JPH11131471A - 鋼矢板の打設方法と鋼矢板打設用ケーシング - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 オーガースクリューやケーシングや鋼矢板の
継ぎ足し作業や接続作業を低所で行うことができ、鋼矢
板を正確に垂直に打設することができること。 【解決手段】 鋼矢板の打設個所と関係のない近傍個所
に継打用のオーガースクリュー４ａとケーシング５ａを
打設し、次に先打用のオーガースクリュー４ｂとケーシ
ング５ｂを先打用の鋼矢板６ｂを添設した状態で鋼矢板
の打設個所に打設し、次に継打用のオーガースクリュー
４ａとケーシング５ａとを引き抜いて継打用オーガース
クリュー４ａとケーシング５ａと継打用鋼矢板６ａと
を、先打用のオーガースクリュー４ｂとケーシング５ｂ
と先打用鋼矢板６ｂとを接続して打設し、両オーガース
クリュー５ａ，５ｂと両ケーシング６ａ，６ｂを引き抜
くことによって地中に複数の鋼矢板６ａ，６ｂを継打に
よって打設するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、土留め工事等の土
木建築工事において地中に打ち込まれる鋼矢板の打設方
法と該打設方法に使用するケーシングに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から作業重機に支持された案内支柱
に沿って昇降する圧入装置にオーガースクリューとその
外周側にケーシングとを取り付け、且つケーシングの外
周側に鋼矢板を添設し、且つケーシングの下方部に鋼矢
板の下方部を係合支持させ、この状態で、下降するオー
ガースクリューの回転駆動によって、鋼矢板を打設しよ
うとする個所を掘削し、同時に下降するケーシングに案
内されて鋼矢板をその打設個所に打設するようにした鋼
矢板の打設方法が採用されている。

【０００３】この従来の鋼矢板打設方法によれば、ケー
シングの下方部に鋼矢板の下方部を係合支持させ、圧入
装置の圧入力をケーシングを介して鋼矢板の下方部を直
接的に伝え、鋼矢板の弯曲を防ぎながら正確に且つ効率
良く打設個所に打設することができる。しかしながら、
この従来方法では、案内支柱の長さの範囲で、例えば２
０ｍの案内支柱の場合には、オーガーマシンの長さが２
ｍ、作業余裕長さが０．５〜１ｍとすれば、約１７ｍの
長さの鋼矢板の打設施工が可能であるが、現状での案内
支柱長さより長い鋼矢板を打設しようとすると、オーガ
ースクリューだけで予め必要深度までのスクリューを継
ぎ足して切削作業を行い、しかるのち鋼矢板を継ぎ足し
ながら単独で圧入していたが、必要深度までスクリュー
を継ぎ足して掘削する際に、先に打設した鋼矢板にオー
ガースクリューが絡み、またこれがためにオーガースク
リューの掘削孔が正確に垂直に掘削されないという問題
点があった。

【０００４】さらには、上述のようにオーガースクリュ
ーで地中を掘削して形成された掘削孔に、後から鋼矢板
を単独で上端部より圧入力をかけて打設すると、鋼矢板
の下方部では掘削土壌の抵抗を受けるため、鋼矢板がそ
の打設途上で弯曲し、その施工が極めて困難であるとい
う問題もあった。

