JPH11153658A - 移動体搭載用アンテナの追尾制御装置及びその追尾制御方法 - Google Patents

移動体搭載用アンテナの追尾制御装置及びその追尾制御方法

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JPH11153658A
JPH11153658A JP31998497A JP31998497A JPH11153658A JP H11153658 A JPH11153658 A JP H11153658A JP 31998497 A JP31998497 A JP 31998497A JP 31998497 A JP31998497 A JP 31998497A JP H11153658 A JPH11153658 A JP H11153658A
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antenna
angular velocity
reception level
level
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Motonobu Moriya
元伸 守谷
Makoto Ochiai
誠 落合
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 移動体が急激に旋回した場合に、アンテナの
方位角を高精度に制御することができる移動体搭載用ア
ンテナの追尾制御装置を提供する。 【解決手段】 角速度センサ54は移動体が旋回したと
きに発生する角速度を検出する。受信レベル検出器51
はアンテナ10が受信した信号の受信レベルを検出す
る。制御部53は、角速度センサ54で検出された角速
度が所定の基準値を越えている場合、角速度に基づいて
アンテナ10の回転速度及び回転角度を決定すると共
に、受信レベル検出器51で検出された受信レベルが所
定の基準レベルを越えていないときに、その受信レベル
と基準レベルとに基づいて、受信レベルが基準レベルよ
りも大きくなるように、アンテナ10の回転速度及び回
転角度についての補正量を決定する。そして、アンテナ
10の回転速度及び回転角度と補正量とに基づいて、ア
ンテナ10を方位角方向に回転制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車や船舶等の
移動体に搭載され、特に衛星からの信号を受信したりす
るアンテナについてその方位角を制御する移動体搭載用
アンテナの追尾制御装置及びその追尾制御方法に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】近年の衛星放送の普及に伴い、移動体に
搭載して使用される各種の移動体搭載用衛星アンテナ装
置が提案されている。この種のアンテナ装置において
は、移動体の向きがその走行に伴って時々刻々変化する
ため、アンテナを常に衛星の方向に向けるように、アン
テナの方位角を制御する自動追尾機構が必要になる。
【0003】アンテナの方位角を制御する際には、アン
テナが受信した信号の受信レベルを利用する。いま、ア
ンテナを方位角方向に360°回転させて、受信レベル
を検出すると、受信レベルとアンテナの回転角度との関
係は、例えば、図12に示すようになる。この受信レベ
ルは、アンテナのメインローブの方向が衛星方向と一致
したとき、最大ピークレベルになる。また、アンテナの
向きが衛星方向からずれていくにしたがって、衛星から
の電波が徐々に取れなくなり、受信レベルが低下してい
く。したがって、アンテナを衛星の方向に向けるには、
受信レベルが一番高いピークレベルをとる方位角にアン
テナの回転角度を合わせる。実際、アンテナの追尾制御
としては、例えば、アンテナを方位角方向に微小角度ず
つ回転して、受信レベルの変化分を求め、この受信レベ
ルの変化分に比例した回転速度でアンテナを回転する微
分制御が用いられる。
【0004】ところで、例えば、米国のように電波強度
が弱いと、アンテナの面積を大きくする必要がある。し
かし、アンテナ面積を大きくすると、半値角(ローブ
幅)が狭くなるので、受信レベルは、図12に点線で示
すようになり、受信レベルの単位角度当たりの変化分が
増大する。かかる場合、微分制御でアンテナの方位角を
制御すると、オーバーシュートやハンチング等が起こっ
てしまい、良好な追尾制御ができない。また、アンテナ
の面積を大きくしなくとも、外乱が大きくなった場合、
例えば移動体が急激に旋回した場合には、微分制御にお
いてアンテナの方位角をピーク角度方向に戻す速度が、
移動体の旋回に追いつかない。このため、かかる場合
も、アンテナの追従性が悪く、良好な追尾制御ができな
い。
【0005】このため、例えば、特開平8−29512
号公報記載の「移動体搭載アンテナの追尾制御方法及び
追尾制御装置」では、追尾制御を二段階に切り替えて行
う方式が提案されている。すなわち、移動体の旋回によ
り発生する角速度を角速度センサで検出し、移動体の角
速度が所定の基準値よりも小さいときには、受信レベル
を用いたアンテナの制御を行い、一方、移動体の角速度
が基準値以上であるときには、角速度センサの出力を用
いたアンテナの制御を行う。角速度センサの出力を用い
た制御では、角速度センサの出力に応じたアンテナの回
転速度と回転角度で、移動体が旋回する方向と逆方向に
アンテナを回転制御する。これにより、移動体が急激に
旋回した場合でも、アンテナを追従性よく制御すること
ができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような角速度センサの出力を用いたアンテナの制御を行
っても、アンテナの方位角を正確に制御できず、受信レ
ベルが低下してしまうことがある。これは、角速度セン
サの出力に基づいて決定されたアンテナの回転速度や回
転角度には、各種の誤差が含まれるからである。例え
ば、移動体は、旋回するときに傾きながら回るので、角
速度センサから外乱に対して正確な角速度が出力される
とは限らない。また、角速度センサからの出力をマイコ
ンに認識させるには、その出力をA/D変換器に通さな
ければならないため、サンプリング誤差が生じる。さら
に、角速度センサからの出力に基づいてアンテナの回転
速度や回転角度を決定する際の誤差もある、このよう
に、角速度センサの出力を用いたアンテナの制御では、
アンテナの方位角を高精度に制御できないという問題が
