JPH11124342A - 薬剤の嚥下補助飲料 - Google Patents

薬剤の嚥下補助飲料

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JPH11124342A
JPH11124342A JP10229517A JP22951798A JPH11124342A JP H11124342 A JPH11124342 A JP H11124342A JP 10229517 A JP10229517 A JP 10229517A JP 22951798 A JP22951798 A JP 22951798A JP H11124342 A JPH11124342 A JP H11124342A
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water
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篤子 福居
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政則 中島
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上 上島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 種々の薬剤における嚥下を改善し、且つ簡便
で通常の飲料水と代替でき、しかも薬効を阻害しない薬
剤の嚥下補助飲料及び嚥下方法を提供すること。 【解決手段】 薬剤の嚥下を容易にする補助飲料であ
る。水分と糊料とを含有し、粘性液体状又はゲル状をな
す。粘性液体状をなす場合には、20℃における粘度
が、1000〜25000cPであり、ゲル状をなす場
合には、20℃におけるゼリー強度が、10〜100g
/cm2である。料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薬剤の嚥下補助飲
料に係り、更に詳細には、種々の疾病や虚弱体質、健常
人でも薬剤服用に何らかの苦痛(苦い等)を伴うことな
どにより、薬剤服用時に通常の飲料水では薬剤の嚥下が
困難な患者や小児、高齢者に対し、困難性や異物感など
を与えることなく、薬剤の嚥下を容易にし又は促進する
嚥下補助飲料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、薬剤の内服は、水やお茶とともに
内服するのが一般的である。しかし、かかる水やお茶で
は、嚥下の困難な患者、特に高齢者等は、薬剤の服用が
困難であり、粉末剤、顆粒剤及び錠剤などの剤形の薬剤
を内服した場合、十分に嚥下できずに却って咽せてしま
ったり、口腔内に留まってしまったりして十分な治療効
果が得られないばかりか、患者等自身も不快な思いする
ことがあった。このため、錠剤を粉砕したり、薬剤を食
物、例えば、ご飯、味噌汁及びジュース等に混ぜて服用
することも行われていたが、手間がかかり煩雑であり、
更には、錠剤の粉砕によって、薬剤成分の放出時間の調
整ができなくなったり、味のマスキングができなくなる
ことなどにより、所期の薬効が得られなくなることがあ
った。
【0003】これに対して、薬剤の剤形においては、小
型の錠剤、ゼリー剤形、口腔内崩壊錠剤形などが工夫さ
れている。また、食品では、液体の食品(味噌汁など)
にトロミをつけて液体食品の嚥下をし易くする液体食物
添加用の粉末が市販されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た剤形上の工夫では必ずしも十分な効果が得られず、ま
た、液体食品の嚥下改善剤は存在するものの、種々の薬
剤に対する嚥下を改善する嚥下改善剤は、未だ開発され
ていないという課題があった。
【0005】本発明は、このような従来技術の有する課
題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところ
は、種々の薬剤における嚥下を改善し、且つ簡便で通常
の飲料水と代替でき、しかも薬効を阻害しない薬剤の嚥
