JPH11138723A - 農業用積層フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

農業用積層フィルムおよびその製造方法

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JPH11138723A
JPH11138723A JP32385797A JP32385797A JPH11138723A JP H11138723 A JPH11138723 A JP H11138723A JP 32385797 A JP32385797 A JP 32385797A JP 32385797 A JP32385797 A JP 32385797A JP H11138723 A JPH11138723 A JP H11138723A
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JP
Japan
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film
ethylene
agricultural
vinyl acetate
copolymer
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JP32385797A
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English (en)
Inventor
Arinori Kataoka
有紀 片岡
Shigeo Fujitani
茂男 藤谷
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NUC Corp
Original Assignee
Nippon Unicar Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】焼却時に有害ガスを発生せず、可塑剤を使用せ
ずにすみ、透明性、光透過性および機械的特性が高く、
低分子量成分の表面へのブリードがない、農業用フィル
ムおよびその製法の提供。 【解決手段】メタロセン触媒を用いて重合させた密度
0.870〜0.920g/cm3 、メルトフローレー
ト0.5〜3.0g/10分、Mw/Mn2.5〜4.
5であるエチレン−αオレフィン共重合体からなる中間
層と、メルトフローレート0.5〜3.0g/10分、
酢酸ビニル含有量3.0〜20.0重量%であるエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体からなる両外層とから構成され
る積層フィルムであって、中間層の厚さは積層フィルム
の全体の厚さの35〜90%を占め、積層フィルムの全
体の厚さは30〜200μmである農業用積層フィル
ム。共押出法によるその製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は農業用積層フィルム
およびその製造方法に関するものである。さらに詳しく
は、本発明は、透明性に優れ、フィルム強度、特に引
張、引裂、衝撃強度に優れた農業用積層フィルムおよび
その製造方法に関し、本発明の上記フィルムは農業用の
促成栽培を目的としたハウス栽培、トンネル栽培および
マルチ栽培等に用いられる。
【0002】
【従来の技術】従来、ハウス栽培やトンネル栽培等に用
いられてきた農業用フィルムとしては、ポリ塩化ビニル
フィルム、高圧法低密度ポリエチレンフィルム、直鎖状
低密度ポリエチレンフィルム等を主として挙げることが
できる。
【0003】ポリ塩化ビニルフィルムは透明性、強靱
性、耐久性、保温性、経済性、作業性等に優れている
が、可塑剤を含有するために長期間使用しているとフィ
ルム表面にブリードし、ここにほこりが吸着し、光の透
過性を低下させ、また汚れた感じを与え望ましくない。
さらに、ポリ塩化ビニルフィルムは使用後焼却によって
処理しようとすると、塩化水素ガスが発生し、公害問題
を引き起こすおそれがあり、また突起部による突き刺し
破れに弱く、ハウス骨材との摩擦破れに対して弱く、耐
寒性も劣り、使用条件によっては問題となることが多か
った。
【0004】高圧法低密度ポリエチレンフィルムはポリ