あった。
【0007】本発明は上記事情に基づいてなされたもの
であり、移動体が急激に旋回した場合に、アンテナの方
位角を高精度に制御することができる移動体搭載用アン
テナの追尾制御装置及びその追尾制御方法を提供するこ
とを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明は、移動体に搭載されたアンテナの方位角を
所望の角度に設定する移動体搭載用アンテナの追尾制御
装置であって、前記移動体が旋回したときに発生する角
速度を検出する角速度検出手段と、前記角速度検出手段
で検出された角速度に基づいて、前記移動体の旋回によ
ってずれた前記アンテナの方位角を元に戻すための前記
アンテナの回転速度及び回転角度を決定する第一の処理
手段と、前記アンテナが受信した信号の受信レベルを検
出するレベル検出手段と、前記レベル検出手段で検出さ
れた受信レベルが所定の基準レベルを越えていないとき
に、前記レベル検出手段で検出された受信レベルと前記
基準レベルとに基づいて、受信レベルが前記基準レベル
よりも大きくなるように、前記第一の処理手段で決定さ
れた前記アンテナの回転速度及び回転角度の各々につい
ての補正量を決定する第二の処理手段と、前記角速度検
出手段で検出された角速度が所定の基準値を越えている
ときに、前記第一の処理手段で決定された前記アンテナ
の回転速度及び回転角度と前記第二の処理手段で決定さ
れた前記補正量とに基づいて、前記アンテナを方位角方
向に回転制御する制御手段と、を具備することを特徴と
するものである。
【0009】上記の目的を達成するための本発明は、移
動体に搭載されたアンテナの方位角を所望の角度に設定
する移動体搭載用アンテナの追尾制御方法であって、前
記移動体が旋回したときに発生する角速度を検出する第
一の工程と、前記第一の工程で検出された角速度に基づ
いて、前記移動体の旋回によってずれた前記アンテナの
方位角を元に戻すための前記アンテナの回転速度及び回
転角度を決定する第二の工程と、前記アンテナが受信し
た信号の受信レベルを検出する第三の工程と、前記第三
の工程で検出された受信レベルが所定の基準レベルを越
えていないときに、前記第三の工程で検出された受信レ
ベルと前記基準レベルとに基づいて、受信レベルが前記
基準レベルよりも大きくなるように、前記第二の工程で
決定された前記アンテナの回転速度及び回転角度の各々
についての補正量を決定する第四の工程と、前記第一の
工程で検出された角速度が所定の基準値を越えていると
きに、前記第二の工程で決定された前記アンテナの回転
速度及び回転角度と前記第四の工程で決定された前記補
正量とに基づいて、前記アンテナを方位角方向に回転制
御する第五の工程と、を具備することを特徴とするもの
である。
【0010】本発明によるアンテナの追尾制御は、移動
体が急激に旋回したりして、移動体の角速度が所定の基
準値を越えている場合に行われる。この場合、角速度に
基づいてアンテナの回転速度及び回転角度を決定すると
共に、受信レベルが所定の基準レベルを越えていないと
きには、その受信レベルと基準レベルとに基づいて、受
信レベルが基準レベルよりも大きくなるように、角速度
に基づいて決定されたアンテナの回転速度及び回転角度
についての補正量を決定する。かかるアンテナの回転速
度及び回転角度と補正量とに基づいて、アンテナを方位
角方向に回転制御することにより、アンテナを所望の方
位角方向に迅速且つ正確に向けることができる。このた
め、アンテナの追従性の向上を図ると共に、アンテナの
方位角を高精度に制御することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に本発明の一実施形態につい
て図面を参照して説明する。図1は本発明の一実施形態
である移動体搭載用アンテナの追尾制御装置を適用した
アンテナ装置の概略ブロック図、図2はそのアンテナ装
置を自動車に搭載した場合の概略構成図である。
【0012】図1に示すアンテナ装置は、移動体に搭載
して衛星放送を受信するためのものであり、アンテナ1
0と、コンバータ20と、回転結合器30と、チューナ
40と、移動体搭載用アンテナの追尾制御装置50と、
回転機構部60とを備える。本実施形態では、かかるア
ンテナ装置を、例えば自動車に搭載する場合について考
える。この場合、アンテナ装置は、図2に示すように、
各部をアンテナユニット部1とチューナユニット部2と
に分けて構成される。例えば、アンテナユニット部1
は、自動車のルーフ上に取り付けられ、チューナユニッ
ト部2は、自動車内に設置される。また、チューナユニ
ット部2は、例えば、助手席の前面部に取り付けられた
テレビジョン受像機3に接続される。
【0013】このアンテナユニット部1には、アンテナ
10と、コンバータ20と、回転結合器30と、回転機
構部60とが含まれる。アンテナ10は、放送衛星から
送信される電波を受信するものであり、本実施形態で
は、特開平6−188625号公報記載のような漏れ波
導波管スロットアレーアンテナが用いられる。かかる漏
れ波導波管スロットアレーアンテナは、メインローブが
アンテナ正面に対してチルト角をもっており、アンテナ
を水平に置いたときを考慮してチルト角を設計すれば、
アンテナ高を低くすることができるという利点がある。
また、仰角方向に広い半値角を持つので、移動体が移動
する範囲があまり広くならなければ、方位角の制御のみ
を行うだけでも、放送衛星からの電波を確実に受信でき
るという利点がある。このため、本実施形態のアンテナ
装置では、方位角の制御のみを行うことにしている。
【0014】コンバータ20は、アンテナ10で受信し
た衛星放送のRF(radio frequency )信号をIF(in
termediate frequency)信号に変換するものである。コ
ンバータ20は、アンテナ10の裏面に取り付けられ
る。コンバータ20で変換されたIF信号は、回転結合
器30を介してチューナ40に送られる。回転結合器3
0は、コンバータ20とチューナ40との間を接続する
電線路の途中に設けられ、信号周波数帯の電気的結合を
保ちながら、アンテナ10が方位角方向に回転できるよ
うにするためのものである。
【0015】図3(a)はアンテナ装置のアンテナユニ
ット部1の概略平面図、図3(b)はそのアンテナ装置
のアンテナユニット部1の概略側面図である。ここで、
アンテナユニット部1の内部構造を見やすくするため
に、図3(a)では、カバーとなるレドーム71を外し
