が不十分となることが多い。これは、一般の暴露環境ではめっき層の表面に生成した腐食生成物が保護皮膜となってその後の腐食を抑制するのに対し、雨水の流路となる箇所では生成した腐食生成物が流失して保護皮膜を形成できないことによるものと考えられる。
また、これらの部材表面に雨水が滞留する箇所ができると夏季にはこの滞留水は熱せられ50〜60℃の温水となることもある。特にフレームと支持部材との接触部には隙間が形成されて雨水が滞留しやすく、温水との接触により腐食が促進される。
また、Al合金製のフレームは一般に塗膜等により表面が絶縁されているが、支持部材への取り付け箇所などでは据付時に表面疵が生じてAl合金が露出した状態となることがある。アース用ケーブル接続箇所でも、Al合金がわずかに露出することがある。Al合金が露出した箇所が雨水で濡れ、フレームを取り付けた支持部材のZnめっき層との間に雨水を介して電気的な回路が形成されると、自然電位がAlに対して「卑」であるZnめっき層において腐食が促進されることになる(異種金属接触腐食)。
さらに、ドブ漬けZnめっき鋼材は成形加工後の部材を高温のめっき浴に浸漬することにより製造されるため熱歪の影響が出やすく、支持部材に用いる「桟」などの長尺材では高い寸法精度を得ることが難しい。成形加工後のめっき作業は生産性が悪いとう問題もある。
特許文献1、2に示される耐食性に優れたZn−Al−Mg系めっき鋼材で代替すれば、耐久性は改善される。しかし、Zn−Al−Mg系めっき層はAlに対して「卑」であることに変わりはなく、異種金属接触腐食に関しては抜本的な対策にならない。
〔ステンレス鋼材の問題点〕
太陽光発電モジュールの支持部材や締結金具は、上述のように、雨水に曝され、場合によっては高温の滞留水に接触する。このような用途にステンレス鋼材を適用することによって十分な耐食性を確保するためには、Cr含有量の高い鋼種、NiやMoを含有する鋼種など、比較的耐食性グレードの高いステンレス鋼を適用する必要がある。そのため、必然的に部材コストが高くなる。
また、ステンレス鋼製の支持部材や締結金具を使用した場合は、フレームの疵つき箇所などに生じたAl合金素地露出部との間に上記のような雨水を介した回路が形成されると、ステンレス鋼に対し電位的に「卑」となるAl合金の方で異種金属接触腐食が生じる。
〔Al系合金材の問題点〕
支持部材や、モジュール間カバーをAl合金製とすれば、上記のような異種金属接触腐食の問題は回避される。しかし、これらの部材をAl合金で構成するには、強度の観点から厚肉化する必要がある。このようなAl合金部材は一般に押出し成形により作られる。種々の屋根面への設置を考えた場合、支持部材等にもそれぞれの屋根に応じた種々の形状が求められるが、押出し成形によるため多様な形状の部材を用意することが困難であり、設計の自由度がかなり制約されてしまう。
本発明はこのような現状に鑑み、生産性の良い部材を用いて、耐食性に対する信頼性が顕著に改善される太陽光発電モジュールの設置方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明では、Al合金製のフレームを持つ太陽光発電モジュールを、金属製の支持部材が結合された構造の架台を介して建築物に設置するに際し、その支持部材のうち鋼材からなる部材に下記(A)の溶融Al系めっき鋼板を加工してなる部材であって切断端面に鋼素地露出部を有するものを用い、前記フレームを架台に取り付けて固定し、フレームのAl合金と支持部材の金属の間には電気的接続を形成する、太陽光発電モジュールの建築物への設置方法が提供される。
(A)溶融Al系めっき鋼板; 基材が7質量%以上のCrを含有する鋼板であり、Al−3〜12質量%Si組成のAl系めっき層が片面あたり20g/m2以上の付着量で形成され、下記(B)の模擬雨水中における基材表面の自然電位E0とAl系めっき層表面の自然電位E1の差E0−E1が300mV以上であるめっき鋼板
(B)模擬雨水; Cl-濃度=5ppm、SO4 2-濃度=20ppm、NO3 -濃度=10ppm、pH=6に調整された20℃の水
また、隣り合う太陽光発電モジュールのフレームの間に生じる空隙の上部を、前記(A)の溶融Al系めっき鋼板を加工してなる部材であって切断端面に鋼素地露出部を有するモジュール間カバーで覆う手法を採用することができる。
