JPH11137637A - 医療用容器 - Google Patents

医療用容器

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JPH11137637A
JPH11137637A JP9331235A JP33123597A JPH11137637A JP H11137637 A JPH11137637 A JP H11137637A JP 9331235 A JP9331235 A JP 9331235A JP 33123597 A JP33123597 A JP 33123597A JP H11137637 A JPH11137637 A JP H11137637A
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JP
Japan
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container
wall
resin
bonding
cover
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Application number
JP9331235A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Shichi
宏幸 志知
Takao Yoshida
孝夫 吉田
Tatsuo Suzuki
龍夫 鈴木
Hiroshi Motobayashi
博志 本林
Keinosuke Isono
啓之介 磯野
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Material Engineering Technology Laboratory Inc
Original Assignee
Material Engineering Technology Laboratory Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 薬剤の移し換え充填等を行わずに、無菌的に
且つ簡単に薬剤収容器等を容器の胴部に接続することが
でき、また易変質薬の変質を防ぐため、収容器又は胴部
の一部のみをカバーで覆い、乾燥剤及び脱酸素剤の機能
を長期間維持させることができる医療用容器を提供す
る。 【解決手段】 この医療用容器は、可撓性の樹脂壁から
形成された扁平な胴部の一部に、該胴部の内壁面同士を
剥離可能に熱溶着した接着領域を形成して、接着領域に
貫通孔を形成し、接着領域の一方の外壁面に樹脂製のシ
ール蓋を接着することにより、貫通孔の一方を気密に覆
う共に、接着領域の他方の外壁面に樹脂製の薬剤収容器
を接着した。上記シール蓋の全部又は一部の壁は粒子直
径が0.8μm以上のときに粒子阻止率が99%以上で
あり、耐水圧が500mmH2O以上の水不透過性の微細
孔フィルム又はシートからなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医療用容器に関するも
のであり、より詳細には、無菌充填した薬剤の収容器を
通常のプラスチック製輸液容器等に無菌的に且つ簡単に
接続できる医療用容器に関するものである。特に、水分
又は酸素等によって容易に変質、変色する易変質薬が薬
剤収容器に収容される場合において、保存期間中に外界
の水分及び酸素から十分に易変質薬を保護することので
きる医療用容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に医療用容器には、抗生物質等の易
変質薬とそれを溶解する液剤とを区分し、使用時に無菌
的に混合して使用される輸液容器等がある。例えば、容
器胴部に剥離可能なシール条部を形成し容器内を二室に
分け、一の室に抗生物質を収容し、他の室には溶解液を
収容したものである(特開平4−364850号公報、
特開平4−364851号公報、特開平6−14975
号公報)。そして、抗生物質などの凍結乾燥物は水分や
酸素を嫌うため、抗生物質の収容室のみが水分或いはガ
スバリアー性の包装材で包装されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来、抗生物質等の乾
燥薬剤を容器の一の収容室に入れる場合には薬剤を外界
に晒した状態で、凍結乾燥容器から輸液容器の一の室へ
の移し換え作業によって行っている。また、バリアー性
の包装材は室の全体を完全に覆っている。本発明は、薬
剤の移し換え充填等を行わずに、無菌的に且つ簡単に薬
剤収容器等を容器の胴部に接続することができる医療用
容器を提供するものである。また、易変質薬の変質を防
ぐため、収容器又は胴部の一部のみをカバーで覆って出
来る限り乾燥空間又は酸素除脱空間を小さくして乾燥剤
及び脱酸素剤の機能を長期間維持させることができる医
療用容器を提供するものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、可撓性の樹脂
壁から形成された扁平な胴部の一部に、該胴部の内壁面
同士を剥離可能に熱溶着した接着領域を形成して上記接
着領域に貫通孔を形成し、上記接着領域の一の外壁面に
樹脂製のシール蓋を接着することにより上記貫通孔の一
方を気密に覆う共に上記接着領域の他の外壁面に樹脂製
の薬剤収容器を接着することにより上記貫通孔の他方に
