JPH1112958A - セルロース系繊維材料を染色または捺染する方法ならびに新規な反応性染料 - Google Patents

セルロース系繊維材料を染色または捺染する方法ならびに新規な反応性染料

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JPH1112958A
JPH1112958A JP10172482A JP17248298A JPH1112958A JP H1112958 A JPH1112958 A JP H1112958A JP 10172482 A JP10172482 A JP 10172482A JP 17248298 A JP17248298 A JP 17248298A JP H1112958 A JPH1112958 A JP H1112958A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 着色収率や固着収率等の点で優れたセルロー
ス系繊維材料の染色および捺染方法等の提供。 【解決手段】 一般式1、例えば式2 の反応性染料を使用する、セルロース系繊維材料を染色
または捺染する方法。 (R〜Rは独立して水素、ハロゲン、スルホ、C
〜Cアルキル又はC〜Cアルコキシ、RとR
は独立して水素、ハロゲン、C〜Cアルキル、C
〜Cアルカノイルアミノ、ウレイド、ZとZは独
立してビニル又は−CH−CH−Uであり、Uは脱
離基である)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セルロース系繊維
材料を反応性染料で染色または捺染する方法ならびに新
規な反応性染料に関する。
【0002】
【従来の技術】反応性染料を用いる染色および捺染の実
施が、近年、染色および捺染の品質ならびに染色および
捺染方法の経済性に対して課されるより厳しい要求を生
み出した。この理由のため、塗布ならびに得られる染色
および捺染に関して改善された性質を有する新規な方法
がなおも求められる。
【0003】今日の染色および捺染は、反応性染料が、
十分な直接性を有すると同時に、固着されない染料に関
して良好な洗い落とし性を有する方法を要求する。加え
て、染色および捺染は、良好な着色収率および高い固着
度を有しなければならない。既知の方法は、これらの要
件をすべての点で満足させるわけではない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明
は、その目的として、繊維材料を染色し、捺染するため
の、上記品質を高い程度に有する新規な改良された方法
を提供する。本新規な方法は、特に、反応性染料の優れ
た固着収率および秀逸な繊維−染料結合安定性によって
際立ち、また、固着されない染料が容易に洗い落とされ
る。これらの方法はまた、良好な万能の堅ろう性、たと
えば耐光堅ろう性および濡れ堅ろう性を有する染色およ
び捺染を製造する。
【0005】以下さらに詳細に定義する方法により、こ
の目的が実質的に達成されることが判明した。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、次式(1)で
示される少なくとも1種の反応性染料を使用することを
含む、セルロース系繊維材料を染色または捺染する方法
に関する。
【0007】
【化6】
【0008】式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞ
れ互いに独立して、水素、ハロゲン、スルホ、C1〜C4
アルキルまたはC1〜C4アルコキシであり、R5および
6は、それぞれ互いに独立して、水素、ハロゲン、C1
〜C4アルキル、C2〜C4アルカノイルアミノ、ウレイ
ドまたは非置換であるか、アルキル部分がヒドロキシ
ル、スルファトもしくはC1〜C4アルコキシによって置
換されているC1〜C4アルコキシであり、Z1およびZ2
は、それぞれ互いに独立して、ビニルまたは基:−CH
2−CH−Uであり、Uは脱離基である。
【0009】式(1)の反応性染料のスルホ基は、一般
に、遊離酸(−SOH)の形態ならびに塩の形態、た
とえばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニ
ウム塩または有機アミン塩、たとえばナトリウム塩、カ
リウム塩、リチウム塩、アンモニウム塩、トリエタノー
ルアミン塩または2種以上の異なるカチオンの混合塩、
たとえばNa/Li、Na/NH4またはNa/Li/
NH4の混合塩として存在することができる。
【0010】C1〜C4アルキルと定義されるR1、R2
3、R4、R5およびR6は、たとえば、メチル、エチ
