JPH08311617A - 耐発銹性に優れた建築用材料 - Google Patents
耐発銹性に優れた建築用材料Info
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- JPH08311617A JPH08311617A JP11290995A JP11290995A JPH08311617A JP H08311617 A JPH08311617 A JP H08311617A JP 11290995 A JP11290995 A JP 11290995A JP 11290995 A JP11290995 A JP 11290995A JP H08311617 A JPH08311617 A JP H08311617A
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Abstract
(57)【要約】
【構成】Cr含有量が5〜30重量%である鋼材の表面
に、Mn含有量が8〜40重量%のAl−Mn系合金め
っき層(めっき付着量:3〜50g/m2 )を設けた建
築用材料。このめっき層の上に、さらに膜厚0.1〜1
00μmのクリヤー塗装を施すと、より一層の高耐食性
が期待できる。 【効果】海洋環境、酸性雨環境、あるいは臨海工業地帯
で、従来用いられている高Cr系ステンレス鋼に勝る耐
発銹性を有しており、屋根・壁・軒下材料などとして長
期間にわたり使用することができる。美麗性に優れてい
るので、他の用途への転用も可能である。
に、Mn含有量が8〜40重量%のAl−Mn系合金め
っき層(めっき付着量:3〜50g/m2 )を設けた建
築用材料。このめっき層の上に、さらに膜厚0.1〜1
00μmのクリヤー塗装を施すと、より一層の高耐食性
が期待できる。 【効果】海洋環境、酸性雨環境、あるいは臨海工業地帯
で、従来用いられている高Cr系ステンレス鋼に勝る耐
発銹性を有しており、屋根・壁・軒下材料などとして長
期間にわたり使用することができる。美麗性に優れてい
るので、他の用途への転用も可能である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、屋根用、軒下用及び壁
・側板等の建築用材料に関し、特に海岸や工業地帯、お
よびその近傍などで使用される耐発銹性、美麗性に優れ
た建築用材料に関する。
・側板等の建築用材料に関し、特に海岸や工業地帯、お
よびその近傍などで使用される耐発銹性、美麗性に優れ
た建築用材料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、屋根・壁材等の建築用材料として
用いられてきた鋼材は、一般に、溶融Znめっきや溶融
Zn−Al合金めっき、溶融Al−Si合金めっき等の
溶融めっきが施された鋼材である。しかしながら、これ
らの鋼材は、海塩粒子の影響が大きくpHの高い環境と
なる海岸地域や、pHの低い酸性雨が降る工業地帯で使
用されると、容易に腐食され、白錆が発生したり黒色化
が生じる。更には、めっき皮膜の消失が早まり、母材が
早期に赤錆を発生して美麗性が損なわれるという問題が
あった。
用いられてきた鋼材は、一般に、溶融Znめっきや溶融
Zn−Al合金めっき、溶融Al−Si合金めっき等の
溶融めっきが施された鋼材である。しかしながら、これ
らの鋼材は、海塩粒子の影響が大きくpHの高い環境と
なる海岸地域や、pHの低い酸性雨が降る工業地帯で使
用されると、容易に腐食され、白錆が発生したり黒色化
が生じる。更には、めっき皮膜の消失が早まり、母材が
早期に赤錆を発生して美麗性が損なわれるという問題が
あった。
【0003】そのため、海岸や工業地帯では溶融めっき
を施した鋼材の使用は控えられ、このような環境下での
耐食性に優れ(すなわち、耐環境性を有し)、赤錆の発
生しにくい美麗性に優れた建築用材料として、高Cr系
のステンレス鋼やオーステナイト系ステンレス鋼が使用
されている。さらに、Cr含有鋼について、その耐発銹
性を高めるために表面に光輝焼鈍処理を施した鋼板が提
案されている(特公平3−79424号公報)。
を施した鋼材の使用は控えられ、このような環境下での
耐食性に優れ(すなわち、耐環境性を有し)、赤錆の発
生しにくい美麗性に優れた建築用材料として、高Cr系
