JPH11131391A - 塗工前の原紙の風合いを維持した塗工印刷用紙 - Google Patents

塗工前の原紙の風合いを維持した塗工印刷用紙

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JPH11131391A
JPH11131391A JP29816097A JP29816097A JPH11131391A JP H11131391 A JPH11131391 A JP H11131391A JP 29816097 A JP29816097 A JP 29816097A JP 29816097 A JP29816097 A JP 29816097A JP H11131391 A JPH11131391 A JP H11131391A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】原紙に塗工を施しても、パルプ繊維の素材感や
風合い、塗工前の原紙の有する風合いを失うことなく、
印刷適性とりわけ印刷インキ発色性を向上させることが
できる塗工印刷用紙を提供する。 【解決手段】原紙の少なくとも片面に、(a)プラスチ
ックピグメントおよび(b)超微細なフィラーにより複
合化されたバインダー粒子の水性分散液からなる接着剤
の2成分を主成分とする塗工層を設け、プラスチックピ
グメント/接着剤の割合が5/95重量部〜80/20
重量部とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、原紙に塗工層を設
けても、パルプ繊維の素材感や表面の微細な凹凸に起因
する原紙の持つ紙本来の風合い、あるいは塗工前の原紙
の風合いを維持し、しかもインキ受理性、インキ発色
性、インキセット性、インキ乾燥性等のオフセット印刷
適性を向上させることができる塗工印刷用紙に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、アート紙、コート紙等の塗工
印刷用紙は、非常に美麗な印刷ができることから、カレ
ンダー、パンフレット等の商業美術印刷物、ビジュアル
雑誌、写真集等の出版印刷物、医薬品、化粧品の紙器、
ショッピングバッグ等の包装材料印刷物等に幅広く使わ
れてきた。
【0003】かような従来の塗工印刷用紙は、印刷品質
を向上させる目的で、木材パルプを主原料とする原紙上
に、炭酸カルシウム、カオリン等の無機顔料を接着剤と
共に塗工した後、スーパーカレンダー等の処理が施され
製造される。木材パルプを主原料とする原紙表面を、微
細な顔料を主成分とする塗工層が完全に被覆しさらに平
滑化処理が施されているために、印刷を行った場合、塗
工前の原紙と比較するときわだって優れた網点再現性、
インキ発色性を発現し、高いインキ濃度を示す。しかし
ながら、木材パルプを主原料とする原紙が持つ素材感や
風合いは、塗工層に隠されて全く失われてしまう。パル
プ繊維の素材感や風合いと、塗工紙の風合いとの違いに
ついては、例えば、光沢度、平滑性、摩擦係数などで数
値化して表現する方法がいくつか提案されている。しか
し、目視で一目瞭然に違いが判別できるものである。本
発明では以下、目視で判別できるようなレベルを、塗工
前の原紙の風合いと塗工後の原紙の風合いとして区別す
る。
【0004】一方、従来からある非塗工紙は、木材パル
プが主体となって紙全体が構成されているためにパルプ
繊維の素材感や風合いを持っているものの、構造が粗で
吸液性が大きいために、印刷を行った場合インキが紙層
内部にまで浸透しインキ濃度が極めて低くなり、インキ
発色性に劣る欠点があった。従って、非塗工紙は塗工印
刷用紙に比較し、蒿高い、剛度がある、凹凸感がある、
パルプ繊維の素材感や風合いがある、着色した場合の紙
の色が優れる等の利点がありながらも、印刷適性の点で
劣るため、その使用範囲は限定されたものとなってい
た。以上からわかるように、パルプ繊維の素材感や風合
い、塗工前の紙の風合いと、印刷適性とを両立させるこ
とは非常に困難であるのが実状である。
【0005】しかし近年、パルプ繊維の素材感や風合
い、塗工前の紙の手触りや風合い、蒿高さといった特性
と、塗工印刷用紙の印刷適性、とりわけ印刷インキ発色
性やインキセット性といった特性の両方を兼ね備えた印
刷用紙の出現が熱望されるようになり、これらに関する
提案もいくつかなされている。たとえば、特開平8−1
44193号には、カオリンと接着力を有する有機合成
顔料の混合物を主成分とする顔料100重量部に対し、
接着剤としてスチレン−ブタジエン共重合ラテックス5
〜30重量部と、リン酸エステル化デンプン及び/又は
アセチル化デンプン20〜50重量部を含有する塗工層
が設けられた高級印刷用紙が提案されており、また、特
開平9−31892号には、塗工層に平均粒子径が1.