気密に接続するものであり、上記シール蓋の全部又は一
部の壁は粒子直径が0.8μm以上のときに粒子阻止率
が99%以上であり、耐水圧が500mmH2O以上の水
不透過性の微細孔フィルム又はシートからなり、上記薬
剤収容器に水分によって変質又は変色する易変質薬を収
容し、上記シール蓋を気密に覆う水分バリアー性の材料
からなるカバーを設け、上記カバー内に乾燥剤を配して
なることを特徴とする医療用容器を提供するものであ
る。
【0005】本発明に係る医療用容器にあっては胴部が
可撓性の樹脂壁からなり、扁平に形成される。このため
容器本体は、インフレーションフィルム、チューブ、シ
ート及びフィルムから成形したもの、押出成形、射出成
形、又はブロー成形したものである。医療用容器の樹脂
素材としてはポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル、塩化
ビニリデン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリビニルア
ルコール系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリア
クリル酸系樹脂、ポリアミド系樹脂等の汎用樹脂であ
る。また樹脂容器は単層又は多層で形成されていても良
い。容器内の薬剤と接触する最内層は、薬剤に影響を与
えない、また溶出物が生じない樹脂層であることが望ま
しい。このような樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂
が望ましく、例えば、低、中、高−密度ポリエチレン、
ポリプロピレン等の低級オレフィン樹脂、環状ポリオレ
フィン、或いはこれらの2以上の共重合体等が挙げられ
る。
【0006】本発明に係る医療用容器では、上記胴部の
一部に内壁面同士を剥離可能に熱溶着した接着領域を形
成する。接着領域の面積は上記貫通孔が形成でき、貫通
孔の周囲に剥離可能な接着領域が存在する広さであれば
良い。接着領域は胴部内との間を仕切るものであり、使
用時に接着領域が剥離されて取り付けられた上記収容器
内と胴部内とが液密に連通されるようになっている。接
着領域はヒートシール、インパルスシール等の外部加熱
による接着、又は超音波接合、高周波接合等の内部加熱
による接着等を挙げることができる。接着領域は剥離可
能なシール部である。剥離可能なシール部は通常ピール
シール部或いは弱シール部とも称され、外部から室或い
は容器を圧迫し、内部が一定の昇圧状態にさせたときに
剥離することができるシール部、或いは容器外壁のそれ
ぞれを把持して引っ張ったときに剥離することのできる
シール等である。上記ピールシール部の剥離強度は、胴
部内の圧が0.01〜1.0Kgf/cm2、特に、
0.05〜0.5Kgf/cm2の昇圧で剥離する強度
が望ましい。上記範囲を下回る強度であれば、製造、運
搬、保存時等の隔離状態を保つための安全性に欠ける。
上記範囲を上回る強度であれば、用時に連通操作を容易
にすることができなくなるおそれがある。
【0007】剥離可能なシール部を熱溶着で形成する場
合、容器等の最内壁層が異なる樹脂のブレンド物である
ことが望ましい。特に、異なる樹脂は熱溶融開始温度、
或いはピカッド軟化点が異なり、相溶性のあまりない樹
脂ブレンド物からなることが望ましい。かかるブレンド
物層を有することより、ピールシール接着のシール温度
条件設定が簡単にできる。ピールシール接着に求められ
るシール強度、即ち、使用時の外力による易剥離性と、
保存時に剥離が生じないシール強度との関係を厳密に設
定することができる。内層に相溶性の異なる樹脂を溶融
混合しこれをシート状に成形すると、ミクロ的に熱接着
性の異なる部分に分離した内層表面とすることができ
る。そして、任意の温度におけるそのシートの表面相互
のミクロ的な部分の熱溶融性を決めることにより、シー
ル強度の強弱を正確に付け、上記効果を容易に達成する
ものである。
【0008】本発明に係る医療用容器では上記接着領域
に貫通孔を形成する。尚、貫通孔は上記接着領域の形成
前に形成しても良い。貫通孔は通常ポンチ等で簡単に孔
開けできる。上記接着領域及び貫通孔を形成した後、上
記接着領域の一の外壁面に樹脂製のシール蓋を接着する
ことにより上記貫通孔の一方を気密に覆う。シール蓋
は、薄肉のフィルム或いはシートでも良く、また厚手の
成形物であっても良い。シール蓋は樹脂製であることよ
り上記樹脂製の胴部の外壁面に容易に接着することがで
きる。かかる接着は剥離しようとすると少なくとも一方
の接着部が実質的に破断してしまう剥離不能な固着シー
ルにより行われる。固着シール方法としては、接着剤を
介した液密な確実シール或いは熱溶着シール等を挙げる
ことができる。接着剤としては、ケトン系溶媒、エステ
ル系溶媒、エーテル系溶媒、炭化水素系溶媒、ハロゲン
化炭化水素系溶媒などの溶媒接着剤、或いは変性オレフ
ィン類、ホットメルト類等の樹脂接着剤を介した密封シ
ール等がある。また熱溶着シールとしては、ヒートシー
ル、インパルスシール等の外部加熱による接着、又は超
音波接合、高周波接合等の内部加熱による接着等を挙げ
ることができる。尚、熱溶着による固着シール方法で
は、上記剥離可能な接着領域と重複するため、接着領域
の機能を損なわないようにシール温度及びシール時間等
を条件設定する。またかかる接着が容易にできるように