塩化ビニルフィルムのように、焼却時塩化水素ガスを発
生せず、可塑剤も使用しないので、公害問題、光透過性
低下、ほこり付着等による汚れ等を引き起こさない利点
はあるが、40%程度の結晶化度であるので、やや光透
過性(透明性)が劣る。また、フィルムの帯電やフィル
ム表面に水分が付着したりするので、帯電防止剤や防曇
剤を配合すると、これがフィルム表面にブリードし、ほ
こりを吸着して光透過性を低下させる欠点がある。
【0005】直鎖状低密度ポリエチレン(いわゆるLL
DPE)フィルムは高圧法低密度ポリエチレンフィルム
と上記の性質においては類似するものの、機械的強度に
おいて優れているため、フィルムの厚さを低減でき、経
済的効果が大きいので、農業用フィルムとして多く使用
されるようになってきたが、結晶化度が高いので光透過
性が低いという問題を依然有する。
【0006】上記の問題点を解決するため、本出願人
は、密度0.910g/ml以下、融点116℃以上、
1%モジュラス1200kg/cm2 以下、メルトイン
デックス0.8〜10g/10分である超低密度エチレ
ン−αオレフィン共重合体からなる中間層と、メルトイ
ンデックス0.5〜5g/10分、酢酸ビニル含有量5
〜15重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体から
なる両外側層とから構成される積層フィルムを開発し、
既に特許を得ている(特公平8−9222号公報参照,
特許第2113173号)。この積層フィルムは、高圧
法低密度ポリエチレンや直鎖状低密度ポリエチレンを素
材とした積層フィルムに比べ、透明性、光透過性等にお
いて優れているが、フィルムの腰が弱く、フィルムを張
る作業において、作業性に比較的劣り、また低分子量エ
チレン−αオレフィン共重合体の含有量が多く、これが
積層フィルムの表面にブリードし、ここにほこりが吸着
し、光透過性を低下させ、また汚れた感じを与える不具
合が依然として存在する。また、防曇剤が低分子量エチ
レン−αオレフィン共重合体と共にブリードするので、
防曇効果も不十分となり、機械的強度が直鎖状低密度ポ
リエチレンより劣るという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来農業用
フィルムとして使用されてきたポリ塩化ビニルフィル
ム、高圧法低密度ポリエチレンフィルム、直鎖状低密度
エチレン−αオレフィン共重合体フィルム、超低密度エ
チレン−αオレフィン共重合体フィルムの長所を保持し
たまま、それらの欠点を改良した農業用フィルム、すな
わち、焼却時に有害ガスを発生せず、可塑剤を使用せず
にすみ、透明性、光透過性および機械的特性が高く、低
分子量成分の表面へのブリードがない、農業用フィルム
およびその製造方法の提供を課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意研究
の結果、メタロセン触媒を用いて重合させたエチレン−
αオレフィン共重合体の優れた物性に着目し、そのフィ
ルムの欠点を補うため、特定物性のエチレン−酢酸ビニ
ル共重合体と組合せ、特定構造の積層フィルムとする場
合、上記課題が解決できることを見出し、本発明を完成
させた。
【0009】すなわち、本発明は、メタロセン触媒を用
いて重合させた密度0.870〜0.920g/c
3 、メルトフローレート0.5〜3.0g/10分、
Mw/Mn2.5〜4.5であるエチレン−αオレフィ
ン共重合体からなる中間層と、メルトフローレート0.
5〜3.0g/10分、酢酸ビニル含有量3.0〜2
0.0重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体から
なる両外層とから構成される積層フィルムであって、中
間層の厚さは積層フィルムの全体の厚さの35〜90%
を占め、積層フィルムの全体の厚さは30〜200μm
であることを特徴とする農業用積層フィルムに関する。
【0010】また、本発明は、メタロセン触媒を用いて
重合させた密度0.870〜0.920g/cm3 、メ
ルトフローレート0.5〜3.0g/10分、Mw/M
n2.5〜4.5であるエチレン−αオレフィン共重合
体からなる中間層と、メルトフローレート0.5〜3.