て示しており、また、図3(b)では、レドーム71を
中心で切り欠いた状態を示している。回転機構部60
は、図3に示すように、モータ駆動回路61と、パルス
モータ62と、減速機63と、ドライブベルト64と、
回転部65と、回転テーブル66とを有する。各部は、
底板であるベースプレート72上に載置されている。回
転部65は、その中心軸Cの回りに回転自在に構成され
る。回転テーブル66は回転部65上に取り付けられ、
回転部65と一体的に回転する。また、回転テーブル6
6上にはアンテナ10が支持されている。追尾制御装置
50の制御部53がモータ駆動回路61に信号を送り、
パルスモータ62を駆動すると、パルスモータ62の回
転運動は、減速機63及びドライブベルト64を介し
て、回転部65に伝達され、アンテナ10の方位角が制
御される。
【0016】チューナユニット部2には、チューナ40
と、追尾制御装置50とが含まれる。チューナ40は、
コンバータ20で変換されたIF信号をビデオ信号と音
声信号に復調し、テレビジョン受像機3に供給する。追
尾制御装置50は、アンテナ10を常に放送衛星の方向
に向けるように、アンテナ10の方位角を追尾制御する
ものであり、レベル検出手段としての受信レベル検出器
51と、A/D変換器52と、制御部53と、角速度検
出手段としての角速度センサ(ジャイロセンサ)54
と、低周波の信号を通過させるローパスフィルタ回路5
5と、A/D変換器56a,56bとを有する。受信レ
ベル検出器51は、チューナ40内の自動利得制御増幅
器から出力される雑音レベルに基づいて、アンテナ10
が受信した信号のレベル(受信レベル)を検出するもの
である。すなわち、受信レベルが低下すると、自動利得
制御増幅器の利得が上昇し、これに伴い雑音レベルが増
加する。一方、受信レベルが増加すると、自動利得制御
増幅器の利得が下降し、雑音レベルが低下する。受信レ
ベル検出器51では、かかる雑音レベルの増減に基づい
て、受信レベルが検出される。受信レベル検出器51で
検出された受信レベルは、A/D変換器52でディジタ
ル信号に変換された後、制御部53に供給される。
【0017】角速度センサ54は、移動体の進路を変更
したり旋回したときに発生する角速度を検出するもので
ある。かかる角速度センサ54で検出される角速度に
は、移動体の旋回方向を示す極性も含まれている。検出
された角速度に関する信号は、ローパスフィルタ回路5
5に出力される。図4にローパスフィルタ回路55の概
略回路図を示す。ローパスフィルタ回路55は、図1又
は図4に示すように、第一のフィルタ回路55aと、第
二のフィルタ回路55bとを有する。ここで、角速度セ
ンサ54からの出力値が小さいときには、角速度センサ
54からの出力を増幅器を介して第一のフィルタ回路5
5a及び第二のフィルタ回路55bに入力させるように
してもよい。第一のフィルタ回路55aと第二のフィル
タ回路55bはそれぞれ、図4に示すように、抵抗91
a,91bと、コンデンサ92a,92bと、オペアン
プ93とにより構成される。第一のフィルタ回路55a
では、抵抗91a,91bの抵抗値はともにR1 で、コ
ンデンサ92a,92bの容量はともにC1 である。ま
た、第二のフィルタ回路55bでは、抵抗91a,91
bの抵抗値はともにR2 で、コンデンサ92a,92b
の容量はともにC2 である。
【0018】第一のフィルタ回路55aと第二のフィル
タ回路55bはともにローパスフィルタ(低周波通過フ
ィルタ)としての機能を有するが、第一のフィルタ回路
55aは、第二のフィルタ回路55bに比べて、カット
オフ周波数が低い。すなわち、第一のフィルタ回路55
aのカットオフ周波数をfC1、第二のフィルタ回路55
bのカットオフ周波数をfC2とすると、fC1<fC2であ
る。ここで、カットオフ周波数fC1,fC2はそれぞれ、
C1=1/2πR1 1 、fC2=1/2πR22 で定
義される。図5は各周波数fの信号に対する第一のフィ
ルタ回路55aと第二のフィルタ回路55bの出力利得
を示す図である。周波数fがfC1以下である信号に対し
ては、第一のフィルタ回路55a及び第二のフィルタ回
路55bはともに通過させる。しかし、周波数fがfC1
<f<fC2の範囲である信号に対しては、第一のフィル
タ回路55aは遮断し、一方、第二のフィルタ回路55
bは通過させる。このため、第二のフィルタ回路55b
はカットオフ周波数fC2がカットオフ周波数fC1より高
い分だけ、第一のフィルタ回路55aに比べて雑音に弱
い。
【0019】尚、カットオフ周波数が高いほど、回路の
時定数が小さくなる。このため、第二のフィルタ回路5
5bの時定数は、第一のフィルタ回路55aの時定数に
比べて小さい。第一のフィルタ回路55aから出力され
た信号は、A/D変換器56aでディジタル信号に変換
された後、制御部53に供給される。また、第二のフィ
ルタ回路55bから出力された信号は、A/D変換器5
6bでディジタル信号に変換された後、制御部53に供
給される。このように、本実施形態では、角速度センサ
54から出力される角速度は、二つの系統により制御部
53に送られる。制御部53では、後述するように、処
理の内容に応じて、二系統の角速度のうちのいずれか一
方が使用される。
【0020】制御部53は、受信レベル検出器51で検
出された受信レベルと、角速度センサ54で検出された
角速度とに基づいて、アンテナ10の方位角を追尾制御
するための回転方向、回転速度及び回転角度を決定す
る。この決定した回転方向、回転速度及び回転角度に応
じた信号が回転機構部60のパルスモータ62に送られ
て、アンテナ10の方位角が制御される。尚、本実施形
態では、回転角度はパルスモータ62に供給するパルス
個数により設定され、また、回転速度はパルスモータ6
2に供給されるパルスの時間間隔を変更することによっ
て変更される。
【0021】制御部53は、具体的には、スイーピング
制御及びピーク制御という二つの基本制御を組み合わせ
て、アンテナ10の追尾制御を行う。スイーピング制御
は、アンテナ10の方位角を最大360°にわたって変
化させながら衛星の方向を探索するものである。ピーク
制御は、受信レベルが最大となるピーク角度を見いだす
ものである。
【0022】また、ピーク制御は、微分制御と、G/M
(ジャイロ/モータ速度)制御との二つの制御からな
る。微分制御は、角速度センサ54で検出された角速度
が小さい場合、すなわち外乱が小さい場合に行われるも