胴部の接着壁を二層以上に形成しても良い。即ち、固着
シールを形成する最外層の樹脂材料の溶融開始温度を、
剥離可能な接着領域を形成する最内層の樹脂材料の溶融
開始温度より低くなるように胴部の壁の樹脂層を選択し
て、外層が低い温度のシール条件でも完全に固着シール
されるように設定することが望ましい。
【0009】本発明に係る上記シール蓋の全部又は一部
の壁は、粒子直径が0.8μm以上のときに粒子阻止率
が99%以上である微細孔フイルム又はシートからな
る。また、上記壁は耐水圧が500mmH2O以上の水不
透過性の微細孔フィルム又はシートからなる。かかる微
細孔フィルム又はシートはシール蓋の全部を占める必要
はなく、一部を占めていれば良い。微細孔フィルム又は
シートは、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの汎用な
熱可塑性樹脂をフラッシュ紡糸して熱と圧力で繊維同士
を結合させてフィルム又はシートにしたもの、ポリエチ
レン、ポリプロピレン等にシリカ、タルク、炭酸カルシ
ウム等の微粉末或いは油性微粒子を混ぜてシートに形成
し、微粉末或いは微粒子を抽出し、場合によっては延伸
した多孔膜シート、或いは、熱可塑性樹脂微粒子を熱で
固めてシート或いはフィルムとしたもの等を挙げること
ができる。具体的には、タイベック(デュポン社製)、
ルクサー(旭化成工業株式会社製)、NFシート及びポ
ーラム(徳山曹達株式会社製)、セルポア(積水化学工
業株式会社製)、FP−2(旭化成工業株式会社製)、
NOP(日本石油化学株式会社製)、ニトフロンNTF
(日東電気工業株式会社製)、ポリフロンペーパー(ダ
イキン工業株式会社製)、ジュラガード(セラニーズ社
製)、ゴーアテックス(ゴア社製)、TSF(興人株式
会社製)、ポリフッ化ビニリデン系等の疎水性フィルタ
(ミリポア社製)等を挙げることができる。このような
微細孔フイルム或いはシートの壁は、細孔の存在故に水
蒸気及びガス等を容易に透過させる。また粒子直径が
0.8μm以上、特に0.6μm以上、更には0.4μ
m以上のときに粒子阻止率が99%以上であることが望
ましい。このような粒子阻止率を有する壁は細菌などを
殆ど通過させない。特に、0.4μm以上のときに粒子
阻止率が99%以上のものは細菌の蛋白質破壊片等を十
分に阻止しうる。上記微細孔フィルム又はシートは耐水
圧が500mmH2O以上、好ましく103mmH2O以上、
更に好ましくは8×103mmH2O以上の水不透過性の微
細孔フィルム又はシートであることが望ましい。上記壁
の耐水圧が上記範囲以上であれば、使用時に接着領域を
剥離し、容器内の液剤と上記壁とが接触しても壁を介し
て液剤が漏れ出るおそれがなく、また漏れ出たとしても
そのような出液がまた戻って容器内に移行するおそれが
ない。上記範囲を下回れば、使用時に壁から液剤が漏れ
出る危険性が多くなる。かかる耐水圧性は、壁材自体の
材質から生じるもの、或いは撥水性の化学物質処理した
ものであっても良い。
【0010】上記接着領域及び貫通孔を形成した後に、
上記接着領域の他の外壁面に樹脂製の薬剤収容器を接着
することにより上記貫通孔の他方に気密に接続する。薬
剤収容器は樹脂製で射出成形、ブロー成形、真空成形、
その他の方法によりカップ状に形成し、好ましくは開口
に取付フランジを形成すると良い。取付フランジを貫通
孔の周縁面に固着シールすることにより、薬剤容器を貫
通孔に気密に接続することが簡単にできる。上記薬剤収
容器に水分によって変質又は変色する易変質薬が収容さ
れる。易変質薬としては、凍結乾燥した抗生物質、生理
活性蛋白質等や化学物質等を挙げることができる。かか
る易変質薬を上記薬剤収容器に収容した場合、外界の水
分(水蒸気)が収容器内に僅かに透過して来る。かかる
水分は易変質薬の長期保存を妨げる。
【0011】上記シール蓋はカバーにより気密に覆わ
れ、カバーは水分バリアー性の材料からなる。水分バリ
アー性の材料として、実質的に水蒸気を透過しない水分
非透過性材料と水蒸気を透過させ難い水分難透過性材料
がある。水分難透過性材料はその厚み100μmにおい
て、その透湿度が5.00〜0.50g/m2・day
(温度:40℃、90−0%RH)、特に、2.00〜
0.50g/m2・day(温度:40℃、90−0%
RH)の範囲にあることが望ましい。また、水分非透過
性材料はその厚み100μmにおける透湿度が0.40
g/m2・day(温度:40℃、90−0%RH)以
下で実質的に水蒸気を透過させないものである。水分難
透過性或いは非透過性材料の具体的なものには、殆ど、
又は全く水分を透過させない非透明性のアルミニウム等
の金属層、またポリ塩化ビニリデン、ポリテトラフロロ
エチレン、ポリ3フッ化エチレン、塩酸ゴム、ポリエチ
レン、ポリプロピレン等のように水分バリアー性の高い
透明性のある樹脂層、更にはアルミニウム、珪素、マグ
ネシウム、チタン、銀、金等の土類金属若しくは金属、
又はその酸化物の蒸着層等を有するものである。本発明
において用いられる水分バリアー性の材料の壁における
具体的な透湿度は3.00g/m2・day(温度:4
0℃、90−0%RH)以下、特に、1.20〜0.0
0g/m2・day(温度:40℃、90−0%RH)
の範囲にあることが望ましい。上記範囲内であれば外界
から水蒸気がカバー内或いは収容器内に浸透しても、そ
れ以上の速さで乾燥剤が水分を吸収することができるの