ル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec−ブチル、t
ert−ブチルまたはイソブチルであることができ、好ま
しくはメチルである。
【0011】C1〜C4アルコキシと定義されるR1
2、R3、R4、R5およびR6は、たとえば、メトキ
シ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ
またはイソブトキシであることができ、好ましくはメト
キシである。C1〜C4アルコキシと定義されるR5およ
びR6は、非置換であってもよいし、C1〜C4アルコキ
シ、たとえばメトキシもしくはエトキシ、ヒドロキシま
たは好ましくはスルファトによって置換されていてもよ
い。上述したような基の典型的な例は、−O−CH2
2−OHおよび−O−CH2CH2−OSO3Hである。
【0012】C2〜C4アルカノイル−アミノと定義され
るR5およびR6は、好ましくはアセチルアミノまたはプ
ロピオニルアミノであり、より好ましくはアセチルアミ
ノである。
【0013】ハロゲンと定義されるR1、R2、R3
4、R5およびR6は、好適にはフルオロ、クロロまた
はブロモである。クロロが好ましい。
【0014】基:−CH2−CH2−Uと定義されるZ1
およびZ2は、脱離基U、たとえば−Cl、−Br、−
F、−OSO3H、−SSO3H、−OCO−CH3、−
OPO32、−OCO−C65、−OSO2−C1〜C4
アルキルまたは−OSO2−N(C1〜C4アルキル)2
あることができる。Uは、好ましくは式:−Cl、−O
SO3H、−SSO3H、−OCO−CH3、−OCO−
65または−OPO32の基であり、より好ましくは
式:−Cl、−OSO3Hまたは−OCO−CH3の基で
あり、特に好ましくは式:−Clまたは−OSO3Hの
基である。Uは、非常に特に好ましくは式:−OSO3
Hの基である。
【0015】Z1およびZ2は、それぞれ互いに独立し
て、好ましくはビニル、β−クロロエチル、β−スルフ
ァトエチル、β−チオスルファトエチル、β−アセトキ
シエチルまたはβ−ホスファトエチルであり、特に好ま
しくはビニルまたは特にβ−スルファトエチルである。
1とZ2とは、異なるものでも同じものでもよく、好ま
しくは同一である。
【0016】上記式(1)の反応性染料の式:−SO2
−Z1および−SO2−Z2の基は、好ましくは、アゾ橋
に対してパラ位置に結合されている。
【0017】R1、R2、R3およびR4は、それぞれ互い
に独立して、好ましくは水素、スルホまたはC1〜C4
ルコキシであり、より好ましくは水素またはスルホであ
る。特に重要なR1の意味はスルホである。
【0018】特に好ましくは、R1は水素またはスルホ
であり、R2、R3およびR4は水素である。非常に特に
好ましくは、R1はスルホであり、R2、R3およびR4
水素である。
【0019】R5およびR6は、それぞれ互いに独立し
て、好ましくはハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4
アルカノイルアミノ、ウレイドまたは非置換であるか、
アルキル部分がヒドロキシル、スルファトもしくはC1
〜C4アルコキシによって置換されているC1〜C4アル
コキシであり、より好ましくはC1〜C4アルキルまた
は、非置換であるか、アルキル部分がヒドロキシル、ス
ルファトもしくはC1〜C4アルコキシによって置換され
ているC1〜C4アルコキシである。
【0020】R5およびR6は、特に好ましくは、それぞ
れ互いに独立して、C1〜C4アルキルまたは非置換であ
るか、アルキル部分がスルファトによって置換されてい
るC1〜C4アルコキシである。
【0021】R5は、好ましくは、非置換であるか、ア
ルキル部分がスルファトによって置換されているC1
4アルコキシであり、より好ましくはメトキシまたは
式:−O−CH2CH2−OSO3Hの基である。
【0022】R6は、好ましくはC1〜C4アルキルであ
り、特にメチルである。
【0023】好ましい式(1)の反応性染料は、R1
水素またはスルホであり、R2、R3およびR4が水素で
あり、R5が、非置換であるか、アルキル部分がスルフ
ァト置換されているC1〜C4アルコキシであり、R6
1〜C4アルキルであり、Z1およびZ2が、それぞれ互
いに独立して、ビニルまたは好ましくは基:−CH2
CH2−Uであり、Uが式:−OSO3Hの基である反応
性染料である。
【0024】特に好ましい式(1)の反応性染料は、次
式(2)の反応性染料である。
【0025】
【化7】
【0026】式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、Z