のであり、受信レベルの変化分に比例した回転速度でア
ンテナ10を所定の回転角度ずつ回転させながら、受信
レベルのピーク角度を見いだす。これに対し、G/M制
御は、角速度センサ54で検出された角速度が大きい場
合、すなわち外乱が大きい場合に行われるものであり、
角速度に基づいて決定された回転速度及び回転角度で、
アンテナ10を回転させることにより、アンテナ10の
方位角をピーク角度方向に一致させる。
【0023】かかるG/M制御を行うために、制御部5
3には、第一の処理部53aと、第二の処理部53bと
が設けられている。第一の処理部53aは、角速度セン
サ54で検出された角速度ωに基づいて、大きな外乱に
よってずれたアンテナ10の方位角を元に戻すための回
転速度V及び回転角度θを決定するものである。また、
第二の処理部53bは、受信レベル検出器51で検出さ
れた受信レベルLが所定の基準レベル(これは後述する
しきい値L2 である。)を越えていないときに、その検
出された受信レベルLと基準レベルL2 とに基づいて、
受信レベルLが基準レベルL2 よりも大きくなるよう
に、第一の処理部53aで得られたアンテナ10の回転
速度V及び回転角度θの各々についての補正量δV,δ
θを決定するものである。具体的には、角速度ωの大き
さとアンテナ10の回転速度V及び回転角度θとの対応
関係を定めた第一の対応テーブル、受信レベルL及び基
準レベルL2 の大きさと補正量δV,δθとの対応関係
を定めた第二の対応テーブルをメモリ等に予め記憶して
おく。そして、第一の処理部53a及び第二の処理部5
3bは、これらの対応テーブルに基づいて、回転速度V
及び回転角度θや、補正量δV,δθを求める。
【0024】ここで、G/M制御は、受信レベル及びそ
の変化分の検出とアンテナ10の微小な回転とを繰り返
す微分制御とは異なり、角速度に基づいて、大きな外乱
を打ち消すようにアンテナ10の方位角を制御するもの
であるため、第一の処理部53aで決定されるアンテナ
10の回転速度と回転角度は、一般に、微分制御で設定
されるものに比べて大きい。
【0025】ところで、大きな外乱があったとき、例え
ば移動体が急激な旋回を行ったときに、角速度センサ5
4から外乱に応じた正確な角速度が出力されると共に、
その角速度に応じた信号が時間的にロスなく制御部53
を介して回転機構部60のパルスモータ62に伝われ
ば、第一の処理部53aで決定された回転速度V及び回
転角度θを用いることにより、アンテナ10の方位角を
良好に制御することが可能である。しかしながら、実際
には、第一の処理部53aで決定された回転速度V及び
回転角度θにはさまざな誤差が含まれる。このため、か
かる回転速度V及び回転角度θを用いて、アンテナ10
の方位角を制御しても、受信レベルが低下することがあ
る。例えば、移動体は旋回するときに傾きながら回るの
で、角速度センサ54から外乱に応じた正確な角速度が
出力されるとは限らない。しかも、個々の角速度センサ
には個体差による出力のばらつきがあり、使用する角速
度センサに応じて、アンテナ10が速く回転したり、遅
く回転したりすることがある。このように、角速度セン
サ54が角速度を出力する際の出力誤差がある。また、
角速度センサ54から出力される角速度を制御部53に
認識させるには、その角速度をA/D変換器56a,5
6bに通さなければならない。このため、角速度センサ
54からの出力についてのサンプリング誤差が生じる。
さらに、第一の処理部53aは第一の対応テーブルを用
いて回転速度Vや回転角度θを決定するが、第一の対応
テーブルには、回転速度Vや回転角度θとしてある桁以
下を切り捨てたり切り上げたりした近似値が記載されて
いるため、回転速度Vや回転角度θを決定する際の誤差
もある。
【0026】第二の処理部53bは、上記のような、角
速度センサ54の出力誤差と、サンプリング誤差と、回
転速度V及び回転角度θを決定する際の誤差とを考慮し
て作成された第二の対応テーブルを参照して、アンテナ
10の回転速度Vについての補正量δVと、アンテナ1
0の回転角度θについての補正量δθとを決定する。す
なわち、補正量δV,δθはそれぞれ、角速度センサ5
4の出力誤差による補正量δV1 ,δθ1 と、サンプリ
ング誤差による補正量δV2 ,δθ2 と、回転速度V及
び回転角度θを決定する際の誤差による補正量δV3
δθ3 とを含む。但し、補正量δV,δθは、正の値だ
けでなく、負の値をとることもある。そして、制御部5
3は、第一の処理部53aで得られたアンテナ10の回
転速度Vと回転角度θの各々に、第二の処理部53bで
得られた補正量δV,δθを加算し、その加算された回
転速度V+δVと回転角度θ+δθに応じた信号を回転
機構部60のパルスモータ62に出力する。
【0027】ここで、ローパスフィルタ回路55に、第
一のフィルタ回路55a、第二のフィルタ回路55bと
いう二つの回路を設けた理由について説明する。カット
オフ周波数の高いローパスフィルタ回路は移動体の振動
に弱いという性質がある。すなわち、移動体があまり旋
回していなくとも、振動すれば、そのローパスフィルタ
回路からの出力には、移動体の振動による雑音が含まれ
てしまう。この雑音を除去するためには、カットオフ周
波数の低い、すなわち時定数の大きい第一のフィルタ回
路55aを用いればよい。一方、G/M制御は大きな外
乱があったときに行われるので、角速度センサ54で検
出された角速度をなるべく速く制御部53に出力して、
アンテナ10の追尾制御を迅速に行う必要がある。この
ため、G/M制御では、時定数の小さい第二のフィルタ
回路55bから出力される信号を用いることが望まし
い。しかも、G/M制御では角速度センサ54で検出さ
れる角速度が大きいので、第二のフィルタ回路55bか
らの出力に対する移動体の振動の影響は無視することが
できる。したがって、本実施形態では、微分制御とG/
M制御との切り替えを判断する際には、時定数の大きな
第一のフィルタ回路55aを介して出力される雑音の少
ない信号を用い、G/M制御においては、時定数の小さ
な第二のフィルタ回路55bを介して出力される信号を
用いることにしている。これが、時定数の異なる第一の
フィルタ回路55aと第二のフィルタ回路55bを設け
た理由である。
【0028】次に、制御部53が行うアンテナ10の追
尾制御の処理内容を具体的に説明する。尚、以下では、
説明の簡略化のために、制御部53が角速度センサ54