さらに、前記フレームと支持部材の固定箇所、支持部材どうしの固定箇所および支持部材と屋根の固定箇所のうち少なくとも一部に、前記(A)の溶融Al系めっき鋼板を加工してなる部材であって切断端面に鋼素地露出部を有する締結金具を用いることができる。
ここで、「建築物」は土地に定着する構造物をいうが、地面に太陽光発電モジュールを設置する場合の土台もここでは建築物として扱う。「鋼素地露出部」は、めっき鋼材において、めっき層が存在せず下地の鋼素地が表面に現れている部分であるが、その部分が屋外環境に曝されて保護皮膜に覆われても、本明細書ではその部分を鋼素地露出部と呼んでいる。「Al合金」は少なくともAlが90質量%以上を占める合金であり、具体的にはJIS H4000に規定される範囲の合金を選択することができる。前記(A)の「溶融Al系めっき鋼板」には、溶融めっき後に化成処理や塗装を施した状態のものも含まれる。
本発明によれば、Al合金製のフレームを持つ太陽光発電モジュールを降雨に曝される環境に設置することにより生じていた耐食性に関わる問題(保護性の腐食生成物が生成されないために促進されるZnめっき部材の腐食、Al合金との異種金属接触腐食)が解消する。また、太陽光発電モジュール周辺部材を「ドブ漬けめっき」により製造する必要がなくなり、生産性の向上および寸法精度の向上が実現する。したがって本発明は、既存の太陽光発電モジュールを使用した太陽光発電システムにおいて、コスト増を抑えながら全体としての顕著な耐久性向上をもたらすものである。
本発明では、Al合金製のフレームを持つ太陽光発電モジュールの周辺部材(支持部材、モジュール間カバー、締結金具)に、「高耐食性基材+Al系めっき層」の構成を有する溶融Al系めっき鋼板(すなわち前記(A)の溶融Al系めっき鋼板)を加工したものを使用する。支持部材は前述のように架台を構成する部材であるが、モジュールの設置態様に応じていくつかの支持部材を組み合わせて架台が構築される。これらの支持部材は必ずしも同一の材料に揃える必要はなく、例えばAl合金材と鋼材を混合して用いても構わない。ただし、支持部材のうち、鋼材からなる部材については、その全部に前記(A)の溶融Al系めっき鋼板を加工したものを適用することが効果的である。架台を構成する全ての支持部材を前記(A)の溶融Al系めっき鋼板を加工したものとすることがより好ましい。
上述のように、Zn系めっき部材の場合、表面を雨水が集中して流れる環境や雨水が滞留する環境では保護性のある亜鉛の腐食生成物が生成できず、耐食性を維持することが困難である。これに対しAl系めっき部材の場合には、めっき表面に存在する酸化物皮膜がこれらの環境においても保護皮膜として機能することで耐食性を維持する。溶融Al系めっき鋼板を加工した部材は、ドブ漬けめっきを施して製造されるものとは異なり、切断端面にはめっき層が無く、鋼素地が露出している。また、加工部(曲げ部)においてもめっき層に不可避的な割れが生じることにより鋼素地が露出することがある。基材がある程度耐食性の高い材料である場合には、雨水が集中して流れる環境や雨水が滞留する環境に鋼素地露出部が存在しても、Al系めっき層の犠牲防食作用により鋼素地露出部に堆積した腐食生成物は安定に保護皮膜として存在し、耐食性を十分に確保できることが、発明者らの詳細な検討により確認された。従来、高耐食性鋼板にAl系めっきを施した材料として「Al系めっきステンレス鋼板」が知られており(例えば特許文献3、4)、その用途は排ガス経路部材等の耐熱・耐食用途や屋根・壁等の外装建材用途が主である。このAl系めっきステンレス鋼板をAl合金材料と電気的な接続を持たせて使用する部材であって、特に雨水が集中して流れる箇所や雨水が滞留する箇所のできる太陽光発電部材用途に適用した例はない。
以下、本発明で使用する溶融Al系めっき鋼板について説明する。
〔溶融Al系めっき層〕
支持部材、モジュール間カバー、締結金具といった太陽光発電モジュールの周辺部材にAl系めっき層を施したものを用いることで、モジュール面に降った雨が集中して流れる箇所や雨水が滞留する箇所におけるめっき面の耐食性を良好なものとすることができる。これは、めっき表面に生成する酸化物皮膜がこれらの環境において、安定に保護皮膜として存在するからであると考えられる。さらに、Al系めっきを用いると、フレームのAl合金との間での異種金属接触腐食を防止できる。
