JPH11143001A - ハロゲン化銀乳剤の製造方法及びハロゲン化銀写真感光材料 - Google Patents

ハロゲン化銀乳剤の製造方法及びハロゲン化銀写真感光材料

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JPH11143001A
JPH11143001A JP31341997A JP31341997A JPH11143001A JP H11143001 A JPH11143001 A JP H11143001A JP 31341997 A JP31341997 A JP 31341997A JP 31341997 A JP31341997 A JP 31341997A JP H11143001 A JPH11143001 A JP H11143001A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高感度でありながらカブリが少なく、相反則
不軌特性、保存性の改良されたハロゲン化銀乳剤の製造
方法及びそれを用いたハロゲン化銀写真感光材料の提
供。 【解決手段】 ハロゲン化銀写真感光材料に用いるハロ
ゲン化銀乳剤の製造方法において、ハロゲン化銀吸着性
物質吸着時の乳剤温度よりも低い乳剤温度で化学熟成す
る事を特徴とするハロゲン化銀乳剤の製造方法及びハロ
ゲン化銀写真感光材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はハロゲン化銀写真感
光材料に関するものであり、更に詳しくは、高感度であ
りながらカブリが少なく、相反則不軌特性、保存性の改
良されたハロゲン化銀乳剤の製造方法及びそれを用いた
ハロゲン化銀写真感光材料に関する。
【0002】
【従来の技術】ハロゲン化銀カラ−写真感光材料は極め
て完成度の高い成熟製品と言われている一方、要求され
る性能は、高感度、高画質、保存条件による性能変動が
少ない等多岐にわたり、更に今後は現像進行性などを早
めた迅速処理適性を加味する必要があり、その要求レベ
ルは近年益々高まってきている。
【0003】特に高感度化という点では、昨今のデジタ
ルカメラの技術進歩により、ハロゲン化銀感光材料の優
位性を保持するためにはカブリを低く抑えたままかつ保
存性と両立する更なる高感度化が必要である。
【0004】ハロゲン化銀乳剤の高感度化技術、すなわ
ち増感技術は、ハロゲン化銀乳剤の製造方法に関するも
の、ハロゲン化銀乳剤の化学増感に関するもの、ハロゲ
ン化銀乳剤の分光増感に関するもの、ハロゲン化銀感光
材料の設計方法によるもの、ハロゲン化銀感光材料の現
像プロセスに関するもの等々、各種の方法が知られてい
るが、その中でも最も好ましく且つ本質的な方法はハロ
ゲン化銀結晶の感光過程での非効率を軽減させ量子効率
を向上させることである。その手段の一つとして化学増
感があり、硫黄増感、セレン増感、テルル増感などのカ
ルコゲン増感や、金などの貴金属を用いる貴金属増感
や、還元剤を用いる還元増感があり、これらを単独ある
いは組み合わせて用いられている。中でも硫黄増感やセ
レン、テルル増感に金増感を併用すると、ともに著しい
感度増加が得られるが、同時にカブリも上昇する。特に
金−硫黄増感に比べ金−セレン、テルル増感は特にカブ
リ上昇が大きく、カブリの発生を抑える技術、更に保存
時のカブリ、感度変動の少ない増感技術開発が望まれて
いた。また実用の多くのハロゲン化銀粒子は粒子サイズ
分布や平均沃化銀含有率分布などを有しており、この様
な系で最適に分光増感され、かつ最適に化学増感されて
いるが、ハロゲン化銀粒子間及び粒子内の均一性と言う
点においては十分なレベルに至っていない。
【0005】写真用添加剤の添加方法を開示した特許と
しては、例えば特開平4−12344号、同4−125
633号、同5−80445号、同7−219094号
等があるが、これらは吸着物質を低温で吸着させるとい
ったハロゲン化銀への均一な吸着を意識したものであ
り、本発明とは異なるものである。
【0006】金増感剤とカルコゲン増感剤の添加順序や
添加時期の間隔について特開平5−127289号、同
7−209791号で開示されているが、本発明の特徴
である化学熟成時の温度履歴と増感剤の添加順序の組み
合わせについては記載がなく本発明の公知例とはなり得
ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は高感度
でありながらカブリが少なく、相反則不軌特性、保存性
の改良されたハロゲン化銀乳剤の製造方法及びそれを用
いたハロゲン化銀写真感光材料を提供する事にある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的は、下
記構成により達成された。
【0009】(1) ハロゲン化銀吸着性物質を添加
後、化学熟成を行うハロゲン化銀乳剤の製造方法におい
て、ハロゲン化銀吸着性物質を添加後、化学熟成前に化
学熟成時よりも高い乳剤温度を経る事を特徴とするハロ
ゲン化銀乳剤の製造方法。
【0010】(2) 前記化学熟成において、金増感剤
を添加し均一混合した後にカルコゲン増感剤を添加する
事により化学熟成する事を特徴とする前記1記載のハロ
ゲン化銀乳剤の製造方法。
【0011】(3) 求核剤の存在下で化学熟成する事
を特徴とする前記1又は2記載のハロゲン化銀乳剤の製
造方法。
【0012】(4) 粒子形成過程において還元増感さ
れたハロゲン化銀粒子からなるハロゲン化銀乳剤である
ことを特徴とする前記1、2または3に記載のハロゲン
化銀乳剤の製造方法。
【0013】(5) 支持体上の少なくとも一方の側に
少なくとも一層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン
化銀写真感光材料において、該ハロゲン化銀乳剤層の少
なくとも一層が前記1ないし4のいずれか1項記載の製
造方法により製造されたハロゲン化銀乳剤を含有する事
を特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
【0014】以下本発明を詳細に説明する。
【0015】本発明において、ハロゲン化銀吸着性物質
を添加後、化学熟成前に化学熟成時よりも高い乳剤温度
を経る操作としては、様々な場合が考えられるが、例え
ば以下のような場合が挙げられる。乳剤温度をTとした
場合、 また、上記1〜3のそれぞれにおいて、吸着時に昇温し
てから降温する、逆に降温してから昇温することも可能
であるし、それを2回以上くりかえすこともできる。本
発明において好ましい操作は、以下の2つの場合であ
る。即ち、ハロゲン化銀写真感光材料に用いるハロゲン
化銀乳剤の製造方法において、脱塩工程以降に添加され
る吸着性物質を高温で添加後高温のまま吸着させ、その
後降温して化学熟成する場合と、吸着性物質を低温で添
加しその後昇温して吸着性物質を吸着させ、さらに降温
させて化学熟成する場合である。なお、吸着時とは吸着
性物質添加終了後、3分以上60分以下の添加後攪拌さ
れ均一になってからハロゲン化銀粒子に吸着する過程を
いう。
【0016】吸着性物質を高温で添加しその後降温させ
て化学熟成する場合には、吸着性物質は55℃以上70
℃以下で添加することが好ましく、その後の化学熟成は
30℃以上50℃以下で行うことが好ましく、35℃以
上45℃以下で行うことがさらに好ましい。また、この
場合吸着性物質の添加時と、化学熟成時とで5℃以上の
温度差を有することが好ましく、10℃以上の温度差を
有することがさらに好ましい。
【0017】吸着性物質を低温で添加しその後昇温して
から、降温させて化学熟成する場合には、30℃以上4
0℃以下でまず吸着性物質を添加し均一化された後、5
5℃以上70℃以下に昇温することが好ましく、その後
の化学熟成は30℃以上50℃以下で行うことが好まし
く35℃以上45℃以下で行うことがさらに好ましい。
すなわち後者の場合は吸着性物質の添加後に昇温した時
と化学熟成時とで5℃以上の温度差を有することが好ま
しく、10℃以上の温度差を有することがさらに好まし
い。本発明において、吸着性物質としては、増感色素、
含窒素複素環化合物等が挙げられるが、好ましく用いら
れる物質としては増感色素が挙げられる。
【0018】本発明の化学熟成において、金増感剤を添
加し均一混合した後にカルコゲン増感剤を添加すること
が好ましい。金増感剤を添加し均一混合した後にカルコ
ゲン増感剤を添加するとは、金増感剤の添加がカルコゲ
ン増感剤の添加よりも前である事を意味する。金増感剤
の添加はカルコゲン増感剤の添加の5分以上前が好まし
く、10分以上前30分以内がさらに好ましい。
【0019】本発明において、求核剤の存在下で化学熟
成することが好ましい。本発明で好ましく用いられる求
核剤としては、例えば亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウ
ム、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウムのよう
な亜硫酸塩、チオサリチル酸、チオグリコール酸、シス
テイン、チオ乳酸、2−メルカプトベンゾチアゾール等
のメルカプト類、トリフェニルホスフィン、トリブチル