【０００５】さらにまた継ぎ足し作業や接続作業は、オ
ーガースクリューが長尺物であるから当然に全て案内支
柱の高所で行う必要があり、作業能率が非常に悪く、ま
た危険でもあった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の問題
点に鑑み、従来のケーシング下方部での鋼矢板の係合支
持の利点を生かしつつ、案内支柱長さより長い鋼矢板を
打設するに当たって、オーガースクリューやケーシング
あるいは鋼矢板の継ぎ足し作業や接続作業を低所で行う
ことができ、且つ鋼矢板を正確に垂直に打設することが
できるようにすることを目的とするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項１に係る発明あっては、実施の形態の参照符
号を付して示すと、作業重機１に支持された案内支柱２
に沿って昇降する圧入装置３にオーガースクリュー４と
その外周側にケーシング５とを取り付け、且つケーシン
グ５の外周側に鋼矢板６を添設し、且つケーシング５の
下方部に鋼矢板６の下方部を係合支持させ、下降するオ
ーガースクリュー４の回転駆動によって、鋼矢板を打設
しようとする個所を掘削し、同時に下降するケーシング
５に案内されて鋼矢板６をその打設個所に打設するよう
にした鋼矢板の打設方法において、まず鋼矢板の打設個
所とは関係のない近傍個所に継打用のオーガースクリュ
ー４ａとケーシング５ａを鋼矢板を添設しない状態で打
設しておき、次に先打用のオーガースクリュー４ｂとケ
ーシング５ｂを先打用の鋼矢板６ｂを添設した状態で鋼
矢板の打設個所に打設し、次に前以って打設個所とは関
係のない近傍個所に打設しておいた継打用のオーガース
クリュー４ａとケーシング５ａとを前記圧入装置３に地
面近傍で接続して該圧入装置３によって引き抜いて案内
支柱２に吊設すると共に、継打用の鋼矢板６ａを継打用
ケーシング５ａに添設し、この状態で該継打用オーガー
スクリュー４ａとケーシング５ａと継打用鋼矢板６ａの
各下端部と、先に鋼矢板の打設個所に打設した先打用の
オーガースクリュー４ｂとケーシング５ｂと先打用鋼矢
板６ｂの各上端部とを地面近傍で互いに接続し、この状
態で継打用及び先打用の両オーガースクリュー４ａ，４
ｂと、同じく両ケーシング５ａ，５ｂと、同じく両鋼矢
板６ａ，６ｂとを一体に打設し、しかるのちに両オーガ
ースクリュー５ａ，５ｂと両ケーシング６ａ，６ｂを圧
入装置３によって引き抜くことによって地中に複数の鋼
矢板６ａ，６ｂを継打によって打設することができるよ
うにした鋼矢板の打設方法を採用してなるものである。

【０００８】また請求項２に係る発明にあっては、作業
重機１に支持された案内支柱２に沿って昇降する圧入装
置３にオーガースクリュー４とその外周側にケーシング
５とを取り付け、且つケーシング５の外周側に鋼矢板６
を添設し、且つケーシング５の下方部に鋼矢板６の下方
部を係合支持させ、下降するオーガースクリュー４の回
転駆動によって、鋼矢板を打設しようとする個所を掘削
し、同時に下降するケーシング５に案内されて鋼矢板６
をその打設個所に打設するようにした鋼矢板の打設方法
において、まず鋼矢板の打設個所とは関係のない近傍個
所に継打用のオーガースクリュー４ａとケーシング５ａ
を鋼矢板を添設しない状態で打設しておき、次に先打用
のオーガースクリュー４ｂとケーシング５ｂを先打用の
鋼矢板６ｂを添設した状態で鋼矢板の打設個所に打設
し、次に前以って打設個所とは関係のない近傍個所に打
設しておいた継打用のオーガースクリュー４ａとケーシ
ング５ａとを前記圧入装置３に地面近傍で接続して該圧
入装置３によって引き抜いて案内支柱２に吊設すると共
に、継打用の鋼矢板６ａを継打用ケーシング５ａに添設
し、この状態で該継打用オーガースクリュー４ａとケー
シング５ａと継打用鋼矢板６ａの各下端部と、先に鋼矢
板の打設個所に打設した先打用のオーガースクリュー４
ｂとケーシング５ｂと先打用鋼矢板６ｂの各上端部とを
地面近傍で互いに接続し、この状態で継打用及び先打用
の両オーガースクリュー４ａ，４ｂと、同じく両ケーシ
ング５ａ，５ｂと、同じく両鋼矢板６ａ，６ｂとを一体
に打設し、しかるのち継打用オーガースクリュー４ａと
ケーシング５ｂとを引き抜いて、該継打用オーガースク
リュー４ａとケーシング５ｂとを再度鋼矢板の打設個所
とは関係のない近傍個所に鋼矢板を添設しない状態で打
設しておき、次いで先打用のオーガースクリュー４ｂと
ケーシング５ｂとを引き抜き、先の工程と同じように該
先打用のオーガースクリュー４ｂとケーシング５ｂに先
打用鋼矢板６ｂを添設した状態で鋼矢板の打設個所に打
設し、しかして先の工程と同じ工程を繰り返すようにし
て地中に複数の鋼矢板６ａ，６ｂを継打によって順次打
設することができるようにした鋼矢板の打設方法。