本発明では、Al−3〜12質量%Si組成のAl系めっき層が片面あたり20g/m2以上の厚さで形成されている溶融Al系めっき鋼板を使用する。「Al−3〜12質量%Si組成」とは、基材鋼板をSi含有量が3〜12質量%の溶融Alめっき浴中に通板することによって形成されるめっき層である。
Siを添加する理由は、主として(i)融点を低下させることによってめっき浴の温度を下げること、および(ii)Alめっき層と鋼素地の間に形成される脆い合金層の生成を抑制することである。Al浴中のSi含有量が3質量%未満では融点の低下による操業上のメリットがあまり生じない。また、合金層の抑制効果が不十分となりやすい。Si含有量が12質量%付近で共晶組成となり、融点が最も低下する。したがって、それより多量のSiを添加しても浴温を下げる上で有効でない。むしろSi含有量が増加するとめっき層の耐食性低下につながるので注意が必要である。すなわち、Siを含有したAl系めっき層の流水中や滞留水中における腐食は、めっき層表面に存在するSi析出物の周囲のAlから進行する。Siを過剰に含有させると表面に存在するSi析出物が多くなり、腐食の起点が増え、耐食性が低下するようになる。耐食性の観点からもめっき浴中のSi含有量は12質量%以下の範囲とすることが望ましく、11質量%以下とすることがより好ましい。
めっき浴中には、基材鋼板や、めっき浴の原料から不可避的に混入する元素が含まれるので、めっき浴組成は、「Si:3〜12質量%、残部Alおよび不可避的不純物からなる」と表示することができる。また、めっき浴中にはさらにTi、B、Sr、Cr、Mg、Zr、Ca、Mnの1種以上を合計1%以下の範囲で含有させても構わない。この場合のめっき浴組成は、「Si:3〜12質量%であり、Ti、B、Sr、Cr、Mg、Zr、Ca、Mnの1種以上を合計1%以下の範囲で含有し、残部Alおよび不可避的不純物からなる」と表示することができる。
Alめっき層の厚さが薄いと、後述する基材を用いた場合、切断端面や加工部(特に曲げ部)などの鋼素地露出部近傍において犠牲防食作用によりめっき層が早期に消失し、鋼素地の腐食に至りやすい。また、Alめっき層が薄い場合には、成形加工時や現場施工時にめっき層に疵が付いた箇所で鋼素地が露出しやすくなる。この鋼素地露出部と、フレームに生じたAl合金露出部とが近傍に位置する場合には、それらが雨水によってつながると電気的な回路が形成され、電位的に「卑」となるフレームのAl合金が異種金属接触腐食によって侵食される恐れがある。これらの不具合を防止するためには、種々検討の結果、Al系めっき層の付着量を片面あたり20g/m2以上確保する必要がある。
〔基材〕
Al系めっき鋼板を素材として成形加工を施した場合、切断端面では基材の鋼素地が露出し、さらに加工部でもめっき層が割れることにより鋼素地が露出することがある。基材の鋼素地に対してAl系めっき層の犠牲防食作用が発現するためには、雨水中においてAl系めっき層の自然電位よりも基材の自然電位が「貴」であることが必要である。ところが、発明者らの調査によれば、それだけでは雨水の流路が形成される環境下における腐食を抑止するには不十分であることが判った。基材が腐食すると、発生した赤錆は雨水の流れとともに流出し、流路上のめっき層表面に付着する。このような赤錆の付着箇所では、たとえAl系めっき層であろうと腐食が進行するため、耐久性が損なわれる。詳細な検討の結果、雨水中での基材と溶融めっき層との自然電位の差が300mV未満では、犠牲防食作用が十分に得られないことがあり、安定して優れた耐食性を維持するには上記自然電位の差が300mV以上となるように基材の組成を調整する必要がある。基材の自然電位は主としてCr含有量によって調整することができる。
発明者らはさらに検討を重ね、太陽光発電モジュールの周辺部材を想定した場合のAl系めっき鋼板の耐食性を評価する方法として、模擬雨水を用いた試験が適用できることを見出した。模擬雨水としては、以下のものを使用することができる。
(模擬雨水)
Cl-濃度=5ppm、SO4 2-濃度=20ppm、NO3 -濃度=10ppm、pH=6に調整された20℃の水