ホスフィン等のホスフィン類、3−メチルベンゾチアゾ
リウムヨーデイト、3−アリルチアゾリウムヨーデイ
ト、2−ヒドロキシメチル−3−エチルベンゾチアゾリ
ウムヨーデイト等開環して求核性を示すチアゾリウム塩
類、エタンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィ
ン酸ナトリウム等のスルフィン酸類、メタンチオスルフ
ィン酸、ベンゼンチオスルフィン酸等のチオスルフィン
酸類、メチルヒドラジン、フェニルヒドラジン等のヒド
ラジン類、エタノールアミン、エチレンジアミン等のア
ミン類、ヒドロサム酸類、N−メチルヒドロキシルアミ
ン等のヒドロキシルアミン類等挙げられる。本発明にお
いては、特に求核剤として下記一般式(I)で表されるチ
アゾリウム塩類または一般式(I)中のSとR1が置換
した炭素原子の間で開環した化合物が好ましい。
【0020】
【化1】
【0021】式中R1は、水素原子または置換されてい
てもよいアルキル基、好ましくは炭素数1〜6のアルキ
ル基であり、mは0又は1であり、mが1の場合、Zは
縮合ベンゼン環を形成するのに必要な原子群でR2はこ
のベンゼン環に置換し、mが0の時、R2はチアゾリウ
ム環の4位または5位に置換し、R2は水素原子、置換
されていてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニ
ル基、アリール基、もしくはアルコキシ基、または電子
吸引基であり、アルキル基、アルケニル基、アルキニル
基、アルコキシ基の場合は好ましくは炭素数6以下であ
り、またnが2以上の時複数のR2は同じでも異なって
もよく、またR2が互いに連結して縮合環を形成しても
よい。nはmが0の場合は0、1又は2であり、mが1
の場合0または1〜3である。R3は水素原子または置
換されていてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキ
ニル基もしくはアラルキル基であり、アルキル基、アル
ケニル基、アルキニル基の場合は好ましくは炭素数6以
下であり、X-はアニオンを表し、lは0または1であ
る。
【0022】また、一般式(I)で表されるチアゾリウ
ム塩類は、加水分解等によりチアゾリウム環が開環され
易いものが好ましい。
【0023】R1で表されるアルキル基は例えば、メチ
ル基、プロピル基が挙げられる。R2で表される炭素数
1〜6のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ア
ルコキシ基としては例えばメチル基、エチル基、ヘキシ
ル基、アリル基、プロパルギル基、メトキシ基などが挙
げられる。R1やR2に置換しうる基としては、例えば、
ヒドロキシ基、カルボキシル基、アミノ基、カルバモイ
ル基、スルファモイル基、ハロゲン原子などが挙げられ
る。R2で表される電子吸引基としては、例えばハロゲ
ン原子、カルボキシル基、トリフルオロメチル基、シア
ノ基、ニトロ基、スルホ基、アミノスルホニル基、アル
コキシカルボニル基、アシル基が挙げられる。複数のR
2が連結して縮合環を形成するときは、例えばナフトチ
アゾニウム等が挙げられる。R3で表されるアルキル
基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基として
は、例えばメチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル
基、アリル基、プロパルギル基、ベンジル基などが挙げ
られる。これらに置換する基としては、スルホン基、ヒ
ドロキシル基、置換されていてよいアミノ基、ハロゲン
原子、スルホ基、アミノスルホニル基、アシル基または
ヘテロ環基等が挙げられる。X-で表されるアニオンと
しては、例えばハロゲン化物イオン、硝酸イオン、リン
酸イオン、塩素酸イオン、または有機物から誘導された
アニオンがあげられる。但しR1〜R3がアニオン性基を
持つときは、lは0である。一般式(I)の具体的な化
合物としては下記の化合物が挙げられる。
【0024】
【化2】
【0025】
【化3】
【0026】本発明の一般式(I)の化合物は、米国特
許3,442,653号などで、非不安定セレン増感剤
を賦活化する化合物として知られている。特開平8−5
4701号では本来賦活化が不用な不安定セレン増感剤
との併用によってカブリ、感度が改良される事が開示さ
れている。しかしながら本発明の分光増感、化学増感過
程中に温度変化を有すると言う構成における求核剤の使
われ方、及びその効果は知られていないものであった。
【0027】本発明の求核剤の添加時期は、粒子形成後
脱塩以降、化学増感終了前であればいつでも構わない
が、吸着性物質添加時からカルコゲン増感剤添加時まで
の間に該化合物を添加する事が好ましい。本発明の求核
剤の添加量は、使用するハロゲン化銀乳剤の種類、使用
する化合物の種類、熟成条件によって一様ではないが、
ハロゲン化銀1モル当たり1×10-7モル〜1×10-1
モルであることが好ましい。更に好ましくは1×10-6
モル〜1×10-2モルである。これらの化合物の添加方
法は、使用する化合物の性質に応じて、水またはメタノ
ール等の有機溶媒の単独または混合溶媒に溶解して添加
する方法でも、あるいはゼラチン溶液と予め混合して添
加する方法でも特開平4−140739号に開示されて
いる方法、すなわち有機溶媒可溶性の重合体との混合溶
液の乳化分散物の形態で添加する方法でもよい。
【0028】以下に、本発明で用いられる増感剤につい
て説明する。本発明で用いる硫黄増感剤に関して具体的
には、1,3−ジフェニルチオ尿素、トリエチルチオ尿
素、1−エチル−3−(2−チアゾリル)チオ尿素など
のチオ尿素誘導体、ローダニン誘導体、ジチカルバミン
酸類、ポリスルフィド有機化合物、チオ硫酸塩、硫黄単
体などが好ましい。尚、硫黄単体としては、斜方晶系に
属するα−硫黄が好ましい。その他米国特許第1,57
4,944号、同2,410,689号、同2,27
8,947号、同2,728,668号、同3,50
1,313号、同3,656,955号等の各明細書、
西独出願公開(OLS)1,422,869号、特開昭
56−24937号、同55−45016号公報等に記
載されている硫黄増感剤を用いる事が出来る。
【0029】本発明で用いるセレン増感剤としては、特
に水溶液中で硝酸銀と反応して銀セレナイドの沈殿を形
成しうる不安定セレン化合物が好ましく用いられる。例
えば米国特許第1,574,944号、同1,602,
592号、同1,623,499号、特開昭60−15
0046号、特開平4−25832号、同4−1092
40号、同4−147250号等に記載されている。有
用なセレン増感剤としては、コロイドセレン金属、イソ
セレノシアネート類(例えば、アリルイソセレノシアネ
ート等)、セレノ尿素類(例えば、N,N−ジメチルセ
レノ尿素、N,N,N′−トリエチルセレノ尿素、N,
N,N′−トリメチル−N′−ヘプタフルオロセレノ尿
素、N,N,N′−トリメチル−N′−ヘプタフルオロ
プロピルカルボニルセレノ尿素、N,N,N′−トリメ
チル−N′−4−ニトロフェニルカルボニルセレノ尿素
等)、セレノケトン類(例えば、セレノアセトン、セレ
ノアセトフェノン等)、セレノアミド(例えば、セレノ
アセトアミド、N,N−ジメチルセレノベンズアミド
等)、セレノカルボン酸類及びセレノエステル類(例え
ば、2−セレノプロピオン酸、メチル−3−セレノブチ
レート等)、セレノフォスフェート類(例えば、トリ−
p−トリセレノフォスフェート等)、セレナイド類(ジ
メチルセレナイド、トリフェニルフォスフィンセレナイ
ド、ペンタフルオロフェニル−ジフェニルフォスフィン
セレナイド等)が挙げられる。特に好ましいセレン増感
剤はセレノ尿素、セレノアミド類、セレナイド類であ
る。
【0030】これらのセレン増感剤の使用技術の具体例
は下記特許明細書に開示されている。米国特許第1,5
74,944号、同1,602,592号、同1,62
3,499号、同3,297,466号、同3,29
7,447号、同3,320,069号、同3,40
8,196号、同3,408,197号、同3,44
2,653号、同3,420,670号、同3,59
1,385号、フランス特許第2,693,038号、
同2,093,209号、特公昭52−34491号、
同52−34492号、同53−295号、同57−2
2090号、特開昭59−180536号、同59−1
85330号、同59−181337号、同59−18
7338号、同59−192241号、同60−150
046号、同60−151637号、同61−2467
38号、特開平3−4221号、同3−24537号、
同3−111838号、同3−116132号、同3−
148648号、同3−237450号、同4−168
38号、同4−25832号、同4−32831号、同
4−96059号、同4−109240号、同4−14
0738号、同4−140739号、同4−14725
0号、同4−184331号、同4−190225号、
同4−191729号、同4−195035号、英国特
許第255,846号、同861,984号、尚、H.
