JP2000298323A - ハロゲン化銀写真乳剤及びその増感方法 - Google Patents

ハロゲン化銀写真乳剤及びその増感方法

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JP2000298323A
JP2000298323A JP11105487A JP10548799A JP2000298323A JP 2000298323 A JP2000298323 A JP 2000298323A JP 11105487 A JP11105487 A JP 11105487A JP 10548799 A JP10548799 A JP 10548799A JP 2000298323 A JP2000298323 A JP 2000298323A
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Hiroyuki Mifune
博幸 御舩
Katsuhisa Ozeki
勝久 大関
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高感度でかつ階調がよくかぶりの低い迅速処
理に適した高塩化銀のハロゲン化銀写真乳剤を提供す
る。 【構成】 カルコゲン増感されたハロゲン化銀写真乳剤
において、該カルコゲン増感により生成したカルコゲン
増感中心の吸収スペクトルの半値幅が3900cm -1
下、1200cm-1以上であり、該ハロゲン化銀写真乳剤
に含まれる全ハロゲン化銀粒子の投影面積の50%以上
がアスペクト比が2以上であり、80モル%以上の塩化
銀を含有する平板状ハロゲン化銀粒子であることを特徴
とするハロゲン化銀写真乳剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はハロゲン化銀写真乳
剤及びその増感方法に関し、特にかぶりと感度と階調が
改良された平板状高塩化銀からなるハロゲン化銀写真乳
剤に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ハロゲン化銀写真感光材料におけ
る高感度、優れた粒状性、階調や高い鮮鋭度、良好な保
存性、更に現像進行性などを早めた迅速処理等々への要
望はますます強くなっている。
【0003】ハロゲン化銀乳剤は通常、所望の感度、階
調、などを得るために各種の化学物質を用いて化学増感
を施される。その具体的方法としては、硫黄増感、セレ
ン増感やテルル増感の如きカルコゲン増感や、金などの
貴金属をもちいた貴金属増感や、還元剤を用いた還元増
感があり、これらを単独または組み合わせて用いる。
【0004】これらのなかでもカルコゲン増感は、ハロ
ゲン化銀写真乳剤の最も基本的な化学増感法であり、従
来から高感度を目指して種々の検討がなされてきた。し
かし、高感度を得るにつれて、かぶりの上昇、階調の変
化といった欠点が増加してしまうのが常であり、それら
の改善が強く望まれてきた。かぶりについては通常、か
ぶり防止剤といった化合物を加えることにより改善がな
されてきたが、これらは本来の高感度を損なうとか現像
進行を遅らせるとか種々の弊害を伴っていた。こういっ
た欠点を解決するために、カルコゲン増感中心それ自身
を改善することが強く望まれてきたが、それを達成する
具体的手段やその検出手段が無く、試行錯誤でしかなさ
れてこなかった。また、写真処理サービスの業界では、
顧客の待ち時間短縮、生産性向上などのために迅速処理
可能で高画質な感光材料が望まれている。この目的のた
めに塩化銀含有量の高い、所謂高塩化銀粒子(塩化銀含
有率80%以上の粒子を意味し、以後高塩化銀粒子とい
う)を利用する技術が種々提案されている。高塩化銀粒
子を用いることで現像速度が速まり、かつ処理液の再利
用性が高まるなどの利点が得られる。たとえば現在、カ
ラー印画紙等のプリント用感光材料は高塩化銀粒子を用
いるタイプが主流を占めるに至っているが、さらに全処
理時間の短縮が要求されている。
【0005】迅速処理適性に優れた高塩化銀粒子は通常
の製造条件では{100}面を外表面とする粒子{10
0}粒子という)になる傾向があり、実用的に用いられ
てきた粒子も立方体であった。しかし近年では比表面積
(体積に対する表面積の割合)が大きく、そのために有
効に分光増感できる平板状の{100}粒子も開発さ
れ、その例が米国特許第5320938号、同5264
337号、同5292632号等に開示されている。ま
た、高塩化銀で{111}面を外表面とする粒子(以下
{111}粒子という)が開発された。例えば特開平6
−138619号、米国特許第4399215号、同第
4400463号、同第4783398号、同第471
3323号、同第4983508号、同第518523
9号、同第5178997号、同第5178998号、
特開昭64−70741号、特開平3−212639
号、同4−283742号、同4−335632号、同
2−32号、および同8−227117号で開示されて
おり、これらで平板状{111}粒子を調製できる。迅
速処理に適したこれらの平板状高塩化銀乳剤は、かぶり
易く、又、高感度を得ようとすると階調が軟調化し易い
といった欠点があり、これらの改善が強く望まれてい
た。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的の第1
は、高感度で迅速処理に適したハロゲン化銀写真乳剤を
提供することにある。本発明の目的の第2は、高感度
で、かぶりが低く、階調のすぐれたハロゲン化銀写真乳
剤を提供することにある。また、本発明の目的の第3
は、高感度で迅速処理に適したハロゲン化銀写真乳剤を
調製する化学増感法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の上記諸目的は、
下記の(1)及び(2)によって達成された。 (1)カルコゲン増感されたハロゲン化銀写真乳剤にお
いて、該カルコゲン増感により生成したカルコゲン増感
中心の吸収スペクトルの半値幅が3900cm-1以下、1
200cm-1以上であり、該ハロゲン化銀写真乳剤中に含
まれる全ハロゲン化銀粒子の投影面積の50%以上がア
スペクト比が2以上で、80モル%以上の塩化銀を含有
する平板状ハロゲン化銀粒子であることを特徴とするハ
ロゲン化銀写真乳剤。
【0008】(2)ハロゲン化銀写真乳剤をカルコゲン
増感する方法において、該カルコゲン増感により生成し
たカルコゲン増感中心の吸収スペクトルの半値幅が39
00cm -1以下、1200cm-1以上になるように制御して
カルコゲン増感を行い、該ハロゲン化銀写真乳剤中に含
まれる全ハロゲン化銀粒子の投影面積の50%以上がア
スペクト比が2以上で、80モル%以上の塩化銀を含有
する平板状ハロゲン化銀粒子であることを特徴とするハ
ロゲン化銀写真乳剤のカルコゲン増感方法。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明をさらに具体的に説明す
る。本発明の目的は、カルコゲン増感され、それにより
生成されたカルコゲン増感中心の吸収スペクトルの半値
幅が3900cm-1以下1200cm-1以上であることを特
徴とする平板状高塩化銀写真乳剤により達成されるが、
好ましくは吸収の半値幅が3600cm-1以下、より好ま
しくは3200cm-1以下、特に2800cm-1以下が好ま
しく、1200cm-1以上あればよい。なお半値幅の数値
が小さいほど鋭い吸収である。
【0010】カルコゲン増感中心は硫化銀、セレン化銀
やテルル化銀からなるが、例えば硫黄増感されたハロゲ