下補助飲料及び嚥下方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決すべく、薬剤の内服において薬剤を嚥下し易くす
る飲料について種々検討した結果、特定の糊料と水とを
混合することにより、上記課題を解決できるをことを見
出し、本発明を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明の嚥下補助飲料は、薬剤の嚥
下を容易にする補助飲料であって、水分と糊料とを含有
し、粘液状又はゲル状をなすことを特徴とする。
【0008】また、本発明の嚥下方法は、薬剤を、上述
の嚥下補助飲料とともに服用することを特徴とする。
【0009】
【作用】本発明の嚥下補助飲料は、適切なゼリー強度又
は粘度を有する。従って、健常人は勿論、虚弱体質や各
種疾患などにより薬剤の嚥下が困難である患者などであ
っても、本発明の嚥下補助飲料を用いれば、種々の薬剤
をその薬効に影響を及ぼすことなく容易に嚥下できるよ
うになる。
【0010】また、本発明の嚥下補助飲料は各種薬剤を
包み込む機能をも有するため、喉の回りの筋肉の収縮力
が衰えている者や、筋の緊張により食道の狭搾が見られ
る者であっても、この嚥下補助飲料の使用により、薬剤
の違和感が軽減され、咽せずに嚥下できるようになる。
具体的には、この包み込み機能により、易水溶性の散剤
でも確実に包み込まれて室温では殆ど溶出せず、固形製
剤では一回に服用できる薬剤の個数を増大することがで
きる。
【0011】更に、かかる包み込み機能により、薬剤の
マスキングを行うこともでき、例えば、本嚥下補助飲料
は苦みマスクとしても機能するので、小児等が薬剤を服
用する際にも好適である。
【0012】更にまた、上述の如き包み込み機能を有す
るにも拘らず、本嚥下補助飲料の成分は大部分が水分で
あるため、薬剤の崩壊性や溶出性については影響を与え
ることがなく、薬剤との相互作用も起こさないので、各
種薬剤の薬効を妨げることもない。
【0013】また、この嚥下補助飲料は、ローカロリー
・ノンシュガーの飲料であり、インシュリンの代謝に影
響を及ぼさないため、糖尿病患者でも安心して使用で
き、更には、就寝直前に使用しても虫歯になりにくい。
【0014】更に、本嚥下補助飲料は、水分と糊料とを
必須成分とする簡易な飲料であり、安定性にも優れるた
め、小型容器などに充填すれば携帯が容易であり、患者
などが外出した場合にも便利である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の嚥下補助飲料につ
いて詳細に説明する。上述のように、この嚥下補助飲料
は、水分と糊料とを含有する。ここで、水分としては、
飲料に適する水であれば十分であり、水道水、各種イオ
ン交換水及び精製水などを例示できる。
【0016】また、糊料としては、水分とほぼ均等に混
和して粘性を付与し、又はゲル化を促すものであれば十
分であるが、具体的には、寒天、カラギナン、ジェラン
ガム、ファーセレラン、ゼラチン、ペクチン、カードラ
ン、ローカーストビーンガム、タラガム、グアーガム、
キサンタンガム、アルギン酸、アルギン酸塩、アゾトバ
クタービネランジガム、カシアガム、サイリュームシー
ドガム、タマリンドガム、CMCNa(カルボキシメチ
ルセルロースNa)、CMCCa、乳清蛋白、澱粉又は
化工澱粉、及びこれらの任意の混合物を挙げることがで
きる。
【0017】本発明の嚥下補助飲料は、上述のように、
水分と糊料との混合物であるが、その性状は、常温で粘
性液体〜ゲル状物であり、具体的には、粘性液体の場
合、20℃での粘度が1000〜25000cPであ
り、ゲル状の場合、20℃でのゼリー強度が、10〜1
00g/cm2であることが好ましい。ゼリー強度が1
0g/cm2未満であったり、粘度が1000cP未満
であると、薬剤の嚥下において誤嚥を生じ易く、一方、
ゼリー強度が100g/cm2を超えたり、粘度が25
000cPを超えると、嚥下困難者にとっては嚥下が難
しくなるので、好ましくない。
【0018】また、上述した糊料の含有量は、糊料の種
類や上記粘度範囲などを考慮して適宜選定することがで
きるが、代表的にこの嚥下補助飲料全量に対して、0.