からの角速度ω、又は受信レベル検出器51からの受信
レベルLを受け取ることを、制御部53が角速度ω、又
は受信レベルLを検出するとも表現することにする。図
6は受信レベルLの各しきい値を説明するための図であ
る。本実施形態では、移動体の移動に伴って時々刻々と
変化する受信レベルLに応じて、アンテナ10の追尾制
御を効率よく実行するために、受信レベルLに関して、
四つのしきい値L1 ,L2 ,L3 ,L4 を定義してい
る。かかるしきい値L1 ,L2 ,L3 ,L4 は、図6に
示すように、受信レベルLのピーク値Lp に対する比率
(相対値)で定義される。ここで、ピーク値Lp は、制
御部53が検出した最新の受信レベルLのうちの最大値
である。しきい値L1 は、ピーク値Lp よりも多少小さ
い値、例えば、ピーク値Lp の93%値である。受信レ
ベルLがしきい値L1 を越えている限りは、微分制御に
おいてアンテナ10の回転による追尾精度の更改は行わ
れない。しきい値L3 は画像に関するしきい値である。
受信レベルLがしきい値L3 以上であれば、テレビジョ
ン受像機3に画像が映るが、しきい値L3 よりも小さい
と、テレビジョン受像機3の画像が落ちてしまう。しき
い値L2 は、しきい値L3 より大きく、しきい値L1
りは多少小さい値である。G/M制御において、受信レ
ベルLがしきい値L2 よりも低下すると、回転速度V及
び回転角度θについての補正量δV,δθが決定され
る。また、しきい値L4 は、しきい値L3 より小さく、
しかもピーク値Lp に比べて相当小さな値、例えば、ピ
ーク値Lp の20%値である。受信レベルLがしきい値
4 よりも低下すると、大きな角度誤差が発生したもの
と見なされる。この場合、制御部53は、スイーピング
制御の実行を開始する。
【0029】最初に、制御部53が実行するスイーピン
グ制御について説明する。図7はスイーピング制御を説
明するためのフローチャートである。スイーピング制御
は、受信レベルがしきい値L4 を越えないというよう
な、大きな追尾誤差の状態が所定期間にわたって継続し
ている場合、極端に言えば追尾中に衛星方向を見失って
しまった場合や、電源投入直後に追尾動作を開始する場
合に実行される衛星方向の探索制御である。
【0030】制御部53は、追尾動作中に衛星方向を見
失ってしまうと、スイーピング制御の実行を開始する。
まず、現在の回転角度を中心にして最大限±5°の範囲
にわたってアンテナ10を回動させながら受信レベルL
を検出し、これがしきい値L 4 を越えたか否かを判定す
る(step11)。受信レベルLがしきい値L4 を越えない
と判定すると、次に、制御部53は、現在の回転角度を
中心にして最大限±20°の範囲にわたってアンテナ1
0を回動させながら受信レベルLを検出し、これがしき
い値L4 を越えたか否かを判定する(step12)。以下、
同様にして、制御部53は、受信レベルLがしきい値L
4 を越えるまで、アンテナ10の回動範囲を±90°、
±180°という具合に段階的に増加させながらスイー
ピング制御を実行する(step13,step14)。制御部53
は、step11〜14のいずれかにおいて、受信レベルLがし
きい値L4 を越えたと判定すると、この結果を生じさせ
たアンテナ10の回転方向を保持し(step15)、ピーク
制御の実行に移行する。
【0031】また、電源投入がされた直後に行うスイー
ピング制御にあっては、上記のstep14から処理が開始さ
れる。すなわち、制御部53は、現在の回転角を中心に
して360°の範囲にわたってアンテナ10を回転させ
ながら受信レベルLを検出し、これがしきい値L4 を越
えたか否かを判定する(step14)。そして、受信レベル
Lがしきい値L4 を越えたと判定すると、step15に移行
する。
【0032】尚、step11〜14の各々は、便宜上、単一の
ステップで表現されている。しかしながら、これら各ス
テップにおいては、具体的には、アンテナ10を所定の
角度(例えば、1°)だけ回転させる処理と、新たな受
信レベルLを検出する処理と、この受信レベルLとしき
い値L4 とを比較する処理とからなる一連の処理が、回
転方向のそれぞれについて、最大回転角度を上記所定の
角度で割った値に等しい数だけ実行される。
【0033】次に、制御部53が実行するピーク制御に
ついて説明する。図8はピーク制御を説明するためのフ
ローチャート、図9は微分制御を説明するためのフロー
チャート、図10はG/M制御を説明するためのフロー
チャートである。ピーク制御は、主として、スイーピン
グ制御の実行の結果、受信レベルLがしきい値L4 より
も大きいと判定された場合に行われる。
【0034】制御部53は、ピーク制御の実行を開始す
ると、図8のフローに従って、まず、角速度ωを検出
し、その角速度ωが所定の基準値ω0 を越えているか否
かを判断する(step21)。角速度ωが基準値ω0 を越え
ていなければ、微分制御を行い(step22)、一方、角速
度ωが基準値ω0 を越えていれば、G/M制御を行う
(step23)。ここで、step21の処理は、第一のフィルタ
回路55aを介して入力される角速度ωを用いて行われ
る。また、所定の基準値ω0 は、角速度ωがω0 以上の
ときに微分制御を行ったのでは、受信レベルが著しく低
下してしまうような値(経験値)であり、一般には、使
用するアンテナ等により異なる。
【0035】制御部53は、微分制御の実行を開始する
と、図9のフローに従って、まず、受信レベルLとその
変化分ΔLとを検出する(step31)。ここで、受信レベ
ルLの変化分ΔLは、直前に実行されていた追尾制御が
微分制御であるときには、今回の微分制御で新たに検出
した受信レベルから前回の微分制御で検出した受信レベ
ルを減算することにより得られる。また、微分制御が今
回新たに行われるときには、受信レベルを検出した後、
アンテナ10の回転速度を所定の値に設定し、アンテナ
10を所定の回転方向に所定角度だけ回転させる。そし
て、アンテナ10の回転後の受信レベルからアンテナ1
0の回転前の受信レベルを減算することにより、受信レ
ベルの変化分ΔLを求める。
【0036】次に、制御部53は、step31で検出した受
信レベルLがしきい値L1 を越えているか否かを判定す
る(step32)。その受信レベルLがしきい値L1 を越え
ていなければ、制御部53は、衛星方向を正確に捕捉し
ていないと判断して、受信レベルLの変化分ΔLに基づ
いて、アンテナ10の回転速度Vを決定する(step3