この模擬雨水中での自然電位を測定することによって当該用途での耐食性を評価することができる。具体的には、この模擬雨水中における基材表面の自然電位E0と、Al系めっき層表面の自然電位E1をそれぞれ測定し、その差E0−E1が300mV以上となるような組成の基材鋼板を使用することが肝要である。
基材の自然電位E0は、めっきを施す前の基材鋼板から採取したサンプルの表面を#600乾式研磨仕上げとした試験片について測定すればよい。一般に酸洗仕上げの表面ではCrの濃化した酸化皮膜が形成されやすいが、切断端面ではそのような皮膜は形成されないので、乾式研磨仕上げの表面について測定することが適切である。溶融Al系めっき鋼板から採取したサンプルを用いて基材の自然電位を事後的に測定する場合は、表面のめっき層および合金層を機械的に除去した後に、上記の仕上げを行った試験片を作製して測定すればよい。
一方、溶融Al系めっき層の自然電位E1を測定するときは、溶融Al系めっき層が露出した状態の試験片を測定に供する。めっき後にクロムフリー処理等の化成処理を施したものでは、その化成処理皮膜を有している状態の試験片で測定する。塗装を施す場合は、塗装を施す前に測定すればよい。塗装を施した溶融Al系めっき鋼板から採取したサンプルを用いて自然電位E1を事後的に測定する場合は、化学的または機械的にそれらの皮膜を除去して、溶融Al系めっき層が露出した状態となった試験片について測定すればよい。
さらに電位差だけでなく、基材は7質量%以上のCrを含有した鋼板であることが必要である。このような基材とAl系めっき層の組み合わせを実現することにより、切断端面や加工部といった鋼素地露出部には犠牲防食作用により生成したAl系腐食生成物皮膜が堆積し、その後の鋼素地露出部での酸素還元反応を抑制する作用が発現する。雨水の流路となる箇所にこれら基材の露出部が存在する場合でも、Al系腐食生成物は安定に存在し、素地露出部での酸素還元反応を抑制する作用が長期にわたって維持される。これにともなって、鋼素地露出部近傍のAl系めっき層が早期に消耗することが抑えられ、鋼素地露出部を含めて良好な耐食性が長期間維持されることになる。すなわち、基材中における7質量%以上のCr含有は、基材自体の耐食性を向上させることにより基材露出部が腐食する前にAl系腐食生成物が鋼素地露出部を被覆する状況を作り出すことを実現するものである。
Cr含有量が7質量%未満の鋼板基材でも、基材の腐食が進行しFe錆が緻密になった場合には、Al系めっき層に対して基材の電位が300mV以上貴となる状態は起こりうる。しかし、そのような場合には、めっき層の犠牲防食作用は発現するものの基材の腐食は抑えられず、めっき層の腐食も継続して進行する状況になる。
基材鋼板の具体的な成分範囲を示すと、以下のものが例示できる。
質量%で、C:0.1%以下、Si:1.5%以下、Mn:1.5%以下、P:0.04%以下、S:0.02%以下、Cr:7〜25%、Ti:0〜0.3%、Ni:0〜13%、Mo:0〜3%、Nb:0〜0.3%、Al:0〜0.2%、残部Feおよび不可避的不純物
ここで、含有量下限の0%は測定限界以下となる場合であり、当該元素は任意成分である。
基材の耐食性を安定して確保するためには、いわゆるステンレス鋼板を基材鋼板に使用することが有効である。具体的には、上に例示した組成範囲のものに加え、JIS G4305に規定されるフェライト系ステンレス鋼やオーステナイト系ステンレス鋼を採用することができる。加工性の面では一般的にオーステナイト系ステンレス鋼が有利であるが、Niを含有することにより素材コストが高くなる。熱膨張係数が小さい点ではフェライト系ステンレス鋼が有利である。
〔めっき鋼板の製造〕
一般的な溶融Al系めっきステンレス鋼板の製造法に準じて製造することができる。連続式溶融めっきラインによる方法が高品質の溶融Al系めっき鋼板を大量生産するうえで好適である。めっき付着量はガスワイピング法などの一般的な手法により制御することができる。めっき層の耐食性をさらに向上させるために、めっき表面にクロメート皮膜あるいはクロムフリーの化成処理皮膜を形成してもよい。成形加工時のめっき層のカジリを防止するために有機樹脂被覆(塗装)を施してもよい。
〔溶融めっき鋼板〕