E.Spencer等著Journal of Pho
tographic science誌、31巻、15
8〜169(1983)等の研究論文にも開示されてい
る。
【0031】本発明で用いられるテルル増感剤及び増感
方法については、米国特許第1,623,499号、同
3,320,069号、同3,772,031号、同
3,531,289号、同3,655,394号、英国
特許第235,211号、同1,121,469号、同
1,295,462号、同1,396,696号、カナ
ダ特許第800,958号、特開平4−20464号等
に開示されている。具体的にはフォスフィンテルリド類
(例えば、ブチル−ジイソプロピルフォスフィンテルリ
ド、トリブチルフォスフィンテルリド等)、テルロ尿素
類(例えば、N,N−ジメチルエチレンテルロ尿素、
N,N−ジフェニルエチレンテルロ尿素等)、テルロア
ミド類等が挙げられる。
【0032】貴金属増感においては、Research
Disclosure誌307巻307105号など
に記載されている金、白金、パラジウム、イリジウムな
どの貴金属塩を用いる事が出来、中でも特に金増感が好
ましい。有用な金増感剤としては、塩化金酸、チオ硫酸
金、チオシアン酸金等の他に米国特許第2,597,8
56号、同5,049,485号、特公昭44−157
48号、特開平1−147537号、同4−70650
号等に開示されている有機金化合物などが挙げられる。
また金錯塩を用いた増感法を行う場合には、補助剤とし
てチオ硫酸塩、チオシアン酸塩、チオエーテルなどの金
のリガンドを併用することが好ましく、特に、チオシア
ン酸塩を用いるのが好ましい。なお、本発明の化学増感
を行うときに、前述の硫黄増感剤、セレン増感剤やテル
ル増感剤を2種以上組合わせてもよい。
【0033】硫黄増感剤、セレン増感剤、テルル増感剤
及び金増感剤の添加量はハロゲン化銀乳剤の種類、使用
する化合物の種類、熟成条件によって一様ではないが、
通常はハロゲン化銀1モル当たり1×10-9モル〜1×
10-5モルであることが好ましい。更に好ましくは1×
10-8モル〜1×10-4モルである。
【0034】前記の種々の増感剤の添加方法は、使用す
る化合物の性質に応じて、水またはメタノール等の有機
溶媒の単独または混合溶媒に溶解して添加する方法で
も、あるいはゼラチン溶液と予め混合して添加する方法
でも特開平4−140739号に開示されている方法、
すなわち有機溶媒可溶性の重合体との混合溶液の乳化分
散物の形態で添加する方法でもよい。
【0035】還元増感においては、Research
Disclosure誌307巻307105号や特開
平7−78685号などに記載されている還元性化合物
を用いる事が出来る。具体的には、アミノイミノメタン
スルフィン酸(別名二酸化チオ尿素)、ボラン化合物
(例えば、ジメチルアミンボラン等)、ヒドラジン化合
物(例えば、ヒドラジン、p−トリルヒドラジン等)、
ポリアミン化合物(例えば、ジエチレントリアミン、ト
リエチレンテトラミン等)、塩化第1スズ、シラン化合
物、レダクトン類(例えば、アスコルビン酸等)、亜硫
酸ナトリウム、アルデヒド化合物、水素ガスなどが挙げ
られる。また特願平8−277938号、同8−251
486、同8−182035等に開示されている高pH
や銀イオン過剰の雰囲気下で還元増感を施してもよい。
【0036】本発明に用いられる増感色素としてはシア
ニン色素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合
メロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、ヘミシ
アニン色素、スチリル色素、ヘミオキソノール色素、オ
キソノール、メロスチリル及びストレプトシアニンを含
むポリメチン染料等を挙げることが出来る。特に有効な
増感色素は、シアニン色素、メロシアニン色素、複合シ
アニン色素、及び複合メロシアニン色素に属する増感色
素を挙げる事が出来る。上記増感色素は単独で用いても
よいが、2種類以上を組み合わせて用いても良い。増感
色素と共にそれ自身分光増感作用をもたない色素、ある
いは可視光を実質的に吸収しない化合物であって、増感
色素の増感作用を強める強色増感剤を乳剤中に含有させ
てもよい。
【0037】この様な色素の添加量はハロゲン化銀乳剤
の種類に大きく依存し、通常の好ましいハロゲン化銀粒
径0.2〜1.5μmの場合はハロゲン化銀1モル当た
り1×10-6モル〜1×10-4モルであることが好まし
い。本発明に用いる増感色素を本発明のハロゲン化銀乳
剤中に含有せしめるには、それらを直接乳剤中に分散し
ても良いし、或いは水またはメタノール、エタノール、
n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ア
セトン、アセトニトリル、2−メトキシエタノール等の
水混和性有機溶媒の単独もしくは混合溶媒に溶解して乳
剤に添加してもよい。本発明においては特開平5−29
7496号、同6−186657号記載にあるように増
感色素をハロゲン化銀粒子表面に均一かつ有効に吸着さ
せるために実質的に水不溶性の増感色素を有機溶媒を使
わず固体状態で添加する方法が好ましい。
【0038】本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、
感光材料の製造工程、保存中あるいは処理中のカブリを
防止し、写真性能を安定化する事を目的として、種々の
カブリ防止剤、安定剤を含有させることができる。具体
的には、テトラザインデン類、アゾール類、ベンゾチア
ゾリウム塩、ニトロインダゾール類、ニトロベンズイミ
ダゾール類、クロロベンズイミダゾール類、プロモベン
ズイミダゾール類、メルカプトチアゾール類、メルカプ
トベンズイミダゾール類、アミノトリアゾール類、ベン
ゾトリアゾール類、ニトロベンゾトリアゾール類、メル
カプトテトラゾール類、メルカプトピリミジン類、メル
カプトトリアジン類、チオケト化合物、さらにはベンゼ
ンチオスルフィン酸、ベンゼンスルフィン酸、ベンゼン
スルフォン酸アミド、ハイドロキノン誘導体、アミノフ
ェノール誘導体、没食子酸誘導体、アスコルビン酸誘導
体を挙げることが出来る。
【0039】本発明においては、ハロゲン化銀溶剤共存
下で化学増感を施してもよい。本発明で用いられるハロ
ゲン化銀溶剤としては、米国特許第3,271,157
号、同3,574,628号、特開昭54−1019
号、同54−158917号各公報等に記載された有機
チオエーテル類、特開昭53−82408号、同55−
77737号、同55−2982号各公報等に記載され