3)。このアンテナ10の回転速度Vは受信レベルLの
変化分ΔLに比例した値である。例えば、アンテナ10
の方向がピーク角度に近づくほど、受信レベルLの変化
分ΔLは小さくなる。このため、アンテナ10の回転速
度Vは、アンテナ10の方向がピーク角度に近づくにし
たがって小さくなる。また、このとき、制御部53は、
アンテナ10を回転すべき方向を確定する。例えば、受
信レベルLの変化分ΔLが正の値である場合には、これ
までと同じ回転方向を回転すべき方向とする。そして、
受信レベルLの変化分ΔLが負の値である場合には、こ
れまでと逆の回転方向を回転すべき方向とする。
【0037】その後、制御部53は、その決定したアン
テナ10の回転速度Vと所定の回転角度Δθに応じた信
号をパルスモータ62に出力する(step34)。ここで、
回転角度を「Δθ」と記載したのは、微分制御における
回転角度が微小な値であることを示すためである。こう
してstep34の処理が終了すると、また、step32におい
て、新たな受信レベルLがしきい値L1 を越えたと判定
されると、図9のフローを抜けて、再度、図8のフロー
のstep21から処理が行われる。
【0038】かかる微分制御を繰り返すことにより、受
信レベルLがそのピーク値Lp に十分接近し、アンテナ
10がピーク角度方向を向くようになる。これにより、
アンテナ10の回転速度Vが小さくなり、大きな外乱が
なければ、アンテナ10はピーク角度方向に保持され
る。次に、G/M制御について説明する。図8のstep21
において角速度ωが基準値ω0 を越えていると判定され
ると、制御部53は、第二のフィルタ回路55bを介し
て入力される角速度ωを用いて、G/M制御を行う。制
御部53は、図10のフローに従って、まず、角速度ω
を検出した後(step41)、その検出した角速度ωに基づ
いて、アンテナ10の回転速度V及び回転角度θを決定
する(step42)。また、このとき、その角速度ωの極性
によって示される移動体の旋回方向と逆方向にアンテナ
10を回転させるように、アンテナ10を回転すべき方
向を確定する。
【0039】次に、制御部53は、受信レベルLを検出
し(step43)、その検出した受信レベルLが所定の基準
レベル(しきい値L2 )を越えているか否かを判断する
(step44)。受信レベルLがしきい値L2 を越えていれ
ば、制御部53は、前回行われたG/M制御又は微分制
御によって受信レベルが十分回復しており、今回のG/
M制御において、回転速度V及び回転角度θについての
補正量を考慮しなくとも、アンテナ10を良好に制御で
きると判断する。そして、step42で決定したアンテナ1
0の回転速度Vと回転角度θに応じた信号をパルスモー
タ62に出力する(step47)。パルスモータ62は、か
かる回転速度Vで回転角度θだけ所定の方向にアンテナ
10を回転させる。
【0040】一方、step44において、受信レベルLがし
きい値L2 を越えていないと判定されると、制御部53
は、受信レベルLとしきい値L2 との差に基づいて、ア
ンテナ10の回転速度V及び回転角度θの各々について
の補正量δV,δθを決定する(step45)。そして、制
御部53は、step42で決定された回転速度Vと、step45
で決定された補正量δVとを加算すると共に、step42で
決定された回転角度θと、step45で決定された補正量δ
θとを加算する(step46)。こうして加算されたアンテ
ナ10の回転速度V+δVと回転角度θ+δθに応じた
信号は、パルスモータ62に出力され(step47)、パル
スモータ62は、かかる回転速度V+δVで回転角度θ
+δθだけ所定の方向にアンテナ10を回転させる。
【0041】こうしてstep47の処理が終了すると、図1
0のフローを抜けて、再度、図8のフローのstep21から
処理が行われる。次に、本実施形態の移動体搭載用アン
テナの追尾制御装置において行われるピーク制御を具体
的に説明する。図11(a)は制御部53が検出する角
速度ωの一例を示す図、図11(b)は図11(a)の
ときにパルスモータ62に出力されるパルス信号の一例
を示す図、図11(c)は図11(a)のときにピーク
制御を行って得られる受信レベルの一例を示す図であ
る。尚、図11(a),(b),(c)の各図において
横軸は時間を表す。また、図11(b)の縦軸はパルス
の個数を表す。
【0042】いま、移動体を始めにゆっくり旋回し、徐
々に急激に旋回した後、再びゆっくり旋回して直進させ
る場合を考える。この場合、制御部53が検出する角速
度ωは、図11(a)に示すように、最初、ほとんどゼ
ロの値から徐々に大きくなり、時刻t1 で所定の基準値
ω0 を越えるようになる。そして、角速度ωは、時刻t
p でピーク値をとった後、減少に転じて、徐々にゼロに
近づく。角速度ωが基準値ω0 よりも小さい、時刻t1
までの期間及び時刻t2 以後は、微分制御が行われ、ま
た、角速度ωが基準値ω0 以上である時刻t1 から時刻
2 までの期間は、G/M制御が行われる。
【0043】微分制御では、図11(c)に示すよう
に、例えば時刻t11で、受信レベルLがしきい値L1
りも低くなると、制御部53は、受信レベルLの変化分
ΔLに基づいてアンテナ10の回転速度Vを決定する。
そして、図11(b)に示すように、その決定した回転
速度Vに対応するパルス幅と、所定の回転角度Δθに対
応するパルス個数とをパルスモータ62に出力する。こ
れにより、アンテナ10はピーク角度方向に向けられ、
受信レベルLがしきい値L1 以上に回復する。しかし、
移動体はその後も回転しているため、直ぐに、受信レベ
ルLが、しきい値L1 よりも低くなる。このため、制御
部53は、図11(c)に示すように、受信レベルLが
しきい値L1 よりも低くなる度に、所定のパルス幅とパ
ルス個数とをパルスモータ62に出力する。
【0044】その後、時刻t1 で、角速度ωが基準値ω
0 を越えると、制御部53は、G/M制御を行う。かか
るG/M制御では、制御部53は、受信レベルLがしき
い値L2 を越えているときには、角速度ωに基づいてア
ンテナ10の回転速度Vと回転角度θとを決定し、その
決定した回転速度Vに対応するパルス幅と、回転角度θ
に対応するパルス個数とをパルスモータ62に出力す
る。G/M制御では、アンテナ10をピーク角度方向
に、移動体の大きな旋回に対応する角度だけ素早く戻す
ため、回転速度Vと回転角度θは、微分制御の場合に比