【０００９】また請求項３に係る発明にあっては、作業
重機１に支持された案内支柱２に沿って昇降する圧入装
置３にオーガースクリュー４とその外周側にケーシング
５とを取り付け、且つケーシング５の外周側に鋼矢板６
を添設し、且つケーシング５の下方部に鋼矢板６の下方
部を係合支持させ、下降するオーガースクリュー４の回
転駆動によって、鋼矢板を打設しようとする個所を掘削
し、同時に下降するケーシング５に案内されて鋼矢板６
をその打設個所に打設するようにした鋼矢板の打設方法
において、ケーシング５を順次継ぎ足して打設するため
の継ぎ足し用ケーシングであって、該ケーシング５は先
打用ケーシング５ｂと継打用ケーシング５ａとからな
り、両ケーシング５ａ，５ｂの互いの接続部７は、軸方
向には摺動可能であるが径方向には離脱不可能な所謂は
ぜ係合する接続部ガイド８と、両ケーシング５ａ，５ｂ
の端面が吻合した状態で互いに軸方向に離脱不可能に接
続するロック手段９とからなる鋼矢板打設用ケーシング
を採用してなるものである。

【００１０】

【発明の実施の形態】図１は、本発明の一実施の形態で
ある鋼矢板の打設方法に使用する矢板打設装置の一実施
形態を示すもので、案内支柱２に沿ってラック１０が取
り付けられており、これにスプロケット、チェーンラッ
クや電動機等からなる圧入用マシン１１が噛合し、ラッ
ク１０に噛合するスプロケットやチェーンラックが電動
機に駆動されて昇降駆動するようになっている。

【００１１】圧入用マシン１１は装置機台１２に一体に
取り付けられており、また該装置本体１２には昇降油圧
シリンダー１３が立設され、該昇降シリンダー１３のピ
ストンロッド１３ａに昇降台１４が取り付けられ、該昇
降台１４に電動機や減速機等からなるオーガーマシン１
５および該オーガーマシン１５によって回転駆動される
オーガー駆動軸１６が取り付けられ、オーガー駆動軸１
６は装置機台１２を貫通して下方に延びると共に、昇降
シリンダー１３によって矢印で示すように昇降駆動する
ようになっている。本発明では、少なくとも圧入用マシ
ン１１及び装置機台１２によって圧入装置３を構成する
ことになるが、後述のように昇降シリンダー１３やオー
ガーマシン１５を含んで圧入装置３を構成する場合があ
る。更には、この圧入装置３は、当然のことながら後述
のオーガースクリュー４やケーシング５の引き抜き装置
をも構成するものである。

【００１２】装置機台１２には、その下面側にオーガー
駆動軸１６の外周側に同心状に接続用ケーシング１７が
下垂突設され、該接続用ケーシング１７にはブラケット
１８と、該ブラケット１８によって接続用ケーシング１
７に取り付けるチャック用シリンダー１９と、該シリン
ダー１９によって連杆２０を介して接続用シリンダー１
７に押し付けるチャック爪２１とからなるチャック装置
２２が設けられており、該チャック装置２２によって鋼
矢板６をケーシング５に沿って取り付けるようになって
いる。オーガー駆動軸１６の先端角軸部１６ａにオーガ
ースクリュー４が嵌合され、両者を着脱可能なジョイン
トピン２３で接続し、オーガースクリュー接続部２４Ａ
を構成しており、且つ接続用ケーンシング１７と下方に
延びるケーシング５とはケーシング接続部２４Ｂで接続
されるようになっている。

【００１３】図２の（ａ）及び（ｂ）は、鋼矢板６をケ
ーシング５に添設するための構造を示すもので、鋼矢板
６の下端部には（ａ）に示すように、その入隅部分に板
状の係合桟３４が、またケーシング５には下向きＬ字状
の係合鉤３５が夫々溶接によって固定されている。

【００１４】そして鋼矢板６の上端部は前述のようにチ
ャック装置２２で掴持され、鋼矢板６の下端部は係合桟
３４とこれが係合する係合鉤３５とによって係合支持さ
れて、鋼矢板６はケーシング５に堅固に添設セットされ
る。