のステンレス鋼やオーステナイト系ステンレス鋼が使用
されている。さらに、Cr含有鋼について、その耐発銹
性を高めるために表面に光輝焼鈍処理を施した鋼板が提
案されている(特公平3−79424号公報)。
【0004】しかしながら、これらの鋼材をもってして
も、海岸や工業地帯では、海塩粒子や雨水に含有される
塩化マグネシウムなどの塩化物、硫酸塩、亜硫酸塩、硝
酸塩等の作用により、数カ月程度の短期間における発銹
をも完全には避けることができないのが現状である。ま
た、臨海工業地帯等では、海塩粒子の付着によるpHの
上昇及び酸性雨によるpHの下降が繰り返されることに
より鋼材の腐食が促進されるという問題があり、このよ
うな環境下で使用される材料は極めて厳しい腐食環境に
曝されることになる。
も、海岸や工業地帯では、海塩粒子や雨水に含有される
塩化マグネシウムなどの塩化物、硫酸塩、亜硫酸塩、硝
酸塩等の作用により、数カ月程度の短期間における発銹
をも完全には避けることができないのが現状である。ま
た、臨海工業地帯等では、海塩粒子の付着によるpHの
上昇及び酸性雨によるpHの下降が繰り返されることに
より鋼材の腐食が促進されるという問題があり、このよ
うな環境下で使用される材料は極めて厳しい腐食環境に
曝されることになる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、海塩粒
子の影響の大きい海岸地域や酸性雨の影響の厳しい工業
地帯、さらにpHの上昇及び下降が繰り返される臨海工
業地帯等で使用される建築用材料として十分使用に耐え
るものは、現在用いられている材料中には見あたらない
のが実状である。
子の影響の大きい海岸地域や酸性雨の影響の厳しい工業
地帯、さらにpHの上昇及び下降が繰り返される臨海工
業地帯等で使用される建築用材料として十分使用に耐え
るものは、現在用いられている材料中には見あたらない
のが実状である。
【0006】本発明はこのような状況に鑑みなされたも
ので、その目的は、特に海岸や工業地帯等、腐食性の強
い環境下において従来の溶融めっきが施された鋼材やス
テンレス鋼材よりも優れた耐食性を有する建築用材料を
提供することにある。
ので、その目的は、特に海岸や工業地帯等、腐食性の強
い環境下において従来の溶融めっきが施された鋼材やス
テンレス鋼材よりも優れた耐食性を有する建築用材料を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決するために検討を重ねた結果、Al−Mn系合金
めっき皮膜が海塩粒子及び酸性雨の影響の大きい環境に
おいて高耐食性を発現することを見い出した。さらに、
Crを5〜30重量%含有する合金鋼材にこのAl−M
n系合金めっきを施すことにより、赤錆発生が著しく遅
延され、しかもその後の孔食の進行が抑制されることを
知見し、本発明をなすに至った。
を解決するために検討を重ねた結果、Al−Mn系合金
めっき皮膜が海塩粒子及び酸性雨の影響の大きい環境に
おいて高耐食性を発現することを見い出した。さらに、
Crを5〜30重量%含有する合金鋼材にこのAl−M
n系合金めっきを施すことにより、赤錆発生が著しく遅
延され、しかもその後の孔食の進行が抑制されることを
知見し、本発明をなすに至った。
【0008】本発明の要旨は、下記およびの建築用
材料にある。
材料にある。
【0009】 Cr含有量が5〜30重量%である鋼
材の表面に、Mn含有量が8〜40重量%のAl−Mn
系合金めっき層を3〜50g/m2 設けたことを特徴と
する耐発銹性に優れた建築用材料。
材の表面に、Mn含有量が8〜40重量%のAl−Mn
系合金めっき層を3〜50g/m2 設けたことを特徴と
する耐発銹性に優れた建築用材料。
【0010】 Al−Mn系合金めっき層の上に、さ
らに膜厚0.1〜100μmのクリヤー塗装を施してな
る上記記載の耐発銹性に優れた建築用材料。
らに膜厚0.1〜100μmのクリヤー塗装を施してな
る上記記載の耐発銹性に優れた建築用材料。
【0011】なお、前記の建築用材料とは、その形態に
特に限定はなく、鋼板の他、型鋼、鋼管、棒鋼、鋼線な
ど各種の形態の建築用材料を意味する。
特に限定はなく、鋼板の他、型鋼、鋼管、棒鋼、鋼線な
ど各種の形態の建築用材料を意味する。
【0012】
【作用】以下、本発明について詳細に説明する。