ン化銀乳剤が、可視域に硫黄増感中心である硫化銀の吸
収を持つことはこれまでに知られていた。例えば、ジャ
ーナル オブ フォトグラフィック サイエンス誌、1
4巻181頁(1966年)、同誌16巻102頁(1
968年)、や日本写真学会誌59巻435頁(199
6年)などに報告されてきた。ところがこれらで知られ
ている硫黄増感中心の吸収スペクトルは非常にブロード
であり、半値幅が4000cm-1をこえ5000cm-1前後
になる非常に大きいものであった。しかも、これを用い
てカルコゲン増感を高度かつ精密に制御する試みも全く
なされてこなかった。本発明は、カルコゲン増感された
乳剤のカルコゲン増感中心がもたらす吸収スペクトルを
測定し、それを特定の形に具体的にはこれまで知られて
いなかったほどの狭い吸収に制御することにより、本発
明の目的を達成したものである。
【0011】本発明におけるカルコゲン増感は、硫黄増
感、セレン増感およびテルル増感であり、それぞれ単独
でもあるいは組み合わせても用いることが出来る。
【0012】硫黄増感においては、不安定硫黄化合物を
用い、P. Grafkides著、Chimie etPhysique Photograph
ique (Paul Momtel社刊、1987年、第5版)、Resea
rchDisclosure 誌、307巻307105号などに記載
されている不安定硫黄化合物を用いる事が出来る。具体
的には、チオ硫酸塩(例えばハイポ)、チオ尿素類(例
えば、ジフェニルチオ尿素、トリエチルチオ尿素、N−
エチル−N′−(4−メチル−2−チアゾリル)チオ尿
素、カルボキシメチルトリメチルチオ尿素)、チオアミ
ド類(例えば、チオアセトアミド)、ローダニン類(例
えば、ジエチルローダニン、5−ベンジリデン−N−エ
チルローダニン)、フォスフィンスルフィド類(例え
ば、トリメチルフォスフィンスルフィド)、チオヒダン
トイン類、4−オキソ−オキサゾリジン−2−チオン
類、ジスルフィド類またはポリスルフィド類(例えば、
ジモルフォリンジスルフィド、シスチン、1,2,3,
5,6−ペンタチエペン)、チオスルホン酸塩類(例え
ば、ベンゼンチオスルホン酸Na、ヘキシルチオスルホ
ン酸ナトリウム)、メルカプト化合物(例えば、システ
イン)、ポリチオン酸塩、元素状硫黄などの公知の硫黄
化合物および活性ゼラチンなども用いることができる。
特にチオ硫酸塩、チオスルホン酸塩類、チオ尿素類とロ
ーダニン類が好ましい。
【0013】セレン増感においては、不安定セレン化合
物を用い、特公昭43−13489号、同44−157
48号、特開平4−25832号、同4−109340
号、同4−271341号、同5−40324号、同5
−11385号、特願平4−202415号、同4−3
30495号、同4−333030号、同5−4203
号、同5−4204号、同5−106977号、同5−
236538号、同5−241642号、同5−286
916号などに記載されているセレン化合物を用いる事
が出来る。具体的には、コロイド状金属セレン、セレノ
尿素類(例えば、N,N−ジメチルセレノ尿素、トリフ
ルオルメチルカルボニル−トリメチルセレノ尿素、アセ
チル−トリメチルセレノ尿素)、セレノアミド類(例え
ば、セレノアミド、N,N−ジエチルフェニルセレノア
ミド)、フォスフィンセレニド類(例えば、トリフェニ
ルフォスフィンセレニド、ペンタフルオロフェニル−ト
リフェニルフォスフィンセレニド)、セレノフォスフェ
ード類(例えば、トリ−p−トリルセレノフォスフェー
ト、トリ−n−ブチルセレノフォスフェート)、セレノ
ケトン類(例えば、セレノベンゾフェノン)、イソセレ
ノシアネート類、セレノカルボン酸類、セレノエステル
類、ジアシルセレニド類などを用いればよい。またさら
に、特公昭46−4553号、同52−3449号など
に記載の非不安定セレン化合物、例えば亜セレン酸、セ
レノシアン酸塩、セレナゾール類、セレニド類なども用
いる事が出来る。特に、フォスフィンセレニド類、セレ
ノ尿素類とセレノシアン酸塩が好ましい。
【0014】テルル増感においては、不安定テルル化合
物を用い、特開平4−224595号、同4−2713
41号、同4−333043号、同5−303157
号、同6−27573号、同6−175258号、同6
−180478号、同6−208186号、同6−20
8184号、同6−317867号、同7−14057
9号、同7−301879号、同7−301880号な
どに記載されている不安定テルル化合物を用いる事が出
来る。具体的には、フォスフィンテルリド類(例えば、
ブチル−ジイソプロピルフォスフィンテルリド、トリブ
チルフォスフィンテルリド、トリブトキシフォスフィン
テルリド、エトキシ−ジフェニルフォスフィンテルリ
ド)、ジアシル(ジ)テルリド類(例えば、ビス(ジフ
ェニルカルバモイル)ジテルリド、ビス(N−フェニル
−N−メチルカルバモイル)ジテルリド、ビス(N−フ
ェニル−N−メチルカルバモイル)テルリド、ビス(N
−フェニル−N−ベンジルカルバモイル)テルリド、ビ
ス(エトキシカルボニル)テルリド)、テルロ尿素類
(例えば、N,N′−ジメチルエチレンテルロ尿素、
N,N′−ジフェニルエチレンテルロ尿素)テルロアミ
ド類、テルロエステル類などを用いれば良い。特に、ジ
アシル(ジ)テルリド類とフォスフィンテルリド類が好
ましい。
【0015】さらに本発明のカルコゲン増感に金増感な
どの貴金属増感を組み合わせて併用するのが好ましい。
貴金属増感においては、P. Grafkides著、Chimie et Ph
ysique Photographique (Paul Momtel社刊、1987
年、第5版)、Research Disclosure 誌、307巻30
7105号などに記載されている金、白金、パラジウ
ム、イリジュウムなどの貴金属塩を用いる事が出来、な
かでも特に金増感が好ましい。具体的には、塩化金酸、
カリウムクロロオーレート、カリウムオーリチオシアネ
ート、硫化金、金セレニドにくわえて、米国特許第2,
642,361号、同5,049,484号、同5,0
49,485号、同5,169,751号、同5,25
2,455号、ベルギー特許第691,857などに記
載の金化合物も用いることが出来る。具体的には、金硫
黄増感、金硫黄セレン増感、金硫黄テルル増感、金硫黄
セレンテルル増感の組合せが好ましい。
【0016】カルコゲン増感に金増感を併用した場合の
ハロゲン化銀乳剤の吸収スペクトルは、金増感剤で変化
するので、カルコゲン増感で形成されたカルコゲン増感
中心の吸収スペクトルを測定する為には、金増感による
影響を除いて測定する必要がある。金増感剤の効果を除
くために、金増感剤の数モルないし数10モル倍のシア
ン化カリウムを添加した場合に得られる吸収スペクトル
を観察し、金増感の影響を取り除いたカルコゲン増感中
心の半値幅が3900cm-1以下1200cm-1以上になる
ように制御すればよい。
【0017】本発明で用いられるカルコゲンや貴金属増
感剤の使用量は、使用するハロゲン化銀粒子や化学増感
条件などにより変わるが、ハロゲン化銀1モル当たり1
-8〜10-2モル、好ましくは10-7〜10-3モル程度
を用いることが出来る。
【0018】本発明における化学増感の条件としては、
特に制限は無いが、pAgとしては6〜11、好ましく
は7〜10であり、pHは4〜10、好ましくは5〜
8、温度としては40℃〜95℃、好ましくは45℃〜
85℃である。
【0019】本発明におけるカルコゲン増感されたハロ
ゲン化銀乳剤のカルコゲン増感中心の吸収スペクトルの