たチオ尿素誘導体、特開昭53−144319号公報に
記載された酸素または硫黄原子と窒素原子とに挟まれた
チオカルボニル基を有するハロゲン化銀溶剤、特開昭5
4−100717号公報に記載されたイミダゾール類、
亜硫酸塩、チオシアネート等が挙げられる。
【0040】次に本発明のハロゲン化銀乳剤について説
明する。本発明で用いられるハロゲン化銀粒子はその形
状及びハロゲン組成などについて特に限定されない。但
し、その用途によってハロゲン化銀粒子の好ましい形態
は異なる。例えば、カラーネガフィルムで用いられるハ
ロゲン化銀粒子としては以下のような平板粒子が好まし
い。
【0041】以下、更に詳細に説明する。平板粒子と
は、結晶学的には双晶に分類される。双晶とは、一つの
粒子内に一つ以上の双晶面を有するハロゲン化銀結晶で
あるが、双晶の形態の分類はクラインとモイザーによる
報文フォトグラフィッシェ コレスポンデンツ(Pho
tographishe Korresponden
z)第99巻、p100,同第100巻,p57に詳し
く述べられている。
【0042】本発明における平板粒子は、主平面に平行
な双晶面を2枚以上有することが好ましい。双晶面は透
過型電子顕微鏡により観察することができる。具体的な
方法は次の通りである。まず、含有される平板粒子が、
支持体上にほぼ主平面が平行に配向するようにハロゲン
化銀写真乳剤を塗布し、試料を作成する。これをダイヤ
モンド・カッターを用いて切削し、厚さ0.1μm程度
の薄切片を得る。この切片を透過型電子顕微鏡で観察す
ることにより双晶面の存在を確認することができる。
【0043】平板粒子における2枚の双晶面間距離は、
上記の透過型電子顕微鏡を用いた切片の観察において、
主平面に対しほぼ垂直に切断された断面を示す平板粒子
を任意に1000個以上選び、主平面に平行な偶数枚の
双晶面の内、最も距離の短い2枚の双晶面間距離をそれ
ぞれの粒子について求め、加算平均することにより得ら
れる。
【0044】本発明において、双晶面間距離の平均は
0.01μm〜0.05μmが好ましく、更に好ましく
は0.013μm〜0.025μmである。
【0045】本発明において、双晶面間距離は、核形成
時の過飽和状態に影響を及ぼす因子、例えばゼラチン濃
度、ゼラチン種、温度、沃素イオン濃度、pBr、p
H、イオン供給速度、撹拌回転数等の諸因子の組み合わ
せにおいて適切に選択することにより制御することがで
きる。一般に核形成を高過飽和状態で行なうほど、双晶
面間距離を狭くすることができる。
【0046】過飽和因子に関しての詳細は、例えば特開
昭63−92924号、あるいは特開平1−21363
7号等の記述を参考にすることができる。
【0047】本発明における平板粒子の平均厚さは、前
述の透過型電子顕微鏡を用いた切片の観察により、同様
にしてそれぞれの粒子について厚さを求め、加算平均す
ることにより得られる。平板粒子の平均厚さは0.05
μm〜1.5μmが好ましく、更に好ましくは0.07
μm〜0.50μmである。
【0048】本発明における平板粒子の平均粒径は、該
ハロゲン化銀粒子の投影面積の円相当直径(該ハロゲン
化銀粒子と同じ投影面積を有する円の直径)の加算平均
で示され、0.1〜5.0μmが好ましく、更に好まし
くは0.2〜2.5μmである。
【0049】粒径は、例えば該粒子を電子顕微鏡で1万
倍から7万倍に拡大して撮影し、そのプリント上の粒子
径または投影時の面積を実測することによって得ること
ができる(測定粒子個数は無差別に1000個以上ある
こととする)。
【0050】本発明に係る平板粒子は、アスペクト比
(粒径/粒子厚さ)が5以上が全投影面積の50%以上
であるものを言うが、好ましくはアスペクト比8以上が
全投影面積の50%以上であるものである。
【0051】本発明のハロゲン化銀粒子は、単分散のハ
ロゲン化銀乳剤が好ましい。本発明において単分散乳剤
は、 (標準偏差/平均粒径)×100=粒径分布(粒径の変
動係数)[%] によって分布の広さを定義したとき25%以下のものが
好ましく、より好ましくは20%以下、更に好ましくは
16%以下のものである。ここに平均粒径および標準偏
差は、上記した平均粒径から求めるものとする。
【0052】本発明における平板粒子は核となるコアと
該コアを被覆するシェルとから構成される粒子が好まし
く、シェルは1層あるいはそれ以上の層によって形成さ
れる。
【0053】本発明における平板粒子が上記コア/シェ
ル型粒子からなる場合、コアとシェルのハロゲン組成は
任意に選ぶ事ができるが、コアの占める割合は、粒子全
体の銀量の1〜60%とするのが好ましく、4〜40%
が更に好ましい。
【0054】本発明において、コアとシェルの沃化銀含
有率が異なる場合、コア部とシェル部との沃化銀含有率
の差は、シャープな境界を有するものがよく、コアとシ
ェルの間に中間層を少なくとも1層、介在させたものも
好ましく用いられる。
【0055】本発明における平板粒子が上記中間層を有
するコア/シェル型ハロゲン化銀粒子を含有してなる場
合、中間層の好ましい体積は粒子全体の銀量の0.1〜
20%、更に好ましくは0.5〜10%である。
【0056】中間層とシェルの沃化銀含有率差は、中間
層の沃化銀含有率がシェルの沃化銀含有率に対して2m
ol%以上高いことが好ましい。
【0057】本発明における平板粒子の平均沃化銀含有
率は10mol%以下であるが、7mol%以下が好ま
しく、更に好ましくは4mol%以下である。
【0058】本発明においては平板粒子のハロゲン組成
は、臭化銀、沃化銀、塩化銀のいずれを用いることがで
き、また、沃臭化銀、塩沃化銀、塩臭化銀などの混晶を
用いることもできるが、上記のように沃臭化銀を主とし
て含有する粒子が好ましい。
【0059】上記コア/シェル型ハロゲン化銀粒子にお
ける沃化銀の分布状態は、各種の物理的測定法によって
検知することができ、例えば日本写真学会・1981年
度年次大会講演要旨集に記載されているような、低温で
のルミネッセンスの測定やX線回折法によって調べるこ
とができる。
【0060】本発明において平板粒子の形成手段として
は、当該分野でよく知られている種々の方法を用いるこ
とができる。すなわち、シングル・ジェット法、コント
ロールド・ダブルジェット法、コントロールド・トリプ
ルジェット法等を任意に組み合わせて使用することがで
きるが、高度な単分散粒子を得るためには、ハロゲン化
銀粒子の生成される液相中のpAgをハロゲン化銀粒子
の成長速度に合わせてコントロールすることが重要であ
る。pAg値としては7.0〜11.5の領域を使用
し、好ましくは7.5〜11.0、更に好ましくは8.