1およびZ2は、上記の意味および好ましい意味を有す
る。
【0027】非常に特に好ましい式(1)の反応性染料
は、次式(3)の反応性染料である。
【0028】
【化8】
【0029】式中、R1、R5、R6、Z1およびZ2は、
上記の意味および好ましい意味を有する。これに関連し
て、R1は、好ましくは水素またはスルホであり、R
5は、非置換であるか、アルキル部分がスルファト置換
されているC1〜C4アルコキシであり、R6はC1〜C4
アルキルであり、Z1およびZ2は、それぞれ互いに独立
して、ビニルまたは好ましくは基:−CH2−CH2−U
であり、Uは式:−OSO3Hの基である。R5は、好ま
しくはメトキシまたは基:−O−CH2CH2−OSO3
Hであり、R6はメチルである。
【0030】本発明の方法は、あらゆる種類のセルロー
ス系繊維材料を染色し、捺染するのに適している。その
ようなセルロース系繊維材料の例は、天然セルロース繊
維、たとえば綿、リネンおよび大麻ならびにセルロース
および再生セルロースである。本新規な方法はまた、ブ
レンド、たとえば綿とポリエステル繊維とのブレンドま
たは綿とポリアミド繊維とのブレンド中に存在するセル
ロース系繊維を染色または捺染するのにも適している。
本新規な方法は、綿を染色または捺染するのに特に適し
ている。
【0031】従来の染色または捺染方法を本新規な方法
に用いることができる。水および染料を含有することに
加え、染液または捺染ペーストは、さらなる助剤、たと
えば湿潤剤、消泡剤、均染剤または繊維材料の性質に影
響する薬剤、たとえば柔軟剤、防炎加工剤もしくは汚
れ、水および油の忌避剤ならびに硬水軟化剤および天然
または合成増粘剤、たとえばアルギネートおよびセルロ
ースエーテル類を含有することができる。
【0032】本新規な方法では、染液中の反応性染料の
量を、所望の着色力に依存して変えることができる。染
色する品物を基準として0.01〜10重量%、好まし
くは0.01〜6重量%の量が普通は有利であることが
見いだされた。
【0033】染色、特に吸尽(exhaust)法による染色
または好ましくはパジング(pad)染色法による染色が
本新規な方法に好ましい。
【0034】吸尽法による染色は普通、水性媒体中、通
常は1:2〜1:60、好ましくは1:5〜1:20の
液比で、20〜105℃、特に40〜90℃、好ましく
は40〜80℃の温度で実施する。
【0035】パジング染色法による染色は普通、品物を
染料水溶液および、必要ならば、染料塩水で含浸するこ
とによって実施する。ここでの含浸(pick-up)率は、
染色する繊維材料の重量を基準として、たとえば20〜
150%であり、特に40〜120%であり、好ましく
は50〜100%である。適当ならば、染液がすでに固
着アルカリを含有するか、含浸ののち繊維材料を固着ア
ルカリで処理する。適当なアルカリ金属は、たとえば、
炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウ
ム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、ホウ
砂、水性アンモニア、トリクロロ酢酸ナトリウム、ギ酸
ナトリウムまたはケイ酸ナトリウムと炭酸ナトリウム水
溶液との混合物である。水酸化アルカリおよび/または
炭酸アルカリ、特に水酸化ナトリウムおよび/または炭
酸ナトリウムが好ましい。
【0036】固着は、たとえば、熱の作用により、たと
えば含浸した繊維材料を、好ましくは飽和蒸気中、たと
えば100〜120℃の温度で蒸熱することによって実
施することができる。いわゆる低温パッドバッチ(cold
pad-batch)法によると、染料をアルカリとともにパッ
ダに適用したのち、室温で数時間、たとえば3〜40時
間貯蔵することによって固着させる。固着後、必要なら
ば分散剤を加えながら染色または捺染を徹底的にすす
ぐ。
【0037】本新規な方法によって得られる染色および
捺染は、良好な固着および良好な均一さによって際立
つ。固着度は高く、非固着されない染料は容易に洗い落
とすことができ、吸尽度と固着度との差が小さい。すな
わち、ソープ損失が小さい。この方法によって得られる
染色および捺染は、優れた着色力および高い繊維−染料
結合安定性、良好な耐光堅ろう性ならびに優れた湿潤堅
ろう性、たとえば洗濯、水、海水、クロス染めおよび発
汗に対する堅ろう性ならびにひだ付け、アイロン掛けお
よび摩擦に対する良好な堅ろう性を有する。
【0038】もう一つの態様において、本発明は、上記
式(1)の少なくとも1種の反応性染料5〜50重量%
を含む濃縮水性配合物に関する。上述の意味および好ま