5μm以上のカオリン、デラミネーテッドカオリン、タ
ルクから選ばれる少なくとも1種の顔料を全顔料に対し
て40重量%以上含有させた艶消し塗工紙が提案されて
いる。しかしながらこれらの提案はいずれも従来の塗工
印刷用紙に凹凸感を付与することで、塗工紙の印刷適性
を低下させずにパルプ繊維の素材感や風合い、非塗工紙
の風合いに近似した風合いを発現させようとしたもので
あり、白色度、不透明性の高い無機填料で原紙表面が覆
われているために、外観は塗工紙風であり、塗工前の紙
特有のパルプ繊維の素材感や風合いは持ち合わせていな
い。
【0006】さらに特開平8−120592号には、炭
酸カルシウム、中性ロジンサイズ剤を内添、表面サイズ
剤として分子量35万以上のポリアクリルアミド系樹脂
水溶液とスチレン・アクリル酸共重合物を配合したサイ
ズプレス液を用いる非塗工印刷用紙が提案されている。
これは、塗工前の紙のパルプ繊維感を持ち、インキセッ
ト性、インキ乾燥性、耐刷性、インキ光沢等の印刷適性
は向上するものの、インキ発色性を改善するまでには至
っていない。
【0007】また、エンボスなどの賦型が施された木材
パルプを主体としたエンボス紙や、アクリルエマルジョ
ンなどを塗工してエンボスや着色を施した樹脂塗工紙
は、これらの表面を従来の顔料塗工層で被覆すると、エ
ンボス感が無くなってしまうだけでなく、顔料塗工層が
不透明であるため本来の原紙の色も消えてしまう。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の欠点を解消し、原紙に塗工を施しても、パルプ繊維
の素材感や風合い、塗工前の原紙の有する風合いを失う
ことなく、印刷適性とりわけ印刷インキ発色性やインキ
セット性を向上させることができる新規な塗工印刷用紙
を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、パルプ繊
維の素材感や風合い、塗工前の原紙の風合いを維持し、
しかも印刷後のインキ発色性やインキセット性が従来の
塗工印刷用紙に近い印刷用紙を得るために、原紙上に形
成する塗工層の組成について鋭意研究した結果、顔料と
してプラスチックピグメントを使用し、これに特定の接
着剤を組み合わせて特定の配合割合とした塗工液を原紙
に塗工することにより、原紙のもつパルプ繊維の素材感
や風合い、塗工前の原紙のもつ風合いを失うことなしに
印刷後に高いインキ発色性やインキセット性が得られる
ことを見いだし本発明を完成させた。
【0010】すなわち本発明は、原紙の少なくとも片面
に(a)プラスチックピグメントおよび(b)超微細な
フィラーにより複合化されたバインダー粒子の水性分散
液からなる接着剤の2成分を主成分とする塗工層を設
け、プラスチックピグメント/接着剤の割合が5/95
重量部〜80/20重量部であることを特徴とする塗工
印刷用紙である。この印刷用紙は、塗工前の原紙のもつ
パルプ繊維の素材感や風合い、あるいは塗工前の原紙の
もつエンボス感や着色を損なうことなく保持し、しかも
印刷後のインキ発色性が高く、インキセット性等のオフ
セット印刷適性に優れたものとなる。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明に使用するプラスチックピ
グメントは、高分子化合物からなる有機微粒子であっ
て、ポリスチレン系プラスチックピグメント、スチレン
−ブタジエン系プラスチックピグメント、アクリル系プ
ラスチックピグメント、スチレン−アクリル系プラスチ
ックピグメント等が挙げられ、これらを単独または2種
類以上混合使用できる。この種のプラスチックピグメン
トは一般に市販品として入手できるものである。
【0012】本発明でプラスチックピグメントを使用す
る目的は、塗工前の原紙の持つ風合いを失うことなしに
印刷適性を向上させるためである。カオリン、炭酸カル
シウム等の無機顔料を塗工した場合、インキ受理性、着
肉性が向上し高いインキ発色性が得られ、インキセット
性、乾燥性も向上するが、無機顔料の持つ白さ、不透明
性のために塗工層は白くなり、外観は塗工前の原紙と著
しく異なったものとなる。一方、プラスチックピグメン