0g/10分、酢酸ビニル含有量3.0〜20.0重量
%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる両外層
とを共押出法により製造することを特徴とする農業用積
層フィルムの製造方法に関する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の農業用積層フィルムの中
間層に用いられるメタロセン触媒を用いて重合させたエ
チレン−αオレフィン共重合体は、密度0.870〜
0.920g/cm3 、メルトフローレート0.5〜
3.0g/10分、Mw/Mn2.5〜4.5である分
子量分布の狭い直鎖状のものであり、下で詳細に説明す
るメタロセン触媒により、エチレンとαオレフィン、例
えば炭素原子数3ないし12のαオレフィンとの共重合
体である。αオレフィンの具体例としては、プロピレ
ン、ブテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−
1、オクテン−1、デセン−1、ドデセン−1等を挙げ
ることができる。
【0012】本発明において、上記エチレン−αオレフ
ィン共重合体の製造の際に使用されるメタロセン触媒
は、活性点が同一種(シングルサイト)であることから
シングルサイト触媒とも呼ばれたり、また、カミンスキ
ー触媒と呼ばれることもある。上記メタロセン触媒は、
直鎖状エチレン−αオレフィン共重合体を製造するのに
従来から一般的に用いられているチーグラー系触媒、フ
ィリップス系触媒またはスタンダード系触媒のような活
性点が多種(マルチサイト)である触媒とは区別され
る。メタロセン触媒を用いて製造されたエチレン−αオ
レフィン共重合体は、従来のチーグラー系触媒やフィリ
ップス系触媒等のマルチサイト触媒で製造されたものに
比べて組成分布および分子量分布が狭いため、機械的特
性や透明性等に優れている。
【0013】本発明におけるメタロセン触媒の主成分と
しては下記式(1)〜(3)で表されるメタロセン化合
物が用いられる。次式(1): (Cp)m MRn R’p (1) 〔式中、Cpは未置換または置換シクロペンタジエニル
基であり、Mは周期表第4〜10族の遷移金属であり、
RおよびR’は互いに独立してハロゲン原子または炭素
原子数1ないし20の炭化水素基またはヒドロカルボキ
シル基であり、mは1〜3、nは0〜3、pは0〜3の
数であるが、m+n+pはMの酸化状態(価数)に等し
い〕で表される遷移金属化合物。
【0014】次式(2)または(2’): (C5 R’m p R”s (C5 R’m )MQ3-p-x (2) R”3 (C5 R’m 2 MQ’ (2’) (式中、C5 R’m は未置換または置換シクロペンタジ
エニル基であり、その中のR’は互いに独立して水素原
子または炭素原子数1ないし20のアルキル基、アルケ
ニル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールア
ルキル基、または互いに結合してC4 〜C6 環の一部を
形成する2個の炭素原子であり、R”は1個またはそれ
以上の炭素、ゲルマニウム、ケイ素、リンもしくは窒素
原子またはそれらの組合せであり、これらは2個のC5
R’m 環上を置換してそれらを橋渡しする基または1個
のC5 R’m 環上を置換してMに橋渡しする基を含有
し、pが0である場合にはxは1であり、その他の場合
にはxは常に0であり、各Qは互いに独立して炭素原子
数1ないし20のアルキル基、アルケニル基、アリール
基、アルキルアリール基、アリールアルキル基またはハ
ロゲン原子であり、Q’は炭素原子数1ないし20のア
ルキリデン基であり、sは0または1であり、sが0で
ある場合にはmは5であり、かつpが0、1または2で
あり、sが1である場合にはmは4であり、かつpが1
である)で表される遷移金属化合物。なお、上記式
(1)、(2)および(2’)で表される遷移金属化合
物(メタロセン触媒)に関しては特開平8−13412
1号公報、特表平8−509773号公報、特表平8−
510290号公報等に記載されている。この参照によ
り上記特許公報の開示内容を本明細書に編入する。
【0015】次式(3): (式中、Mは周期表第3〜10族またはランタノイドの
金属原子であり、CpはMにη5 結合様式で結合してい