べて、一般に大きい。このため、G/M制御では、図1
1(b)に示すように、パルス信号は、微分制御の場合
に比べて、頻繁にパルスモータ62に出力される。
【0045】ところで、G/M制御において、角速度ω
に基づいて決定されたアンテナ10の回転速度Vと回転
角度θには、各種の誤差が含まれているため、図11
(c)に示すように、例えば時刻t12で受信レベルLが
しきい値L2 よりも低下することがある。かかる場合に
は、制御部53は、受信レベルLとしきい値L2 との差
に基づいて、回転速度Vについての補正量δVと回転角
度θについての補正量δθとを決定する。そして、図1
1(b)に示すように、補正した回転速度V+δVと回
転角度θ+δθに応じた信号をパルスモータ62に出力
する。これにより、図11(c)に示すように、受信レ
ベルLはしきい値L2 以上に回復する。こうして、アン
テナ10をピーク角度方向に向けることができ、移動体
が急激な旋回をしても、図11(c)に示すように、受
信レベルは大幅に低下することはない。
【0046】本実施形態の移動体搭載用アンテナの追尾
制御装置では、制御部は、G/M制御において、角速度
センサで検出された角速度に基づいてアンテナの回転速
度及び回転角度を決定すると共に、受信レベル検出器で
検出された受信レベルが所定の基準レベルを越えていな
いときには、その受信レベルと基準レベルとに基づい
て、受信レベルが基準レベルよりも大きくなるように、
アンテナの回転速度及び回転角度についての補正量を決
定する。かかるアンテナの回転速度及び回転角度と補正
量とに基づいて、アンテナを方位角方向に回転制御する
ことにより、アンテナを所望の方位角方向に迅速且つ正
確に向けることができる。このため、本実施形態の移動
体搭載用アンテナの追尾制御装置では、アンテナの追従
性の向上を図ると共に、アンテナの方位角を高精度に制
御することができる。
【0047】尚、本発明は上記の実施形態に限定される
ものではなく、その要旨の範囲内において種々の変形が
可能である。例えば、上記の実施形態において、制御部
は、G/M制御を行う際に、前回のG/M制御の結果に
応じて、第二の処理部で得られた補正量についてさらに
微調整を行うようにしてもよい。この場合、制御部に
は、第一の処理部及び第二の処理部に加えて、第三の処
理部を設ける。この第三の処理部は、第一の処理部で得
られた回転速度及び回転角度と第二の処理部で得られた
補正量とに基づいて行った前回のG/M制御の結果、受
信レベル検出器で今回検出された受信レベルLが基準レ
ベルL2 を越えていないときに動作する。そして、第三
の処理部は、受信レベル検出器で検出された受信レベル
の変化の状況に基づいて、受信レベルが基準レベルより
も大きくなるように、第二の処理部で得られた補正量に
対する調整量を決定する。ここで、受信レベルの変化の
状況は、前回のG/M制御の際に検出された受信レベル
と、前回のG/M制御の結果を表す今回検出された受信
レベルとの差から求められる。例えば、受信レベルが下
降ぎみの傾向にあるときには、アンテナの回転角度をさ
らに増加させるように調整量を決定する。また、具体的
には、第三の処理部は、受信レベルの変化量と調整量と
の対応関係を予め定めた対応テーブルを参照して、調整
量を求める。そして、制御部は、第一の処理部で得られ
たアンテナの回転速度及び回転角度と、第二の処理部で
得られた補正量と、第三の処理部で得られた調整量とに
基づいて、アンテナを方位角方向に回転制御する。かか
る第三の処理部を設けることにより、G/M制御におい
て、アンテナの方位角をより一層高精度に制御すること
ができる。
【0048】また、上記の実施形態では、アンテナ装置
をアンテナユニット部1とチューナユニット部2とに分
けて構成した場合について説明したが、例えば、アンテ
ナ装置としては、アンテナ10、コンバータ20、チュ
ーナ40及び追尾制御装置50を回転機構部60上に載
せた一体型のものを用いてもよい。更に、上記の実施形
態において、微分制御の代わりに、ステップトラック制
御を行ってもよい。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、移
動体の角速度が所定の基準値を越えている場合、角速度
に基づいてアンテナの回転速度及び回転角度を決定する
と共に、受信レベルが所定の基準レベルを越えていない
ときには、その受信レベルと基準レベルとに基づいて、
受信レベルが基準レベルよりも大きくなるように、角速
度に基づいて決定されたアンテナの回転速度及び回転角
度についての補正量を決定する。かかるアンテナの回転
速度及び回転角度と補正量とに基づいて、アンテナを方
位角方向に回転制御することにより、アンテナを所望の
方位角方向に迅速且つ正確に向けることができる。この
ため、アンテナの追従性の向上を図ると共に、アンテナ
の方位角を高精度に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である移動体搭載用アンテ
ナの追尾制御装置を適用したアンテナ装置の概略ブロッ
ク図である。
【図2】そのアンテナ装置を自動車に搭載した場合の概
略構成図である。
【図3】(a)はアンテナ装置のアンテナユニット部の
概略平面図、(b)はそのアンテナ装置のアンテナユニ
ット部の概略側面図である。
【図4】そのアンテナ装置におけるローパスフィルタ回
路の概略回路図である。
【図5】各周波数の信号に対する第一のフィルタ回路と
第二のフィルタ回路の出力利得を示す図である。
【図6】受信レベルの各しきい値を説明するための図で
ある。
【図7】スイーピング制御を説明するためのフローチャ
ートである。
【図8】ピーク制御を説明するためのフローチャートで
ある。
【図9】ピーク制御のうち微分制御を説明するためのフ
ローチャートである。
【図10】ピーク制御のうちG/M制御を説明するため
のフローチャートである。
【図11】(a)は制御部が検出する角速度の一例を示
す図、(b)は(a)のときにパルスモータに出力され
るパルス信号の一例を示す図、(c)は(a)のときに
ピーク制御を行って得られる受信レベルの一例を示す図
である。
【図12】受信レベルとアンテナの回転角度との関係の
一例を示す図である。
【符号の説明】