表1に示す組成を有する板厚1.6mmの焼鈍酸洗済み冷延鋼板を用意し、これらを基材として、表2に示すめっき浴組成から選ばれた何種類かのめっき浴(後述の表3中に記載)を用いて、連続式溶融めっきラインにて溶融めっきを行った。溶融めっき層の組成はめっき浴組成をほぼ反映したものとなる。めっき付着量制御は一般的なガスワイピング法(ワイピングガスは空気)で行い、いずれも片面あたりのめっき付着量を約80g/m2(両面とも同じ)に調整した。Crを含有しない基材Aを除き、溶融めっき浴中の溶融金属との濡れ性を確保するために、予め片面あたり1〜2g/m2の電気Fe−Bプレめっきを施してから溶融めっきを行った。溶融めっき後に公知のクロムフリーの化成処理(Ti−V系皮膜を形成する処理)を施した。
Figure 2009033066
Figure 2009033066
〔模擬雨水中での自然電位測定〕
模擬雨水として、純水にNaCl、H2SO4、HNO3を添加して、Cl-濃度=5ppm、SO4 2-濃度=20ppm、NO3 -濃度=10ppmの液を調整し、NaOH溶液を微量添加してpH=6に調製した。
基材の自然電位測定試料として、めっき前の基材鋼板の表面を#600乾式仕上げとし、その表面以外をマスキングしたものを用意した。
めっき層表面の自然電位測定試料として、めっき後に化成処理を施した鋼板からサンプルを採取し、めっき面以外をマスキングしたものを用意した。
20℃の模擬雨水中に自然電位測定試料を浸漬し、大気開放下で自然電位がほぼ安定した後(1時間以上)、自然電位(mV vs. SCE)を測定した。そして、基材表面の自然電位E0とめっき層表面の自然電位E1の差E0−E1を求めた。
〔太陽光発電モジュール〕
Al合金製のフレーム(陽極酸化処理+アクリル塗装)を持つ市販の太陽光発電モジュールを用意した。
〔支持部材〕
前記のクロムフリー処理を終えためっき鋼板をC型チャンネルに加工することによって、横桟(図1の符号21に相当する部材)および縦桟(図1の符号22に相当する部材)を作製した。また、屋根面に縦桟を固定するための支持金具(図1の符号33に相当する部材)を作製した。これら部材はいずれも切断端面および曲げ部には鋼素地が露出している。一部の例では、めっきを施す前の基材鋼板を用いて同様の形状に加工し、横桟、縦桟および支持金具を作製し、さらにその一部については表2のめっき種別HDZの組成のめっき浴に浸漬してドブ漬けZnめっきHDZ−35(JIS H8641、付着量350g/m2)を施した。
〔締結金具〕
モジュール間カバー/モジュール/横桟、横桟/縦桟の各結合に使用するための締結金具として、Al合金製締結金具(市販品)を用意した。表面には端面も含めて塗膜が形成されている。
〔モジュール間カバー〕
Al合金製のモジュール間カバー(市販品)を用意した。表面には端面も含めて塗膜が形成されている。
〔太陽光発電モジュールの設置〕
和瓦葺屋根に上記支持金具を用いて上記縦桟を固定し、その上に上記横桟を上記締結金具を用いて結合することにより、横桟と縦桟を支持部材とする架台を構築した。各例において、横桟、縦桟および支持金具は基材とめっきの組合せが同一のものである(表3中に記載)。架台の横桟に、上記締結金具を用いて太陽光発電モジュールのフレームとモジュール間カバーを取り付けた。フレーム、横桟、縦桟は、アース線ケーブルにより電気的に接続され、接地された。設置場所は兵庫県尼崎市である。
〔耐食性評価〕
設置後9ヶ月経過した時点で各部材を取り外し、架台の横桟、縦桟および支持金具について、平坦部の雨水の流路となった部位、並びに切断端面および曲げ部のうち雨水の流路となった部位の腐食状況を調べた。横桟についてはモジュールのフレームと接触して雨水が滞留した部位の腐食状況も調べた。また、フレームについて、架台の横桟と接触して雨水が滞留した部位の腐食状況を調べた。耐食性の評価は以下のようにして行った。
(架台の平坦部)
めっき材については、雨水の流路となった部位からサンプルを切り出し、めっき層の断面を光学顕微鏡にて観察して腐食部の平均厚さを算出し、これにめっき層の密度を乗じて腐食量を求め、以下の基準で評価し、○評価以上を合格と判定した。
◎:腐食量が0.5g/m2未満
○:腐食量が0.5g/m2以上5g/m2未満
△:腐食量が5g/m2以上30g/m2未満
×:腐食量が30g/m2以上
基材鋼板を部材に加工したもの(めっき層のないもの)については、雨水の流路となった部位の赤錆発生状況を目視観察し、以下の基準で評価し、○評価以上を合格と判定した。