る未置換または置換シクロペンタジエニル基であり、Z
はホウ素または周期表第14族の元素、そして場合に応
じて硫黄原子または酸素原子を含有する原子団であり、
該原子団は20個までの水素原子以外の原子を有する
か、またはCpおよびZは一緒になって縮合環系を形成
し、Xは互いに独立してアニオン性配位子または30個
までの水素原子以外の原子を有する中性ルイス塩基配位
子であり、nは0、1、2、3または4であり、かつ、
Mの原子価より2少ない数であり、そしてYは、Zおよ
びMと結合するアニオン性または非アニオン性配位子
で、窒素原子、リン原子、酸素原子または硫黄原子を含
んでおり、そして20個までの水素原子以外の原子を有
するか、または必要に応じてYとZは一緒になって縮合
環系を形成する)で表される遷移金属化合物。上記式
(3)で表される遷移金属化合物(メタロセン触媒)に
関しては特開平6−306121号公報、特表平7−5
00622号公報等に記載されている。この参照により
上記特許公報の開示内容を本明細書に編入する。
【0016】上記メタロセン触媒は、前記した主成分以
外に、さらに活性化共触媒を含有する。該共触媒として
は、高重合度または低重合度のアルミノオキサン、特に
メチルアルミノオキサンが適当である。いわゆる変性ア
ルミノオキサンもまた上記共触媒として適している。
【0017】上記エチレン−αオレフィン共重合体の重
合には、好ましくは溶液重合法、懸濁重合法、気相重合
法等の方法を使用することができる。一般的に、重合の
際の温度は0〜250℃であり、圧力は高圧(50MP
a以上)、中圧(10〜50MPa)または低圧(常圧
〜10MPa)である。
【0018】本発明において使用されるエチレン−αオ
レフィン共重合体は上記したようにメタロセン触媒を使
用して重合される他に、密度0.870〜0.920g
/cm3 、メルトフローレート0.5〜3.0g/10
分、Mw/Mn2.5〜4.5である必要がある。密度
が0.870g/cm3 未満であるとフィルムの製膜性
が悪くなり、またフィルムの腰が弱く、望ましくなく、
0.920g/cm3を越えるとフィルムの透明性が悪
くなり、望ましくない。メルトフローレートが0.5g
/10分未満であるとフィルムの製膜が困難であり、一
方、3.0g/10分を越えると、フィルムの引張強
度、引裂強度、衝撃強度等が不十分となり、望ましくな
い。Mw/Mn、すなわち重量平均分子量Mwと数平均
分子量Mnとの比が2.5未満であると、フィルムの製
膜性が悪く、4.5を越えると、フィルムの耐ブロッキ
ング性、フィルム表面の耐汚染性が悪くなり、望ましく
ない。
【0019】本発明の農業用積層フィルムの両外層に用
いられるエチレン−酢酸ビニル共重合体(以下、EVA
とも記載する)は、メルトフローレート0.5〜3.0
g/10分、そして酢酸ビニル含有量3.0〜20.0
重量%のものである。メルトフローレートが0.5g/
10分未満であると押出特性が悪く、一方、3.0g/
10分を越えると、機械的強度が悪化し、望ましくな
い。また、酢酸ビニル含有量が3.0重量%未満ではフ
ィルムの透明性が悪くなり、20.0重量%を越えると
フィルムがブロッキングし、望ましくない。
【0020】また、本発明において積層フィルムの両外
層として使用されるEVAの融点(MP,単位℃)と酢
酸ビニル含有量(VA,単位重量%)との関係は次式 MP≧113−1.44VA で表され、分子量分布(Mw/Mn)が4未満であるも
のが特に望ましく、この数値範囲のものは同一の酢酸ビ
ニル含有量で上記範囲外のEVAと比較し、融点が2〜
5℃高く、耐熱性および機械的強度に優れている。
【0021】本発明の農業用積層フィルムは、中間層お
よび両外側層となる各樹脂組成物を用いて共押出成形機
により製造でき、この際、例えばサーキュラーダイを用
いるインフレーション法、フラットダイを用いるTダイ
法等が適用可能である。本発明において中間層および両
外層からなる3層構造とした理由を以下に記載する。ま
ず、メタロセン触媒を用いて重合させたエチレン−αオ
レフィン共重合体単独で成膜しようとしても、押出加工
性が悪く、仮に押出せたとしてもメルトフラクチャーが
起こり、表面が平滑なフィルムは得られず、また製造さ
れたフィルムはブロッキングが激しく取扱が困難であっ