【００１５】そして鋼矢板６の打設途上において、オー
ガースクリュー４で掘削されながら地中に圧入されるケ
ーシング５の圧入力が直接に前記係合機構３４，３５を
介して鋼矢板６の下端部に負荷し、鋼矢板６の下端部を
地中に引き込みながら鋼矢板６を打設するようになって
いるため、その打設途上で鋼矢板６が弯曲することはな
い。

【００１６】図３の（ａ）及び（ｂ）は、ケーシング５
に鋼矢板６を添設している状態と、図１で示す接続用ケ
ーシング１７とケーシング５とのケーシング接続部２４
Ｂの接続構造を示すものである。またケーシング５は、
後述のように継打用ケーシング５ａと先打用ケーシング
５ｂとからなり、上記ケーシング接続部２４Ｂの接続構
造は、主に両ケーシング５ａ，５ｂの接続構造でもある
ので、以下にこの両ケーシング５ａ，５ｂの接続構造と
して説明する。なお、図３（ｂ）のＰは後述のスクリュ
ーヘッド３１によって掘削される掘削軌跡を示す。

【００１７】両図に示すように、継打用ケーシング５ａ
の下端部と先打用ケーシング５ｂの下端部とは対称位置
で半割りとなっており、この継打用ケーシング５ａの半
割り上端部５ａ１と先打用ケーシング５ｂと半割り下端
部５ｂ１との周方向の両吻合面にはＪ状ないしＦ状の屈
曲部が互いに係合して軸方向には摺動可能であるが径方
向には離脱不可能な所謂はぜ係合する接続部ガイド８に
よって径方向に離脱不能に接続され、なお、ケーシング
５ａ，５ｂの外周面には鋼矢板６を位置決めする位置決
め突条２５が突設され、該位置決め突条２５によって鋼
矢板６を周方向にずれないようになっている。また両ケ
ーシング５ａ，５ｂの軸方向端面付近に接続用ブラケッ
ト２６ａ，２６ｂが取り付けられ、両ケーシング５ａ，
５ｂの互いの端面を吻合したときに両接続用ブラケット
２６ａ，２６ｂが重合して両者間にわたって設けるロッ
ク孔２７ａ，２７ｂにロックピン２８を圧入することに
よって両ケーシング５，５ｂを軸方向に離脱不可能に接
続するロック手段９が設けられている。なお、前記の位
置決め突条２５も両ケーシング５ａ，５ｂを吻合したと
きに凹凸嵌合して位置決めされる突条接続部２９が設け
られている。以上によってケーシング接続部２４Ｂが形
成される。

【００１８】以上のオーガースクリュー接続部２４Ａと
ケーシング接続部２４Ｂによって、本発明でいうオーガ
ースクリューおよびケーシングの接続部７（図４以下）
が構成されることになる。なお、図３において、鋼矢板
６は鉤部３０で互いに接続されながら順次打設されるよ
うになっていることは言うまでもない。

【００１９】本発明の鋼矢板打設方法は、上述の矢板打
設機とケーシング５とを使用して後述のように施工され
るのである。本発明の実施の形態では、二本の鋼矢板を
順次継ぎ足して打設する方法を示すが、これに限定され
ることはなく、三本以上の鋼矢板を継ぎ足して打設する
ことができることはいうまでもない。

【００２０】即ち、まず図４において、この図４に示す
打設順序が本発明の尤も特徴とするところであるが、こ
の図において、１は作業重機、２は案内支柱、３は圧入
装置、１０はラック、１５はオーガーマシン、１６はオ
ーガー駆動軸、２２はチャック装置、７はオーガースク
リューおよびケーシングの接続部、３１はオーガーヘッ
ド、３２は鋼矢板等を吊り上げロープや案内シーブを介
して吊り上げるアーム、３３はステーである。