トは透明性が高く、インキ受理性、着肉性に優れ、さら
にインキ光沢、インキセット性、乾燥性も向上させる。
本発明で使用するプラスチックピグメントは、原紙のも
つ本来の色を維持するためには透明性の高いものを使用
することが好ましい。またその形状や性質は、球状、扁
平状、中空状、微粒子集合体、バインダーピグメント等
各種の形状や性質のものが使用できるが、球状、中空状
のものが原紙のもつ本来の色を維持するために効果的で
あり好ましい。粒径は2μm以下のものが使用でき、
0.05〜0.5μmのものが好ましい。
【0013】本発明では接着剤として、超微細なフィラ
ーにより複合化されたバインダー粒子の水性分散液から
なる接着剤を使用する。超微細なフィラーとしてはコロ
イダルシリカ、アルミナゾル等が使用でき、バインダー
としてはアクリル系重合体エマルジョン、シラン基付加
オレフィン系重合体エマルジョン、ポリビニルアルコー
ル、変性ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル
共重合体エマルジョン等が使用できる。特に好ましい接
着剤は、超微細なコロイダルシリカにより複合化された
粒径30μm〜70μmのアクリル系重合体エマルジョ
ン粒子の水性分散液である。本発明においては、かよう
な接着剤を使用することによって、塗工前の原紙の有す
る風合いを失うことなしに、印刷適性を向上させること
ができるのである。
【0014】このアクリル系エマルジョン粒子の水性分
散液を製造する方法としては、たとえば特公平8−19
311号に記載された方法がある。すなわち、重合度1
500以下のポリビニルアルコールからなる乳化剤の存
在下で、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル
酸エステルを乳化重合して得られた粒子径数μm以下の
アクリル重合体粒子のエマルジョンに、粒子径0.1μ
m以下のコロイダルシリカ粒子の水性分散液を添加して
均一に攪拌混合し、アクリル系重合体粒子とコロイダル
シリカ粒子を複合させることにより、粒径30〜70μ
mのアクリル系重合体複合粒子を含有する水性分散液が
得られる。
【0015】この接着剤はプラスチックピグメントを原
紙に固着させる役割を果たすものであるが、この種の接
着剤をプラスチックピグメントと併用することによって
初めて、インキ受理性が高く、インキセット性のある透
明感のある塗膜を形成させることができるのである。プ
ラスチックピグメントを、アート紙やコート紙の塗工層
に従来から用いられてきた通常の重合方法により得られ
る接着剤、すなわち各種ラテックスやアクリルエマルジ
ョン、オレフィン系エマルジョン等と組み合わせても、
本発明の目的を達成することができず、空隙のない塗膜
が形成され、インキセット性が著しく劣るものとなる。
【0016】一方、本発明で使用する接着剤を従来の無
機顔料と組み合わせて使用した場合も、本発明の目的を
達成することができない。すなわち、インキセット性は
ある程度向上するものの、通常の重合方法で得られる接
着剤と無機顔料とを組み合わせた従来の塗工層のレベル
には至らない。さらに、外観は艶消し状となり風合いも
劣ったものとなる。
【0017】上述の説明からわかるように、本発明にお
いては、超微細なフィラーにより複合化されたバインダ
ー粒子の水性分散液からなる接着剤とプラスチックピグ
メントと併用することが不可欠であり、これによって、
パルプ繊維の素材感や風合い、塗工前の原紙の風合いを
維持し、しかも印刷適性に優れた塗工印刷用紙が得られ
るのである。
【0018】本発明で使用するプラスチックピグメント
/接着剤の割合は、プラスチックピグメント/接着剤=
5/95重量部〜80/20重量部とする。プラスチッ
クピグメントが5重量部未満になると所望の印刷インキ
セット性が得られず、さらには塗工前の原紙の風合いを
維持する効果が不十分となる。一方、プラスチックピグ
メントが80重量部を越えると接着剤の割合が少なくな
るためプラスチックピグメントの固着力が不足し、印刷
時の表面強度に劣るものとなる。プラスチックピグメン