た。本発明者等は上記メタロセン触媒によるエチレン−
αオレフィン共重合体を中間層としてその両側に樹脂層
を共押出すれば、単独では成膜困難なメタロセン触媒に
よるエチレン−αオレフィン共重合体で重合が成膜可能
となることを見出し、これを中間層に採用した。次に、
メタロセン触媒によるエチレン−αオレフィン共重合体
の中間層の両外側層として特定のEVAを採用したの
は、EVAが高圧法低密度ポリエチレン等と比較し、透
明性に優れているからである。ただし、EVAの場合、
酢酸ビニル(VA)含有量が増加するほど透明性や耐寒
性は高まるが、ブロッキング性および機械的特性が悪化
するので、前記の数値範囲とした。
【0022】本発明の農業用積層フィルムの厚さは30
〜200μmであり、30μm未満であると機械的強度
が不足し、またフィルムの取扱が困難となり、200μ
mを越えると過剰品質となり、経済性が悪く望ましくな
い。フィルムの厚さは50〜150μm程度が好まし
い。また、メタロセン触媒によるエチレン−αオレフィ
ン共重合体からなる中間層のフィルム全体に占める割
合、すなわち厚さの割合は35〜90%であり、35%
未満であると透明性、機械的特性、耐寒性、耐摩擦性、
経済性等が悪くなり、90%を越えると共押出が不可能
となる。各外層の厚さは同じであっても、異なっていて
もよいが、共押出を可能とするために積層フィルム全体
の厚さのそれぞれ少なくとも5%を占めることが好まし
い。
【0023】本発明の農業用積層フィルムの保温性はポ
リ塩化ビニルフィルムと比べるとやや劣るが、両外層の
EVAの部分の厚さを増加すればするほど、保温性は高
まる。さらに、高い保温性が要求される場合は、一般に
保温剤として使用されている下記の無機化合物粒体:酸
化ケイ素、無水アルミノケイ酸塩、リン酸塩、硫酸塩、
炭酸塩、水酸基含有マグネシウム、アルミン酸塩等を原
料樹脂に配合する。具体的に、含水シリカ、無水シリ
カ、合成シリカ、酸化アルミニウム、酸化カルシウム、
酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸
化ホウ素、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、
水酸化カルシウム、水酸化リチウム、リン酸カルシウ
ム、リン酸マグネシウム、炭酸亜鉛、炭酸アルミニウ
ム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウ
ム、炭酸リチウム、硫酸亜鉛、硫酸アルミニウム、硫酸
カリウム、硫酸カルシウム、硫酸ジルコニウム、硫酸バ
リウム、硫酸マグネシウム、アルミニウムシリケートゲ
ル、アルミノシリケートゲル等が保温剤の例である。こ
れら保温剤の粒度は1〜10μm程度であり、原料樹脂
に対する配合量は10%以下が望ましい。なお、保温剤
の配合量を増加させる程、保温性は高まるが、光透過性
(透明性)が低下するので、両者のバランスを考慮して
配合することが肝要である。本発明に使用されるメタロ
セン触媒によるエチレン−αオレフィン共重合体は他の
ポリオレフィン系樹脂と比較し、無機化合物粒体の充填
性に優れ、機械的強度の低下が少ないという利点があ
り、本発明の効果の一つとなっている。
【0024】本発明の農業用積層フィルムの各層を形成
する樹脂には、本発明の特性を損なわない範囲で、その
使用目的に応じて、各種添加剤や補助資材を配合するこ
とができる。それら各種添加剤や補助資材としては、酸
化防止剤、例えばIrganox 1010、Sandostab P-EPQ 、Io
nox 330 (いずれも商標名)等、光安定剤、例えばChim
assorb 944LD(商標名)等、スリップ剤、例えばDiamid
-20D(商標名)等、防曇剤、例えばPA-5526 (商標名)
等、ブロッキング防止剤、例えばSYLYS1A-430(商標
名)等、または中和剤等を挙げることができる。
【0025】
【実施例】次に実施例に基づいて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものでは
ない。
【0026】実施例1 A.原料樹脂の調製 中間層:メタロセン触媒を用いた重合方法により製造し
た密度0.895g/cm3 、メルトフローレート1.