【0013】本発明(前記の発明)の建築用材料は、
所定量のCrを含有する合金鋼材の表面にAl−Mn系
合金めっき層が形成されたものである。この材料におい
ては、同じめっき層が普通鋼材の表面に形成された材料
に比べてめっき皮膜の耐食性が優れており、そのため母
材における赤錆発生が著しく抑制され、さらに、その後
の孔食の進行速度が極めて低い値に抑えられる。
所定量のCrを含有する合金鋼材の表面にAl−Mn系
合金めっき層が形成されたものである。この材料におい
ては、同じめっき層が普通鋼材の表面に形成された材料
に比べてめっき皮膜の耐食性が優れており、そのため母
材における赤錆発生が著しく抑制され、さらに、その後
の孔食の進行速度が極めて低い値に抑えられる。
【0014】一般に、Cr含有合金鋼の表面に形成され
たAl−Mn系合金めっき層は、同様に形成された純A
lめっき、Al−Zn系合金めっきあるいはAl−Si
系合金めっきの各めっき層と比較して耐食性に優れてい
ることは実証されている。これは、以下に示すように、
Al−Mn系合金めっき層の環境遮断性と、Cr含有合
金鋼に対する犠牲防食作用によって説明される。
たAl−Mn系合金めっき層は、同様に形成された純A
lめっき、Al−Zn系合金めっきあるいはAl−Si
系合金めっきの各めっき層と比較して耐食性に優れてい
ることは実証されている。これは、以下に示すように、
Al−Mn系合金めっき層の環境遮断性と、Cr含有合
金鋼に対する犠牲防食作用によって説明される。
【0015】本発明の建築用材料が使用される海塩粒子
や酸性雨の影響の大きい海岸や工業地帯では、材料の表
面に付着する水分のpHがおおよそ3〜11程度である
と考えられる。このような環境中に本発明の材料が曝さ
れると、母材であるCr含有合金鋼とめっき層との電位
差によりめっき層が優先的に溶出して母材鋼は保護され
る。すなわち、Al−Mn系合金めっき層はCr含有合
金鋼に対する犠牲防食能を有している。また、Al−M
n系合金めっき層の陽分極は大きく、腐食速度がZn系
めっき層等の腐食速度に比べ1桁程度小さい。これはめ
っき層中のAlが環境中に溶出すると同時に、遊離し酸
化されたMnが一種の不動態皮膜を形成し、環境と母材
との接触を絶つ環境遮断性が発現されるためと考えられ
ている。
や酸性雨の影響の大きい海岸や工業地帯では、材料の表
面に付着する水分のpHがおおよそ3〜11程度である
と考えられる。このような環境中に本発明の材料が曝さ
れると、母材であるCr含有合金鋼とめっき層との電位
差によりめっき層が優先的に溶出して母材鋼は保護され
る。すなわち、Al−Mn系合金めっき層はCr含有合
金鋼に対する犠牲防食能を有している。また、Al−M
n系合金めっき層の陽分極は大きく、腐食速度がZn系
めっき層等の腐食速度に比べ1桁程度小さい。これはめ
っき層中のAlが環境中に溶出すると同時に、遊離し酸
化されたMnが一種の不動態皮膜を形成し、環境と母材
との接触を絶つ環境遮断性が発現されるためと考えられ
ている。
【0016】さらに、本発明者らの検討結果によると、
この不動態皮膜は、母材としてCr含有合金鋼を用いた
場合、一層強固な不動態皮膜となり得ることを確認し
た。この不動態皮膜はCr酸化物からなるもので、この
ような皮膜が形成される機構の詳細は明かではないが、
次のように推定される。
この不動態皮膜は、母材としてCr含有合金鋼を用いた
場合、一層強固な不動態皮膜となり得ることを確認し
た。この不動態皮膜はCr酸化物からなるもので、この
ような皮膜が形成される機構の詳細は明かではないが、
次のように推定される。
【0017】すなわち、材料がpH4以下の酸性雨環境
にさらされた場合、母材表面の不動態皮膜(Cr酸化
物)も溶解傾向を示し、同時に溶解しているAl−Mn
系めっき層のMnイオンとの相互作用によって、より緻
密度の高い不動態皮膜が形成され、めっき層及び母材鋼
板が保護される。また、同時に溶出しているAlイオン
は、Feイオンの赤錆化に対するインヒビタとして作用
すると考えられる。一方、鋼材表面に付着した海塩粒子
の吸湿・潮解により表面のpHが9以上に上昇した場合
を考えると、鋼材表面で生じた水膜の不均一性に起因し
て生じる酸素濃淡電池の作用により、やはり母材表面の
Cr酸化物や、めっき層のMn酸化物が溶解し、Crイ