ト/接着剤の割合が、20〜60重量部/80〜40重
量部であることがさらに好ましい。
【0019】本発明では必要に応じて、塗工層を形成す
るための塗工液中に、保水剤、架橋剤、硬化剤、消泡
剤、増粘剤、耐水化剤、離型剤、滑剤、着色剤等の塗工
用助剤も添加することができる。またオフセット印刷適
性を阻害しない範囲ならば上記以外の接着剤、例えば、
酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、酵素変性
澱粉等の澱粉類、カゼイン、大豆タンパク質類、ポリビ
ニルアルコール類、スチレン−ブタジエン系、スチレン
−アクリル系、アクリル系、酢酸ビニル系等の各種共重
合体からなるラテックス樹脂類等を適宜選択して単独も
しくは2種類以上混合したものを少量添加してもかまわ
ない。さらに、炭酸カルシウム、カオリン、酸化チタ
ン、シリカ等の無機顔料もオフセット印刷適性および外
観を阻害しない範囲ならば使用できる。
【0020】本発明に使用する原紙は、製品の用途や使
用目的に応じて各種の原紙が使用でき、特に限定するも
のではない。例えば、平滑度の低いラフ肌の原紙、フェ
ルトマークやエンボスマークが付与された原紙、あるい
は和紙、上質紙、板紙などの木材パルプを主体とした紙
を原紙として用いる場合には、パルプ繊維の素材感や風
合い、エンボス感などを維持したままで、印刷適性を向
上させることができる。一方、合成紙、不織布、エンボ
スマークや色が付与されたフィルム、合成繊維紙、合成
パルプ紙などの木材パルプ繊維以外の素材からなるシー
トを原紙として使用する場合には、これら原紙の素材感
や風合い、エンボス感などを維持したままで、印刷適性
を向上させることができる。特にアクリルエマルジョン
などを塗工してエンボスマークや着色を施した樹脂塗工
紙を原紙として使用した場合には、エンボス感や着色な
どの外観を損ねることなく、印刷適性、特にインキセッ
ト性やインキ発色性等を改善することができる。また、
既に各種の顔料塗工層を設けた塗工紙を原紙として使用
することもでき、この場合には原紙となる塗工紙の風合
いなどをそのまま維持してインキセット性やインキ発色
性等を改善できる。
【0021】本発明による塗工層を形成するための塗工
液を原紙に塗工するに際しては、エアーナイフコータ
ー、ロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、
ブレードコーター、カーテンコーター、グラビアコータ
ー、サイズプレスコーター、ビルブレードコーター等を
使用することができる。これらの塗工はオンマシン、オ
フマシンいずれの方法でも塗工することができる。
【0022】塗工層は原紙の片面のみ(印刷面となる面
のみ)に設ければよいが、必要に応じて両面に塗工して
もよい。塗工量は片面当たり通常0.5〜20g/m
2 (乾重量)とすることができるが、プラスチックピグ
メントは高価であることを考慮し、塗工前の原紙の素材
感、風合いなどを変化させずに維持し、印刷適性を効果
的に向上させるためには1〜10g/m2の範囲が好ま
しい。
【0023】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0024】[実施例1]コロイダルシリカにより複合
化されたポリアクリル酸エステルエマルジョン水性分散
液からなる接着剤(商品名「モビニール1430」、ヘ
キスト合成(株)製)60重量部に、プラスチックピグ
メント(商品名「グロスデール840−L」、粒径0.
4μm、三井東圧化学(株)製)40重量部を加え、固
形分濃度25重量%の塗工液を調製した。この塗工液
を、坪量121g/m2 、密度0.67g/cm3、ベ
ック平滑度6.2秒の上質紙系原紙に、メイヤーバーを
用いて片面当たりの絶乾塗布量が6g/m2 となるよう
に両面塗工し、熱風乾燥後、塗工紙を得た。この塗工紙
について品質評価を行った結果を表3に示す。
【0025】[比較例1]実施例1で使用した上質紙系
原紙を塗工せずにそのまま品質評価した。結果を表3に
示す。
【0026】[実施例2]抄造時にプレス部で毛布の型
付けを施して得られた、坪量132g/m2、密度0.