測定は、先に示したジャーナル オブ フォトグラフィ
ックサイエンス誌、14巻181頁(1966年)、同
誌16巻102頁(1968年)、や日本写真学会誌5
9巻435頁(1996年)などに報告された方法で測
定すればよい。具体的には液体乳剤を1cm厚さの測定用
セルにいれたり、またはガラス乾板上などに数100μ
m 以上の厚さをもった厚膜にして、未化学増感のハロゲ
ン化銀乳剤を参照にして、積分球をもつ分光光度計で拡
散反射率を測定する。得られた反射率RをKubelka-Munk
式(1-R)2/2Rで変換した値を縦軸に、横軸に波長をとっ
た吸収スペクトルを求め、その吸収極大におけるピーク
高さの1/2での吸収値をcm-1単位に換算して吸収の半
値幅が求められる。カルコゲン増感中心の吸収スペクト
ルの測定は化学熟成時に容易にオンラインで行うことも
でき、その制御に非常に有効である。
【0020】もしカルコゲン増感剤の添加量が少なくて
吸収スペクトルが求めにくい場合には、その数倍ないし
数十倍の添加量で測定しそれを適用してもよい。また、
例えば色素による吸収の如く、カルコゲン増感中心の吸
収スペクトルの測定を妨害する吸収を有する化合物があ
るときは、参照側にも該色素を添加して吸収をキャンセ
ルするか、適当な手段で脱着ないし消色して測定すれば
よい。
【0021】カルコゲン増感される乳剤のカルコゲン増
感中心の吸収スペクトルの半値幅を狭める手段は幾つか
の方法がある。具体的には、実施例に示すように、シア
ニン色素やメロシアニン色素などのメチン系の種々の増
感色素、ヘテロ環を持ちハロゲン化銀粒子に吸着しカル
コゲン増感中心の生成や成長に対して影響する化合物
を、吸収スペクトルを測定しつつ本発明の範囲になるよ
うに最適に添加していくのが良い。また、化学増感時の
環境(温度、pH、pAg、攪拌など)や添加液の状態
(ゼラチン分散や、固体微粒子分散など)も用いるとよ
い。もちろん、吸収を鋭くさせることができればこれ以
外の種々の手段で行うことが可能であり、以上に限定さ
れるものではない。増感色素やかぶり防止剤などを化学
増感時に添加することは、従来から行われてきたがそれ
らは単に添加するだけであったのに対して、本発明はカ
ルコゲン増感されたハロゲン化銀乳剤の該カルコゲン増
感により生成したカルコゲン増感中心の吸収スペクトル
を測定しそれを制御するのにこれらを最適に用いるもの
であり、これまでは知られていなかった全く新たな化学
増感の制御方法である。
【0022】また、本発明において還元増感をさらに用
いてもよい。特にハロゲン化銀粒子形成時に還元増感を
施すのが好ましい。還元増感においては、P. Grafkides
著、Chimie et Physique Photographique (Paul Momtel
社刊、1987年、第5版)、Research Disclosure
誌、307巻307105号などに記載されている還元
性化合物を用いることが出来る。具体的には、アミノイ
ミノメタンスルフィン酸(別名、二酸化チオ尿素)、ボ
ラン化合物(例えば、ジメチルアミノボラン)、ヒドラ
ジン化合物(例えば、ヒドラジン、p−トリルヒドラジ
ン)、ポリアミン化合物(例えば、ジエチレントリアミ
ン、トリエチレンテトラミン)、塩化第一スズ、シラン
化合物、レダクトン類(例えば、アスコルビン酸)、亜
硫酸塩、アルデヒド化合物、水素ガスなどを用いれば良
い。また、高pHや銀イオン過剰(いわゆる銀熟成)の
雰囲気で還元増感を施しても良い。また、本発明におい
て、チオスルフォン酸塩(例えば、ベンゼンチオスルフ
ォン酸ナトリウム)、ジスルフィド化合物(例えば、ビ
ス(4−アセトアニリドフェニル)ジスルフィド、リポ
酸)、沃素、水銀塩などの、特に好ましくはチオスルフ
ォン酸塩やジスルフィド化合物といった銀の酸化剤を併
用するのが好ましい。
【0023】また、本発明においては、ハロゲン化銀の
化学増感はハロゲン化銀溶剤の存在下で行ってもよい。
具体的には、チオシアン酸塩(例えば、チオシアン酸カ
リウム)、チオエーテル化合物(例えば、米国特許第
3,021,215号、同3,271,157号、特公
昭58−30571号、特開昭60−136736号に
記載の化合物、特に、3,6−ジチア−1,8−オクタ
ンジオール等)、四置換チオ尿素化合物(例えば、特公
昭59−11892号、米国特許第4,221,863
号に記載の化合物、特に、テトラメチルチオ尿素)、更
に、特公昭60−1134号に記載のチオン化合物、特
公昭63−29727号に記載のメルカプト化合物、特
開昭60−163042号に記載のメソイオン化合物、
米国特許第4,782,013号に記載のセレノエーテ
ル化合物、特開平2−118566号に記載のテルエー
テル化合物、亜硫酸塩が挙げられる。特に、これらの中
で、チオシアン酸塩、チオエーテル化合物、四置換チオ
尿素化合物とチオン化合物は好ましく用いる事ができ特
に、チオシアン酸塩が好ましい。使用量としては、ハロ
ゲン化銀1モル当たり10-5〜10-2モル程度である。
【0024】次に、本発明でカルコゲン増感されるハロ
ゲン化銀乳剤やこれを使用したハロゲン化銀写真感光材
料(単に感光材料という場合もある)について説明す
る。上記ハロゲン化銀写真感光材料は、ハロゲン化銀乳
剤層を支持体上に有するものである。
【0025】次に本発明で使用する平板状ハロゲン化銀
粒子について詳細に説明する。平板粒子の厚み方向に垂
直な1組の平行な面を主面という。{111}平板粒子
は{111}面を主面とした平板粒子である。{11
1}平板粒子形成に関しては、種々の晶相制御剤を用い
る方法が開示されているが、特開平2−32号に記載さ
れた化合物(化合物例1〜42)が好ましく、特開平8
−227117号に記載されている晶相制御剤1〜29
が特に好ましい。しかしながら、本発明はこれらに限定
されるものではない。
【0026】{111}平板粒子はふたつの平行な双晶
面を形成することにより得られる。双晶面の形成は温
度、分散媒(ゼラチン)、ハロゲン濃度等により左右さ
れるのでこれらの適当な条件を設定しなければならな
い。晶相制御剤を核形成時に存在させる場合にはゼラチ
ン濃度は0.1%〜10%が好ましい。塩化物濃度は
0.01モル/リットル以上、好ましくは0.03モル
/リットル以上である。また、粒子を単分散化するため
には、核形成に際して晶相制御剤を用いないのが好まし
いことが特開平8−184931号に開示されている。
晶相制御剤を核形成時に用いない場合にはゼラチン濃度
は0.03%〜10%、好ましくは0.05%〜1.0
%である。塩化物濃度は0.001モル/リットル〜1
モル/リットル、好ましくは0.003モル/リットル
〜0.1モル/リットルである。核形成温度は2℃〜9
0℃まで任意の温度を選べるが5℃〜80℃が好まし
く、特に5℃〜40℃が好ましい。
【0027】最初の核形成段階で平板粒子の核が形成さ
れるが、核形成直後には反応容器内には平板粒子以外の
核も多数含まれる。そのため、核形成後、熟成を行い、
平板粒子のみを残存させ他を消滅させる技術が必要とな
る。通常のオストワルド熟成を行うと、平板粒子核も溶
解消滅するため、平板粒子核が減少し、結果として得ら
れる平板粒子のサイズが増大してしまう。これを防止す
るために、晶相制御剤を添加する。特にフタル化ゼラチ
ンを併用することで、晶相制御剤の効果を高め、平板粒
子の溶解を防止できる。熟成中のpAgは特に重要であ
り、銀塩化銀電極に対して60〜130mVが好まし
い。次に、形成した核を物理熟成及び銀塩とハロゲン化
物の添加により、晶相制御剤存在下に成長させる。この