オンとMnイオンとの相互作用によって、より緻密度の
高い不動態皮膜が形成され、めっき層及び母材鋼板が保
護される。さらに、このようなpHの低い環境と高い環
境が繰り返し生じた場合、母材鋼のCrとめっき層のA
l及びMnが少しづつ消費されるが、緻密度の高い不動
態皮膜が形成されることにより、長期間にわたって材料
の高耐食性が維持される。
にさらされた場合、母材表面の不動態皮膜(Cr酸化
物)も溶解傾向を示し、同時に溶解しているAl−Mn
系めっき層のMnイオンとの相互作用によって、より緻
密度の高い不動態皮膜が形成され、めっき層及び母材鋼
板が保護される。また、同時に溶出しているAlイオン
は、Feイオンの赤錆化に対するインヒビタとして作用
すると考えられる。一方、鋼材表面に付着した海塩粒子
の吸湿・潮解により表面のpHが9以上に上昇した場合
を考えると、鋼材表面で生じた水膜の不均一性に起因し
て生じる酸素濃淡電池の作用により、やはり母材表面の
Cr酸化物や、めっき層のMn酸化物が溶解し、Crイ
オンとMnイオンとの相互作用によって、より緻密度の
高い不動態皮膜が形成され、めっき層及び母材鋼板が保
護される。さらに、このようなpHの低い環境と高い環
境が繰り返し生じた場合、母材鋼のCrとめっき層のA
l及びMnが少しづつ消費されるが、緻密度の高い不動
態皮膜が形成されることにより、長期間にわたって材料
の高耐食性が維持される。
【0018】本発明の建築用材料にあっては、上記の機
構で、海岸や工業地帯など厳しい環境下において高耐食
性が発現されると推察されるが、その際、母材のCr含
有量、Al−Mn系合金めっき層中のMn含有量、さら
にめっき付着量が前記の規定を満たすものでなければな
らない。
構で、海岸や工業地帯など厳しい環境下において高耐食
性が発現されると推察されるが、その際、母材のCr含
有量、Al−Mn系合金めっき層中のMn含有量、さら
にめっき付着量が前記の規定を満たすものでなければな
らない。
【0019】まず、母材合金鋼のCr含有量を5〜30
重量%に限定したのは、Cr含有量が5重量%より少な
い場合、前述したような緻密な不動態皮膜の形成が期待
できず、一方、30重量%を超えて含有される場合は、
Al−Mn系合金めっきを施さなくても十分に高い耐食
性を示す上、経済的にも不利になるからである。耐食性
及び経済性を加味して考えると、Cr含有量は8〜25
重量%とするのがより好ましい。
重量%に限定したのは、Cr含有量が5重量%より少な
い場合、前述したような緻密な不動態皮膜の形成が期待
できず、一方、30重量%を超えて含有される場合は、
Al−Mn系合金めっきを施さなくても十分に高い耐食
性を示す上、経済的にも不利になるからである。耐食性
及び経済性を加味して考えると、Cr含有量は8〜25
重量%とするのがより好ましい。
【0020】実際の母材合金鋼では、Crの他に、C、
Si、Mn、S、Pや、Al、N、O(酸素)などが適
宜添加され、あるいは製造上不可避的に混入している。
さらに耐食性を高めるためNi、Mo、Nb、B(ほう
素)等が添加されているが、本発明の建築用材料では、
これらの元素の含有量については特に限定はしない。
Si、Mn、S、Pや、Al、N、O(酸素)などが適
宜添加され、あるいは製造上不可避的に混入している。
さらに耐食性を高めるためNi、Mo、Nb、B(ほう
素)等が添加されているが、本発明の建築用材料では、
これらの元素の含有量については特に限定はしない。
【0021】Fe以外に上記の元素が含有されていて
も、Cr含有量が本発明で規定する範囲内でありさえす
れば、上記の機構により優れた耐食性が発現するからで
ある。
も、Cr含有量が本発明で規定する範囲内でありさえす
れば、上記の機構により優れた耐食性が発現するからで
ある。
【0022】次に、Al−Mn系合金めっき層のMn含
有量は8〜40重量%に限定する。
有量は8〜40重量%に限定する。
【0023】Mnは上記のように不動態皮膜の形成に有
効に働き、耐食性に寄与するが、Mn含有量が8重量%
より低いと不動態皮膜が形成されにくく、逆に40重量
%を超えると、めっき層が非晶質領域を逸脱して結晶質
となるため加工性及び耐食性がともに劣化するうえ、め
っき層中のAl含有量が相対的に低下して、Alイオン