◎:赤錆なし
○:わずかに赤錆発生
△:著しく赤錆発生
×:雨水の流路以外を含む全面に著しく赤錆発生
(架台の切断端面・曲げ部)
切断端面と曲げ加工部のうち雨水の流路となった部位の赤錆発生状況を目視観察し、以下の基準で評価し、○評価を合格と判定した。
○:赤錆の発生がほとんど認められない
△:薄っすらと赤錆が発生している
×:赤錆が多量に発生し、周囲に広がっている
(架台/フレームの接触部)
架台の横桟、モジュールのフレームとも、両者の接触部で雨水が滞留した部位を目視観察し、以下の基準で評価し、○評価を合格と判定した。
○:腐食の発生が認められない
×:腐食の発生が認められる
以上の結果を、表3にまとめて示す。
Figure 2009033066
表3からわかるように、架台の支持部材として、Al系めっきを施し、かつ基材表面とめっき層表面の自然電位の差E0−E1が300mV以上であるめっき鋼板を使用した本発明例では、架台およびフレームとも良好な耐食性を示した。
これに対し、比較例であるNo.101〜103は基材のCr含有量が不足して基材表面とめっき層表面の自然電位の差が300mV未満であったことにより、切断端面および曲げ部で赤錆が発生した。また、その赤錆が雨水によって流されて平坦部の雨水流路となった部位に付着し、その箇所でも腐食が進行した。No.110〜113はZn系めっきを施したものであり、基材表面とめっき層表面の自然電位の差が300mV以上であっても、良好な耐食性は得られなかった。No.114〜118はめっき層を有しないCr含有鋼を架台に使用したことにより、フレームのAl合金側に異種金属接触腐食が生じた。このうちNo.114、115の支持部材はCr含有量が比較的少なく、めっきがない状況下では腐食した。
以下の点を除き、実施例1と同条件で実施した。
〔溶融めっき鋼板〕
片面あたりのめっき付着量をいずれも60g/m2とした。溶融Al系めっきのSi含有量を種々変化させた(表4参照)。
〔支持部材〕
横桟(図1の符号21に相当する部材)には、Al合金製のC型チャンネル(市販品)を用いた。その表面には端面も含めて塗膜が形成されている。ドブ漬けZnめっきを施したものは用意しなかった。
〔締結金具〕
モジュール間カバー/モジュール/横桟、横桟/縦桟の各結合に使用するための締結金具として、基材とめっきの組合せ(表4中に記載)が縦桟と同一である鋼板を加工したものを用いた。
〔太陽光発電モジュールの設置〕
支持部材および締結金具を一部上記のものに変えた。すなわち、Al合金製の横桟と、鋼材の縦桟との結合を、縦桟と同じ鋼材からなる締結金具にて行った。また、Al合金製の横桟と、モジュールのフレーム、モジュール間カバーの結合を、縦桟と同じ鋼材からなる締結金具にて行った。設置場所は大阪府堺市の市街地とした。
〔耐食性評価〕
縦桟と同じ鋼材からなる締結金具について、雨水が滞留した部位、切断端面および曲げ部のうち雨水の流路となった部位、並びにAl合金製の横桟、Al合金製のモジュール間カバーと接触して雨水が滞留した部位の腐食状況を調べた。また、Al合金製の横桟について、締結金具と接触して雨水が滞留した部位の腐食状況を調べた。締結金具の雨水が滞留した部位、および切断端面・曲げ部における耐食性評価は、それぞれ実施例1における「架台の平坦部」および「架台の切断端面・曲げ部」と同様の方法で行った。また、締結金具とAl合金製横桟の接触部における耐食性評価は、実施例1における「架台/フレームの接触部」と同様の方法で行った。
結果を、表4にまとめて示す。
Figure 2009033066
表4からわかるように、締結金具として、Al系めっきを施し、かつ基材表面とめっき層表面の自然電位の差E0−E1が300mV以上であるめっき鋼板を使用した本発明例では、締結金具およびAl合金製支持部材(横桟)とも良好な耐食性を示した。
これに対し、比較例であるNo.201、202、209は基材のCr含有量が不足して基材表面とめっき層表面の自然電位の差が300mV未満であったことにより、雨水滞留部および切断端面・曲げ部で赤錆が発生した。No.219はAl系めっき層のSi含有量が高すぎたことにより耐食性が不十分となった。No.220〜222はめっき層を有しないCr含有鋼を締結金具に使用したことにより、横桟のAl合金側に異種金属接触腐食が生じた。このうちNo.220、221の締結金具はCr含有量が比較的少なく、めっきがない状況下では腐食した。