際には、塩化物濃度は5モル/リットル以下、好ましく
は0.05〜1モル/リットルである。粒子成長時の温
度は10℃〜90℃の範囲で選択できるが、30℃〜8
0℃の範囲が好ましい。晶相制御剤の全使用量は完成乳
剤中のハロゲン化銀1モルあたり、6×10-5モル以
上、特に3×10-4モル〜6×10-2モルが好ましい。
晶相制御剤の添加時期としては、ハロゲン化銀粒子の核
形成時から物理熟成、粒子成長途中のどの時期でもよ
い。添加後より{111}面が形成を開始する。晶相制
御剤は予め反応容器内に添加してもよいが、小サイズ平
板粒子形成する場合には、粒子成長とともに反応容器内
に添加し、その濃度を増大させるのが好ましい。
【0028】核形成時に使用した分散媒量が成長にとっ
て不足の場合には添加により補う必要がある。成長には
10g/リットル〜100g/リットルのゼラチンが存
在するのが好ましい。補うゼラチンとしてはフタル化ゼ
ラチンあるいはトリメリットゼラチンが好ましい。粒子
形成時のpHは任意であるが中性から酸性領域が好まし
い。
【0029】次に{100}平板粒子について説明す
る。{100}平板粒子は{100}面を主平面とした
平板状粒子である。該主平面の形状は、直角平行四辺形
形状または、該直角平行四辺形のある一つの角が欠落し
た3〜5角形形状(欠落した形状とは、その角を頂点と
し、その角をなす辺によって形成される直角三角形部
分)、または該欠落部分が2つ以上4つ以下存在する4
〜8角形形状等がある。欠落した部分を補った直角平行
四辺形形状を、補充四辺形とすると、該直角平行四辺形
および該補充四辺形の隣接辺比率(長辺の長さ/短辺の
長さ)は1〜6、好ましくは1〜4、より好ましくは1
〜2である。
【0030】{100}主平面を有する平板状ハロゲン
化銀乳剤粒子の形成法としては、ゼラチン水溶液のよう
な分散媒中に銀塩水溶液とハロゲン化物塩水溶液を攪拌
しながら添加、混合することにより行うが、この時、例
えば、特開平6−301129号、同6−347929
号、同9−34045号、同9−96881号では、ヨ
ウ化銀またはヨウ化物イオンを、あるいは、臭化銀また
は臭化物イオンを存在させ、塩化銀との結晶格子の大き
さの違いから核に歪みを生じさせ、螺旋転位の様な異方
成長性を付与する結晶欠陥を導入する方法が開示されて
いる。該螺旋転位が導入されると、低過飽和条件ではそ
の面での2次元核の形成が律速ではなくなるため、この
面での結晶化が進み、螺旋転位を導入することによって
平板状の粒子が形成される。ここで低過飽和条件とは臨
界添加時の好ましくは35%以下、より好ましくは2〜
20%を示す。該結晶欠陥が螺旋転位であると確定され
たわけでは無いが、転位の導入された方向、あるいは粒
子に異方成長性が付与される事から螺旋転位である可能
性が高いと考えられている。平板粒子をより薄くする為
には、導入された該転位保持が好ましい事が特開平8−
122954号、同9−189977号に開示されてい
る。
【0031】また、特開平6−347928号ではイミ
ダゾール類、3,5−ジアミノトリアゾール類を用いた
り、特開平8−339044号ではポリビニルアルコー
ル類を用いるなどして、{100}面形成促進剤を添加
して{100}平板粒子を形成する方法が開示されてい
る。しかしながら、本発明はこれらに限定されるもので
はない。
【0032】本発明の平板状粒子は塩化銀含有量が80
モル%以上のハロゲン化銀平板状粒子をいうが、95モ
ル%以上が塩化銀であることが好ましい。本発明の平板
状粒子はコア部とコア部を取り巻くシェル部よりなる、
いわゆるコア/シェル構造をしていることが好ましい。
コア部は90モル%以上が塩化銀であることが好まし
い。コア部はさらに、ハロゲン組成の異なる二つ以上の
部分からなっていてもよい。シェル部は全粒子体積の5
0%以下であることが好ましく、20%以下であること
が特に好ましい。シェル部はヨウ塩化銀もしくは沃臭塩
化銀であることが好ましい。シェル部は0.5モル%か
ら13モル%のヨードを含有することが好ましく、1モ
ル%から13モル%で含有することが特に好ましい。ヨ
ウ化銀の全粒子中の含有量は0.02モル以上、好まし
くは0.1モル以上で5モル%以下が好ましく、1モル
%以下が特に好ましい。臭化銀含有率もコア部よりもシ
ェル部が高いことが好ましい。臭化銀含有率20モル%
以下が好ましく、5モル%以下が特に好ましい。また高
臭化銀部分がエピタキシャル状に接合していてもよい。
【0033】本発明のハロゲン化銀粒子は平均粒子サイ
ズ(体積換算球相当直径)に特に制限はないが、好まし
くは0.1μm〜0.8μm、特に好ましくは0.1μ
m〜0.6μmである。本発明の平板状粒子は、円相当
直径は好ましくは0.2〜1.0μmである。ここでハ
ロゲン化銀粒子の円相当直径とは、電子顕微鏡写真にお
ける粒子の投影面積に等しい面積の円の直径を云う。ま
た、厚みは0.2μm以下、好ましくは0.1μm以
下、特に好ましくは0.06μm以下である。本発明の
平板状粒子のアスペクト比(円相当直径/粒子厚み)は
2以上であるが、2〜30、特に5〜20であることが
好ましい。本発明において全ハロゲン化銀粒子の投影面
積の50%以上が、アスペクト比2以上の平版状粒子で
あり、好ましくは70%以上、特に90%以上が平板状
粒子であることが好ましい。全平板状粒子のアスペクト
比の平均値を平均アスペクト比と呼ぶが、平均アスペク
ト比としては3〜30、特に5〜20であることが好ま
しい。一般に平板粒子は、2つの平行な面を有する平板
状であり、したがって本発明における「厚み」とは平板
粒子を構成する2つの平行な面の距離で表される。本発
明のハロゲン化銀粒子の粒子サイズの分布は、多分散で
も単分散でもよいが、単分散であることがより好まし
い。特に全投影面積の50%以上を占める平板粒子の円
相当直径の変動係数が20%以下が好ましい。理想的に
は0%である。
【0034】晶相制御剤が粒子形成後も粒子表面に存在
すると、増感色素の吸着や現像に影響を与える。そのた
め、晶相制御剤は粒子形成後に除去することが好まし
い。ただし、晶相制御剤を除去した場合、高塩化銀{1
11}平板粒子は、通常の条件では{111}面を維持
するのが困難である。したがって、増感色素等写真的に
有用な化合物で置換して粒子形態を保持することが好ま
しい。この方法については、特開平9−80656号、
特開平9−106026号、米国特許第5,221,6
02号明細書、同第5,286,452号、同第5,2
98,387号、同第5,298,388号、同第5、
176,992号等に記載されている。
【0035】上記方法により晶相制御剤は粒子から脱着
するが、脱着した晶相制御剤を水洗により乳剤外へ除去
するのが好ましい。水洗温度としては、保護コロイドと
して通常用いられるゼラチンが凝固しない温度で行うこ
とができる。水洗方法としては、フロキュレーション法
や限外ろ過法等の種々の公知技術を用いることができ
る。水洗温度は40℃以上が好ましい。また、晶相制御
剤は低pHで粒子より脱着が促進される。従って、水洗
工程のpHは粒子が過度に凝集しない限りの低いpHが
好ましい。
【0036】本発明のハロゲン化銀粒子には周期律表VI
II属金属、即ちオスミウム、イリジウム、ロジウム、白
金、ルテニウム、パラジウム、コバルト、ニッケル、鉄
から選ばれた金属のイオンまたはその錯体を単独または
組み合わせて用いることができる。とくに、鉄、イリジ
ウム、とルテニウムの錯体が好ましい。更にこれらの金
属は、複数種用いてもよい。