【００２１】先ず継打用のオーガースクリュー４ａと継
打用のケーシング５ａとを オーガー駆動軸１６と接続
用ケーシング１７とに接続部７（前述のオーガースクリ
ュー接続部２４Ａ、ケーシング接続部２４Ｂ）によって
接続し、案内支柱２をそのラック１０に噛合する圧入装
置３とオーガーマシン１５の駆動によって継打用のオー
ガースクリュー４ａとケーシング５ａとを地中に打設す
る。本発明の特徴とする点は、この継打用のオーガース
クリュー４ａ及びケーシング５ａの打設個所が本来鋼矢
板を打設しようとする正規の個所ではなく、打設個所と
は関係のない近傍個所に打設するようにしたことであ
る。またこの時点では、図４の（ｂ）に示すように鋼矢
板は打設されることはなく、継打用のオーガースクリュ
ー４ａとケーシング５ａのみが打設される。

【００２２】次に図５に示すように、鋼矢板本来の、即
ち正規の打設個所に、２本の鋼矢板を順次継ぎ足して打
設する際の、先ず最初の先打用のオーガースクリュー４
ｂと先打用ケーシング５ｂとを巻き上げロープなどを使
用してアーム３２によって案内支柱２に沿って吊り上
げ、且つチャック装置２２によって先打用鋼矢板６ｂの
上端部を案内支柱２に固定し、下端部を図２で述べた係
合桟３４と係合鉤３５との係合支持作用によって、該鋼
矢板６を案内支柱２にセットする。この状態から図６に
示すように先打用のオーガースクリュー４ｂとケーシン
グ５ｂを地中に打設し、この際にオーガースクリュー４
ｂおよびケーシング５ｂの上端部が作業地面ＧＬより約
０．５ｍの上部位置Ｌにくるようにしておく。

【００２３】本発明の実施の形態では、先打用ケーシン
グ５ｂが１４．５ｍ、継打用ケーシング５ａが１２．５
ｍのものを用いて、先打用鋼矢板６ｂが１３ｍで継打用
の鋼矢板６ａが１１ｍで合計２４ｍの鋼矢板６を２０ｍ
の案内支柱２で打設しようとするもである。

【００２４】そして 図６の状態から図７に示すよう
に、ケーシング用接続部２４Ｂで接続ケーシング１７と
先打用ケーシング５ｂとを離脱させ、この状態で前述の
昇降シリンダー１３を作動させてオーガー駆動軸１６を
最下端部まで下降させながら圧入装置３を上昇駆動させ
てオーガースクリュー４ｂを更に上方に０．４ｍ程度引
き抜き、該オーガースクリュー４ｂの接続部２４Ａがケ
ーシング５ｂの上端部から上方に突出する状態とし、こ
の状態でオーガースクリュー４ｂの落下防止の処置を行
ったあと、オーガー駆動軸１６と先打用オーガースクリ
ュー４ｂとをその接続部２４Ａで離脱させる。

【００２５】次に図８に示すように、先に正規の打設個
所と関係のない個所に打設していた継打用のオーガース
クリュー４ａとケーシング５ａとをオーガー駆動軸１６
と接続用ケーシング１７に繋ぎ、図示しないがこの状態
で案内支柱２に吊り上げると共に、アーム３２を用いて
継打用の鋼矢板６ａを案内支柱２に沿わせチャック装置
２２でセットする。従って正規の打設個所と関係のない
個所には、図８の（ｂ）に鎖線で示すように、そこには
最早オーガースクリュー４ａとケーシング５ａとは存在
しない。

【００２６】次に図９に示すように、この継打用の鋼矢
板６ａをセットした継打用のオーガースクリュー４ａと
ケーシング５ａとを、先に正規の鋼矢板打設個所に打設
した先打用のオーガースクリュー４ｂとケーシング５ｂ
の上方に作業重機１を操作して持ち来し、この状態で継
打用の鋼矢板６ａを先打用鋼矢板６ｂとを溶接によって
一体に接続し、継打用のオーガースクリュー４ａと先打
用のオーガースクリュー４ｂとをその接続部２４Ａで、
また継打用ケーシング５ａと先打用ケーシング５ｂとを
その接続部２４Ｂで各々接続する。

【００２７】そして図１０に示すように、案内支柱２に
沿って圧入装置３を下降させながらオーガーマシン１５
を回転駆動させることによって先端部のオーガーヘッド
３１によって地中を掘削しながら先打用のオーガースク
リュー４ｂとこれと一体的の後続の継打用オーガースク
リュー４ａ並びにスクリューの外周側において先打用ケ
ーシング５ｂとこれと一体的の継打用ケーシング５ａと
が地中に打設される。なお、継打用のオーガースクリュ
ー４ａとケーシング５ａは、図示のＬで示すように作業
地面ＧＬより約０．５ｍの上方に突出させて接続部７や
チャック装置２２の離脱操作を地上で容易に行うことが
できるようにしてある。