1 アンテナユニット部 2 チューナユニット部 3 テレビジョン受像機 10 アンテナ 20 コンバータ 30 回転結合器 40 チューナ 50 追尾制御装置 51 受信レベル検出器 52 A/D変換器 53 制御部 53a 第一の処理部 53b 第二の処理部 54 角速度センサ 55 ローパスフィルタ回路 55a 第一のフィルタ回路 55b 第二のフィルタ回路 56a,56b A/D変換器 60 回転機構部 61 モータ駆動回路 62 パルスモータ 63 減速機 64 ドライブベルト 65 回転部 66 回転テーブル 71 レドーム 72 ベースプレート

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 移動体に搭載されたアンテナの方位角を
    所望の角度に設定する移動体搭載用アンテナの追尾制御
    装置であって、 前記移動体が旋回したときに発生する角速度を検出する
    角速度検出手段と、 前記角速度検出手段で検出された角速度に基づいて、前
    記移動体の旋回によってずれた前記アンテナの方位角を
    元に戻すための前記アンテナの回転速度及び回転角度を
    決定する第一の処理手段と、 前記アンテナが受信した信号の受信レベルを検出するレ
    ベル検出手段と、 前記レベル検出手段で検出された受信レベルが所定の基
    準レベルを越えていないときに、前記レベル検出手段で
    検出された受信レベルと前記基準レベルとに基づいて、
    受信レベルが前記基準レベルよりも大きくなるように、
    前記第一の処理手段で決定された前記アンテナの回転速
    度及び回転角度の各々についての補正量を決定する第二
    の処理手段と、 前記角速度検出手段で検出された角速度が所定の基準値
    を越えているときに、前記第一の処理手段で決定された
    前記アンテナの回転速度及び回転角度と前記第二の処理
    手段で決定された前記補正量とに基づいて、前記アンテ
    ナを方位角方向に回転制御する制御手段と、 を具備することを特徴とする移動体搭載用アンテナの追
    尾制御装置。
  2. 【請求項2】 前記第二の処理手段で決定される前記補
    正量は、前記角速度検出手段が角速度を出力する際の出
    力誤差による補正量と、前記角速度検出手段からの出力
    についてのサンプリング誤差による補正量と、前記第一
    の処理手段が前記アンテナの回転速度及び回転角度を決
    定する際の誤差による補正量とを含むことを特徴とする
    請求項1記載の移動体搭載用アンテナの追尾制御装置。
  3. 【請求項3】 前記レベル検出手段で検出された受信レ
    ベルが所定の基準レベルを越えていないときに、前記レ
    ベル検出手段で検出された受信レベルの変化の状況に基
    づいて、受信レベルが前記基準レベルよりも大きくなる
    ように、前記第二の処理手段で得られた前記補正量に対
    する調整量を決定する第三の処理手段を備え、前記制御
    手段は、前記角速度検出手段で検出された角速度が所定
    の基準値を越えているときに、前記第一の処理手段で決
    定された前記アンテナの回転速度及び回転角度と、前記
    第二の処理手段で決定された前記補正量と、前記第三の
    処理手段で決定された前記調整量とに基づいて、前記ア
    ンテナを方位角方向に回転制御することを特徴とする請
    求項1又は2記載の移動体搭載用アンテナの追尾制御装
    置。
  4. 【請求項4】 前記角速度検出手段で検出された角速度
    に関する信号のうち第一のカットオフ周波数より低い周
    波数の信号を通過させる第一のローパスフィルタ回路
    と、前記第一のカットオフ周波数よりも高い第二のカッ
    トオフ周波数を有し、前記角速度検出手段で検出された
    角速度に関する信号のうち前記第二のカットオフ周波数
    より低い周波数の信号を通過させる第二のローパスフィ
    ルタ回路とを設け、前記制御手段は、前記第一のローパ
    スフィルタ回路からの出力を用いて、角速度が前記基準
    値以下であるかどうかを判断し、前記第一の処理手段
    は、前記第二のローパスフィルタ回路からの出力を用い
    て、前記アンテナの回転速度及び回転角度を決定するこ
    とを特徴とする請求項1、2又は3記載の移動体搭載用
    アンテナの追尾制御装置。
  5. 【請求項5】 移動体に搭載されたアンテナの方位角を
    所望の角度に設定する移動体搭載用アンテナの追尾制御
    方法であって、 前記移動体が旋回したときに発生する角速度を検出する
    第一の工程と、 前記第一の工程で検出された角速度に基づいて、前記移
    動体の旋回によってずれた前記アンテナの方位角を元に
    戻すための前記アンテナの回転速度及び回転角度を決定
    する第二の工程と、 前記アンテナが受信した信号の受信レベルを検出する第
    三の工程と、 前記第三の工程で検出された受信レベルが所定の基準レ
    ベルを越えていないときに、前記第三の工程で検出され
    た受信レベルと前記基準レベルとに基づいて、受信レベ
    ルが前記基準レベルよりも大きくなるように、前記第二
    の工程で決定された前記アンテナの回転速度及び回転角
    度の各々についての補正量を決定する第四の工程と、 前記第一の工程で検出された角速度が所定の基準値を越
    えているときに、前記第二の工程で決定された前記アン
    テナの回転速度及び回転角度と前記第四の工程で決定さ
    れた前記補正量とに基づいて、前記アンテナを方位角方
    向に回転制御する第五の工程と、 を具備することを特徴とする移動体搭載用アンテナの追
    尾制御方法。
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GB2398171A (en) * 2003-02-04 2004-08-11 Graham Michael Loader Antenna and mounting apparatus for an antenna
JP2006086753A (ja) * 2004-09-15 2006-03-30 Matsushita Electric Ind Co Ltd 受信装置及び受信方法
KR100985553B1 (ko) 2008-07-07 2010-10-05 엘아이지넥스원 주식회사 안테나 안정화 장치

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