で易変質薬が変質を起こすおそれがない。
【0012】上記カバー内には乾燥剤が配され、カバー
内の空間は出来る限り小さく形成されることが望まし
い。乾燥剤としては、それ自身吸湿性の強い物質であっ
て化学的乾燥剤でも物理的乾燥剤でも良い。好ましい乾
燥剤としてはシリカゲル、活性アルミナ、塩化カルシウ
ム、モレキュラーシーブス等の多孔質構造物等がある。
乾燥剤の能力は特に、空気1L中に残存する水分が5×
10-3mg以下まで乾燥させるものが望ましい。かかる
乾燥剤であれば絶対湿度を上記範囲まで下げることがで
きる。尚、本発明に係る医療用容器の胴部内には上記薬
剤収容器内の薬剤成分の溶解液、希釈液、或いは電解質
成分を含む輸液剤等が充填され、高圧蒸気滅菌処理され
て収容されている。
【0013】本発明に係る医療用容器にあっては、胴部
内の全体に充填される液剤と、上記収容器内の薬剤とは
使用時に接着領域を外部操作で剥離することにより容易
に混合できる。従って、従来の複室容器の機能を備えた
医療用容器と同等の使い勝手を有する。その一方で、上
記薬剤収容器内の薬剤をその容器内で無菌充填し、且つ
凍結乾燥等ができ、そして、かかる薬剤収容器を接着領
域に接続するのみで簡単に製造することができる。また
上記収容器と胴部の貫通孔との接続を無菌雰囲気の清浄
エリア中で簡単に行うことができる。収容器の薬剤の無
菌充填と胴部内の薬剤成分の充填及び高圧蒸気滅菌処理
等とが別々に別々の場所できるため、多種薬剤管理充填
の管理製造が容易となる。医療用容器の本体と薬剤収容
器とを個々に清浄エリア内に搬入できる。特に、上記薬
剤収容器に収容される薬剤成分は熱に弱いものがある。
このため、薬剤成分を高圧蒸気滅菌処理できないものが
り、無菌充填のみ許されるものがある。かかる薬剤成分
を用いる輸液容器等も従来からあり、かかる輸液容器等
は液剤と共に薬剤の蒸気滅菌処理ができなくなる。そこ
で、上記接着領域を形成した後、液剤を胴部内に充填し
滅菌処理し、その後、収容器等を無菌的に接続するよう
にすれば上記問題は簡単に解決することができる。
【0014】また、水分によって容易に変質する易変質
薬を上記樹脂製の薬剤収容器に収容した場合、外界の水
分が樹脂製の収容器内に僅かに透過して来る。かかる水
分は易変質薬の長期保存を妨げる。このため、シール蓋
を水分バリアー性のカバーで気密に覆ってカバー内に乾
燥剤を配すれば、外界の水分が薬剤収容器内に侵入して
も、水分の透湿性乃至透過性のあるシール蓋の微細孔フ
ィルム又はシート壁を直ぐに透過して水分に吸収され
る。この場合、カバーとシール蓋との空間を出来る限り
小さくできるので、乾燥剤の除湿空間も少なくて済む。
【0015】本発明に係る請求項2記載の医療用容器
は、上記請求項1記載の医療用容器において、上記シー
ル蓋の壁の透湿度が500〜14000g/m2・da
y(温度:40℃)の範囲であることを特徴とする。上
記シール蓋の微細孔フィルム又はシートの壁の透湿度が
上記範囲内にあれば、樹脂製の収容器の壁の透湿度の1
3オーダ以上であるため、収容器内に侵入してくる水
分を壁を介して乾燥剤が速やかに吸収する。このため、
薬剤収容器内は殆ど水分が存在しない乾燥状態となる。
また、乾燥剤はシール蓋及び収容器の壁を介して水分を
除脱するため、その除脱機能を長期間維持することがで
きる。上記壁の透湿度が上記範囲を下回れば、乾燥剤に
よる除湿速度が悪くなるおそれがあり、上記範囲を上回
れば、壁の耐水圧が十分に得られず、また細孔の口径も
大きくなり、粒子阻止率が悪くなるおそれがある。上記
微細孔フィルム又はシートの壁の透湿度は特に3000
乃至10000g/m2・day(温度:40℃)の範
囲であることが望ましい。
【0016】本発明に係る請求項3記載の医療用容器
は、可撓性の樹脂壁から形成された扁平な胴部の一部
に、該胴部の内壁面同士を剥離可能に熱溶着した接着領
域を形成して上記接着領域に貫通孔を形成し、上記接着
領域の一の外壁面に樹脂製のシール蓋を接着することに
より上記貫通孔の一方を気密に覆う共に上記接着領域の
他の外壁面に樹脂製の薬剤収容器を接着することにより
上記貫通孔の他方に気密に接続するものであり、上記シ
ール蓋の全部又は一部の壁は粒子直径が0.8μm以上
のときに粒子阻止率が99%以上であり、耐水圧が50
0mmH2O以上の水不透過性の微細孔フィルム又はシー
トからなり、上記薬剤収容器に酸素によって変質又は変
色する易変質薬を収容し、上記シール蓋を気密に覆う酸
素バリアー性の材料からなるカバーを設け、上記カバー
内に脱酸素剤を配してなることを特徴とする。
【0017】上記薬剤収容器には酸素によって変質又は
変色する易変質薬を収容される。かかる薬剤成分として
は凍結乾燥物、生理活性蛋白質、化学薬剤等を挙げるこ
とができる。上記シール蓋を気密に覆うカバーは酸素バ
リアー性の材料からなる。酸素バリアー性の材料として
は、実質的に酸素を透過しない酸素非透過性材料と酸素
を透過させ難い酸素難透過性材料がある。酸素難透過性
材料はその厚みが20μmにおいて、その透過度が40
cc/m2・day・atm(温度:25℃、90%R
H)以下、特に、10cc/m2・day・atm以
下、また好ましくは5cc〜1cc/m2・day・a
tmの範囲にあることが望ましい。また、酸素非透過性
材料はその厚み20μmにおける透過度が0.5cc/
2・day・atm以下で実質的に酸素を透過させな