【００２８】さらに図１１に示すように、チャック装置
２２を操作して継打用の鋼矢板６ａを継打用ケーシング
５ａとのセット状態から開放し、しかるのちに図１２に
示すように圧入装置３を上方に移動させることによって
継打用のオーガースクリュー４ａおよび継打用ケーシン
グ５ａを作業地面ＧＬから上方に引き抜き、継打用のオ
ーガースクリュー４ａおよび継打用ケーシング５ａと先
打用のオーガースクリュー４ｂおよび先打用ケーシング
５ｂとの間の接続部７が作業地面ＧＬより約０．５ｍの
位置Ｌにくるようにし、この位置で図示のように接続部
７（オーガースクリュー接続部２４Ａ、ケーシング接続
部２４Ｂ）を操作して先打用のオーガースクリュー４ｂ
および先打用ケーシング５ｂから継打用のオーガースク
リュー４ａおよび継打用ケーシング５ａを離脱させる。

【００２９】そして離脱された継打用のオーガースクリ
ュー４ａと継打用ケーシング５ａとは図４で説明したよ
うに、再び正規の打設個所とは関係のない近傍個所に打
設する。

【００３０】またこれに続いて図１３に示すように地面
中に残っている先打用のオーガースクリュー４ｂと先打
用ケーシング５ｂとは、同じく作業地面ＧＬ近くでオー
ガー駆動軸１６と接続用ケーシング１７とに接続部７
（２４Ａ，２４Ｂ）によって接続されて圧入装置３によ
って引き抜かれる。これによって図１４の（ａ）に示す
ように、地中には１３ｍの先打用鋼矢板６ｂと１１ｍの
継打用の鋼矢板６ａとが一体となって合計２４ｍの鋼矢
板６が打設されることになる。

【００３１】なお図１３に示す作業順序によって引き抜
かれた先打用のオーガースクリュー４ｂおよび先打用ケ
ーシング５ｂは、図５の状態、即ち案内支柱２に吊設さ
れると共に、アーム３２によって先打用鋼矢板６ｂが案
内支柱２に沿って取り付けられ、且つチャック装置２２
によって案内支柱２に取り付けられ、再び図６〜図１３
の作業順序を繰り返えすことによって図１４の（ｂ）の
鎖線で示すように先の鋼矢板６に続いて順次鋼矢板６が
打設されることになる。

【００３２】

【発明の効果】請求項１に係る発明によれば、従来と同
じように、ケーシングの下方部に鋼矢板の下方部を係合
支持させ、圧入装置の圧入力をケーシングを介して鋼矢
板の下方部に直接的に伝えることによって、鋼矢板の弯
曲を防ぐという利点を生かしつつ、複数の鋼矢板を溶接
等によって継ぎ足しながら案内支柱よりも長い鋼矢板を
容易に且つ正確に打設することができる。

【００３３】しかも、該鋼矢板を打設する際に、作業当
初のみは先打用および継打用のオーガースクリューとケ
ーシングとは一々案内支柱の高所において案内支柱に吊
設されてから打設作業を行わなければならないが、その
後はオーガースクリューおよびケーシングの圧入装置に
対する接続または離脱作業、あるいは先打用オーガース
クリューおよびケーシングの継打用のオーガースクリュ
ーおよびケーシングに対する接続または離脱作業は作業
地面の近くで行うことができ、しかもまた先打用鋼矢板
の継打用鋼矢板に対する接続作業も作業地面の近くで行
うことができるため、それだけ能率的に作業を行うこと
ができると共に、作業の際の危険性も少ない。

【００３４】しかも、先打用鋼矢板とこれに繋がれる継
打用鋼矢板とは常にケーシングに、即ち先打用ケーシン
グと継打用ケーシングとに沿わせながら一体的に打設作
業を行うため、長尺な鋼矢板を正確に垂直に地中に打設
することができる。