6g/10分、Mw/Mn2.8である分子量分布の狭
い直鎖状エチレン−オクテン−1共重合体98.22重
量部に、酸化防止剤0.20重量部、光安定剤0.30
重量部、スリップ剤0.15重量部、防曇剤1.00重
量部、ブロッキング防止剤0.12重量部および中和剤
(ステアリン酸亜鉛)0.01重量部を配合し、150
℃で10分間混練し、中間層用の樹脂組成物を準備し
た。 両外層:高圧ラジカル重合法で製造したメルトフローレ
ート1.5g/10分、酢酸ビニル含有量5重量%であ
るエチレン−酢酸ビニル共重合体98.22重量部に、
酸化防止剤0.20重量部、光安定剤0.30重量部、
スリップ剤0.15重量部、防止曇剤1.00重量部、
ブロッキング防止剤0.12重量部および中和剤(ステ
アリン酸亜鉛)0.01重量部を配合し、150℃で1
0分間混練し、両外層用の樹脂組成物を準備した。 B.積層フィルムの製造 下記の装置および条件で急冷却してインフレーションフ
ィルムを製造した。 ・押出装置:株式会社プラコー製のインフレーションフ
ィルム加工装置(口径40mm×3台,L/D28) ・環状3層ダイ:φ150mm,ダイギャップ1.5m
m ・冷却装置:シングルリップストレートおよびコニカル
カラー付 ・吐出量:30kg/時間 ・ダイス温度:190℃ ・ブロー比:3.0 製造された積層フィルムは中間層の厚さが50μmであ
り、両外層の厚さが共に25μmである。 C.農業用積層フィルムの評価 上記のように製造された農業用積層フィルムの各種物性
を測定したところ、下の表1に示す結果が得られた。
【0027】
【表1】 ────────────────────────────── 物性 ────────────────────────────── ヘイズ(%) 水洗前 5.3 水洗後 5.0 光沢(45°) 水洗前 72.8 水洗後 71.4 透視度(%) 水洗前 75.6 水洗後 75.8 COF O*O 0.56 I*I 0.72 耐ブロッキング性(g/100cm2 )O*O 98 I*I 180 引張強度(MPa) MD 28 TD 34 降伏点強度(MPa) MD 7 TD 8 伸び(%) MD 660 TD 730 引裂強度(kg/cm) MD 97 TD 121 1%シーカントモジュラス(MPa) MD 109 TD 110 衝撃強度(g) 923 ────────────────────────────── なお、上記の各種物性の測定は下記の条件に従って行っ
た:ヘイズ,光沢:JIS K−7105 透視度:NUC法 COF:JIS K−7125 耐ブロッキング性:ASTM−1893(加重4kg/
100cm2 ,温度50℃,24時間) 引張強度,降伏点強度,伸び:JIS K−7127 引裂強度:JIS K−7128 1%シーカントモジュラス:JIS K−7113 衝撃強度:ASTM K−7124(A法)
【0028】実施例2 実施例1におけるエチレン−オクテン−1共重合体の密
度を0.918g/cm3 に代えた以外は、実施例1と
同様の実験を行った。測定した物性値の結果を表2にま
とめて示す。表2から明らかなように、本実施例で得ら
れたフィルムは光学的特性が実施例1のものに比べやや
劣っていたものの、機械的特性が向上していた。
【0029】
【表2】 ────────────────────────────── 物性 ────────────────────────────── ヘイズ(%) 水洗前 5.9 水洗後 5.5 光沢(45°) 水洗前 68.8 水洗後 66.2 透視度(%) 水洗前 63.9 水洗後 64.5 COF O*O 0.55 I*I 0.70 耐ブロッキング性(g/100cm2 )O*O 95 I*I 174 引張強度(MPa) MD 29 TD 36 降伏点強度(MPa) MD 8 TD 9 伸び(%) MD 635 TD 718 引裂強度(kg/cm) MD 113 TD 148 1%シーカントモジュラス(MPa) MD 133 TD 134 衝撃強度(g) 743 白化度(%) 0日後 6.3 14日後 16 28日後 18 ──────────────────────────────
【0030】実施例3 実施例1におけるエチレン−オクテン−1共重合体に代
えて、密度0.871g/cm3 、メルトフローレート
2.8g/10分、Mw/Mn2.9のエチレン−ヘキ
セン−1共重合体を用いた以外は、実施例1と同様の実
験を行った。測定した物性値の結果を表3にまとめて示