【0037】上記金属イオン提供化合物は、ハロゲン化
銀粒子形成時に分散媒になるゼラチン水溶液中、ハロゲ
ン化物水溶液中、銀塩水溶液中、またはその他の水溶液
中に添加するか、あるいは予め、金属イオンを含有せし
めたハロゲン化銀微粒子の形でハロゲン化銀乳剤に添加
し、この乳剤を溶解させる等の手段によって本発明のハ
ロゲン化銀粒子に含有せしめることができる。また、金
属イオンを該粒子中に含有せしめるには、粒子形成前、
粒子形成、粒子形成直後のいずれかで行うことができる
が、この添加時期は、金属イオンを粒子のどの位置にど
れだけの量含有させるかによって変えることができる。
【0038】本発明のハロゲン化銀粒子には、用いる金
属イオンの提供化合物のうち50モル%以上、好ましく
は80モル%以上が、より好ましくは100モル%がハ
ロゲン化銀粒子表面から粒子体積の50%以下に相当す
るまでの表面層に局在しているのが好ましい。この表面
層の体積は好ましくは30%以下である。金属イオンを
表面層に局在させることは、内部感度の上昇を抑制し、
高感度を得るのに有利である。こうしたハロゲン化銀粒
子の表面層に集中させて金属イオン提供化合物を含有せ
しめるには、例えば表面層を除いた部分のハロゲン化銀
粒子(コア)を形成した後、表面層を形成するための水
溶性銀塩溶液とハロゲン化物水溶液の添加にあわせて金
属イオン提供化合物を供給することで行うことができ
る。
【0039】本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤は、
第VIII族金属以外に、その乳剤粒子形成もしくは物理熟
成の過程において種々の多価金属イオン不純物を導入す
ることができる。これらの化合物の添加量は目的に応じ
て広範囲にわたるが、ハロゲン化銀1モルに対して、1
-9〜10-2モルが好ましい。
【0040】さらに、本発明の最終粒子乳剤は、転位線
を有していてもよい。平板状粒子の転位線は、例えば、
J. F. Hamilton, Phot. Sci. Eng., 11 、57、(1967)や
T. Shiozawa, J. Soc. Phot. Sci. Japan, 35 、213 、
(1972)に記載の、低温での透過型電子顕微鏡を用いた直
接的な方法により観察することができる。転位線は刃状
転位でも、ラセン転位でもよい。
【0041】本発明のハロゲン化銀感光材料は、ハロゲ
ン化銀乳剤層を支持体上に有するものである。写真感光
材料の乳剤層や中間層に用いることができる結合剤また
は保護コロイドとしては、ゼラチンを用いるのが有利で
あるが、それ以外の親水性コロイドも用いることができ
る。例えばゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子との
グラフトポリマー、アルブミン、カゼイン等の蛋白質;
ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロ
ース、セルロース硫酸エステル類等の如きセルロース誘
導体、アルギン酸ソーダ、澱粉誘導体などの糖誘導体;
ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール部分アセ
タール、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリル
酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニ
ルイミダゾール、ポリビニルピラゾールの単一あるいは
共重合体の如き種々の合成親水性高分子物質を用いるこ
とができる。ゼラチンとしては、汎用の石灰処理ゼラチ
ンのほか、酸ゼラチンや日本科学写真協会誌(Bull. So
c. Phot. Japan) 、No.16 、30頁(1966)に記載されたよ
うな酵素処理ゼラチンを用いても良く、また、ゼラチン
の加水分解物を用いることができる。
【0042】写真感光材料は、写真感光層あるいはバッ
ク層を構成する任意の親水性コロイド層に無機あるいは
有機の硬膜剤を含有させても良い。例えば、クロム塩、
アルデヒド塩(例えばホルムアルデヒド、グリオキザー
ル、グルタルアルデヒド)、N−メチロール系化合物
(例えばジメチロール尿素)が具体的として挙げられ
る。活性ハロゲン化合物(例えば2,4−ジクロル−6
−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジン及びそのナトリ
ウム塩)および活性ビニル化合物(例えば1,3−ビス
ビニルスルホニル−2−プロパノール、1,2−ビス
(ビニルスルホニルアセトアミド)エタン、ビス(ビニ
ルスルホニルメチル)エーテルあるいはビニルスルホニ
ル基を側鎖に有するビニル系ポリマー)は、ゼラチンな
ど親水性コロイドを早く硬化させ安定な写真特性を与え
るので好ましい。N−カルバモイルピリジニウム塩類
(例えば(1−モルホリノカルボニル−3−ピリジニ
オ)メタンスルホナード)やハロアミジニウム塩類(例
えば1−(1−クロロ−1−ピリジノメチレン)ピロリ
ジニウム−2−ナフタレンスルホナート)も硬化が早く
優れている。
【0043】本発明に用いられるハロゲン化銀写真乳剤
は、メチン色素類その他によって分光増感されているこ
とが好ましい。用いられる色素には、シアニン色素、メ
ロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メロシアニン
色素、ホロポーラーシアニン色素、ヘミシアニン色素、
スチリル色素およびヘミオキソノール色素が包含され
る。特に、有用な色素は、シアニン色素、メロシアニン
色素、および複合メロシアニン色素に属する色素であ
る。これらの色素類には、塩基性異節環核としてシアニ
ン色素類に通常利用される核のいずれをも適用できる。
すなわち、ピロリン核は、オキサゾリン核、チアゾリン
核、ピロール核、オキサゾール核、チアゾール核、セレ
ナゾール核、イミダゾール核、テトラゾール核、ピリジ
ン核など;これらの核に脂環式炭化水素環が融合した
核;およびこれらの核に芳香族炭化水素環が融合した
核、すなわち、インドレニン核、ベンズインドレニン
核、インドール核、ベンズオキサドール核、ナフトオキ
サゾール核、ベンゾチアゾール核、ナフトチアゾール
核、ベンゾセレナゾール核、ベンズイミダゾール核、キ
ノリン核などが適用できる。これらの核は炭素原子上に
置換基を有していてもよい。
【0044】メロシアニン色素または複合メロシアニン
色素にはケトメチレン構造を有する核として例えばピラ
ゾリン−5−オン核、チオヒダントイン核、2−チオオ
キサゾリジン−2,4−ジオン核、チアゾリジン−2,
4−ジオン核、ローダニン核、チオパルビツール酸核の
5〜6員異節環核を適用することができる。
【0045】これらの増感色素は単独に用いてもよい
が、それらの組合わせを用いてもよく、増感色素の組合
わせは特に、強色増感の目的でしばしば用いられる。増
感色素とともに、それ自身分光増感作用を持たない色素
あるいは可視光を実質的に吸収しない物質であって、強
色増感を示す物質を乳剤中に含んでもよい。例えば、含
窒素異節環核基であって置換されたアミノスチルベンゼ
ン化合物(例えば米国特許第2,933,390号、同
3,635,721号に記載のもの)、芳香族有機酸ホ
ルムアルデヒド縮合物(例えば米国特許第3,743,
510号に記載のもの)、カドミウム塩、アザインデン
化合物などを含んでもよい。米国特許第3,615,6
13号、同3,615,641号、同3,617,29
5号、同3,635,721号に記載の組合わせは特に