いものである。具体的な酸素難透過性材料及び酸素非透
過性材料としては、壁が殆ど、又は全くガスを透過させ
ないアルミニウム等の金属層、またポリ塩化ビニリデ
ン、ポリエステル、ナイロン、エチレン−ビニルアルコ
ール共重合体、フッ素系樹脂等のようにガスバリアー性
の高い樹脂層、又はアルミニウム、珪素、マグネシウ
ム、チタン、銀、金等の土類金属若しくは金属、又はそ
の酸化物の蒸着層等を有するものである。
【0018】本発明において用いられる酸素バリアー性
の材料の壁における具体的な透過度は1.0cc/m2
・day・atm以下、また好ましくは0.5cc〜
0.1cc/m2・day・atmの範囲にあることが
望ましい。上記カバー内に配される脱酸素剤としては、
アスコルビン酸、カテコール系化合物を主体とした有機
系のもの、或いは鉄等の金属及びハロゲン化金属からな
る粉末状のものなどがある。具体的には、商品名「エー
ジレス」(三菱瓦斯化学株式会社)やその他のメーカー
等から市販されているものである。脱酸素剤としては、
酸素吸収のみ行うもの、酸素を吸収して炭酸ガスを発生
するもの等がある。このように構成される医療用容器に
あっては、上記請求項1記載の医療用容器と同様に製造
が簡単できる作用効果を奏する。また外部から上記薬剤
収容器内に侵入してくる酸素は、シール蓋の微細孔フィ
ルム又はシートの壁を透過して脱酸素剤により速やかに
除脱される。このため、収容器内の薬剤成分が保存期間
中に酸素によって変質することはない。
【0019】本発明に係る請求項4記載の医療用容器
は、上記シール蓋の壁のガーレー式通気度が0.5〜1
0000秒/100mlであることを特徴とする。上記シ
ール蓋の微細孔フィルム又はシートの壁の通気度が上記
範囲内にあれば、樹脂製の収容器の壁の通気度が極めて
小さいため、脱酸素剤は収容器内に侵入してくる酸素を
速やかに吸収することができる。薬剤収容器内に脱酸素
剤が存在する状態と同様な除脱機能が発揮される。また
脱酸素剤はシール蓋及び収容器の壁を介して酸素を除脱
するため、その除脱機能を長期間維持することができ
る。
【0020】
【実施例】以下、本発明に係る医療用容器の好ましい実
施例を添付図面を参照しながら詳述する。図1は第一実
施例に係る製造方法の医療用容器の断面図である。図2
は第一実施例に係る医療用容器の要部裏面図である。図
3は第一実施例に係る医療用容器における成形容器の平
面図である。図4は第一実施例に係る医療用容器におけ
る成形容器に接着領域及び貫通孔を形成したときの平面
図である。図5は第一実施例に係る医療用容器における
成形容器にシール蓋及び無菌維持用シールを取り付けて
液剤を充填したときの平面図である。図6は第一実施例
に係る医療用容器における薬剤収容器を備えたバイアル
の分解断面図である。図7は図6に示すバイアルの断面
図である。図8は第一実施例に係る医療用容器における
成形容器に薬剤収容器を取り付けたときの平面図であ
る。図9は第二実施例に係る医療用容器の要部裏面図で
ある。図10は第二実施例に係る医療用容器に用いられ
るシール蓋の平面図である。
【0021】第一実施例に係る医療用容器1は、図1〜
図8に示す如く可撓性の樹脂壁から形成された扁平な胴
部2の一部に、胴部2の内壁面同士を剥離可能に熱溶着
した接着領域3を形成して接着領域3に貫通孔4を形成
し、接着領域3の一の外壁面に樹脂製のシール蓋5を接
着することにより貫通孔4の一方を気密に覆う共に接着
領域3の他の外壁面に樹脂製の薬剤収容器6を接着する
ことにより貫通孔4の他方に気密に接続するものであ
る。上記シール蓋5は粒子直径が0.8μm以上のとき
に粒子阻止率が99%以上であり、耐水圧が500mmH
20以上の水不透過性の微細孔フィルムからなる。上記
薬剤収容器6には水分によって変質又は変色する易変質
薬である抗生物質10が収容されている。また上記シー
ル蓋5を気密に覆う水分バリアー性のカバー8が設けら
れ、カバー8内には乾燥剤9が配せられている。上記シ
ール蓋5はその壁の透湿度が500〜14000g/m
2・day(温度:40℃)となっている。
【0022】本実施例に係る医療用容器1を更に詳しく
説明すると、医療用容器1の胴部2は壁の厚みが200
μmのシートから形成され、その容量は160mlで、
長さが150mmで、幅が80mmである。胴部2の壁
は外層と内層との二層に成形され、外層は厚みが150
μmの直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.935g
/cm3、MI:2、融点:121℃)からなる。内層
は厚みが50μmの直鎖状低密度ポリエチレン(密度:
0.935g/cm3、融点:121℃)とポリプロピ
レン(密度:0.900g/cm3、MI:0.7、融
点:165℃)とを2:1の割合で混合したブレンド物
の層からなる。胴部2には排出ポート20が取付られ、
排出ポート20はゴム栓で密封されている。胴部2内に
は溶解液7が収容され、溶解液7は容器1と共に滅菌処
理されている。
【0023】胴部2の一部には対向する内壁面同士が接
着されられた接着領域3が形成され、接着領域3は胴部
2内の内部圧を約0.2Kgf/cm2にした時に剥離
するような接着強度に形成されている。接着領域3には
円形状の貫通孔4が形成され、貫通孔4の一方の開口は
シール蓋5で気密に覆われ、他方の開口は抗生物質10
が収容された薬剤容器6が気密に接続されている。シー