0〜10.5の領域を使用することができる。
【0061】添加速度の決定にあたっては、特開昭54
−48521号、特開昭58−49938号に記載の技
術を参考にできる。
【0062】本発明において平板粒子の製造時に、アン
モニア、チオエーテル、チオ尿素等の公知のハロゲン化
銀溶剤を存在させることもできるし、ハロゲン化銀溶剤
を使用しなくても良い。
【0063】本発明における平板粒子は、潜像が主とし
て表面に形成される粒子あるいは主として粒子内部に形
成される粒子いずれであっても良い。
【0064】本発明における平板粒子は、分散媒の存在
下に即ち、分散媒を含む溶液中で製造される。ここで、
分散媒を含む水溶液とは、ゼラチンその他の親水性コロ
イドを構成し得る物質(バインダーとなり得る物質な
ど)により保護コロイドが水溶液中に形成されているも
のをいい、好ましくはコロイド状の保護ゼラチンを含有
する水溶液である。
【0065】本発明を実施する際、上記保護コロイドと
してゼラチンを用いる場合は、ゼラチンは石灰処理され
たものでも、酸を使用して処理されたものでもどちらで
もよい。ゼラチンの製法の詳細はアーサー・グアイス
著、ザ・マクロモレキュラー・ケミストリー・オブ・ゼ
ラチン(アカデミック・プレス、1964年発行)に記
載がある。
【0066】保護コロイドとして用いることができるゼ
ラチン以外の親水性コロイドとしては、例えばゼラチン
誘導体、ゼラチンと他の高分子とのグラフトポリマー、
アルブミン、カゼイン等の蛋白質;ヒドロキシエチルセ
ルロース、カルボキシメチルセルロース、セルロース硫
酸エステル類等の如きセルロース誘導体、アルギン酸ソ
ーダ、澱粉誘導体などの糖誘導体;ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルアルコール部分アセタール、ポリ−N−
ビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル
酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルイミダゾール、ポ
リビニルピラゾール等の単一あるいは共重合体の如き多
種の合成親水性高分子物質がある。
【0067】ゼラチンの場合は、パギー法においてゼリ
ー強度200以上のものを用いることが好ましい。
【0068】本発明における平板粒子は、粒子を成長さ
せる過程で、カドミウム塩、亜鉛塩、鉛塩、タリウム
塩、鉄塩、ロジウム塩、イリジウム塩、インジウム塩
(錯塩を含む)から選ばれる少なくとも1種を用いて金
属イオンを添加し、粒子内部及び/又は粒子表面にこれ
らの金属元素を含有させることができる。
【0069】本発明における平板粒子は、ハロゲン化銀
粒子の成長終了後に、不要な可溶性塩類を除去したもの
であってもよいし、あるいは含有させたままのものでも
良い。
【0070】また、特開昭60−138538号記載の
方法のように、ハロゲン化銀成長の任意の点で脱塩を行
なう事も可能である。該塩類を除去する場合には、リサ
ーチ・ディスクロージャー(Research Dis
closure、以下RDと略す)17643号II項に
記載の方法に基づいて行なうことができる。さらに詳し
くは、沈澱形成後、あるいは物理熟成後の乳剤から可溶
性塩を除去するためには、ゼラチンをゲル化させて行な
うヌーデル水洗法を用いても良く、また無機塩類、アニ
オン性界面活性剤、アニオン性ポリマー(たとえばポリ
スチレンスルホン酸)、あるいはゼラチン誘導体(たと
えばアシル化ゼラチン、カルバモイル化ゼラチンなど)
を利用した沈澱法(フロキュレーション)を用いても良
い。
【0071】本発明において、個々のハロゲン化銀粒子
の沃化銀含有率及び平均沃化銀含有率は、EPMA法
(Electron Probe Micro Ana
lyzer法)を用いることにより求めることが可能で
ある。この方法は、乳剤粒子を互いに接触しないように
良く分散したサンプルを作成し、電子ビームを照射する
電子線励起によるX線分析より極微小な部分の元素分析
が行える。この方法により、各粒子から放射される銀及
び沃度の特性X線強度を求めることにより、個々の粒子
のハロゲン組成が決定できる。少なくとも50個の粒子
についてEPMA法により沃化銀含有率を求めれば、そ
れらの平均から平均沃化銀含有率が求められる。
【0072】本発明における平板粒子は、粒子間の沃化
銀含有率がより均一になっていることが好ましい。EP
MA法により粒子間の沃化銀含有率の分布を測定した時
に、相対標準偏差が30%以下、更に20%以下である
ことが好ましい。
【0073】平板粒子の表面のハライド組成は、XPS
法(X−ray Photoelectron Spe
ctroscopy法:X線光電子分光法)によって次
のように求められる。ここで表面とは、ハロゲン化銀粒
子の最表面を含む粒子の最外層であって、粒子の最表面
から50Åまでの深さをいう。すなわち、試料を1×1
-8torr以下の超高真空中で−110℃以下まで冷
却し、プローブ用X線としてMgKαをX線源電圧15
kV、X線源電流40mAで照射し、Ag3d5/2、
Br3d、I3d3/2の電子について測定する。測定
されたピークの積分強度を感度因子(Sensitiv
ity Factor)で補正し、これらの強度比から
表面のハライド組成を求める。
【0074】XPS法は従来から、ハロゲン化銀粒子表
面の沃化銀含有率を求める方法として特開平2−241
88号等に開示されている。
【0075】本発明における平板粒子は、粒子表面の沃
化銀含有率が粒子の平均沃化銀含有率よりも高いことが
好ましい。すなわち、粒子表面の沃化銀含有率/平均沃
化銀含有率=1.1〜20の関係を満たすことが好まし
く、更に好ましくは、粒子表面の沃化銀含有率/平均沃
化銀含有率=1.3〜10の関係を満たすものである。
【0076】本発明における平板粒子は、全投影面積の
50%以上の粒子が1粒子当たり5本以上の転位線を有
することが好ましい。ハロゲン化銀粒子の転位は、例え
ば、J.F.Hamilton,Phot. Sci.
Eng.,vol11,57(1967)や、T.S
hiozawa,J. Soc. Photo. Sc
i. Japan,vol35,213(1972)に
記載の、低温での透過型電子顕微鏡を用いた直接的な方
法により観察することができる。即ち、乳剤から粒子に
転位が発生する程の圧力をかけないよう注意して取り出
したハロゲン化銀粒子を電子顕微鏡観察用のメッシュに
のせ、電子線による損傷(プリントアウト等)を防ぐよ
うに試料を冷却した状態で透過法により観察を行う。こ
の時、粒子の厚みが厚いほど、電子線が透過し難くなる
ので、高圧型(0.25μmの厚さの粒子に対し200
kV以上)の電子顕微鏡を用いた方がより鮮明に観察す
ることができる。
【0077】このような方法により得られた粒子の写真
より、主平面に対して垂直な方向から見た場合の各粒子
についての転位の位置及び数を求めることができる。
【0078】また、転位線が存在する位置としては、平
板粒子の外周部近傍や稜線近傍、又は頂点近傍に存在す
る事が好ましく、更に具体的には、平板粒子の主平面の
中心から主平面に平行な直線を粒子の側面に向けて引い
たときに、その直線の外表面までの長さをLとしたと
き、全投影面積の50%以上の粒子が1粒子当たり5本
以上の転位線を0.50L〜Lまでの外側よりの領域に
有しているのが好ましく、更に好ましくは、全投影面積
の50%以上の粒子が1粒子当たり10本以上の転位線
を0.70L〜Lの外側よりの領域に有しているもので
あり、特に好ましくは、全投影面積の50%以上の粒子
が1粒子当たり20本以上の転位線を0.80L〜Lの
外側よりの領域に有しているものである。転位線の方向
はおおよそ中心から外表面(側面)に向かう方向である
が、しばしば蛇行している。
【0079】転位線の導入法としては、例えば沃化カリ
ウムのような沃素イオンを含む水溶液と水溶性銀塩溶液
をダブルジェットで添加する方法、沃素イオンを含む溶
液のみを添加する方法、沃化銀を含む微粒子乳剤を添加
する方法、又は特開平6−11781号に記載されてい
るような沃素イオン放出剤を用いる方法等の、公知の方
法を利用して所望の位置で転位線の起源となる転位を形
成することができる。これらの方法の中では、沃化銀を
含む微粒子乳剤を添加する方法、沃素イオン放出剤を添
加する方法が好ましい。
【0080】本発明のハロゲン化銀写真感光材料に使用
できる公知の写真用添加剤は、RD17643,25頁
VIII−A項〜27頁XIII項、RD18716,650〜