のインヒビタ効果が期待できないからである。より好ま
しいMn含有量は15〜30重量%である。
効に働き、耐食性に寄与するが、Mn含有量が8重量%
より低いと不動態皮膜が形成されにくく、逆に40重量
%を超えると、めっき層が非晶質領域を逸脱して結晶質
となるため加工性及び耐食性がともに劣化するうえ、め
っき層中のAl含有量が相対的に低下して、Alイオン
のインヒビタ効果が期待できないからである。より好ま
しいMn含有量は15〜30重量%である。
【0024】更に、Al−Mn系合金めっき層は、Al
とMnの2成分系合金であれば本発明の材料で必要とさ
れる耐食性は発揮されるが、必要に応じ、以下に示す
(イ)〜(ハ)の3群の元素の内から1種または2種以
上の第3元素を含有させてもよい。ただし、これらの第
3元素を2種以上添加する場合には、めっき層中におけ
るそれらの合計量を15at%以下とすることが好まし
い。
とMnの2成分系合金であれば本発明の材料で必要とさ
れる耐食性は発揮されるが、必要に応じ、以下に示す
(イ)〜(ハ)の3群の元素の内から1種または2種以
上の第3元素を含有させてもよい。ただし、これらの第
3元素を2種以上添加する場合には、めっき層中におけ
るそれらの合計量を15at%以下とすることが好まし
い。
【0025】(イ)それぞれ0.005〜10at%の
Cu、Ag、Fe、Co及びNi:これらの元素は、A
l−Mn系合金めっき層の硬度を高めるとともに、摺動
性及び加工性を高める働きがある。
Cu、Ag、Fe、Co及びNi:これらの元素は、A
l−Mn系合金めっき層の硬度を高めるとともに、摺動
性及び加工性を高める働きがある。
【0026】(ロ)それぞれ0.002〜3at%のM
g、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、In、Tl、S
i、Ge、Sn、Pb、As、Sb及びBi:これらの
元素は、Al−Mn系合金めっき層の電位を卑にし、皮
膜の犠牲防食能を向上させる働きをする。
g、Ca、Sr、Ba、Zn、Cd、In、Tl、S
i、Ge、Sn、Pb、As、Sb及びBi:これらの
元素は、Al−Mn系合金めっき層の電位を卑にし、皮
膜の犠牲防食能を向上させる働きをする。
【0027】(ハ)それぞれ0.005〜5at%のT
i、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W及び
Re:これらの元素は、めっき層の融点を上昇させ、ス
ポット溶接の連続打点性を向上させる。
i、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W及び
Re:これらの元素は、めっき層の融点を上昇させ、ス
ポット溶接の連続打点性を向上させる。
【0028】本発明の建築用材料において、さらに、A
l−Mn系合金めっき層のめっき付着量(片面あたり)
を3〜50g/m2 に限定するのは、めっき付着量が3
g/m2 より少ないと、Al−Mn系合金めっき層の耐
食性が十分ではなく、一方、50g/m2 を超えると、
めっき皮膜が厚くなりすぎて加工性が低下し、更にめっ
き剥離が生じ、あるいは、めっき時の残留応力によりめ
っき割れやめっき剥離が生じて耐食性が低下するからで
ある。
l−Mn系合金めっき層のめっき付着量(片面あたり)
を3〜50g/m2 に限定するのは、めっき付着量が3
g/m2 より少ないと、Al−Mn系合金めっき層の耐
食性が十分ではなく、一方、50g/m2 を超えると、
めっき皮膜が厚くなりすぎて加工性が低下し、更にめっ
き剥離が生じ、あるいは、めっき時の残留応力によりめ
っき割れやめっき剥離が生じて耐食性が低下するからで
ある。
【0029】Al−Mn系合金めっき層は、溶融めっき
法または溶融塩電解めっき法により形成することができ
る。特に、Mn含有量が比較的多い場合には、溶融塩電
解めっき法が好ましい。
法または溶融塩電解めっき法により形成することができ
る。特に、Mn含有量が比較的多い場合には、溶融塩電
解めっき法が好ましい。
【0030】溶融塩電解めっき法のめっき浴としては塩
化物浴が一般に使用できる。塩化物浴は、AlCl3 と
少なくとも1種のアルカリ金属塩化物(NaCl、KC
l、LiClなど)との混合物を基本組成とし、これに