【００３５】また請求項２に係る発明によれば、多数の
鋼矢板を順次隣接して打設する際に、高所でのオーガー
スクリューおよびケーシングの圧入装置に対する接続ま
たは離脱作業、あるいは先打用オーガースクリューおよ
びケーシングの継打用のオーガースクリューおよびケー
シングに対する接続または離脱作業は作業地面の近くで
行うことができ、しかもまた先打用鋼矢板の継打用鋼矢
板に対する接続作業も作業地面の近くで行うことができ
るため、それだけ能率的に作業を行うことができると共
に、作業の際の危険性も少なく、特に多数の鋼矢板を打
設する際に大きな効果を発揮することができる。

【００３６】また請求項３に係る発明によれば、上記の
ように先打用ケーシングと継打用ケーシングとを順次継
ぎ足しながら、これらに鋼矢板を沿わせて打設作業を行
うに当たって、これらの継ぎ足し用ケーシングは先打用
ケーシングと継打用ケーシングとからなり、両ケーシン
グの互いの接続部は、軸方向には摺動可能であるが径方
向には離脱不可能な所謂はぜ係合する接続部ガイドと、
両ケーシングの端面が吻合した状態で互いに軸方向に離
脱不可能に接続するロック手段とからなり、この接続部
ガイドとロック手段とによって先打用および継打用ケー
シングを軸方向に正確に且つ堅固に繋ぐことができ、且
つ構成も簡単であり、更には両ケーシングは簡単に分離
することもできるから、この面からもこれらのケーシン
グを用いることによって極めて能率的に鋼矢板の打設作
業を行うことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施形態である鋼矢板の打設方法
に用いる矢板打設装置の一実施の形態を示す正面図であ
る。

【図２】 同他の要部の一実施の形態を示す正面図であ
る。

【図３】 （ａ）は、同更に他の要部の実施形態を示す
正面図で、（ｂ）は、同横断面平面図である。

【図４】 本発明の一実施の形態である鋼矢板の打設方
法の作業順序を説明する図で、（ａ）は、第１の作業順
序を示す正面図、（ｂ）は地中に打設された要部部材の
平面図である。

【図５】 同第２の作業順序を示す正面図である。

【図６】 同第３の作業順序を示す正面図である。

【図７】 （ａ）は、同第４の作業順序を示す正面図
で、（ｂ）は地中に打設された要部部材の平面図であ
る。

【図８】 （ａ）は、同第５の作業順序を示す正面図
で、（ｂ）は地中から引き抜かれた要部部材の平面図で
ある。

【図９】 同第６の作業順序を示す正面図である。

【図１０】 同第７の作業順序を示す正面図である。

【図１１】 同第８の作業順序を示す正面図である。

【図１２】 同第９の作業順序を示す正面図である。

【図１３】 同第１０の作業順序を示す正面図である。

【図１４】 上記作業順序を経ることによって地中に打
設された鋼矢板の打設状態を示す図で、（ａ）は正面
図、（ｂ）は平面である。

【符号の説明】

１ 作業重機 ２ 案内支柱 ３ 圧入装置 ４ オーガースクリュー ４ａ 継打用のオーガースクリュー ４ｂ 先打用のオーガースクリュー ５ ケーシング ５ａ 継打用ケーシング ５ｂ 先打用ケーシング ６ 鋼矢板 ６ａ 継打用の鋼矢板 ６ｂ 先打用鋼矢板 ７ 接続部 ８ 接続部ガイド ９ ロック手段