しい意味が式(1)の反応性染料に当てはまる。
【0039】本新規な水性配合物は、式(1)の少なく
とも1種の反応性染料を好ましくは5〜40重量%、よ
り好ましくは10〜40重量%、もっとも好ましくは1
0〜30重量%含む。
【0040】配合物は、好ましくは3〜8、より好まし
くは3〜7、もっとも好ましくは4〜7のpHに調節す
る。pHは、緩衝剤により、たとえばポリリン酸塩または
リン酸水素/二水素緩衝剤の添加によって調節する。挙
げるべき他の緩衝剤は、酢酸ナトリウムまたは酢酸カリ
ウム、シュウ酸ナトリウムまたはシュウ酸カリウムおよ
びホウ酸ナトリウムならびにそれらの混合物である。
【0041】加えて、配合物は、染料の水溶性を改善す
る成分、たとえばε−カプロラクタムまたはN−メチル
ピロリドンを含むことができる。これらの成分は通常、
配合物の総重量を基準として0.1〜30重量%の量で
使用される。
【0042】配合物はまた、それらの性質を改善する助
剤、たとえば界面活性剤、抑泡剤、凍結防止剤または制
カビ剤および/もしくは制菌剤を含むことができる。こ
れらの助剤は通常、少量、たとえば約1〜10g/lの量
で含まれる。
【0043】本発明の配合物は、長期にわたり貯蔵安定
性であり、低粘度であり、特に、上述した染色方法に使
用することができる。
【0044】本発明はまた、次式(4)の反応性染料に
関する。
【0045】
【化9】
【0046】式中、R7、R9およびR1 0は、それぞれ互
いに独立して、水素、C1〜C4アルキル、C1〜C4アル
コキシまたはハロゲンであり、R8は、ヒドロキシ置換
またはスルファト置換C1〜C4アルコキシであり、Z
は、ビニル、β−スルファトエチル、β−クロロエチル
またはβ−アセトキシエチルである。
【0047】R7、R9およびR1 0は、それぞれ互いに独
立して、水素、C1〜C4アルキル、たとえばメチル、エ
チル、n−プロピル、イソプロピル、C1〜C4アルコキ
シ、たとえばメトキシ、エトキシ、イソプロポキシまた
はハロゲン、たとえばフルオロ、ブロモもしくは好まし
くはクロロである。R7は、好ましくはC1〜C4アルキ
ルであり、特にメチルであり、R9およびR1 0は、好ま
しくはそれぞれ水素である。
【0048】また、本発明の好ましい染料は、次式
(5)の染料である。
【0049】
【化10】
【0050】式中、R7、R8、R9、R1 0およびZは、
式(4)に関して定義した意味および好ましい意味を有
する。
【0051】本発明の特に好ましい染料は、次式(6)
の染料である。
【0052】
【化11】
【0053】式中、R7、R8、R9、R1 0およびZは、
式(4)に関して定義した意味および好ましい意味を有
する。
【0054】非常に特に好ましい染料は、R9およびR1
0が水素である式(4)、(5)および(6)の染料で
ある。
【0055】重要な染料は、次式(7)の染料である。
【0056】
【化12】
【0057】式中、R7は、C1〜C4アルキル、特にメ
チルであり、R8は、ヒドロキシ置換またはスルファト
置換C1〜C4アルコキシ、特にβ−スルファトエトキシ
であり、Zは、ビニル、β−クロロエチルまたはβ−ス
ルファトエチルである。
【0058】特に重要な染料は、次式(8)の染料であ
る。
【0059】
【化13】
【0060】式中、R7は、C1〜C4アルキル、特にメ
チルであり、R8は、スルファト置換C1〜C4アルコキ
シ基、好ましくはβ−スルファトエトキシである。
【0061】非常に特に重要な染料は、R7がメチルで
あり、R8がβ−スルファトエトキシである式(8)の
染料である。
【0062】本発明はまた、式(4)の染料を調製する
方法であって、まず、式(9):
【0063】
【化14】
【0064】の化合物をジアゾ化し、それを、式(1
0):
【0065】
【化15】
【0066】の化合物に酸性カップリングしたのち、式
(11):
【0067】
【化16】
【0068】の化合物をジアゾ化し、そうして得られた
ジアゾニウム化合物を、アルカリ性媒体中、先に製造し
たモノアゾ化合物とカップリングすることを含む方法に
関する(上記式中、R7、R8、R9、R1 0およびZは、
式(4)に関して定義した意味を有する)。
【0069】式(9)、(10)および(11)の化合
物は、そのものは既知であるか、既知の化合物と同様に
して調製することができる。
【0070】式(11)の化合物は、式(12):
【0071】
【化17】
【0072】の化合物をジアゾ化し、そうして得られた
ジアゾニウム化合物を、式(13):
【0073】
【化18】
【0074】の化合物とカップリングすることによって