1〜5.0重量%とすることができる。一方、水分は、
代表的に80.0〜99.9重量%とすればよい。
【0019】なお、本発明の嚥下補助飲料においては、
本発明の意図する嚥下改善効果を奏する限り、必須成分
である水分及び糊料以外にも、ゲル化促進剤や栄養源た
る糖類その他の添加剤を含有することができる。例え
ば、ゲル化促進剤としてのクエン酸を0.2〜2.0重
量%、クエン酸三ナトリウムを0.1〜0.2重量%、
糖類としてのマンニトール、エリスリトール及びブドウ
糖などを8〜10重量%を添加することができる。この
際、糖類としては、糖尿病患者が飲むことのできるもの
が好ましい。また、デキストリンをゲル化補助剤として
0.2〜0.5重量%添加してもよい。
【0020】次に、本発明の嚥下補助飲料の調製法につ
いて説明する。本発明の嚥下補助飲料は、適当な糊料を
適量の水に加温溶解した後、ゲル化促進剤、ゲル化増進
剤、糖類及びその他の添加物を加えて加温攪拌溶解する
ことにより、得ることができる。なお、溶解温度は、適
宜変更できるが、加温溶解する場合には代表的に80〜
100℃である。
【0021】また、上述のようにして得られた嚥下補助
飲料は、各種薬剤とともに服用に供することができる。
即ち、薬剤を口内に含んだ後、嚥下補助飲料を水の代わ
りに口内に流し込み、薬剤と一緒に嚥下してもよいし、
予め薬剤と嚥下補助飲料とを混合し、得られた混合物
(液)を口に流し込み、嚥下してもよい。
【0022】上述のように、本発明の嚥下補助飲料は、
各種薬剤を対象とするが、特に、従来から嚥下が困難と
されている薬剤に対して好ましく適用できる。かかる嚥
下困難性を有する薬剤としては、錠剤では直径10mm
以上のもの、カプセル剤では1号以上のものを挙げるこ
とができるが、本嚥下補助飲料によれば、このような錠
剤やカプセル剤であっても、上述の如き適切な粘度等を
有する本嚥下補助飲料によって包み込まれることになる
ので、容易に嚥下できる。
【0023】また、顆粒剤や散剤は、入れ歯の間に挟ま
ったり、口中粘膜に付着したり、気管に入ったりして嚥
下が困難になり易いが、本発明の嚥下補助飲料を使用す
れば、顆粒剤等が本嚥下補助飲料によって包み込まれて
口中付着等が防止されるので、このような顆粒剤や散剤
であっても容易に嚥下できることになる。また、使用後
も従来の清涼飲料水のように口中に残存感が殆どなく、
さっぱりした後味であり、特に入れ歯使用者にとっては
好ましく使用できる嚥下補助飲料である。
【0024】更に、臭気や苦みが強い薬剤では、その臭
気や苦みが嫌われ、嚥下が困難なっていることもある
が、このような薬剤も本嚥下補助飲料により包み込まれ
てマスキングされるので、容易に嚥下できることにな
る。しかも、この場合、散剤等の剤形であっても、上述
のように口中付着等が防止されるので、嫌な臭気や苦み
が残存する問題も生じない。
【0025】更にまた、従来から、固形剤と散剤との混
合服用は嚥下が困難になることが知られているが、本嚥
下補助飲料を用いれば、このような混合服用であっても
容易に行うことができるようになる。
【0026】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に
説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるもので
はない。
【0027】(実施例1)糊料として多糖類のペクチ
ン、カラギーナン、キサンタンガム及び寒天を所定量の
水に加温溶解し、更にその他の添加物を加えて80℃で
加温溶解・撹拌して溶解し、本実施例のゲル化した嚥下
補助飲料を得た。配合処方の詳細を以下に示す。
【0028】 成分 配合量(重量部) 寒天 0.20 ローカストビーンガム 0.05 ペクチン 0.04 カラギナン 0.02 キサンタンガム 0.01 クエン酸 0.21 クエン酸三ナトリウム 0.14 エリスリトール 8.82 香料 0.10 精製水 90.41 全量 100.00(重量部)
【0029】上記配合処方に示すように、得られた嚥下
補助飲料は殆どが水であり、薬剤の崩壊性に影響を与え
るものではなく、また、薬剤との相互作用を示すもので
もない。更に、甘味を抑えたすっきりした味を有し、服
用に好適である。この嚥下補助飲料につき、レオメータ
ー((株)サン科学製、商品名:レオメータ MODE