651頁、RD308119,1003頁VIII−A項〜
1012頁XXI−E項に、又、各種カプラーの具体例
は、RD17643,25頁VII−C〜G項、RD30
8119,1001頁VII−C〜G項に記載されてい
る。本発明においては、上記RD17643,28頁XV
II項、RD18716,647〜8頁及びRD3081
19,1009頁XVII項に記載される支持体を使用す
ることができる。感光材料には、前述RD30811
9,1002頁VII−K項に記載されるフィルター層や
中間層等の補助層を設けることができる。また、感光材
料は、前述RD308119,VII−K項に記載の順
層、逆層、ユニット構成等の様々な層構成を採ることが
できる。
【0081】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0082】実施例1 [乳剤EM−1の調製] 《核形成工程》反応容器内の下記反応母液(Gr−1)
を30℃に保ち、特開昭62−160128号記載の混
合攪拌装置を用いて攪拌回転数400回転/分で攪拌し
ながら、1Nの硫酸を用いてpHを1.96に調整し
た。その後ダブルジェット法を用いて(S−1)液と
(H−1)液を一定の流量で1分間で添加し核形成を行
った。
【0083】 (Gr−1) アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 40.50g 臭化カリウム 12.40g 蒸留水で16.2lに仕上げる (S−1) 硝酸銀 862.5g 蒸留水で4.06lに仕上げる (H−1) 臭化カリウム 604.5g 蒸留水で4.06lに仕上げる 《熟成工程》上記核形成工程終了後に(G−1)液を加
え、30分間を要して60℃に昇温した。この間、反応
容器内の乳剤の銀電位(飽和銀−塩化銀電極を比較電極
として銀イオン選択電極で測定)を2Nの臭化カリウム
溶液を用いて6mVに制御した。続いて、アンモニア水
溶液を加えてpHを9.3に調整し、更に7分間保持し
た後、酢酸水溶液を用いてpHを6.1に調整した。こ
の間の銀電位を2Nの臭化カリウム溶液を用いて6mV
に制御した。
【0084】 (G−1) アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 173.9g HO(CH2CH2O)m{CH(CH3)CH2O}19.8(CH2CH2O)nH (m+n=9.77)の10重量%メタノール溶液 5.80ml 蒸留水で4.22lに仕上げる 《粒子成長工程》熟成工程終了後、続いてダブルジェッ
ト法を用いて前記(S−1)液と(H−1)液を流量を
加速しながら(終了時と開始時の添加流量の比が約12
倍)37分間で添加した。添加終了後に(G−2)液を
加え、攪拌回転数を550回転/分に調整した後、引き
続いて(S−2)液と(H−2)液を流量を加速しなが
ら(終了時と開始時の添加流量の比が約2倍)40分間
で添加した。この間乳剤の銀電位を2Nの臭化カリウム
溶液を用いて6mVに制御した。上記添加終了後に、反
応容器内の乳剤温度を15分間を要して40℃に降温し
た。その後、3Nの臭化カリウム溶液を用いて反応容器
内の銀電位を−39mVに調整し、続いて(F−1)液
を407.5g加えた後、(S−2)液と(H−3)液
を流量を加速しながら(終了時と開始時の添加流量の比
が約1.2倍)25分間で添加した。 (S−2) 硝酸銀 2.10kg 蒸留水で3.53lに仕上げる (H−2) 臭化カリウム 859.5g 沃化カリウム 24.45g 蒸留水で2.11lに仕上げる (H−3) 臭化カリウム 587.0g 沃化カリウム 8.19g 蒸留水で1.42lに仕上げる (G−2) オセインゼラチン 284.9g HO(CH2CH2O)m{CH(CH3)CH2O}19.8(CH2CH2O)nH (m+n=9.77)の10重量%メタノール溶液 7.75ml 蒸留水で1.93lに仕上げる (F−1) 3重量%のゼラチンと、沃化銀粒子(平均粒径0.05μm)から なる微粒子乳剤(*) 407.5g *微粒子乳剤調製法は以下の通り:0.06モルの沃化
カリウムを含む6.0重量%のゼラチン溶液5000m
lに、7.06モルの硝酸銀と、7.06モルの沃化カ
リウムを含む水溶液、それぞれ2000mlを、10分
間かけて添加した。微粒子形成中のpHは硝酸を用いて
2.0に、温度は40℃に制御した。粒子形成後に、炭
酸ナトリウム水溶液を用いてpHを6.0に調整した。
仕上がり重量は12.53kgであった。
【0085】上記粒子成長終了後に、特開平5−726
58号に記載の方法に従い脱塩処理を施し、その後ゼラ
チンを加え分散し、40℃にてpHを5.80、pAg
を8.06に調整した。かくして得られた乳剤をEM−
1とする。
【0086】得られた乳剤粒子の電子顕微鏡写真から、
平均粒径1.50μm(投影面積の円換算直径の平均
値)、アスペクト比7.4(全投影面積の50%以
上)、粒径分布15.0%の平板粒子であることが確認
された。
【0087】この乳剤EM−1を小分けして以下に示す
方法により、乳剤A〜乳剤Gを作製した。
【0088】《比較乳剤Aの作製》乳剤EM−1の一部
を55℃に加熱溶解し、ハロゲン化銀1モル当たり増感
色素SD−1を4×10-4モル、SD−2を8×10-5
モル、SD−3を5×10-5モル添加し、55℃に保っ
たまま20分後、チオ硫酸ナトリウム五水塩5.5×1
-6モル、ペンタフルオロフェニル−ジフェニル−フォ
スフィンセレニド2.5×10-6モル、塩化金酸3.2
×10-6モルとチオシアン酸カリウム3.5×10-4
ルの混合液を順次2分間隔で添加して感度が最適となる
ように熟成した。熟成終了時に安定剤ST−1及びカブ
リ防止剤AF−1を添加して降温し、冷却固化させて乳
剤Aを得た。
【0089】《比較乳剤Bの作製》乳剤EM−1の一部
を35℃に加熱溶解し乳剤Aと同量の増感色素を添加
し、20分後62℃に昇温した。この乳剤に乳剤Aの作
製と同じ化学増感剤の添加と熟成をして乳剤Bを作製し
た。
【0090】《乳剤Cの作製》乳剤EM−1の一部を6
5℃に加熱溶解し乳剤Aと同量の増感色素を添加し、2
0分保持した。その後1分かけて60℃まで降温した。
この乳剤に乳剤Aの作製と同じ化学増感剤の添加と熟成
をして乳剤Cを作製した。
【0091】《乳剤Dの作製》乳剤EM−1の一部を6
5℃に加熱溶解し乳剤Aと同量の増感色素を添加し、2
0分保持した。その後1分かけて55℃まで降温した。
この乳剤に乳剤Aの作製と同じ化学増感剤の添加と熟成
をして乳剤Dを作製した。
【0092】《乳剤Eの作製》乳剤EM−1の一部を6
5℃に加熱溶解し乳剤Aと同量の増感色素を添加し、2
0分保持した。その後1分かけて45℃まで降温した。
この乳剤に乳剤Aの作製と同じ化学増感剤の添加と熟成
をして乳剤Eを作製した。
【0093】《乳剤Fの作製》乳剤EM−1の一部を3
5℃に加熱溶解し乳剤Aと同量の増感色素を添加した。
1分後65℃に昇温し、20分保持した。その後1分か
けて60℃まで降温した。この乳剤に乳剤Aの作製と同
じ化学増感剤の添加と熟成をして乳剤Fを作製した。
【0094】《乳剤Gの作製》乳剤EM−1の一部を3
5℃に加熱溶解し乳剤Aと同量の増感色素を添加した。
1分後65℃に昇温し、20分保持した。その後1分か
けて45℃まで降温した。この乳剤に乳剤Aの作製と同
じ化学増感剤の添加と熟成をして乳剤Gを作製した。
【0095】得られた乳剤各々に酢酸エチル、トリクレ
ジルホスフェート(OIL−1)に溶解したマゼンタカ
プラーM−1を加え、分散助剤(SU−1)、ゼラチン
を含む水溶液中に乳化分散した分散物、延展剤(SU−
2)及び硬膜剤(H−1,H−2)を加えて塗布液を調
整し、それぞれを下引きされた三酢酸セルロース支持体
上に常法により塗布、乾燥して試料101〜107を作
製した。
【0096】以下に単一乳剤層塗布試料の作製方法を示
す。それぞれの重量はm2当たりの塗布量を示す。
【0097】 〈塗布処方〉 順次、支持体側から 第1層:緑感性ハロゲン化銀乳剤層 乳剤(表1に記載) 塗布銀量1.5g マゼンタカプラ−(M−1) 0.33g トリクレジルホスフェ−ト(OIL−1) 0.50g ゼラチン 3.5g 第2層:表面保護層 PM−1 0.15g PM−2 0.04g ゼラチン 0.65g
【0098】
【化4】
【0099】
【化5】
【0100】以上のようにして得られた試料を5400
Kの光源を用い東芝ガラスフィルターY−48を通して
1/100秒ウエッジ露光を行い、下記処理工程に従っ
て現像処理を行った。
【0101】各試料の感度は、緑色濃度がカブリ+0.