得られる。式(12)および(13)中、R7、R8、R
9およびZは、式(4)に関して定義した意味を有す
る。
【0075】式(9)および(12)の典型的な例は、
4−(β−スルファトエチルスルホニル)アニリンであ
る。式(10)の化合物の典型的な例は、H酸およびK
酸である。式(13)の化合物の代表例は、2−(β−
ヒドロキシエトキシ)−5−メチルアニリンおよび2−
(β−スルファトエトキシ)−5−メチルアニリンであ
る。
【0076】ジアゾ成分またはジアゾ化性アミノ基を含
有する中間体のジアゾ化は通常、鉱酸水溶液中、低温
で、硝酸の作用によって実施する。カップリング成分へ
のカップリングは、強酸性、中性から弱アルカリ性のpH
値で実施する。
【0077】式(1)の上記反応性染料は、式(4)の
反応性染料の調製方法と同様にして得ることができる。
【0078】式(4)の反応性染料はまた、上記繊維材
料を染色または捺染するために、互いどうしの混合物ま
たは他の反応性染料もしくは非反応性染料、たとえば酸
性染料もしくは分散染料との混合物で使用することがで
きる。
【0079】本発明は、そのもう一つの態様で、R8
スルファトアルコキシ、特にβ−スルファトエトキシで
ある式(13)の中間体に関する。好ましい中間体は、
次式(14)の中間体である。
【0080】
【化19】
【0081】式中、R7は、C1〜C4アルキル、特にメ
チルであり、R8は、スルファトアルコキシ、特にβ−
スルファトエトキシである。
【0082】本発明はまた、R7、R8、R9およびZ
が、式(4)に関して定義した意味および好ましい意味
を有する式(11)の中間体に関する。
【0083】好ましい中間体は、次式(15)の中間体
である。
【0084】
【化20】
【0085】式中、R7、R8、R9およびZは、所与の
意味および好ましい意味を有する。式(15)のR9
好ましくは水素である。基:−SO2−Zは、好ましく
は、アゾ基に対してパラ位置に結合している。
【0086】式(4)の新規な反応性染料のスルホ基
は、一般に、遊離酸(−SO3H)の形態ならびに塩の
形態、たとえばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩も
しくはアンモニウム塩または有機アミン塩、たとえばナ
トリウム塩、カリウム塩、リチウム塩もしくはアンモニ
ウム塩、トリエタノールアミン塩または2種以上の異な
るカチオンの混合塩、たとえばNa/Li、Na/NH
4もしくはNa/Li/NH4の混合塩として存在するこ
とができる。
【0087】式(4)の反応性染料は、非常に広い範囲
の材料、たとえば絹、皮革、羊毛、ポリアミド繊維およ
びポリウレタン類、特にすべての種類のセルロース系繊
維材料を染色および捺染するのに適している。このよう
な繊維材料には、たとえば、天然セルロース繊維、たと
えば綿、リネンおよび大麻ならびにセルロースおよび再
生セルロース、たとえばビスコースおよびモーダル(mo
dal)繊維ならびにそれらの綿とのブレンドがある。式
(4)の反応性染料はまた、ブレンド、たとえば綿とポ
リアミド繊維または特にポリエステル繊維とのブレンド
中に存在するヒドロキシル基含有繊維を染色または捺染
するのに適している。
【0088】本新規な反応性染料は、異なる方法で、好
ましくは染料水溶液および捺染ペーストの形態で繊維材
料に適用し、固着させることができる。本新規な反応性
染料は、吸尽法およびパジング染色法による染色に適し
ている。式(4)の反応性染料は、上述した新規な染色
もしくは捺染法ならびに新規な濃縮水性配合物に特に適
している。
【0089】式(4)の反応性染料は、高い反応性、良
好な固着および優れた固着によって際立つ。したがっ
て、これらの染料は、吸尽法により、低い染色温度で適
用することができ、パジング蒸熱法で使用する場合には
短い蒸熱時間しか要らない。固着度は高く、非固着させ
ない染料は容易に洗い落とすことができる。吸尽度と固
着度との差は顕著に小さい。すなわち、ソープ損失が非
常に小さい。式(4)の反応性染料はまた、特に綿に捺
染するのに特に適しており、また、窒素含有繊維、たと
えば羊毛、絹または羊毛もしくは絹を含むブレンドを捺
染するのに特に適している。
【0090】式(4)の新規な反応性染料によって得ら
れる染色および捺染は、酸性範囲およびアルカリ性範囲
の両方で優れた着色力および優れた繊維−染料結合安定
性を有し、また、良好な耐光堅ろう性ならびに優れた湿
潤堅ろう性、たとえば洗濯、水、海水、クロス染めおよ
び発汗に対する堅ろう性ならびにひだ付け、アイロン掛
けおよび摩擦に対する良好な堅ろう性を有する。
【0091】以下の実施例によって本発明を例示する。