L COMPAC−100)を用いてゼリー強度を測定
し、得られた結果を図1に示した。
【0030】なお、上記ゼリー強度は、嚥下補助飲料を
昇降台に載置したサンプル採取器に充填した後、この昇
降台を上昇させ、上方に配置した円柱型プランジャー
に、充填した嚥下補助飲料を接触させ、所定の圧縮速度
で更に上昇を続けてプランジャーを突き破り、一定のク
リアランスで上昇を停止させる。次いで、昇降台を下降
させ、この際の抵抗値(荷重)を下降変位とともに測定
し、この荷重値から次式 ゼリー強度=最大荷重(g)/プランジャー面積(cm
2) に従って算出されるものである。
【0031】本実施例では、底面の直径が40mmのサ
ンプル採取器に、嚥下補助飲料を15mmの高さに充填
し、プランジャー直径は2cm、圧縮速度は10mm/
sec、クリアランスは5mm、測定温度は20℃であ
った。図1より、最大荷重は146g、プランジャー面
積は3.14cm2であるので、本実施例の嚥下補助飲
料のゼリー強度は、46.6g/cm2であった。
【0032】(実施例2)以下の配合処方を用いた以外
は、実施例1と同様の操作を繰り返し、本実施例の嚥下
補助飲料を得た。実施例1と同様にゼリー強度を測定
し、得られた結果を図2に示した。また、本実施例の嚥
下補助飲料のゼリー強度は、51.9g/cm2であっ
た。
【0033】 成分 配合量(重量部) 寒天 0.20 ローカストビーンガム 0.05 ペクチン 0.04 カラギナン 0.02 キサンタンガム 0.01 クエン酸 0.21 クエン酸三ナトリウム 0.14 マンニトール 8.81 香料 0.10 精製水 90.42 全量 100.00(重量部)
【0034】(実施例3)糊料として多糖類のグアーガ
ム、デンプンをその他の添加物とともに所定量の水に溶
解し、本実施例の粘性液体化した嚥下補助飲料を得た。
配合処方の詳細を以下に示す。
【0035】 成分 配合量(重量部) グアーガム 1.00 デンプン 1.00 クエン酸 0.21 クエン酸三ナトリウム 0.14 エリスリトール 8.81 香料 0.20 精製水 88.64 全量 100.00(重量部)
【0036】この嚥下補助飲料につき、B型回転粘度計
(芝浦システム(株)製:商品名ビスメトロンVS−
A)を用いて粘度を測定したところ、10000cPの
値を示した。なお、この粘度は、嚥下補助飲料の温度を
20℃とし、NO.4ローターを用いて12rpmで回
転させ、2分後の示度より乗数を掛けて算出したもので
ある。
【0037】(実施例4)糊料としてのキサンタンガ
ム、デンプンをその他の添加物とともに所定量の水に溶
解し、本実施例の粘性液体化した嚥下補助飲料を得た。
配合処方の詳細を以下に示す。
【0038】 成分 配合量(重量部) キサンタンガム 0.50 デンプン 1.50 クエン酸 0.21 クエン酸三ナトリウム 0.14 エリスリトール 8.81 香料 0.20 精製水 88.64 全量 100.00(重量部)
【0039】この嚥下補助飲料につき、実施例3と同様
に粘度を測定したところ、8500cPの値を示した。
【0040】(試験例1)本発明の嚥下補助飲料におけ
る包み込み機能を調査すべく、実施例1の嚥下補助飲料
を常温でシャーレに充填し、これに易水溶性顆粒剤を添
加してその状態を観察した。得られた結果を図3に示
す。また、図3の状態から軽く攪拌を行い、状態の変化
を観察した。この結果を図4に示す。なお、図5は、図
4の状態をアングルを変えて示したものである。更に、
上記嚥下補助飲料と易水溶性顆粒剤の量を変化させて、
上記同様の観察を行い、得られた結果を図6及び図7
(攪拌後)に示す。
【0041】(試験例2) [飲料水による比較試験]嚥下補助飲料の代わりに飲料
水をシャーレに充填し、試験例1と同様に易水溶性顆粒
剤を添加して、その状態を観察した。得られた結果を図
8に示す。
【0042】試験例1及び2の結果から、本発明に係る
実施例1の嚥下補助飲料は、飲料水には見られない優れ
た包み込む機能を有していることが明かであり、この機
能は、若干の攪拌を加えても維持されることも明かであ
る。即ち、図3及び図6では、易水溶性顆粒は溶解分散
せず、ほぼそのままの形状を維持しており、図4、図5
及び図7においても、顆粒は殆ど溶解しておらず、包み
込まれている。