ル蓋5は高密度ポリエチレンをフラッシュ紡糸して、か
かる繊維を熱圧着したシートからなり、その坪量が7
5.0g/m2、その厚さが200μm、ガーレー通気
度が21秒/100ml、粒子直径0.5〜0.7μm
の粒子阻止率が99%以上、その透湿度が4000g/
2・day(温度:40℃)、及びその耐水圧が14
00mmH2Oである。このため、シール蓋5は実質的に
水蒸気を透過し、胴部2の外壁面に熱溶着シール可能な
材料からなっている。薬剤収容器6は中間層に厚み1m
m程度の環状オレフィン系樹脂層が設けられ、外層及び
内層が低密度ポリエチレンからなる多層樹脂材から形成
されている。このため、薬剤収容器6は透明性を有し、
その透湿度が0.05g/m2・day(温度:40
℃)となっており、胴部2の外壁面及び後述のカバー8
に熱溶着シール可能な材料からなっている。シール蓋5
は貫通孔4付近の接着領域3の外壁面に固着されてい
る。薬剤収容器6はカップ状に形成され、その開口に取
付フランジ6Aが形成されている。薬剤収容器6の取付
フランジ6Aは貫通孔4付近の接着領域3の外壁面に固
着されている。
【0024】シール蓋5の外側はカバー8で気密に覆わ
れ、カバー8は水分バリアー性材料からなっている。カ
バー8は透明な多層樹脂フィルムからなり、内層及び外
層が低密度ポリエチレンからなるシーラント層で形成さ
れ、中間層にシリカ蒸着したポリエチレンテレフタレー
ト層を有している。このため、カバー8の壁の透湿度は
0.05g/m2・day(温度:40℃、90−0%
RH)以下であり、酸素の透過度が0.1cc/m2
day・atm(温度:25℃、90%RH)以下であ
る。カバー8は一枚のシートを折り曲げて三方を熱溶着
シールしたシール部8A、8B、8Cにより袋状に形成
され、シートの所定位置には開口12が形成されてい
る。開口12の周縁はシール蓋5の周縁5Aに固着され
ている。カバー8内には乾燥剤9が配せられ、乾燥剤9
は5gのモレキュラーシーブスからなる。
【0025】次に、本発明に係る医療用容器の製造方法
を詳しく説明する。図3に示す如く、上述のインフレー
ションシートを所定の長さに裁断し、裁断端部22、2
4を密封シールして容器本体である胴部2を成形する。
密封シールの際に裁断端部22に排出ポート20を取り
付ける。密封シールは温度170℃のシール条件で行
い、端部22、24を剥離不能な固着シールとする。図
4に示す如く、胴部2の一部に内壁面同士を接着させた
剥離可能な接着領域3を形成する。接着領域3は温度1
40℃のシール条件で行う。接着領域3に貫通孔4を形
成する。貫通孔4はポンチにより行う。図5に示す如
く、上記シール蓋5を接着領域3の外壁面に熱溶着シー
ルにより貼着して、貫通孔4の一方の開口を気密に覆
う。熱溶着シールは温度130℃のシール条件で行う。
無菌維持用シール材14を接着領域3の外壁面に熱溶着
シールにより貼着して、貫通孔4の他方の開口を気密に
覆う。熱溶着シールは温度130℃のシール条件で行
う。従って、上記貼着処理を行っても、接着領域3の剥
離可能なシール機能が失われない。尚、無菌維持用シー
ル材14は内層がポリエチレンとポリプロピレンとから
なるブレンド樹脂からなり、中間層にアルミニウム蒸着
層を有している。次に、排出ポート20から溶解液7を
胴部2内に充填し、排出ポート20にゴム栓をして密封
する。密封後、かかる容器1を温度110℃で高圧蒸気
滅菌処理する。
【0026】一方、図6に示す如く、シートを真空成形
して取付フランジ6Aを有したカップ状の薬剤収容器6
を成形し、バイアル26に配する。バイアル26は半打
栓可能なゴム栓28が取り付けられる開口30を有した
上部半体32と薬剤収容器6を配する下部半体34とか
らなる。薬剤収容器6を下部半体34に取り付け、次
に、上部半体32と下部半体34とを組み合わせる。上
部半体32の開口30から凍結乾燥用溶液を除菌フィル
タを介して充填する。充填後、ゴム栓28を開口30に
半打栓状態で打栓し、凍結乾燥容器内にバイアル26を
搬入する。凍結乾燥を完了させ、収容器6内に抗生物質
10を凍結乾燥物として生成した後、図7に示す如く、
ゴム栓28を開口30に完全打栓する。バイアル26を
無菌を維持した環境のクリーンルーム内に配する。
【0027】上記クリーンルーム内に滅菌処理後の上記
容器1を搬入し、胴部2の貫通孔4から無菌維持用シー
ル材14を剥がす。一方、凍結乾燥後のバイアル26の
上部半体32を下部半体34から取り外す。そして、図
8に示す如く貫通孔4の開口に薬剤収容器6を無菌的に
接続する。接続は取付フランジ6Aを開口の周縁の胴部
2の外壁面に固着シールして行う。固着シールは温度1
30℃で行う。図2に示す如く、カバー8用のシートの
開口12の周縁をシール蓋5の周縁5Aに固着する。そ
して、シートを折り曲げて、三方の端部8A、8B、8
Cの重なりシート同士を固着して薬剤収容器6を気密に
覆う。覆う際に乾燥剤9をカバー8内に配する。
【0028】このように構成される医療用容器1にあっ
ては、その製造時に接着領域3を容易に形成し、貫通孔
4を簡単に形成することができる。薬剤収容器6を熱接
着等により扁平な胴部2の壁に容易に取り付けることが
できる。また、薬剤収容器6の接続に際しては無菌雰囲
気中に配して、その接続部、即ち、収容器6の口部及び
貫通孔4の開口部を無菌維持用シール材14などを使用