合金元素(Mn、及び必要により含有させる他の1種ま
たは2種以上の合金元素)を塩化物または金属として加
えることにより構成することができる。塩化物浴へのM
nの添加量を増減させることにより、析出するAl−M
n系合金めっき層中のMn含有量を調整することができ
る。なお、助剤として、有機アミン、フッ化物、臭化
物、よう化物等を添加してもよい。また、塩化物浴とし
て、上記の浴の他に、AlCl3 −エチルメチルイミダ
ゾリウムクロリド(EMIC)を基本組成とする、より
低融点の溶融塩浴も使用できる。
化物浴が一般に使用できる。塩化物浴は、AlCl3 と
少なくとも1種のアルカリ金属塩化物(NaCl、KC
l、LiClなど)との混合物を基本組成とし、これに
合金元素(Mn、及び必要により含有させる他の1種ま
たは2種以上の合金元素)を塩化物または金属として加
えることにより構成することができる。塩化物浴へのM
nの添加量を増減させることにより、析出するAl−M
n系合金めっき層中のMn含有量を調整することができ
る。なお、助剤として、有機アミン、フッ化物、臭化
物、よう化物等を添加してもよい。また、塩化物浴とし
て、上記の浴の他に、AlCl3 −エチルメチルイミダ
ゾリウムクロリド(EMIC)を基本組成とする、より
低融点の溶融塩浴も使用できる。
【0031】めっき密着性を高めるために、母材に下地
層としてZnやNiなどの金属をプレメッキしておいて
もよい。この下地層は、慣用のジンケート処理、Niプ
レめっき処理などにより形成することができる。また、
下地層なしでAl−Mn系合金めっきとの密着性を高め
るためには、めっき前処理として、化学的な酸洗や物理
的な研削により母材表面の酸化皮膜を除去した後にめっ
きを施す方法も適用できる。
層としてZnやNiなどの金属をプレメッキしておいて
もよい。この下地層は、慣用のジンケート処理、Niプ
レめっき処理などにより形成することができる。また、
下地層なしでAl−Mn系合金めっきとの密着性を高め
るためには、めっき前処理として、化学的な酸洗や物理
的な研削により母材表面の酸化皮膜を除去した後にめっ
きを施す方法も適用できる。
【0032】さらに、Al−Mn系合金めっき層の上に
酸化皮膜またはクロメート皮膜を形成させてもよい。こ
れによって耐食性および美麗性は一層向上する。酸化皮
膜またはクロメート皮膜の成膜方法としては、塗布法、
電解法、反応法など、従来使用されている方法が適用可
能である。なお、これらの皮膜の付着量は、酸化皮膜の
場合は膜厚1〜100nm、クロメート皮膜の場合はC
r換算量で、5〜100mg/m2 の範囲内とするのが
望ましい。
酸化皮膜またはクロメート皮膜を形成させてもよい。こ
れによって耐食性および美麗性は一層向上する。酸化皮
膜またはクロメート皮膜の成膜方法としては、塗布法、
電解法、反応法など、従来使用されている方法が適用可
能である。なお、これらの皮膜の付着量は、酸化皮膜の
場合は膜厚1〜100nm、クロメート皮膜の場合はC
r換算量で、5〜100mg/m2 の範囲内とするのが
望ましい。
【0033】前記の発明は、の発明におけるAl−
Mn系合金めっき層の上に、さらに膜厚0.1〜100
μmのクリヤー塗装を施した建築用材料である。この塗
装によって、さらに高耐食性を期待することができる。
Mn系合金めっき層の上に、さらに膜厚0.1〜100
μmのクリヤー塗装を施した建築用材料である。この塗
装によって、さらに高耐食性を期待することができる。
【0034】この塗膜は、環境遮断性に優れるほかAl
−Mn系合金めっき層の艶消しの美麗な肌を長期にわた
って保持できる特徴がある。この塗膜に用いる樹脂は、
耐候性に優れているものであればいずれの樹脂でもよ
く、エポキシ樹脂をはじめ、フッ素樹脂、ポリエステル
樹脂、シリコン変性ポリエステル樹脂や、アクリル樹脂
等が挙げられる。
−Mn系合金めっき層の艶消しの美麗な肌を長期にわた
って保持できる特徴がある。この塗膜に用いる樹脂は、
耐候性に優れているものであればいずれの樹脂でもよ
く、エポキシ樹脂をはじめ、フッ素樹脂、ポリエステル
樹脂、シリコン変性ポリエステル樹脂や、アクリル樹脂
等が挙げられる。
【0035】また、塗膜厚が0.1μm未満では欠陥の
少ない塗膜が得られにくく、一方、100μmを超える