以下の点を除き、実施例1と同条件で実施した。
〔溶融めっき鋼板〕
片面あたりのめっき付着量を種々変化させた(表5参照)。
〔支持部材〕
実施例1とは形状の異なるC型チャンネルに加工して、横桟(図1の符号21に相当する部材)および縦桟(図1の符号22に相当する部材)を作製した。ドブ漬けZnめっきを施したものは用意しなかった。
〔モジュール間カバー〕
基材とめっきの組合せ(表5中に記載)が横桟および縦桟と同一である鋼板を加工することにより、モジュール間カバーを作製した。
〔太陽光発電モジュールの設置〕
モジュール間カバーを上記のものとした。締結金具は使わず、モジュール間カバーに設けたボルト穴にボルトを通して横桟にネジ止めすることによりモジュールを固定した。設置場所は大阪府堺市の市街地とした。
〔耐食性評価〕
架台の支持部材と同じ鋼材からなるモジュール間カバーについて、平坦部の雨水の流路となった部位、切断端面における雨水の流路となった部位、およびAl合金製のフレームと接触して雨水が滞留した部位の腐食状況を調べた。また、Al合金製のフレームについて、モジュール間カバーと接触して雨水が滞留した部位の腐食状況を調べた。モジュール間カバーの平坦部、切断端面における耐食性評価は、それぞれ実施例1における「架台の平坦部」および「架台の切断端面・曲げ部」と同様の方法で行った。また、モジュール間カバーとAl合金製フレームの接触部における耐食性評価は、実施例1における「架台/フレームの接触部」と同様の方法で行った。
結果を、表5にまとめて示す。
Figure 2009033066
表5からわかるように、モジュール間カバーとして、Al系めっきを施し、かつ基材表面とめっき層表面の自然電位の差E0−E1が300mV以上であるめっき鋼板を使用した本発明例では、モジュール間カバーおよびフレームとも良好な耐食性を示した。
これに対し、比較例であるNo.301〜303は基材のCr含有量が不足して基材表面とめっき層表面の自然電位の差が300mV未満であったことにより、切断端面で赤錆が発生した。また、その赤錆が雨水によって流されて平坦部の雨水流路となった部位に付着し、その箇所でも腐食が進行した。No.313〜315はAl系めっきの付着量が少なすぎたことによりフレームとの接触部でめっき層に疵が入った箇所では鋼素地が露出したと考えられ、フレームのAl合金側に異種金属接触腐食が生じた。また、犠牲防食作用が消失して、モジュール間カバーの切断端面から赤錆が発生している。No.316〜318はめっき層を有しないCr含有鋼をモジュール間カバーに使用したことにより、フレームのAl合金側に異種金属接触腐食が生じた。このうちNo.316、317のモジュール間カバーはCr含有量が比較的少なく、めっきがない状況下では腐食した。
以下の点を除き、実施例1と同条件で実施した。
〔溶融めっき鋼板〕
基材鋼板として板厚2.3mmの焼鈍酸洗済み冷延鋼板を使用した。
〔支持部材〕
図2の横桟21、縦桟22、ステー23に相当する部材をクロムフリー処理を終えためっき鋼板から成形加工したC型チャンネルを用いて作製した。いずれも基材とめっきの組合せは同一である(表6中に記載)。ドブ漬けZnめっき材としてはHDZ−40(JIS H8641、付着量400g/m2)を施したものを用意した。めっきを施していない部材は用意しなかった。
〔太陽光発電モジュールの設置〕
モジュールを設置する建築物を陸屋根とした。前記支持部材を用いて図2に相当する架台を作製して陸屋根に固定し、この架台にモジュールを取り付けた。設置箇所は大阪府堺市の臨海工業地帯とした。
〔耐食性評価〕
架台の平坦部と、切断端面・曲げ部については、ステーを耐食性評価の対象として加えた。
結果を、表6にまとめて示す。
Figure 2009033066
表6からわかるように、架台の支持部材として、Al系めっきを施し、かつ基材表面とめっき層表面の自然電位の差E0−E1が300mV以上であるめっき鋼板を使用した本発明例では、架台およびフレームとも良好な耐食性を示した。