有用である。
【0046】本発明に用いられるハロゲン化銀写真乳剤
は、感光材料の製造工程、保存中あるいは写真処理中の
カブリを防止し、あるいは写真性能を安定化させるなど
の目的で、種々の化合物を含有させることができる。す
なわちアゾール類、例えばベンゾチアゾリウム塩、ニト
ロイミダゾール類、ニトロベンズイミダゾール類、クロ
ロベンズイミダゾール類、ブロモベンズイミダゾール
類、メルカプトチアゾール類、メルカプトベンズチアゾ
ール類、メルカプトベンズイミダゾール類、メルカプト
チアジアゾール類、アミノトリアゾール類、ベンゾトリ
アゾール類、ニトロベンゾトリアゾール類、メルカプト
テトラゾール類(特に1−フェニル−5−メルカプトテ
トラゾール類)など;メルカプトピリミジン類;メルカ
プトトリアジン類;例えばオキサドリチオンのようなチ
オケト化合物;アザインデン類;例えばトリアザインデ
ン類、テトラアザインデン類(特に4−ヒドロキシ−6
−メチル(1,3,3a,7)テトラアザインデン)、
ペンタアザインデン類;ベンゼンチオスルフォン酸、ベ
ンゼンスルフィン酸、ベンゼンスルフォン酸アミドのよ
うなカブリ防止剤または安定剤として知られた、多くの
化合物を加えることができる。
【0047】写真感光材料は塗布助剤、帯電防止、スベ
リ性改良、乳化分散、接着防止および写真特性改良(例
えば現像促進、硬調化、増感)など種々の目的で一種以
上の界面活性剤を含んでもよい。
【0048】写真感光材料は、フィルター染料として、
またはイラジエーションもしくはハレーション防止その
他種々の目的のために親水性コロイド層中に水溶性染料
を含有してもよい。このような染料として、オキソノー
ル染料、ヘミオキソノール染料、スチリル染料、メロシ
アニン染料、アントラキノン染料、アゾ染料が好ましく
使用され、この他にシアニン染料、アゾメチン染料、ト
リアリールメタン染料、フタロシアニン染料も有用であ
る。油溶性染料を水中油滴分散法により乳化して親水性
コロイド層に添加することもできる。
【0049】写真感光材料は、支持体上に少なくとも2
つの異なる分光感度を有する多層多色写真材料として構
成できる。多層天然色カラー写真材料は、通常支持体上
に赤感性乳剤層、緑感性乳剤層および青感性乳剤層をそ
れぞれ少なくとも一つ有する。これらの層の配列順序は
必要に応じて任意に選べる。好ましい層配列は支持体側
から赤感性、緑感性および青感性の順、青感性、緑感性
および赤感性の順または青感性、赤感性および緑感性の
順である。また任意の同じ感色性の乳剤層を感度の異な
る2層以上の乳剤層から構成して到達感度を向上させて
もよく、3層構成として更に粒状性を改良しても良い。
また同じ感色性をもつ2つ以上の乳剤層の間に非感光性
層が存在していてもよい。ある同じ感色性の乳剤層の間
に異なった感色性の乳剤層が挿入される構成としてもよ
い。高感度層特に高感度青感層の下に微粒子ハロゲン化
銀などの反射層を設けて感度を向上させてもよい。本発
明に用いられるハロゲン化銀乳剤で使用される添加剤は
リサーチ・ディスクロージャーNo. 17643、同No.
18716および同No. 307105に記載されてお
り、その該当箇所を後掲の表にまとめた。
【0050】 添加剤の種類 RD17643 RD18716 RD307105 〔1978年12月〕 〔1979年11月〕 〔1989年11月〕 1.化学増感剤 23頁 648頁右欄 866頁 2.感度上昇剤 648頁右欄 3.分光増感剤 23〜24頁 648頁右欄 866〜868頁 強色増感剤 〜649頁右欄 4.増白剤 24頁 647頁右欄 868頁 5.かぶり防止 24〜25頁 649頁右欄 868〜870頁 剤、安定剤 6.光吸収剤、 25〜26頁 649頁右欄 873頁 フィルター 〜650頁左欄 染料、赤外 線吸収剤 7.ステイン防止 25頁右欄 650頁左〜右欄 872頁 剤 8.色素画像安定 25頁 650頁左欄 872頁 剤 9.硬膜剤 26頁 651頁左欄 874〜875頁 10. バインダー 26頁 651頁左欄 873〜874頁 11. 可塑剤、潤滑 27頁 650頁右欄 876頁 剤 12. 塗布助剤、 26〜27頁 650頁右欄 875〜876頁 界面活性剤 13. スタチック 27頁 650頁右欄 876〜877頁 防止剤 14. マット剤 878〜879頁
【0051】本発明の写真感光材料に用いることができ
るその他の技術および無機・有機素材については、欧州
特許第436,938A2号の下記の箇所及び下記に引
用の特許に記載されている。 1.層構成 :第146頁34行目〜第147頁25行目 2.イエローカプラー;第137頁35行目〜第146頁33行目、第149頁 21行目〜23行目 3.マゼンタカプラー;第149頁24行目〜第28行目;欧州特許第421, 453A1号の第3頁5行目〜第25頁55行目 4.シアンカプラー ;第149頁29行目〜33行目;欧州特許第432,8 04A2号の第3頁28行目〜第40頁2行目 5.ポリマーカプラー;第149頁34行目〜38行目;欧州特許第435,3 34A2号の第113頁39行目〜第123頁37行目 6.カラードカプラー;第53頁42行目〜第137頁34行目、第149頁3 9行目〜45行目 7.その他の機能性カ;第7頁1行目〜第53頁41行目、第149頁46行目 プラー 〜第150頁3行目;欧州特許第435,334A2号 の第3頁1行目〜第29頁50行目 8.防腐・防黴剤 ;第150頁25行目〜28行目 9.ホルマリンスカベ;第149頁15行目〜17行目 ンジャー 10. その他の添加剤 ;第153頁38行目〜47行目;欧州特許第421, 453A1号の第75頁21行目〜第84頁56行目、 第27頁40行目〜第37頁40行目 11. 分散方法 ;第150頁4行目〜24行目 12. 支持体 ;第150頁32行目〜34行目 13. 膜厚・膜物性 ;第150頁35行目〜49行目 14. 発色現像工程 ;第150頁50行目〜第151頁47行目 15. 脱銀工程 ;第151頁48行目〜第152頁53行目 16. 自動現像機 ;第152頁54行目〜第153頁2行目 17. 水洗・安定工程 ;第153頁3行目〜37行目
【0052】本発明は種々のカラーおよび白黒の感光材
料に適用することができる。一般用もしくは映画用のカ
ラーネガフィルム、スライド用もしくはテレビ用のカラ
ー反転フィルム、カラーペーパー、カラーポジフィルム
およびカラー反転ペーパー、カラー拡散転写型感光材料
および熱現像型カラー感光材料を代表例として挙げるこ
とができる。リサーチ・ディスクロージャーNo. 171
23(1978年7月)などに記載の三色カプラー混合
を利用することにより、または米国特許第4,126,
461号および英国特許第2,102,136号に記載
された黒発色カプラーを利用することにより、X線用な
どの白黒感光材料にも本発明を適用できる。リスフィル
ムもしくはスキャナーフィルムなどの製版用フィルム、
直医・間接医療用もしくは工業用のX線フィルム、撮影
用ネガ黒白フィルム、白黒印画紙、COM用もしくは通
常マイクロフィルム、銀塩拡散転写型感光材料およびプ
リントアウト型感光材料にも本発明を適用できる。とく
にカラーペーパーが好ましい。
【0053】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に
説明するがもちろん本発明がこれらの実施例に限定され
るものではない。 実施例1 ({111}高塩化銀平板粒子の調製)水1.2リット
ル中に塩化ナトリウム2.0g及び不活性ゼラチン2.