と、耐食性が必要以上に高くなり、経済的にも不利にな
るほか、塗膜焼付時にワキが生じ易くなるので、クリヤ
ー塗装を施す場合の塗膜厚は0.1〜100μmとす
る。より好ましくは、1〜50μmである。
少ない塗膜が得られにくく、一方、100μmを超える
と、耐食性が必要以上に高くなり、経済的にも不利にな
るほか、塗膜焼付時にワキが生じ易くなるので、クリヤ
ー塗装を施す場合の塗膜厚は0.1〜100μmとす
る。より好ましくは、1〜50μmである。
【0036】クリヤー塗膜の塗布方法は特に限定され
ず、従来方法でよい。例えば、ロールコート、バーコー
ト、スピンコートなどの塗布方法により塗布すればよ
い。また、耐候性を高めるために、クリヤー塗膜の上に
さらに塗装を施すことも可能である。
ず、従来方法でよい。例えば、ロールコート、バーコー
ト、スピンコートなどの塗布方法により塗布すればよ
い。また、耐候性を高めるために、クリヤー塗膜の上に
さらに塗装を施すことも可能である。
【0037】前記の、Al−Mn系合金めっき層の上に
酸化皮膜またはクロメート皮膜を形成させる処理をクリ
ヤー塗装の下地処理として用いることもできる。
酸化皮膜またはクロメート皮膜を形成させる処理をクリ
ヤー塗装の下地処理として用いることもできる。
【0038】
【実施例】通常の溶解・圧延法により、表1に示す化学
組成の厚さ0.8mmの鋼板(記号a〜s)を製造し
た。
組成の厚さ0.8mmの鋼板(記号a〜s)を製造し
た。
【0039】次いで、これらの鋼板の両面に溶融塩電解
めっき法によりAl−Mn系合金めっきを施し、また、
一部のものについては、バーコート法によりフッ素系ク
リヤー塗装を施した。用いた塩化物浴は、AlCl3 、
NaCl、KClおよびLiClの混合塩に、さらに、
めっき層中のMn含有量が所定の値になるようにMnC
l2 を適宜添加した浴である。表2および表3に、めっ
き層中のMn含有量、めっき付着量(片面あたり)およ
びクリヤー塗膜の膜厚を示す。
めっき法によりAl−Mn系合金めっきを施し、また、
一部のものについては、バーコート法によりフッ素系ク
リヤー塗装を施した。用いた塩化物浴は、AlCl3 、
NaCl、KClおよびLiClの混合塩に、さらに、
めっき層中のMn含有量が所定の値になるようにMnC
l2 を適宜添加した浴である。表2および表3に、めっ
き層中のMn含有量、めっき付着量(片面あたり)およ
びクリヤー塗膜の膜厚を示す。
【0040】このようにして作製した試料を150mm
×100mmに切断し、表面に鋼素地まで至るX字状の
カット傷を施し、以下の腐食試験に供した。
×100mmに切断し、表面に鋼素地まで至るX字状の
カット傷を施し、以下の腐食試験に供した。
【0041】<腐食試験> A.臨海工業地帯模擬環境試験 pH5.5以下の酸性雨が降雨する工業地帯(尼崎市
内)で半年間暴露し、その間、1週間に2回、人工海水
をスプレーにて散布した。
内)で半年間暴露し、その間、1週間に2回、人工海水
をスプレーにて散布した。
【0042】B.海洋環境模擬環境試験 海塩粒子が飛散して試料表面に付着する那覇市の海岸近
傍で半年間暴露した。
傍で半年間暴露した。
【0043】C.酸性雨環境模擬環境試験 pH5.5以下の酸性雨の降雨する工業地帯(尼崎市
内)で半年間暴露した。
内)で半年間暴露した。
【0044】<評価方法>上記の各腐食試験後の試料に
ついて、端面部、Xカット部及び平板部の3カ所を目視
観察により調査し、表4に示す評価ランクに基づいて評
価した。ランクが1〜4であれば良好と判断した。
ついて、端面部、Xカット部及び平板部の3カ所を目視
観察により調査し、表4に示す評価ランクに基づいて評
価した。ランクが1〜4であれば良好と判断した。
【0045】試験結果を表2および表3に併せて示す。
これらの結果から明らかなように、本発明例では、臨海
工業地帯、海洋環境および酸性雨環境のいずれにおいて
も赤錆の発生はなく、良好な耐発銹性を示した。しか
し、本発明で規定する条件から外れる比較例では、これ
らのいずれの環境においても赤錆が発生し、あるいは、
クリヤー塗装を規定の膜厚を超えて厚く施した場合(比
較例45および46)はワキが発生した。なお、比較例
のNo.37、40、44、47〜58、61および6
4はAl−Mn系合金めっきが施されておらず、従来の