別記しない限り、温度は摂氏度であり、部および%は重
量基準である。容量部に対する重量部の比率は、リット
ルに対するキログラムの比率と同様である。
【0092】
【実施例】
実施例1 第一の発色団成分の調製 硫酸(100%)588.5部を容器に入れ、温度が3
0℃を超えないよう、2−(β−ヒドロキシエトキシ)
−5−メチルアニリン167.2部を加えた。この混合
物を30℃で4時間攪拌したのち、氷/水の混合物にゆ
っくりと加えると、遊離酸の形態で式(100)に対応
する化合物が得られた。
【0093】
【化21】
【0094】4−(β−スルファトエチルスルホニル)
アニリン120部を水225部中でスラリーにしたの
ち、30%NaOH溶液52.5部で溶解した。この溶
液を氷450部に加え、32%塩酸103部を注加し
た。続いて、亜硝酸ナトリウム溶液(4N)104部を
0〜5℃で30分間かけて滴下し、混合物を15分間攪
拌した。こうして得られたジアゾ懸濁液を、次のように
して、式(100)の化合物にカップリングした。
【0095】式(100)の化合物99.0部を水50
0部とでスラリーにした。その間、30%NaOH溶液
でpHを5に調節し、温度を0〜5℃に維持した。ジアゾ
懸濁液を加え、NaOH(2N)でpHを5に調節する
と、遊離酸の形態で次式に対応する染料が良好な収率で
得られた。
【0096】
【化22】
【0097】式(101)の染料をカリウム塩として単
離した。
【0098】第二の発色団成分の調製 4−(β−スルファトエチルスルホニル)アニリン15
部を水75部中でスラリーにしたのち、30%NaOH
溶液6.7部で溶解した。この溶液を氷30部に加え、
32%塩酸14部を注加した。続いて、亜硝酸ナトリウ
ム溶液(4N)13.2部を10℃で45分間かけて滴
下し、15分間攪拌した。こうして得られたジアゾ懸濁
液を、次のようにして、H酸にカップリングした。
【0099】H酸16.0部を水55部中でスラリーに
し、10分間かけてジアゾ懸濁液に加えた。この混合物
を10〜15℃で3時間攪拌すると、遊離酸の形態で式
(102)に対応する染料のモノアゾ懸濁液が得られ
た。
【0100】
【化23】
【0101】2種の発色団成分(101)および(10
2)からの次式(103)の染料の調製
【0102】
【化24】
【0103】式(101)の化合物28.3部を水20
0部中でスラリーにしたのち、32%塩酸11部を注加
し、30℃に加熱した。続いて、亜硝酸ナトリウム溶液
(4N)13.2部を30℃で45分間かけて加えた。
NaOH(2N)でpHを7.5に調節しながら、式(1
02)の染料のモノアゾ懸濁液をこのジアゾ懸濁液に加
えた。混合物を数時間攪拌したのち、生成物を逆浸透に
よって脱塩し、凍結乾燥させると、遊離酸の形態で式
(103)に対応し、綿をオリーブ緑の色合いに染める
染料が得られた(最大吸収波長λm a x:628nm)。
【0104】実施例2 第一の発色団成分の調製 2−スルホ−4−(β−スルファトエチルスルホニル)
アニリン41部を水80部および氷50部中でスラリー
にしたのち、32%塩酸25部を約15℃でこのスラリ
ーに加えた。続いて、28%亜硝酸ナトリウム溶液29
部を約25℃で40分間かけて滴下し、反応混合物を攪
拌した。
【0105】こうして得られたジアゾ懸濁液を、次のよ
うにして、3−アミノ−4−メトキシトルエンにカップ
リングした。
【0106】3−アミノ−4−メトキシトルエン15部
を水100部中でスラリーにし、この混合物をpH4に調
節した。
【0107】上記のようにして得たジアゾ懸濁液を加
え、NaOH(2N)でpHを4に調節すると、遊離酸の
形態で次式に対応する染料が得られた。
【0108】
【化25】
【0109】式(104)の染料をカリウム塩として単
離した。
【0110】第二の発色団成分の調製 実施例1に記載のようにして、式(102)の染料の調
製を実施した。
【0111】次式(105)の染料の調製
【0112】
【化26】
【0113】式(104)の化合物26部を水300部
中でスラリーにし、28%亜硝酸ナトリウム溶液13部
を20℃で加え、32%塩酸10部を1時間かけてこの
混合物に加え、攪拌した。
【0114】氷の添加によって式(102)の染料のモ
ノアゾ懸濁液の温度を0℃に調節し、リン酸水素二ナト
リウムおよびNaOH(30%)の溶液の添加によって
pHを7.5に調節した。上記pHを一定に維持しながら、
上記のようにして得られたジアゾ懸濁液を1時間かけて
この混合物に加え、pH7.5で攪拌を数時間継続した。
その後、生成物を逆浸透によって脱塩し、凍結乾燥させ
ると、遊離酸の形態で式(105)に対応し、綿をオリ