して接続の直前まで無菌に維持して置くことができる。
このため、薬剤収容器6と容器本体である胴部2との無
菌接続が安全且つ簡単にできる。薬剤収容器6内に抗生
物質10等のように高圧蒸気滅菌処理できないものを対
象する場合の医療用容器1に適したものとなる。製造
上、高圧蒸気滅菌処理の際に、貫通孔4の開口に無菌維
持用シール材14などを貼着してその開口を滅菌するこ
とも容易にできる。
【0029】このように構成される医療用容器1にあっ
ては、その保存時に抗生物質10の変質が防止され、抗
生物質10の変質を防止する乾燥剤9の機能が長く維持
される。上記薬剤収容器6は透明な樹脂製容器であるた
めその保存時に容器内の抗生物質の状態を確認でき、医
療用容器として望ましい形態となっている。上記薬剤収
容器6は樹脂製容器であるため、外界から水分が水蒸気
として微量ながら侵入する。しかし、侵入した水分はシ
ール蓋5の壁を速やかに通過して乾燥剤に吸収される。
このため、収容器6内の抗生物質10が変質するおそれ
がない。即ち理論上、外部からの水分が収容器6内に透
過する速度dM/dtは以下の式で得られる。dM/d
t=[A1]・[P1]([W1]−[w2])。ここで、[A1]は
収容器6の壁面積である。[P1]は、収容器6の壁の透
湿度である。[W1]は収容器6外の水蒸気圧である。[w
2]は収容器6内の水蒸気圧である。また収容器6内の水
分がシール蓋5を透過して乾燥剤9に吸収される速度d
m/dtは以下の式で得られる。dm/dt=[A2]・
[P2]([w2]−[W3])。ここで、[A2]は上記シール蓋
5の壁面積で容器6の壁面積の1/2程度である。[P
2]は、上記室壁の透湿度である。[W3]は乾燥剤が配
された空間の水蒸気圧であり、その水蒸気圧は0に近似
することができる。
【0030】ここで、収容器内の水蒸気圧[w2]はdM
/dt=dm/dtになったときに一定となる。このと
き、[A1]・[P1]([W1]−[w2])=[A2]・[P2]
([w2]−W3)、更には[A1]・[P1]([W1]−[w2])
=[A2]・[P2]・[w2]となる。従って、収容室内の水
蒸気圧[w2]は、以下の式に[w2]=[A1]・[P1]・[W
1]/([A1]・[P1]+[A2]・[P2])、又は[w2]=[W
1]/{1+([A2]・[P2]/[A1]・[P1])}となる。
このため、収容器内の水蒸気圧[w2]は外界の水蒸気圧
[W1]に比例し、([A2]・[P2]/[A1]・[P1])が大
きい値になれば[w2]に反比例する。従って、医療用容
器1にあっては、[P2]=4000g/m2・day
(温度:40℃、90−0%RH)>>>[P1]=
0.05g/m2・day(温度:40℃、90−0%
RH)が103オーダーを遥かに上回るため、乾燥剤9
が存在するカバー8内と同様な乾燥状態と見て良い。実
際に温度が40℃で相対湿度が90%の環境に1カ月間
の過酷試験を行っても抗生物質10の力価は低下しなか
った。また、このような構成にあっては、乾燥剤9は収
容器6を間接的に透過した水分のみを吸収し、乾燥する
除湿空間が狭いため、全体を包装材で覆う場合より乾燥
剤9の使用量を少なくすることができる。
【0031】このように構成された医療用容器1にあっ
ては、その使用時に容器本体を外部から押圧する。これ
により接着領域3が剥離する。剥離により薬剤収容器6
と胴部2の全体が連通し、溶解液7に抗生物質10が溶
解する。この場合、溶解液7はシール蓋5の壁と接する
が、かかる壁は耐水性があるため多少の押圧に対しても
溶解液7は漏洩するおそれがない。従って、抗生物質1
0を無菌的に溶解液7に溶解して、輸液を開始すること
ができる。上記実施例では接着領域3を形成した後に貫
通孔4を形成した。しかし、貫通孔4を形成した後にリ
ング状の接着領域を形成する方法であっても良い。
【0032】次に、本発明に係る第二実施例に係る医療
用容器を図9及び図10に従って説明する。第二実施例
に係る医療用容器13は第一実施例と以下の点で同様で
ある。即ち、第二実施例に係る医療用容器13は、図9
及び図10に示す如く可撓性の樹脂壁から形成された扁
平な胴部2の一部に、胴部2の内壁面同士を剥離可能に
熱溶着した接着領域3を形成して接着領域3に貫通孔4
を形成し、接着領域3の一の外壁面に樹脂製のシール蓋
15を接着することにより貫通孔4の一方を気密に覆う
共に接着領域3の他の外壁面に樹脂製の薬剤収容器を接
着することにより貫通孔4の他方に気密に接続するもの
である。
【0033】第二実施例の医療用容器13が第一実施例
と異なる点は以下の点である。第二実施例の医療用容器
13では、上記薬剤収容器に酸素によって変質又は変色
する易変質薬を収容し、カバー8は水分バリアー性の他
に、上述したように酸素バリアー性の材料で形成してあ
る。そして、カバー8内には脱酸素剤19が配せられて
いる。シール蓋15は低密度ポリエチレンからなるが、
中央部には疎水性フィルタ(ミリポア社製)16が取り
付けられている。疎水性フィルタ16はポリフッ化ビニ
リデン系樹脂からなり、その孔径が0.2μmで、粒子
直径が0.8μm以上のときに粒子阻止率が99%以上
であり、バブルポイントが5気圧あり、耐水圧が500
mmH2Oを遥かに上回るものである。疎水性フィルタ1
6の通気度は10000秒/100mlを遥かに上回る
ものである。このように構成された第二実施例に係る医