す。表3から明らかなように、本実施例で得られたフィ
ルムは、機械的特性が実施例1のものに比べやや劣って
いたものの、光学的特性が非常に向上していた。
【0031】
【表3】 ────────────────────────────── 物性 ────────────────────────────── ヘイズ(%) 水洗前 4.7 水洗後 4.5 光沢(45°) 水洗前 76.9 水洗後 77.3 透視度(%) 水洗前 82.0 水洗後 82.1 COF O*O 0.58 I*I 0.76 耐ブロッキング性(g/100cm2 )O*O 102 I*I 186 引張強度(MPa) MD 25 TD 30 降伏点強度(MPa) MD 6 TD 7 伸び(%) MD 671 TD 753 引裂強度(kg/cm) MD 88 TD 105 1%シーカントモジュラス(MPa) MD 83 TD 87 衝撃強度(g) >1000 ──────────────────────────────
【0032】比較例1 実施例1におけるエチレン−オクテン−1共重合体の密
度を0.865g/cm3 に代えた以外は、実施例1と
同様の実験を行ったところ、得られたフィルムは機械的
強度が低く、農業用フィルムとして不十分であった。
【0033】比較例2 実施例1におけるエチレン−オクテン−1共重合体の密
度を0.925g/cm3 に代えた以外は、実施例1と
同様の実験を行ったところ、得られたフィルムは透明性
が低く、農業用フィルムとして不十分であった。
【0034】比較例3 実施例1におけるエチレン−オクテン−1共重合体のメ
ルトフローレートを0.3g/10分に代えた以外は、
実施例1と同様の実験を行ったところ、フィルムの製膜
性が極めて悪く、実用性は低いものだった。
【0035】比較例4 実施例1におけるエチレン−オクテン−1共重合体のメ
ルトフローレートを3.5g/10分に代えた以外は、
実施例1と同様の実験を行ったところ、得られたフィル
ムは機械的強度が低く、農業用フィルムとして不十分で
あった。
【0036】比較例5 実施例1におけるエチレン−オクテン−1共重合体のM
w/Mnを2.4に代えた以外は、実施例1と同様の実
験を行ったところ、フィルムの製膜性が極めて悪く、実
用性は低いものだった。
【0037】比較例6 実施例1におけるエチレン−オクテン−1共重合体のM
w/Mnを5.0に代えた以外は、実施例1と同様の実
験を行ったところ、得られたフィルムの耐ブロッキング
性、フィルム表面の耐汚染性が極めて悪く、実用性は低
いものだった。
【0038】比較例7 実施例1におけるエチレン−酢酸ビニル共重合体のメル
トフローレートを0.3g/10分に代えた以外は、実
施例1と同様の実験を行ったところ、フィルムの製膜性
が極めて悪く、実用性は低いものだった。
【0039】比較例8 実施例1におけるエチレン−酢酸ビニル共重合体のメル
トフローレートを3.4g/10分に代えた以外は、実
施例1と同様の実験を行ったところ、得られたフィルム
の機械的強度が低くなり、農業用フィルムとしては不十
分であった。
【0040】比較例9 実施例1におけるエチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸
ビニル含有量を2.0重量%に代えた以外は、実施例1
と同様の実験を行ったところ、得られたフィルムの光学
的特性が悪くなり、農業用フィルムとしては不十分であ
った。
【0041】比較例10 実施例1におけるエチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸
ビニル含有量を23重量%に代えた以外は、実施例1と
同様の実験を行ったところ、得られたフィルムの耐ブロ
ッキング性が悪化し、農業用フィルムとしては不十分で
あった。
【0042】比較例11 実施例1の積層フィルムにおいて、中間層の厚さを全体
の30%とした以外は、実施例1と同様の実験を行った
ところ、得られたフィルムの機械的強度が低くなり、農
業用フィルムとしては不十分であった。
【0043】比較例12 実施例1の積層フィルムにおいて、中間層の厚さを全体
の92%とした以外は、実施例1と同様の実験を行った
ところ、共押出ができず、積層フィルムを得ることはで
きなかった。
【0044】比較例13 実施例の積層フィルムにおいて、全体の厚さを25μm
とした以外は、実施例1と同様の実験を行ったところ、
得られたフィルムの機械的強度が低くなり、農業用フィ
ルムとしては不十分であった。