ーブ緑の色合いに染める染料が得られた(最大吸収波長
λm a x:666nm)。
【0115】染色教示I 実施例1で得られた反応性染料2部を水400部に溶解
した。この溶液に対し、塩化ナトリウム53g/lを含有
する溶液1,500部を加えた。綿布100部を40℃
でこの染浴に入れ、45分後、水酸化ナトリウム16g/
lおよび焼成炭酸ナトリウム20gを含有する溶液10
0部を加えた。そして、染色した品物をすすぎ、非イオ
ン系洗浄剤を用いて沸騰状態で15分間ソーピングし、
再度すすぎ、乾燥させた。
【0116】染色教示II 実施例2で得られた反応性染料1部を水400部に溶解
した。この溶液に対し、塩化ナトリウム30g/lを含有
する溶液600部を加えた。綿布100部を60℃でこ
の染浴に入れ、45分後、焼成炭酸ナトリウム10g/l
を加えた。染色を60℃でさらに45分間継続したの
ち、染色した品物をすすぎ、非イオン系洗浄剤を用いて
沸騰状態で15分間ソーピングし、再度すすぎ、乾燥さ
せた。
【0117】染色教示III 実施例2で得られた反応性染料5部を水50部に溶解し
た。この溶液に対し、水酸化ナトリウム(36ボーメ
度)15ml/lおよびケイ酸ナトリウム(38ボーメ度)
70ml/lを含有する溶液50部を加えた。このようにし
て得られた溶液で綿布をパッド染色してその重量を70
%増大させたのち、ロールに巻き取った。この状態で綿
布を室温で10時間貯蔵した。そして、染色した布をす
すぎ、非イオン系洗浄剤を用いて沸騰状態で15分間ソ
ーピングし、再度すすぎ、乾燥させた。
【0118】染色教示IV 実施例2で得られた反応性染料5部を、m−ニトロベン
ゼンスルホン酸ナトリウム0.1部、塩化ナトリウム6
部および炭酸ナトリウム1部とともに水100部に溶解
した。このようにして得られた溶液で綿布を含浸してそ
の重量を75%増大させた。次に、染色を100〜10
2℃で90秒間蒸熱したのち、染色した布をすすぎ、非
イオン系洗浄剤の0.3%沸騰溶液を用いて15分間ソ
ーピングし、再度すすぎ、乾燥させた。
【0119】染色教示V 実施例2で得られた反応性染料5部をm−ニトロベンゼ
ンスルホン酸ナトリウム0.5部とともに水100部に
溶解した。このようにして得られた溶液で綿布を含浸し
てその重量を75%増大させたのち、乾燥させた。この
布を、水酸化ナトリウム(36ボーメ度)15ml/l
および塩化ナトリウム250g/lを含有する25℃の溶
液で含浸したのち、布を、その重量増が75%になるま
で摘んだ。次に、染色を100〜102℃で60秒間蒸
熱し、すすぎ、非イオン系洗浄剤の0.3%沸騰溶液を
用いて15分間ソーピングし、再度すすぎ、乾燥させ
た。
【0120】捺染教示 実施例1で得られた反応性染料3部を、高速で攪拌しな
がら、5%アルギン酸ナトリウム50部、水27.8
部、尿素20部、m−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリ
ウム1部および炭酸水素ナトリウム1.2部を含有する
増粘素材100部中に分散させた。こうして得られた捺
染ペーストで綿布を捺染した。それによって得られた捺
染布を乾燥させたのち、飽和蒸気中102℃で2分間蒸
熱した。次に、捺染布をすすぎ、必要ならば沸騰状態で
ソーピングし、再度すすぎ、続いて乾燥させた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 アタナシオス ツィカス スイス国 4133 プラッテルン ウンタラ ー リューチェッテンヴェーク 36 (72)発明者 ヘルベルト クリエル ドイツ連邦共和国 79588 エフリンゲン −キルヒェン バーンホーフシュトラーセ 32/1

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1): 【化1】 (式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ互いに独
    立して、水素、ハロゲン、スルホ、C1〜C4アルキルま
    たはC1〜C4アルコキシであり、 R5およびR6は、それぞれ互いに独立して、水素、ハロ
    ゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルカノイルアミ
    ノ、ウレイドまたは非置換であるか、アルキル部分がヒ
    ドロキシル、スルファトもしくはC1〜C4アルコキシに
    よって置換されているC1〜C4アルコキシであり、 Z1およびZ2は、それぞれ互いに独立して、ビニルまた
    は基:−CH2−CH2−Uであり、 Uは脱離基である)で示される少なくとも1種の反応性