【0043】このように、本発明の嚥下補助飲料は、易
水溶性の顆粒剤や散剤であっても適切に包み込むことが
できるので、これら顆粒剤等がその服用に際し、口中に
付着するのを防止できるのみならず、顆粒剤等を凝集さ
せることもできるので、これらの服用を容易にすること
ができる。
【0044】また、上述の包み込み機能は、オブラート
にも類似するものであり、薬剤の苦み等をマスキングす
ることができるので、この点からも服用が容易になり、
口中に苦み等が残存しないので、極めて好適である。な
お、本嚥下補助飲料は、体温程度(約37℃)に加熱さ
れると、その粘性が低下して包み込み機能を失うので、
薬剤が体内で崩壊・溶解するのを阻害することもない。
【0045】(試験例3)実施例1及び2の嚥下補助飲
料につき、下記の通り試験を行った。即ち、対象患者
は、嚥下能力に低下をきたした年齢75歳〜85歳の女
性12人及び男性20人の合計32人であり、平均年齢
は78歳であった。また、その評価は、実施例1及び2
の嚥下補助飲料を用いた薬剤内服時の嚥下補助効果につ
いて、対象者本人の意見と看護婦の所見を下記の5段階
で尋ねた。 1.良い 2.まあ良い 3.どちらとも言えない 4.どちらかというと悪い 5.悪い
【0046】なお、内服薬剤は、カプセル剤8例、錠剤
16例、顆粒剤4例、散剤4例であった。この結果、3
2人の患者の意見及び看護婦の所見全てが、「良い」と
いう評価になった。この際の患者及び看護婦の感想を以
下に示す。
【0047】[患者及び看護婦の感想] 今までは、錠剤と散剤とを別々に分けて服用していた
が、本嚥下補助飲料を使用することにより、1回で同時
に服用することができた。 本嚥下補助飲料に薬剤を混ぜても、溶けてドロドロす
ることはなく、オブラートに包んだような感じになり、
口中での感触が良く、服用し易かった。 漢方薬粉末を本嚥下補助飲料と混ぜて服用すると、苦
みが口中に広がらず服用し易かった。 錠剤を咽せ込まないで服用できた。 嚥下に際し特に問題がない者が使用する場合であって
も、苦みの強い薬剤の嚥下に使用すれば、苦みがかなり
緩和された。 漢方薬や散剤の内服においては、オブラートで包んで
内服するより、本嚥下補助飲料を使用した方が服用し易
かった。
【0048】(試験例4)実施例1の嚥下補助飲料につ
き、下記の通り試験を行った。まず、薬を服用する際に
水ではうまく嚥下しにくい患者(年齢75才、男性)
に、本試験の趣旨を説明し、同意を得た。次いで、2号
カプセルにバリウム粉末を充填したものを模擬薬物と
し、この模擬薬物を上記患者に本発明の嚥下補助飲料約
20mlを用いて服用させ、この服用の様子を上記患者
の口から胃までを走査しながらビデオレントゲン透視撮
影し、得られた画像情報をパソコンに取り込み、経時変
化を1秒当たり2枚の静止画データとして解析した。得
られた結果を図9に示す。
【0049】また、図9に示した「コップゼリー0
2」、「コップゼリー03」、「コップゼリー04」、
「コップゼリー09」、「コップゼリー10」及び「コ
ップゼリー12」の静止画を、それぞれ図10〜図15
に拡大して示す。
【0050】(試験例5) (水による比較試験)嚥下補助飲料の代わりに約20m
lの水を用いた以外は、試験例4と同様の操作を繰り返
し、得られた結果を図16〜図18に示す。また、図1
6〜図18に示した「水00」、「水04」、「水0
8」、「水11」、「水17」及び「水24」の静止画
を、それぞれ図19〜図24に拡大して示す。
【0051】試験例4の結果と試験例5の結果を比較す
れば明らかなように、本発明の範囲に属する試験例4で
は、模擬薬物が口内から胃まで移行するのに要す時間は
約8秒であるのに対し、試験例5では約18秒と2倍以
上要しており、このことからも、本発明の嚥下補助飲料
が優れた嚥下補助効果を奏することが分かる。
【0052】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、特定の糊料と水とを混合することとしたため、種々
の薬剤における嚥下を改善し、且つ簡便で通常の飲料水
と代替でき、しかも薬効を阻害しない薬剤の嚥下補助飲
料及び嚥下方法を提供することができる。
【0053】即ち、本発明の嚥下補助飲料とともに薬剤
を内服すれば、薬剤の嚥下が困難な患者や嚥下機能の低