66g/cm3、表面粗さ4.9μmのフェルトマーク
付原紙に、実施例1で使用した塗工液を実施例1と同様
にして片面当たりの絶乾塗布量が7g/m2となるよう
に両面塗工し、熱風乾燥後、塗工紙を得た。この塗工紙
について品質評価を行った結果を表3に示す。
【0027】[比較例2]実施例2で使用したフェルト
マーク付原紙を塗工せずにそのまま品質評価した。結果
を表3に示す。
【0028】[実施例3]実施例1におけるプラスチッ
クピグメントを表1のように変更して塗工液を調製した
以外は、実施例1と同様にして塗工紙を得た。この塗工
紙について品質評価を行った結果を表3に示す。
【0029】
【0030】[比較例3]カオリン(商品名「HTカオ
リン」、エンゲルハード(株)製)60重量部、炭酸カ
ルシウム(商品名「TP−121」、奥多摩工業(株)
製)40重量部に分散剤(商品名「アロンT−40」、
東亜合成(株))0.3重量部を加え、コーレス分散機
により固形分濃度58重量%の分散液を得た。次いで、
この分散液83重量部中に、スチレン−ブタジエン共重
合体ラテックス(商品名「ニポールLX407F」、日
本ゼオン(株))13重量部およびエステル化澱粉(商
品名「MS−4600」、日本食品加工(株))4重量
部をそれぞれ加え、さらに水を加えて固形分濃度30重
量%の塗工液を調製した。この塗工液を実施例1で使用
した上質紙系原紙に、メイヤーバーを用いて片面当たり
の絶乾塗布量が6g/m2となるように両面塗工し、熱
風乾燥後、塗工紙を得た。この塗工紙について品質評価
を行った結果を表3に示す。
【0031】[比較例4]実施例1におけるプラスチッ
クピグメント/接着剤の割合を表2のように変更して塗
工紙を調製した以外は、実施例1と同様にして塗工紙を
得た。この塗工紙について品質評価を行った結果を表3
に示す。
【0032】
【0033】[比較例5]アクリルエマルジョン(商品
名「ナクリリック178−6182」、スチレン−アク
リル系、カネボウ・エヌエスシー(株)製)50重量部
に、プラスチックピグメント(商品名「グロスデール8
40−L」)50重量部を加え、固形分濃度25重量%
の塗工液を調整した。この塗工液を実施例1で使用した
上質紙系原紙に、メイヤーバーを用いて片面当たりの絶
乾塗布量が6g/m2となるように両面塗工し、熱風乾
燥後、塗工紙を得た。この塗工紙について品質評価を行
った結果を表3に示す。
【0034】[実施例4]カオリン(商品名「ULTR
A WHITE 90」、エンゲルハード(株)製)3
9重量部、酸化チタン(商品名「タイペーク R−82
0」、石原産業(株)製)10重量部、エステル化デン
プン(商品名「MS−4600」)2重量部、スチレン
−ブタジエン共重合体ラテックス(商品名「ポリラック
750」、三井東圧化学(株)製)47重量部および
赤色の分散染料(C.I.Disperse Red
146)2重量部からなる塗工液を、上質紙系原紙に、
メイヤーバーを用いて片面当たりの絶乾塗布量が8g/
2となるように片面塗工し、熱風乾燥後エンボス掛け
して樹脂塗工紙を得た。
【0035】次いで、コロイダルシリカにより複合化さ
れたポリアクリル酸エステルエマルジョン水性分散液か
らなる接着剤(商品名「モビニール1430」)60重
量部にプラスチックピグメント(商品名「グロスデール
840−L」)40重量部を加えて、固形分濃度25重
量%の塗工液を調製し、上記で得られた樹脂塗工紙を原
紙として、メイヤーバーを用いて片面当たり乾燥塗布量
が5g/m2となるように塗工、乾燥して、樹脂塗工紙
にさらに塗工を施した塗工紙を得た。この塗工紙につい
て品質評価を行った結果を表3に示す。
【0036】[比較例6]アクリルエマルジョン(商品
名「ナクリリック178−6182」)にエステル化澱
粉(商品名「MS−4600」)25重量部を加えて、
固形分濃度25重量%の塗工液を調製した。この塗工液
を、実施例4で得た樹脂塗工紙を原紙として、メイヤー
バーを用いて片面当たり乾燥塗布量5g/m2となるよ
うに塗工、乾燥して、樹脂塗工紙にさらに塗工を施した
塗工紙を得た。この塗工紙について品質評価を行った結
果を表3に示す。
【0037】品質評価の方法は以下の通りである。 塗工前の原紙の風合い維持:塗工前の原紙の風合いを塗
工後も維持しているか否かを目視で判断した。 インキ発色性 :藍インキ(東洋インキ製造(株)製、
ハイエコー藍MZ)0.6gを使用して紙に印刷し、1
日後のインキ濃度で評価した。 インキセット性:藍インキ(東洋インキ製造(株)製、
ハイエコー墨MZ)1.0gをRIテスターによって紙
に印刷し、1分後、5分後、10分後、20分後、30