15の光学濃度を与える露光量の逆数で表し、試料N
o.101の値を100とした相対値で示した。
【0102】更に、保存時に発生するカブリを評価する
ために試料を温度23℃・相対湿度65%の条件下で2
4時間調湿した後、樹脂缶に密封し、55℃の温度下で
5日間経時させた。この試料をそれぞれ冷蔵保存してお
いた試料と共に処理を行った後、得られた特性曲線の最
小濃度値の差を保存時のカブリ上昇巾として評価した。
結果を表1に示す。
【0103】 (処理工程) 《基準カラー現像処理》 処理工程 処理時間 処理温度 補充量* 発色現像 2分30秒 38± 0.3℃ 780cc 漂 白 45秒 38± 2.0℃ 150cc 定 着 1分30秒 38± 2.0℃ 830cc 安 定 60秒 38± 5.0℃ 830cc 乾 燥 1分 55± 5.0℃ − *補充量は感光材料1m2当たりの値である。
【0104】発色現像液、漂白液、定着液、安定液及び
その補充液は、以下のものを使用した。
【0105】発色現像液 水 800cc 炭酸カリウム 30g 炭酸水素ナトリウム 2.5g 亜硫酸カリウム 3.0g 臭化ナトリウム 1.3g 沃化カリウム 1.2mg ヒドロキシルアミン硫酸塩 2.5g 塩化ナトリウム 0.6g 4−アミノ−3−メチル−N−エチル−N− (β−ヒドロキシルエチル)アニリン硫酸塩 4.5g ジエチレントリアミン五酢酸 3.0g 水酸化カリウム 1.2g 水を加えて1リットルとし、水酸化カリウムまたは20%硫酸を用いてpH1 0.06に調整する。
【0106】発色現像補充液 水 800cc 炭酸カリウム 35g 炭酸水素ナトリウム 3g 亜硫酸カリウム 5g 臭化ナトリウム 0.4g ヒドロキシルアミン硫酸塩 3.1g 4−アミノ−メチル−N−エチル−N− (β−ヒドロキシルエチル)アニリン硫酸塩 6.3g 水酸化カリウム 2g ジエチレントリアミン五酢酸 3.0g 水を加えて1リットルとし、水酸化カリウムまたは20%を用いてpH10. 18に調整する。
【0107】漂白液 水 700cc 1,3−ジアミノプロパン四酢酸鉄(III)アンモニウム 125g エチレンジアミン四酢酸 2g 硝酸ナトリウム 40g 臭化アンモニウム 150g 氷酢酸 40g 水を加えて1リットルとし、アンモニア水または氷酢酸を用いてpH4.4に 調整する。
【0108】漂白補充液 水 700cc 1,3−ジアミノプロパン四酢酸鉄(III)アンモニウム 175g エチレンジアミン四酢酸 2g 硝酸ナトリウム 50g 臭化アンモニウム 200g 氷酢酸 56g アンモニア水または氷酢酸を用いてpH4.4に調整後水を加えて1リットル とする。
【0109】定着液 水 800cc チオシアン酸アンモニウム 120g チオ硫酸アンモニウム 150g 亜硫酸ナトリウム 15g エチレンジアミン四酢酸 2g アンモニア水または氷酢酸を用いてpH6.2に調整後水を加えて1リットル とする。
【0110】定着補充液 水 800cc チオシアン酸アンモニウム 150g チオ硫酸アンモニウム 180g 亜硫酸ナトリウム 20g エチレンジアミン四酢酸 2g アンモニア水または氷酢酸を用いてpH6.5に調整後水を加えて1リットル とする。
【0111】安定液及び安定補充液 水 900cc パラオクチルフェニルポリオキシエチレンエーテル (n=10) 2.0g ジメチロール尿素 0.5g ヘキサメチレンテトラミン 0.2g 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン 0.1g シロキサン(UCC製L−77) 0.1g アンモニア水 0.5cc 水を加えて1リットルとした後、アンモニア水または50%硫酸を用いてpH 8.5に調整する。
【0112】
【表1】
【0113】表1から明らかな様に、本発明を用いるこ
とで低カブリで高感度な乳剤が得られた。また保存時の
カブリ上昇が小さく安定であることが解る。
【0114】実施例2 実施例1における乳剤Eの作製方法において表2に示し
た化学増感剤の添加順序・時期をかえた乳剤H〜乳剤M
を作製した。実施例1と同様にして単一乳剤層塗布試料
201〜206を作製し、カブリ、感度及び保存性を評
価した。但し表中の相対感度は実施例1における試料1
01の1/100秒露光を100として表した。
【0115】
【表2】
【0116】試料105は実施例1の中で効果が際立っ
ていたが、表2より化学熟成時の金増感剤の添加をカル
コゲン増感剤より前にする事によって、低カブリ化、高
感度化が更に改良される事がわかる。
【0117】実施例3 実施例2における乳剤Lの作製方法において求核剤をハ
ロゲン化銀1モル当たり7.5×10-5モル添加して表
3に示した求核剤の種類、添加時期をかえた乳剤N〜乳
剤Tを作製した。実施例1における乳剤A及びBの作製
方法において表3に示した求核剤の種類、添加時期で比
較乳剤U及びVを作製した。以上の乳剤で実施例1と同
様にして単一乳剤層塗布試料301〜309を作製し、
カブリ、感度、保存性及び低照度不軌特性を評価した。
但し表中の相対感度は試料308の1/100秒露光を
100として表した。
【0118】
【表3】
【0119】表3から明らかなように、本発明の化合物
を用いることにより、更なる高感度化が達成されかつ低
照度不軌特性が改良されることがわかる。一方試料30
8や309に示されるように、本発明の温度変化を有さ
ない化学熟成方法において本発明の化合物を用いても低
照度不軌改良の効果は僅かであった。
【0120】実施例4 [乳剤EM−2の調製]乳剤EM−1の粒子成長工程に
おいて、(S−1)液と(H−1)液を流量を加速しな
がら37分間で添加した後、(R−1)液をラッシュ添
加し、添加終了後に(G−2)液を加え、攪拌回転数を
550回転/分に調整した後、引き続いて(S−2)液
と(H−2)液を流量を加速しながら40分間で添加し
た。この間乳剤の銀電位を2Nの臭化カリウム溶液を用
いて6mVに制御した。上記添加終了後に、(T−1)
液をラッシュ添加してから反応容器内の乳剤温度を15
分間を要して40℃に降温した以外は乳剤EM−1と同
様にして乳剤EM−2を調製した。得られた乳剤粒子の
電子顕微鏡写真から、乳剤EM−1とほぼ同様な粒子で
あることが確認された。
【0121】 (R−1) 二酸化チオ尿素 26.6mg 蒸留水で46.5mlに仕上げる (T−1) エタンチオスルフォン酸ナトリウム 880mg 蒸留水で293.3mlに仕上げる この乳剤EM−2を小分けして以下に示す方法により、
乳剤W〜乳剤Zを作製した。
【0122】《比較乳剤Wの作製》乳剤EM−2の一部
を55℃に加熱溶解し、ハロゲン化銀1モル当たり増感
色素SD−1を4×10-4モル、SD−2を8×10-5
モル、SD−3を5×10-5モル添加し、55℃に保っ
たまま20分後、求核剤I−2を7.5×10-5モル添
加し、15分後塩化金酸3.0×10-6モルとチオシア
ン酸カリウム3.7×10-4モルの混合液を添加し、1
5分後チオ硫酸ナトリウム五水塩5.8×10-6モル、
ペンタフルオロフェニル−ジフェニル−フォスフィンセ
レニド3.0×10-6モルを2分間隔で添加して1/1
00秒感度が最適となるように熟成した。熟成終了時に
安定剤ST−1及びカブリ防止剤AF−1を添加して降
温し、冷却固化させて乳剤Wを得た。
【0123】《比較乳剤Xの作製》乳剤EM−2の一部
を35℃に加熱溶解し乳剤Wと同量の増感色素を添加
し、20分後62℃に昇温した。この乳剤に乳剤Wの作
製と同じ化学増感剤の添加と熟成をして乳剤Xを作製し
た。
【0124】《乳剤Yの作製》乳剤EM−2の一部を6
5℃に加熱溶解し乳剤Wと同量の増感色素を添加し、2
0分保持し、本発明の求核剤I−2を添加し、15分保
持した。その後1分かけて45℃まで降温した。この乳
剤に乳剤Wの作製と同じ化学増感剤の添加と熟成をして
乳剤Yを作製した。
【0125】《乳剤Zの作製》乳剤EM−2の一部を3
5℃に加熱溶解し乳剤Wと同量の増感色素を添加した。
1分後65℃に昇温し、20分保持し、本発明の求核剤
I−2を添加し、15分保持した。その後1分かけて4