【0045】比較例14 実施例の積層フィルムにおいて、全体の厚さを220μ
mとした以外は、実施例1と同様の実験を行ったとこ
ろ、フィルムの製造は可能であったものの、コストが高
騰しすぎ、実用性は低いものだった。
【0046】比較例15 実施例1におけるメタロセン触媒を用いて製造したエチ
レン−オクテン−1共重合体に代えて、特開昭59−2
30011号公報に記載の方法(流動床反応系における
Mg化合物とTi化合物とからなる先駆体をAl化合物
で活性化した触媒系を用いた方法)により製造した密度
0.903g/cm3 、メルトフローレート1.5g/
10分のエチレン−ブテン−1共重合体に代えた以外
は、実施例1と同様な実験を行ったところ、得られたフ
ィルムは実施例1のものに比較し、機械的強度が約15
%低かった。
【0047】比較例16 実施例1におけるメタロセン触媒を用いて製造したエチ
レン−オクテン−1共重合体に代えて、チーグラー系触
媒を用いて製造した密度0.920g/cm3、メルト
フローレート1.7g/10分のエチレン−ヘキセン−
1共重合体を用いた以外は、実施例1と同様な実験を行
ったところ、得られたフィルムは実施例1のものに比較
し、光学的特性が約18%低かった。
【0048】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明の農
業用積層フィルムは、メタロセン触媒で重合させた特定
物性のエチレン−αオレフィン共重合体を中間層とし、
特定物性のエチレン−酢酸ビニル共重合体を両外層に配
置したことにより、従来の農業用積層フィルムに比べ、
機械的強度、光学的特性、耐ブロッキング性および耐汚
染性等において向上し、しかも、焼却時に有害ガスを発
生しない。このような優れた特性を示す本発明の農業用
積層フィルムは、促成栽培を目的としたハウス栽培、ト
ンネル栽培、マルチ栽培等のためのフィルムとして好適
に使用できる。また、本発明の農業用積層フィルムの製
造方法によれば、上記のような優れた特性を示すフィル
ムが、共押出法により極めて容易に得られる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メタロセン触媒を用いて重合させた密度
    0.870〜0.920g/cm3 、メルトフローレー
    ト0.5〜3.0g/10分、Mw/Mn2.5〜4.
    5であるエチレン−αオレフィン共重合体からなる中間
    層と、メルトフローレート0.5〜3.0g/10分、
    酢酸ビニル含有量3.0〜20.0重量%であるエチレ
    ン−酢酸ビニル共重合体からなる両外層とから構成され
    る積層フィルムであって、中間層の厚さは積層フィルム
    の全体の厚さの35〜90%を占め、積層フィルムの全
    体の厚さは30〜200μmであることを特徴とする農
    業用積層フィルム。
  2. 【請求項2】 メタロセン触媒を用いて重合させた密度
    0.870〜0.920g/cm3 、メルトフローレー
    ト0.5〜3.0g/10分、Mw/Mn2.5〜4.
    5であるエチレン−αオレフィン共重合体からなる中間
    層と、メルトフローレート0.5〜3.0g/10分、
    酢酸ビニル含有量3.0〜20.0重量%であるエチレ
    ン−酢酸ビニル共重合体からなる両外層とを共押出法に
    より製造することを特徴とする農業用積層フィルムの製
    造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2000009331A1 (en) * 1998-08-10 2000-02-24 Saint-Gobain Performance Plastics Corporation Thermoplastic interlayer film
WO2004037919A1 (ja) * 2002-10-25 2004-05-06 Toppan Printing Co., Ltd. 樹脂組成物およびそれを用いた積層体

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WO2004037919A1 (ja) * 2002-10-25 2004-05-06 Toppan Printing Co., Ltd. 樹脂組成物およびそれを用いた積層体

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