分後、印刷面を白紙に転写した場合のインキの裏移りを
目視によって評価した。 表面強度 :タック値5の墨インキ(東洋インキ製
造(株)製)0.5gをRIテスターによって紙に印刷
した場合の紙むけの程度を視覚的に判断した。 評価基準 :5(優)、4(良)、3(可)、2
(不可)、1(不可)の5段階で評価し、3以上を本発
明の目的を満足するものと評価した。
【0038】
【0039】表3の結果から以下のように評価できる。 (1)本発明による塗工印刷用紙は、塗工前の原紙の素
材感、風合いを維持し、しかもオフセット印刷適性、特
にオフセット印刷時のインキ発色性、インキセット性が
塗工前の原紙に比較して向上する。 (2)比較例1、2のように本発明の塗工層のない原紙
のままであると、インキ発色性に劣る。 (3)比較例3のように従来のアート紙やコート紙で用
いられている無機顔料塗工層を設けた場合には、塗工前
の原紙の風合いは全く損なわれる。 (4)比較例4(9)(10)のように、プラスチックピグメ
ントが5重量部未満になると、塗工前の原紙の風合いを
維持できなくなる。 (5)比較例4(11)のように、プラスチックピグメント
が80重量部を越えると、表面強度に劣るものとなる。 (6)比較例5のように、プラスチックピグメントを使
用しても、超微細なフィラーにより複合化されたバイン
ダー粒子の水性分散液からなる接着剤の代わりに、従来
のアート紙やコート紙に使用されている接着剤を用いる
と、塗工前の原紙の風合いが損なわれ、インキセット性
が劣るものとなる。 (7)樹脂塗工紙を原紙としてさらその表面を塗工する
場合、本発明による塗工層を設けた場合(実施例4)に
は、塗工前の樹脂塗工紙の風合いや着色が維持され、し
かもインキ発色性、インキセット性が良好となる。一
方、通常の接着剤と無機顔料からなる塗工層を設けた場
合(比較例6)には、塗工前の樹脂塗工紙の風合いや着
色が損なわれ、インキ発色性、インキセット性も劣るも
のとなる。
【0040】
【発明の効果】以上説明したところからわかるように本
発明によれば、顔料としてプラスチックピグメントを使
用し、これに特定の接着剤を組み合わせて特定の配合割
合とした塗工層を原紙に設けることにより、塗工前の原
紙の素材感や風合いを維持し、しかも、インキ発色性や
インキセット性といったオフセット印刷適性を向上せし
めることができる。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原紙の少なくとも片面に、(a)プラス
    チックピグメントおよび(b)超微細なフィラーにより
    複合化されたバインダー粒子の水性分散液からなる接着
    剤の2成分を主成分とする塗工層を設け、プラスチック
    ピグメント/接着剤の割合が5/95重量部〜80/2
    0重量部であることを特徴とする塗工前の原紙の風合い
    を維持した塗工印刷用紙。
  2. 【請求項2】 前記プラスチックピグメント/接着剤の
    割合が、20/80重量部〜60/40重量部であるこ
    とを特徴とする請求項1記載の塗工印刷用紙。
  3. 【請求項3】 前記接着剤の超微細なフィラーがコロイ
    ダルシリカであることを特徴とする請求1〜2のいずれ
    か一項に記載の塗工印刷用紙。
  4. 【請求項4】 前記接着剤のバインダーがアクリル系共
    重合体エマルジョンであることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれか一項に記載の塗工印刷用紙。
  5. 【請求項5】 前記接着剤が超微細なコロイダルシリカ
    により複合された粒径30〜70μmのアクリル系重合
    体エマルジョン粒子の水性分散液からなることを特徴と
    する請求項1〜4のいずれか一項に記載の塗工印刷用
    紙。
  6. 【請求項6】 前記プラスチックピグメントが透明性の
    高いものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    か一項に記載の塗工印刷用紙。
  7. 【請求項7】 前記プラスチックピグメントの粒径が2
    μm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    か一項に記載の塗工印刷用紙。
  8. 【請求項8】 前記プラスチックピグメントの粒径が
    0.05〜0.5μmであることを特徴とする請求項1
    〜6のいずれか一項に記載の塗工印刷用紙。
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