療用容器13においても、第一実施例と同様な作用効果
を奏する他に、薬剤収容器内の易変質薬が酸素を嫌う場
合であっても、シール蓋15を気密に覆うカバー8内の
脱酸素剤19の機能により容易に保護される。そして、
シール蓋15のみを囲む極めて狭い空間に脱酸素剤19
を配することができるため、脱酸素剤19の酸素除脱機
能を長期間維持させることも可能となる。
【0034】
【発明の効果】以上説明したように本発明に係る医療用
容器では、可撓性の樹脂壁から形成された扁平な胴部の
一部に、該胴部の内壁面同士を剥離可能に熱溶着した接
着領域を形成して上記接着領域に貫通孔を形成し、上記
接着領域の一の外壁面に樹脂製のシール蓋を接着するこ
とにより上記貫通孔の一方を気密に覆う共に上記接着領
域の他の外壁面に樹脂製の薬剤収容器を接着することに
より上記貫通孔の他方に気密に接続するものであり、上
記シール蓋の全部又は一部の壁は粒子直径が0.8μm
以上のときに粒子阻止率が99%以上であり、耐水圧が
500mmH2O以上の水不透過性の微細孔フィルム又は
シートからなり、上記薬剤収容器に水分によって変質又
は変色する易変質薬を収容し、上記シール蓋を気密に覆
う水分及び酸素バリアー性の材料からなるカバーを設
け、上記カバー内に乾燥剤及び酸素を配してなるので、
薬剤の移し換え充填等を行わずに、無菌的に且つ簡単に
薬剤収容器等を容器の胴部に接続することができる。ま
た、易変質薬の変質を防ぐため、収容器又は胴部の一部
のみをカバーで覆って出来る限り乾燥空間又は酸素除脱
空間を小さくして乾燥剤及び脱酸素剤の機能を長期間維
持させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は第一実施例に係る製造方法の医療用容器
の断面図である。
【図2】図2は第一実施例に係る医療用容器の要部裏面
図である。
【図3】図3は第一実施例に係る医療用容器における成
形容器の平面図である。
【図4】図4は第一実施例に係る医療用容器における成
形容器に接着領域及び貫通孔を形成したときの平面図で
ある。
【図5】図5は第一実施例に係る医療用容器における成
形容器にシール蓋及び無菌維持用シールを取り付けて液
剤を充填したときの平面図である。
【図6】図6は第一実施例に係る医療用容器における薬
剤収容器を備えたバイアルの分解断面図である。
【図7】図7は図6に示すバイアルの断面図である。
【図8】図8は第一実施例に係る医療用容器における成
形容器に薬剤収容器を取り付けたときの平面図である。
【図9】図9は第二実施例に係る医療用容器の要部裏面
図である。
【図10】図10は第二実施例に係る医療用容器に用い
られるシール蓋の平面図である。
【符号の説明】
1 医療用容器 2 胴部 3 接着領域 4 貫通孔 5 シール蓋 6 薬剤収容器 7 溶解液 8 カバー 9 乾燥剤

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 可撓性の樹脂壁から形成された扁平な胴
    部の一部に、該胴部の内壁面同士を剥離可能に熱溶着し
    た接着領域を形成して上記接着領域に貫通孔を形成し、
    上記接着領域の一の外壁面に樹脂製のシール蓋を接着す
    ることにより上記貫通孔の一方を気密に覆う共に上記接
    着領域の他の外壁面に樹脂製の薬剤収容器を接着するこ
    とにより上記貫通孔の他方に気密に接続するものであ
    り、 上記シール蓋の全部又は一部の壁は粒子直径が0.8μ
    m以上のときに粒子阻止率が99%以上であり、耐水圧
    が500mmH2O以上の水不透過性の微細孔フィルム又
    はシートからなり、 上記薬剤収容器に水分によって変質又は変色する易変質
    薬を収容し、上記シール蓋を気密に覆う水分バリアー性
    の材料からなるカバーを設け、上記カバー内に乾燥剤を
    配してなることを特徴とする医療用容器。
  2. 【請求項2】 上記シール蓋の壁の透湿度が500〜1
    4000g/m2・day(温度:40℃)の範囲であ
    ることを特徴とする請求項1記載の医療用容器。
  3. 【請求項3】 可撓性の樹脂壁から形成された扁平な胴
    部の一部に、該胴部の内壁面同士を剥離可能に熱溶着し
    た接着領域を形成して上記接着領域に貫通孔を形成し、
    上記接着領域の一の外壁面に樹脂製のシール蓋を接着す
    ることにより上記貫通孔の一方を気密に覆う共に上記接
    着領域の他の外壁面に樹脂製の薬剤収容器を接着するこ
    とにより上記貫通孔の他方に気密に接続するものであ
    り、 上記シール蓋の全部又は一部の壁は粒子直径が0.8μ
    m以上のときに粒子阻止率が99%以上であり、耐水圧
    が500mmH2O以上の水不透過性の微細孔フィルム又
    はシートからなり、 上記薬剤収容器に酸素によって変質又は変色する易変質
    薬を収容し、上記シール蓋を気密に覆う酸素バリアー性
    の材料からなるカバーを設け、上記カバー内に脱酸素剤
    を配してなることを特徴とする医療用容器。
  4. 【請求項4】 上記シール蓋の壁のガーレー式通気度が
    0.5〜10000秒/100mlであることを特徴とす
    る請求項3記載の医療用容器。
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