高Cr系ステンレス鋼に該当する例である。
これらの結果から明らかなように、本発明例では、臨海
工業地帯、海洋環境および酸性雨環境のいずれにおいて
も赤錆の発生はなく、良好な耐発銹性を示した。しか
し、本発明で規定する条件から外れる比較例では、これ
らのいずれの環境においても赤錆が発生し、あるいは、
クリヤー塗装を規定の膜厚を超えて厚く施した場合(比
較例45および46)はワキが発生した。なお、比較例
のNo.37、40、44、47〜58、61および6
4はAl−Mn系合金めっきが施されておらず、従来の
高Cr系ステンレス鋼に該当する例である。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
【表4】
【0050】
【発明の効果】本発明の建築用材料は、海洋環境、酸性
雨環境、あるいはそれら両方の影響を受ける臨海工業地
帯で、従来用いられている高Cr系ステンレス鋼に勝る
耐発銹性を有しており、屋根・壁・軒下材料などとして
長期間にわたり使用することができる。さらに、これら
の用途以外に、耐発銹性と表面の美麗さを重視して他の
用途への転用も可能である。しかも、Cr含有鋼にAl
−Mn系合金めっきを施すだけでよく、比較的安価に製
造することができる。
雨環境、あるいはそれら両方の影響を受ける臨海工業地
帯で、従来用いられている高Cr系ステンレス鋼に勝る
耐発銹性を有しており、屋根・壁・軒下材料などとして
長期間にわたり使用することができる。さらに、これら
の用途以外に、耐発銹性と表面の美麗さを重視して他の
用途への転用も可能である。しかも、Cr含有鋼にAl
−Mn系合金めっきを施すだけでよく、比較的安価に製
造することができる。
Claims (2)
- 【請求項1】Cr含有量が5〜30重量%である鋼材の
表面に、Mn含有量が8〜40重量%のAl−Mn系合
金めっき層を3〜50g/m2 設けたことを特徴とする
耐発銹性に優れた建築用材料。 - 【請求項2】Al−Mn系合金めっき層の上に、さらに
膜厚0.1〜100μmのクリヤー塗装を施してなる請
求項1記載の耐発銹性に優れた建築用材料。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11290995A JPH08311617A (ja) | 1995-05-11 | 1995-05-11 | 耐発銹性に優れた建築用材料 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11290995A JPH08311617A (ja) | 1995-05-11 | 1995-05-11 | 耐発銹性に優れた建築用材料 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08311617A true JPH08311617A (ja) | 1996-11-26 |
Family
ID=14598533
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11290995A Pending JPH08311617A (ja) | 1995-05-11 | 1995-05-11 | 耐発銹性に優れた建築用材料 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH08311617A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009033066A (ja) * | 2007-07-30 | 2009-02-12 | Nisshin Steel Co Ltd | 太陽光発電モジュールの建築物への設置方法 |
-
1995
- 1995-05-11 JP JP11290995A patent/JPH08311617A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009033066A (ja) * | 2007-07-30 | 2009-02-12 | Nisshin Steel Co Ltd | 太陽光発電モジュールの建築物への設置方法 |
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