8gを添加し35℃に保った容器中へ攪拌しながら硝酸
銀水溶液45cc(硝酸銀18g)と塩化ナトリウム水溶
液45cc(塩化ナトリウム6.4g)をダブルジェット
法により1分間で添加した。添加終了後1分後に晶相制
御剤1を0.8ミリモルと10%フタル化ゼラチン水溶
液560gを添加した。さらに1分後に塩化ナトリウム
3.0gを添加した。次の25分間で反応容器の温度を
55℃に昇温した。55℃で12分間熟成した後、塩化
ナトリウムを3gとベンゼンチオスルホン酸ナトリウム
を1×10-5モル加えた。この後、硝酸銀水溶液295
cc(硝酸銀118g)、塩化ナトリウム水溶液295cc
(塩化ナトリウム50.3gおよび2×10-8モルの6
塩化イリジウムを含む)および晶相制御剤1の水溶液
(M/50)160ccを18分間かけて加速された流量
で添加した。さらに、2分間後から5分間で硝酸銀水溶
液(硝酸銀34g)と塩化ナトリウムと沃化カリウム水
溶液(塩化ナトリウム11.6g、沃化カリウム0.5
gと黄血塩1.27mg)とを添加した。次に、0.1
Nのチオシアン酸溶液33.5ccおよび増感色素A0.
34ミリモルを加えた。温度を40℃に下げて、通常の
フロキュレーション法により脱塩を行った。水洗後、ゼ
ラチン67gとフェノキシエタノール(5%)を80cc
及び蒸留水を150cc添加した。苛性ソーダと硝酸銀溶
液でpH6.0、pAg7.6に調整した。得られた粒
子は全投影面積の90%以上が、平均円相当径0.68
μm、平均厚み0.12μm、平均球相当径0.42μ
mの平板状粒子であった。
【0054】
【化1】
【0055】この乳剤を小分けして以下の化学熟成を行
った。 (Em−A)(比較乳剤) 一部小分けしたこの乳剤を56℃に昇温し、ヘキシルチ
オスルホン酸ナトリウム(0.4ミリモル)、チオ硫酸
ナトリウム(68マイクロモル)と塩化金酸(22マイ
クロモル)を順次加え、35分後に1−(5−メチルウ
レイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール(0.
8ミリモル)と4−ヒドロキシメチル−1,3,3a,
7−テトラザインデン(0.9ミリモル)を加え、更に
20分間熟成し、Em−Aを得た。
【0056】(Em−B)(本発明) 一部小分けしたこの乳剤を40℃にて、4−ヒドロキシ
−6−カルボキシメチル−1,3,3a,7−テトラザ
インデン(0.9ミリモル)を加え、5分後にヘキシル
チオスルホン酸ナトリウム(0.4ミリモル)とチオ硫
酸ナトリウム(74マイクロモル)を加えた。その後、
56℃に昇温したあと、塩化金酸(22マイクロモル)
を2回に分けて添加し22分後に1−(5−メチルウレ
イドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール(0.8
ミリモル)を加え、更に25分間熟成し、Em−Bを得
た。
【0057】(Em−C)(本発明) 一部小分けしたこの乳剤を40℃にて、4−ヒドロキシ
−6−カルボキシメチル−1,3,3a,7−テトラザ
インデン(0.5ミリモル)と1−(5−メチルウレイ
ドフェニル)−5−メルカプトテトラゾール(0.2ミ
リモル)を加え、5分後にヘキシルチオスルホン酸ナト
リウム(0.4ミリモル)とチオ硫酸ナトリウム(74
マイクロモル)を加えた。その後、56℃に昇温したあ
と、塩化金酸(22マイクロモル)を2回に分けて添加
しが、この際に4−ヒドロキシ−6−カルボキシメチル
−1,3,3a,7−テトラザインデン(0.4ミリモ
ル)と前記晶相制御剤1(0.4ミリモル)を同時に1
0分間かけて添加した。このあと、36分間熟成したあ
とに、1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メル
カプトテトラゾール(0.6ミリモル)を加え、更に3
0分間熟成し、Em−Cを得た。Em−A〜Cの一部を
とり、塩化金酸の10モル倍量のKCNを添加したあと
色素Aの入った未後熟の乳剤を参照にして、Em−A〜
Cを1cmセルに入れて、積分球をもつ分光計で420n
m付近に吸収極大を有する硫化銀の吸収(反射率)を測
定し、表1に示す半値幅の結果を得た。
【0058】
【表1】
【0059】表1に示した様に、化学増感剤を単に添加
しただけでは半値幅の大きな吸収となるが、熟成温度な
どの工夫や幾つかの化合物を適切な時期に適切な量を用
いることで半値幅の小さな鋭い吸収が得られた。
【0060】以上で得たEm−A〜Cに、ゼラチン、硬
膜剤(H−1)〜(H−3)、(Ab−1)〜(Ab−
4)の化合物、および乳化分散されたマゼンタカプラー
(ExM)、色像安定剤(Cpd−1)〜(Cpd−
6)、紫外線吸収剤(UV−A)と染料(D−1)〜
(D−4)、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾー
ルを加えて、紙の両面をポリエチレン樹脂で被覆してな
る支持体上に、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
を含むゼラチン保護層と共に塗布して試料を得た。
【0061】
【化2】
【0062】
【化3】
【0063】
【化4】
【0064】
【化5】
【0065】
【化6】
【0066】
【化7】
【0067】これらの試料に、センシトメトリー用露光
(1/100秒)を光学楔を介して与えた後、下記処理
工程および処理液に依って発色現像処理を施した。 処理工程 温 度 時 間 補充液* タンク容量 カラー現像 45℃ 15秒 35ml 2リットル 漂白定着 40℃ 15秒 35ml 1リットル リンス 40℃ 10秒 − 1リットル リンス 40℃ 10秒 − 1リットル リンス 40℃ 10秒 90ml 1リットル 乾 燥 80℃ 10秒 − − (リンス→へのタンク向流方式とした) *感光材料1m2あたりの補充量
【0068】上記の処理では、リンスの水は逆浸透膜
に圧送し、透過水はリンスに供給し、逆浸透膜を通過
しなかった濃縮水はリンスに戻して使用した。なお、
各リンス間はクロスオーバー時間を短縮するため、槽間
にブレードを設置し、その間に感材を通過させた。ま
た、各工程には特開平8−314088号記載の吹き付
け装置を用い吹き付け量を1タンクあたり4〜6l/min
に設定して循環処理液を吹き付けた
【0069】各処理液の組成は以下の通りである。 カラー現像液 タンク液 補充液 水 700ml 700ml トリイソプロピルナフタレン(β)スルホン酸ナトリウム 0.1g 0.1g エチレンジアミン四酢酸 3.0g 3.0g 1,2−ジヒドロキシベンセン−4,6−ジスルホン酸二ナトリウム塩 0.5g 0.5g トリエタノールアミン 12.0g 12.0g 塩化カリウム 15.8g − 臭化カリウム 0.04g − 炭酸カリウム 27.0g 27.0g 亜硫酸ナトリウム 0.1g 0.1g ジナトリウム−N,N−ビス(スルホナートエチル)ヒドロキシルアミン 18.0g 18.0g N−エチル−N−(β−メタンスルホンアミドエチル)−3−メチル−4−ア ミノアニリン硫酸塩 8.0g 23.0g ナトリウム−ビス−(2,4−シスルホナートエチル−1,3,5−トリアジ ル−6)−ジアミノスチルベン−2,2’−ジスルホナート 5.0g 6.0g 水を加えて 1000ml 1000ml pH(25℃) 10.35 12.80