下した患者、特に高齢者は、薬剤の異物感を感ずること
なく楽に薬剤を内服して嚥下することができる。このよ
うに、本発明の嚥下補助飲料は、薬剤服用に若干といえ
ども苦痛を感じる者のQOL(Quality Of
Life)を向上するものであり、快適な生活への一助
となるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の嚥下補助飲料のレオメーターによる
測定結果を示す特性図である。
【図2】実施例2の嚥下補助飲料のレオメーターによる
測定結果を示す特性図である。
【図3】嚥下補助飲料に易水溶性顆粒剤を添加した状態
を示す写真である。
【図4】図3の状態に若干の攪拌を加えた状態を示す写
真である。
【図5】図4のアングルを変えた写真である。
【図6】嚥下補助飲料に易水溶性顆粒剤を添加した状態
を示す写真である。
【図7】図6の状態に若干の攪拌を加えた状態を示す写
真である。
【図8】飲料水に易水溶性顆粒剤を添加した状態を示す
写真である。
【図9】試験例4による服用の様子を示す静止画データ
である。
【図10】図9の部分拡大図である。
【図11】図9の部分拡大図である。
【図12】図9の部分拡大図である。
【図13】図9の部分拡大図である。
【図14】図9の部分拡大図である。
【図15】図9の部分拡大図である。
【図16】試験例5による服用の様子を示す静止画デー
タである。
【図17】試験例5による服用の様子を示す静止画デー
タである。
【図18】試験例5による服用の様子を示す静止画デー
タである。
【図19】図16の部分拡大図である。
【図20】図16の部分拡大図である。
【図21】図16の部分拡大図である。
【図22】図16の部分拡大図である。
【図23】図17の部分拡大図である。
【図24】図17の部分拡大図である。
フロントページの続き (72)発明者 上島 上 長野県伊那市西春近5074番地 伊那食品工 業株式会社内 (72)発明者 太田 美香 長野県伊那市西春近5074番地 伊那食品工 業株式会社内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 薬剤の嚥下を容易にする補助飲料であっ
    て、水分と糊料とを含有し、粘性液体状又はゲル状をな
    すことを特徴とする嚥下補助飲料。
  2. 【請求項2】 上記粘性液体状をなす嚥下補助飲料の2
    0℃における粘度が、1000〜25000cPである
    ことを特徴とする請求項1記載の嚥下補助飲料。
  3. 【請求項3】 上記ゲル状をなす嚥下補助飲料の20℃
    におけるゼリー強度が、10〜100g/cm2である
    ことを特徴とする請求項1記載の嚥下補助飲料。
  4. 【請求項4】 糊料が、寒天、カラギナン、ジェランガ
    ム、ファーセレラン、ゼラチン、ペクチン、カードラ
    ン、ローカーストビーンガム、タラガム、グアーガム、
    キサンタンガム、アルギン酸、アルギン酸塩、アゾトバ
    クタービネランジガム、カシアガム、サイリュームシー
    ドガム、タマリンドガム、CMCNa、CMCCa、乳
    清蛋白、澱粉及び化工澱粉から成る群より選ばれた少な
    くとも1種のものである請求項1〜3のいずれか1つの
    項に記載の嚥下補助飲料。
  5. 【請求項5】 0.1〜5.0重量%の糊料と、80.
    0〜99.9重量%の水分を含むことを特徴とする請求
    項1〜4のいずれか1つの項に記載の嚥下補助飲料。
  6. 【請求項6】 上記薬剤が、錠剤、カプセル剤、顆粒剤
    又は散剤であることを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    か1つの項に記載の嚥下補助飲料。
  7. 【請求項7】 上記薬剤が、固形剤と顆粒剤又は散剤と
    の混合剤であることを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    か1つの項に記載の嚥下補助飲料。
  8. 【請求項8】 薬剤を、請求項1〜5のいずれか1つの
    項に記載の嚥下補助飲料とともに服用することを特徴と
    する薬剤の嚥下方法。
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