    染料を使用することを特徴とする、セルロース系繊維材
    料を染色または捺染する方法。
  2. 【請求項2】 式(1)の反応性染料が、式(2): 【化2】 (式中、R1、R2、R3、R4、R5、R6、Z1およびZ2
    は、請求項1に記載の意味を有する)の反応性染料であ
    る、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 R1が水素またはスルホであり、R2、R
    3およびR4が水素である、請求項1または2記載の方
    法。
  4. 【請求項4】 R1がスルホであり、R2、R3およびR4
    が水素である、請求項1〜3のいずれか1項記載の方
    法。
  5. 【請求項5】 R5およびR6が、それぞれ互いに独立し
    て、ハロゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルカノイ
    ルアミノ、ウレイドまたは非置換であるか、アルキル部
    分がヒドロキシル、スルファトもしくはC1〜C4アルコ
    キシによって置換されているC1〜C4アルコキシであ
    る、請求項1〜4のいずれか1項記載の方法。
  6. 【請求項6】 R5およびR6が、それぞれ互いに独立し
    て、C1〜C4アルキルまたは非置換であるか、アルキル
    部分がヒドロキシル、スルファトもしくはC1〜C4アル
    コキシによって置換されているC1〜C4アルコキシであ
    る、請求項1〜5のいずれか1項記載の方法。
  7. 【請求項7】 Uが、式:−Cl、−Br、−F、−O
    SO3H、−SSO3H、−OCO−CH3、−OPO3
    2、−OCO−C65、−OSO2−C1〜C4アルキルま
    たは−OSO2−N(C1〜C4アルキル)2で示される基
    であり、好ましくは式:−OSO3Hの基である、請求
    項1〜6のいずれか1項記載の方法。
  8. 【請求項8】 式(1)の反応性染料が、式(3): 【化3】 (式中、R1は水素またはスルホであり、 R5は、非置換であるか、アルキル部分がスルファトに
    よって置換されているC1〜C4アルコキシであり、 R6はC1〜C4アルキルであり、 Z1およびZ2は、それぞれ互いに独立して、ビニルまた
    は基:−CH2−CH−Uであり、 Uは基:−OSOHである)の反応性染料である、請
    求項1記載の方法。
  9. 【請求項9】 吸尽法またはパジング染色法によってセ
    ルロース系繊維材料を染色する、請求項1〜8のいずれ
    か1項記載の方法。
  10. 【請求項10】 パジング染色法によってセルロース系
    繊維材料を染色する、請求項1〜9のいずれか1項記載
    の方法。
  11. 【請求項11】 吸尽法により、20〜105℃、好ま
    しくは40〜80℃の温度で、1:2〜1:60、好ま
    しくは1:5〜1:20の液比で、セルロース系繊維材
    料を染色する、請求項1〜9のいずれか1項記載の方
    法。
  12. 【請求項12】 セルロース系繊維材料が綿である、請
    求項1〜11のいずれか1項記載の方法。
  13. 【請求項13】 式(1): 【化4】 (式中、R1、R2、R3およびR4は、それぞれ互いに独
    立して、水素、ハロゲン、スルホ、C1〜C4アルキルま
    たはC1〜C4アルコキシであり、 R5およびR6は、それぞれ互いに独立して、水素、ハロ
    ゲン、C1〜C4アルキル、C2〜C4アルカノイルアミ
    ノ、ウレイドまたは非置換であるか、アルキル部分がヒ
    ドロキシル、スルファトもしくはC1〜C4アルコキシに
    よって置換されているC1〜C4アルコキシであり、 Z1およびZ2は、それぞれ互いに独立して、ビニルまた
    は基−CH2−CH2−Uであり、 Uは脱離基である)で示される少なくとも1種の反応性
    染料5〜50重量%を含むことを特徴とする濃縮水性配
    合物。
  14. 【請求項14】 式(4): 【化5】 (式中、R7、R9およびR1 0は、互いに独立して、水
    素、C1〜C4アルキル、C1〜C4アルコキシまたはハロ
    ゲンであり、 R8は、ヒドロキシ置換またはスルファト置換C1〜C4
    アルコキシであり、 Zは、ビニル、β−スルファトエチル、β−クロロエチ
    ルまたはβ−アセトキシエチルである)で示される反応
    性染料。
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