これに対し、比較例であるNo.401〜403は基材のCr含有量が不足して基材表面とめっき層表面の自然電位の差が300mV未満であったことにより、切断端面・曲げ部で赤錆が発生した。また、その赤錆が雨水によって流されて平坦部の雨水流路となった部位に付着し、その箇所でも腐食が進行した。No.412〜418はZn系めっきを施したものであり、基材表面とめっき層表面の自然電位の差が300mV以上であっても、良好な耐食性は得られなかった。
太陽光発電モジュールを建築物の傾斜屋根面に設置する場合の部材構成の一例を模式的に示した図。 太陽光発電モジュールを陸屋根面に設置する場合の部材構成の一例を模式的に示した図。
符号の説明
10 屋根面
11 フレーム
12 太陽光発電モジュール
21 横桟
22 縦桟
23 ステー
31 締結金具
32 モジュール間カバー
33 支持金具
40 切断端面

Claims (4)

  1. Al合金製のフレームを持つ太陽光発電モジュールを、金属製の支持部材が結合された構造の架台を介して建築物に設置するに際し、その支持部材のうち鋼材からなる部材に下記(A)の溶融Al系めっき鋼板を加工してなる部材であって切断端面に鋼素地露出部を有するものを用い、前記フレームを架台に取り付けて固定し、フレームのAl合金と支持部材の金属の間には電気的接続を形成する、太陽光発電モジュールの建築物への設置方法。
    (A)溶融Al系めっき鋼板; 基材が7質量%以上のCrを含有する鋼板であり、Al−3〜12質量%Si組成のAl系めっき層が片面あたり20g/m2以上の付着量で形成され、下記(B)の模擬雨水中における基材表面の自然電位E0とAl系めっき層表面の自然電位E1の差E0−E1が300mV以上であるめっき鋼板
    (B)模擬雨水; Cl-濃度=5ppm、SO4 2-濃度=20ppm、NO3 -濃度=10ppm、pH=6に調整された20℃の水
  2. Al合金製のフレームを持つ太陽光発電モジュールを、建築物に設置するに際し、隣り合う太陽光発電モジュールのフレームの間に生じる空隙の上部を、下記(A)の溶融Al系めっき鋼板を加工してなる部材であって切断端面に鋼素地露出部を有するモジュール間カバーで覆う、太陽光発電モジュールの建築物への設置方法。
    (A)溶融Al系めっき鋼板; 基材が7質量%以上のCrを含有する鋼板であり、Al−3〜12質量%Si組成のAl系めっき層が片面あたり20g/m2以上の付着量で形成され、下記(B)の模擬雨水中における基材表面の自然電位E0とAl系めっき層表面の自然電位E1の差E0−E1が300mV以上であるめっき鋼板
    (B)模擬雨水; Cl-濃度=5ppm、SO4 2-濃度=20ppm、NO3 -濃度=10ppm、pH=6に調整された20℃の水
  3. Al合金製のフレームを持つ太陽光発電モジュールを、金属製の支持部材が結合された構造の架台を介して建築物に設置するに際し、その支持部材のうち鋼材からなる部材に下記(A)の溶融Al系めっき鋼板を加工してなる部材であって切断端面に鋼素地露出部を有するものを用い、前記フレームを架台に取り付けて固定し、フレームのAl合金と支持部材の金属の間には電気的接続を形成するとともに、隣り合う太陽光発電モジュールのフレームの間に生じる空隙の上部を、下記(A)の溶融Al系めっき鋼板を加工してなる部材であって切断端面に鋼素地露出部を有するモジュール間カバーで覆う、太陽光発電モジュールの建築物への設置方法。
    (A)溶融Al系めっき鋼板; 基材が7質量%以上のCrを含有する鋼板であり、Al−3〜12質量%Si組成のAl系めっき層が片面あたり20g/m2以上の付着量で形成され、下記(B)の模擬雨水中における基材表面の自然電位E0とAl系めっき層表面の自然電位E1の差E0−E1が300mV以上であるめっき鋼板
    (B)模擬雨水; Cl-濃度=5ppm、SO4 2-濃度=20ppm、NO3 -濃度=10ppm、pH=6に調整された20℃の水
  4. 前記フレームと支持部材の固定箇所、支持部材どうしの固定箇所および支持部材と屋根の固定箇所のうち少なくとも一部に、前記(A)の溶融Al系めっき鋼板を加工してなる部材であって切断端面に鋼素地露出部を有する締結金具を用いる請求項1〜3のいずれかに記載の太陽光発電モジュールの建築物への取り付け方法。
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