【0070】漂白定着液は2成分の補充液を下記のよう
に混合して調製した。 漂白定着液 タンク液 補充量(下記量で1m2当たり合計38ml) 第1補充液 260ml 18ml 第2補充液 290ml 20ml 水を加えて 1000ml pH(25℃) 5.0
【0071】第1および第2補充液の組成は下記の通り
である。 第1補充液 水 150ml エチレンビスグアニジン硝酸塩 30g 亜硫酸アンモニウム・1水塩 226g エチレンジアミン四酢酸 7.5g トリアジニルアミノスチリルベン系蛍光増白剤 1.0g (昭和化学製ハッコールFWA−SF) 臭化アンモニウム 30g チオ硫酸アンモニウム(700g/l) 340ml 水を加えて 1000ml pH(25℃) 5.82
【0072】 第2補充液 水 140ml エチレンジアミン四酢酸 11.0g エチレンジアミン四酢酸鉄(III)アンモニウム 384g 酢酸(50%) 230ml 水を加えて 1000ml pH(25℃) 3.35
【0073】リンス液 イオン交換水(Ca、Mg各々3ppm以下) 処理の終了した発色試料を富士写真フイルム社製TCD
型濃度測定装置を用いて反射濃度を測定した。感度はカ
ブリ濃度よりも0.2と1.2高い発色濃度を与えるの
に必要な露光量の逆数の相対値で表し試料1の各発色濃
度での感度をそれぞれ100とした。結果を表2に示
す。
【0074】
【表2】
【0075】表2から明らかな様に、半値幅の大きな吸
収をもつ乳剤Aに比べて、半値幅の小さな乳剤B、Cは
高感度でカブリの発生が小さく、又高い発色濃度ほど高
感度のすなわち階調が硬くて非常に好ましいものであっ
た。半値幅が小さいほど好ましく、カルコゲン増感中心
の吸収をモニターすることにより高感度のよい化学増感
を採ることが可能となり、これは全く新たな方法であ
る。 実施例2 ({100}塩化銀平板粒子の調製)反応容器にH2
1200ml、ゼラチン(メチオニン含率が約40μモ
ル/gの脱イオン化アルカリ処理骨ゼラチン)25g、
塩化ナトリウム0.4g、硝酸1N液4.5mlを入れ
(pHは4.5)、38℃に恒温した。次にAg−1液
(硝酸銀 0.2g/cc)とX−1液(塩化ナトリウム
0.069g/cc)とを激しく攪拌しながら48cc/分
で4分間添加混合した。その15秒後にポリビニルアル
コール水溶液〔酢酸ビニルの平均重合度は1700で、
アルコールヘの平均ケン化率98%以上のポリビニルア
ルコール(以下PVA−1)を6.7g、H2O 1リ
ットルを含む〕を150ml添加した。更に硝酸1N液1
2.3ml加え、pH3.5に調整した。15分間で70
℃に昇温し、水酸化ナトリウム1N液23ml加えpHを
6.5にし、1−(5−メチルウレイドフェニル)−5
−メルカプトテトラゾール(0.05%)を4.0ml、
N,N’−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン(1%
水溶液)を4.0ml添加した。塩化ナトリウムを4g加
え、銀電位[対、室温飽カロメル電極]を100mVに
調整した後、成長過程としてAg−1液とX−1液を流
速40cc/分から42cc/分へ直線的に増加させながら
15分間、銀電位を100mVに保ちながら同時に添加
した。更に硝酸1N液12.5ml加えpHを4.0とし
た。塩化ナトリウムを28.8g加え、銀電位を60m
Vとした後、増感色素A0.34ミリモル加え、Ag−
2液(硝酸銀0.1g/cc)とX−2液(塩化ナトリウム
0.0345g/ccと沃化カリウム0.015g/ccの混合
液)を流速40cc/分で10分間添加後、その後70℃
で10分間放置した。
【0076】その後、40℃にて沈降水洗を行い脱塩を
施した。ゼラチン79gを加え、乳剤を再分散させ、p
H6.0、pAg7.3とした。そして乳剤の一部を採
取し、粒子のレプリカの電子顕微鏡写真像(TEM像)
を観察した。それによると、全AgX粒子の投影面積計
の90%が主平面が{100}面の平板状粒子であり、
その平均球相当径は0.42μm、平均粒子厚0.10
μm、平均アスペクト比7.9、平均隣接辺比率1.2
であった。
【0077】この乳剤を小分けして、実施例1のEm−
A、B、Cと同様にして化学熟成を行い、Em−D(比
較乳剤)とEm−E、F(本発明の乳剤)を得た。乳剤
の吸収測定や塗布試料の作製とそのセンシトメトリーも
実施例1と全く同様に行い、表3の結果を得た。
【0078】
【表3】
【0079】表3より明らかな様に、乳剤の吸収の半値
幅が小さいほどカブリが低く、とくにとくに高い発色濃
度での感度が高い即ち硬調という好ましい結果が得られ
た。
【0080】
【発明の効果】本発明により高感度で階調がよく、かぶ
りの低い、迅速処理性にすぐれた高塩化銀平板乳剤を提
供することができた。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルコゲン増感されたハロゲン化銀写真
    乳剤において、該カルコゲン増感により生成したカルコ
    ゲン増感中心の吸収スペクトルの半値幅が3900cm-1
    以下、1200cm-1以上であり、該ハロゲン化銀写真乳
    剤中に含まれる全ハロゲン化銀粒子の投影面積の50%
    以上がアスペクト比が2以上で、80モル%以上の塩化
    銀を含有する平板状ハロゲン化銀粒子であることを特徴
    とするハロゲン化銀写真乳剤。
  2. 【請求項2】 ハロゲン化銀写真乳剤をカルコゲン増感
    する方法において、該カルコゲン増感により生成したカ
    ルコゲン増感中心の吸収スペクトルの半値幅が3900
    cm-1以下、1200cm-1以上になるように制御してカル
    コゲン増感を行い、該ハロゲン化銀写真乳剤中に含まれ
    る全ハロゲン化銀粒子の投影面積の50%以上がアスペ
    クト比が2以上で、80モル%以上の塩化銀を含有する
    平板状ハロゲン化銀粒子であることを特徴とするハロゲ
    ン化銀写真乳剤のカルコゲン増感方法。
  3. 【請求項3】 該平板状ハロゲン化銀粒子が{111}
    面を主平面とすることを特徴とする請求項1に記載のハ
    ロゲン化銀写真乳剤。
  4. 【請求項4】 該平板状ハロゲン化銀粒子が{100}
    面を主平面とすることを特徴とする請求項1に記載のハ
    ロゲン化銀写真乳剤。
  5. 【請求項5】 該平板状ハロゲン化銀粒子が{111}
    面を主平面とすることを特徴とする請求項2に記載のハ
    ロゲン化銀粒子のカルコゲン増感方法。
  6. 【請求項6】 該平板状ハロゲン化銀粒子が{100}
    面を主平面とすることを特徴とする請求項2に記載のハ
    ロゲン化銀粒子のカルコゲン増感方法。
  7. 【請求項7】 該平板状ハロゲン化銀粒子が少なくとも
    0.1モル%の沃化銀を含有することを特徴とする請求
    項1に記載のハロゲン化銀写真乳剤。
  8. 【請求項8】 該平板状ハロゲン化銀粒子が少なくとも
    0.1モル%の沃化銀を含有することを特徴とする請求
    項2に記載のハロゲン化銀粒子のカルコゲン増感方法。
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