5℃まで降温した。この乳剤に乳剤Wの作製と同じ化学
増感剤の添加と熟成をして乳剤Zを作製した。
【0126】得られた乳剤各々に実施例1と同様にして
単一乳剤塗布試料401〜404を作製し、同様の処理
及び評価を行った。結果を表4に示す。
【0127】
【表4】
【0128】表4から明らかな様に、本発明の実施形態
は粒子形成過程において還元増感されたハロゲン化銀粒
子に対して効果が顕著であることがわかる。
【0129】実施例5 下引き層を施したトリアセチルセルロースフィルム支持
体上に下記に示すような組成の各層を順次支持体側から
形成して多層カラー写真感光材料試料501を作製し
た。
【0130】添加量は1m2当たりのグラム数で表す。
但し、ハロゲン化銀とコロイド銀は銀の量に換算し、増
感色素(Sで示す)は銀1モル当たりのモル数で示し
た。
【0131】 第1層(ハレーション防止層) 黒色コロイド銀 0.16 UV−1 0.3 CM−1 0.123 CC−1 0.044 OIL−1 0.167 ゼラチン 1.33 第2層(中間層) AS−1 0.160 OIL−1 0.20 ゼラチン 0.69 第3層(低感度赤感色性層) 沃臭化銀a 0.20 沃臭化銀b 0.29 S−1 2.37×10-5 S−2 1.2×10-4 S−3 2.4×10-4 S−4 2.4×10-6 C−1 0.32 CC−1 0.038 OIL−2 0.28 AS−2 0.002 ゼラチン 0.73 第4層(中感度赤感色性層) 沃臭化銀c 0.10 沃臭化銀d 0.86 S−1 4.5×10-5 S−2 2.3×10-4 S−3 4.5×10-4 C−2 0.52 CC−1 0.06 DI−1 0.047 OIL−2 0.46 AS−2 0.004 ゼラチン 1.30 第5層(高感度赤感色性層) 沃臭化銀c 0.13 沃臭化銀d 1.18 S−1 3.0×10-5 S−2 1.5×10-4 S−3 3.0×10-4 C−2 0.047 C−3 0.09 CC−1 0.036 DI−1 0.024 OIL−2 0.27 AS−2 0.006 ゼラチン 1.28 第6層(中間層) OIL−1 0.29 AS−1 0.23 ゼラチン 1.00 第7層(低感度緑感色性層) 沃臭化銀a 0.19 沃臭化銀b 0.062 S−4 3.6×10-4 S−5 3.6×10-4 M−1 0.18 CM−1 0.033 OIL−1 0.22 AS−2 0.002 AS−3 0.05 ゼラチン 0.61 第8層(中間層) OIL−1 0.26 AS−1 0.054 ゼラチン 0.80 第9層(中感度緑感色性層) 沃臭化銀e 0.54 沃臭化銀f 0.54 S−6 3.7×10-4 S−7 7.4×10-5 S−8 5.0×10-5 M−1 0.17 M−2 0.33 CM−1 0.024 CM−2 0.029 DI−2 0.024 DI−3 0.005 OIL−1 0.73 AS−3 0.035 AS−2 0.003 ゼラチン 1.80 第10層(高感度緑感色性層) 実施例3で作製した本発明の乳剤N 1.19 M−1 0.065 CM−2 0.026 CM−1 0.022 DI−3 0.003 DI−2 0.003 OIL−1 0.19 OIL−2 0.43 AS−3 0.017 AS−2 0.014 ゼラチン 1.23 第11層(イエローフィルター層) 黄色コロイド銀 0.05 OIL−1 0.18 AS−1 0.16 ゼラチン 1.00 第12層(低感度青感色性層) 沃臭化銀b 0.22 沃臭化銀a 0.08 沃臭化銀h 0.09 S−9 6.5×10-4 S−10 2.5×10-4 Y−1 0.77 DI−4 0.017 OIL−1 0.31 AS−2 0.002 ゼラチン 1.29 第13層(高感度青感色性層) 沃臭化銀h 0.41 沃臭化銀i 0.61 S−9 4.4×10-4 S−10 1.5×10-4 Y−1 0.23 OIL−1 0.10 AS−2 0.004 ゼラチン 1.20 第14層(第1保護層) 沃臭化銀j 0.30 UV−1 0.055 UV−2 0.110 OIL−2 0.30 ゼラチン 1.32 第15層(第2保護層) PM−1 0.15 PM−2 0.04 WAX−1 0.02 D−1 0.001 ゼラチン 0.55 上記沃臭化銀の特徴を下記に表示する(平均粒径とは同
体積の立方体の一辺長)。
【0132】 乳剤No. 平均粒径(μm) 平均AgI量(mol%) 直径/厚み比 沃臭化銀a 0.30 2.0 1.0 b 0.40 8.0 1.4 c 0.60 7.0 3.1 d 0.74 7.0 5.0 e 0.60 7.0 4.1 f 0.65 8.7 6.5 h 0.65 8.0 1.4 i 1.00 8.0 2.0 j 0.05 2.0 1.0 なお、本発明の代表的なハロゲン化銀粒子の形成例とし
て、特開平1−183417号、同1−183644
号、同1−183645号、同2−166442号、特
願平9−9423号に関する記載を参考に作成した。
【0133】尚、上記の組成物の他に、分散助剤SU−
1、塗布助剤SU−2、SU−3、SU−4、粘度調整
剤V−1、安定剤ST−1、ST−2、カブリ防止剤A
F−11、重量平均分子量:10,000及び重量平均
分子量:1,100,000の2種のポリビニルピロリ
ドン(AF−12)、抑制剤AF−13、AF−1、A
F−15、硬膜剤H−1、H−2及び防腐剤Ase−1
を添加した。
【0134】上記試料に用いた化合物の構造を以下に示
す。
【0135】
【化6】
【0136】
【化7】
【0137】
【化8】
【0138】
【化9】
【0139】
【化10】
【0140】
【化11】
【0141】
【化12】
【0142】
【化13】
【0143】
【化14】
【0144】以上で感光材料の試料501を作成した。
試料No.501の感材構成中の第10層に用いた本発
明の乳剤Nを、実施例3で作製した比較乳剤U,Vに変
えた試料502、503を作製し実施例1と同様な処理
及び評価をしたところ、本発明の試料501は比較試料
502、503に対して高感度でありながらカブリが小
さく、低照度不軌特性の優れた良好な結果を示した。
【0145】
【発明の効果】本発明により、高感度でありながらカブ
リが少なく、相反則不軌特性、保存性の改良されたハロ
ゲン化銀乳剤の製造方法及びそれを用いたハロゲン化銀
写真感光材料を提供する事ができた。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ハロゲン化銀吸着性物質を添加後、化学
    熟成を行うハロゲン化銀乳剤の製造方法において、ハロ
    ゲン化銀吸着性物質を添加後化学熟成前に化学熟成時よ
    りも高い乳剤温度を経る事を特徴とするハロゲン化銀乳
    剤の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記化学熟成において、金増感剤を添加
    し均一混合した後にカルコゲン増感剤を添加する事によ
    り化学熟成する事を特徴とする請求項1記載のハロゲン
    化銀乳剤の製造方法。
  3. 【請求項3】 求核剤の存在下で化学熟成する事を特徴
    とする請求項1又は2記載のハロゲン化銀乳剤の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 粒子形成過程において還元増感されたハ
    ロゲン化銀粒子からなるハロゲン化銀乳剤であることを
    特徴とする請求項1、2または3に記載のハロゲン化銀
    乳剤の製造方法。
  5. 【請求項5】 支持体上の少なくとも一方の側に少なく
    とも一層のハロゲン化銀乳剤層を有するハロゲン化銀写
    真感光材料において、該ハロゲン化銀乳剤層の少なくと
    も一層が前記請求項1ないし請求項4のいずれか1項記
    載の製造方法により製造されたハロゲン化銀乳剤を含有
    する事を特徴とするハロゲン化銀写真感光材料。
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