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 作業重機に支持された案内支柱に沿って
   昇降する圧入装置にオーガースクリューとその外周側に
   ケーシングとを取り付け、且つケーシングの外周側に鋼
   矢板を添設し、且つケーシングの下方部に鋼矢板の下方
   部を係合支持させ、下降するオーガースクリューの回転
   駆動によって、鋼矢板を打設しようとする個所を掘削
   し、同時に下降するケーシングに案内されて鋼矢板をそ
   の打設個所に打設するようにした鋼矢板の打設方法にお
   いて、まず鋼矢板の打設個所とは関係のない近傍個所に
   継打用のオーガースクリューとケーシングを鋼矢板を添
   設しない状態で打設しておき、次に先打用のオーガース
   クリューとケーシングを先打用の鋼矢板を添設した状態
   で鋼矢板の打設個所に打設し、次に前以って打設個所と
   は関係のない近傍個所に打設しておいた継打用のオーガ
   ースクリューとケーシングとを前記圧入装置に地面近傍
   で接続して該圧入装置によって引き抜いて案内支柱に吊
   設すると共に、継打用の鋼矢板を継打用ケーシングに添
   設し、この状態で該継打用オーガースクリューとケーシ
   ングと継打用鋼矢板の各下端部と、先に鋼矢板の打設個
   所に打設した先打用のオーガースクリューとケーシング
   と先打用鋼矢板の各上端部とを地面近傍で互いに接続
   し、この状態で継打用及び先打用の両オーガースクリュ
   ーと、同じく両ケーシングと、同じく両鋼矢板とを一体
   に打設し、しかるのちに両オーガースクリューと両ケー
   シングを圧入装置によって引き抜くことによって地中に
   複数の鋼矢板を継打によって打設することができるよう
   にした鋼矢板の打設方法。
2. 【請求項２】 作業重機に支持された案内支柱に沿って
   昇降する圧入装置にオーガースクリューとその外周側に
   ケーシングとを取り付け、且つケーシングの外周側に鋼
   矢板を添設し、且つケーシングの下方部に鋼矢板の下方
   部を係合支持させ、下降するオーガースクリューの回転
   駆動によって、鋼矢板を打設しようとする個所を掘削
   し、同時に下降するケーシングに案内されて鋼矢板をそ
   の打設個所に打設するようにした鋼矢板の打設方法にお
   いて、まず鋼矢板の打設個所とは関係のない近傍個所に
   継打用のオーガースクリューとケーシングを鋼矢板を添
   設しない状態で打設しておき、次に先打用のオーガース
   クリューとケーシングを先打用の鋼矢板を添設した状態
   で鋼矢板の打設個所に打設し、次に前以って打設個所と
   は関係のない近傍個所に打設しておいた継打用のオーガ
   ースクリューとケーシングとを前記圧入装置に地面近傍
   で接続して該圧入装置によって引き抜いて案内支柱に吊
   設すると共に、継打用の鋼矢板を継打用ケーシングに添
   設し、この状態で該継打用オーガースクリューとケーシ
   ングと継打用鋼矢板の各下端部と、先に鋼矢板の打設個
   所に打設した先打用のオーガースクリューとケーシング
   と先打用鋼矢板の各上端部とを地面近傍で互いに接続
   し、この状態で継打用及び先打用の両オーガースクリュ
   ーと、同じく両ケーシングと、同じく両鋼矢板とを一体
   に打設し、しかるのち継打用オーガースクリューとケー
   シングとを引き抜いて、該継打用オーガースクリューと
   ケーシングとを再度鋼矢板の打設個所とは関係のない近
   傍個所に鋼矢板を添設しない状態で打設しておき、次い
   で先打用のオーガースクリューとケーシングとを引き抜
   き、先の工程と同じように該先打用のオーガースクリュ
   ーとケーシングに先打用鋼矢板を添設した状態で鋼矢板
   の打設個所に打設し、しかして先の工程と同じ工程を繰
   り返すようにして地中に複数の鋼矢板を継打によって順
   次打設することができるようにした鋼矢板の打設方法。
3. 【請求項３】 作業重機に支持された案内支柱に沿って
   昇降する圧入装置にオーガースクリューとその外周側に
   ケーシングとを取り付け、且つケーシングの外周側に鋼
   矢板を添設し、且つケーシングの下方部に鋼矢板の下方
   部を係合支持させ、下降するオーガースクリューの回転
   駆動によって、鋼矢板を打設しようとする個所を掘削
   し、同時に下降するケーシングに案内されて鋼矢板をそ
   の打設個所に打設するようにした鋼矢板の打設方法にお
   いて、ケーシングを順次継ぎ足して打設するための継ぎ
   足し用ケーシングであって、該ケーシングは先打用ケー
   シングと継打用ケーシングとからなり、両ケーシングの
   互いの接続部は、軸方向には摺動可能であるが径方向に
   は離脱不可能な所謂はぜ係合する接続部ガイドと、両ケ
   ーシングの端面が吻合した状態で互いに軸方向に離脱不
   可能に接続するロック手段とからなる鋼矢板打設用ケー
   シング。